JP5511083B2 - 溶融塩電解槽 - Google Patents

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Description

本発明は、金属Mgの製造等に用いられる溶融塩電解槽に関し、より詳しくは陽極と陰極の間に複数の複極を配置したマルチポーラ型の溶融塩電解槽に関する。
金属Mgを工業的に製造する場合、MgCl2 を含む溶融塩を、Mgの融点以上の温度で電気分解する溶融塩電解方法が多用されている。また、ここで使用される電解槽としては、高効率なマルチポーラ型電解槽が注目されている。マルチポーラ型電解槽を用いた溶融塩電解方法により金属Mgを製造する方法を、図1及び図2により説明する。図1はマルチポーラ型電解槽の縦断側面図、図2は図1のA−A線矢示図で、電解室の正面図である。また、図3は操業中における電解室の主要部拡大正面である。
図1及び図2に示すように、電解槽1は、MgCl2 を含む溶融塩2を内部に収容する。電解槽1の内部は、隔壁3によって電解室4とMg回収室5とに分離されている。電解室4には、炭素からなる平板状の陽極6と陰極7とが、ロストルレンガ9上で槽幅方向に交互に配置されており、隣接する陽極6と陰極7の間には、同じく炭素からなる平板状の複極8が電流効率向上のために配置されている。陽極6の上部は、通電のために電解室4のカバー10を貫通して上方へ突出している。
ここで、複極8の上面レベルは、陰極7の上面レベルより高く、陽極6に近づくにつれて段階的に高くなる。これは後で詳しく述べるが、溶融塩2の浴対流をスムーズにするためである。
一方、Mg回収室5は、隔壁3に設けた上下2段の開口部11,11を通して電解室4に連通している。Mg回収室5には、底面開放容器からなる浴面レベル調節装置12が溶融塩2に浸漬して設けられている。また、溶融塩2の温度調節器13として熱交換器が浴面レベル調節装置12を取り囲むように設けられている。更に、温度計14及び浴面レベル測定器15等も設けられている。
電解操業では、電解室4内の陽極6と陰極7の間に直流電流が流される。これにより、溶融塩2中のMgCl2 が電気分解し、金属Mgが生成される。また、この電気分解に伴って極間で塩素ガスが発生する。極間で発生した塩素ガスは上昇し、このガスリフトに伴って極間で溶融塩2が上昇する。極間を上昇した溶融塩2を陰極7の側へスムーズに排出するために、複極8の上面レベルは、陽極6から陰極7へかけて段階的に低くされており、陰極7の上面レベルは更に低く設定されている。その結果、電解操業中は、図3に示すように、極間を上昇した溶融塩2が陽極6の側から陰極7の側へ複極8の上を乗り越えて流動する。より詳しくは、溶融塩2は複極8を乗り越える度に、次の極間を上昇してきた溶融塩2と合流することにより、次第に乗り越え量を増加させながら、陽極6の側から陰極7の側へ複極8上を乗り越えて流動する。
電解室4で生成された金属Mgは、溶融塩2の循環対流によってMg回収室5に運ばれ、Mg回収室5内の溶融塩2上に浮上してMg層16を形成する。
電解室4における溶融塩2の非通電時の浴面レベルは、図2に示すように、陰極7の上面レベルに概ね一致する。
このようなマルチポーラ型電解槽を用いた溶融塩電解方法における問題点の一つは、電解室4において溶融塩2が複極8及び陰極7の上を乗り越えて流れることによる溶融塩経由のカレントリークである。この問題を図3により詳しく説明する。図3中の破線は溶融塩2の流れ、実線は電気の流れを表している。
マルチポーラ型電解槽における電流は、本来は陽極6から複極8及び極間の溶融塩2を経て陰極7へ流れて溶融塩2の電解に寄与するが、複極8及び陰極7の上に溶融塩2の乗り越え流が発生すると、この溶融塩2の乗り越え流を介して陽極6から陰極7へ電流が直接的に流れる。この電流は、複極8及び極間の溶融塩2を経由しないために溶融塩2の電解に寄与しないリーク電流となり、電流効率を低下させる原因になる。このため、溶融塩2の乗り越え流を通過するリーク電流を低減する工夫が色々と講じられており、その一つが特許文献1に記載された溶融塩2の浴面レベル操作である。
