JP5511427B2 - 抽出分離用吸着剤および極性化合物の分離法 - Google Patents

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Description

本発明は、有機化合物の定性および定量を行う化学分析および分離分析において、環境や食品などの試料中から測定対象物である極性化合物を抽出分離し、非測定対象である夾雑物質を分離除去するための抽出分離用吸着剤および極性化合物の分離法に関するものである。
現在、数万〜10万種類にも及ぶとされる化学物質が年間数億トンもの規模で生産されているが、これらによる環境汚染と共に、人や生態系への悪影響も懸念され、管理、監視体制のさらなる強化が求められている。1999年交付の「特定化学物質の環境への排出量の把握等および管理の改善の促進に関する法律」に基づく環境汚染物質排出・移動登録(PRTR)制度により、大量に使用される物質はその使用量および環境への排出量の把握努力がされている。しかしながら、PRTR制度の対象化学物質は数百物質程度にすぎず、使用量の少ない化学物質、個人事業や家庭内などで使用される化学物質に関しての実態は把握されていない。一方、食品に関しても残留農薬や食品添加物の大量使用による健康への影響が問題視されている。近年、「食の安全・安心」が叫ばれる中、2002年のBSE発生を引き金に牛肉偽装、中国産冷凍野菜問題、無登録農薬事件が連鎖的に発生し、さらに、2007〜8年にかけ、中国産冷凍餃子事件、汚染米事件、中国でのメラミン混入事件など再び食害の連鎖反応が起きた。食品の成分に係わる規格(残留基準)に関しては旧来より定められていたが、2003年の食品衛生法改正に伴い、食品中に残留する農薬、飼料添加物及び動物医薬品(農薬など)について、一定量を超えて農薬などが残留する食品の販売などを原則的に禁止するというポジティブリスト制度が2006年5月から施行された。
環境や食品に限らず、監視や規制すべき有害性の高い化合物に関しては、例え微量であっても正確な測定が必要である。近年の機器分析法の飛躍的な進歩により、ppb〜pptレベルの極微量化合物の高感度測定が可能となった。しかしながら、環境や食品中に存在する微量化合物の測定においては、多種多彩な夾雑物質の妨害により、信頼性のある結果を得ることが難しい。また、夾雑物質があたかも対象化合物のように振る舞い、誤検出や大きな正誤差を生じてしまう恐れもある。つまり、分析の成否は、高度に存在する夾雑物質を如何に分離・除去するかといった前処理に大きく依存している。多種多彩な要求や、年々増加する検体数に対応するためには、前処理の高度化、省力化、迅速化が重要な課題である。
夾雑物質が多量に含まれる環境や食品試料の前処理は、溶媒抽出法による予備抽出後、固相抽出法によって精製するといった手法が一般に用いられている。例えば、食品分析においては、ポジティブリスト制度の施行に伴い、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品成分である物質の試験法について」が、食安発第0124001号として厚生労働省から平成17年1月24日付で告示(非特許文献1)され、その後、「食品に残留する農薬、飼料添加物又は動物用医薬品成分である物質の試験法について(一部改正)」が、食安発第1129002号として平成17年11月29日に通知(非特許文献2)されている。ポジティブリスト制度に関わる試験方法は、旧厚生省時代の平成9年4月8日に通知されている「残留農薬迅速分析法の利用について」(平成9年衛化第43号、非特許文献3)が基となっている。この通知試験方法では、高度な分析機器であるGC−MSやLC−MSを用いた一斉試験法が多数採用されている。衛化第43号に示される試料前処理における主な工程は、図7に示すように、溶媒抽出→GPC分画→濃縮という順に行われる。また、予備抽出液から固相抽出法を用いて直接抽出・濃縮が行われる場合もある。
固相抽出法の基本原理は、溶媒抽出法と同様に二相間での溶質の分配に基づくものであるが、固相抽出法では液相と不溶性の固相とにより構成され、被検成分の固相への親和力を利用して抽出が行われる。固相抽出法は優れた捕集効率と有機溶媒使用量の低減といった環境配慮性が評価されて広く普及している。また、溶離液の強度を段階的に変化させることで、固相に抽出された成分を順次溶出させて分画・分離を行うことも可能である。固相抽出法は選択性や精製度などの点で溶媒抽出法と比較して優れており、多彩な目的に対する高い順応性を持っている。固相抽出剤としては、オクタデシル基結合シリカゲル(一般に、ODSまたはC18と呼ばれる)やポリスチレンゲルなどの主に疎水性相互作用を利用した所謂逆相型固相抽出剤が主流となっている。旧来から使用されている農薬は脂溶性化合物が多いため、これらの疎水性固相抽出剤を用いて予備抽出液から容易に抽出でき、夾雑物質との分離も可能である。しかしながら、近年においては、生分解性が高く、蓄積性の低い、つまり親水性の高い農薬が多用されており、既存の抽出技術では対応困難な場合も多い。特に、疎水性固相抽出剤は疎水性相互作用のみに頼って測定対象化合物を抽出するため、極性化合物の抽出には必ずしも有効であるとはいえない。
このような課題を解消するため、副次的な相互作用を発現する官能基を共存させて極性化合物の抽出を促進しようとする試みもなされている。特許文献1には、ジビニルベンゼンとN−ビニルピロリドンとの共重合体を利用した固相抽出剤に関して開示されており、この固相抽出剤を用いることで極性化合物から疎水性化合物までの広い範囲の化合物を一斉に抽出可能であるとされている。これらの固相抽出剤とGC−MSまたはLC−MSとの融合により多成分一斉分析が達成されている。しかしながら、このような固相抽出剤は、高極性化合物やイオン性化合物のような水溶性の高い化合物に対する選択性・特異性は非常に低い。実際、前述の通知試験法においても、高極性農薬などに関しては、抽出効率が低い、他の成分と抽出条件が異なるなどの課題から、一斉試験法は採用されておらず個別試験法が通知されている。イオン性化合物の抽出特性を改善するため、上記ジビニルベンゼンとN−ビニルピロリドンとの共重合体にイオン交換基を導入した固相抽出剤が特許文献2に開示されている。この固相抽出剤を用いることにより、イオン交換相互作用と疎水性相互作用との複合効果によりイオン性化合物の抽出率を高めることが可能となった。しかしながら、疎水性が低くかつイオン性も低い化合物や、非イオン性の極性化合物などの抽出率は低く、満足行く抽出結果を得ることは難しい。
