JP2007296416A - アスベストの無害化処理方法 - Google Patents

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明広 森田
Nobuhide Nagumo
信秀 南雲
Akira Akaho
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Abstract

【課題】 アスベスト又はアスベスト含有廃棄物を簡単な処理によって、確実に無害化するアスベストの無害化処理方法の提供。
【解決手段】 アスベスト又はアスベスト含有廃棄物にラジカル酸素を接触させ、アスベストに含まれる二価鉄(Fe)を三価鉄(Fe) に酸化させて無害化させる。
アスベスト又はアスベスト含有廃棄物をラジカル酸素含有水に接触させながら微粉砕し、アスベストに含まれる二価鉄(Fe)を三価鉄(Fe) に酸化さて無害化させることも好ましい。ラジカル酸素は、例えば過酸化水素(HO)から発生させる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、アスベスト又はアスベスト含有廃棄物の無害化処理方法に係り、特にアスベスト中に含まれる二価鉄を三価鉄に変換することによりアスベストを無害化するアスベストの無害化処理方法に関するものである。
アスベスト(石綿)は、直径数マイクロメートルの天然の鉱物繊維で、種類としては蛇紋岩系や角閃石系のものがあり、概ね以下の6種類である。
a クリソタイル(白石綿) MgSiOO(OH)
b クロシドライト(青石綿) Na(Fe, Mg)Fe SiO(OH)
c アモサイト(茶石綿) (Fe, Mg)SiO(OH)
d 直セン石 (Mg, Fe)SiO(OH)
e 透セン石 (CaMg SiO(OH)
f 緑セン石 Ca(Mg, Fe)SiO(OH)

