JP5513039B2 - 電極 - Google Patents

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Description

本発明は電極に関する。
電極を含む有機エレクトロルミネッセンス素子(以下、有機EL素子ということがある)または光電変換素子の特性を向上させるため、有機化合物が吸着した無機材料を含む電極が検討されている。例えば、有機化合物が吸着したITOからなる電極を用いた有機EL素子が知られている(特許文献1ならびに非特許文献1および2)。
特開2007−103174号公報
Synthetic Metals.154,153(2005) Adv.Funct.Mater.14,1205(2004)
しかし、これらの電極を含む有機EL素子および光電変換素子の特性は未だ十分なものではない。
そこで、本発明の目的は、有機化合物が吸着した無機材料を含み、電界発光素子(特に、有機EL素子)または光電変換素子の特性を向上させうる電極を提供することにある。
本発明者らは、フッ素原子を有する有機化合物が吸着した無機材料を含む電極を鋭意検討した結果、本発明に到達した。
即ち、本発明は、有機化合物が吸着した無機材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用または光電変換素子用の電極であって、
該有機化合物は、フッ素原子を少なくとも4個有し、式:N/(N・N)(式中、Nは該有機化合物中の水素原子の数を表し、Nは該有機化合物中の炭素原子の数を表し、Nは該有機化合物中のフッ素原子の数を表す。)で計算される値が0以上、0.18以下であることを特徴とする前記電極を提供する。
本発明の電極を用いれば、特性の優れた有機EL素子および光電変換素子、特に、電流密度および発光輝度の高い有機EL素子を製造することができるので、本発明の電極は工業的に極めて有用である。
以下、本発明を詳細に説明する。
<電極>
本発明の電極は、有機化合物が吸着した無機材料を含む有機EL素子用または光電変換素子用の電極であって、
該有機化合物は、フッ素原子を少なくとも4個有し、式:N/(N・N)(式中、N、NおよびNは前記のとおりである。)で計算される値が0以上、0.18以下であることを特徴とする前記電極である。
本発明の電極においては、前記の有機化合物が無機材料に吸着している。ここで、「吸着」は、物理吸着でも化学吸着でもまたはそれらの組み合わさった状態でもよい。より具体的には、こうした吸着は、有機化合物と無機材料との間のファンデルワールス力、水素結合、共有結合、イオン結合、配位結合またはこれらの2種以上の組み合わせにより生じる。
前記有機化合物は結合基を有していることが好ましい。本発明の電極において、有機化合物と無機材料との吸着は、該結合基と無機材料との間のファンデルワールス力、水素結合、共有結合、イオン結合、配位結合またはこれらの2種以上の組み合わせによるものであることが好ましく、該結合基と無機材料との間の水素結合、共有結合、イオン結合、配位結合またはこれらの2種以上の組み合わせによるものであることがより好ましく、該結合基と無機材料との間の共有結合、水素結合またはこれらの組み合わせによるものであることが特に好ましい。
本発明の電極において、前記有機化合物は無機材料の表面に自己組織化単分子膜を形成した状態で吸着していることが望ましい。そのためには、吸着は化学吸着が主であることが好ましい。ここで、自己組織化単分子膜とは、前記有機化合物が無機材料に吸着することで、特に、前記の結合基を有する前記有機化合物が該結合基を介して無機材料に吸着することで得られる膜であり、その吸着機構において、有機化合物と無機材料との間では単分子膜のみが自己組織化された状態で形成されることから、自己組織化単分子膜(Self−assembled monolayer)と呼ばれている。前記有機化合物を無機材料に吸着させる処理によっては、形成された単分子膜上に更に余分な有機化合物が吸着して多分子層を形成することがあるが、これら余分な有機化合物は除去することが好ましい。余分な有機化合物は、例えば、後述するような前記有機化合物の良溶媒を接触させることで除去することができる。該自己組織化単分子膜が本発明における「電極の表面」に該当する。自己組織化は、前記有機化合物の分子内における炭素原子の数とフッ素原子の数との積に対する水素原子の数の比が小さい方が起こりやすく、前記の比が0以上、0.18以下である場合に特に起こりやすい。
本発明において、自己組織化単分子膜の平均的厚さは、好ましくは0.1nm〜10μmであり、より好ましくは0.1nm〜1μmであり、更により好ましくは0.1nm〜100nmであり、特に好ましくは0.1nm〜50nmである。
前記結合基としては、例えば、メルカプト基(−SH)、クロロスルホニル基(−SOCl)、スルホ基(−SOH)、クロロカルボニル基(−COCl)、カルボキシル基(−COOH)、ジクロロホスホリル基(−POCl)、ホスホノ基(−PO(OH))、ヒドロキシ基、シアナト基、イソシアナト基、非置換のアミノ基、置換のアミノ基およびこれらの2種以上の組み合わせが挙げられ、メルカプト基、クロロスルホニル基、スルホ基、クロロカルボニル基、カルボキシル基、ジクロロホスホリル基、ホスホノ基およびこれらの2種以上の組み合わせが好ましく、クロロスルホニル基、スルホ基、クロロカルボニル基、カルボキシル基、ジクロロホスホリル基、ホスホノ基およびこれらの2種以上の組み合わせがより好ましい。
本発明の電極の厚さは、該電極の製造の容易性及び該電極の機能性の観点から、0.2nm〜5cmであることが好ましく、より好ましくは0.2nm〜1cmであり、さらに好ましくは0.2nm〜5mmである。
本発明において、電極の表面の最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーは−5.8eV以上−4.8eV以下であることが好ましく、−5.7eV以上−4.9eV以下であることがより好ましく、−5.6eV以上−5.0eV以下であることが特に好ましい。有機化合物の場合、仕事関数=−(HOMOの軌道エネルギー)という関係式を満たす。電極の表面の仕事関数は光電子分光装置によって測定される。
<有機化合物>
本発明において、有機化合物は、フッ素原子を少なくとも4個有し、式:N/(N・N)(式中、N、NおよびNは前記のとおりである。)で計算される値が、0以上、0.18以下であるが、電極としての機能の観点から、0以上、0.16以下であることが好ましく、0以上、0.14以下であることがより好ましく、0以上、0.10以下であることが特に好ましい。該有機化合物は、上記のとおり、前記結合基を有していることが好ましい。該有機化合物は、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いることができる。
前記有機化合物は、下記一般式(I)で表される化合物、下記一般式(II)で表される化合物またはこれらの組み合わせであることが好ましい。下記一般式(I)で表される化合物および下記一般式(II)で表される化合物のおのおのは、1種単独でも2種以上を組み合わせても用いることができる。
Figure 0005513039

(式中、
は前記の結合基であり、
〜Rは独立に該結合基、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、非置換もしくは置換のアルキル基、非置換もしくは置換のアルコキシ基、非置換もしくは置換のアルキルチオ基、非置換もしくは置換のアリール基、非置換もしくは置換のアリールオキシ基、非置換もしくは置換のアリールチオ基、非置換もしくは置換のアリールアルキル基、非置換もしくは置換のアリールアルコキシ基、非置換もしくは置換のアリールアルキルチオ基、非置換もしくは置換のアリールアルケニル基、非置換もしくは置換のアリールアルキニル基、非置換もしくは置換のシリル基、非置換もしくは置換のアシル基、非置換もしくは置換のアシルオキシ基、非置換もしくは置換のイミン残基、非置換もしくは置換のアミド基、非置換もしくは置換の酸イミド基、非置換もしくは置換の1価の複素環基、置換のカルボキシル基、またはシアノ基であり、
ただし、EおよびR〜R中のフッ素原子の数の合計が4個以上である。)
Figure 0005513039

(式中、
nは1以上の整数であり、
Arは共役関係にある多重結合を2以上有する(1+n)価の基であり、
は前記と同義であり、
