JP5517081B2 - 太陽光発電設備発電量予測システム,気象予測システム及び太陽光発電設備発電量予測方法 - Google Patents
太陽光発電設備発電量予測システム,気象予測システム及び太陽光発電設備発電量予測方法 Download PDFInfo
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Description
本発明は、太陽光発電設備発電量予測システム,気象予測システム及び太陽光発電設備発電量予測方法に関する。
地球環境負荷低減に向けて太陽光発電設備の導入拡大が見込まれるが、太陽光発電設備の電力系統への連系拡大において、その出力変動が電力系統に及ぼす影響が懸念されている。この電力系統への影響緩和のための制御を高精度に行うには、太陽光発電設備の発電量を地理的、時間的に高分解能で予測することが必要である。
太陽光発電設備の発電量を予測する方法として、複数地点に設置された太陽光発電システムの発電量の情報を蓄積し、過去の発電量をもとに、予測対象の太陽光発電設備の時刻帯別の発電量を予測するものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この方法では、予測対象の発電量を目的関数とし、予測対象およびその他の太陽光発電設備の過去の発電量を説明変数として、過去実績データにより回帰分析を行って、発電量予測式を導出する。
予測対象の太陽光発電設備の発電量は、日射強度などの気象状況に強く影響を受けるが、特許文献1の方法によれば、気象予測情報を用いずに、太陽光発電設備の発電量を予測することができる。
しかしながら、太陽光発電設備の発電量は、日射強度などの気象状況のみでなく、連系している配電系統の電圧状況にも影響を受ける。太陽光発電設備は、連系点の電圧が上昇すると、配電系統の電圧を適正範囲に維持することを目的として、発電を抑制する制御を行うことがあるためである。配電系統の電圧分布は、太陽光発電設備の発電状況のほか需要家の負荷の状況によっても変化する。
従って、特許文献1記載の方法において、過去実績データにより回帰分析を行って、発電量予測式を導出する際に、過去実績データに、配電系統の電圧分布の影響によって発電量が抑制されているものがある場合、将来時点では、電圧分布が変化し得るので、発電量が必ずしも同じようには抑制されない可能性があり、このようなケースにおいて、予測誤差が生じることになる。
本発明の第1の目的は、配電系統の電圧分布の影響を除去して、太陽光発電設備の発電量を高精度に予測可能な太陽光発電設備発電量予測システム及び予測方法を提供することにある。
また、配電系統の電圧分布の影響を除去することができれば、太陽光発電設備の発電量を、逆に気象状況(特に日射強度)に高精度に変換することが期待される。
そこで、本発明の第2の目的は、太陽光発電設備の発電量をもとに高精度に気象を予測可能な気象予測システムを提供することにある。
(1)上記第1の目的を達成するために、本発明は、複数の太陽光発電設備について、過去の発電量の実績データを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測する太陽光発電設備発電量予測システムであって、各太陽光発電設備の過去の発電量の実績データを、配電系統連系点の電圧上昇抑制のための発電量抑制や影等による発電量低下の影響を除去して、それらの影響がなかった場合の発電量の補正値を求める太陽光発電設備発電量補正部と、該太陽光発電設備発電量補正部によって求められた複数の太陽光発電設備の前記発電量の補正値の間の相関モデルを同定する太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部と、該太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部によって同定された前記相関モデルを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測する太陽光発電設備発電量予測部を備えるようにしたものである。
かかる構成により、配電系統の電圧分布の影響を除去して、太陽光発電設備の発電量を高精度に予測可能となる。
(2)上記(1)において、好ましくは、各太陽光発電設備について、電圧上昇抑制制御の動作や影によって発電量が低下する程度に応じて、当該設備の補正必要度データとして設定する補正必要度判定部を備え、前記太陽光発電設備発電量補正部は、前記補正必要度判定部により設定された補正必要度を用いて、発電量の補正値を求めるようにしたものである。
(3)上記(2)において、好ましくは、前記補正必要度判定部は、全ての太陽光発電設備の発電率から算出された係数K1を乗じた補正必要度,全ての太陽光発電設備の電圧低め度から算出された係数K2を乗じた補正必要度,全ての太陽光発電設備の電圧上昇抑制率から算出された係数K3を乗じた補正必要度の少なくともいずれかの補正必要度を前記設備の補正必要度データとして設定するようにしたものである。