近年、高速液体クロマトグラフィーの新規な分離機構として親水性相互作用が注目を浴びている(非特許文献4)。親水性相互作用とは、吸着剤の親水基に基づく極性や水素結合などの相互作用や、吸着剤に保持された水相への分配などの複合的な相互作用である。この分離系は極性固定相とアセトニトリルなどの極性移動相とにより構成され、極性固定相への親和性を利用して極性化合物の分離を行うものである。この親水性相互作用を固相抽出法に利用できれば、疎水性固相抽出剤では高回収率が望めない極性化合物の抽出が容易となる。被検溶液の溶媒としては極性有機溶媒が用いられるため、食品分析で多用される極性有機溶媒による予備抽出液からの極性化合物の抽出に有効な手法となる。また、極性化合物の溶出には水または塩水溶液を用いるため、ODS(C18)のような逆相高速液体クロマトグラフィーで分離分析を行う場合には最適な前処理手法となる。親水性相互作用に用いられる吸着剤としては、アミノ基、アミド基、ジオール基などを結合したシリカゲルがあるが、これらの吸着剤の極性化合物に対する本質的な親和性は必ずしも高くはない。高速液体クロマトグラフィーにおいては、連続的な分離平衡によって分離を行うため高い親和性は必要としないが、固相抽出法においては捕捉された化合物が試料中に含まれる夾雑成分や有機溶媒により溶出してしまうことがないような高い親和性が必要となる。
この課題に対して、非特許文献5および非特許文献6に親水性樹脂に両性イオンであるスルホベタインを導入した固相抽出剤に関する報告がある。この報告によれば、アンチカオトロピック性であるスルホベタイン基の高い水和力によって吸着剤表面に水和層が形成され、この水和層に効率的に極性化合物が抽出されることとなる。この文献では、親水性相互作用を発現するとされる市販の固相抽出剤との比較において、スルホベタイン型固相抽出剤は種々の極性化合物に対して最も高い回収率を示したとされている。この文献に従えば、この固相抽出剤は極性化合物の抽出や極性化合物の高速液体クロマトグラフィーに有効な吸着剤・分離剤であるといえる。しかし、両性イオンは分子内での自己中和により非イオン性化合物として挙動するとされているが、実際の測定に用いる場合には対イオンが結合してしまい正または負の荷電を帯びていると考えられる。例えば、測定試料中にナトリウムイオンが大量に存在する場合には、スルホ基がナトリウム型になってしまうため、四級アンモニウム基に基づく正の荷電を帯びてしまうこととなる。特に、スルホベタイン基はイオン性が高いため、測定対象化合物によっては強いイオン交換相互作用またはイオン排除相互作用が加味された親水性相互作用により抽出分離されることとなる。実際、非特許文献5および非特許文献6に記載の方法によればスルホ基は対イオンとしてナトリウム持っていることとなる。さらに、報告されている官能基の導入量は決して高いとはいえず、かつ水和層(保水量や水和層の厚さ)の調整、つまり疎水性相互作用の調整は容易ではないものと考えられる。
特許公表2000−514704号公報 特許公表2002−517574号公報
厚生労働省、食安発第0124001号、平成17年1月24日付通知 厚生労働省、食安発第1129002号、平成17年11月29日付通知 厚生省、衛化第43号、平成9年4月8日付通知 A.J. Alpert:Journal of Chromatography、vol.499、p.177 (1990). T. Tsukamoto、A. Yamamoto、W. Kamichatani and Y. Inoue:Chromatographia、vol.70、p.1525 (2009) T. Tsukamoto、M. Yasuma、A. Yamamoto、K. Hirayama、T. Kihou、S. Kodama and Y. Inoue:Journal of Separation Science、vol.32、p.3591 (2009)
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたもので、夾雑成分を多量に含む試料中の極性化合物の化学分析及び分離分析において使用される、両性イオン性の高分子が親水性基材の表面に化学的に結合された親水性相互作用を発現する極性化合物のための抽出分離に好適な吸着剤を提供することを目的とする。
本発明の発明者が鋭意研究を行った結果、分子内にイミノ基またはアミノ基とカルボキシル基を多数有する水溶性の両性イオン性高分子を親水性基材に化学的に結合させることにより、親水性相互作用によって極性化合物を効率よく抽出分離することが可能な吸着剤が得られることを見いだした。
本発明において、親水性基材に化学的に結合される水溶性の両性イオン性高分子は、下記式(1)に示されるジアリルアミン−マレイン酸共重合体または下記式(2)に示されるアリルアミン−マレイン酸共重合体、およびこれらの混合物である。
Figure 0005511427
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本発明において使用される親水性基材は、イミノ基またはアミノ基と反応することが可能な反応性モノマーと架橋性モノマーとの共重合反応により得られる親水性の共重合体、または、イミノ基またはアミノ基と反応することが可能な官能基を導入可能な親水性の共重合体である。
本発明においては、式(1)または式(2)に代表される分子内にイミノ基またはアミノ基とカルボキシル基を多数有する水溶性の両性イオン性高分子を親水性基材に結合した後、導入された両性イオン性高分子同士をエポキシ化合物を用いて架橋させる。
