JP5509005B2 - レンチ - Google Patents

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JP5509005B2
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Description

本発明は、ガス管や水道管等をエルボやニップル等の継手を介して配管接続する場合等に用いるレンチに関するものである。
従来、ガス管や水道管等の配管に用いるレンチとして、下顎を先端に形成した本体に揺動自在なフレームを枢着し、該フレームに下顎と対をなす上顎をスライド自在に取り付けるとともに、上顎の後端に形成したラックギアをフレームに軸支されたウオームギアに噛合させたものが公知である(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−181771号公報
特許文献1は、フレームに縦長のガイド溝を設け、このガイド溝に挿入されるガイドピンを上顎に形成し、操作時に上顎にかかる荷重を、上顎の鰓部と当接するフレームの前端縁だけでなく、上顎のガイドピンと当接するフレームのガイド溝にも分散させて受けさせるようにすることによって、フレームの肉厚を薄く(細く)し、これによって、レンチの厚みを薄くし、狭い間隔でも2本のレンチが干渉せず、ニップルのねじを傷付けることのないレンチを得るようにしたものである。
しかしながら、上記特許文献1は、下顎に対する上顎の移動、即ち、口開き操作をウオームギアの回転操作により、このウオームギアに噛合するラックギアを通して行う方式であるため、最小から最大まで、又は、最大から最小までのような大きい範囲の口開き操作を行う場合にはウオームギアを何回転も回す必要があり、非常に時間がかかる不具合があった。
また、上記特許文献1は、ウオームギアを採用しているため、レンチの厚みをウオームギアの外径以下に薄くすることができなかった。
本発明は、前記不具合点を解消するために開発されたもので、その目的とするところは、口開きを最大から最小までワンタッチで切り替え可能とし、ウオームレスとして厚みを薄くし得るレンチを提供することにある。
前記目的を達成するために本発明は、先端に下顎を備え、後端に柄部を形成したレンチ本体と、該レンチ本体に揺動可能に枢着され、常時バネによって下顎に当接する側に弾圧されて下顎と直交する位置に起立保持されたフレームと、該フレームに前記下顎に向けて接離可能に案内支持された上顎と、前記フレーム内で前記上顎に対して接離可能に支持され常時バネによって前記上顎に当接して前記上顎を位置決めするように付勢された位置決め部材と、この位置決め部材を、前記バネに抗して前記上顎から離隔させるロック解除部材とを備え、このロック解除部材は、前記フレーム内で常時バネによって前記位置決め部材を前記上顎に当接する位置にロックするように組み込まれていることを特徴としている。
この構成によれば、ロック解除部材で位置決め部材を上顎から離隔させることにより、下顎に対する上顎の口開きを最大から最小までワンタッチで切り替え可能とすることができると共に、ウオームレスとしてレンチの厚みを薄くし得る。
前記レンチ本体は、前記フレームの枢着部における厚みが他の部分よりも薄肉部とされており、前記フレームは、前記レンチ本体の厚み方向に2枚に分けて構成され、その2枚が前記レンチ本体の前記薄肉部の両側に配置されており、前記位置決め部材及びロック解除部材は、2枚のフレーム間に配置されていることが好ましい。
この構成によれば、位置決め部材及びロック解除部材を2枚のフレーム間に配置し、しかも、2枚のフレームをレンチ本体の厚みの範囲内にコンパクトに配置でき、レンチ全体の厚みを薄くでき、狭い場所での作業が可能となると共に、レンチを隣接して2丁使いをしてもレンチ同士が干渉せず邪魔にならない。
