JP5506141B2 - 耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いた耐候性鋼の素地調整方法 - Google Patents

耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いた耐候性鋼の素地調整方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5506141B2
JP5506141B2 JP2007107460A JP2007107460A JP5506141B2 JP 5506141 B2 JP5506141 B2 JP 5506141B2 JP 2007107460 A JP2007107460 A JP 2007107460A JP 2007107460 A JP2007107460 A JP 2007107460A JP 5506141 B2 JP5506141 B2 JP 5506141B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
grinding
rust
grinding tool
rotary
average
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2007107460A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2007307701A (ja
Inventor
寛 紀平
俊哉 木下
篤実 今井
幹次郎 平松
喜彦 三塚
武英 相賀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Steel Corp
Original Assignee
Nippon Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Steel Corp filed Critical Nippon Steel Corp
Priority to JP2007107460A priority Critical patent/JP5506141B2/ja
Publication of JP2007307701A publication Critical patent/JP2007307701A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5506141B2 publication Critical patent/JP5506141B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Polishing Bodies And Polishing Tools (AREA)

Description

本発明は、土木、建築、プラント、造船など鋼構造物の塗装下地処理に関わり、特に、層状さび、うろこ状さびなど厚いさびが発生している部位を効率的に塗装下地処理するためのさび除去および素地調整技術に関わる。また、製鉄熱延工程において長期に保管したスラブを受け入れる際に、その表面に形成した厚いさびを効率的に除去する技術に関わる。
具体的には、さび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いたさび除去および素地調整方法に関する。
土木、建築、プラント、造船など鋼構造物は、その使われる環境条件に応じた腐食を起こす。例えば、塩害の多い地区における陸上鋼構造物、海岸や埠頭における港湾鋼構造物、船舶、プラントなどは、いずれも腐食により初期機能は経年劣化していくため寿命がある。これを延命化し、長年にわたって安全かつ安心に使うためには維持管理が必要である。近年ではより腐食速度の遅い耐候性鋼などの耐食低合金鋼がこれら鋼構造体の部材として用いられるようになっている。特に耐候性鋼は、建設される環境条件の腐食性がマイルドと想定される場合、塗装を施さずに用いられる。そのため、建設後の様々な理由により環境変化が生じ、その腐食性が想定より厳しい側にシフトした場合には、腐食速度が上昇し、結果として層状さびやうろこ状さびなど厚いさびの発生が見られることがある。このように鋼構造物に厚いさびが発生した場合には、その原因である母鋼材の腐食速度を低下させる措置が必要となる。その一例は塗装を施すことである。これまで鋼構造物に発生してしまった層状さびやうろこ状さびを除去し、防食のために塗装するための下地処理方法は種々現場的に工夫がなされているが、厚いさびの除去工程は意外に困難なものであった。特に、耐候性鋼などの耐食低合金鋼の場合、緻密で密着性の高い固着さびが形成するため、塗装下地処理としての厚いさびの除去が困難となることが多い。今後、耐候性鋼が用いられている橋梁分野以外にも耐食低合金鋼の適用が広まっていくものと考えられるので、仮に厚いさび発生した場合でも、効率的かつ効果的にさびを除去できる方法を開発しておくことが必要である。鋼の表面に形成される厚いさびを効率的に除去する技術へのニーズは製鉄工程にもある。例えば、生産計画の都合により、大量の鋼鋳片が屋内外に長期保管される場合があり、鋼鋳片が屋外に長期保管された場合には、特に臨海製鉄所などでは、飛来塩分や結露の影響を受けて厚いさびを形成することがある。このような場合、熱延工程に行く前に厚いさびを除去しなくては、圧延後の製品の表面に疵やヘゲが入って商品価値を落としてしまうことになる。
従来から、例えばアルミナ系やシリコンカーバード系の砥石グラインダーやペーパーグラインダーを用いて鋼材上に発生したさびを除去する方法が広く使われている。しかしながら、耐食低合金鋼材上に生じた厚いさびの場合、研削材であるアルミナやシリコンカーバイドの硬度が、固着する層状さびより低いためさびを削れず、グラインダーが磨耗する。このため、層状の厚いさびをジェットダガネ、ジェットチゼルと称する動力工具を用いて除去し、薄い密着さびを前記グラインダーで除去するという工程を組まざるを得ない。しかしながら、数段のさび除去工程を組んでも、ジェットタガネやジェットチゼルで除去できない密着さびの硬度はさらに高く、前記のグラインダーは磨耗して、塗装下地処理として十分な鋼材表面の露出状態に至らしめるのは困難なものとなっている。
ちなみに非特許文献1によると動力工具の組み合わせによる耐食低合金鋼材の厚いさび除去工程は、いずれも塗装下地処理としては不十分と評価されるに至っている。そのため、密着さびの除去にはブラスト法を用いることが標準として提案されている。しかしながら、一般のブラスト法は騒音が大きい上に粉塵を撒き散らすため、環境への配慮から、今後は使いにくいといわれている。また、動力工具による処理に比べ装置が大掛かりであり高コストである点も問題視されている。改良されたブラスト法として、例えば真空ブラスト法と呼ばれる方法がある。研掃と同時にブラスト粒子や粉塵を真空吸引する方法であるが、装置がさらに大掛かりなものとなり、結果として処理コストの増大を招いてしまう。研掃材にスポンジ状の樹脂と硬質粒子が混合されたものを用いるスポンジブラスト法もあるが、研掃材寿命が短く、結果的に高コスト化してしまう。
環境への配慮から使いにくくなり、それへの対応のため高コスト化の傾向にあるブラスト法に代わるさび除去方法を検討するにあたり、やはり原点に返り動力工具を発展させるのが良いと考えた。動力工具による厚いさびの除去法における本質的問題は、研削材の硬度が層状さびや密着さびに比べ低いことにある。そこで、例えば特許文献1に記載されているダイヤモンド粒子が埋めこまれた切削用回転工具を用いて厚いさび除去する試験を行ったところ、さびの硬さに負けることなく、効率的に厚いさびを切削できることがわかった。しかしながら、これは切断用の工具であって、厚いさびを高速に粉砕除去するには十分な機能を有せず、また、作業者の使用感としては、切削中に鋼面で振動が激しく、現場作業には向かないと判断された。言うまでもなく元来切断用の工具を、厚いさびの除去に用いることは安全上も好ましくない。その他、市販のダイヤモンド研削工具数種を購入して厚いさびの除去試験も行ってみた。これらは、前記の切断工具より安定した作業が行えたが、ディスク重量が軽いことから作業中の振動が解消できず、作業性に問題があると同時に、盤面や円周に付着するダイヤモンドの面密度が低く、またダイヤモンド粒子の全面が蝋材に覆われているため、高速に厚いさびの除去ができないという問題点が認識された。