この対策は、電解のための通電量に応じて乗り越え流の高さH1,H2が変化することに着目したもので、乗り越え流の高さH1,H2が大きくなる大電流通電時に溶融塩2の浴面レベルを下げ、乗り越え流の高さH1,H2が小さくなる小電流通電時に溶融塩2の浴面レベルを上げることにより、通電量にかかわらず乗り越え流の高さH1,H2を適正に保ち、溶融塩2の乗り越え流を通過するリーク電流を低減する。ちなみに、溶融塩2の浴面レベルを画一的に下げた場合は、通電量が多いときは乗り越え流の高さH1,H2が適正に管理されるが、通電量が少ないときは乗り越え流が発生せず、発生しても高さH1,H2が小さいために極間にMgが滞留する。そうなるとMgによるリークが発生し、電流効率の顕著な低下が生じる。
この通電量に応じた浴面レベル操作は、特許文献1にも記載されているとおり、通常時間帯と深夜とで通電量を大きく変化させている場合には有効である。通常時間帯の通電量を90kA、深夜を150kAとする場合、一日の平均通電量は120kAとなり、この平均通電量からの変位は通常時間帯、深夜ともに25%と大きなものとなる。このような場合は、特許文献1に記載された対策は有効なのである。
しかしながら、通電量の変化が小さい場合は、特許文献1に記載された対策の効果は小さい。例えば、一日の90%以上の時間を一日の平均通電量の±10%以下の範囲内で電解を行うような場合には、特許文献1に記載された対策の効果は小さいのである。いうならば、特許文献1に記載された対策は、電流効率を高める技術というよりも、通電量の変化による電流効率の低下を最小限に抑制する技術である。
特開2002−317293号公報
本発明の目的は、マルチポーラ型電解槽で問題となる溶融塩の電極乗り越え流に起因するカレントリークを、電流量の変化に影響されることなく少なくして、電流効率の安定的な向上を可能とする溶融塩電解槽を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らは、引用文献1に記載された対策の問題点の原因について検討した。その結果、引用文献1に記載された対策の問題点の原因の一つは、溶融塩の浴面レベルを昇降させるという操作を伴う点にあるとの結論に達し、電解槽の槽構造により問題点の解決を図ることを企画し、更なる検討を重ねた。その結果として得た知見を図3により説明する。
図3においては、陽極6と陰極7との間に2つの複極8が配置されており、陽極6から陰極7へ向けて各極の上面レベルが段階的に低くなっている。電解操業中はバブルリフトのために、陽極6と陽極側の複極8との間で溶融塩2が上昇する。上昇した溶融塩2は、陽極側の複極8上を乗り越え、更に陰極側の複極8上を乗り越えて陰極7上へ向かう。同時に、陽極側の複極8と陰極側の複極8との間でも溶融塩2が上昇する。この溶融塩2は、陰極側の複極8上を乗り越えて陰極7上へ向かう。更には、陰極側の複極8と陰極7との間でも溶融塩2が上昇する。この溶融塩2は直接に陰極7上へ向かう。これらの結果、複極8を乗り越える溶融塩2の流量は、陽極側の複極8上、陰極側の複極8上の順に多くなる。
ここでカレントリークは、厳密には陽極側の複極8を経由しない陽極6から陰極側の複極8へのカレントリークL1と、陰極側の複極8を経由しない陽極側の複極8から陰極7へのカレントリークL2とに大別される。そして、前者のカレントリーク量に影響するのは、陽極側の複極8上における乗り越え流の高さH1であり、後者のカレントリーク量に影響するのは、陰極側の複極8上における乗り越え流の高さH2であり、高さの高い後者の乗り越え流の方が、高さの低い前者の乗り越え流よりも、低抵抗となるため、カレントリーク量は多く、全体のカレントリークへの影響度も大きくなる。
そこで、本発明者はカレントリーク量が多く、全体のカレントリークへの影響度が大きい陽極側の複極8から陰極側の複極8上を経由して陰極7へ至るカレントリークL2の量を少なくするのが、全体のカレントリークを少なくするのに効果的であると考え、その具体的方策について様々な角度から検討した。その結果、陰極側の複極8の厚みを大きくするのが有効であることが判明した。
すなわち、陰極側の複極8の厚みを大きくすると、陰極側の複極8上を乗り越える溶融塩2の流動方向における流長が増大し、乗り越え流の電気抵抗が増大することにより、カレントリークL2が減少する。また、通電は陽極6の上から行われるが、陰極側の複極8の厚さが大きいと、この複極8における縦方向の電流量が増加する。その結果、陰極側の複極8と陰極7との間での電流密度が平準化され、この間の電気抵抗が小さくなり、陰極側の複極8上における乗り越え流を経由するカレントリークL2が相対的に減少する。