前記2枚のフレーム間には前記レンチ本体の厚み方向に間隔を保持するスぺーサが固着され、前記位置決め部材は貫通孔を介して前記スペーサに前記上顎への接離方向に移動可能に保持され、前記スペーサと前記貫通孔との間に前記ロック解除部材が移動可能に挿入され、前記ロック解除部材と前記スペーサとの接触面に前記ロック解除部材の移動時、前記位置決め部材を前記上顎から離隔する方向に移動させるための傾斜カム面が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、2枚のフレーム間に固着されたスペーサを位置決め部材及びロック解除部材のホルダーと兼用させることができ、位置決め部材及びロック解除部材をコンパクトに組み込むことができる。
前記フレームは前記上顎の基部を該上顎の移動方向に案内する案内凸部を備え、この案内凸部は、前記レンチ本体の先後方向に段違い状に形成してあることが好ましい。
この構成によれば、レンチ本体の厚みを一層薄くすることができる。
前記フレームには、前記位置決め部材の設置位置に前記位置決め部材の前記上顎接離方向への移動を許容する切欠部が形成されていることが好ましい。
この構成によれば、位置決め部材をフレームの厚みの範囲内に組み込むことができ、レンチ本体の厚みをさらに薄くすることができる。
前記上顎と前記位置決め部材との当接面には、鋸歯状の凹凸歯部が形成されており、この鋸歯状の凹凸歯部は、上顎が下顎から離隔する方向への移動を阻止する形状とされていることが好ましい。
この構成によれば、上顎と位置決め部材とが鋸歯状の凹凸歯部同士の噛み合わせのため、使用時に緩むことがなく、口開きを再調整する必要がない。
本発明によれば、口開きを最大から最小までワンタッチで切り替え可能とし、ウオームレスとして厚みを薄くし得るレンチを提供することができる。
(A)(B)は本発明のレンチの側面図と平面図である。 本発明のレンチのロック解除状態の側面図である。 本発明のレンチの先端部の拡大平面図である。 本発明のレンチの図3におけるA−A線縦断側面図である。 本発明のレンチの先端部の分解斜視図である。
以下、本発明に係るレンチの実施形態を図面を参照して説明する。
本発明に係るレンチは、図1〜図5に示すように、下顎1と、レンチ本体2と、フレーム3と、上顎4と、位置決め部材5と、ロック解除部材6とを主要部材としている。
下顎1は、上面に山形歯部1aが形成され、下面に位置決め凸部1bが形成され、奥側にネジ穴1cが形成されている。
レンチ本体2は、先端に上向きの下顎取付台部2aが設けられ、後端に水平に延びる柄部2bが形成されている。そして、下顎取付台部2aには、位置決め凹部2cとネジ穴2dが形成され、この下顎取付台部2aに下顎1が載置され、その際、相互の位置決め凹凸部1b、2cが嵌合されることによって位置決めされ、相互のネジ穴1c、2dに取付ネジ7がねじ込まれて下顎1が下顎取付台部2aに取り替え可能に固着されている。
レンチ本体2の先端側には、下顎取付台部2aの下部にフレーム枢着部2eが形成されており、このフレーム枢着部2eは、厚みが他の部分よりも薄肉部とされている。レンチ本体2は、厚み方向の断面形状が、薄肉のウェブ部2fと、このウェブ部2fの周縁を厚み方向両側に張り出して形成されたフランジ部2gとで先端側では逆T字形、後端側ではI字形とされ、このフランジ部2gがレンチ本体2の下面側から先端を経て上面側へ延長されて下顎取付台部2aが形成されている。このフランジ部2gは、下顎取付台部2aの後端2hからレンチ本体2の後方に向けて所定の範囲、即ち、フレーム3の揺動範囲に対応した範囲の上面側が部分的に削除されている。
レンチ本体2のフレーム枢着部2eには、レンチ本体2の厚み方向に貫通する軸孔2iが形成され、この軸孔2iとフレーム3の下端の取付部3aに形成された軸孔3bとに薄平リベット等の枢軸8を挿通してカシメられることによって、フレーム3がレンチ本体2に揺動可能に枢着されている。このフレーム3は、第1バネ9によって下顎1の後端、及び/又は、下顎取付台部2aの後端2hに当接する側に弾圧されて下顎1の上面と直交する位置に起立保持されている。
フレーム3は、図1、図5に示すように、下端に取付部3aが形成され、この取付部3aには軸孔3bが形成され、上部に上顎4のスライド案内部3cが形成され、このスライド案内部3cの後方に位置決め部材装着部3dが形成され、全体が薄板状とされ、レンチ本体2の厚み方向に2枚に分けて構成されており、その2枚がレンチ本体2の薄肉のウェブ部2fの両側に配置されて枢軸8で揺動可能に枢着されている。このフレーム3には、上顎4が下顎1に向けて接離可能に案内支持されている。