また、電気鋳造法によりダイヤモンドを付着させた回転研削工具も市販されているが、橋梁など大面積を有する鋼構造物に形成された厚いさびを除去するには、ダイヤモンドの付着強度が低いため使用中に研削能力が低下してしまう問題が認識された。その他さびの除去に使えるとされている工具を使用してみたが、厚い固着さびの除去を現場でおこなう場合の作業性に鑑みるとどれも満足いくものではなかった。また、補修塗装下地処理の最新技術について評価・検討した非特許文献1および2を見ると、信頼できる補修塗装の下地処理は、もっぱらブラスト法に頼らざるをえないのが実情とわかる。これまで、厚さ200μm程度以下の固着力の弱いさびを除去する動力工具はあったが、鋼構造物に形成した厚く固着力の強いさびの効率的除去を行うと同時に塗装下地処理として適切な鋼面の露出を確保できる、さび除去および素地調整用の回転研削工具はこれまで無かったのである。
特開平11−028670号公報 三木千壽、市川篤司 編著 現代の橋梁工学 塗装しない橋と鋼の最前線 理数工学社 2004.12.25発行 石川量大: 素地調整、第28回鋼構塗装技術討論会発表予稿集pp.43−48,(社)日本鋼構造協会 平成17年10月1日
本発明は、上述の各種問題を解決し、橋梁などの大面積を有する鋼構造物に形成された厚く、固着力の強いさびを簡単かつ高速に、効率的かつ効果的に、しかも低コストでありながら安全で作業性が良く、さびの除去から鋼面露出までを一気に行える、さび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いたさび除去および素地調整方法を提供する。
本発明は、前記の課題を解決するためになされたものであり、その要旨とするところは、以下のとおりである。
(1)回転駆動装置の回転軸に取付けるための中心部の取付部および研削盤面と研削周面で構成される研削面を有する金属回転盤からなる回転研削工具であって、金属回転盤の研削面の一部または全部に、20個/cm2以上の面密度となるようモース硬度9を超える硬質粒子が蝋付け接合され、この硬質粒子と蝋材により形成された突起部の高さをH、直径をDとしたとき、平均Hは300μm以上、平均H/D比は0.3以上であって、突起部の硬質粒子に外接する仮想球を用いて蝋材の表面から露出している硬質粒子の露出表面積を求めたとき平均露出表面積率が10%以上であり、かつ前記金属回転盤が160〜900gの質量を有し、前記蝋材はチタン、クロムおよびジルコニウムのうち1種以上を0.5質量%以上含有し、前記モース硬度9以上の硬質粒子の平均粒子径が200μm以上1000μm以下、平均シェア強度が20N/個以上であることを特徴とする、耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具。
(2)前記モース硬度9以上の硬質粒子が平均粒子径200μm以上1000μm以下のダイヤモンドまたはキュービックボロンナイトライドであり、前記金属回転盤の材質がステンレス鋼であることを特徴とする(1)に記載の耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具。
(3)研削盤面と研削周面で構成される前記の金属回転盤の研削面に、研削盤面は研削盤面の法線と回転中心軸とのなす角度が1°以上45°以下となる部分を有し、研削周面は、回転中心に平行な断面の曲率半径がR1mm以上R10mm以下となる部分を有することを特徴とする(1)〜(2)のいずれか1つに記載の耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具。
(4)前記金属回転盤の円周部から中心部に向って、中心対象に、偶数個の切れ込みを設けたことを特徴とする(1)〜(3)のいずれか1つに記載の耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具。
(5)前記金属回転盤の直径が50mm以上であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれか1つに記載の耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具
(6)前記(1)〜(5)のいずれか1つに記載のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具の製造方法であって、金属回転盤の研削面に、モース硬度9を超える硬質粒子の平均粒径の20〜60%の厚さとなるように、有機バインダーを混ぜた粉蝋を塗布し、前記蝋材粉末はチタン、クロムおよびジルコニウムのうち1種以上を0.5質量%以上含有し、その上にモース硬度9を超える硬質粒子を20個/cm2以上の面密度となるように付与し、10-4Torr以下の減圧下で、1000℃以上1040℃以下の温度に10分以上50分以下保持することを特徴とする、耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具の製造方法。
)(1)〜()のいずれかに記載のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具を用いて、耐候性鋼のさびの研削を行うことを特徴とする耐候性鋼の素地調整方法。
本発明により、これまで困難とされてきた耐候性鋼等の耐食低合金鋼材に生成した厚いさびを簡単に除去できる。一般には普通鋼も含め防食のための塗装下地処理を行う場合、ブラスト法を用いてきたが、大掛かりな装置を使い、粉塵や騒音の問題があって、抜本的な改革が求められている。また、図6に示すとおり、近年商品化されたニッケル系高耐候性鋼の固着さびは、従来の耐候性鋼より硬く、モース硬度9程度の高コストなガーネットやアルミナ等を用いても除去しきれないという問題が指摘されている。言うまでもなく、ブラストを行う前に、ハンマーでたたいたり、ジェットチゼルやジェットタガネと言った振動衝撃を与える電動工具を用いたりして厚いさびを除去するという工程が必須であって、一気に厚いさびと固着さびを除去することは従来不可能であった。しかしながら本発明では、図7に示すとおりニッケル系高耐候性鋼上に形成された非常に硬い固着さびすらも除去可能である。すなわち、事前の衝撃処理による厚いさび落としを必要とせず、一気にメタル面が露出するまで除去できることを意味し、本発明によればブラストに必須である大型な空気圧縮装置やホッパーも必要としない。
また、本発明により鋼構造物の維持・補修作業にかかる負荷が大幅に軽減されるため、補修塗装の高品質化と飛躍的な低コスト化を同時に達成できる。また、長期に臨海製鉄所で保管された種々の合金組成を有する中間製品に生じた厚いさびや固着さびも効率的かつ効果的に除去できるので、製鉄工程における生産弾力性を高めることにも効果がある。さらには、モース硬度10未満のコンクリート、岩石、鉱物等の無機物、金属、有機物あるいはその複合物の研削を効率的に行うことも問題なく行えるので、種々の材料が複合的に用いられる鋼構造物の現場で種々応用することができる。
以下、本発明を、実施形態の図面を参照しながら詳細に説明する。
本発明の素地調整とは、物質表面の状態や形態を望ましい状態に調整することを言う。
また、本発明の回転研削工具は、回転研削工具の取付部を電動回転など回転駆動装置を有する研削工具或いは研削装置の回転軸に取り付け、回転させることによりさび除去及び塗装下地処理としての素地調整を行うものである。回転駆動装置を有する研削工具或いは研削装置としては、ディスクグラインダーが一般的であり、その他にアームの先端に回転駆動装置を設けた移動式の研削装置、ロボットアームの先端に回転駆動装置を設けた研削装置などにも適用できることはいうまでもない。
図1は、本発明の一実施形態の回転研削工具の斜視図である。
