JP5516685B2 - 導電性組成物、およびそれを用いてなる導電膜、ならびに該導電膜を有する積層体 - Google Patents
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Description
電子工学製品および光学製品は極めて高い耐水性や平滑性などを要求されるため、汎用有機溶剤系での検討が続けられると予想されるが、π共役高分子化合物の多くが汎用有機溶剤系コーティング剤に対して十分に溶解または分散することができないために、安定性、導電性、透明性が不十分である。さらに、加工条件が非常に制限されるなどの問題を抱えている。
即ち、第1の発明は、ポリアニオン(A−1)によってドープされたπ共役高分子化合物(A−2)と、塩基性有機化合物(A−3)とのイオン対であり、有機溶剤中で溶解または分散可能である導電性材料(A)と、酸無水物(B)とを含んでなる導電性組成物(ただし、下記(C−1)〜(C−4)から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む場合を除く)に関する。
(C−1):ヒドロキシ基を有する化合物(c1)と環状酸無水物基を有する化合物(c2)とを反応させて得られる化合物。
(C−2):ヒドロキシ基を有する化合物(c1)と環状酸無水物基を有する化合物(c2)とを反応させて得られるカルボキシ基含有化合物と、カルボキシ基と反応しエステル結合を形成し得る官能基を有する化合物(c3)と、を反応させて得られる化合物。
(C−3):2つ以上のカルボキシ基を有する化合物(c4)と、カルボキシ基と反応しエステル結合を形成し得る官能基を有する化合物(c3)と、を反応させて得られる化合物。
(C−4):2つ以上のカルボキシ基を有する化合物のエステル化合物(c5)と、ヒドロキシ基を有する化合物(c1)と、をエステル交換反応させて得られる化合物。
また、第2の発明は、さらに導電助剤(D)を含むことを特徴とする第1の発明の導電性組成物に関する。
また、第3の発明は、第1の発明または第2の発明の導電性組成物から形成されてなる導電膜に関する。
また、第4の発明は、基材と第3の発明の導電膜とを有する積層体に関する。
<ポリアニオン(A−1)によってドープされたπ共役高分子化合物(A−2)と、塩基性有機化合物(A−3)とのイオン対であり、有機溶剤中で溶解または分散可能である導電性材料(A)>
まず、本発明に用いるポリアニオン(A−1)について説明する。ポリアニオン(A−1)は、酸基含有単量体を単独で重合したホモポリマー、または酸基含有単量体を含む単量体を重合した共重合体である。ポリアニオン(A−1)を構成する酸基含有単量体としては、例えば、スルホン酸基、リン酸基、カルボキシ基、またはそれらと塩基性化合物とからなる塩形成基などの官能基を含有する単量体であれば、特に限定されないが、スルホン酸基、リン酸基などの強酸基を含有するものが好ましく使用できる。
スルホン酸基を含有する単量体としては、例えば、スチレンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、4−スルフォニックアシドブチルメタクリレート、イソプレンスルホン酸、スルホブチルメタクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スルホエチルメタクリレートなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基性化合物で中和した塩形成基の状態で使用することもできる。
リン酸基を含有する単量体としては、例えば、3−クロロ−2−アシッドホスホキシプロピル(メタ)アクリレート、アシッドホスホキシポリオキシエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、モノ(2−ヒドロキシエチルアクリレート)アシッドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)アシッドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシプロピルアクリレート)アシッドホスフェート、モノ(2−ヒドロキシプロピルメタクリレート)アシッドホスフェート、モノ(3−ヒドロキシプロピルアクリレート)アシッドホスフェート、モノ(3−ヒドロキシプロピルメタクリレート)アシッドホスフェート、ジフェニル−2−アクリロイルオキシエチルホスフェート、ジフェニル−2−メタクリロイルオキシエチルホスフェートなどが挙げられる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基性化合物で中和した塩形成基の状態で使用することもできる。
マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等のエチレン性不飽和多価カルボン酸およびそれらの酸無水物;
マレイン酸メチル、イタコン酸メチル等のエチレン性不飽和多価カルボン酸の部分エステル化物;等を挙げることができる。これらの単量体は、単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができ、アンモニア、トリエチルアミン、水酸化ナトリウムなどの塩基性化合物で中和した塩形成基の状態で使用することもできる。
スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル等のエチレン性不飽和カルボン酸アルキルエステル単量体;
アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等のエチレン性不飽和カルボン酸アミド単量体;
(メタ)アクリル酸ヒドロキシアルキル、グリセリンジ(メタ)アクリレート等のエチレン性不飽和カルボン酸ヒドロキシアルキルエステル単量体;
酢酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル単量体;
および、(メタ)アクリロニトリル、N−ビニルピロリドン、(メタ)アクリロイルモルホリン、シクロヘキシルマレイミド、イソプロピルマレイミド、(メタ)アクリル酸グリシジル等が挙げられる。これらは単独で、あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、本発明に用いるポリアニオン(A−1)は、エポキシ樹脂の末端エポキシ基の少なくとも一部を、リン含有酸でエステル化することにより得られる水溶性リン酸エステル化物であってもよい。
次に、π共役高分子化合物(A−2)について説明する。π共役高分子化合物(A−2)とは、単結合と二重結合が交互に結合した高分子化合物である。その具体例としては、例えば、ポリアセチレン、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリフェニレン、ポリフェニレンビニレン、ポリナフタレン、ポリイソチアナフテン、ポリフラン、ポリセレノフェン、ポリフルオレン、ポリカルバゾール、およびこれらの誘導体が挙げられる。
次に、塩基性有機化合物(A−3)について説明する。ポリアニオン(A−1)によってドープされたπ共役高分子化合物(A−2)は、通常ポリアニオン(A−1)が過剰に含まれており、水または極性の高い有機溶剤にしか溶解または分散しない。塩基性有機化合物(A−3)を添加することで、この過剰の酸基をキャップし、イオン対である導電性材料(A)が形成され、より極性の低い有機溶剤に溶解または分散できる。
本発明で用いるアミン化合物(A−3a)としては、例えば、N−メチルオクチルアミン、メチルベンジルアミン、N−メチルアニリン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジエタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、メチル−イソプロパノールアミン、ジブチルアミン、ジ−2−エチルヘキシルアミン、アミノエチルエタノールアミン、3−アミノ−1−プロパノール、イソプロピルアミン、モノエチルアミン、2−エチルヘキシルアミン、t−ブチルアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
さらに本発明で用いる前記塩基性樹脂(A−3c)の一例としては、下記特許文献6〜9に開示されている、アミノ基(1級、2級、3級、4級塩)を含有するポリエステル系、アクリル系、ウレタン系等の高分子共重合物からなるものを挙げることができる。このような塩基性樹脂(A−3c)の市販品としては、例えば、Solsperse24000(ゼネカ株式会社製)、Disperbyk−160、Disperbyk−161、Disperbyk−162、Disperbyk−163、Disperbyk−170(ビックケミー社製)、アジスパーPB711、アジスパーPB821、アジスパーPB822、アジスパーPB824(味の素株式会社製)等が挙げられ、単独使用または併用することができる。塩基性樹脂(A−3c)の使用量に制限はないが、π共役系高分子化合物(A−2)とポリアニオン(A−1)との合計100重量部に対して、1〜100,000重量部が好ましく、さらには、10〜10,000重量部の範囲で用いられることがより好ましい。
(特許文献7)特開昭46−7294号公報
(特許文献8)特開平09−169821号公報