そのために、2枚のフレーム3、3の上部前面側端部には、上顎4の基部4aの側面を上顎4の移動方向に案内するスライド案内部3c、3cがレンチ本体2の厚み方向内側に直角に曲げた案内凸部3e、3eとして形成されている。このスライド案内部3c、3c及び案内凸部3e、3eに対応させて上顎4の基部4aの両側面には、案内溝4b、4bが形成され、これらが相互に凹凸係合されて案内移動可能とされている。これらの案内凸部3e、3e及び案内溝4b、4bは、図1(B)に示すように、レンチ本体2の先後方向に段違い状に形成されている。2枚のフレーム3、3は、案内凸部3e、3eがレンチ本体2の先後方向に段違い状に形成されている点で両側の形状が相違しているが、他の部分は、対称形状とされている。
この案内凸部3e、3eは、フレーム3、3の上部前面側端部を内側に曲げて形成されて上顎4の基部4aの両側面に案内溝4b、4bに凹凸係合されていることにより、上顎4の前方への脱落を防止し、しかも、上顎4の基部4aの厚みを薄くしても上顎4の強度低下を回避して上顎4から受ける荷重を上顎4の案内溝4b及びフレーム3の案内凸部3e、3eに広く分散させて負担させることができる。
上顎4は、上下方向に長い基部4aと、この基部4aの上半部から前方に突出する嘴部4cとからなり、側面視で略倒立L形状とされ、嘴部4cの下面に山形歯部4dが形成され、基部4aの後面には鋸歯状の凹凸歯部4eが形成されている。
この上顎4をフレーム3の任意の位置で位置決めする位置決め部材5と、この位置決め部材5を位置決め位置に保持(ロック)し、所定時、ロックを解除するロック解除部材6とがフレーム3内に組み込まれている。
位置決め部材5は、フレーム3内で上顎4に対して接離可能に支持され、常時、第2バネ10によって上顎4の後面に当接して上顎4を位置決めするように付勢されている。
位置決め部材5は、図5に示すように、前後方向(レンチ本体2の先後方向)の幅が長く、上下方向の寸法が短く、厚み方向(レンチ本体2の厚み方向)の寸法が薄くされた矩形ブロック形状の主体部5aからなり、その前面が上顎4への当接面とされ、この当接面に鋸歯状の凹凸歯部5bが形成され、主体部5aを上下方向に貫通して四角形状の貫通孔5cが形成されている。
上顎4の鋸歯状の凹凸歯部4eと位置決め部材5の鋸歯状の凹凸歯部5bとは、常時、第2バネ10により当接係合されて上顎4の位置決めを行うものである。
これら上顎4の鋸歯状の凹凸歯部4eと位置決め部材5の鋸歯状の凹凸歯部5bとは、上顎4が下顎1から離隔する方向への移動を阻止する形状とされている。
ロック解除部材6は、位置決め部材5を、第2バネ10に抗して上顎4から離隔させるもので、このロック解除部材6は、フレーム3内で、常時、第3バネ11によって位置決め部材5を上顎4に当接する位置にロックするように組み込まれている。
これらの位置決め部材5及びロック解除部材6は、2枚のフレーム3、3間に配置されている。
具体的な構成を説明すると、2枚のフレーム3、3の位置決め部材装着部3d、3d間にはレンチ本体2の厚み方向に間隔を保持するスぺーサ12が皿リベット等の連結具13、13によって固着されている。このスペーサ12は、位置決め部材5とロック解除部材6を2枚のフレーム3、3内にコンパクトに組み込むための部材を兼用している。
そのために、スペーサ12は、図5に示すように、上部間隔保持部12aと、下部間隔保持部12bと、これらの間に形成され、下部から上部に向けて前後方向の幅が狭くなるようにクサビ形状とされた部材保持部12cとを備えており、これら全体がレンチ本体2の厚み方向に一様な厚みで形成されている。
この部材保持部12cは、上下方向寸法が位置決め部材5の主体部5aの上下方向寸法とほぼ同じとされている。
また、部材保持部12cは、レンチ本体2の先後方向の先端側となる前面が、図5に示すように、垂直面12dとされ、後面が上部から下部に向けて後方へ突出する傾斜カム面12eとされている。そして、垂直面12dには、位置決め部材5を上顎4から離隔させるための退避用凹部12fが形成されている。退避用凹部12fの上下方向寸法は、位置決め部材5の上下方向寸法とほぼ同じとされている。