本発明においては、式(1)または式(2)に代表される分子内にイミノ基またはアミノ基とカルボキシル基を多数有する水溶性の両性イオン性高分子を親水性基材に結合した後のエポキシ化合物による架橋反応時に、エポキシ化合物と共に当該両性イオン性高分子を更に添加して架橋を行う。この方法により、保水量や水和層の状態を調節する。
本発明によれば、分子内にイミノ基またはアミノ基とカルボキシル基を多数有する水溶性の両性イオン性高分子を親水性基材に化学的に結合させることにより、極性化合物の抽出分離に適した吸着剤を容易に得ることが可能である。本発明の吸着剤は、極性有機溶媒を用いた環境や食品などの試料の予備抽出液から親水性相互作用によって極性化合物を選択的に抽出分離することが可能であると共に、高親水性高分子による吸着剤表面の高度な被覆により疎水性化合物が捕捉されることがないため、環境や食品などの試料中の極性化合物の前処理用固相抽出剤および高速液体クロマトグラフィー用分離剤として好適な吸着剤となりうる。
図1は、本発明の吸着剤の両性イオン性高分子の結合状態および架橋反応による両性イオン性高分子の結合状態の変化を示す概念図である。 図2は、本発明の吸着剤を固相抽出法に用いる場合のシリンジ型固相抽出カートリッジの一例である。 図3は、本発明の吸着剤を固相抽出法に用いる場合のルアー型固相抽出カートリッジの一例である。 図4は、本発明の吸着剤を固相抽出法に用いる場合の操作フローを示したものである。 図5は、本発明の両性イオン性高分子結合吸着剤A、B、Cおよび比較例のスルホベタイン型吸着剤における極性化合物の抽出回収率を比較したグラフである。 図6は、本発明の両性イオン性高分子結合吸着剤D、EおよびFを用いて高速液体クロマトグラフィーにより核酸塩基類を分離したクロマトグラムである。 図7は、食品中の残留農薬迅速分析法の操作フローを示した説明図である。
本発明では、分子内にイミノ基またはアミノ基とカルボキシル基を多数有する水溶性の両性イオン性高分子を親水性基材に化学的に結合させることにより極性化合物の抽出分離に適した吸着剤を製造する。
本発明において親水性基材に結合される水溶性の両性イオン性高分子としては、下記式(1)に示されるジアリルアミン−マレイン酸共重合体または下記式(2)に示されるアリルアミン−マレイン酸共重合体が用いられ、これら共重合体単独またはこれら共重合体を混合して親水性基材に結合してもよい。これらの両性イオン性高分子は、例えば、ジアリルアミンまたはアリルアミンと無水マレイン酸との共重合により得られる共重合体を加水分解することにより得ることができる。ジアリルアミンまたはアリルアミンと無水マレイン酸との存在比(式(1)および式(2)におけるn:m)は概ね1:1である。これらの高分子の分子量を正確に求めることは難しいが、本発明においては大凡の平均分子量として5、000〜100、000のものが用いられる。これらの高分子は水溶性であり、それぞれのイオン性基の周りに多数の水分子が水和しており、高い保水性を示す。一般に、高分子は直鎖状に伸長しているのではなく、螺旋状または球状構造を取っており、これらの構造内部には多数の水分子が保持されている。親水性相互作用においては両性イオン性高分子のイオン性基も極性化合物の抽出に有効に寄与することができるが、イオン交換相互作用またはイオン排除相互作用が強く発現することは好ましくはない。そのため、本発明においては、弱陽イオン性および弱陰イオン性の官能基を有する両性イオン性高分子を使用する。
Figure 0005511427
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上記、式(1)または式(2)に示すイミノ基またはアミノ基とカルボキシル基を多数有する両性高分子としては、アミノアルキル(メタ)アクリレートあるいはアミノアルキルアクリルアミドと(メタ)アクリル酸の共重合体があげられる。このような両性高分子は,アミノアルキル(メタ)アクリレートあるいはアミノアルキルアクリルアミドと(メタ)アクリル酸との共重合により得ることができるが,アミノアルキル(メタ)アクリレートあるいはアミノアルキルアクリルアミドと(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとの共重合により得られる共重合体のエステル部分を加水分解してすることにより得ることもできる。アミノアルキル(メタ)アクリレートあるいはアミノアルキルアクリルアミドとしては、N,N-ジメチルアミノエチルアクリレート,N,N-ジメチルアミノエチルメタクリレート,N,N-ジエチルアミノエチルメタクリレート,N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミド等があげられる。また、(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとしては、メチルメタクリレート、メチルアクリレート、エチルメタクリレート、エチルアクリレートなどがあげられる。さらに、イミノ基またはアミノ基とカルボキシル基を多数有する両性高分子としては、グリシジル(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸あるいは(メタ)アクリル酸のアルキルエステルとの共重合体のグリシジル基に各種アミンを反応させたものも使用することが可能である。(メタ)アクリル酸のアルキルエステルを用いた場合には、グリシジル基にアミンを反応させた後、エステルの加水分解を行う。
本発明においては、親水性相互作用を明確に発現させるため、前記両性イオン性の高分子を結合する基材にも親水性のものが使用される。親水性基材としては、公知の方法により、親水性モノマーと親水性架橋性モノマーとの共重合により得ることが可能であるが、前記両性イオン性の高分子を化学的に結合させるため、反応性官能基を有する必要がある。このような反応性基材は、反応性モノマーと架橋性モノマーとの共重合、または親水性基材に後反応により反応性官能基を導入することにより得られる。前記両性イオン性高分子の結合においては、イミノ基またはアミノ基との反応、またはカルボキシル基との反応により行うことが可能であるが、結合反応の容易さおよび反応生成物の安定性の点を考えると、イミノ基またはアミノ基との反応を利用するのが有利である。従って、本発明においては、反応性官能基として、イミノ基またはアミノ基と反応可能な官能基を有する基材が用いられる。
