JP5511304B2 - センサ付車輪用軸受 - Google Patents
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Description
この構成によると、固定側部材の外周面に固定される荷重検出用の複数のセンサユニットを設け、これら複数のセンサユニットを、前記固定側部材の外周を囲む筒状の保護カバーで覆っている。この保護カバーのアウトボード側端を前記固定側部材の外周面に嵌合させ、保護カバーのインボード側端の開口縁に沿って設けた環状の弾性体からなるリップ部を前記フランジのアウトボード側を向く側面もしくは固定側部材の外周面に当接させているので、センサユニットを保護カバーで被覆できて、外部環境の影響によるセンサの故障を防止して、車輪用軸受やタイヤ接地面に作用する荷重を長期にわたり正確に検出できる。例えば、外部からの飛び石や泥水,塩水等から、センサユニットを確実に保護することができる。また、信号ケーブルの配線処理やセンサユニットの組付けも容易でコスト低減が可能となる。
前記固定側部材が前記外方部材である場合は、前記保護カバーは外方部材の外周面に取付けられるが、その場合、保護カバーを取付け易くて、保護カバーによるセンサユニットの保護が行い易い。
この構成の場合、センサユニットを含む電子部品をリング状に接続してなるセンサ組立品を保護カバーで被覆できる。
この構成の場合、固定側部材の形状が単純化され、固定側部材の形状の複雑さに起因する温度分布や膨張・収縮量のばらつきを低減できる。これにより、固定側部材における温度分布や膨張・収縮量のばらつきによる影響を十分小さくして、荷重による歪み量をセンサユニットに検出させることができる。
このように、固定側部材の外周面に耐食性または防食性を有する表面処理を施した場合、固定側部材の外周面の錆によりセンサユニットの取付部が盛り上がったり、センサユニットにもらい錆が発生するのを防止でき、錆に起因するセンサの誤動作を解消でき、荷重検出をさらに長期にわたり正確に行うことができる。
この構成の場合、保護カバーと固定側部材との間のシールがアウトボード側でも確実なものとなるので、外部環境の影響によるセンサの故障をさらに確実に防止して、荷重検出を正確に行うことができる。
この組立方法によると、固定側部材に取付けたセンサユニットを保護カバーで覆ったセンサ付車輪用軸受を、容易に組み立てることができる。
この発明のセンサ付車輪用軸受の組立方法は、この発明のセンサ付車輪用軸受の組立方法であって、前記固定側部材の単体の状態、または固定側部材に前記転動体を組み付けた状態で、前記固定側部材の外周面に前記センサユニットを取付け、前記保護カバーを固定側部材の外周面に圧入した後、軸受を組み立てることとしたため、固定側部材に取付けたセンサユニットを保護カバーで覆ったセンサ付車輪用軸受を、容易に組み立てることができる。
内方部材2は回転側部材となるものであって、車輪取付用のハブフランジ9aを有するハブ輪9と、このハブ輪9の軸部9bのインボード側端の外周に嵌合した内輪10とでなる。これらハブ輪9および内輪10に、前記各列の転走面4が形成されている。ハブ輪9のインボード側端の外周には段差を持って小径となる内輪嵌合面12が設けられ、この内輪嵌合面12に内輪10が嵌合している。ハブ輪9の中心には貫通孔11が設けられている。ハブフランジ9aには、周方向複数箇所にハブボルト15の圧入孔16が設けられている。ハブ輪9のハブフランジ9aの根元部付近には、車輪および制動部品(図示せず)を案内する円筒状のパイロット部13がアウトボード側に突出している。
また、フレキシブル基板30上には、各センサユニット20、信号処理用IC31、信号ケーブル配線部32Aの間を配線する配線回路34が回路パターンとして印刷されている。センサユニット20および信号処理用IC31は前記配線回路34に、また信号ケーブル32の車体側への引き出し部32Bは前記信号ケーブル配線部32Aに半田付けなどにより接続される。センサユニット20は、その歪み発生部材21の外方部材1との接触面とは反対側の表面が回路印刷面とされ、この回路印刷面がフレキシブル基板30の配線回路34の印刷面と向かい合わせとなるようにフレキシブル基板30に取付けられる。この例では、フレキシブル基板30のセンサユニット20の配置部におけるセンサユニット20の両側部に相当する部分に、フレキシブル基板30の長手方向に延びる帯状の開口30bが形成されている。これにより、センサユニット20の外方部材1との密着面は、回路印刷面や半田部がない平坦面となり、外方部材1にセンサユニット20を密着させて取付けることができる。
後段の処理として、信号処理用IC31は、前記平均値Aと振幅値Bを用いて以下のように車輪用軸受に作用する荷重Fを演算・推定する。