(特許文献9)特開昭60−166318号公報
次に、酸無水物(B)について詳細に説明をする。本発明の導電性組成物は、上記で説明した導電性材料(A)と、酸無水物(B)とを含むことを特徴とする。導電性材料(A)と、酸無水物(B)とを組み合わせることにより、形成された塗膜中において、導電性成分が局在化すると推察される。従って、極めて少量の導電性成分の配合により優れた導電性を発現し、塗膜に求められる導電性以外の物性にも優れた導電膜の形成が可能となる。
本発明に用いる酸無水物(B)としては、例えば、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水安息香酸などの、モノカルボキシ化合物2分子から1つの水分子が脱水縮合したもの、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(別名:シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物)、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ハイミック酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、9,9−フルオレニリデンビス無水フタル酸などの、分子内に2つ以上のカルボキシ基を有する化合物から水分子を1つ以上脱水したもの、スチレン−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーなどの、無水マレイン酸と他のビニルモノマーとを共重合したコポリマーなどが挙げられる。
導電助剤(D)は、本発明の導電性組成物を用いて形成される導電膜の導電性をさらに向上する目的で加えているものであり、具体的にはラクタム、糖類および糖類誘導体、アルキレンジオール類、ポリアルキレンレングリコール類、フランカルボン酸、ハロゲン置換酢酸などが挙げられる。それらの具体例としては、例えば、N−メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、N−オクチルピロリドン、ショ糖、グルコース、フルクトース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、グリセリン、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸、ジクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロエタノール、m−クレゾール、チオジグリコールなどが挙げられる。導電助剤(D)は導電性組成物中に0.1〜30重量%含まれることが好ましい。0.1重量%より少ない場合は導電助剤(D)による導電性の向上が期待できない。また、30重量%よりも多い場合は膜物性に悪影響を及ぼす場合が多い。
また、これら紫外線または電子線と、赤外線、遠赤外線、熱風、高周波加熱等による熱の併用も可能である。
M−402:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(東亞合成株式会社製:アロニックスM−402、水酸基価37.4mgKOH/g)
PET30:ペンタエリスリトールトリアクリレートとペンタエリスリトールテトラアクリレートとの混合物(日本化薬株式会社製:KAYARAD PET30、水酸基価127.6mgKOH/g)
SA:無水コハク酸(新日本理化株式会社製:リカシッドSA)
THPA:テトラヒドロ無水フタル酸(新日本理化株式会社製:リカシッドTH)
PA:無水フタル酸(新日本理化株式会社製:リカシッドPA)
DBU:1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン(サンアプロ株式会社:DBU)
DMBA:N,N−ジメチルベンジルアミン(和光純薬株式会社製)
DPHA:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物(日本化薬株式会社製:KAYARAD DPHA、水酸基価48.1mgKOH/g)
BPDA:3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(三菱化学株式会社製)
BT−100:1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物(新日本理化株式会社:リカシッドBT−100)
GMA:グリシジルメタクリレート(日油株式会社:ブレンマーG)
VEEA:2−[2−(ビニルオキシ)エトキシ]エチルアクリレート(日本触媒株式会社:FX−VEEA)