イミノ基またはアミノ基と反応可能な官能基を有する親水性基材の一つの形態は、イミノ基またはアミノ基と反応可能な官能基を有する親水性のビニルモノマーと、2個以上のビニル基を有する親水性の架橋性モノマーとの共重合によって得られる架橋性高分子である。イミノ基またはアミノ基と反応する官能基を有する親水性のビニルモノマーの官能基としては、ハロゲン化アルキル基、エポキシ基などがあげられる。ハロゲン化アルキル基を有する反応性モノマーとしては、例えば、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−クロロエチルメタクリレート、2−クロロエチルアクリレートなどがあげられる。エポキシ基を有する官能性モノマーとしては、例えば、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレートなどがあげられる。これらモノマーと共重合が可能なビニル基を2個以上有する親水性の架橋性モノマーとしては、エチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、ネオペンチルグリコールトリメタクリレートなどの多官能メタクリレート系モノマー、この他、トリアリルイソシアヌレート、トリメタアリルイソシアヌレートなどのシアヌル酸骨格を持つ架橋性モノマーなどがあげられる。また、親水性基材の親水性や水素結合性などの物性を改善するために、第三のビニルモノマーを添加することも可能である。物性改善のためのビニルモノマーとしては、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、モルホリノアクリルアミドなどのアミド系モノマー、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、グリセリンメタクリレート、ネオペンチルグリコールメタクリレート、トリメチロールプロパンメタクリレートなどのメタクリレートモノマー、さらにはN−ビニルピロリドンなどがあげられる。
本発明の親水性基材において、イミノ基またはアミノ基と反応する官能基を有するビニルモノマーの量は、全ビニルモノマーに対して20〜80重量%、好ましくは30〜80重量%であり、十分な硬度を確保するためにビニル基を2個以上有する親水性の架橋性モノマーは少なくとも20重量%以上用いる。また、親水性基材の親水性や水素結合性などの物性を改善するために添加される他のビニルモノマーは、0〜20重量%で用いるのが好ましい。
イミノ基またはアミノ基と反応可能な官能基を有する親水性基材のもう一つの形態は、水酸基を多数有する親水性担体に、イミノ基またはアミノ基と反応可能な官能基を化学反応によって導入することにより得られる。水酸基を多数有する親水性担体としては、ポリビニルアルコール系架橋性樹脂、ヒドロキシメタクリレート系架橋性樹脂などの合成高分子系の親水性担体、さらにはセルロース、デキストランなどの多糖類を原料とする親水性担体などを使用することができる。イミノ基またはアミノ基と反応する官能基としては、ハロゲン化アルキル基、エポキシ基などがあげられる。これらの官能基は、親水性担体の水酸基に、エピクロロヒドリンやポリグリシジルエーテルを反応させることでエポキシ基を導入することが可能である。導入されたエポキシ基は必要に応じてハロゲン化水素酸で処理することで、イミノ基またはアミノ基と反応するハロゲン化アルキル基(クロロヒドリン基)に変換することも可能である。また、親水性担体の水酸基をピリジン中で塩化チオニルとの反応で水酸基を塩素化することが可能であり、このような方法によってハロゲン化アルキル基を導入しても良い。
本発明においては、高い捕捉能が要求されるため、十分な比表面積を有する多孔質の基材が必要となる。また、結合させる官能基が高分子であるため、高分子が細孔内部まで浸透できるだけの細孔径が必要である。そのため、ビニルモノマーの共重合時に、ビニルモノマーと相溶性を持ちかつ重合反応に寄与しない細孔調節剤となる溶媒を存在させて共重合を行う。細孔調節剤は、使用するモノマーの物性により適宜選択されるものであるが、一般的に、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、酢酸ブチル、フタル酸ジメチルなどのエステル類、アミルアルコール、オクチルアルコールなどの難溶性アルコール類、オクタン、ドデカンなどのパラフィン類が使用され、重合性モノマー100重量部に対して30〜200重量部、好ましくは60〜150重量部の範囲で使用する。多孔質の基材の細孔径、比表面積は捕捉対象成分や共存成分の特性にも依存するが、本発明においては、非膨潤時の細孔物性として、平均細孔径10〜50nm、比表面積10〜800m/gのものを用いるのが好ましい。
本発明において使用される親水性基材の粒子径は任意に設定することができるが、一般に、固相抽出用としては平均粒子径で25〜200μm、高速液体クロマトグラフィー用としては2〜20μmのものが用いられる。また、親水性基材の形状に関しては、不定形の破砕型であっても、球形であってもかまわない。流量特性や分離能を重視する場合には球状のほうが好ましく、この場合には、懸濁重合法により球状の共重合体を得るのが効率的である。
図1に、本発明の吸着剤の両性イオン性高分子の結合状態および架橋反応による両性イオン性高分子の結合状態の変化を示す。本発明において、両性イオン性高分子13の親水性基材11への結合は、両性イオン性高分子13中のイミノ基またはアミノ基と、親水性基材11中のイミノ基またはアミノ基と反応する反応性の官能基との反応により行われる。この場合、両性イオン性高分子13中のカルボキシル基との反応が生じてしまう可能性もあるため、アルカリ条件下で反応を行う。すなわち、導入目的の両性イオン性高分子13を、水、または必要に応じてアルコール、ジメチルホルムアミドなどの水溶液中に溶解し、その溶液中に親水性の反応性官能基12を有する親水性基材を分散させて、攪拌しながら、室温〜80℃で、3〜24時間反応させる。両性イオン性高分子13中にはイミノ基またはアミノ基が多数存在しているため、親水性基材11中の複数の反応性官能基12と反応する。また、高分子鎖間の絡み合いも存在するため、本発明の吸着剤10は、図1a)に示すように、親水性基材11が両性イオン性高分子13によって被覆された状態となっている。尚、両性イオン性高分子13の導入量は、両性イオン性高分子13の量および濃度、反応温度などにより調節する。上記の反応により、水和性を有する両性イオン性高分子13を結合した親水性相互作用を示す吸着剤10を合成することができる。