スペーサ12の前後方向の幅は、上部間隔保持部12aが狭く、下部間隔保持部12bが広くされている。
スペーサ12の部材保持部12cには、位置決め部材5の貫通孔5cが上部間隔保持部12a側から嵌挿されている。この貫通孔5cの前部内面とスペーサ12の退避用凹部12fの前面との間には、第2バネ10が圧縮状態で介在させてある。この第2バネ10を安定して介在させておくために、貫通孔5cの前部内面とスペーサ12の退避用凹部12fの前面とには、図5に示すように、バネ座5d、12gが形成されている。
位置決め部材5の貫通孔5cには、ロック解除部材6がスペーサ12の後面側から嵌挿されている。
ロック解除部材6は、前面がスペーサ12の傾斜カム面12eに当接される傾斜カム面6aとされ、後面が貫通孔5cの内面後部に当接される垂直面6bとされ、上部から下部に向けて前後方向幅を薄くされたクサビ形状(スペーサ12の部材保持部12cと上下逆のクサビ形状)の主体部6cを備え、この主体部6cの上部後面側に操作部6dが突設され、下部後面側に係止部6eが突設され、全体がレンチ本体2の厚み方向に一様な厚みで形成されている。
ロック解除部材6の厚みは、スペーサ12の厚みとほぼ同じとされている。そして、ロック解除部材6の傾斜カム面6aとスペーサ12の傾斜カム面12eとの間には、第3バネ11が圧縮状態で介在させてある。この第3バネ11を安定して介在させておくために、両方の傾斜カム面6a、12eに、それぞれ、半円筒状のバネ座6f、12hが形成されている(図5参照)。なお、ロック解除部材6の下部後面に形成されている係止部6eが位置決め部材5の貫通孔5cを出て位置決め部材5の下端後面に係止していることによって、ロック解除部材6が位置決め部材5の貫通孔5cから上方に抜け出さないように保持されている。また、スペーサ12の後面上部にもストッパ部12iが形成されており、このストッパ部12iによって、ロック解除部材6の前面上端の係止部6gを係止させてロック解除部材6が位置決め部材5の貫通孔5cから上方に抜け出さないように保持させている(図5参照)。
上記したように、位置決め部材5とロック解除部材6とをスペーサ12に組み込んだ状態とした上で、スペーサ12を2枚のフレーム3、3の位置決め部材装着部3d、3d間に介在させて、該スペーサ12の上部間隔保持部12aと下部間隔保持部12bとに形成された連結孔12j、12j及びフレーム3、3に形成された連結孔3f、3fに皿リベット等の連結具13,13を挿通しカシメ結合する。
この2枚のフレーム3、3に固着したスペーサ12の下端とレンチ本体2の上面との間に、第1バネ9が圧縮状態で配設されている。この第1バネ9を安定して介在させておくために、スペーサ12の下端とレンチ本体2の上面とにバネ座12k、2jが形成されている。
2枚のフレーム3、3には、切欠部3g、3gが後方に向けて開放状態で形成されている。この切欠部3g、3gは、位置決め部材5の設置位置に対応した位置のフレーム3、3に形成されている。この切欠部3g、3gによって、位置決め部材5は、上顎4に対して接離方向へ自由に移動することを許容されている。
2枚のフレーム3、3の上端付近には、上顎4が上方へ抜け出すことを防止するためのストッパピン14が設けられている。このストッパピン14は、合わせ目を波形としたスプリングピンが使用されている。
本発明に係るレンチの実施形態は、以上の構成からなり、次に、その動作を説明する。
図1(A)は、ロック解除部材6がスペーサ12に対して第3バネ11によって上方へ押し戻されており、その結果、位置決め部材5が上顎4に向けて第2バネ10によって押し付けられ、鋸歯状の凹凸歯部5b、4eが噛合して、フレーム3に対して上顎4の位置をロック状態で固定している。
この状態で、図2に示すように、ロック解除部材6の操作部6dを押し下げるとロック解除部材6の傾斜カム面6aがスペーサ12の傾斜カム面12eを滑りながら移動し、位置決め部材5を後方へ移動させる。これにより、位置決め部材5は、上顎4から離隔し、その結果、上顎4はロック状態が解除され、フレーム3に対して上下方向に自由に移動させることができる。例えば、口開きを最大から最小までワンタッチで切り替えることができる。