Irg184:イルガキュア184(チバスペシャリティケミカル株式会社製)の20%酢酸エチル溶液
EG:エチレングリコール
EtAc:酢酸エチル
SMA:スチレンマレイン酸樹脂(SARTOMER社製:SMA−1000)
TMA:無水トリメリット酸(三菱ガス化学株式会社製)
PMA:無水ピロメリット酸(ダイセル化学株式会社製:PMDA)
D−310:ジペンタエリスリトールペンタアクリレートモノアシレート(日本化薬株式会社製:KAYARAD D−310)
UA306H:ウレタンアクリレート(共栄社化学株式会社製:UA306H)
(製造例1)
ポリアニオン(A−1)によってドープされたπ共役高分子化合物(A−2)として、ポリスチレンスルホン酸水溶液存在下で、単量体として3,4−エチレンジオキシチオフェンを用いてポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を合成したH.C.Starck社製のBAYTRON P AGを用いた。BAYTRON P AGは溶媒が水で不揮発分が1.2%であり、前記ポリスチレンスルホン酸中のスルホン酸基と、合成に用いた単量体である3,4−エチレンジオキシチオフェンとのモル比は、スルホン酸基/3,4−エチレンジオキシチオフェン=2.5:1.0であった。
酢酸エチル54.51部に塩基性有機化合物(A−3)としてアジスパーPB−821(味の素ファインテクノ社製:アミン価10.75mgKOH/g)を8.37部溶解させた溶液にBAYTRON P AGを52.51部加えて、ディスパーを用いて室温で1時間攪拌し、乳化物を得た。ロータリーエバポレーターを用いて、この乳化物から水を取り除いた。必要に応じて適宜酢酸エチルを加えた。最終的に不揮発分15%の導電性材料(A)の酢酸エチル分散体を60.00部得た。
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた4口フラスコにp−スチレンスルホン酸ナトリウム500部、水1000部、過硫酸アンモニウム0.5部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、窒素ガスを吹き込みながら80℃で8時間反応させた。反応終了後、水を250部添加して、不揮発分濃度40%で重量平均分子量が25,000のポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)水溶液を得た。
攪拌機、温度計、冷却装置、滴下装置を備えた反応容器にピロール2.6部、水100部、上記ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)水溶液50部を仕込み、この反応溶液を5℃に保ちながら、10%の塩化第二銅水溶液43.5部を2時間かけて滴下し、トータルで8時間反応させた。反応終了後、水を68.5部添加して、不揮発分濃度10%である、ポリ(p−スチレンスルホン酸)によってドープされたポリピロール水溶液を得た。前記ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)中のスルホン酸ナトリウム基と、合成に用いた単量体であるピロールとのモル比は、スルホン酸ナトリウム基/ピロール=2.5/1.0であった。
MEK100部にアジスパーPB−821を16部溶解させた溶液に上記のポリ(p−スチレンスルホン酸)にドープされたポリピロール水溶液を12部加えて、ディスパーを用いて室温で1時間攪拌して、不揮発分13.4%の導電性材料(A)のMEK分散体を128部得た。
攪拌機、温度計、還流冷却器、窒素導入管を備えた4口フラスコにp−スチレンスルホン酸ナトリウム500部、水1000部、過硫酸アンモニウム0.3部を仕込み、この反応容器内の空気を窒素ガスで置換した後、窒素ガスを吹き込みながら80℃で8時間反応させた。反応終了後、水を250部添加して、不揮発分濃度40%で重量平均分子量が50,000のポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)水溶液を得た。
攪拌機、温度計、冷却装置、滴下装置を備えた反応容器にアニリン塩酸塩5.8部、水100部、上記ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)水溶液50部を仕込み、この反応溶液を5℃に保ちながら、5%の過硫酸アンモニウム水溶液44.2部を2時間かけて滴下し、トータルで8時間反応させた。反応終了後、水を64部添加して、不揮発分濃度10%である、ポリ(p−スチレンスルホン酸)によってドープされたポリアニリン水溶液を得た。前記ポリ(p−スチレンスルホン酸ナトリウム)中のスルホン酸ナトリウム基と、合成に用いた単量体であるアニリン塩酸塩とのモル比は、スルホン酸ナトリウム基/アニリン塩酸塩=2.0/1.0であった。
