JP5509868B2 - ポリカ−ボネートジオール及びポリカーボネートジオール共重合体 - Google Patents
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一方、−〔O−R−O(CO)〕−(式中、Rは二価の炭化水素基を示す)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネートジオールは、上記の欠点がなく、このポリカーボネートジオールを用いて製造されるポリウレタンやエンジニアプラスチックは、耐加水分解性、耐候性、耐熱性等に優れ、工業的にも製造が容易であるという利点を有している。
しかしながら、非特許文献1にも記載されているように、フェノール性水酸基のイソシアネート基に対する反応速度は、アルコール性水酸基と比べると一般的に非常に遅く、末端フェノール性水酸基を有する芳香族ポリカーボネートジオールは、ポリウレタンを製造する場合の原料には適さないとされている。
[1]下記式(1)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネートジオール。
[2]下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(3)で表される繰り返し単位を有する、ポリカーボネートジオール共重合体。
また、本発明のポリカーボネートジオール及びポリカーボネートジオール共重合体は着色が少なく、工業生産性に優れており、ポリウレタン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ウレタンアクリレート、或いはこれを原料として配合される塗料などの製造原料として好適である。
本発明のポリカーボネートジオールは、下記式(1)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする。
アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、1−メチルエチレン基、プロパン−1,2−ジイル基、テトラメチレン基、ブタン−1,3−ジイル基、テトラメチレン基、ブタン−1,3−ジイル基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、ヘプタメチレン基、オクタメチレン基、デカメチレン基、1−オクタメチレン基等が挙げられる。これらの中では、炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖のアルカンジイル基が好ましく、炭素数2〜4の直鎖又は分岐鎖のアルカンジイル基がより好ましい。
また、Z1及びZ2の結合は、1,4−結合(パラ体)又は1,3−結合(メタ体)が好ましく、1,4−結合(パラ体)がより好ましい。
特に好適なポリカーボネートジオールは、下記式(2)で表されるものである。
式(1)又は(2)で表される繰り返し単位の数は、好ましくは1〜18であり、より好ましくは2〜13である。
また、ポリカーボネートジオールの数平均分子量は、好ましくは200〜3,000、より好ましくは300〜2,000、更に好ましくは400〜1,000である。該数平均分子量が高すぎると、融点が高くなり、取り扱いが困難となる場合がある。また、数平均分子量が低すぎるとカーボネート結合の数が減り、ポリカーボネートジオールとしての性質を発現しにくい場合がある。
炭酸エステル法としては、例えば、次の製法Aが好ましく挙げられる。
製法Aは、下記の反応式で示されるように、芳香族ジヒドロキシル化合物(a)と炭酸エステル(b)とを、触媒の存在下又は不存在下でエステル交換反応させて、ポリカーボネートジオール(c)を得る方法である。
なお、製法Aにおいては、芳香族ジヒドロキシル化合物として1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼンを用いる反応例を示すが、他の芳香族ジヒドロキシル化合物を用いる場合も同様に行うことができる。
上記製法Aにおいては、エステル交換反応時に、炭酸エステル(b)に由来するアルコール類(R1OH、R2OH等)が副生するので、これを蒸留等により抜き出しながら反応を進めることが好ましい。また、上記製法Aにおいて、炭酸エステル(b)の代わりに、炭酸エチレン等の炭酸アルキレンを用いることもできるが、この場合は、炭酸アルキレンに由来するグリコール類が副生するので、これを蒸留等により抜き出しながら反応を進めることが好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシル化合物(a)、炭酸エステル(b)、及びエステル交換反応の詳細については後述する。
本発明のポリカーボネートジオール共重合体(以下、単に「ポリカーボネートジオール共重合体」ともいう)は、下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(3)で表される繰り返し単位を有することを特徴とする。ただし、下記式(1)で表される繰り返し単位と下記式(3)で表される繰り返し単位が同一である場合は、前記のポリカーボネートジオールと同一となるため、ポリカーボネートジオール共重合体から除かれる。