上述のように、親水性基材11に結合された両性イオン性高分子13は層状になって親水性基材11を覆っているため、親水性基材11表面に水和層が形成され、この状態で親水性相互作用が発現する。さらに保持される水の量を増加して相互作用を明確に発現させるためには、親水性基材11に結合された両性イオン性高分子13の自由度を少し制限することで、吸着剤表面の水和層をさらに強くすることが可能である。高分子鎖の自由度を制限する方法としては、架橋により高分子鎖同士を結合させるという方法を用いる。この架橋により形成される三次元空間に水のクラスターが形成されて水和層が強くなるものと推定される(図1b)。図中14が架橋部位である。架橋の方法としては、親水性基材11に両性イオン性高分子13を結合させた後、アルカリ条件下で適切なエポキシ化合物を反応させればよい。例えば、ジアリルアミンとマレイン酸との共重合体を結合した吸着剤の場合には、下記式(3)に示すように、両性イオン性高分子13同士が残存イミノ基とエポキシ化合物との反応によって架橋されると同時に、エポキシ基の開環反応によって新たな水酸基が生成し、吸着剤の親水性を増強することとなる。エポキシ化合物としては、エピクロロヒドリンのようなエピハロヒドリン類、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコールなどのジオール(グリコール)のジグリシジルエーテル類、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール、ソルビトールなどのポリオールのポリグリシジルエーテル類などを使用することができる。これらエポキシ化合物による架橋の度合いは両性イオン性高分子13の自由度や表面の存在状態に影響するため、固定される水和層の厚さと状態が変化する。架橋度が高すぎる場合には、両性イオン性高分子13が固い層状となるため、水和層が形成されにくくなってしまう。エポキシ化合物による架橋度を測定することは困難であるため、反応時の試薬量で調節を行う。親水性基材11に両性イオン性高分子13を導入した後、導入された窒素量を測定し、窒素量の2〜20モル%のエポキシ化合物を用いて架橋反応を行う。なお、この架橋反応によって、ジアリルアミンとマレイン酸との共重合体の場合には三級アミノ基が、アリルアミンとマレイン酸との共重合体の場合には二級アミノ基が生成される。この三級または二級アミノ基はイオン交換相互作用を発現するため、被検化合物の特性によって架橋度を調節する。この手法を応用することで、親水性相互作用とイオン交換相互作用との複合作用によって、被検化合物を抽出分離させることも可能である。
Figure 0005511427
さらに水和層を厚くして親水性相互作用を強く発現させるために、架橋反応時にエポキシ化合物と共に両性イオン性高分子13を添加して反応を行うという方法をとることができる。この方法を用いることにより、図1c)に示すように、一次反応により導入された両性イオン性高分子13が架橋されて明確な三次元構造を持った層状構造となると同時に、追加した両性イオン性高分子13がさらに架橋反応して、両性イオン性高分子層を厚くすることができる。このような方法により、保持される水の量を増加させて親水性相互作用を増強することが可能である。当然のことであるが、この反応を繰り返し行うことで結合される両性イオン性高分子13の量および厚さが増加するため、繰り返し回数によってその度合いを調節することが可能である。
本発明により製造される親水性相互作用を発現する吸着剤10は、固相抽出法による極性化合物の抽出または高速液体クロマトグラフィーによる極性化合物の分離に利用される。
吸着剤10を固相抽出法に用いる場合には、例えば、図2または図3に示すような固相抽出カートリッジ(カラム)に充填して使用する。図2には、シリンジ型の固相抽出カートリッジ20を示す。吸着剤10は、下部フリット40が挿入されている円筒状のエンプティカラムボディに充てんされ、上部フリット30を挿入して固定される。図3には、ルアー型の固相抽出カートリッジ50を示す。吸着剤10は、下部フリット40が挿入されているエンプティカラムボディ51に充てんされ、上部フリット30を挿入した後、エンプティカラムキャップ52が挿入されて固定される。ここで、53が溶液の入口となる上部接続部、54が溶液の出口となる下部接続部である。
このような固相抽出カートリッジ(カラム)の使用方法の一例について図4を用いて説明する。測定試料、例えば、食品試料のホモジナイズを行い、アセトニトリルまたはアセトンなどの水と混和する極性有機溶媒で予備抽出(調整)を行う。予備抽出後、必要に応じて濾過、希釈などを行う。
固相抽出用カートリッジには、アセトニトリル、水、90%アセトニトリルの順で、例えば各10mLずつ通液し、コンディショニングを行う。必要に応じて、アセトニトリルの代わりにアセトンやテトラヒドロフランなど、水の代わりに、緩衝液や酸塩基などを用いても良い。
コンディショニング済みのカートリッジに予備抽出した試料溶液を、例えば20mLを通液し、測定対象の極性化合物を吸着剤10に捕捉し、濃縮させ、抽出する。
その後、測定対象の極性化合物が溶出しない範囲の水を含む水と混和する極性有機溶媒、例えば、アセトニトリル(必要に応じて、アセトンやテトラヒドロフランなど)を用いて、カートリッジ内の不要成分を洗浄する。
洗浄後、水(必要に応じて、緩衝液や酸塩基、極性有機溶媒を添加した溶液など)で極性化合物を溶出する。極性化合物を含む溶出液は、高速液体クロマトグラフィーや吸光光度法などを用いて溶液中の濃度を求める。