ロック解除部材6の操作部6dから手又は指を離して、ロック解除部材6をフリーにすれば、第3バネ11によってロック解除部材6がスペーサ12に対して上方へ押し戻され、これと共に、第2バネ10によって位置決め部材5が上顎4に当接するまで押し戻され、鋸歯状の凹凸歯部5b、4eが噛合して、フレーム3に対して上顎4をロック状態で固定する。
具体的な使用状態においては、配管などのニップルや継手、或いは、ナット部やボルト部を下顎1と上顎4との間で挟持し、その状態でレンチ本体2の柄部2bを持って操作すると、図1(A)の状態で時計方向に回すとき、下顎1と上顎4とは対象物を挟持した状態で一体的に回すことができる。また、第1図(A)の状態で、レンチ本体2の柄部2bを反時計方向に回すとき、第1バネ9が、圧縮されてフレーム3に力が加えられなくなり、その分、フレーム3に対してレンチ本体2の柄部2bが枢軸8を中心として反時計方向に回動し、その結果、下顎1と上顎4との挟角が広がることになり、対象物の面を滑って逃げることになる。
勿論、レンチ本体2の柄部2bを時計方向に回せば、フレーム3を経由して上顎4に力が伝わり、対象物を下顎1と上顎4とでしっかりと挟持した状態で回すことができる。
従って、下顎1と上顎4とで対象物を挟持させた状態でレンチ本体2の柄部2bを時計方向と反時計方向とに連続して往復回動させて締付作業又は緩め作業ができ、その際、反時計方向の操作力はフレーム3が第1バネ9によって圧縮されて挟角を広げる方向に逃がすことになり、いわゆる、ラチェットレンチ機能を発揮するのである。
上記反時計方向の操作においても、フレーム3に対する上顎4の位置は、鋸歯状の凹凸歯部5b、4eの噛合によってロック状態に保持されているため変化せず(下顎1と上顎4との口開き間隔が変化せず)、時計方向操作に移行すると、対象物の六角形面を最初に設定した状態で挟持して締付作業又は緩め作業を行うことができる。
特に、本発明の特徴は、ロック解除部材6で位置決め部材5を上顎4から離隔させることにより、下顎1に対する上顎4の口開きを最大から最小までワンタッチで切り替え可能とすることができると共に、ウオームレスとしてレンチの厚みを薄くし得る。
また、位置決め部材5及びロック解除部材6を2枚のフレーム3、3間に配置し、しかも、2枚のフレーム3、3をレンチ本体2の厚みの範囲内にコンパクトに配置でき、レンチ全体の厚みを薄くでき、狭い場所での作業が可能となると共に、レンチを隣接して2丁使いをしてもレンチ同士が干渉せず邪魔にならない。
さらに、2枚のフレーム3、3間に固着されたスペーサ12を位置決め部材5及びロック解除部材6のホルダーと兼用させることができ、位置決め部材5及びロック解除部材6をコンパクトに組み込むことができる。
また、フレーム3、3は、上顎4の基部4aを該上顎4の移動方向に案内する案内凸部3e、3eを備え、この案内凸部3e、3eは、レンチ本体2の先後方向に段違い状に形成してあることによって、レンチ本体2の厚みを一層薄くすることができる。
また、フレーム3、3には、位置決め部材5の設置位置に位置決め部材5の上顎接離方向への移動を許容する切欠部3g、3gが形成されていることによって、位置決め部材5をフレーム3、3の厚みの範囲内に組み込むことができ、レンチ本体2の厚みをさらに薄くすることができる。
また、上顎4と位置決め部材5とが鋸歯状の凹凸歯部4e、5b同士の噛み合わせのため、使用時に緩むことがなく、口開きを再調整する必要がないという利点がある。
本発明に係るレンチの実施形態は、以上の構成と作用効果を奏するものであるが、本発明は、この実施形態にのみ制約されるものではなく、特許請求の範囲に記載した範囲内で自由に変更して実施することができる。例えば、位置決め部材5及びロック解除部材6は、スライド移動方式とした場合を例示しているが、揺動方式としてもよい。また、位置決め部材5及びロック解除部材6のフレーム3への組み込み構造は、実施形態に制約されず、同等の機能を奏する他の構成を採用してもよい。
本発明は、コーナーレンチに適用して好適であるが、他のレンチに適用することもできる。
1 下顎
1a 山形歯部
1b 位置決め凸部
1c ネジ穴
2 レンチ本体
2a 下顎取付台
2b 柄部
2c 位置決め凹部
