JP5519291B2 - Hiv−1感染症のためのペプチド及び治療法 - Google Patents
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Description
本発明は、ヒト免疫不全ウイルス1型(HIV−1)による感染症及び後天性免疫不全症候群(AIDS)の治療のための化合物、組成物及び方法に関するものである。
ヒトレンチウイルスであるHIV−1は、AIDSの主要原因病原体であり、現在のところ、全世界でおよそ4200万人の人々がこれに感染し、北アメリカでは100万人の人々が感染している。
本発明によれば、Vifのマルチマー化を阻害し、かつ、HIV−1に対して有効な化合物及び組成物であって、HIV−1感染及びAIDSなどの、Vifのマルチマー化がウイルスの複製に必要な疾患又は状態を治療するのに有用な化合物及び組成物が提供される。
X1−M−配列番号1 (I)
又はその誘導体
(式中、
X1−M−は、配列番号1のアミノ酸配列のN末端に結合したタンパク質導入ドメインを有する随意の基を表し、ここで、
X1はタンパク質導入ドメインを表し;
−M−は、単結合又は該タンパク質導入ドメインと該配列番号1のアミノ酸配列との間に共有結合を形成する随意の結合基を表し;
ただし、該化合物が配列番号1のアミノ酸配列のN末端に直接結合するアミノ酸を含む場合には、該N末端に直接結合するアミノ酸はアスパラギン以外であるものとする。)
を提供する。
I.定義
明細書及び添付した請求の範囲において使用するときに、単数形「a」、「an」及び「the」には、文脈が明らかに示さない限り、複数の対象が含まれる。
本発明の一態様としては、次式Iの化合物:
X1−M−配列番号1 (I)
又はその誘導体
(式中、
X1−M−は、配列番号1のアミノ酸配列のN末端に結合したタンパク質導入ドメインを有する随意の基を表し、ここで、
X1はタンパク質導入ドメインを表し;
−M−は、単結合又は該タンパク質導入ドメインと配列番号1のアミノ酸配列からなるペプチドとの間に共有結合を形成する随意の結合基を表し;
ただし、該化合物が配列番号1のアミノ酸配列のN末端に直接結合するアミノ酸を有する場合には、該N末端に直接結合する該アミノ酸はアスパラギン以外のものであるものとする。)
を提供する。
配列番号1のアミノ酸配列のペプチドがタンパク質導入ドメインに結合する場合には、配列番号1のアミノ酸配列のペプチドとタンパク質導入ドメインとの結合は、単結合又は随意の結合基により形成される。この結合基の目的は、単にタンパク質導入ドメインと配列番号1のアミノ酸配列のペプチドとを共有結合させることに過ぎないので、当業者であれば、様々な方法でこのような結合を達成することができるであろう。基本的に、この結合基は、少なくとも2官能性の任意の部分であることができるが、ただしタンパク質導入ドメインと配列番号1のアミノ酸配列との間で生じた結合は安定であることを条件とする。好適な結合部分としては、2官能性又は多官能性のアルキル、アリール、アラルキル又はペプチド部分、アルキル、アリール又はアラルキルアルデヒドの酸エステル及び無水物、スルフヒドリル又はカルボキシル基、例えばマレイミド安息香酸誘導体、マレイミドプロピオン酸誘導体及びスクシンイミド誘導体が挙げられ、或いは、当該部分は、臭化シアヌル又は塩化シアヌル、カルボニルジイミダゾール、スクシンイミジルエステル又はスルホン酸ハロゲン化物などから誘導できる(Fischer外,米国特許第6,472,507号。その開示の全体を参照によって援用するものとする)。リンカー部分上にある官能基としては、アミノ、ヒドラジノ、ヒドロキシル、チオール、マレイミド、カルボニル及びカルボキシル基を挙げることができる。随意に、当該リンカー基は、十分に不安定であるように選択される(例えば、標的組織中に存在する酵素による酵素分解に対して)ので、配列番号1のアミノ酸配列のペプチドの運搬後に切断され、それによってペプチドが遊離する。代表的な不安定結合は、Low外,米国特許第5,108,921号に記載されている。その開示の全体を参照によって援用するものとする。また、このペプチド−活性剤デリバリーシステムは、活性剤と本発明のペプチドとの間の化学的切断によっても分離し得る。リンカー部分がアミノ酸残基を含む実施形態においては、このような切断は、リンカー部分自体の内部で生じ得る。