(4)上記第2の目的を達成するために、本発明は、複数の太陽光発電設備の過去の発電量の実績データを、配電系統連系点の電圧上昇抑制のための発電量抑制や影等による発電量低下の影響を除去して、それらの影響がなかった場合の発電量の補正値を求める太陽光発電設備発電量補正部と、該太陽光発電設備発電量補正部によって求められた複数の太陽光発電設備の前記発電量の補正値の間の相関モデルを同定する太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部と、該太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部によって同定された前記相関モデルを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測する太陽光発電設備発電量予測部と、該太陽光発電設備発電量予測部によって予測された前記将来時点の発電量の予測値を日射強度に変換する気象情報変換部を備えるようにしたものである。
かかる構成により、太陽光発電設備の発電量をもとに高精度に気象を予測可能となる。
(5)上記(4)において、好ましくは、各太陽光発電設備について、電圧上昇抑制制御の動作や影によって発電量が低下する程度に応じて、当該設備の補正必要度データとして設定する補正必要度判定部を備え、前記太陽光発電設備発電量補正部は、前記補正必要度判定部により設定された補正必要度を用いて、発電量の補正値を求めるようにしたものである。
(6)上記(5)において、好ましくは、前記補正必要度判定部は、全ての太陽光発電設備の発電率から算出された係数K1を乗じた補正必要度,全ての太陽光発電設備の電圧低め度から算出された係数K2を乗じた補正必要度,全ての太陽光発電設備の電圧上昇抑制率から算出された係数K3を乗じた補正必要度の少なくともいずれかの補正必要度を前記設備の補正必要度データとして設定するようにしたものである。
(7)また、上記目的を達成するために、本発明は、複数の太陽光発電設備について、過去の発電量の実績データを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測する太陽光発電設備発電量予測方法であって、各太陽光発電設備の過去の発電量の実績データを、発電量低下の影響を除去して、それらの影響がなかった場合の発電量の補正値を求め、該求められた複数の太陽光発電設備の前記発電量の補正値の間の相関モデルを同定し、該同定された前記相関モデルを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測するようにしたものである。
かかる方法により、配電系統の電圧分布の影響を除去して、太陽光発電設備の発電量を高精度に予測可能となる。
かかる方法により、配電系統の電圧分布の影響を除去して、太陽光発電設備の発電量を高精度に予測可能となる。
本発明によれば、需要家に設置される太陽光発電設備の将来時点の発電量を、気象情報を用いずに、高精度に予測することが可能になる。また、当該太陽光発電設備の設置場所の当該将来時点の気象状況を予測することが可能になる。
以下、図1〜図6を用いて、本発明の一実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムを適用した配電システムの構成について説明する。
最初に、図1を用いて、本実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムを適用した配電システムの全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムを適用した配電システムの全体構成を示すシステムブロック図である。
本実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムを適用した配電システムは、配電系統100と、需要家200と、配電監視システム300と、需要家連携システム400と、太陽光発電設備発電量予測&気象予測システム500とで構成されている。
配電系統100は、電力を需要家200に供給するシステムであり、配電線、変圧器、開閉器などの設備で構成される。
需要家200には、電力により動作する電力負荷機器210と、太陽光を受けて電力に変換する太陽光発電設備220と、画像を表示したり音声を出力する情報出力機器230とが設置される。電力負荷機器210と太陽光発電設備220は、配電系統100と電気的に接続している。太陽光発電設備220は、配電系統連系点の電圧上昇時に発電量を抑制する、電圧上昇抑制制御の機能を備える。太陽光発電設備220によっては、電圧上昇抑制制御が作動している場合に、作動していることを外部に出力する機能を備えているものもある。
配電監視システム300と需要家連携システム400と太陽光発電設備発電量予測&気象予測システム500は、電力会社の営業所等に設置され、配電系統100の各設備や需要家200の各機器と通信ネットワークで接続される。
配電監視システム300は、配電系統100の状態を監視するシステムである。配電監視システム300は、通信ネットワークを介して配電系統100の各設備の状態(電圧や電流等の電気的状態値、開閉器の接続状態値など)を監視する配電系統監視部310と、配電系統100の監視データを用いて将来時点の配電系統100の状態を予測する配電系統状態予測部320とを備える。