図1に示すように、回転研削工具1は、金属回転盤の表面に突起部5が形成された研削盤面3と研削周面4とから構成された研削面2と、金属回転盤の中心部に設けられた取付部を備えている。この取付部6は、回転研削工具1を研削工具或いは研削装置の回転駆動装置の回転軸(図示せず)に取り付けるためのものである。この取付部は、図1の例では、取付孔として示されており、回転駆動装置の回転軸に係合するようにしているが、この例に限らず、取付部6を回転駆動装置の回転軸の孔と係合する回転軸を備えるようにし、取付部の軸を回転駆動装置の回転軸の孔と係合させても良いことはいうまでもない。
図2は、本発明の回転研削工具1において、金属回転円盤の研削面2’に形成された突起部の状態を示すものであり、(a)は断面模式図、(b)は平面模式図である。
図2(a)から判るように突起部5は、金属回転盤1’の研削面2’において、蝋材9とモース硬度が9超の硬質粒子7とにより、金属回転盤の表面から突出するように形成されている。すなわち、モース硬度が9超の硬質粒子7は研削材として機能するものであり、蝋材9により金属回転円盤1’に接合されている。この硬質粒子7は、その一部7a(硬質粒子の露出部)が蝋材の表面から露出し、残りの部分7b(硬質粒子の埋没部)が蝋材の内部に埋没して接合されている。仮想球8は、後述するように、硬質粒子の露出表面積部分の割合(露出表面積率)を規定するためのものである。すなわち、仮想球は硬質粒子7の凸部の1つ以上、好ましくは3以上が外接するように仮想した球体である。
突起部7の形状は、回転研削工具軸方向の切断面の顕微鏡観察、触針式表面形状測定機による非破壊計測、3次元SEMによる電子線計測、3次元計測機能付レーザー顕微鏡などを用いた光学的計測により計測できる。そして、これに基づいて、上記の突起部5の直径D及び高さHを測定することができる。
すなわち、図2(a)(b)に示すように、突起部の直径Dは、平面視において、計測する突起部5の頂点を通過し隣接する2以上の突起部を含む線分lにおいて切断し、得られた断面形状曲線の凹部の底部a,bを結ぶ線分の長さとする。なお、1つの突起部に対して2本以上の線分で測定し、その平均値としても良い。また、突起部の高さHは、上記の線分lにより切断した断面での凹部の底部a,bのいずれか低い方から突起部の頂点cまでの垂直方向の長さとする。なお2本以上の線分で切断した断面で測定しその平均値としても良い。
本発明において、突起部の形状を規定する平均Hおよび平均H/D比は、研削面の5mm×5mm(0.25cm2)の大きさの任意の4つの範囲に含まれる各突起部について、上述の方法でD,Hをそれぞれ測定し、それらの平均値を平均D、平均Hとし、平均D、平均Hを用いて平均H/Dを算出することが好ましい。
また、突起部の硬質粒子の露出表面積率は、硬質粒子の外接近似仮想球の全表面積に対する硬質粒子の露出部に相当する部分の外接近似仮想球の表面積の比率であり、顕微鏡や拡大鏡などで突起部を観察し、硬質粒子露出部の直径硬質粒子径の直径に対する比率を求め、この硬質粒子に対して設定した外接近似の仮想球の表面積を数値積分して算出することができる。本発明の突起部の硬質粒子の平均露出表面積率は、研削面の10mm×10mm(1cm2)の範囲に存在する任意の20個以上の各突起部について、上述の方法で露出表面積率を算出し、それらの平均したものを平均露出表面積率とすることが好ましい。
本発明の(1)の回転研削工具において、金属回転盤の研削面の一部または全部に、20個/cm2以上の面密度となるようモース硬度9を超える硬質粒子が蝋付け接合され、この硬質粒子と蝋材により構成された突起部の高さをH、突起部の直径をDとしたとき、平均Hは300μm以上であって、平均H/D比は0.3以上であって、接合された硬質粒子に外接する仮想球の表面積の平均10%以上が蝋材の表面から露出しているものとした。
研削面となるその金属回転盤の表面の一部または全面のモース硬度9以上の硬質粒子が面密度20個/cm2未満であると、いかに堅牢に接合されたとしても、作業中にその一部または全部に脱落が起きて、長い時間使用に耐えられなくなり、大面積の作業効率を低下させるため20個/cm2以上とする。好ましくは、30個/cm2以上の面密度でモース硬度9を超える硬質粒子が蝋付け接合されると、大面積処理の作業の効率が高まる。一方、60個/cm2以上の面密度とするためにはコストアップとなり、100個/cm2以上の面密度とするのは空間的に困難または不可能である。したがって、30個/cm2〜60個/cm2程度が最適である。
なお、この面密度は、任意の10mm×10mmの範囲内に存在する突起部の数を測定することにより求めることができる。
突起部5の平均Hが300μm未満であると、研削中のさび粉により目詰まりを起こし、作業効率が低下する。平均Hが300μm以上であると目詰まりはおきにくく、400μm以上であれば、目詰まり対策のための工具のメンテナンスを不要にできる。
突起部5の平均H/D比が0.3未満であると、さびへの食い込みが悪く研削効率が低下する。したがって平均H/D比は、0.3以上とする。平均H/D比が0.5以上となる形状とすれば、厚いさびや固着さびの除去がさらに効率化する。ただし、平均H/D比が0.8を超えると、突起部の構造強度が弱くなり、研削時の衝撃で突起部の剥離が起こりやすくなる。このため好ましくはH/D比は、0.3〜0.8とする。
突起部5において、接合されたモース硬度9を超える硬質粒子7の全表面積が蝋材に覆われてしまうと、硬質な固着さびの表面を軟質な蝋材で磨くだけの効果しかえられず、固着さび除去に支障が生ずる。そこで、突起部5において硬質粒子7が蝋材9の表面から露出する程度を規定した。すなわち、モース硬度9を超える硬質粒子に外接させた仮想球8の表面積の10%以上を蝋材の表面から外部に露出させるものとした。仮想球を用いて露出表面積率を算出するのは、硬質粒子物質の形状が複雑であることに配慮したものである。露出度が高ければ高いほど、固着さびの研削能力が高まるが、その分、硬質粒子と蝋材との接合界面が減少するので、硬質粒子が剥離しやすくなり、回転研削工具の寿命が短くなる。種々試した結果、研削能力を確保するにはモース硬度9を超える硬質粒子の表面積(仮想球表面積)のうち、平均10%以上露出させることが必要であり、さらに平均30%以上を露出させるのが望ましい。一方、平均70%を超えて露出させると接合強度が弱くなるので、作業効率の低下を招く。最適な平均露出表面積率は30〜50%程度である。
本発明において、突起部の硬質粒子の平均露出表面積率は、研削面の10mm×10mm(1cm2)の範囲に存在する任意の20個以上の各突起部について、上述の方法で露出表面積率を算出し、それらの平均したものを平均露出表面積率とする。
モース硬度9を超える硬質粒子を接合するのは、固着さびの硬度がモース硬度9を超えているため、モース硬度9のコランダムやアルミナでは、固着さびに研削材が研磨されてしまい、固着さびを除去するのは困難であるからである。
このように本発明において、突起部を形成する硬質粒子は、モース硬度が9を超えるのものであれば特に限定しないが、固着さびを効率的に除去する点からは、この硬質粒子は、本発明の(2)に記したように、平均粒子径200μm以上1000μm以下のダイヤモンドまたはキュービックボロンナイトライドとするのが好ましい。これは、硬質粒子の平均粒子径が200μm未満では目詰まりを起こしやすく、研削性能が大幅に低下してしまうためであり、一方、1000μmを超えると面密度の低下を招き、長時間の使用性能が低下するためである。また、工業用ダイヤモンドと雖も粒子径が大きくなるとコストが高くなることにも配慮した。種々試した結果、平均粒子径は300μmから750μmの範囲がさらに望ましく、500μmから600μmの間に分布する粒子径の工業用ダイヤモンドまたはキュービックボロンナイトライドを用いて工具を作成するのが製造上も効率的である。なお、キュービックボロンナイトライドは粒子の破壊が工業用ダイヤモンドより起こりやすく、後者の方が長時間の使用に耐え作業性が良い。