は独立に前記の結合基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、非置換もしくは置換のアルキル基、非置換もしくは置換のアルコキシ基、非置換もしくは置換のアルキルチオ基、非置換もしくは置換のアリール基、非置換もしくは置換のアリールオキシ基、非置換もしくは置換のアリールチオ基、非置換もしくは置換のアリールアルキル基、非置換もしくは置換のアリールアルコキシ基、非置換もしくは置換のアリールアルキルチオ基、非置換もしくは置換のアリールアルケニル基、非置換もしくは置換のアリールアルキニル基、非置換もしくは置換のシリル基、非置換もしくは置換のアシル基、非置換もしくは置換のアシルオキシ基、非置換もしくは置換のイミン残基、非置換もしくは置換のアミド基、非置換もしくは置換の酸イミド基、非置換もしくは置換の1価の複素環基、置換のカルボキシル基、またはシアノ基であり、
ただし、Eおよび全てのR中のフッ素原子の数の合計が4個以上であり、nが2以上の整数である場合、複数個存在するRは、同一でも異なっていてもよく、少なくとも2個が結合して環を形成してもよい。)
上記一般式(I)において、R〜Rは、独立に、前記結合基、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、非置換もしくは置換のアルキル基、非置換もしくは置換のアルコキシ基、非置換もしくは置換のアリール基、非置換もしくは置換のアリールオキシ基、非置換もしくは置換のアリールアルキル基、非置換もしくは置換のアリールアルコキシ基、置換のシリル基、非置換もしくは置換のアシル基、置換のカルボキシル基またはシアノ基であることが好ましく、前記結合基、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、非置換もしくは置換のアルキル基、非置換もしくは置換のアルコキシ基、非置換もしくは置換のアリール基、非置換もしくは置換のアリールオキシ基、非置換もしくは置換のアリールアルキル基、非置換もしくは置換のアリールアルコキシ基または置換のカルボキシル基であることがより好ましく、前記結合基、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、非置換もしくは置換のアルキル基、非置換もしくは置換のアルコキシ基または非置換もしくは置換のアリール基であることが更により好ましい。
上記一般式(II)において、Rは、独立に、前記結合基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、非置換もしくは置換のアルキル基、非置換もしくは置換のアルコキシ基、非置換もしくは置換のアリール基、非置換もしくは置換のアリールオキシ基、非置換もしくは置換のアリールアルキル基、非置換もしくは置換のアリールアルコキシ基、置換のシリル基、非置換もしくは置換のアシル基、置換のカルボキシル基またはシアノ基であることが好ましく、前記結合基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、非置換もしくは置換のアルキル基、非置換もしくは置換のアルコキシ基、非置換もしくは置換のアリール基、非置換もしくは置換のアリールオキシ基、非置換もしくは置換のアリールアルキル基、非置換もしくは置換のアリールアルコキシ基または置換のカルボキシル基であることがより好ましく、前記結合基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、非置換もしくは置換のアルキル基、非置換もしくは置換のアルコキシ基または非置換もしくは置換のアリール基であることが更により好ましい。
前記一般式(I)において、EおよびR〜R中のフッ素原子の数の合計は、4個以上であるが、5個以上であることが好ましい。また、前記一般式(I)において、EおよびR〜Rがフッ素原子を含む基または残基である場合、該基または該残基中の全ての水素原子がフッ素原子で置換されていることが好ましい。
前記一般式(II)において、Eおよび全てのR中のフッ素原子の数の合計は、4個以上であるが、5個以上であることが好ましく、6個以上であることがより好ましい。
以下、本明細書において用いられる基および残基について説明する。なお、ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、及びヨウ素原子が例示される。また、「C〜C」(m、nはm<nを満たす正の整数である)という用語は、この用語とともに記載された有機基の炭素原子数がm〜nであることを表す。
アルキル基は、直鎖状アルキル基および環状アルキル基(シクロアルキル基)の両方を含む。アルキル基は分岐を有してもよい。また、アルキル基はエーテル酸素原子を有してもよく、エーテル酸素原子が複数存在する場合にはオキシアルキレン基からなる繰り返し単位を有してもよい。アルキル基の炭素原子数は、通常1〜20であり、好ましくは1〜15であり、より好ましくは1〜10である。非置換のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基、ラウリル基、1−アダマンチル基、2−アダマンチル基、式:−CHO(CHCHO)CH(式中、nは0〜20の整数である)で表される基が挙げられ、合成の行いやすさと耐熱性とのバランスからは、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、デシル基、3,7−ジメチルオクチル基が好ましい。置換のアルキル基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアルキル基である。置換のアルキル基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアルキル基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基、例えば、トリフルオロメチル基、ペンタフルオロエチル基が挙げられる。上記一般式(I)または(II)においてアルキル基が複数存在する場合には、少なくとも2つのアルキル基どうしで結合して環を形成してもよい。なお、C1〜C12アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、i−プロピル基、ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、ペンチル基、イソアミル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ラウリル基が挙げられる。
アルコキシ基は、直鎖状アルコキシ基および環状アルコキシ基(シクロアルコキシ基)の両方を含む。アルコキシ基は分岐を有してもよい。また、アルコキシ基はエーテル酸素原子を有してもよく、エーテル酸素原子が複数存在する場合にはオキシアルキレン基からなる繰り返し単位を有してもよい。アルコキシ基の炭素原子数は、通常1〜20であり、好ましくは1〜15である。非置換のアルコキシ基の具体例としては、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基、メトキシメチルオキシ基、式:−O(CHCHO)CH(式中、mは1〜20の整数である)で表される基(例えば、2−メトキシエチルオキシ基)、2−エトキシエチルオキシ基が挙げられ、有機溶媒への溶解性、合成の行いやすさと耐熱性とのバランスからは、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基が好ましい。置換のアルコキシ基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアルコキシ基である。置換のアルコキシ基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアルコキシ基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。なお、C1〜C12アルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、i−プロピルオキシ基、ブトキシ基、i−ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシ基、ラウリルオキシ基が挙げられる。