需要家連携システム400は、需要家200の機器の状態(太陽光発電設備220の発電量など)を監視したり、機器に情報を配信したりするシステムである。需要家連携システム400は、通信ネットワークを介して需要家200の太陽光発電設備220の状態を把握する太陽光発電設備管理部410と、通信ネットワークを介して需要家200の情報出力機器230に情報を配信して画像や音声を出力する情報配信部420とを備える。太陽光発電設備管理部410は、電圧上昇抑制制御の作動状況を出力する機能を備える太陽光発電設備220については、その作動状況も管理する。
太陽光発電設備発電量予測&気象予測システム500は、配電監視システム300から配電系統100の状態情報を取得し、需要家連携システム400から需要家200の太陽光発電設備220の発電量情報を取得し、それらを用いて、需要家200の太陽光発電設備220の将来時点の発電量を予測し、また、将来時点の気象情報を予測するシステムである。太陽光発電設備発電量予測&気象予測システム500は、配電系統状態値管理部510と、太陽光発電設備発電量管理部515と、太陽光発電設備電圧上昇抑制状況管理部520と、太陽光発電設備仕様管理部525と、気象状態値管理部530と、太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部550と、太陽光発電設備発電量予測部560と、太陽光発電設備発電量補正部570と、補正必要度判定部580と、気象情報変換部590とを備える。
配電系統状態値管理部510は、配電監視システム300の配電系統監視部310から、配電系統100の各設備の状態値を取得し、これを実績データとして保管管理する。また、配電系統状態値管理部510は、配電監視システム300の配電系統状態予測部320から、配電系統100の将来時点の状態の予測値を取得し、これを予測データとして保管管理する。配電系統状態値管理部510は、実績データや予測データを、複数の時刻断面について保管管理される。
太陽光発電設備発電量管理部515は、需要家連携システム400の太陽光発電設備管理部410から、需要家200の太陽光発電設備220の発電量を取得し、これを実績データとして保管管理する。また、太陽光発電設備発電量管理部515は、太陽光発電設備発電量補正部570が、それら実績データに補正をかけて算出した値を取得し、これを実績補正データとして保管管理する。さらに、太陽光発電設備発電量管理部515は、太陽光発電設備発電量予測部560から、需要家200の太陽光発電設備220の将来時点の発電量の予測値を取得し、これを予測データとして保管管理する。太陽光発電設備発電量管理部515は、実績データ、実績補正データ、予測データを、複数の時刻断面について保管管理する。
太陽光発電設備電圧上昇抑制状況管理部520は、太陽光発電設備発電量管理部515が管理する、各太陽光発電設備220の各時刻断面の発電量実績データに対応付けて、それが電圧上昇抑制制御が作動した結果であれば1を、作動していない結果であれば−1を、不明の場合には0を、電圧上昇抑制状況実績データとして保管管理する。太陽光発電設備電圧上昇抑制状況管理部520は、需要家連携システム400の太陽光発電設備管理部410が、電圧上昇抑制制御の作動状況を管理していない太陽光発電設備220については、不明として0を格納し、作動状況を管理している太陽光発電設備220については、作動状況に応じて1か−1を格納する。
太陽光発電設備仕様管理部525は、需要家200の太陽光発電設備220の発電特性、補正必要度、連系点、地理的座標のデータを保管管理する。発電特性は、日射強度にそのときの最大発電量を対応付けるデータであり、太陽光発電設備220の設置時に運用者によりあらかじめ格納される。補正必要度は、補正必要度判定部580が、電圧上昇抑制制御が動作することが少なく、かつ、影による発電量低下となることが少ないほど、小さい値を設定し、0から1の間の値を持つデータである。連系点は、太陽光発電設備220が接続する配電系統100の設備を示すデータである、各太陽光発電設備220の間の2次元上の位置関係を表現できるデータであり、例えば、緯度と経度が考えられる。
気象状態値管理部530は、気象情報変換部590から、需要家200の将来時点の日射強度の予測値を取得し、これを保管管理する。
太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部550は、太陽光発電設備発電量管理部515に格納されている各太陽光発電設備220の各時刻断面の実績補正データと予測データを用いて、各太陽光発電設備220のある時刻断面の発電量を、他の太陽光発電設備220の前記時刻断面より古い時刻断面の実績補正データや予測データを用いて計算する計算式を、良く知られている回帰分析により太陽光発電設備220の間の発電量相関モデルとして決定する。太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部550の詳細な処理内容については、後述する。