突起部を形成するための接合材は、モース硬度9超の硬質粒子と基材である金属回転盤の両者に対して十分な接合性を発揮できる特性を有するものであれば、特に限定するものではなく、硬質粒子及び金属回転盤の材質に応じて、適切な接合材(蝋材)を選定することができる。例えば、JIS Z 3265に規格のニッケルろう、JIS Z 3261に規格する各種の銀ろう、JIS Z 3262に規格する各種の銅および黄銅ろう、JIS Z 3263に規格する各種アルミニウム合金ろうおよびブレージングシート、JIS Z 3264に規格された各種りん銅ろう、JIS Z 3266に規格された金ろう、JIS Z 3267に規格された各種パラジウムろう、JIS Z 3268に規格された各種の真空用金属ろう、さらにはJIS Z 3282に規格された各種のはんだ、などからベースとなる成分系を選ぶことができる。
その中で、融点なども考慮してニッケルベースの蝋材(例えば、BNi−1,BNi−1A,BNi−2,BNi−5,BNi−7など)が多く用いられる。ダイヤモンド或いはキュービックボロンナイトライドなどの硬質粒子と接合性を向上させるために、チタン、クロム及びジルコニウムの1種以上を0.5質量%以上添加した蝋材を用いることが好ましい。
また、蝋材にチタン、クロムおよびジルコニウムのうち1種以上を0.5質量%以上含有する蝋材を用い、金属回転盤の材質にステンレス鋼を用いると、金属回転盤へのモース硬度9以上の硬質粒子の接合強度が高まる。これは、硬質粒子および金属回転盤と蝋材との各接合界面において冶金学的反応が起こり、中間相が形成するためである。この材料的組み合わせは、後述するモース硬度9以上の硬質粒子のシェア強度として20N/個以上を実現するのに有効に作用する。チタン、クロム、ジルコニウムの1種以上を含有するニッケル蝋材を用いてダイヤモンドまたはキュービックボロンナイトライドの硬質粒子を堅牢に接合するためには、蝋材と金属基材との接合強度も高める必要があるがチタン、クロムおよびジルコニウムの1種以上を含有するニッケル蝋材は、ステンレス鋼との相性がよく、合金化して堅牢な接合が得られる。金属回転盤の材質にSUS304などのオーステナイト系ステンレス鋼を用いると、接合の堅牢性も上がり、さらに、厚いさびを除去する作業は、塩害環境におかれた鋼材上でおこなわれることが多いので、工具自体の耐食性を確保する点からも有利である。
本発明の回転研削工具は、上述のように、基板となる金属回転盤1’の研削面となる研削面部2’の表面にモース硬度が9超の硬質粒子7と蝋材9を含む突起部5を設けたものである。以下において、金属回転盤について説明する。
なお、先に説明したように、回転研削工具1は、基板である金属回転盤1’の研削面2となる研削面2’にモース硬度が9超の硬質粒子7と蝋材9により突起部5が形成されて構成されている。図3〜図5において示すように、回転研削工具1の金属回転盤1’は、研削盤面3’と研削周面4’からなる研削面2’を有する円盤であり、その中央部には、回転研削工具としてこれを回転駆動させる駆動装置の回転軸(図示せず)に取り付けるための取付部6’が設けられている。このように、図3〜図5においては、研削工具1の基材として金属回転盤を示すものとして、研削工具の符号1〜5に対応させた符号、1’〜5’として示し、説明している。なお、研削面を構成する研削盤面と研削周面の区分は、一応便宜的に設定しているものであり、回転研削工具周端からおおむね10〜15mmの範囲を研削周面とし、残る研削面を研削盤面として扱えばよい。
図3〜図5からは、本発明の実施形態の回転研削工具1における金属回転盤1’の形状を示すものであり、(a)は平面図、(b)は、(a)のA−A視(図3)、或いはB−B視(図4)或いはC−C視(図5)断面図である。
研削盤面3’と研削周面4’で構成される前記の金属回転盤の研削面2’のうち、研削盤面3’の法線Xと回転中心軸Yとのなす角度θは、0°であっても良いが、図3(b)、図4(b)、図5(b)から判るように、本発明の(3)に記載するように1°以上45°以下となる部分を有するようにすることが好ましい。これは、作業者が扱いやすい形状として作業効率と安全性を高めるためである。すなわち、例えば、市販のディスクグラインダー駆動装置の全体的形状を考慮しつつ、作業者が楽に大面積の鋼構造物に生じた厚いさびの除去を行えるようにするためには、研削盤面部3’の法線Xと回転中心軸Yとのなす角度θが0°となる面ばかりだと、被研削面に対し作業者が電動工具を傾斜させて保持することができなくなり作業効率が低下し、また危険性も増すからである。一方、θが45°を超える面ばかりにすると、ディスクグラインダーの扱いが困難となり、作業効率および安全性が低下する。
また、金属回転盤の研削盤面3’と研削周面4’との境界近傍が鋭角的な断面形状であっても良いが、好ましくは、両者間の境界近傍にR1mm以上R10mm以下の断面曲率がある部分を有するものとする。これは、研削周面4’と研削盤面3’との境界近傍の断面曲率が全部R1mm未満だと厚いさびに切り込みが入りやすくなりすぎて面的な破壊効率が低下し、逆に、全てがR10mmを超えるものであると研削工具の円周部を使った厚いさびへの切り込み作業の効率が低下するためである。効果的な範囲としてはR3〜R7mmが望ましい。
図3に示したように、回転研削工具とする金属回転盤の平面形状を一様な円形としても良いが、図4及び図5に示すように、金属回転盤の円周部に切れ込み10を入れることも好ましい。この切れ込み10は、図4では円周部から中心部に向かう帯状の切れ込みを、図5では、円周部において円形の切れ込みをそれぞれ示している。これらの切れ込みは中心軸対称となるように設けることが好ましい。
本発明の(4)に記載のように、金属回転盤の円周部から中心対称に切れ込みを設けるのは、厚い層状さびへの衝撃力を高めるためである。これによりハンマーで厚いさびを粗く落とす作業を軽減ないしは不要にできる。切れ込みの数は奇数個でも良いが、高速回転する本発明の回転研削工具が、作業中にバランスを崩さないよう、中心対象に偶数個配置するのが好ましい。切れ込み10の形状は任意に設定できるが、回転する金属製円盤の質量バランスを考慮して、同一形状のものを偶数個配備するのが良い。
本発明の回転研削工具をディスクグラインダーのような小型の回転駆動装置に取りつけ、作業者が手持ちにより研削作業する場合は、本発明の()に記載したように、金属回転盤の重量は、160g以上であることが好ましい。
金属回転盤の質量を160g以上とすることにより、厚いさびへの衝撃力を高めることができる。回転研削工具の回転数は、ディスクグラインダー駆動装置の動力部の仕様で決定されるが、衝撃力は回転研削工具の質量に依存するため、質量は大きければ大きいほうが効果的となる。しかしながら、金属回転盤の質量が900gを超えると、回転モーメントが高まって、作業者が回転研削工具の向きを変化させづらくなるので作業者が扱う場合は、これを上限として設定するのが良い。最も扱いやすい質量は、250gから750gの範囲である。しかしながらロボット等の機械的保持装置に取付けて作業させる場合においては、上限を設定する必要はない。
本発明の回転研削工具において、工具の直径は特に限定するものではなく、研削対象箇所の必要に応じ、また、本発明の工具を取り付ける回転駆動装置の大きさに応じて、大径から小径まで金属回転盤の大きさを適宜選択することができるが、本発明の()に記載したように、金属回転盤の直径は50mm以上であることが好ましい。
すなわち、これは、市販のディスクグラインダー駆動装置やハンドドリル駆動装置等の電動回転装置に装着して作業が行えるようにするためである。直径が50mm未満だと市販の電動回転装置に取り付けることが難しくなると同時に、大きな面積に広がる厚いさびを効率的に除去することが難しくなる。これにより、市販の電動回転装置への装着を可能となるので、現場でハンディに塗装下地処理作業が行え、大掛かりなブラスト装置等を用いる必要がなくなる。なお、市販のディスクグラインダー駆動装置に取り付ける場合、最も一般的で使いやすい金属回転円盤の直径は、90〜115mmであり、100mmが標準的である。また、市販のディスクグラインダー駆動装置の仕様によっては、金属回転盤の直径180mmまたはそれ以上のものも適用可能である。ロボット等の機械的に保持される回転駆動装置に取付ける場合は、さらに効率化のためより大きな金属回転盤を用いることもできる。