アルキルチオ基は、直鎖状アルキルチオ基および環状アルキルチオ基(シクロアルキルチオ基)の両方を含む。アルキルチオ基は分岐を有してもよい。アルキルチオ基の炭素原子数は、通常1〜20であり、好ましくは3〜20である。非置換のアルキルチオ基の具体例としては、メチルチオ基、エチルチオ基、プロピルチオ基、i−プロピルチオ基、ブチルチオ基、i−ブチルチオ基、t−ブチルチオ基、ペンチルチオ基、ヘキシルチオ基、シクロヘキシルチオ基、ヘプチルチオ基、オクチルチオ基、2−エチルヘキシルチオ基、ノニルチオ基、デシルチオ基、3,7−ジメチルオクチルチオ基、ラウリルチオ基が挙げられる。置換のアルキルチオ基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアルキルチオ基である。置換のアルキルチオ基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアルキルチオ基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
アリール基は、芳香族炭化水素から芳香環を構成する炭素原子に結合した水素原子1個を除いた残りの原子団である。アリール基には、縮合環をもつもの、独立したベンゼン環又は縮合環2個以上が単結合又は2価の有機基、例えば、ビニレン基等のアルケニレン基を介して結合したものも含まれ、更に、アルコキシアリール基、アルキルアリール基、アルキルオキシカルボニルアリール基も含まれる。アリール基の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは7〜48である。非置換のアリール基の具体例としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、1−アントラセニル基、2−アントラセニル基、9−アントラセニル基、C1〜C12アルコキシフェニル基、C1〜C12アルキルフェニル基、C1〜C12アルキルオキシカルボニルフェニル基が挙げられる。C1〜C12アルコキシフェニル基の具体例としては、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、プロピルオキシフェニル基、i−プロピルオキシフェニル基、ブトキシフェニル基、i−ブトキシフェニル基、t−ブトキシフェニル基、ペンチルオキシフェニル基、ヘキシルオキシフェニル基、シクロヘキシルオキシフェニル基、ヘプチルオキシフェニル基、オクチルオキシフェニル基、2−エチルヘキシルオキシフェニル基、ノニルオキシフェニル基、デシルオキシフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェニル基、ラウリルオキシフェニル基が挙げられる。C1〜C12アルキルフェニル基の具体例としては、メチルフェニル基、エチルフェニル基、ジメチルフェニル基、プロピルフェニル基、メシチル基、メチルエチルフェニル基、i−プロピルフェニル基、ブチルフェニル基、i−ブチルフェニル基、t−ブチルフェニル基、ペンチルフェニル基、イソアミルフェニル基、ヘキシルフェニル基、ヘプチルフェニル基、オクチルフェニル基、ノニルフェニル基、デシルフェニル基、ラウリルフェニル基が挙げられる。C1〜C12アルキルオキシカルボニルフェニル基の具体例としては、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシカルボニルフェニル基、プロピルオキシカルボニルフェニル基、i−プロピルオキシカルボニルフェニル基、ブトキシカルボニルフェニル基、i−ブトキシカルボニルフェニル基、t−ブトキシカルボニルフェニル基、ペンチルオキシカルボニルフェニル基、ヘキシルオキシカルボニルフェニル基、シクロヘキシルオキシカルボニルフェニル基、ヘプチルオキシカルボニルフェニル基、オクチルオキシカルボニルフェニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニルフェニル基、ノニルオキシカルボニルフェニル基、デシルオキシカルボニルフェニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニルフェニル基、ラウリルオキシカルボニルフェニル基が挙げられる。置換のアリール基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアリール基である。置換のアリール基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアリール基中の少なくとも1個、好ましくは1〜15個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
アリールオキシ基の炭素原子数は、通常6〜60であり、好ましくは7〜48である。非置換のアリールオキシ基としては、フェノキシ基、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基、1−ナフチルオキシ基、2−ナフチルオキシ基が例示され、有機溶媒への溶解性、合成の行いやすさ等の観点からは、C1〜C12アルコキシフェノキシ基、C1〜C12アルキルフェノキシ基が好ましい。C1〜C12アルコキシフェノキシ基として具体的には、メトキシフェノキシ基、エトキシフェノキシ基、プロピルオキシフェノキシ基、i−プロピルオキシフェノキシ基、ブトキシフェノキシ基、i−ブトキシフェノキシ基、t−ブトキシフェノキシ基、ペンチルオキシフェノキシ基、ヘキシルオキシフェノキシ基、シクロヘキシルオキシフェノキシ基、ヘプチルオキシフェノキシ基、オクチルオキシフェノキシ基、2−エチルヘキシルオキシフェノキシ基、ノニルオキシフェノキシ基、デシルオキシフェノキシ基、3,7−ジメチルオクチルオキシフェノキシ基、ラウリルオキシフェノキシ基が例示される。C1〜C12アルキルフェノキシ基として具体的には、メチルフェノキシ基、エチルフェノキシ基、ジメチルフェノキシ基、プロピルフェノキシ基、1,3,5−トリメチルフェノキシ基、メチルエチルフェノキシ基、i−プロピルフェノキシ基、ブチルフェノキシ基、i−ブチルフェノキシ基、t−ブチルフェノキシ基、ペンチルフェノキシ基、イソアミルフェノキシ基、ヘキシルフェノキシ基、ヘプチルフェノキシ基、オクチルフェノキシ基、ノニルフェノキシ基、デシルフェノキシ基、ラウリルフェノキシ基が例示される。置換のアリールオキシ基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアリールオキシ基である。置換のアリールオキシ基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアリールオキシ基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
アリールチオ基の炭素原子数は、通常3〜60である。非置換のアリールチオ基の具体例としては、フェニルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニルチオ基、C1〜C12アルキルフェニルチオ基、1−ナフチルチオ基、2−ナフチルチオ基が挙げられる。置換のアリールチオ基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアリールチオ基である。置換のアリールチオ基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアリールチオ基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
アリールアルキル基の炭素原子数は、通常7〜60である。非置換のアリールアルキル基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル基、1−ナフチル−C1〜C12アルキル基、2−ナフチル−C1〜C12アルキル基が挙げられる。置換のアリールアルキル基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアリールアルキル基である。置換のアリールアルキル基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアリールアルキル基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