太陽光発電設備発電量予測部560は、太陽光発電設備220の将来時点の発電量を予測するものであり、その処理の詳細について、図5を用いて後述する。
太陽光発電設備発電量補正部570は、太陽光発電設備発電量管理部515に格納保管されている各太陽光発電設備220の各時刻断面の発電量の実績データについて、電圧上昇抑制制御が動作せず、かつ、影による発電量低下がなかった場合の発電量を推定し、これを実績補正データとして、太陽光発電設備発電量管理部515に格納する。実績データ自体が、電圧上昇抑制制御が動作せず、かつ、影による発電量低下がなかった結果の発電量であった場合には、同じ値が実績補正データとして格納される。太陽光発電設備発電量補正部570の処理の詳細について、図3を用いて後述する。
補正必要度判定部580は、各太陽光発電設備220について、電圧上昇抑制制御の動作や影によって発電量が低下する程度に応じて、程度が少ないほど、小さい値を0から1の間で、太陽光発電設備仕様管理部525が管理する当該設備の補正必要度データとして設定する。補正必要度判定部580の処理の詳細について、図2を用いて後述する。
気象情報変換部590は、太陽光発電設備220の設置場所の将来時点の日射強度を予測するものであり、その処理の詳細について、図6を用いて後述する。
次に、図2を用いて、本実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける補正必要度判定部580の処理内容について説明する。
図2は、本発明の一実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける補正必要度判定部の処理内容を示すフローチャートである。
補正必要度判定部580は、各太陽光発電設備220について、電圧上昇抑制制御の動作や影によって発電量が低下する程度に応じて、程度が少ないほど、小さい値を0から1の間で、太陽光発電設備仕様管理部525が管理する当該設備の補正必要度データとして設定する。
最初に、ステップS100において、補正必要度判定部580は、初期設定を実行する。初期設定においては、太陽光発電設備仕様管理部525が管理する全ての太陽光発電設備220について、補正必要度を1に設定する。
次に、ステップS110において、補正必要度判定部580は、発電量実績値に基づく設定を実行する。
すなわち、ステップS112において、補正必要度判定部580は、太陽光発電設備仕様管理部525が管理する全ての太陽光発電設備220について、それぞれ下記の発電率を計算する。
具体的には、まず、太陽光発電設備仕様管理部525から発電特性を取得して最大発電量を求める。次に、太陽光発電設備発電量管理部515からその発電量実績データを全て取得してその平均値を求める。そして、前記最大発電量に対するこの平均値の比を、発電率として計算する。なお、発電量実績データが事前に定めた個数以上ない場合には、発電率=0とする。
次に、ステップS114において、補正必要度判定部580は、太陽光発電設備仕様管理部525が管理する全ての太陽光発電設備220について、それぞれ補正必要度を更新する。
具体的には、全ての太陽光発電設備220の発電率のうち、最大と最小を抽出し、それぞれMaxとMinとおく。そして、下記の式(1)で計算される係数K1を算出する。
K1=1−(当該太陽光発電設備220の発電率−Min)÷(Max−Min) …(1)
その上で、各太陽光発電設備220の補正必要度を、係数K1を乗じて更新する。
その上で、各太陽光発電設備220の補正必要度を、係数K1を乗じて更新する。
次に、ステップS120において、補正必要度判定部580は、連系点の電圧実績値に基づく設定を実行する。
すなわち、ステップS122において、補正必要度判定部580は、太陽光発電設備仕様管理部525が管理する全ての太陽光発電設備220について、それぞれ下記の電圧低め度を計算する。
具体的には、まず、太陽光発電設備仕様管理部525が管理する連系点データを参照して、当該太陽光発電設備220が接続する配電系統100の設備を求める。次に、配電系統100状態管理部が管理する実績データを参照して、前記配電系統100の設備に関する全ての時刻断面の電圧実績データを抽出する。抽出した各電圧実績データについて、事前に定めた電圧基準範囲の下限値からの偏差を求め、それの電圧基準範囲幅に対する比を計算し、抽出した全ての電圧実績データに関する平均値を計算する。これを、当該太陽光発電設備220の電圧低め度とする。
次に、ステップS124において、補正必要度判定部580は、太陽光発電設備仕様管理部525が管理する全ての太陽光発電設備220について、それぞれ補正必要度を更新する。
具体的には、電圧実績データが事前に定めた個数以上ない場合には、電圧低め度=1とする。そして、全ての太陽光発電設備220の電圧低め度のうち、最大と最小を抽出し、それぞれMaxとMinとおく。そして、下記の式(2)で計算される係数K2を算出する。
K2=(当該太陽光発電設備220の電圧低め度−Min)÷(Max−Min) …(2)