本発明の回転研削工具の突起部を形成するモース硬度9超の硬質粒子の平均シェア強度は、本発明の()に記載したように20N/個以上であることが好ましい。
被削鋼材面に例えばモース硬度10のダイヤモンドが高速で衝突すると、ダイヤモンドが熱疲労で破壊を起こすことが多いが、従来はこの対策が十分ではなく、硬質粒子(砥粒)が根こそぎ脱離してしまうため、鋼面への作業を行うと短寿命となってしまっていた。しかしながら、硬質粒子の平均シェア強度20N/個とすれば、硬質粒子が熱疲労破壊しても接合部に硬質粒子(ダイヤモンド)の根が突起部に残留し、研削作業を継続することができる。すなわち、このシェア強度は、突起部での硬質粒子と蝋材との接合強度を評価するものである。シェア強度の測定は、硬質粒子が蝋付けされた金属回転盤をステージ上に保持し、ロードセルに接続された超硬のつめ状ツールを用いて硬質粒子の露出部を保持し、ステージに横方向から荷重をかけて、硬質粒子が離脱した時の荷重を求めることによって行われる。例えば、測定装置として、レスカ社製ボンディングテスタを用いればシェア強度の測定が行える。
本発明において、平均シェア強度は、10mm×10mm(1cm2)の範囲の存在する任意の20個以上の突起部について、上述の方法で各突起部の硬質粒子のシェア強度を測定し、それらの平均したものを平均シェア強度とすることが好ましい。
このように平均2N/個以上の高い平均シェア強度を実現するためには、前述のように、チタン、クロムまたはジルコニウムのうち1種以上を0.5質量%以上含む合金を蝋材として用いることが好ましい。例えば、70質量%Ag−28質量%Cu−2質量%Ti合金、74質量%Ni−14質量%Cr−3質量%B−4質量%Si−4.3質量%Fe−0.7質量%C合金、83質量%Ni−7質量%Cr−3質量%B−4質量%Si−3質量%Fe合金、71質量%Ni−19質量%Cr−10質量%Si合金、77質量%Ni−10質量%P−13質量%Cr合金などの蝋材を用いることが好ましい。
本発明の回転研削工具の製造方法は特に限定されるものではなく、適切な方法を選択できることは言うまでもないが、本発明の()に記載した製造方法とすることも好ましい。すなわち、モース硬度9を超える硬質粒子の平均粒径の20〜60%の厚さとなるように金属回転盤の研削面に有機バインダーを混ぜた蝋粉末を塗布し、その上にモース硬度9を超える硬質粒子を所定の面密度となるように付与し、10-4Torr以下の減圧下で、1000℃以上1040℃以下の温度に10分以上50分以内保持するものである。これにより、本発明の(1)〜()に記載のさび除去および素地調整用の回転研削工具を製造することができる。モース硬度9を超える硬質粒子と蝋材により構成された突起部の直径D、高さH、H/D、硬質粒子の蝋材表面からの露出表面積率、および蝋材と硬質粒子との接合強度(シェア強度)などは、前記の製造条件における蝋材の種類、蝋材の厚さバインダーなどの種類や加熱条件などを調整して接合界面張力のバランスを整えることによって、最適化することができる。たとえば、規定以下の温度や時間では濡れ性が上がらず、結果としてシェア強度が低下する。また、上記の範囲を外れた保持温度や時間では、濡れ性が良くなりすぎて、硬質粒子は蝋材に完全に覆われてしまい、研削能力が大幅に低下してしまう。また、減圧条件が上記の気圧を超えると酸化が進むため、シェア強度が低下する。
さらに好ましい製造条件は、平均粒径の25%〜35%の厚さとなるように蝋粉末を塗布し、10-5Torr以下で、1010℃〜1030℃に25分〜35分保持することである。なお、本発明の回転研削工具の金属回転盤の製作方法は、特に限定するものではなく、たとえば、ステンレス厚板からの切削加工、あるいはプレス成形などの方法により、薄い鋼板から成形加工する方法などが適用できる。
本発明のさびの除去および素地調整用の回転研削工具を用いると、腐食した鋼構造物の補修塗装に有用なばかりではなく、製鉄中間製品に発生した厚い固着さびを効率的に除去することができるので、製鉄工程における生産弾力性が向上する。言うまでもなく、コンクリート、岩石、鉱物等の無機物、金属、有機物あるいはその複合物などを含むモース硬度10以下の物質の研削を伴う素地調整にも使用できる。すなわち、本発明の()に記載のように、(1)〜()のいずれかに記載のさび除去および素地調整用の回転研削工具を用いて、モース硬度10未満の物質の研削を行うことにより、上記の対象物においても、効率的かつ安定してさび除去および研削を行なうことができる。
以下実施例に基いて、本発明をさらに具体的に説明する。
実施例1
図1に示すような回転研削工具について、突起部を形成する硬質粒子の種類、平均粒径、面密度、H/D、硬質粒子の露出率を変化させ、回転研削工具の研削性能を調査した。
回転研削工具としては、図3に示すような切込みのないSUS304の直径100mmの金属回転盤(質量290g)を用いた。研削面となる金属回転盤の表面に、BNi−1,BNi−1A,BNi−2、BNi−7のいずれかの蝋材粉末に有機バインダーとしてポリビニールアルコールを加えたペーストを塗布し、この上に、表1に示した平均粒径の硬質粒子を所定の面密度となるように付与し、10-5torrの減圧下で、1020℃で30保持し、硬質粒子を金属回転盤の表面に接合して突起部を形成し、回転研削工具とした。
突起部の形状は、触針式3次元形状測定機(表面粗さ計)(東京精密サーフコム575A−3D)を用いて測定しH,Dを得た。また、硬質粒子の露出表面積率は、顕微鏡や拡大鏡などで突起部を観察し、硬質粒子の露出部直径の硬質粒子の直径に対する比率を求め、硬質粒子径を直径とする外接近似仮想球の表面積を数値積分することにより算出した。表1に示したH/D値は、代表的な部分から任意に選択した0.25cm2の3つの面の中の突起物についてH値およびD値を求め、それらを平均してH/D値を求めた。面密度は、代表的な部分から任意に選択した1cm2の面の中の突起部の個数を数えることにより求めた。硬質粒子の露出表面積率およびシェア強度は、任意の1cm2の研削面の代表的な突起物20個を任意に選択し、前述の測定および評価をおこなって得た値を平均して求めた。回転研削工具の突起部の性状を表1に示す。回転研削工具の突起部の性状を表1に示す。
次にこの回転研削工具について研削性能を評価した。この回転研削工具の研削性能の評価方法は、塩水散布を半年間行って約2mm程度の厚さの層状さびが生成した耐候性鋼(JIS G3114 SMA490)の試験材を対象とし、上記の回転研削工具をディスクグラインダー駆動装置に取付け、作業者によってこの試験材のさびを除去し、1m2のISO−Sa2相当の素地表面を得るための作業時間によった。その結果を表1に示す。
表1に示す結果より、1m2のISO1805−1に規定されたSa2相当の素地面を得るための作業時間が、研削面に接合された硬質粒子、粒子径および面密度やH値、H/D比、硬質粒子の露出率などに依存して変化することがわかる。本発明の回転研削工具(本発明1〜8)によれば、上記の素地面を60分以内に得ることが可能である。一方、比較1〜4では、作業時間が長いものとなった。極めて良好な結果が得られたのは、平均粒径が500から600μmの工業用ダイヤモンドをBNi−2蝋材の粉末とポリビニルアルコールを主成分とする有機バインダーからなるペーストで付着させ、減圧蝋接したものであった(本発明4,5)。なお、表1には示していないが、熱硬化性樹脂、ニッケルメッキ等、種々の接合方法で工業用ダイヤの接合を試したが、いずれも平均20N/個以上のシェア強度を達成できず、また実際のさび除去試験においては使用後間もなく工業用ダイヤモンドが離脱して、研削機能が低下し、効率を確保できなかった。工業用ダイヤモンドおよび金属製回転盤の双方との界面で金属間化合物または合金が形成されるロウ材を用いれば、ダイヤモンドが欠け落ちても、その根の接合が保たれ残留するため、長時間の過酷な作業に耐えることができた。キュービックボロンナイトライド(CBN)も前記と同様にしてロウ付け接合したが(本発明8)、同一粒子径の工業用ダイヤを用いたもの(本発明1)に比較し、研削効率がやや低下している。モース硬度9のコランダム粒子をロウ付け接合した回転研削工具(比較4)では、研削粒子が固着さびに削られてしまい、作業に長時間を要し、工具寿命も短かった。