アリールアルコキシ基の炭素原子数は、通常7〜60である。非置換のアリールアルコキシ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルコキシ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルコキシ基、1−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基、2−ナフチル−C1〜C12アルコキシ基が挙げられる。置換のアリールアルコキシ基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアリールアルコキシ基である。置換のアリールアルコキシ基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアリールアルコキシ基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
アリールアルキルチオ基の炭素原子数は、通常7〜60である。非置換のアリールアルキルチオ基の具体例としては、フェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキルチオ基、1−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基、2−ナフチル−C1〜C12アルキルチオ基が挙げられる。置換のアリールアルキルチオ基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアリールアルキルチオ基である。置換のアリールアルキルチオ基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアリールアルキルチオ基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
アリールアルケニル基の炭素原子数は、通常8〜60である。非置換のアリールアルケニル基の具体例としては、フェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルケニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルケニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルケニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルケニル基が挙げられる。置換のアリールアルケニル基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアリールアルケニル基である。置換のアリールアルケニル基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアリールアルケニル基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。なお、C2〜C12アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1−プロペニル基、2−プロペニル基、1−ブテニル基、2−ブテニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−ヘキセニル基、1−オクテニル基が挙げられる。
アリールアルキニル基の炭素原子数は、通常8〜60である。非置換のアリールアルキニル基の具体例としては、フェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルコキシフェニル−C2〜C12アルキニル基、C1〜C12アルキルフェニル−C2〜C12アルキニル基、1−ナフチル−C2〜C12アルキニル基、2−ナフチル−C2〜C12アルキニル基が挙げられる。置換のアリールアルキニル基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアリールアルキニル基である。置換のアリールアルキニル基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアリールアルキニル基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。なお、C2〜C12アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、1−ブチニル基、2−ブチニル基、1−ペンチニル基、2−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−ヘキシニル基、1−オクチニル基が挙げられる。
置換のアミノ基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1又は2個の置換基で置換されたアミノ基を意味する。該置換基は更にハロゲン原子(特にフッ素原子)、アルコキシ基、アルキルチオ基、アミノ基等で置換されていてもよい。置換のアミノ基の炭素原子数は、非置換の前記置換基で置換されたアミノ基の炭素原子数として、通常1〜60であり、好ましくは2〜48である。置換のアミノ基としては、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、ジエチルアミノ基、プロピルアミノ基、ジプロピルアミノ基、i−プロピルアミノ基、ジイソプロピルアミノ基、ブチルアミノ基、i−ブチルアミノ基、t−ブチルアミノ基、ペンチルアミノ基、ヘキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ヘプチルアミノ基、オクチルアミノ基、2−エチルヘキシルアミノ基、ノニルアミノ基、デシルアミノ基、3,7−ジメチルオクチルアミノ基、ラウリルアミノ基、シクロペンチルアミノ基、ジシクロペンチルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基、ジシクロヘキシルアミノ基、ジフェニルアミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル)アミノ基、1−ナフチルアミノ基、2−ナフチルアミノ基、ペンタフルオロフェニルアミノ基、ピリジルアミノ基、ピリダジニルアミノ基、ピリミジルアミノ基、ピラジニルアミノ基、トリアジニルアミノ基、(フェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、ジ(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(1−ナフチル−C1〜C12アルキル)アミノ基、(2−ナフチル−C1〜C12アルキル)アミノ基が例示される。
置換のシリル基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基及び1価の複素環基からなる群から選ばれる1、2又は3個の置換基で置換されたシリル基を意味する。該置換基は更にハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されていてもよい。置換のシリル基の炭素原子数は、非置換の前記置換基で置換されたシリル基の炭素原子数として、通常1〜60であり、好ましくは3〜48である。置換のシリル基の具体例としては、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリプロピルシリル基、トリイソプロピルシリル基、イソプロピルジメチルシリル基、イソプロピルジエチルシリル基、t−ブチルジメチルシリル基、ペンチルジメチルシリル基、ヘキシルジメチルシリル基、ヘプチルジメチルシリル基、オクチルジメチルシリル基、2−エチルヘキシルジメチルシリル基、ノニルジメチルシリル基、デシルジメチルシリル基、3,7−ジメチルオクチルジメチルシリル基、ドデシルジメチルシリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルコキシフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(C1〜C12アルキルフェニル−C1〜C12アルキル)シリル基、(1−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(2−ナフチル−C1〜C12アルキル)シリル基、(フェニル−C1〜C12アルキル)ジメチルシリル基、トリフェニルシリル基、トリ(p−キシリル)シリル基、トリベンジルシリル基、ジフェニルメチルシリル基、t−ブチルジフェニルシリル基、ジメチルフェニルシリル基が挙げられる。