式(3)中、R3は、置換基を有していてもよい炭素数2〜20の二価の脂肪族炭化水素基、又は置換基を有していてもよい炭素数30〜50の脂環式及び/又は芳香族の二価の炭化水素基を示す。より具体的には、R3は、ウレタン化反応に関与しない置換基を有していてもよく、その炭素鎖中にヘテロ原子又はエステル結合を含有していてもよく、脂環式構造、エーテル結合等を含んでいてもよい。
R3としては、炭素数3〜14の直鎖又は分岐鎖のアルカンジイル基、又は炭素数32〜46の脂環式及び/又は芳香族の二価の炭化水素基が好ましい。
ポリカーボネートジオール共重合体において、[(式(1)で表される繰り返し単位)/(式(3)で表される繰り返し単位)]のモル比は1/9〜9/1が好ましく、1/5〜5/1がより好ましく、1/3〜3/1が更に好ましい。
式(1)で表される繰り返し単位と、式(3)で表される繰り返し単位とは、ブロック共重合されていてもよいし、ランダム共重合されていてもよい。
式(1)で表される繰り返し単位の数は、好ましくは1〜20であり、より好ましくは2〜15であり、該繰り返し単位の含有量は、ポリカーボネートジオール共重合体中、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは25〜75モル%である。
式(3)で表される繰り返し単位の数は、好ましくは1〜30であり、より好ましくは2〜20であり、該繰り返し単位の含有量は、ポリカーボネートジオール共重合体中、好ましくは10〜90モル%、より好ましくは25〜75モル%である。
本発明のポリカーボネートジオール共重合体の数平均分子量は、好ましくは200〜3,000、より好ましくは300〜2,000、更に好ましくは900〜1,500である。
本発明のポリカーボネートジオール及びポリカーボネートジオール共重合体の水酸基価は、好ましくは35〜600mgKOH/g、より好ましくは50〜400mgKOH/gである。式(1)で表される繰り返し単位のみからなるポリカーボネートジオールの水酸基価は、好ましくは150〜400mgKOH/gであり、より好ましくは200〜300mgKOH/gである。また、式(1)で表される繰り返し単位と式(1)以外の繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールの水酸基価は、好ましくは100〜150mgKOH/g、より好ましくは110〜130mgKOH/gである。
本発明のポリカーボネートジオール及びポリカーボネートジオール共重合体の酸価は、好ましくは1mgKOH/g以下、より好ましくは0.1mgKOH/g以下、更に好ましくは0.01〜0.05mgKOH/gである。
本発明のポリカーボネートジオール及びポリカーボネートジオール共重合体のガラス転移点は、好ましくは−80〜+50℃である。式(1)で表される繰り返し単位のみからなるポリカーボネートジオールのガラス転移点は、好ましくは−50〜+50℃であり、より好ましくは−20〜50℃である。また、式(1)で表される繰り返し単位と式(1)以外の繰り返し単位からなるポリカーボネートジオールのガラス転移点は、好ましくは−60〜+20℃であり、より好ましくは−55〜−20℃である。
粘度は、好ましくは10〜10,000cp(75℃)、より好ましくは50〜5,000cp(75℃)、更に好ましくは100〜1,500cp(75℃)である。
炭酸エステル法としては、例えば、次の製法Bが好ましく挙げられる。
製法Bは、下記の反応式で示されるように、芳香族ジヒドロキシル化合物(a)と炭酸エステル(b)と芳香族ジオール化合物(a)とは異なるジオール化合物(d)(以下、単に「ジオール化合物(d)」ともいう)とを、触媒の存在下又は不存在下で、エステル交換反応させてポリカーボネートジオール共重合体(e)を得る方法である。
また、下記製法Bの反応式において、反応式を簡便に表記するため、ポリカーボネートジオール共重合体(e)として、両末端に芳香族ジヒドロキシル化合物(a)由来の構成単位が存在する場合のみを記載している。しかし、該末端は芳香族ジヒドロキシル化合物(a)由来の構成単位に限定されない。
上記製法Bにおいては、エステル交換反応時に、炭酸エステル(b)に由来するアルコール類(R1OH、R2OH等)が副生するので、これを蒸留等により抜き出しながら反応を進めることが好ましい。また、上記製法Bにおいて、炭酸エステル(b)の代わりに、炭酸エチレン等の炭酸アルキレンを用いることもできるが、この場合は、炭酸アルキレンに由来するグリコール類が副生するので、これを蒸留等により抜き出しながら反応を進めることが好ましい。
本発明で使用される芳香族ジヒドロキシル化合物(a)は、下記式(4)で表される。
また、Z1及びZ2は、1,4−結合(パラ体)又は1,3−結合(メタ体)が好ましく、1,4−結合(パラ体)がより好ましい。