実施例2
回転研削工具において、金属回転盤の質量および金属回転盤のスリットの有無による研削性能(作業時間の差異)への影響を調査した。金属回転盤は直径が100mmのSUS304とし、突起部は、硬質粒子として平均粒子径が500μmの工業用ダイヤモンドを、蝋材として82.5質量%Ni−7質量%Cr−3質量%B−4.5質量%Si−3質量%Fe合金(BNi−2)の粉末とポリビニルアルコールを主成分とする有機バインダーとからなるペーストを用いて金属回転盤に付着させ、10-5torrの減圧下、1020℃に30分保持して、減圧蝋付け接合した。これをディスクグラインダーの駆動装置に取り付け、作業者により試験材を研削した。なお、得られた各回転研削工具の研削面の性状は、いずれも表1に示した実施例1における本発明4と同様であった。すなわち、比較5、6および本発明9〜17の回転研削工具の研削面の性状は、平均粒子径:500μm、面密度:100個/cm、平均H:1100μm、平均H/D:0.6、硬質粒子の平均露出表面積率50(%)、平均シェア強度36(N/個)であり、金属回転盤の質量と金属回転盤のスリットの有無のみが異なっている。研削性能を評価するための試験材および評価の方法は、実施例1の場合と同じとしたが、さらに、この回転研削工具をグラインダー駆動装置に取り付けて作業者が研削作業した場合の操作性についても評価した。評価は、×不安定。△:使用可能である。○:良好、◎:極めて良好、とした。その結果を表2に示す。
表2から判るように、金属回転盤が軽すぎると、作業効率が低くなっている。これは、高速回転する工具とさびが付着している鋼材面との接触部状態を安定させることが難かしく、振動がおきるため、さらには厚い固着さびへの衝撃力も弱まるため、と考えられる。また、安全面からも望ましくない。160g以上では効率的かつ安定的に使用することが可能である。質量が大きすぎると12000回転/分で回転する電動工具では、金属製円盤の回転モーメントが高まって、工具の向きを変化させる操作において作業員の力を余計に必要となる。質量800gからその傾向が現れ、1000g以上では作業員が危険性を感ずるようになる。ただし、ロボット等の機械に行わせることを考慮すれば、上限は緩和できる。
また、金属回転盤の円周部にスリットを付与すると、作業効率が向上する。1m2あたりの時間で見ると効果が小さい様に見えるが、実構造物となると巨大な面積を作業することになるため、この差は小さくない。総合的に見ると、この実施例の中では本発明13の回転研削工具が最良であることが判る。
実施例3
また、本発明の回転研削工具の代表的なものについて、使用性能を定性的に評価した。すなわち、塗装下地処理としての厚いさび除去しうる種々の研削工具に対する作業者の定性的評価を、表1に示した本発明4、本発明8および、表2に示した本発明13(研削面の性状は本発明4と同じで、金属円盤のスリットの数及び重量が本発明4と異なる)の研削工具と従来の研削工具(比較7〜17)の場合とで比較した。研削性能を評価するための試験材は、実施例1の場合と同じとしたが、評価は、厚いさびの破壊状況、固着さびの除去状況、作業の安全性、作業効率、騒音の発生程度、粉塵の発生程度に関して行い、さらにこれらを総合評価した。評価の程度は、◎極めて良好、○良好、△改善が必要、×問題が多い、とした。その結果を表3に示す。
表3から判るように、本発明以外の他の研削工具では、一種類のみの工具または研削材を使用する単一の方法で満足に厚いさびを除去することができない中、本発明4,8および13の研削工具は総合的に見て良い評価が得られた。
実施例4
また、本発明の回転研削工具の代表的なものについて、作業効率を確認した。すなわち、ISO−Sa2相当のメタル素地面を得るための作業速度を従来からの研削工具を組み合わせた場合(比較18〜23)と表1に示した本発明4および表2に示した本発明13(研削面の性状は本発明4と同じで、金属円盤のスリットの数及び重量が本発明4と異なる)の研削工具を用いた場合とで比較した。評価のために処理した試験材は、実施例1の場合と同じである。その結果を表4に示す。
表4から判るように本発明の研削工具を用いた場合は、ブラスト前の厚いさびの粗落としや調整研削工程を完全に省略できるため、総合的に作業効率が大幅向上する。これによって作業員への負荷が大幅に軽減される。さらに、大掛かりな設備を一切不要とすることができるので、それらの設備の現場への運搬コストなども含めて考えると、飛躍的なコストダウンが可能ともなる。
切削加工で金属製円盤を製作することを鑑みると、プレス整形が可能で製作コストが最小となりうる表1に示した本発明4、あるいはそれに類似の形状が実用上良い。その他、金属回転盤直径を180mm、70mm、55mmとした本発明の回転研削工具も同様に効率的かつ効果的な厚いさびの除去機能を確認できた。鋼構造物の形状に応じた使い分けをしていくのが良い。
耐候性鋼に固着したさびを除去するのは、これまでの研削工具では最も困難とされてきたものの一つであるが、本発明のさび除去および素地調整用の回転研削工具を用いると、モース硬度10未満のコンクリート、岩石、鉱物等の無機物、金属、有機物あるいはその複合物の研削を行うことも可能である。例えば、表1に示した本発明4の研削工具を用いてコンクリート片を研削したとこと、深さ方向30mm/分の高速研削と素地調整ができた。コンクリート中には骨材として各種岩石が含まれており、これにより本発明の研削工具は、岩石の研削も可能であることが実証された。
本発明の研削工具を用いた600ミクロンの厚さの有機物で塗装された鋼材の塗膜除去試験では、10分/m2の高速で有機塗装膜の研削除去がなされ、鋼材の素地調整ができた。このほか、有機物として、塩化ビニル、フッ素樹脂、アクリル樹種、ポリスチレン樹脂、各種木材の研削も問題なく行えた。また、電気防食の犠牲陽極に用いられるアルミ、マグネシウム、亜鉛およびその合金の場合でも、本発明の研削工具による研削と素地調整が問題なく行えた。鉱物の例として、鉄鉱石、蛍石、コランダム、ルビー、パイライト、長石、石英、方解石、石炭の研削も問題なく行えた。人工の無機物の例としては、ガラスの研削と素地調整が問題なく行えた。このように、本発明の回転研削工具を用いることにより、鋼材のみならず、コンクリートや、有機材料、木材などは言うに及ばず、各種の合金や鉱物などにおいても、研削を伴う素地調整は可能である。
本発明の回転研削工具の一実施形態を示す斜視図である。 本発明の回転研削工具の表面に形成された突起部の形状を模式的に示す図面であり、(a)は断面図、(b)は上面図である。 本発明の回転研削工具に用いる一実施形態の金属回転盤の形状を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のA−A視断面図である。 本発明の回転研削工具に用いる他の実施形態の金属回転盤の形状を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のB−B視断面図である。 本発明の回転研削工具に用いる金属回転盤の他の実施形態の形状を示す図であり、(a)は平面図、(b)は(a)のC−C視断面図である。 ニッケル系高耐候性鋼の曝露試験体の表面の外観図である。 ニッケル系高耐候性鋼の曝露試験体表面に形成した固着さびが、本発明により除去されることを示す図である。
符号の説明
1 回転研削工具
1’ 金属回転盤(回転研削工具の基材)
2,2’ 研削面
3,3’ 研削盤面
4,4’ 研削周面
5 突起部
6,6’ 取付部
7 硬質粒子
7a 硬質粒子(露出部)
7b 硬質粒子(埋没部)
8 硬質粒子の外接近似仮想球
9 蝋材
10 切れ込み
a,b 凹部の底部
c 突起部の頂点
l 突起部の頂点を通る線分