アシル基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜18が好ましい。非置換のアシル基の具体例としては、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、ベンゾイル基が挙げられる。置換のアシル基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアシル基である。置換のアシル基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアシル基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
アシルオキシ基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜18が好ましい。非置換のアシルオキシ基の具体例としては、アセトキシ基、プロピオニルオキシ基、ブチリルオキシ基、イソブチリルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基が挙げられる。置換のアシルオキシ基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアシルオキシ基である。置換のアシルオキシ基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアシルオキシ基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基、例えば、トリフルオロアセチルオキシ基、ペンタフルオロベンゾイルオキシ基が挙げられる。
イミン残基は、式:H−N=C<および式:−N=CH−の少なくとも一方で表される構造を有するイミン化合物から、この構造中の水素原子1個を除いた残基を意味する。このようなイミン化合物としては、例えば、アルジミン、ケチミン及びアルジミン中の窒素原子に結合した水素原子がアルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基等で置換された化合物が挙げられる。イミン残基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜18が好ましい。イミン残基としては、例えば、一般式:−CR'=N−R''または一般式:−N=C(R'')(式中、R'は水素原子、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基またはアリールアルキニル基を表し、R''は独立に、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、アリールアルケニル基またはアリールアルキニル基を表し、ただし、R''が2個存在する場合、2個のR''は相互に結合し一体となって2価の基、例えば、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等の炭素原子数2〜18のアルキレン基として環を形成してもよい。)で表される基などが挙げられる。非置換のイミン残基の具体例としては、以下の構造式で示される基が挙げられる。
Figure 0005513039

(式中、Meはメチル基を示す。)
置換のイミン残基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたイミン残基である。置換のイミン残基としては、例えば、上記の一般式:−CR'=N−R''または一般式:−N=C(R'')(式中、R'およびR''は前記のとおりである。)で表される基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。置換のイミン残基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のイミン残基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
アミド基の炭素原子数は、通常2〜20であり、2〜18が好ましい。非置換のアミド基の具体例としては、ホルムアミド基、アセトアミド基、プロピオアミド基、ブチロアミド基、ベンズアミド基、ジホルムアミド基、ジアセトアミド基、ジプロピオアミド基、ジブチロアミド基、ジベンズアミド基が挙げられる。置換のアミド基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されたアミド基である。置換のアミド基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換のアミド基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基、例えば、トリフルオロアセトアミド基、ペンタフルオロベンズアミド基、ジトリフルオロアセトアミド基、ジペンタフルオロベンズアミド基が挙げられる。
酸イミド基は、酸イミドからその窒素原子に結合した水素原子を除いて得られる残基を意味する。酸イミド基の炭素原子数は、通常4〜20であり、4〜18が好ましい。非置換の酸イミド基としては、例えば、以下に示す基が挙げられる。
Figure 0005513039

(式中、Meはメチル基を示す。)
置換の酸イミド基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換された酸イミド基である。置換の酸イミド基の具体例としては、上記で具体的に例示した非置換の酸イミド基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
1価の複素環基とは、複素環式化合物から水素原子1個を除いた残りの原子団をいう。ここに複素環式化合物とは、環式構造をもつ有機化合物のうち、環を構成する元素として、炭素原子だけでなく、酸素原子、硫黄原子、窒素原子、リン原子、ホウ素原子、ケイ素原子、セレン原子、テルル原子、ヒ素原子などのヘテロ原子を含むものをいう。置換の1価の複素環基は、ハロゲン原子(特にフッ素原子)、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、1価の複素環基またはこれらの2種以上の組み合わせで置換された1価の複素環基である。これらのアルキル基、アリール基、アリールアルキル基および1価の複素環基は更にハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されていてもよい。1価の複素環基の炭素原子数は、非置換の1価の複素環基の炭素原子数として、通常4〜60であり、4〜20が好ましい。非置換の1価の複素環基としては、例えば、チエニル基、ピロリル基、フリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジル基、ピラジニル基、トリアジニル基、ピロリジル基、ピペリジル基、キノリル基、イソキノリル基が挙げられ、中でも、チエニル基、ピリジル基が好ましい。置換の1価の複素環基としては、例えば、上記で具体的に例示した非置換の1価の複素環基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基;C1〜C12アルキルチエニル基;C1〜C12アルキルピリジル基;C1〜C12アルキルチエニル基またはC1〜C12アルキルピリジル基中の少なくとも1個の水素原子をハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換した基が挙げられる。