−NH−CH(R)−C(=O)−(式中、Rはタンパク質新生アミノ酸の側鎖である);
ペプチド鎖;及び
−NH−Xm−C(=O)−
(式中、
mは1以上、好ましくは1〜3であり、
それぞれの−X−は、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素であって、1個以上のメチレン基が−O−又は−S−で置換されていてよく、かつ、1個以上のメチン基がNで置換されていてよいもの;−CH2CH2(OCH2CH2)n−(式中、nは1以上である);及び芳香族環又は複素環式芳香族環よりなる群から選択される。)
が挙げられる。
−C(=O)−(すなわち尿素);
−C(=O)−Pep1−NH−C(=O)−NH−Pep2−C(=O)−(式中、−NH−Pep1−C(=O)−及び−NH−Pep2−C(=O)−は、それぞれ、アミノ酸又はペプチド鎖のいずれかであって、それらのアミノ末端(又はアミノ酸の場合にはα−アミノ基)を介して尿素結合−NH−C(=O)−NH−により結合したものを表す。);及び
−C(=O)−Xm−C(=O)−
(式中、
mは1以上、好ましくは1〜3であり、
それぞれの−X−は、直鎖、分岐又は環状の脂肪族炭化水素であって、1個以上のメチレン基が−O−又は−S−で置換されていてよく、かつ、1個以上のメチン基がNで置換されていてよいもの;−CH2CH2(OCH2CH2)n−(式中、nは1以上である);及び芳香族環又は複素環式芳香族環よりなる群から選択される。)
が挙げられる。
タンパク質導入ドメインは、細胞膜を横断することができ、かつ、タンパク質導入ドメインと関連のあるペプチド、タンパク質又は分子の、所定の細胞の外部から該細胞の細胞質への該細胞の細胞質膜を介した輸送を誘導することのできるペプチドである。
本発明の化合物の好ましい実施形態は、−M−が単結合、アミノ酸又はペプチドからなるものである。−M−がアミノ酸からなる場合には、当該アミノ酸は、好ましくはグリシンである。−M−がペプチドからなる場合には、当該ペプチドは、好ましくはそのC末端を介して配列番号1のアミノ酸配列のペプチドのアミノ末端に結合し、かつ、そのN末端を介してタンパク質導入ドメインのC末端に結合する。また、当該ペプチドは、好ましくは10個以下のアミノ酸残基からなる。
本発明の化合物は、ペプチド及び有機合成の当業者に周知の方法によって調製できる。
Vif又はVif結合体に結合し、かつ、Vifタンパク質のマルチマー化を阻害する分子は、Vif−Vif結合アッセイを使用して検定できる。具体的に言うと、Vif−Vif結合アッセイは、(1)Vif又はVif含有ペプチドをカラム又はビーズに結合させ;(2)該Vif又はVif含有ペプチドが結合したカラム又はビーズ上に、試験分子とマルチマー化ドメインを含有する標識Vif又はその断片とをアプライし;(3)該カラム又はビーズを洗浄し、そして該カラム又はビーズから該標識Vif又はその断片を分離させ;そして、(4)該カラム又はビーズに結合した標識Vif又はその断片の量を測定し、比較して該試験分子の拮抗作用活性を決定する段階を含む。「標識Vif又はその断片」とは、放射標識Vif、化学標識Vif又は蛍光標識Vifをいうが、これらに限定されない。スクリーニングは、好ましくは35S標識Vifを使用して行われる。