2d ネジ穴
2e フレーム枢着部
2f ウェブ部
2g フランジ部
2h 下顎取付台後端
2i 軸孔
2j バネ座
3 フレーム
3a 取付部
3b 軸孔
3c スライド案内部
3d 位置決め部材装着部
3e 案内凸部
3f 連結孔
3g 切欠部
4 上顎
4a 基部
4b 案内溝
4c 嘴部
4d 山形歯部
4e 鋸歯状の凹凸歯部
5 位置決め部材
5a 主体部
5b 鋸歯状の凹凸歯部
5c 貫通孔
5d バネ座
6 ロック解除部材
6a 傾斜カム面
6b 垂直面
6c 主体部
6d 操作部
6e 係止部
6f バネ座
6g 係止部
7 取付ネジ
8 枢軸
9 第1バネ
10 第2バネ
11 第3バネ
12 スペーサ
12a 上部間隔保持部
12b 下部間隔保持部
12c 部材保持部
12d 垂直面
12e 傾斜カム面
12f 凹部
12g バネ座
12h バネ座
12i ストッパ部
12j 連結孔
13 連結具
14 ストッパピン

Claims (6)

  1. 先端に下顎(1)を備え、後端に柄部(2b)を形成したレンチ本体(2)と、該レンチ本体(2)に揺動可能に枢着され、常時、第1バネ(9)によって下顎(1)に当接する側に弾圧されて下顎(1)と直交する位置に起立保持されたフレーム(3)と、該フレーム(3)に前記下顎(1)に向けて接離可能に案内支持された上顎(4)と、前記フレーム(3)内で前記上顎(4)に対して接離可能に支持され常時、第2バネ(10)によって前記上顎(4)に当接して前記上顎(4)を位置決めするように付勢された位置決め部材(5)と、この位置決め部材(5)を、前記第2バネ(10)に抗して前記上顎(4)から離隔させるロック解除部材(6)とを備え、このロック解除部材(6)は、前記フレーム(3)内で常時、第3バネ(11)によって前記位置決め部材(5)を前記上顎(4)に当接する位置にロックするように組み込まれていることを特徴とするレンチ。
  2. 前記レンチ本体(2)は、前記フレーム(3)の枢着部(2e)における厚みが他の部分よりも薄肉部とされており、前記フレーム(3)は、前記レンチ本体(2)の厚み方向に2枚に分けて構成され、その2枚が前記レンチ本体(2)の前記薄肉部の両側に配置されており、前記位置決め部材(5)及びロック解除部材(6)は、2枚のフレーム(3、3)間に配置されていることを特徴とする請求項1に記載のレンチ。
  3. 前記2枚のフレーム(3、3)間には前記レンチ本体(2)の厚み方向に間隔を保持するスぺーサ(12)が固着され、前記位置決め部材(5)は貫通孔(5c)を介して前記スペーサ(12)に前記上顎(4)への接離方向に移動可能に保持され、前記スペーサ(12)と前記貫通孔(5c)との間に前記ロック解除部材(6)が移動可能に挿入され、前記ロック解除部材(6)と前記スペーサ(12)との接触面に前記ロック解除部材(6)の移動時、前記位置決め部材(5)を前記上顎(4)から離隔する方向に移動させるための傾斜カム面(6a、12e)が形成されていることを特徴とする請求項2に記載のレンチ。
  4. 前記フレーム(3)は前記上顎(4)の基部(4a)を該上顎(4)の移動方向に案内する案内凸部(3e)を備え、この案内凸部(3e)は、前記レンチ本体(2)の先後方向に段違い状に形成してあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のレンチ。
  5. 前記フレーム(3)には、前記位置決め部材(5)の設置位置に前記位置決め部材(5)の前記上顎接離方向への移動を許容する切欠部(3g)が形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のレンチ。
  6. 前記上顎(4)と前記位置決め部材(5)との当接面には、鋸歯状の凹凸歯部(4e、5b)が形成されており、この鋸歯状の凹凸歯部(4e、5b)は、上顎(4)が下顎(1)から離隔する方向への移動を阻止する形状とされていることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のレンチ。
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