F=M1×S ……(1)
という関係で表すことができ、この関係式(1)から荷重Fを推定することができる。ここで、M1は所定の補正係数行列である。
後段の第1の荷重推定処理として、信号処理用IC31は、4つのセンサユニット20からの平均値信号からオフセット分を除外した平均値ベクトルAを用いて、この変数に所定の補正係数M1を乗算した一次式、つまり
F=M1×A ……(2)
から荷重Fを演算・推定する。
F=M2×A+M3×B ……(3)
から荷重Fを演算・推定する。このように2種類の変数を用いることで、荷重推定精度を向上させることができる。
上記各演算式における各補正係数の値は、予め試験やシミユレーションで求めておいて設定する。前記第1の荷重推定処理および第2の荷重推定処理は並行して行われる。なお、式(3)において、変数である平均値Aを省略しても良い。つまり、第2の荷重推定処理では、振幅値Bのみを変数として用いて荷重Fを演算・推定することもできる。
この場合に、2つの歪みセンサ22A,22Bの前記円周方向の間隔を、転動体5の配列ピッチPの{1/2+n(n:整数)}倍、またはこれらの値に近似した値としても良い。この場合にも、両歪みセンサ22A,22Bの出力信号a,bの和として求められる平気値Aは転動体5の通過による変動成分をキャンセルした値となり、差分から求められる振幅値Bは温度の影響を受けにくいため安定しており、さらに2つの信号を使用するため検出精度が高められる。
車輪の低速回転時には、センサ出力信号の振幅を検出するための処理時間が長くなり、さらに静止時には振幅の検出そのものが不可能になる。そこで、このように、車輪回転速度が所定の下限速度よりも低い場合に、平均値Aだけを用いた第1の荷重推定処理による荷重推定値を選択して出力することにより、検出した荷重信号を遅延なく出力することができる。
このように、フレキシブル基板30におけるセンサユニット20の配置部に、センサユニット20の略全体が露出する方形の開口30cを形成することにより、センサユニット20における歪み発生部材21の変形がフレキシブル基板30で規制されるのを確実に防ぐことができ、荷重の検出精度をそれだけ向上させることができる。その他の構成は、図7に示した配置例の場合と同様である。
また、フレキシブル基板30は信号処理用IC31の取付部を広幅部とし、それ以外の部分を狭幅部とし、フレキシブル基板30の狭幅部の側部に各センサユニット20を配置することで、全体の配置構成が幅広くならないようにしている。これにより、センサ組立品33をコンパクトに構成できる。その他の構成は、図7に示した配置例の場合と同様である。
このセンサ付車輪用軸受から得られた検出荷重を車両制御に使用することにより、自動車の安定走行に寄与できる。また、このセンサ付車輪用軸受を用いると、車両にコンパクトに荷重センサを設置でき、量産性に優れたものとでき、コスト低減を図ることができる。
1a…車体取付用フランジ
2…内方部材
3,4…転走面
5…転動体
20…センサユニット
21…歪み発生部材
21a…接触固定部
22A,22B…歪みセンサ
29…保護カバー
30…フレキシブル基板
31…信号処理用IC
32…信号ケーブル
33…センサ組立品
35…リップ部
36…孔部
37…シール材
38…表面処理層
39…非接触シール隙間
Claims (19)
- 複列の転走面が内周に形成された外方部材と、前記転走面と対向する転走面が外周に形成された内方部材と、両部材の対向する転走面間に介在した複列の転動体とを備え、車体に対して車輪を回転自在に支持する車輪用軸受において、
上記外方部材および内方部材のうちの固定側部材の外周にナックルに取付ける車体取付用のフランジを設けると共に、前記固定側部材の外周面に固定される荷重検出用の複数のセンサユニットを設け、前記車体取付用のフランジは、その正面形状が軸受軸心回りの円形とされ、前記複数のセンサユニットを、前記固定側部材の外周を囲む円筒状の保護カバーで覆い、この保護カバーのアウトボード側端を前記固定側部材の外周面に嵌合させ、保護カバーのインボード側端の開口縁に沿って設けた環状の弾性体からなるリップ部を、前記車体取付用のフランジのアウトボード側を向く側面もしくは前記固定側部材の外周面に当接させたことを特徴とするセンサ付車輪用軸受。 - 請求項1において、前記センサユニットと、このセンサユニットの出力信号を処理する信号処理用ICと、処理された前記出力信号を軸受外部へ取り出す信号ケーブルとを含む電子部品をリング状に接続してなるセンサ組立品を、前記固定側部材の外周面に固定側部材と同心に取付けると共に、このセンサ組立品を前記保護カバーで覆ったセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1または請求項2において、前記リップ部を前記保護カバーに一体形成したセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか1項において、前記リップ部を構成する弾性体がゴム材料からなるセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項4のいずれか1項において、前記リップ部は、インボード側に向かって拡径する形状であるセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記保護カバーは、耐食性を有する鋼板をプレス加工して成形したものであるセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、前記保護カバーは、鋼板をプレス加工して成形し、その表面に金属メッキまたは塗装処理を施したものであるセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項7のいずれか1項において、前記センサユニットを、タイヤ接地面に対して上下位置および左右位置となる前記固定側部材の外周面の上面部、下面部、右面部、および左面部に円周方向90度の位相差で4つ等配したセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、前記センサユニットは3つ以上の接触固定部と2つのセンサを有し、隣り合う第1および第2の接触固定部の間、および隣り合う第2および第3の接触固定部の間に各センサをそれぞれ取付け、隣り合う接触固定部もしくは隣り合うセンサの前記固定部材の円周方向についての間隔を、転動体の配列ピッチの{1/2+n(n:整数)}倍とし、前記2つのセンサの出力信号の和を平均値として用いて荷重推定するものとしたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項9のいずれか1項において、前記センサユニットをフレキシブル基板に取付けたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項10において、前記センサユニットと、このセンサユニットの出力信号を処理する信号処理用ICと、処理された前記出力信号を軸受外部へ取り出す信号ケーブルとを含む電子部品をリング状に接続してなるセンサ組立品を、前記固定側部材の外周面に固定側部材と同心に取付けると共に、このセンサ組立品を前記保護カバーで覆い、前記フレキシブル基板に、前記信号処理用ICおよび信号ケーブルを取付けたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項10または請求項11において、前記フレキシブル基板のベース材質がポリイミドであるセンサ付車輪用軸受。
- 請求項2ないし請求項12のいずれか1項において、前記保護カバーのインボード側端部に、前記信号ケーブルの保護カバーからの引き出し部が引き出される孔部を設け、信号ケーブル引き出し部が前記孔部から引き出される部分にシール材を塗布したセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項13のいずれか1項において、前記固定側部材のフランジの正面形状を、軸受軸心に直交する線分に対して線対称となる形状、または軸受軸心に対して点対称となる形状としたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項14のいずれか1項において、前記センサユニットが取付けられる前記固定側部材の外周面における少なくとも前記センサユニットとの接触部分に、耐食性また防食性を有する表面処理を施したセンサ付車輪用軸受。
- 請求項15において、前記表面処理が金属メッキ、または塗装、またはコーティング処理であるセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項16のいずれか1項において、前記保護カバーのアウトボード側端を前記固定側部材よりもアウトボード側に突出させ、そのアウトボード側端と前記回転側部材との間に非接触シール隙間を形成したセンサ付車輪用軸受。
- 請求項17において、前記保護カバーのアウトボード側端を前記回転側部材に沿う形状としたセンサ付車輪用軸受。
- 請求項1ないし請求項18のいずれか1項に記載のセンサ付車輪用軸受の組立方法であって、前記固定側部材の単体の状態、または固定側部材に前記転動体を組み付けた状態で、前記固定側部材の外周面に前記センサユニットを取付け、前記保護カバーを固定側部材の外周面に圧入した後、軸受を組み立てることを特徴とするセンサ付車輪用軸受の組立方法。
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