その上で、各太陽光発電設備220の補正必要度を、係数K2を乗じて更新する。
その上で、各太陽光発電設備220の補正必要度を、係数K2を乗じて更新する。
次に、ステップS130において、補正必要度判定部580は、電圧上昇抑制状況実績データに基づく設定を実行する。
具体的には、ステップS132において、補正必要度判定部580は、処理対象の太陽光発電設備220について、電圧上昇抑制率を算出する。具体的には、補正必要度判定部580は、太陽光発電設備電圧抑制状況管理部520が管理する、当該太陽光発電設備220の全ての電圧抑制状況実績データを参照し、電圧上昇抑制状況実績データが−1であるデータ数の割合を電圧上昇抑制制御率として計算し、これを係数K3とする。
ステップS134において、補正必要度判定部580は、当該太陽光発電設備220の補正必要度を、係数3を乗じて更新する。
最後に、ステップS140において、補正必要度判定部580は、本システムの運用者からの入力に基づく設定を実行する。具体的には、運用者から、処理対象の太陽光発電設備220の補正必要度の値の入力があれば、太陽光発電設備仕様管理部525が管理する当該太陽光発電設備220の補正必要度をその入力値に設定する。
以上説明した補正必要度判定部580の処理の中で、ステップS110の処理で、影による発電量抑制が多い場合には発電率が小さくなるので、補正必要度は、影による発電量抑制が少ない太陽光発電設備220ほど、小さい値をとる傾向がある。
また、ステップS120の処理で、連系点の電圧が常時低めとなっている場合には電圧上昇抑制制御が動作することが少なくなるので、電圧上昇抑制制御が少ない太陽光発電設備220ほど、小さい値をとる傾向がある。
また、ステップS130の処理では、太陽光発電設備220自体が電圧上昇抑制制御の動作の有無を検出している場合に、その情報を直接的に用いて、電圧上昇抑制制御の動作が少ない太陽光発電設備220ほど、補正必要度が小さい値をとるように調整する。
さらに、ステップS140の処理により、運用者が陽に指定することで、電圧上昇抑制制御の動作が少なく、かつ、影による発電量低下となることが少ないものほど、補正必要度を小さく定めることができる。
次に、図3及び図4を用いて、本実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける太陽光発電設備発電量補正部570の処理内容について説明する。
図3は、本発明の一実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける太陽光発電設備発電量補正部の処理内容を示すフローチャートである。図4は、本発明の一実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける太陽光発電設備発電量補正部の処理内容の説明図である。
太陽光発電設備発電量補正部570は、太陽光発電設備発電量管理部515に格納保管されている各太陽光発電設備220の各時刻断面の発電量の実績データについて、電圧上昇抑制制御が動作せず、かつ、影による発電量低下がなかった場合の発電量を推定し、これを実績補正データとして、太陽光発電設備発電量管理部515に格納する。実績データ自体が、電圧上昇抑制制御が動作せず、かつ、影による発電量低下がなかった結果の発電量であった場合には、同じ値が実績補正データとして格納される。
最初に、図3のステップS200において、太陽光発電設備発電量補正部570は、補正基準とする太陽光発電設備220を抽出する。
具体的には、太陽光発電設備仕様管理部525に格納されている、各太陽光発電設備220の補正必要度データ、地理的座標データを参照して、以下の処理を行う。最初に、処理対象の太陽光発電設備220をAとおく。次に、処理対象の太陽光発電設備Aの補正必要度が0となっていれば、Aを補正基準として抽出する。次に、処理対象の太陽光発電設備Aの補正必要度が0でない場合は、太陽光発電設備220Aとの地理的距離が事前に定めたしきい値より小さい太陽光発電設備220で、補正必要度が最小のものを、補正基準として抽出する。さらに、抽出した太陽光発電設備220をBとおく。ここで、地理的距離に関するしきい値は、例えば、数十mから数km程度としている。
次に、ステップS210において、太陽光発電設備発電量補正部570は、実績補正の計算を実行する。この処理については、図4を用いて説明する。
太陽光発電設備発電量補正部570は、太陽光発電設備仕様管理部525から、処理対象の太陽光発電設備Aと抽出した太陽光発電設備Bの発電特性データを取得する。次に、処理対象の発電量実績データをPAとおく。そして、太陽光発電設備発電量管理部515から、処理対象の発電量実績データPAと同じ時刻断面の抽出した太陽光発電設備Bの発電量実績データを取得し、これをPBとおく。次に、抽出した太陽光発電設備Bの発電特性データを参照して、抽出した太陽光発電設備Bの発電量実績データPBに対応付けられている日射強度を求める。