特に好適な芳香族ジヒドロキシル化合物(a)としては、1,4−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシプロポキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシブトキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシペンチルオキシ)ベンゼン、1,4−ビス(ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシメトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシプロポキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシブトキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシペンチルオキシ)ベンゼン、1,3−ビス(ヒドロキシヘキシルオキシ)ベンゼン等が挙げられる。
本発明で使用できる炭酸エステル(b)は特に制限されないが、炭酸エステルに由来する副生アルコール類を効率よく抜き出すことができるものを適宜選択することが望ましい。例えば、炭酸ジアルキル、炭酸ジアリール、炭酸アルキレン等が挙げられる。
炭酸ジアルキルとしては、炭素数1〜6、好ましくは炭素数1〜4のアルキル基を有する炭酸ジアルキルが好ましく、具体的には、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル等が挙げられる。
炭酸ジアリールとしては、炭酸ジフェニル等が挙げられる。
炭酸アルキレンとしては、炭素数2〜4のアルカンジイル基を有する炭酸アルキレンが好ましく、具体的には、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン等が挙げられる。これらの中では、副生アルコール類の抜き出しやすさの観点から、炭素数1〜4のアルキル基を有する炭酸ジアルキルが好ましく、炭酸ジメチルが特に好ましい。
本発明で使用できるジオール化合物(d)としては、置換基を有していてもよい炭素数3〜20のアルカンジオール、アルケニル基を有しアルケニル基部分の炭素鎖が分岐している炭素数3〜20のジオール、アルケニル基を有しアルケニル基部分の炭素鎖が脂環式構造やエーテル結合を含む炭素数3〜20のジオール、置換基を有していてもよい炭素数30〜50の脂環式及び/又は芳香族の二量体ジオール等が好ましい。
炭素数3〜20、好ましくは炭素数3〜14のアルカンジオールとしては、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール等が挙げられる。
アルケニル基部分の炭素鎖が分岐しているものとしては、1,3−ブタンジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,6−ジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,8−オクタンジオール等が挙げられる。
アルケニル基部分の炭素鎖がエーテル結合を含むものとしては、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等が挙げられる。
式(I)〜(V)に対応する化合物の95モル%以下、好ましくは50モル%以下は、炭素数3〜12、好ましくは5〜12の脂肪族ジオールで置換することができる。置換することができる脂肪族ジオールとしては、ペンタン−1,5−ジオール、3−メチルペンタン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘプタン−1,7−ジオール、オクタン−1,8−ジオール、2−メチルオクタン−1,8−ジオール、ノナン−1,9−ジオール、デカン−1,10−ジオール、酸化エチレン、及び酸化プロピレンのオリゴマー(例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ジプロピレングリコール及びテトラプロピレングリコール)等が挙げられる。
ダイマージオール(d-1)は、水素化二量体脂肪酸のカルボキシ基の両方を水酸基に還元することによって製造することができ、水素化二量体脂肪酸の還元中に生成される種類の混合物として使用するのが好ましい。また、水素化二量体脂肪酸は、任意に1当量以下のオクテン酸を加えてオクタデカジエン酸を二量化し、次いで水素化するか、又はエルカ酸(C22)を二量化し、次いで水素化することによって製造することができる(例えばUllmanns Encyclopedia of Industrial Chemistry第5版、Vol.A8、p535-536参照)。
ダイマージオール(d-1)の市販品としては、CRODA社製、Pripol(登録商標)シリーズ、特に商品名:Pripol 2033(式(I)及び(II)に対応する化合物 約50モル%、式(III)及び(IV)に対応する化合物 約20モル%、式(V)に対応する化合物 約30モル%の混合物)等が挙げられる。