本発明の吸着剤10を高速液体クロマトグラフィーに用いる場合には、適切な内径と長さ、または内容積のエンプティカラムに高圧スラリー充填を行い液体クロマトグラフに装着して使用する。移動相には、水と混和する極性有機溶媒と水または緩衝液との混合溶媒、例えば、アセトニトリルと酢酸アンモニウム水溶液との混合溶媒を用いる。必要に応じて、アセトンやテトラヒドロフランなども使用することができる。一般に、親水性相互作用クロマトグラフィーでは、移動相中の有機溶媒濃度が高くなるに連れ保持時間が増加するので、有機溶媒濃度を調節して適切な分離を得る条件設定にして分離を行う。これにより、測定対象の極性化合物を吸着剤10でクロマトグラフィックに分離する。
以上のように、本発明の両性イオン性高分子13を結合させた吸着剤10を用いることで、食品や飼料または環境試料中の極性化合物を選択的かつ簡便に抽出分離することが可能となる。次に実施例によって本発明を説明するが、この実施例によって本発明を何ら限定するものではない。
(実施例1) 両性イオン性高分子結合吸着剤(抽出分離用吸着剤)Aの合成
(1) 親水性基材Lの合成
親水性基材は、水系懸濁重合法により作製した。グリシジルメタクリレート160g、エチレンジメタクリレート40g、酢酸ブチル200gの混合溶液に2、2’−アゾビスイソブチロニトリル2gを溶解した混合物を、0.1%メチルセルロース水溶液1000mL中に加え、攪拌機を用いて攪拌羽根を400rpmで回転させ、油層を分散した。その後、分散液(懸濁液)を加温し、80℃で6時間重合反応を行った。生成した共重合体粒子を濾取し、水、メタノールの順で洗浄した。一日風乾後、分級を行い、45〜90μmの親水性基材L 75gを得た。この親水性基材Lの平均粒子径と分散度(d75/d25)をBeckman Coulter Multisizer 3 Coulter Counterで測定したところ、平均粒子径は64.5μm、分散度は1.26であった。また、比表面積と平均細孔径をBeckman Coulter SA3100 Surface Area Analyzerで測定したところ、比表面積は31m/g、平均細孔径は20nmであった。
(2) 両性イオン性高分子の導入
ジアリルアミン−マレイン酸共重合体(日東紡績製PSA−410C、濃度40%)50mLを、水250mL、2−プロパノール100mLの混合溶媒中に加え、均一な溶液とした後、実施例1の(1)で得られた親水性基材L 50gを加え、攪拌して均一なスラリーとした。さらに、5M NaOH 50mLを加えて、攪拌しながら60℃で20時間反応をさせた。反応終了後、2−プロパノール、水、メタノールの順で洗浄し、一晩風乾させ、両性イオン性高分子結合吸着剤Aを得た。導入された両性イオン性高分子の量を求めるため、Perkin Elmar 2400 Series II CHNS/O Elemental Analyzerで測定したところ、窒素量は0.64N%であった。
(実施例2) 両性イオン性高分子結合吸着剤Bの合成
実施例1で得られた両性イオン性高分子結合吸着剤Aの内20gを、水200mLと5M NaOH 20mLの混合溶液中に分散し、均一なスラリーとした。その後、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック製、デナコールEX−611、平均分子量約630)1gを加え、攪拌しながら60℃で4時間反応をさせた。反応終了後、水、メタノールの順で洗浄し、一晩風乾させ、両性イオン性高分子結合吸着剤Bを得た。導入された両性イオン性高分子の量を求めるため、PerkinElmar 2400 Series II CHNS/O Elemental Analyzerで測定したところ、窒素量は0.67N%であり、両性イオン性高分子結合吸着剤Aからの両性イオン性高分子の脱離はなかった。
(実施例3) 両性イオン性高分子結合吸着剤Cの合成
実施例1で得られた両性イオン性高分子結合吸着剤Aの内20gを、水200mLと5M NaOH 20mLの混合溶液中に分散し、均一なスラリーとした。その後、ジアリルアミン−マレイン酸共重合体(日東紡績製PSA−410C、濃度40%)50mLを加え、均一なスラリーとした。さらに、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック製、デナコールEX−611、平均分子量約630)1gを加え、攪拌しながら60℃で4時間反応をさせた。反応終了後、水、メタノールの順で洗浄し、一晩風乾させ、両性イオン性高分子結合吸着剤Cを得た。導入された両性イオン性高分子の量を求めるため、PerkinElmar 2400 Series II CHNS/O Elemental Analyzerで測定したところ、窒素量は0.92N%であり、両性イオン性高分子結合吸着剤Aに比べ両性イオン性高分子の結合量が、約50%増加していた。
(比較例) スルホベタイン型吸着剤の合成
比較例として、非特許文献5および非特許文献6に記載のスルホベタインゲルを合成した。合成方法は非特許文献5および非特許文献6を参考に行った。すなわち、グリシジルメタクリレート50g、N,N−ジメチルアクリルアミド10g、エチレンジメタクリレート40g、酢酸ブチル40g、2−メチルブタノール60gの混合溶液に2、2’−アゾビスイソブチロニトリル1gを溶解した混合物を、0.2%ポリビニルアルコール(重合度500)水溶液1、000mL中に加え、攪拌機を用いて攪拌羽根を250rpmで回転させ、油層を分散した。その後、分散液(懸濁液)を加温し、70℃で7時間重合反応を行った。生成した共重合体粒子を濾取し、水、メタノールの順で洗浄した。一日風乾後、分級を行い、45〜90μmの親水性基材M 35gを得た。この親水性基材Mの平均粒子径をBeckman Coulter Multisizer 3 Coulter Counterで測定したところ、平均粒子径は64μmであった。また、比表面積と平均細孔径をBeckman Coulter SA3100 Surface Area Analyzerで測定したところ、比表面積は84m/g、平均細孔径は15.6nmであった。ついで、2−ブロモエタンスルホン酸ナトリウムの10重量%水溶液100mLに30%ジメチルアミン水溶液15mLを加え、室温で20時間反応させた。その後、陽イオン交換樹脂(Dowex AG50−X4)および陰イオン交換樹脂(Dowex AG1−X8)を充填したクロマト管に通液し、過剰のジメチルアミンなどの不純物を除去し、N,N−ジメチルエタンスルホン酸水溶液を得た。その後、再結晶により得られた結晶を40℃の真空乾燥機中で乾燥させた。親水性基材Mを0.1Mの塩酸でクロロヒドリン型に変換した基材1gに、上記方法により得られたN,N−ジメチルエタンスルホン酸1.5gおよび水酸化ナトリウム水溶液(pH12.5)20mLを加え、40℃で7時間攪拌しながら反応させた。反応終了後、水、メタノールの順で洗浄し、乾燥させ、比較対象のスルホベタイン型吸着剤を得た。