本発明の溶融塩電解槽は、かかる知見を基礎として完成されたものであり、陽極と陰極との間に2枚以上の複極を有し、陽極から陰極へ向けて各極のレベルが段階的に低くなることにより、電解操業中にこれらの複極を乗り越えて陽極側から陰極側へ溶融塩が流動する溶融塩電解槽であって、陰極に隣接する最外側複極の厚さを陰極側複極厚Tc、陽極に隣接する最内側複極の厚さを陽極側複極厚Taとし、陰極側複極厚Tc/陽極側複極厚Ta=複極厚係数Kとするとき、複極厚係数K>1を満足するものである。
本発明の溶融塩電解槽においては、複極厚係数K>1が満足され、陰極側複極厚Tcが陽極側複極厚Taより大きくされていることにより、複極上の乗り越え流の高さHが最も大きくなる陰極に隣接する最外側複極上の溶融塩の流動方向における電気抵抗が大きくなる。また、この最外側複極における縦方向の電流量が増加することにより陰極との間で電流密度が平準化され、陰極との間の電気抵抗が小さくなる。これらにより、全体のカレントリークに最も大きな影響を及ぼす陰極に隣接する最外側複極上を経由するカレントリークが減少し、電流効率が効率的に高まる。
この技術は、電極乗り越え流量が多く、乗り越え流の高さH1,H2が大きくなる通電量が大きい操業ほど有効であり、具体的には、陰極に隣接する最外側複極における単位幅当たりの電流量×複極数=通電係数Aとするとき、A≧40kA/m以上の操業に特に有効であり、その有効性はA≧60kA/m以上の操業で更に高く、A≧80kA/m以上の操業でより更に高い。なお、複極の幅方向とは、図6に示すように、電流の流れ方向に垂直な水平方向であり、単位幅当たりとは、この幅方向における単位長さ当たりという意味である。
前記複極厚係数Kは、複極上の乗り越え流の高さH1,H2が最も大きくなる陰極に隣接する最外側複極上の溶融塩の流動方向における電気抵抗を小さくし、この最外側複極における縦方向の電流量を大きくする点からは大きい方が望ましいが、陽極と陰極との間での電極間距離が規定されており、大きくし過ぎると最外側複極以外の複極の厚みが小さくなり、操業における強度面で問題になる。このため、複極厚係数Kは1.05以上、4以下が望ましく、1.1以上、3以下が更に望ましく、1.3以上、2.5以下が特に望ましい。
陰極に隣接する最外側複極以外の複極厚に関しては、前述したように、陽極と陰極との間での電極間距離が規定されている関係から、複極総厚も規定されており、そのために最外側複極を厚くした分、他の複極の厚みを小さくする必要がある。複極枚数が2の場合は選択の余地がないが、複極枚数が3以上になると、最外側複極以外の複極数が2以上となり、それらの厚みを考慮する必要性が生じる。通常は同じ厚みとするが、乗り越え流の高さに応じて陽極側から陰極側へ段階的に厚くしてもよい。いずれにしても、最外側複極厚Tcを最大、若しくは最大厚グループの一つ、最内側複極厚Taを最小、若しくは最小厚グループの一つとすることは重要である。
複極の枚数は2枚以上であればよく、特にその枚数を問わないが、多すぎると電解槽における電極構造が複雑化するので5枚以下が好ましい。
本発明の溶融塩電解槽は、陰極に隣接する最外側複極の厚さ(陰極側複極厚Tc)を、陽極に隣接する最内側複極の厚さ(陽極側複極厚Ta)より大きくしたことにより、電極乗り越え流に起因する全体のカレントリークに大きな影響を与える最外側複極乗り越え流によるカレントリークを効果的に低減するので、電流効率を効率的に高めることができる。しかも、実施が容易であり、電解槽における電極構造の大型化、複雑化も回避することができ、経済性に優れる。
マルチポーラ型電解槽の縦断側面図である。 図1のA−A線矢示図で、電解室の正面図である。 複極上での溶融塩の盛り上がりに起因するカレントリークの説明図で、電解室における電極構造の詳細を示す正面図である。 本発明の溶融塩電解槽における主要部の構造を説明するための、図3に対応する電極構造の詳細説明図である。 本発明の溶融塩電解槽における主要部の他の構造を説明するための、図3に対応する電極構造の詳細説明図である。 電極幅方向を示す模式図である。
以下に本発明の実施形態を、図4を参照して説明する。