ペプチド鎖は、典型的には酸性基又は塩基性基(例えばアミン基又はカルボキシル基)を含有するが、このような基は、必ずしも遊離塩基の形態である必要はない。ペプチドである化合物やペプチド鎖を含有する化合物に言及する場合には、当該言及には、ペプチドの塩の形態が含まれるものとする。したがって、式Iの化合物の塩及びその誘導体は、本発明の範囲内にある。好ましい塩は製薬上許容できる塩である。
本発明の化合物は、製薬上許容できるキャリヤーと共に医薬組成物の形態で投与できる。このような処方物中における有効成分は、0.1〜99.99重量%を占めることができる。「製薬上許容できるキャリヤー」とは、処方物の他の成分と相溶性があり、かつ、受容者にとって有害ではない任意のキャリヤー、希釈剤又は賦形剤を意味する。
本発明の化合物はVifのマルチマー化を阻害するので、レンチウイルス感染を伴う病気及び疾患だけでなく、Vifのマルチマー化に関連する他の疾患の治療や予防に使用できる。その方法は、ここで説明した化合物又は該化合物を含む医薬組成物の有効量を、そのような治療又は予防が必要な個体に投与することを含む。そのような治療が必要な個体とは、レンチウイルスに感染している個体又はVifのマルチマー化に関連する疾患に罹患している個体のことである。そのような予防が必要な個体とは、当該ウイルスに実際にさらされている又はさらされるおそれがあるため、ウイルスに感染するリスクのある個体のことである。
当該化合物は、経口投与、直腸内投与、肺内投与、舌下投与及び非経口投与を含めた任意の経路で投与できる。非経口投与としては、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、動脈内投与、腹腔内投与、鼻腔内投与、膣内投与、嚢内投与(例えば、膀胱に)、皮内投与、経皮投与、局所投与又は皮下投与が挙げられる。典型的には、1日当たり少なくとも1回、典型的には1日当たり1回、2回、3回又は4回、薬剤の一定の存在を維持してウイルスを抑制し、かつ、耐性発現の機会を減らすために昼夜を通して等間隔で所定の投与量を与えて治療を施す。
次の例は本発明を例示するために提供するものであり、本発明を限定するものではない。
表3に示すペプチドは、本発明の範囲内にある化合物の例示である。
Vifに結合する化合物は、例えば、試験管内結合アッセイを使用して同定できる。このアッセイは、米国特許第6,653,443号に記載されたとおりに実施できる。基本的に次のとおりである。
Vif遺伝子を有する又は有しないベクターpGEXでBL21コンピテント細胞(ノバゲン社,米国ウィスコンシン州マジソン)を形質転換させる。37℃でおよそ0.6のODまで増殖させた後に、GST又はGST−Vifタンパク質の発現を0.4mMのイソプロピルチオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)により誘導する。これらの細菌細胞を、溶解緩衝液(1%のTriton−X−100、0.1mg/mLのリゾチーム、2mMのEDTA、1mMのPMSF、2μg/mLのロイペプチン及び1μg/mLのアプロチニン)を添加し、その後超音波処理により溶解させる。この試料を12000gで10分間にわたり4℃でペレット化させ、その上澄みをグルタチオン結合アガロースビーズ(シグマ社,米国ミズーリ州セントルイス)カラムに加える。バッチ結合後に、そのマトリックスを3回、各回毎に10ベッド容量のリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を添加することによって洗浄する。次いで、GST又はGST−Vifが結合したアガロースビーズを分注し、そして−20℃で保存した。