(実施例4) 固相抽出法による極性化合物の抽出回収率比較試験
実施例1ないし実施例3で得られた3種の両性イオン性高分子結合吸着剤A、BおよびC 50mgをとり、下部に孔径20μmのフィルタを挿入した注射筒型固相抽出カートリッジに充填し、さらに上部にも孔径20μmのフィルタを挿入した。また、比較例により合成したスルホベタイン型吸着剤も同様の方法にカートリッジとした。このカートリッジに、アセトニトリル10mL、純水20mL、アセトニトリル−水(9:1)10mLを順に通液して、カートリッジのコンディショニングを行った。その後、表1に示す被検化合物をアセトニトリル−水(9:1)で溶解した溶液(濃度:1ppm)10mLを通液し、被検化合物を各吸着剤で抽出した。表1において、log Po/wはオクタノール/水分配係数であり、この値が小さいものほど水に分配しやすい化合物であることを意味する。その後、アセトニトリル5mLで洗浄後、純水10mLを用いて各吸着剤に抽出された被検化合物を溶出させた。各溶出液を、紫外可視分光光度計を用いて測定し、得られた吸光度と吸着処理を行わない被検試料標準溶液の吸光度から、各吸着剤における抽出回収率を求めた。表1に被検化合物とその溶解度と水−オクタノール分配比(log Po/w)を、式4−9に構造を示す。
Figure 0005511427
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3種の両性イオン性高分子結合吸着剤A、B、Cおよび比較例のスルホベタイン型吸着剤における抽出回収率を図5に示す。図5で明白なように、3種の両性イオン性高分子結合吸着剤A、BおよびCでは、シトシンを除き、C>B>Aの順で抽出回収率が高くなり、架橋時に両性イオン性高分子を追加反応させた吸着剤ほど高い親水性相互作用を示すことがわかる。比較例のスルホベタイン型吸着剤はアデニンおよびウラシルに対して高い選択性を示し、本発明の両性イオン性高分子結合吸着剤BおよびCよりも若干高い抽出回収率を示した。一方、配糖体であるサリシンおよびアルブチンに対しては、本発明の両性イオン性高分子結合吸着剤A、BおよびCのほうが明らかに高い抽出回収率を示した。この結果から、本発明の両性イオン性高分子結合吸着剤は、広範囲な水溶性化合物の抽出分離に適していることが判明した。糖が結合しているヌクレオシドのウリジンに関しては、本発明の両性イオン性高分子結合吸着剤BおよびCが比較例のスルホベタイン型吸着剤と同等の結果となった。比較例のスルホベタイン型吸着剤はウラシルに対して高い選択性を示しているところから、その塩基部のウラシルへの選択性により高い抽出回収率が得られたものと考えられる。また、シトシンにおいては親水性相互作用以外の相互作用、恐らくイオン排除機構が関与していると考えられる。このことは、非特許文献5および非特許文献6に記載の吸着剤の回収率が最も低くなっていることからも説明することができる。このスルホベタイン型吸着剤は合成工程からスルホ基の対イオンはナトリウムイオンであり、その結果、四級アンモニウム部でのイオン排除効果が強く発現したと推定される。一方、本発明の両性イオン性高分子結合吸着剤は弱イオン性官能基であるためイオン排除効果は低いため、スルホベタイン型吸着剤よりも高い抽出回収率を示したものと考えられる。特に、架橋していない両性イオン性高分子結合吸着剤Aのほうが高い抽出回収率を示したことから、イオン排除効果は架橋により生成された三級アミノ基に依存しているものと推定された。これらの結果から明白なように、本発明の両性イオン性高分子結合吸着剤では、被検化合物の特性に合わせて、架橋および結合量を変化させることで親水性相互作用およびイオン交換相互作用を容易に変化させることができることがわかる。
(実施例5) 両性イオン性高分子結合吸着剤D、EおよびFの合成
(1) 親水性基材Nの合成
グリシジルメタクリレート80g、エチレンジメタクリレート120g、酢酸ブチル200gの混合溶液に2、2’−アゾビスイソブチロニトリル2gを溶解した混合物を、0.1%メチルセルロース水溶液1、000mL中に加え、ホモミキサーの高速回転により、油滴の中心径が約10μmになるように油層を分散した。その後、分散液(懸濁液)を加温し、80℃で6時間重合反応を行った。生成した共重合体粒子を濾取し、水、メタノールの順で洗浄した。一日風乾後、分級を行い、風力分級機を用いて平均粒子径約10μmの親水性基材N 80gを得た。この親水性基材Nの平均粒子径と分散度(d75/d25)をBeckman Coulter Multisizer 3 Coulter Counterで測定したところ、平均粒子径は10.1μm、分散度は1.16であった。また、比表面積と平均細孔径をBeckman Coulter SA3100 Surface Area Analyzerで測定したところ、比表面積は185m/g、平均細孔径は12.9nmであった。
(2) 両性イオン性高分子の導入