シクロヘキサノン100部にアジスパーPB−821を16部溶解させた溶液に上記のポリ(p−スチレンスルホン酸)によってドープされたポリアニリン水溶液を12部加えて、ディスパーを用いて室温で1時間攪拌して、不揮発分13.4%の導電性材料(A)のシクロヘキサノン分散体を128部得た。
撹拌機、還流冷却管、窒素導入管、温度計を備えた4口フラスコに、12−ヒドロキシステアリン酸(伊藤製油株式会社製)12.16部、カプロラクトン(ダイセル化学株式会社製:プラクセルM)87.72部、テトラブチルチタネート(松本製薬工業株式会社製:オルガチックスTA−25)0.088部を仕込み、窒素ガスを吹き込みながら160℃に昇温し、5時間反応させた。その後、100℃まで冷却し、ポリアリルアミンの20%水溶液30.00部加え、昇温して、反応液中の水を取り除いた。120℃まで昇温し、2時間反応させた。次いで、シクロヘキサノン105.97部を加え、塩基性有機化合物(A−3)のシクロヘキサノン溶液を得た。固形分50%、重量平均分子量6,609、アミン価8.907mgKOH/gであった。
酢酸エチル46.14部に塩基性有機化合物(A−3)として上記塩基性有機化合物のシクロヘキサン溶液を16.74部混合した溶液にBAYTRON P AGを52.50部加えて、ディスパーを用いて室温で1時間攪拌し、乳化物を得た。ロータリーエバポレーターを用いて、この乳化物から水を取り除いた。必要に応じて適宜酢酸エチルを加えた。最終的に不揮発分15%の導電性材料(A)の酢酸エチル/シクロヘキサノン分散体を60.00部得た。製造例1と同様、ポリスチレンスルホン酸中のスルホン酸基と、3,4−エチレンジオキシチオフェンとのモル比は、スルホン酸基/3,4−エチレンジオキシチオフェン=2.5:1.0である。
製造例1で作製した導電性材料(A)の酢酸エチル分散体2.857部、酸無水物(B)として無水コハク酸(新日本理化株式会社:リカシッドSA)0.257部、バインダーとしてアロニックスM−402(東亜合成株式会社製)2.314部、導電助剤(D)としてエチレングリコール0.700部、光重合開始剤としてイルガキュア184(チバスペシャリティケミカル製)の20%酢酸エチル溶液を0.750部、酢酸エチル3.271部を配合し、固形分30%の分散体を得た。これをバーコーター#14を用いて厚さ100μmのPETフィルム上に塗布し、100℃のオーブンで2分間乾燥した。これにメタルハライドランプを用いて、400mJ/cm2の紫外線を照射して導電膜を作製した。この導電膜について表面抵抗、ヘイズ、透過率を測定した。表面抵抗の測定には株式会社Advantest製のデジタル超高抵抗/微小電流計(R8340A)を使用した。なお、表中の「over」とは、測定値が測定可能上限を超えたことを表す。ヘイズおよび透過率の測定には、ヘイズメーター[「NDH2000」、日本電色工業(株)製]を使用した。
実施例2〜7、比較例1〜2は、下記表3に示したように配合した以外は、実施例1と同様の操作にて、配合、塗布、評価を行った。評価結果についても表3に示した。
Claims (4)
- ポリアニオン(A−1)によってドープされたπ共役高分子化合物(A−2)と、塩基性有機化合物(A−3)とのイオン対であり、有機溶剤中で溶解または分散可能である導電性材料(A)と、酸無水物(B)とを含んでなる導電性組成物(ただし、下記(C−1)〜(C−4)から選ばれる少なくとも1つの化合物を含む場合を除く)。
(C−1):ヒドロキシ基を有する化合物(c1)と環状酸無水物基を有する化合物(c2)とを反応させて得られる化合物。
(C−2):ヒドロキシ基を有する化合物(c1)と環状酸無水物基を有する化合物(c2)とを反応させて得られるカルボキシ基含有化合物と、カルボキシ基と反応しエステル結合を形成し得る官能基を有する化合物(c3)と、を反応させて得られる化合物。
(C−3):2つ以上のカルボキシ基を有する化合物(c4)と、カルボキシ基と反応しエステル結合を形成し得る官能基を有する化合物(c3)と、を反応させて得られる化合物。
(C−4):2つ以上のカルボキシ基を有する化合物のエステル化合物(c5)と、ヒドロキシ基を有する化合物(c1)と、をエステル交換反応させて得られる化合物。 - さらに導電助剤(D)を含むことを特徴とする請求項1記載の導電性組成物。
- 請求項1または2記載の導電性組成物から形成されてなる導電膜。
- 基材と請求項3記載の導電膜とを有する積層体。
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