逆に、35S−標識Vifは、SPT3キット(ノバゲン社,米国ウィスコンシン州マジソン)を利用して合成する。製造業者が提供するプロトコールに従う。試験管内で翻訳した後に、RNアーゼA(0.2mg/mL)を添加して反応を停止させ、tRNAと試験管内で翻訳したmRNAとを除去する。トリクロル酢酸(TCA)不溶性放射活性アミノ酸をシンチレーションカクテルの存在下で定量した。
GSTプルダウンアッセイについては、GST又はGST−Vif結合ビーズスラリーと35S−標識Vifとを結合用緩衝液[150mMのNaCl、20mMのトリス−HCl(pH7.5)、0.1%のTriton−X−100]中で混合させる。4℃で1時間の結合後に、この混合物を3000gで1分間遠心分離し、そしてビーズを結合用緩衝液で3回洗浄する。この35S−標識Vifタンパク質を、SDS含有添加液を添加し、そして95℃で5分間加熱することによってビーズから分離させる。次いで、これらの試料をSDS−PAGEゲル(米国カリフォルニア州ハーキュリーズのバイオ・ラド社が製造する15%のトリス−HCl既製ゲル)で電気泳動する。固定用緩衝液(10%酢酸、10%メタノール)で処理し、次いで増幅(アマシャム・ファルマシア社,米国ニュージャージー州ピスカタウェイ)した後、これらのゲルを乾燥させ、そしてX線フィルムに暴露し又は蛍光体画像を使用して定量分析した(モレキュラー・ダイナミクス社,米国カリフォルニア州サニービュー)。
Vif−Vif結合アッセイをGSTプルダウンアッセイと同様に実施したが、ただし、GST又はGST−Vif結合ビーズスラリーと35S−標識Vif及び試験ペプチド又は試験分子とを結合用緩衝液中で混合させた。これらの結果をGSTプルダウンアッセイからの結果(これを100%と表す)と比較する。
配列番号36のアミノ酸配列のペプチドの様々な切断型アナログを調製してウイルス感染を阻害するのに必要な最低限のペプチドを決定した。これらの化合物を、PBMCにHIV−1NL4-3ウイルスを感染させた(MOI:0.1)ウイルス感染力アッセイで試験した。ウイルス生産量をp24GagELISA(Zeptometrics)を使用して細胞培養液中のHIV−1p24抗原レベルを検出することによって監視した。これらの実験の結果を表4にまとめる。
ウイルス感染力アッセイを、配列番号2及び配列番号36のアミノ酸配列のペプチド並びに配列番号35のアミノ酸配列の対照ペプチドの存在下又は非存在下で、H9細胞内でHIV−1NL4-3ウイルスを使用し、HIV−1p24抗原を検量することにより実行した。この手順は、基本的に、次の方法について記載されているB.Yang外,J.Biol.Chem.,2003,278(8),6596−602に記載されたとおりに実行した。H9細胞(1×106)とHIV−1NL4-3ウイルスとを0.01の感染効率で混合させた。37℃で5時間インキュベートした後に、過剰のウイルスを除去し、そして細胞を、50μM濃度のペプチドを有する又は有しないRPMI1640培地+10%ウシ胎仔血清の存在下で培養した。3〜4日毎に、上澄みを集め、補給した。これらのペプチドがウイルス感染力に及ぼす影響を、細胞培養液の上澄み中におけるHIV−1p24抗原レベルをELISAにより検出することによって監視した。
これらの実験の結果を図3に示す。配列番号2のアミノ酸配列のペプチド及び配列番号36のアミノ酸配列のペプチドは、両方とも、未処理細胞又は配列番号35のアミノ酸配列の対照ペプチドで処理した細胞と比較して、ウイルスの複製を阻害した。
MT−2細胞及び研究室適応HIV−1IIIB株を、米国メリーランド州ロックビルのAIDS Research and Reference Reagent Programから得た。