次に、ステップS220において、太陽光発電設備発電量補正部570は、実績補正の格納を実行する。すなわち、処理対象の太陽光発電設備Aの発電特性データを参照して、求めた日射強度に対応付けられている発電量PA’を求め、これを処理対象の太陽光発電設備Aの発電量実績データPAに対応する実績補正データPA’として、太陽光発電設備発電量管理部515に格納する。
以上の処理により、日射強度を計測しなくても、補正基準とする太陽光発電設備Bの発電量実績データから、処理対象の太陽光発電設備Aの実績補正データを推定することができる。
次に、ステップS230において、太陽光発電設備発電量補正部570は、発電量実績データに関する処理を繰り返す。すなわち、太陽光発電設備発電量管理部515に格納されている、処理対象の太陽光発電設備Aの全ての発電量実績データPAについて、ステップS210,ステップS220の処理を行う。
さらに、ステップS240において、太陽光発電設備発電量補正部570は、太陽光発電設備220に関する処理を繰り返す。すなわち、太陽光発電設備発電量管理部515に実績データが格納されている、全ての太陽光発電設備220について、ステップS200〜ステップS220の処理を行う。
次に、本実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部550の処理内容について説明する。
太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部550は、太陽光発電設備発電量管理部515に格納されている各太陽光発電設備220の各時刻断面の実績補正データと予測データを用いて、各太陽光発電設備220のある時刻断面の発電量を、他の太陽光発電設備220の前記時刻断面より古い時刻断面の実績補正データや予測データを用いて計算する計算式を、既知の回帰分析により太陽光発電設備220の間の発電量相関モデルとして決定する。
まず、説明を簡単にするため、いくつかの記号を定義する。
太陽光発電設備発電量管理部515に格納されている実績補正データについて、最も古い時刻断面を1とし、時間経過に従ってインクリメントして異なる時刻断面を表現するものとする。
また、太陽光発電設備Xの時刻断面Tの発電量をP(X,T)とおく。
ここで、時刻断面Tの実績補正データがある場合はそれを、実績補正データがなく予測データがある場合にはそれをとるものとする。
そして、モデル同定対象の太陽光発電設備220をA、時刻断面をSとおく。
太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部550は、太陽光発電設備間発電量相関モデルを、式(3)として決定する。
P(A,S)=α(A,0)+ΣΣ{α(A,X,I)×P(X,S−I)} …(3)
ただし、最初のΣは、太陽光発電設備仕様管理部525で管理されている全ての太陽光発電設備Xについて和をとることを意味し、2つめのΣはIについて和をとることを意味し、Iは1から事前に定めた値Imaxまでを動く。さらに、α(A,0)はAによって決まる定数、α(A,X,I)はAとXによって決まる定数を表す。
ただし、最初のΣは、太陽光発電設備仕様管理部525で管理されている全ての太陽光発電設備Xについて和をとることを意味し、2つめのΣはIについて和をとることを意味し、Iは1から事前に定めた値Imaxまでを動く。さらに、α(A,0)はAによって決まる定数、α(A,X,I)はAとXによって決まる定数を表す。
式(3)の回帰分析に用いるサンプルデータには、太陽光発電設備発電量管理部515に格納されている、各太陽光発電設備220の時刻断面Sと、S−Jmaxまでの発電量実績補正データを用いる。Jmaxは、Jmax≧Imaxなるように事前に定めるものとする。
次に、図5を用いて、本実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける太陽光発電設備発電量予測部560の処理内容について説明する。
図5は、本発明の一実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける太陽光発電設備発電量予測部の処理内容を示すフローチャートである。
太陽光発電設備発電量予測部560は、太陽光発電設備220の将来時点の発電量を予測する。
まず、ステップS300において、太陽光発電設備発電量予測部560は、初期設定を実行する。具体的には、予測対象の太陽光発電設備220をA、予測対象の将来の時刻断面をNとする。
次に、ステップS310において、太陽光発電設備発電量予測部560は、最新の実績補正データの時刻断面を抽出する。すなわち、太陽光発電設備発電量管理部515に格納されている最新の実績補正データの時刻断面を参照し、これをMとおく。
次に、ステップS320において、太陽光発電設備発電量予測部560は、 時刻断面Mの太陽光発電設備間発電量相関モデルを取得する。すなわち、太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部550に、モデル同定対象の太陽光発電設備A、時刻断面Mを渡し、モデル同定結果のモデル式を取得する。取得したモデル式を下記の式(4)とする。
P(A,M)=α(A,0)+ΣΣ{α(A,X,I)×P(X,M−I)} …(4)