本実施形態の溶融塩電解槽の基本構造は、図1及び図2に示した溶融塩電解槽と実質同一である。図1及び図2に示した溶融塩電解槽と相違するのは、電解槽の電解室における電極構造である。その電極の基本構造は、図1及び図2に示した溶融塩電解槽と実質同一であり、図4に示すように、電解槽の電解室内の横幅方向に陽極6と陰極7とを交互に配置すると共に、陽極と陰極7との各間に2枚以上、ここでは3枚の複極8をそれぞれ配置したマルチポーラ型式となっている。
陽極6は給電のために電解室のカバーを貫通してカバー上に突出している(図2参照)。陰極7の上面レベルは最も低く、3枚の複極8の上面レベルは陰極7に向かって段階的に低くなっている。これは前述したとおり、操業中にガスリフトによって極間を上昇する溶融塩2を側方へスムーズに流動、排出させるためである。そして、図1及び図2に示した溶融塩電解槽と決定的に相違するのは、図1及び図2に示した溶融塩電解槽では2枚以上の複極8の厚みTが同じであるのに対し(図3参照)、本実施形態の溶融塩電解槽では3枚の複極8のうち、陰極7に隣接する最外側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Tc)が他の2枚の複極8の厚さより大とされている点である。
より具体的に説明すると、同一基本構造を有する溶融塩電解槽の場合と比べて、3枚の複極8の合計厚は同じであり、最外側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Tc)を大きくした分、残る2枚の複極8の合計厚を小さくし、その合計厚を残る2枚の複極8間で等分したものとなっている。これにより、陽極6と陰極7の離間距離を変えずに、また、極間距離を変えずに、最外側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Tc)が、残る2枚の複極8の各厚さより大きくなり、その結果として最外側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Tc)が、陽極6に隣接する最内側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Ta)より大となっている。
すなわち、陰極側複極厚Tc/陽極側複極厚Ta=複極厚係数Kとするとき、複極厚係数K>1となる。この複極厚係数Kは1.05以上、4以下が望ましく、1.1以上、3以下が更に望ましく、1.3以上、2.5以下が特に望ましいことは前述したとおりである。
本実施形態の溶融塩電解槽では、陰極7に隣接する最外側の複極8を除く2枚の複極8の厚さが同じとされているが、図5に示すように、陽極6に隣接する最内側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Ta)を中間の陰極8の厚さより薄くし、陽極6に隣接する最内側の複極8から、陰極7に隣接する最外側の複極8にかけて厚さを段階的に小さくしてもよい。要は、陽極6に隣接する最内側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Ta)が最小、若しくは最小厚グループの一つ、陰極7に隣接する最外側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Tc)が最大、若しくは最大厚グループの一つとされているのである。
ここにおいても、複極厚係数Kは1.05以上、4以下が望ましく、1.1以上、3以下が更に望ましく、1.3以上、2.5以下が特に望ましいことは前述したとおりである。
電解操業中は、溶融塩6から3枚の複極8を介して陰極7へ電解電流が流れ、極間で溶融塩(MgCl2 )が電気分解される。電気分解と伴って極間ではガス(塩素ガス)が発生して上昇し、このバブルリフトのために極間で溶融塩2が上昇する。陽極6と陽極6に隣接する最内側の複極8との間を上昇した溶融塩2は、最内側の複極8上、中間の複極8上、陰極7に隣接する最外側の複極8上を乗り越えて陰極7上に至る。最外側の複極8と中間の複極8との間を上昇した溶融塩2は、中間の複極8上、陰極7に隣接する最外側の複極8上を乗り越えて陰極7上に至る。中間の複極8と最外側の複極8との間を上昇した溶融塩2は、最外側の複極8上を乗り越えて陰極7上に至る。最外側の複極8と陰極7との間を上昇した溶融塩2は、直接、陰極7上に至る。