96ウェルマイクロタイタープレート中で次の標準的なプロトコールを使用してMT−2細胞に感染させた。既知濃度の試験化合物又はコントロール(ネガティブコントロールとして水又はポジティブコントロールとしてAZT )の溶液(50μL)を1ウェル当たり2.5×103個細胞の密度で蒔かれたMT−2細胞(50μL)に三通り添加した。これらウェルにHIV−1IIIBウイルスを100μLの容量で0.10、0.032、0.01及び0.0032μL/ウェルのMOIで添加した。感染したMT−2細胞でのウイルス複製を逆転写酵素アッセイによって毎日監視した。試験化合物(又はコントロール化合物)を、一日おきに、除去した上澄みの容量に相当する容量で同じ既知濃度で補充して逆転写酵素アッセイを行った。これは、この試験を通してウェル内の化合物濃度を合理的に一定に維持することを目的とするものである。培養液を、培養液の1:5分割を実施することによって8日目及び14日目に継代培養して細胞を対数増殖期に維持する。この継代培養は、ウェルの容量の20%(細胞及び培地)を、新鮮な組織培養培地を試験化合物(又はコントロール)の新たな試料と共に含有するウェルに移すことを伴うものであった。
ウイルス複製を評価するための逆転写酵素活性アッセイを、放射活性取り込み重合アッセイを使用して、基本的に次のとおりに実施した。トリチウム化チミジンホスフェートをパーキンエルマー社から1Ci/mLで購入し、酵素反応につき1μLを使用した。ポリ(rA)及びオリゴ(dT)を、−20℃で維持された原液から、それぞれ0.5mg/mL及び1.7単位/mLの濃度で調製した。逆転写酵素反応緩衝液を毎日新たに調製した。これは、1MのEGTA(125μL)、脱イオン水(125μL)、20%のTritonX−100(125μL)、トリス(pH7.4)(50μL)、DTT(50μL)及びMgCl2(1M,40μL)からなる。それぞれの反応のために、トリチウム化チミジンホスフェート(1μL)と、脱イオン水(4μL)と、ポリ(rA)及び オリゴ(dT)溶液(2.5μL)と、反応緩衝液(2.5μL)とを混合した。得られた反応混合物(10μL)を丸底マイクロタイタープレートに置き、そしてウイルスを含有する上澄み(15μL)を添加し、混合した。このプレートを加湿インキュベーター内において37℃で90分間インキュベートし、次いで反応体積の10μLを適当なプレートフォーマット内のDEAEろ過マット上にスポットし、5%リン酸ナトリウム緩衝液中で5分間にわたり5回洗浄し、蒸留水中で1分間にわたり2回洗浄し、70%エタノール中で1分間にわたり2回洗浄し、次いで風乾させた。乾燥したろ過マットをプラスチック製のスリーブ内に置き、Opti−Fluor(商標)O(液体シンチレーションカクテル,パーキンエルマー社)を各スリーブに添加した。取り込まれた放射活性を液体シンチレーションカウンター(Wallac1450Microbeta(商標)Trilux)で測定した。
(1)Tyr Gly Arg Lys Lys Arg Arg Gln Arg Arg Arg Gly Asp Leu Gly Glu Gln His Phe Lys Gly Leu Val Leu(配列番号35)。
(2)Tyr Gly Arg Lys Lys Arg Arg Gln Arg Arg Arg Gly Ser Asn Gln Gly Gly Ser Pro Leu Pro Arg Ser Val(配列番号36)。
(3)Tyr Gly Arg Lys Lys Arg Arg Gln Arg Arg Arg Gly Gln Gly Gly Ser Pro Leu Pro Arg Ser Val(配列番号2)。