本発明で使用できる触媒としては、通常のエステル交換反応で使用される触媒(エステル交換触媒)が挙げられる。例えば、アルカリ金属化合物、アルカリ土類金属化合物、アルミニウム化合物、亜鉛化合物、マンガン化合物、ニッケル化合物、アンチモン化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、有機スズ化合物が好ましく挙げられる。
アルカリ金属化合物としては、アルカリ金属の水酸化物(水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等)、アルカリ金属の炭酸塩(炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等)、アルカリ金属のカルボン酸塩(酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム等)、アルカリ金属アルコキシド(リチウムメトキシド、ネトリウムメトキシド、カリウムt−ブトキシド等)等が挙げられ、アルカリ土類金属化合物としては、アルカリ土類金属の水酸化物(水酸化マグネシウム等)、アルカリ土類金属アルコキシド(マグネシウムメトキシド等)等が挙げられる。
亜鉛化合物としては、亜鉛のカルボン酸塩(酢酸亜鉛等)、亜鉛アセチルアセトナート等が挙げられ、マンガン化合物としては、マンガンのカルボン酸塩(酢酸マンガン等)、マンガンアセチルアセトナート等が挙げられ、ニッケル化合物としては、ニッケルのカルボン酸塩(酢酸ニッケル等)、ニッケルアセチルアセトナート等が挙げられる。
アンチモン化合物としては、アンチモンのカルボン酸塩(酢酸アンチモン等)、アンチモンアルコキシド等が挙げられ、ジルコニウム化合物としては、ジルコニウムアルコキシド(ジルコニウムプロポキシド、ジルコニウムブトキシド等)、ジルコニウムアセチルアセトナート等が挙げられる。
有機スズ化合物としては、ジブチルチンオキシド、ジブチルチンジアセテート、ジブチルチンジラウレート等が挙げられる。
なお、各カルボン酸塩は、炭素数2〜30のものが好ましく、炭素数2〜18のものがより好ましく、各アルコキシドは、アルコキシ基の炭素数1〜30のものが好ましく、炭素数2〜18のものがより好ましい。
上記の触媒の中では、チタン化合物、有機スズ化合物が好ましく、チタン化合物がより好ましく、チタンアルコキシドが更に好ましい。チタンアルコキシドの中では、チタンテトラエトキシド、チタンテトラプロポキシド、チタンテトラブトキシドがより好ましく、チタンテトラブトキシドが特に好ましい。
なお、上記の芳香族ジヒドロキシル化合物(a)、炭酸エステル(b)、ジオール化合物(d)、及び触媒は、1種単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
本発明に係るエステル交換反応は、触媒の存在下又は不存在下で行うことができるが、反応効率の観点から、触媒の存在下で行うことが好ましい。
エステル交換反応における反応温度及び反応圧力は、用いる炭酸エステル(b)とジオール化合物(d)の種類によって異なるが、製法Aの場合は1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族ジヒドロキシル化合物(a)、製法Bの場合は芳香族ジヒドロキシル化合物(a)及びジオール化合物(d)が実質的に留出しない条件とすることが好ましい。反応温度は90〜230℃であることが好ましく、反応圧力は常圧から30〜500mmHgの減圧とすることが好ましい。なお反応は、空気、炭酸ガス、又は不活性ガス(窒素、アルゴン、ヘリウム等)の雰囲気下又は気流中で行なうことができるが、不活性ガス雰囲気下又は気流中で行なうことが好ましい。
さらに触媒を用いる場合の使用量は、反応性の観点から、製法Aの場合は、反応開始時における芳香族ジヒドロキシル化合物(a)と炭酸エステル(b)との合計仕込み量に対して、製法Bの場合は、反応開始時における芳香族ジヒドロキシル化合物(a)、炭酸エステル(b)及びジオール化合物(d)の合計仕込み量に対して、触媒の重量基準で1〜20,000ppmが好ましく、10〜5,000ppmがより好ましく、100〜4,000ppmが更に好ましい。
さらに、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン等の芳香族ジヒドロキシル化合物(a)と炭酸エステル(b)とを反応させて得られる高分子量のポリカーボネートジオールと、ジオール化合物(d)とを存在下又は不存在下でエステル交換反応させて、ポリカーボネートジオール共重合体(g)を得ることもできる。