そして、アスベストは、耐熱性、耐薬品性、絶縁性などの諸特性に優れているため、建設資材、電気製品、自動車および家庭用品などの分野で幅広く利用され、大量に消費されてきた。そして、その9割以上は建築資材(スレート板,屋根瓦,耐火被覆材等)として使用された。
しかしながら、アスベストが人体内が吸い込まれると、石綿肺、肺癌、悪性中皮腫などの重大な疾病が引き起こされる。
上記のアスベストのうちで最も有害で危険なアスベストは、クロシドライト(青石綿)であるといわれている。
このため、従来よりアスベストをセメントや樹脂で被覆・シールドしたり、高温で溶融したりする等による無害化処理が行われている。
特開平7−171536号公報
しかしながら、従来技術ではアスベストを被覆しているセメントや樹脂が剥離するとアスベストが剥きだしとなって、飛散して人体の体内に入るため、アスベストの完全な無害化が保証されなかった。また、高温加熱による溶融処理は大量のエネルギーを高コストなものとなっていた。
本願発明者は鋭意研究の結果、下記構成のアスベストの無害化処理方法を開発した。
(1)アスベスト又はアスベスト含有廃棄物にラジカル酸素を接触させ、アスベストに含まれる二価鉄(Fe)を三価鉄(Fe) に酸化させて無害化させることを特徴とするアスベストの無害化処理方法。
(2)アスベスト又はアスベスト含有廃棄物をラジカル酸素含有水に接触させながら微粉砕し、アスベストに含まれる二価鉄(Fe)を三価鉄(Fe) に酸化さて無害化させることを特徴とするアスベストの無害化処理方法。
(3)ラジカル酸素が過酸化水素(HO)から発生するものであることを特徴とする前項(1)又は(2)に記載のアスベストの無害化処理方法。
(4)アスベスト又はアスベスト含有廃棄物を透水性の容器に収容し、それをラジカル酸素含有水に浸漬することを特徴とする前項(1)〜(3)のいずれか1項に記載のアスベストの無害化処理方法。
(5)前項(1)〜(4)のいずれか1項に記載の方法で得られた無害化処理されたアスベスト又はアスベスト含有廃棄物にセメントを加配・混練して、固化せしめることを特徴とするアスベストの無害化処理方法。
(6)アスベスト含有廃棄物が、吹き付け材又は屋根や壁等のスレート材であることを特徴とする前項(1)〜(5)のいずれか1項に記載のアスベストの無害化処理方法。
(7)アスベスト又はアスベスト含有廃棄物に、ラジカル酸素に代えて、二価鉄を三価鉄に酸化させる酸化剤としてのハロゲン元素(F,Cl,Br,I),ハロゲン元素含有酸、硝酸、硫酸等の酸化作用の強い各種酸あるいは過マンガン酸カリウム(KMnO)から選択される1又は2以上を接触せしめることを特徴とする前項(1)〜(6)のいずれか1項にアスベストの無害化処理方法。
本発明によれば、アスベスト又はアスベスト含有廃棄物を簡単な処理によって、確実に無害化することができる。
本願発明者らは、アスベストの有害性の原因について研究の結果、アスベストに含有される鉄を酸化処理又は除去処理すれば、無害化されること、そして鉄のうち、二価鉄を三価鉄に処理すれば、鉄の触媒的機能を喪失せしめ、発ガン防止等の無害化ができることを知得した。
本願発明はこうした新知得に基づき、構成されたものである。
本願発明の作用・機序は理論的な解明は未だなされていないが、以下のものと考えられる。
すなわち、アスベストに含まれる二価鉄(Fe)が体内に入ると細胞の表面や内部にある酸素分子との間に酸化還元反応がおこり、Feから酸素に電子が1個移動することにより、Feが三価鉄 Feに酸化され、一方酸素は還元されてO (スーパーオキシドアニオンラジカル)になる。そしてO は容易に過酸化水素になり、過酸化水素はFeと反応してヒドロキシラジカル(OH)が生まれる。ヒドロキシラジカルは最も強力な活性酸素である。
ヒドロキシラジカル(OH)は、DNAの鎖を切断したり、DNAの塩基と結合して8-OH-dg(8−ヒドロキシデオキシグアノシン)が生成されると、DNAを強い酸化的ストレス状態に導くことになる。この場合電子の流れは、DNAからOHの方に流れ、DNAは電子欠損状態となり、DNAは傷害をうける。このようにDNAの切断や傷害がガン化の引き金となる。
このようにアスベストに含まれる2価鉄が人の体内に入りOH(ヒドロキシラジカル)をつくり、DNAの切断・傷害につながるので、人の体内に入る前に2価鉄を酸化剤にて半ば強制的に三価鉄にしてしまうことが最も重要な処理方法である。
二価鉄と共にマグネシウムがアスベスト中に含まれるが、マグネシウムも酸化剤により酸化マグネシウムとなるが、空気にふれると水や炭酸ガスを吸収して炭酸水素化マグネシウムとなる。マグネシウムが金属の形で存在した場合、体内での働きは不明であるが、液浸処理又は混練処理を行えば、水酸化マグネシウムとなり安定した化合物となる。
アスベストの排出形態は、アスベストが単体の形にて排出される量は少なく、圧倒的にセメントと混合され、吹付材の廃棄物として排出される量が多い。アスベスト処理の理想は二価鉄をアスベスト中から除去することであるが、吹付材としてセメントと混合されれば除去することは、技術的にも経済的にも困難であるので、強制的に酸化処理してしまえば、三価鉄は安定した鉄となり万一体内に入っても発ガンの原因にならない。
吹付材として使用されたアスベストに含まれる二価鉄を三価鉄に酸化処理する時二価鉄の分子と酸化剤(例えばHO)の分子が衝突しなければ反応はおこらないから確実に反応をおこさせるには、アスベストを細かく破砕することにより可能となる。この場合飛散防止は徹底されなければならない。
過酸化水素水は過酸化水素が水に溶けこんでいる状態にて使用する。その時の濃度は数%である。微細にアスベストが破砕されていれば、液浸や混練処理の方法にて、確実に処理できる。
処理時間は液浸処理の場合その反応は速く多くの時間は要しない。混練処理の場合でも多くの時間は要しない。
実施例1:
図1に示す本願発明実施例のフローシートに基づき、アスベストの無害化処理法について説明する。
(A)図は、アスベスト単体の無害化処理の例であり、まず、(1)廃棄物としてのアスベスト単体を、(2)ステンレス製の籠に投入する。ついで、(3)その籠を過酸化水素の水溶液に浸漬して、アスベストに含有される二価鉄(Fe)を三価鉄 Feに酸化する。さらに、(4)において、籠を過酸化水素の水溶液から取り上げて、水切りし、(5)において、セメントを加配し、混練して全体を一定形状に成形、固化し、(6)において管理型処分場に移送して管理処分する。
また、(B)図は、吹き付けアスベスト、スレート等のアスベスト含有廃棄物の無害化処理の例であり、まず、(ア)アスベスト含有廃棄物を、(イ)破砕室内において、過酸化水素の水溶液を噴霧しながら、細破砕し、さらに(ウ)混練装置において、過酸化水素水を供給しながら混練する。(エ)において、混練装置から混練物を取り出し、(オ)において、セメントを加配・混練して全体を一定形状に成形、固化し、(カ)において、管理型処分場に移送して管理処分する。
以上の工程により、アスベスト又はアスベスト含有廃棄物を容易かつ、確実に無害化処理できる。そして、本実施例の場合は、特に管理型処分場において、整然と安定・管理できる。
なお、工業用HOは35%濃度のものと60%濃度のものがあるが60%濃度のものの取り扱いは危険物であるため、上記実施例においては、安全を考え35%濃度のものを水と混和して使用した。
また、吹付アスベスト等の破砕は細破砕として飛散防止もかねて、HOの水溶液を噴霧することにより、より反応は確実になる。
本願発明実施例のフローシート図

Claims (7)

  1. アスベスト又はアスベスト含有廃棄物にラジカル酸素を接触させ、アスベストに含まれる二価鉄(Fe)を三価鉄(Fe) に酸化させて無害化させることを特徴とするアスベストの無害化処理方法。
  2. アスベスト又はアスベスト含有廃棄物をラジカル酸素含有水に接触させながら微粉砕し、アスベストに含まれる二価鉄(Fe)を三価鉄(Fe) に酸化さて無害化させることを特徴とするアスベストの無害化処理方法。
  3. ラジカル酸素が過酸化水素(HO)から発生するものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のアスベストの無害化処理方法。
  4. アスベスト又はアスベスト含有廃棄物を透水性の容器に収容し、それをラジカル酸素含有水に浸漬することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のアスベストの無害化処理方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法で得られた無害化処理されたアスベスト又はアスベスト含有廃棄物にセメントを加配・混練して、固化せしめることを特徴とするアスベストの無害化処理方法。
  6. アスベスト含有廃棄物が、吹き付け材又は屋根や壁等のスレート材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のアスベストの無害化処理方法。
  7. アスベスト又はアスベスト含有廃棄物に、ラジカル酸素に代えて、二価鉄を三価鉄に酸化させる酸化剤としてのハロゲン元素(F,Cl,Br,I)、ハロゲン元素含有酸、硝酸、硫酸等の酸化作用の強い各種酸あるいは過マンガン酸カリウム(KMnO)から選択される1又は2以上を接触せしめることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のアスベストの無害化処理方法。






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