Claims (7)

  1. 回転駆動装置の回転軸に取付けるための中心部の取付部、および研削盤面と研削周面とから構成される研削面を有する金属回転盤からなる回転研削工具であって、金属回転盤の研削面の一部または全部に、20個/cm2以上の面密度となるようモース硬度9を超える硬質粒子が蝋付け接合され、この硬質粒子と蝋材により形成された突起部の高さをH、直径をDとしたとき、平均Hは300μm以上、平均H/D比は0.3以上であって、突起部の硬質粒子に外接する仮想球を用いて蝋材の表面から露出している硬質粒子の露出表面積を求めたとき、平均露出表面積率が10%以上であり、かつ前記金属回転盤が160〜900gの質量を有し、前記蝋材はチタン、クロムおよびジルコニウムのうち1種以上を0.5質量%以上含有し、前記モース硬度9以上の硬質粒子の平均粒子径が200μm以上1000μm以下、平均シェア強度が20N/個以上であることを特徴とする耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具。
  2. 前記モース硬度9以上の硬質粒子がダイヤモンドまたはキュービックボロンナイトライドであり、前記金属回転盤の材質がステンレス鋼であることを特徴とする請求項1に記載の耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具。
  3. 研削盤面と研削周面で構成される前記の金属回転盤の研削面に、研削盤面は研削盤面の法線と回転中心軸とのなす角度が1°以上45°以下となる部分を有し、研削周面は、回転中心に平行な断面の曲率半径がR1mm以上R10mm以下となる部分を有することを特徴とする請求項1〜2のいずれか1項に記載の耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具。
  4. 前記金属回転盤の円周部から中心部に向って、中心対象に、偶数個の切れ込みを設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具。
  5. 前記金属回転盤の直径が50mm以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具の製造方法であって、金属回転盤の研削面に、モース硬度9を超える硬質粒子の平均粒子径が200μm以上1000μm以下であり、該平均粒径の20〜60%の厚さとなるように、有機バインダーを混ぜた蝋材粉末を塗布し、前記蝋材粉末はチタン、クロムおよびジルコニウムのうち1種以上を0.5質量%以上含有し、その上にモース硬度9を超える硬質粒子を20個/cm2以上の面密度となるように付与し、10-4Torr以下の減圧下で、1000℃以上1040℃以下の温度に10分以上50分以下保持することを特徴とする耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれか1項に記載のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具を用いて、耐候性鋼のさびの研削を行うことを特徴とする耐候性鋼の素地調整方法。
JP2007107460A 2006-04-18 2007-04-16 耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いた耐候性鋼の素地調整方法 Active JP5506141B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2007107460A JP5506141B2 (ja) 2006-04-18 2007-04-16 耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いた耐候性鋼の素地調整方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006114846 2006-04-18
JP2006114846 2006-04-18
JP2007107460A JP5506141B2 (ja) 2006-04-18 2007-04-16 耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いた耐候性鋼の素地調整方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2007307701A JP2007307701A (ja) 2007-11-29
JP5506141B2 true JP5506141B2 (ja) 2014-05-28