なお、生成したポリカーボネートジオール又はポリカーボネートジオール共重合体の平均分子量が目的とする平均分子量よりも小さい場合は、更に減圧下で芳香族ジヒドロキシル化合物(a)及び/又はジオール化合物(d)を留出させ、逆に平均分子量が目的とする平均分子量よりも大きい場合は、芳香族ジヒドロキシル化合物(a)及び/又はジオール化合物(d)を添加して更にエステル交換反応させて、目的とする平均分子量のポリカーボネートジオール又はポリカーボネートジオール共重合体を得ることができる。
また、本発明のポリカーボネートジオール共重合体の繰り返し単位の構成モル比率は、芳香族ジヒドロキシル化合物(a)とジオール化合物(d)とのモル比の変更等によって調製することができる。
なお、ポリカーボネートジオール及びポリカーボネートジオール共重合体の物性の測定は、以下のとおり行った。
(1)水酸基価:JIS K 1557のB法に準拠して測定した。
(2)酸価:JIS K 1557の指示薬滴定法に準拠して測定した。
(3)水分:カールフィッシャー水分計を使用した電量滴定法で測定した。
(4)融点、ガラス転移温度:示差走査熱量分析法(測定温度範囲:−100〜200℃)により測定した
(5)粘度:E型粘度計を用いて75℃で測定した。
(6)APHAの測定:JIS K 1557に基づき、JIS K 0071−1に準拠して下記のようにハーゼン単位色数(APHA)を測定した。
(標準液の調製)
塩化白金酸カリウム1.245g、塩化コバルト・6水塩1.000g、水500m1及び塩酸100mlを1Lのメスフラスコに入れ、完全に溶解したのち、水を標線まで加えた溶液を準備する。この溶液はAPHA標準液No.500に相当し、各種標準液はこのNo.500標準液を水で希釈して調製する。例えばAPHA標準液No.100は、No.500標準液20.0mlを水80.0mlで希釈して調製する。
(測定方法)
無色透明で底の肉厚が等しく内径約23mmの同質同径の共栓付平底ガラス管で、液量が約100mlになるように底部から同じ高さのところに標線を刻んだ比色管に、泡の入らないように注意して標線までサンプルを入れる。ついで白色板上に適当なAPHA標準液と並べて上方から見て比較し、試料に最も近似した濃度の標準液を求め、その標準液No.をAPHAとする。
(7)芳香族ジヒドロキシル化合物の確認
下記条件で、液体クロマトグラフィーを用いて確認した。
カラム:TSK-gel ODS-80Ts(東ソー社製)、測定波長:254nm、カラム温度:40℃
溶離液:水/アセトニトリル=4/6(vol/vol)
精留塔、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた500mlのガラス製丸底フラスコに、ハイドロキノン(22.0g、0.2mol)、エチレングリコール(42.2g、0.68mol)、炭酸ナトリウム(0.4g、3.76mol)、尿素(30.0g、0.5mol)、酸化亜鉛(0.4g、4.92mmol)を仕込み、常圧、攪拌下、窒素気流中で、180℃で3時間反応させた。反応収量後、室温に冷却した。生成物を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチルを留去して、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(38.8g、収率98%)を得た。
精留塔、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた500mlのガラス製丸底フラスコに、ハイドロキノン(22.0g、0.2mol)、プロピレングリコール(51.7g、0.68mol)、炭酸ナトリウム(0.4g、3.76mol)、尿素(30.0g、0.5mol)、酸化亜鉛(0.4g、4.92mmol)を仕込み、常圧、攪拌下、窒素気流中で、180℃で3時間反応させた。反応収量後、室温に冷却した。生成物を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチルを留去して、1,4−ビス(ヒドロキシプロポキシ)ベンゼン(44.3g、収率98%)を得た。
精留塔、撹拌機、温度計、窒素導入管を備えた500mlのガラス製丸底フラスコに、ハイドロキノン(22.0g、0.2mol)、エチレンカーボネート(37.0g、0.42mol)、炭酸カリウム(0.14g、1mmol)、溶媒としてのジメチルホルムアミドを仕込み、常圧、攪拌下、窒素気流中で、160℃で3時間反応させた。反応収量後、室温に冷却した。生成物を酢酸エチルで抽出し、酢酸エチルを留去して、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン(38.0g、収率96%)を得た。
精留塔、攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた500mlのガラス製丸底フラスコに、ジメチルカーボネート196.1g(2.18mol)、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン92.9g(0.47mol)、1,6−ヘキサンジオール166.2g(1.41mol)、チタンテトラブトキシド0.03gを仕込み、常圧、攪拌下、窒素気流中でメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、エステル交換反応を5時間行った。この間、反応温度は95℃から200℃まで徐々に昇温させ、留出物の組成はメタノールとジメチルカーボネートの共沸組成ないしはその近傍となるように調節した。