置換のカルボキシル基は、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、1価の複素環基等の置換基で置換されたカルボキシル基を意味する。該置換基は更にハロゲン原子(特にフッ素原子)等で置換されていてもよい。置換のカルボキシル基の炭素原子数は、非置換の前記置換基で置換されたカルボキシル基の炭素原子数として、通常1〜60であり、好ましくは2〜48である。置換のカルボキシル基としては、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、イソブトキシカルボニル基、s−ブトキシカルボニル基、t−ブトキシカルボニル基、ペンチルオキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、ヘプチルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、2−エチルヘキシルオキシカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシロキシカルボニル基、3,7−ジメチルオクチルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、トリフルオロメトキシカルボニル基、ペンタフルオロエトキシカルボニル基、パーフルオロブトキシカルボニル基、パーフルオロヘキシルオキシカルボニル基、パーフルオロオクチルオキシカルボニル基、フェノキシカルボニル基、ナフトキシカルボニル基、ピリジルオキシカルボニル基が挙げられる。
前記一般式(II)において、Arは共役関係にある多重結合を2以上有する(1+n)価の基であり、多重結合としては、例えば、二重結合、三重結合が挙げられる。Arにおいては、共役関係にある多重結合の間でπ電子が非局在化しており、このπ電子の非局在化には窒素原子、酸素原子などが有する非共有電子対が関わってもよい。Arの具体例としては、前記一般式(II)で表される化合物の具体例として下記に挙げる化合物からEおよび全てのRを除いた残りの原子団が挙げられ、前記一般式(II)で表される化合物の好ましい具体例として下記に挙げる化合物からEおよび全てのRを除いた残りの原子団であることが好ましく、前記一般式(II)で表される化合物のより好ましい具体例として下記に挙げる化合物からEおよび全てのRを除いた残りの原子団であることがより好ましく、前記一般式(II)で表される化合物の更に好ましい具体例として下記に挙げる化合物からEおよび全てのRを除いた残りの原子団であることが更に好ましく、前記一般式(II)で表される化合物の特に好ましい具体例として下記に挙げる化合物からEおよび全てのRを除いた残りの原子団であることが特に好ましい。
前記一般式(I)で表される化合物の具体例としては、以下に掲げるものが挙げられる。式中、Eは前記式(I)中のEと同義であり、Rは、水素原子、フッ素原子またはフッ素系置換基、即ち、アルキル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールチオ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、アリールアルキルチオ基、アリールアルケニル基、アリールアルキニル基、置換のシリル基、アシル基、アシルオキシ基、イミン残基、アミド基、酸イミド基、1価の複素環基、もしくは置換のカルボキシル基中の少なくとも1個の水素原子をフッ素原子に置換した基であり、水素原子、フッ素原子またはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換のシリル基、もしくはアシル基中の少なくとも1個の水素原子をフッ素原子に置換した基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子またはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、もしくはアリールアルコキシ基中の少なくとも1個の水素原子をフッ素原子に置換した基であることがより好ましく、水素原子、フッ素原子またはアルキル基、アルコキシ基、もしくはアリール基中の少なくとも1個の水素原子をフッ素原子に置換した基であることが特に好ましい。ただし、Eおよび全てのR中のフッ素原子の数の合計が4個以上であり、複数個存在するRは、同一でも異なっていてもよい。
Figure 0005513039
前記一般式(II)で表される化合物のより具体な例としては、以下に掲げるものが挙げられる。

Figure 0005513039
Figure 0005513039
前記一般式(II)で表される化合物の具体例としては、以下に例示する化合物20〜35,50,51,53〜85,90〜112および120〜130が挙げられる。この中でも、安定性および合成の容易さの観点から、好ましくは化合物20、21、23、24、25、26、27、29、30、33、34、50、51、53、54、56、58、66、67、72、75、79、80、81、82、90、91、92、93、94、96、97、98、99、100、101、108、109、111、112、120および124であり、より好ましくは化合物20、21、23、24、25、26、27、34、50、53、80、82、90、91、92、93、94、96、97、98、108、109、111、120および124であり、更に好ましくは化合物20、21、23、24、25、26、27、50、90、120および124であり、特に好ましくは、20、21、50および90である。なお、下記式中のR、n、Eはそれぞれ前記式(II)中のR、n、Eと同義であり、mおよびpは0以上、n以下の整数である。E〜Eは前記結合基(E)または水素原子であり、ただし、EおよびEを有する化合物においてはEおよびEのいずれか一方が前記結合基(E)で、他方が水素原子であり、E〜Eを有する化合物においてはE〜Eのいずれか1つが前記結合基(E)で、残りが水素原子である。
Figure 0005513039
Figure 0005513039
Figure 0005513039
Figure 0005513039
前記式(II)で表される有機化合物のより具体的な例としては、以下に掲げるものが好ましい。式中、Eは前記式(II)中のEと同義であり、Rは独立に、水素原子、フッ素原子または前記のフッ素系置換基であり、水素原子、フッ素原子またはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、アリールアルコキシ基、置換のシリル基、もしくはアシル基中の少なくとも1個の水素原子をフッ素原子に置換した基であることが好ましく、水素原子、フッ素原子またはアルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリールオキシ基、アリールアルキル基、もしくはアリールアルコキシ基中の少なくとも1個の水素原子をフッ素原子に置換した基であることがより好ましく、水素原子、フッ素原子またはアルキル基、アルコキシ基、もしくはアリール基中の少なくとも1個の水素原子をフッ素原子に置換した基であることが更に好ましい。ただし、Eおよび全てのR中のフッ素原子の数の合計が4個以上であり、複数個存在するRは、同一でも異なっていてもよく、少なくとも2個が結合して環を形成してもよい。
Figure 0005513039
<無機材料>
本発明の電極における無機材料としては、該電極の用途に応じて、例えば電子工業分野、ディスプレイ分野等で公知のものを使用することができる。無機材料は1種単独でも2種以上を組み合わせても使用することができる。無機材料の具体例としては、ガラス、サファイア、半導体(例えば、シリコン等)、樹脂(例えば、ポリスチレンゲル等)、卑金属(例えば、亜鉛、アルミニウム、クロム、錫、ニッケル、銅、鉄、タングステン、コバルト等)、貴金属(例えば、白金、金、パラジウム、銀、ロジウム等)、酸化物(例えば、酸化シリコン等の半導体酸化物、インジウムスズ酸化物(ITO)、酸化スズ、酸化チタン、酸化モリブデン、酸化タングステン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ルテニウム、酸化ストロンチウムルテニウム、酸化バリウム、酸化インジウム、酸化亜鉛等の金属酸化物)、窒化物(例えば、窒化シリコン、窒化ガリウム等)、炭化物(例えば、炭化シリコン等)等が挙げられる。この中でも、金属(即ち、卑金属および貴金属)ならびに金属酸化物が好ましい。なお、無機材料の形状としては、例えば、層状、棒状、針状、櫛状、粒子状等が挙げられる。層状である場合、厚さは、例えば、0.1mm〜5cmであり、層状の無機材料(無機材料層)の表面に前記の有機材料が吸着する。
<基板>
本発明の電極は、通常、任意の構成要素として基板をさらに有することができる。基板を有する場合、本発明の電極は、基板と、有機化合物が吸着した無機材料とを含み、かかる基板の面上に前記無機材料が位置している構成とすることができる。