Family

ID=38840999

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2007107460A Active JP5506141B2 (ja) 2006-04-18 2007-04-16 耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いた耐候性鋼の素地調整方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5506141B2 (ja)

Families Citing this family (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP5686338B2 (ja) * 2009-12-22 2015-03-18 日鉄住金防蝕株式会社 回転研削工具およびその製造方法
JP2014205225A (ja) * 2013-04-15 2014-10-30 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 高硬度脆性材料の研削用砥石
JP6602540B2 (ja) * 2015-02-10 2019-11-06 日鉄ケミカル&マテリアル株式会社 板ガラス用工具
JP2016040075A (ja) * 2015-12-24 2016-03-24 株式会社ノリタケカンパニーリミテド 高硬度脆性材料の研削用砥石
WO2017145491A1 (ja) 2016-02-22 2017-08-31 株式会社アライドマテリアル 砥粒工具
CN109963690B (zh) * 2016-11-16 2021-04-20 丰田万磨株式会社 齿轮磨削用螺纹状磨具的成型用电沉积金刚石修整器以及其制造方法
JP7010648B2 (ja) * 2017-10-06 2022-01-26 日鉄防食株式会社 回転研削工具、その製造方法およびそれを用いた素地調整方法
CN115415945B (zh) * 2022-09-28 2024-03-19 江苏锋泰工具有限公司 一种纯干式金刚石磨盘及其制造方法

Family Cites Families (7)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS5267696U (ja) * 1975-11-14 1977-05-19
US4968326A (en) * 1989-10-10 1990-11-06 Wiand Ronald C Method of brazing of diamond to substrate
JPH0825227A (ja) * 1994-07-07 1996-01-30 Yamazaki Kinzoku Kk 研削砥石
JP2002144244A (ja) * 2000-11-13 2002-05-21 Tenryu Saw Mfg Co Ltd ハット形回転砥石
JP3947355B2 (ja) * 2000-12-15 2007-07-18 旭ダイヤモンド工業株式会社 砥粒工具及びその製造方法
JP2002192470A (ja) * 2000-12-25 2002-07-10 Goei Seisakusho:Kk 砥石工具
JP4082897B2 (ja) * 2001-12-12 2008-04-30 株式会社ノリタケスーパーアブレーシブ 研削砥石

Also Published As

Publication number Publication date
JP2007307701A (ja) 2007-11-29

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5506141B2 (ja) 耐候性鋼のさび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いた耐候性鋼の素地調整方法
JP4804209B2 (ja) 高耐久性補修塗装工法
JP5783519B2 (ja) 回転研削工具
TWI276508B (en) Method for grinding large-size parts and grinding particles for use in the method for grinding large-size part
JP2007051640A (ja) 耐摩耗性溶射コーティングの除去方法、除去装置およびガスタービンエンジン部品の修復方法
CN104532233A (zh) 电机转子轴位激光熔覆修复方法
CN101797676A (zh) 一种脱硫循环泵的修复与表面防护工艺
CN109233553A (zh) 一种脱硫浆液泵的耐磨修复涂层及修复方法
JP2007260733A (ja) ろう付用混合物およびろう付方法
WO2007119886A1 (ja) さび除去および素地調整に優れた回転研削工具およびその製造方法ならびにそれを用いたさび除去および素地調整方法
CN102453911B (zh) 一种挖掘机斗齿的表面强化方法
CN106837656A (zh) 耐磨抗汽蚀的水轮机转轮及叶片
CN104498945A (zh) 电机轴承室激光熔覆修复方法
JP5814857B2 (ja) 耐スラリー摩耗性および耐キャビテーション壊食性に優れた溶射皮膜
JP7010648B2 (ja) 回転研削工具、その製造方法およびそれを用いた素地調整方法
US8728391B2 (en) Machined component manufacturing method for enhanced low cycle fatigue life
US20140230245A1 (en) Method for repairing surface damage to a turbomachine component
JP5143467B2 (ja) 単層ダイヤモンドホイールおよびその使用方法
Zhao et al. Laser cladding Ti coated CBN/CuSnTi alloy on steel for grinding tools of ocean ship
JP5527926B2 (ja) 鉄鋼加工用工具
Stango et al. Recently developed bristle blasting process for corrosion removal
Pattanaik Improvement in service life of skip car by using chromium carbide overlay plate with special reference to Rourkela Steel Plant
Khullar Development and implementation of novel bristle tool for surface treatment of metallic components
Gaur Effect of Surface Preparation on Corrosion of Metals and Alloys
TW202031386A (zh) 靶材的清洗方法、靶材的製造方法以及再生鑄塊的製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20120112

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120117

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120319

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20121002

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121226

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20121226

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20130218

A912 Re-examination (zenchi) completed and case transferred to appeal board

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A912

Effective date: 20130502

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20140124

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20140318

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5506141

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

S111 Request for change of ownership or part of ownership

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313117

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250