ただし、最初のΣは、太陽光発電設備仕様管理部525で管理されている全ての太陽光発電設備220Xについて和をとることを意味し、2つめのΣはIについて和をとることを意味し、Iは1から事前に定めた値Imaxまでを動く。さらに、α(A,0)はAによって決まる定数、α(A,X,I)はAとXによって決まる定数を表す。
ただし、最初のΣは、太陽光発電設備仕様管理部525で管理されている全ての太陽光発電設備220Xについて和をとることを意味し、2つめのΣはIについて和をとることを意味し、Iは1から事前に定めた値Imaxまでを動く。さらに、α(A,0)はAによって決まる定数、α(A,X,I)はAとXによって決まる定数を表す。
次に、ステップS330において、太陽光発電設備発電量予測部560は、時刻断面M+1の発電量を予測する。すなわち、式(4)でMをM+1と書き換えた式を用いてP(A,M)を計算し、これを太陽光発電設備220Aの時刻断面M+1の発電量の予測値として、太陽光発電設備発電量管理部515に格納する。
最後に、ステップS340において、太陽光発電設備発電量予測部560は、時刻断面Nまで繰り返えす。すなわち、M=Nとなるまで、MをM+1で置き換えて、ステップS320,S330の処理を繰り返す。
以上説明したように、太陽光発電設備発電量予測部560が予測して、太陽光発電設備発電量管理部515に格納される予測データは、発電量の実績データをベースにしていて、電圧上昇抑制制御や影による発電量低下の影響を除外したものである。したがって、配電系統の電圧分布の影響を除去して、太陽光発電設備の発電量を高精度に予測可能となる。
次に、図6を用いて、本実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける気象情報変換部590の処理内容について説明する。
図6は、本発明の一実施形態による太陽光発電設備発電量予測システム及び気象予測システムにおける気象情報変換部の処理内容を示すフローチャートである。
気象情報変換部590は、太陽光発電設備220の設置場所の将来時点の日射強度を予測する。
すなわち、ステップS400において、気象情報変換部590は、初期設定を実行する。具体的には、予測対象の太陽光発電設備220をA、予測対象の将来の時刻断面をNとする。
次に、ステップS410において、気象情報変換部590は、発電量を予測する。すなわち、気象情報変換部590は、太陽光発電設備発電量予測部560に、予測対象の太陽光発電設備220A、時刻断面Nを渡し、発電量の予測を起動する。そして、太陽光発電設備発電量予測部560により、太陽光発電設備発電量管理部515に、対象の予測データが格納される。さらに、対象の発電量予測値を、太陽光発電設備発電量管理部515から取得する。
次に、ステップS420において、気象情報変換部590は、日射強度への変換を実行する。すなわち、気象情報変換部590は、太陽光発電設備仕様管理部525から、太陽光発電設備220Aの発電特性データを取得し、前記の発電量予測値に対応する日射強度を求める。そして、求めた日射強度を、太陽光発電設備220Aの設置場所の時刻断面Mにおける日射強度として、気象状態値管理部530に格納する。
なお、気象情報変換部590は、さらに、需要家連携システム400の情報配信部420を介して、前記予測した日射強度の情報を、需要家200に配信し、情報出力機器230に出力するとしてもよい。
以上説明したように、太陽光発電設備発電量予測部560で予測された予測データは、発電量の実績データをベースにしていて、電圧上昇抑制制御や影による発電量低下の影響を除外したものである。したがって、気象情報変換部590も、日射強度を高精度に予測することができる。以上のようにして、太陽光発電設備の発電量をもとに高精度に気象を予測可能となる。
100…配電系統
200…需要家
210…電力負荷機器
220…太陽光発電設備
230…情報出力機器
300…配電監視システム
310…配電系統監視部
320…配電系統状態予測部
400…需要家連携システム
410…太陽光発電設備管理部
420…情報配信部
500…太陽光発電設備発電量予測&気象予測システム
510…配電系統状態値管理部
515…太陽光発電設備発電量管理部
520…太陽光発電設備電圧上昇抑制状況管理部
525…太陽光発電設備仕様管理部
530…気象状態値管理部
550…太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部
560…太陽光発電設備発電量予測部
570…太陽光発電設備発電量補正部
580…補正必要度判定部
590…気象情報変換部
200…需要家
210…電力負荷機器
220…太陽光発電設備
230…情報出力機器
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310…配電系統監視部
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420…情報配信部
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515…太陽光発電設備発電量管理部