前記基板は、その面上に無機材料を配置させるとき、および、無機材料に有機化合物を吸着させて自己組織化単分子膜を形成するときに化学的に変化しないものであればよく、例えばガラス基板、プラスチック基板、高分子フィルム、金属フィルム、シリコン基板、これらの1種または2種以上を積層したものが好ましい。
<電極の製造方法>
次に、電極の製造方法を説明する。電極は、適切な環境で前記有機化合物を前記無機材料に吸着させることにより作製することができる。該吸着の方法としては、浸漬、塗布が挙げられる。浸漬又は塗布は、有機化合物の種類にもよるが、気相、液相、又は固相で行うことができ、取り扱いの容易さの観点から、液相で行うことが好ましい。浸漬又は塗布を気相で行う場合は、蒸着等の方法によって真空中で清浄な無機材料上に有機化合物を堆積させる方法を用いることができる。浸漬又は塗布を固相で行う場合は、前記有機化合物を清浄な無機材料上に擦りつける方法を用いることができる。浸漬又は塗布を液相で行う場合は、無機材料を有機化合物の溶液に浸す方法、有機化合物の溶液を無機材料に塗布する方法等を用いることができる。有機化合物の溶液に用いられる溶媒としては、該有機化合物の良溶媒を用いることができ、例えば、クロロホルム、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、クロロベンゼン、o−ジクロロベンゼン等の塩素系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、トルエン、キシレン、トリメチルベンゼン、メシチレン等の芳香族炭化水素系溶媒、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、n−ペンタン、n−ヘキサン、n−へプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、メチルベンゾエート、エチルセルソルブアセテート等のエステル系溶媒、エチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、プロピレングリコール、ジエトキシメタン、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、グリセリン、1,2−ヘキサンジオール等の多価アルコール及びその誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、シクロヘキサノール等のアルコール系溶媒、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド系溶媒、N−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド系溶媒が挙げられる。無機材料を有機化合物の溶液に浸漬し又は無機材料に有機化合物を塗布した後、該無機材料を有機化合物の良溶媒に接触させる工程を含む方法が好ましい。
いずれの方法を用いる場合も、無機材料の表面は清浄にしておく必要がある。ここで、無機材料表面に汚れ、ゴミ等が付着していると自己組織化単分子膜に欠陥が生じやすく、電極の性能を低下させるおそれがある。そのため、有機化合物を吸着させる直前に無機材料の洗浄を終えて、直ちに無機材料に有機化合物を吸着させる工程に入ることが好ましい。洗浄方法は無機材料の種類によっても異なるが、個々の無機材料について、公知の方法を用いることができる。欠陥の少ない電極を形成するためには、洗浄の最終工程で、オゾン、プラズマ等で処理することが好ましく、オゾン、酸素プラズマ等の活性酸素種で処理することがさらに好ましく、簡便さの観点から、オゾンで処理することが特に好ましい。
前記有機化合物の溶液濃度は有機化合物の種類によって異なるが、有機化合物を安定に溶解させることができる濃度範囲で調整することができる。自己組織化単分子膜を安定に得る観点からは、有機化合物の溶液濃度は、0.001〜1000g/Lであることが好ましく、0.01〜100g/Lであることがより好ましく、0.01〜10g/Lであることが特に好ましい。浸漬を液相で行う場合、無機材料を有機化合物の溶液に浸す時間は、有機化合物の種類によって異なるが、通常、100時間以内である。
また、使用する有機化合物の溶液は、不純物を極力除去したものを用いることが好ましい。特に、ゴミ、無機材料表面に吸着する性質の他の分子が混入していると、得られる自己組織化単分子膜に欠陥が生じやすく、電極の性能を低下させるおそれがある。
さらに、電極の形成方法によるが、浸漬後の無機材料に吸着した有機化合物以外の余分な有機化合物を除去することが好ましい。この除去の方法としては、液相で浸漬を行った場合には、浸漬に使用した溶媒により浸漬後の無機材料を洗浄する方法が挙げられる。この溶媒としては、前記有機化合物を溶解し、かつ自己組織化単分子膜を除去しないものを選択すればよい。通常、前記の液相での浸漬の場合、そこで使用した溶媒が一般に好ましい。その具体例としては上記で具体的に例示した溶媒が挙げられる。塗布により電極を形成する場合は一般にこのような余分な有機化合物が発生しやすいので、前記のとおりに除去することが好ましい。
以下、実施例および比較例を示して本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。本実施例および比較例では、有機化合物が吸着した無機材料を含む電極を作製し、有機EL素子用の陽極としての性能を評価した。なお、Phはフェニル基を表し、N、NおよびNはそれぞれ、ある有機化合物中の水素原子の数、炭素原子の数およびフッ素原子の数を表す。
・正孔輸送性材料
正孔輸送性材料としては、以下の方法で合成したものを用いた。
還流冷却器及びオーバーヘッドスターラを装備した1リットルの三つ口丸底フラスコに、2,7−ビス(1,3,2−ジオキシボロール)−9,9−ジ(1−オクチル)フルオレン(3.863g、7.283mmol)、N,N−ジ(p−ブロモフェニル)−N−(4−(ブタン−2−イル)フェニル)アミン(3.177g、6.919mmol)及びジ(4−ブロモフェニル)ベンゾシクロブタンアミン(156.3mg、0.364mmol)を添加した。次いで、メチルトリオクチルアンモニウムクロライド(アルドリッチ製、商品名Aliquat336(登録商標))(2.29g)、続いてトルエン50mLを添加した。PdCl(PPh触媒(4.9mg)を添加した後、混合物を、105℃の油浴中で15分間撹拌した。炭酸ナトリウム水溶液(2.0M、14mL)を添加し、得られた混合物を105℃の油浴中、16.5時間撹拌した。次いで、フェニルボロン酸(0.5g)を添加し、得られた混合物を7時間撹拌した。水層を除去し、有機層を水50mLで洗浄した。有機層を反応フラスコに戻し、ジエチルジチオカルバミン酸ナトリウム0.75g及び水50mLを添加した。得られた混合物を85℃の油浴中、16時間撹拌した。水層を除去し、有機層を100mLの水で3回洗浄し、次いでシリカゲル及び塩基性アルミナのカラムに通した。溶離剤としてトルエンを用い、溶出してきたポリマーを含むトルエン溶液を回収した。次いで、回収した前記トルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを沈殿させた。沈殿したポリマーを再度トルエンに溶解させ、得られたトルエン溶液をメタノールに注いでポリマーを再び沈殿させた。沈殿したポリマーを60℃で真空乾燥し、正孔輸送性材料4.2gを得た。ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによれば、得られた正孔輸送性材料のポリスチレン換算の重量平均分子量は124,000であり、分散(Mw/Mn)は2.8であった。
・発光性材料
発光性材料としてはSumation製(商品名Lumation BP361)を用いた。
・電子注入材料
電子注入材料としては、下記参考文献を参考にして公知の合成法に従い合成したPoly[9,9−bis(3′−((N,N−dimethyl−N−ethylammonium)−propyl)−2,7−fluorene)−alt−2,7−(9,9−diocthylfluorene)] Dibromideを用いた(参考文献:Chem. Mater. 16, 708(2004))。
<実施例1>
・電極1の作製