これらの結果、複極8を乗り越える溶融塩2の流量は、最内側の複極8上、中間の複極8上、最外側の陰極8上の順に多くなる。
そして、全体のカレントリークに最も大きな影響を与えるのは、乗り越え流量が多くて高さが大きくなり、その結果として電気抵抗が最小となる最外側の陰極8上の溶融塩を経由するカレントリークとなるが、本実施形態の溶融塩電解槽では、最外側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Tc)を他の複極8の厚みより大きくして最大としているため、第1に、最外側の複極8上を乗り越える溶融塩2の流動方向における長さが増大し、乗り越え流の電気抵抗が増大する。第2に、通電は陽極6の上から行われるが、最外側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Tc)が大きいと、この複極8における縦方向の電流量が増加する結果、最外側の複極8とこれに対向する陰極7との間での電流密度が平準化され、この間の電気抵抗が小さくなる。これらの結果、全体のカレントリークに最も大きな影響を与える最外側の複極8上における乗り越え流を経由するカレントリークが減少し、全体のカレントリークが減少することにより電流効率が上がる。
図4に示す電極構造を備えた溶融塩電解槽を用いてMgCl2 から金属Mgを製造した。その際、溶融塩6と陰極7と間に配置された3枚の複極8の厚みを変更した。具体的には、3枚の複極8の厚さが全て70mmの場合(総厚210mm)を従来例として、総厚を従来例から変えることなく、陰極7と接する最外側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Tc)を大きくし、その分、中間の複極8の厚さ及び陽極6と接する最内側の複極8の厚さ(陽極側複極厚Ta)を小さくした。中間の複極8の厚さと、陽極6と接する最内側の複極8の厚さ(陽極側複極厚Ta)とは同じとした。
各電解操業での電極構造(複極厚さ及び複極厚係数K)並びに電流効率を表1に示す。電流効率は、従来例における電流効率を100としたときの比率で表した。
Figure 0005511083
表1からわかるように、陰極7と接する最外側の複極8の厚さ(陰極側複極厚Tc)を他の複極8の厚さより大きくして、接する最内側の複極8の厚さ(陽極側複極厚Ta)との比率である複極厚係数Kを1超とすることにより電流効率が上がる。複極厚係数Kが大きいほど電流効率が上がる傾向を示すが、複極厚係数Kを大きくし過ぎると機械強度の面から問題が生じ制約を受けることは前述したとおりである。好ましい複極8の厚さ条件は、前述したとおり、複極厚係数Kで表して1.05以上、4以下であり、更に望ましくは1.1以上、3以下であり、特に望ましくは1.3以上、2.5以下である。
上述の実施形態では、中間の複極8の厚さと、陽極6と接する最内側の複極8の厚さ(陽極側複極厚Ta)を同じとしたが、図5に示すように、陽極6の側から陰極7の側へ複極8の厚さが段階的に小さくなるように中間の複極8の厚さを大きく、陽極6と接する最内側の複極8の厚さ(陽極側複極厚Ta)を小さくしてもよい。
また、溶融塩電解槽におけるマルチポーラ型電極構造は、上述の実施形態では平板状の電極板を並列配置したものであるが、円柱状又は円筒状の陽極の周囲に円筒状の複極及び陰極を同心円状に配置した電極アセンブリを電解室内に横並びとしたものでもよい。

Claims (3)

  1. 陽極と陰極との間に2枚以上の複極を有し、陽極から陰極へ向けて各極のレベルが段階的に低くなることにより、電解操業中に前記複極を乗り越えて陽極側から陰極側へ溶融塩が流動する溶融塩電解槽であって、陰極に隣接する最外側複極の厚さを陰極側複極厚Tc、陽極に隣接する最内側複極の厚さを陽極側複極厚Taとし、陰極側複極厚Tc/陽極側複極厚Ta=複極厚係数Kとするとき、複極厚係数Kが1超である溶融塩電解槽。
  2. 請求項1に記載の溶融塩電解槽において、複極厚係数Kが1.05以上、4以下である溶融塩電解槽。
  3. 請求項1又は2に記載の溶融塩電解槽において、陰極に隣接する最外側複極における単位幅当たりの電流量×複極数=通電係数Aとするとき、A≧40kA/m以上の電解操業に使用される溶融塩電解槽。
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