配列番号2のアミノ酸配列のペプチドをC末端フルオレセインイソチオシアネート(FTIC)タグと共に合成した。このFITCタグは、生細胞の蛍光顕微鏡観察により当該ペプチドの細胞取り込み及び細胞内局在を評価することを可能にする。H9細胞及びMT−2細胞の培養細胞をアメリカ合衆国培養細胞系統保存機関(ATCC)が推奨する培地中で増殖させ、そしてそれぞれの培養液を培養液中で配列番号2のアミノ酸配列のFTICタグ付きペプチドにより1回処理した。次いで、これらの細胞を培養皿中で倒立蛍光顕微鏡により様々な時点で写真撮影した。それらの画像は、細胞内の蛍光がFITCタグ付きペプチド処理の5分後に検出され、また、FITCタグ付きペプチドの細胞内局在が全ての細胞で30分以内に明確になったように、FITCタグ付きペプチドの細胞への迅速な取り込みを示した。細胞内での分布は、細胞質において点状及び拡散した状態であったが、細胞核内ではFITCタグ付きペプチドは、ほとんど又は全く観察されなかった。この分布は24〜28時間継続したが、処理後72時間で50%以上減少した。
HEK293T細胞(hA3Gを発現しない)及びhA3GのcDNAをトランスフェクトしたHEK293T細胞に、プロウイルスDNA又はVSV−GのcDNAで偽型化されたΔVifウイルスDNA(envを欠失)のいずれかをトランスフェクトし、そしてウイルス粒子を生産させた。この方法では、Vifを有するウイルスとVifを有しないウイルスとの両方が生産できた。これは、ΔVifウイルスがVifコード配列内に終止コドンを有し、Vif発現が阻害されるからである。
これらの細胞を、感染前の2時間、感染後の10時間及び感染後の24時間、未処理のまま放置するか又は配列番号2のアミノ酸配列のペプチドで処理した。同時感染後48時間で細胞培養液の上澄みを集め、そしてろ過してウイルス粒子を得た。各ウイルスストックのp24(Gag)含有量をELISA(Zeptometrix)で評価し、そして、これらのウイルスストックを10ngのp24に基準化してから次の段階、すなわち、96ウェルプレート内でのJC53BLレポーター細胞の感染を行った。
HeLa−CD4/CCR5(JC53)株細胞は、CD4及びCCR5の両方の表面レベルを比較的高く発現し、R5HIV−1単離体及びX4HIV−1単離体の両方による感染に対して感受性がある。HIV−1プロモーターの調節下でβ−ガラクトシダーゼ及びルシフェラーゼを発現するJC53BL細胞を使用する、HIV−1による感染についてのレポーター遺伝子アッセイが開発されている。X.Wei外,Antimicrob.Agents Chemother.,2002,46(6),1896−1905。
そのため、JC53BLレポーターアッセイを使用して当該細胞のそれぞれが生産したウイルスの感染力を測定することができる。感染を細胞溶解及びルシフェラーゼ基質(プロメガ社)添加前の48時間に開始させた。生じた発光をビクター3プレートリーダー(パーキンエルマー社)で測定した。発光レベルは、各条件下で生産されたウイルスの感染力と相互に関連があった。
Claims (7)
- 配列番号2のアミノ酸配列からなる化合物又はその誘導体。
- 製薬上許容できるキャリヤー及び請求項1に記載の化合物又は誘導体を含む、ある個体においてウイルス複製にVifタンパク質のマルチマー化が必要な疾患又は状態を治療又は予防するための医薬組成物。
- HIV−1感染の治療又は予防用の請求項2に記載の医薬組成物。
- 少なくとも1種の他のHIV−1治療用化合物と併用するための、HIV感染の治療又は予防用の請求項2に記載の医薬組成物。
- 後天性免疫不全症候群の治療用の請求項2に記載の医薬組成物。
- 少なくとも1種の他の後天性免疫不全症候群の治療用化合物と併用するための、後天性免疫不全症候群の治療用の請求項5に記載の医薬組成物。
- 前記少なくとも1種の他のHIV−1治療用化合物及び前記少なくとも1種の他の後天性免疫不全症候群の治療用化合物がプロテアーゼ阻害剤、逆転写酵素阻害剤及び融合阻害剤よりなる群から選択される、請求項4又は6に記載の医薬組成物。
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