ガラス基板(厚さ:1mm)と該ガラス基板の一方の表面に成膜パターニングされたITO(無機材料、厚さ:150nm)とからなる積層体をクロロホルム、メタノール、アルカリ性洗剤の水溶液、蒸留水及びアセトンで順次洗浄した後にオゾンガスに15分間曝露することで、該積層体中のITOの表面から付着物を取り除いた。この積層体を式:CFCFCFCOClで表される有機化合物A(式:N/(N・N)で計算される値が0)のCHCl溶液(1mM)に浸し、15分間静置した後に引き上げ、CHClを吹きかけて、多分子層を形成する余分な有機化合物Aを除去して有機化合物Aの吸着層が主として単分子膜となるように洗浄し、Arガスを吹きかけて乾燥させることで、電極1を形成させた。得られた電極1中のITOが成膜パターニングされている側の表面の仕事関数を理研計器株式会社製の光電子分光装置AC2を用いて測定したところ、5.29eVであった。
・有機EL素子の作製
正孔輸送性材料とキシレンとを混合し、0.7重量%の正孔輸送性材料を含む正孔輸送層形成用組成物を得た。電極1を陽極として用い、そのITOが成膜パターニングされている側の表面上に正孔輸送層形成用組成物をスピンコート法により塗布し、膜厚20nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた電極1を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、200℃で15分間加熱し、塗膜を不溶化させた。その後、こうして得られた電極を室温まで自然冷却させ、正孔輸送層が形成された積層体を得た。
発光性材料とキシレンとを混合し、1.4重量%の発光性材料を含む発光層形成用組成物を得た。上記で得た正孔輸送層が形成された積層体の正孔輸送層の上に、発光層形成用組成物をスピンコート法により塗布し、膜厚80nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた積層体を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた。その後、該積層体を室温まで自然冷却させ、発光層が形成された積層体を得た。
次に、電子注入材料とメタノールを混合し、0.2重量%の電子注入材料を含む電子注入層形成用組成物を得た。上記で得た発光層が形成された積層体の発光層の上に、電子注入層形成用組成物をスピンコート法により塗布し、膜厚10nmの塗膜を得た。この塗膜を設けた積層体を不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)、130℃で15分間加熱し、溶媒を蒸発させた。その後、該電極を室温まで自然冷却させ、電子注入層が形成された積層体を得た。
次に、上記で得た電子注入層が形成された積層体を真空装置内に挿入し、真空蒸着法によって電子注入層の上にAlを100nm成膜し、陰極を形成させた。こうして得られた積層体を真空装置より取り出し、不活性雰囲気下(窒素雰囲気下)で、封止ガラスと2液混合型エポキシ樹脂にて封止し、有機EL素子1を得た。
得られた有機EL素子1に15Vの順方向電圧を印加し、電流密度および発光輝度を測定した。結果を表1に示す。
<実施例2>
・電極2の作製
実施例1において、有機化合物Aを用いる代わりに、下記式:
Figure 0005513039

で表される有機化合物B(式:N/(N・N)で計算される値が0.06)を用いた以外は実施例1と同様にして電極2を作製した。得られた電極2中のITOが成膜パターニングされている側の表面の仕事関数を理研計器株式会社製の光電子分光装置AC2を用いて測定したところ、5.26eVであった。
・有機EL素子の作製
実施例1において、電極1の代わりに電極2を陽極として用いた以外は実施例1と同様にして有機EL素子2を得た。
得られた有機EL素子2に15Vの順方向電圧を印加し、電流密度および発光輝度を測定した。結果を表1に示す。
<比較例1>
・電極3の作製
実施例1において、有機化合物Aを用いる代わりに、下記式:
Figure 0005513039

で表されるフッ素原子不含の有機化合物Cを用いた以外は実施例1と同様にして電極3を作製した。得られた電極3中のITOが成膜パターニングされている側の表面の仕事関数を理研計器株式会社製の光電子分光装置AC2を用いて測定したところ、4.83eVであった。
・有機EL素子の作製
実施例1において、電極1の代わりに電極3を陽極として用いた以外は実施例1と同様にして有機EL素子3を得た。
得られた有機EL素子3に15Vの順方向電圧を印加し、電流密度および発光輝度を測定した。結果を表1に示す。
<比較例2>
・電極4の作製
実施例1において、前記積層体の有機化合物AのCHCl溶液への浸漬以降の操作を省略した以外は実施例1と同様にして電極4を得た(即ち、ITOの表面から付着物を取り除いた前記積層体をそのまま電極4として用いた)。得られた電極4中のITOが成膜パターニングされている側の表面の仕事関数を理研計器株式会社製の光電子分光装置AC2を用いて測定したところ、5.22eVであった。
・有機EL素子の作製
実施例1において、電極1の代わりに電極4を陽極として用いた以外は実施例1と同様にして有機EL素子4を得た。
得られた有機EL素子4に15Vの順方向電圧を印加し、電流密度および発光輝度を測定した。結果を表1に示す。
Figure 0005513039
<評価>
表1から分かるように、本発明の電極から得られた有機EL素子は、比較例で作製した電極から得られた有機EL素子に比べ、電流密度および発光輝度が高いことが分かる。

Claims (3)

  1. 下記一般式(I)で表される有機化合物、下記一般式(II)で表される有機化合物またはこれらの組み合わせが吸着した無機材料を含む有機エレクトロルミネッセンス素子用または光電変換素子用の電極であって、
    該有機化合物は、いずれもフッ素原子を少なくとも4個有し、式:NH/(NC・NF)(式中、NHは該有機化合物中の水素原子の数を表し、NCは該有機化合物中の炭素原子の数を表し、NFは該有機化合物中のフッ素原子の数を表す。)で計算される値が0以上、0.18以下であることを特徴とする前記電極。
    Figure 0005513039
    (式中、
    1はクロロスルホニル基、または、クロロカルボニル基であり、
    1〜R3は独立にクロロスルホニル基、クロロカルボニル基、水素原子、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、ハロゲン原子で置換されたアルキル基であり、ただし、E1およびR1〜R3中のフッ素原子の数の合計が4個以上である。)
    Figure 0005513039
    (式中、
    nは1以上の整数であり、
    Arは共役関係にある多重結合を2以上有する(1+n)価の基であり、
    1は前記と同義であり、
    4は独立にメルカプト基、クロロスルホニル基、スルホ基、クロロカルボニル基、カルボキシル基、ジクロロホスホリル基、ホスホノ基、ヒドロキシ基、シアナト基、イソシアナト基、非置換のアミノ基、置換のアミノ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、よう素原子、非置換もしくは置換のアルキル基、非置換もしくは置換のアルコキシ基、非置換もしくは置換のアルキルチオ基、非置換もしくは置換のアリール基、非置換もしくは置換のアリールオキシ基、非置換もしくは置換のアリールチオ基、非置換もしくは置換のアリールアルキル基、非置換もしくは置換のアリールアルコキシ基、非置換もしくは置換のアリールアルキルチオ基、非置換もしくは置換のアリールアルケニル基、非置換もしくは置換のアリールアルキニル基、非置換もしくは置換のシリル基、非置換もしくは置換のアシル基、非置換もしくは置換のアシルオキシ基、非置換もしくは置換のイミン残基、非置換もしくは置換のアミド基、非置換もしくは置換の酸イミド基、非置換もしくは置換の1価の複素環基、置換のカルボキシル基、またはシアノ基であり、
    ただし、E1および全てのR4中のフッ素原子の数の合計が4個以上であり、nが2以上の整数である場合、複数個存在するR4は、同一でも異なっていてもよく、少なくとも2個が結合して環を形成してもよい。)
  2. 電極の表面の最高占有分子軌道(HOMO)の軌道エネルギーが−4.8eV〜−5.8eVであることを特徴とする請求項に記載の電極。
  3. 前記無機材料が金属、金属酸化物またはこれらの組み合わせを含む材料である請求項1または2に記載の電極。
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