この後徐々に100mmHgまで減圧し、攪拌下、メタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、195℃でエステル交換反応を更に4時間行った。反応終了後(メタノールとジメチルカーボネートの留去終了後)、反応液を室温まで冷却し、ポリカーボネートジオール共重合体292gを得た。
得られたポリカーボネートジオール共重合体は、数平均分子量が967、APHAが70、水酸基価が116mgKOH/g、酸価が0.02mgKOH/g、水分が44ppm、融点が18℃、ガラス転移点が−53.7℃、粘度が525cp(75℃)であった。
精留塔、攪拌機、温度計、窒素導入管を備えた500mlのガラス製丸底フラスコに、ジメチルカーボネート100.5g(1.12mol)、1,4−ビス(ヒドロキシエトキシ)ベンゼン353.4g(1.78mol)、チタンテトラブトキシド0.03gを仕込み、常圧、攪拌下、窒素気流中でメタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、エステル交換反応を5時間行った。この間、反応温度は100℃から200℃まで徐々に昇温させ、留出物の組成はメタノールとジメチルカーボネートの共沸組成ないしはその近傍となるように調節した。
この後徐々に100mmHgまで減圧し、攪拌下、メタノールとジメチルカーボネートの混合物を留去しながら、195℃でエステル交換反応を更に5時間行った。反応終了後(メタノールとジメチルカーボネートの留去終了後)、反応液を室温まで冷却し、ポリカーボネートジオール289gを得た。
得られたポリカーボネートジオールは、数平均分子量が494、APHAが80、水酸基価が227mgKOH/g、酸価が0.02mgKOH/g、水分が52ppm、融点が144℃、ガラス転移点が28.2℃であった。
1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール及び炭酸エステル(1,4−シクロヘキサンジメタノール:1,6−ヘキサンジオール(モル比)=1:3)を原料として製造したポリカーボネートジオール(宇部興産株式会社製、商品名:ETERNACOLL(登録商標) UM−90(1/3))について、実施例と同様にしてその物性を測定したところ、数平均分子量が894、APHAが50、水酸基価125.5mgKOH/g、酸価が0.04mgKOH/g、水分が75ppm、ガラス転移点が−58.5℃、粘度が552cp(80℃)であった。
1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール及び炭酸エステル(1,4−シクロヘキサンジメタノール:1,6−ヘキサンジオール(モル比)=3:1)を原料として製造したポリカーボネートジオール(宇部興産株式会社製、商品名:ETERNACOLL(登録商標) UM−90(3/1))について、実施例と同様にしてその物性を測定したところ、数平均分子量が916、APHAが50、水酸基価122.5mgKOH/g、酸価が0.02mgKOH/g、水分が168ppm、融点が50℃、ガラス転移点が−33℃、粘度が4854cp(80℃)であった。
1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,6−ヘキサンジオール及び炭酸エステル(1,4−シクロヘキサンジメタノール:1,6−ヘキサンジオール(モル比)=1:1)を原料として製造したポリカーボネートジオール(宇部興産株式会社製、商品名:ETERNACOLL(登録商標) UM−90(1/1))について、実施例と同様にしてその物性を測定したところ、数平均分子量が914、APHAが50、水酸基価122.7mgKOH/g、酸価が0.03mgKOH/g、水分が96ppm、ガラス転移点が−45.4℃、粘度が1464cp(80℃)であった。
1,6−ヘキサンジオール及び炭酸エステルを原料として製造したポリカーボネートジオール(宇部興産株式会社製、商品名:ETERNACOLL(登録商標) UH−100)について、実施例と同様にしてその物性を測定したところ、数平均分子量が1018、APHAが15、水酸基価110.9mgKOH/g、酸価が0.03mgKOH/g、水分が72ppm、融点が45℃、ガラス転移点が−61.1℃、粘度が399cp(75℃)であった。
Claims (5)
- [(式(1)で表される繰り返し単位)/(式(3)で表される繰り返し単位)]のモル比が1/9〜9/1である、請求項3又は4に記載のポリカーボネートジオール共重合体。
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