520…太陽光発電設備電圧上昇抑制状況管理部
525…太陽光発電設備仕様管理部
530…気象状態値管理部
550…太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部
560…太陽光発電設備発電量予測部
570…太陽光発電設備発電量補正部
580…補正必要度判定部
590…気象情報変換部
Claims (7)
- 複数の太陽光発電設備について、過去の発電量の実績データを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測する太陽光発電設備発電量予測システムであって、
各太陽光発電設備の過去の発電量の実績データを、配電系統連系点の電圧上昇抑制のための発電量抑制や影等による発電量低下の影響を除去して、それらの影響がなかった場合の発電量の補正値を求める太陽光発電設備発電量補正部と、
該太陽光発電設備発電量補正部によって求められた複数の太陽光発電設備の前記発電量の補正値の間の相関モデルを同定する太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部と、
該太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部によって同定された前記相関モデルを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測する太陽光発電設備発電量予測部を備えることを特徴とする太陽光発電設備発電量予測システム。 - 請求項1記載の太陽光発電設備発電量予測システムにおいて、
各太陽光発電設備について、電圧上昇抑制制御の動作や影によって発電量が低下する程度に応じて、当該設備の補正必要度データとして設定する補正必要度判定部を備え、
前記太陽光発電設備発電量補正部は、前記補正必要度判定部により設定された補正必要度を用いて、発電量の補正値を求めることを特徴とする太陽光発電設備発電量予測システム。 - 請求項2記載の太陽光発電設備発電量予測システムにおいて、
前記補正必要度判定部は、全ての太陽光発電設備の発電率から算出された係数K1を乗じた補正必要度,全ての太陽光発電設備の電圧低め度から算出された係数K2を乗じた補正必要度,全ての太陽光発電設備の電圧上昇抑制率から算出された係数K3を乗じた補正必要度の少なくともいずれかの補正必要度を前記設備の補正必要度データとして設定することを特徴とする太陽光発電設備発電量予測システム。 - 複数の太陽光発電設備の過去の発電量の実績データを、配電系統連系点の電圧上昇抑制のための発電量抑制や影等による発電量低下の影響を除去して、それらの影響がなかった場合の発電量の補正値を求める太陽光発電設備発電量補正部と、
該太陽光発電設備発電量補正部によって求められた複数の太陽光発電設備の前記発電量の補正値の間の相関モデルを同定する太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部と、
該太陽光発電設備間発電量相関モデル同定部によって同定された前記相関モデルを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測する太陽光発電設備発電量予測部と、
該太陽光発電設備発電量予測部によって予測された前記将来時点の発電量の予測値を日射強度に変換する気象情報変換部を備えることを特徴とする気象予測システム。 - 請求項4記載の太陽光発電設備発電量予測システムにおいて、
各太陽光発電設備について、電圧上昇抑制制御の動作や影によって発電量が低下する程度に応じて、当該設備の補正必要度データとして設定する補正必要度判定部を備え、
前記太陽光発電設備発電量補正部は、前記補正必要度判定部により設定された補正必要度を用いて、発電量の補正値を求めることを特徴とする太陽光発電設備発電量予測システム。 - 請求項5記載の太陽光発電設備発電量予測システムにおいて、
前記補正必要度判定部は、全ての太陽光発電設備の発電率から算出された係数K1を乗じた補正必要度,全ての太陽光発電設備の電圧低め度から算出された係数K2を乗じた補正必要度,全ての太陽光発電設備の電圧上昇抑制率から算出された係数K3を乗じた補正必要度の少なくともいずれかの補正必要度を前記設備の補正必要度データとして設定することを特徴とする太陽光発電設備発電量予測システム。 - 複数の太陽光発電設備について、過去の発電量の実績データを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測する太陽光発電設備発電量予測方法であって、
各太陽光発電設備の過去の発電量の実績データを、発電量低下の影響を除去して、それらの影響がなかった場合の発電量の補正値を求め、
該求められた複数の太陽光発電設備の前記発電量の補正値の間の相関モデルを同定し、
該同定された前記相関モデルを用いて、各太陽光発電設備の将来時点の発電量を予測することを特徴とする太陽光発電設備発電量予測方法。
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