得られた親水性基材Nに、実施例1の(2)と同様の条件でジアリルアミン−マレイン酸共重合体(日東紡績製PSA−410C、濃度40%)を結合後、2−プロパノール、水、メタノールの順で洗浄し、一晩風乾させ、両性イオン性高分子結合吸着剤Dを得た。得られた両性イオン性高分子結合吸着剤Dを3等分し、その一つは、実施例2と同一の条件で、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック製、デナコールEX−611、平均分子量約630)で架橋反応を行い、両性イオン性高分子結合吸着剤Eを得た。さらに、実施例3と同様に、ジアリルアミン−マレイン酸共重合体(日東紡績製PSA−410C、濃度40%)を共存させた条件で、ソルビトールポリグリシジルエーテル(ナガセケムテック製、デナコールEX−611、平均分子量約630)で架橋反応を行い、両性イオン性高分子結合吸着剤Fを得た。
(3) 高速液体クロマトグラフィーによる極性化合物の分離確認
実施例5の(2)により得られた両性イオン性高分子結合吸着剤D、EおよびFを、内径4.6mm、長さ150mmのステンレス製クロマト管に充填し、親水性相互作用クロマトグラフィーによりの核酸塩基類の分離を行った。測定条件を以下に示す。
高速液体クロマトグラフィー測定条件
移動相:アセトニトリル−0.1M酢酸アンモニウム(95+5)
流量:1.0mL/min
カラム温度:40℃
検出:紫外吸収検出器(波長250nm)
試料:チミン、ウラシル、アデニン、シトシン、各10ppm
試料注入量:40μL
測定結果を図6に示す。図中Aは両性イオン性高分子結合吸着剤D、図中Bは両性イオン性高分子結合吸着剤E、図中Cは両性イオン性高分子結合吸着剤Fを用いた核酸塩基類のクロマトグラムである。図6に示すとおり、未架橋および架橋追加反応の吸着剤とも核酸塩基を良好に分離することが可能であった。この条件では、チミン、ウラシル、アデニン、シトシンの順に溶出している。一般に、広く使用されている逆相型分離剤では、これらの成分の溶出順序は全く逆である。この結果は、疎水性相互作用に基づく分離機構ではなく、親水性相互作用により分離されている。各両性イオン性高分子結合吸着剤間での比較では、チミンとウラシルの溶出時間はほとんど同じであったが、アデニンの溶出時間はD、E、Fの順に短く、シトシンの溶出時間はF、E、Dの順に短かった。アデニンの保持は親水性相互作用の強さ、つまり両性イオン性高分子結合吸着剤の保水性の強さに依存しているものと考えられる。一方、シトシンに関しては、実施例4においても記述したが、架橋反応により生成された三級アミノ基に基づくイオン排除効果が寄与しているものと推定される。これらの結果から明白なように、本発明の両性イオン性高分子結合吸着剤では、高速液体クロマトグラフィーに用いる上では、必ずしも架橋反応をしなくても十分な機能を有していることが判明した。また、被検化合物の特性に合わせて、架橋および結合量を変化させることで親水性相互作用およびイオン交換相互作用を容易に変化させて、分離の調節を行うことが可能であることもわかる。
本発明によれば、水溶性の両性イオン性高分子を親水性基材の表面に化学的に結合させるという簡便な方法で、複雑な夾雑物質中の極性化合物を選択的かつ簡便に抽出分離することが可能な吸着剤を得ることが可能である。本発明の親水性相互作用を発現する吸着剤を、固相抽出法や高速液体クロマトグラフィーに利用することで、極性化合物を高精度に定性および定量することが可能となる。これにより、従来から煩雑な前処理が必要であった極性化合物の前処理が簡略化される、または高速液体クロマトグラフィーにおいて分離が不十分であった極性化合物を良好に分離することが可能となるため、より高い信頼性を持って極性化合物を測定することが可能となる。
10:吸着剤
11:親水性基材
12:反応性官能基(結合部位)
13:両性イオン性高分子
14:架橋部位
20:シリンジ型固相抽出カートリッジ(カラム)
30:上部フリット
40:下部フリット
50:ルアー型固相抽出カートリッジ(カラム)
51:エンプティカラムボディ
52:エンプティカラムキャップ
53:上部接続部
54:下部接続部

Claims (6)

  1. 極性化合物の抽出分離に用いる抽出分離用吸着剤であって、下記式(1)に示されるジアリルアミン−マレイン酸共重合体と、下記式(2)に示されるアリルアミン−マレイン酸共重合体と、のうち少なくとも一方を、親水性基材に化学的に結合した構造を備えたことを特徴とする抽出分離用吸着剤。
    Figure 0005511427
    Figure 0005511427
  2. 前記親水性基材は、イミノ基またはアミノ基と反応することが可能な反応性モノマーと架橋性モノマーとの共重合反応により得られる親水性の共重合体、または、イミノ基またはアミノ基と反応することが可能な官能基を導入可能な親水性の共重合体であることを特徴とする請求項1に記載の抽出分離用吸着剤。
  3. 親水性基材に両性イオン性高分子を結合した後、エポキシ化合物によって両性イオン性高分子を架橋したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の抽出分離用吸着剤。
  4. 前記エポキシ化合物による両性イオン性高分子の架橋を行う際に、エポキシ化合物と共に両性イオン性高分子を更に添加して架橋を行うことを特徴とする請求項に記載の抽出分離用吸着剤。
  5. 請求項1ないし請求項のいずれか1つに記載の抽出分離用吸着剤を充てんした分析用のカラムに、水と混和する極性有機溶媒で調整された被検溶液を通液して、測定対象の極性化合物を該吸着剤に捕捉し、濃縮させた後、測定対象の極性化合物が溶出しない範囲の水を含む水と混和する極性有機溶媒で該吸着剤を洗浄し、その後、水、緩衝液、酸塩基極性またはこれらに有機溶媒を添加した溶液により測定対象の極性化合物を該吸着剤から溶出させることを特徴とする極性化合物の抽出法。
  6. 請求項1ないし請求項のいずれか1つに記載の抽出分離用吸着剤を液体クロマトグラフィー用のクロマト管に充てんしたカラムを液体クロマトグラフに装着し、水と混和する極性有機溶媒と水または緩衝液との混合溶媒を移動相として通液して、測定対象の極性化合物を該吸着剤でクロマトグラフィックに分離することを特徴とする極性化合物の分離法。
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