JP5506050B2 - 噴射装置及び噴射方法 - Google Patents

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Description

この発明は、レールに噴射物を噴射する噴射装置及び噴射方法に関する。
鉄道車両は、急曲線を通過するときに曲線通過性能に応じた横圧を伴って走行し、この横圧は曲線の内軌及び外軌のきしり音(摩擦音)の原因になるとともに、内軌側のレールの頭頂面に発生する波状摩耗の原因にもなる。一般に、このような過大な横圧や波状摩耗を低減するために、内軌側のレールの頭頂面又は車輪踏面に鉱油やグリースなどの潤滑剤を塗布したり散水したりしている。このような車輪とレールとの間の潤滑に使用される鉱油やグリースは、潤滑効果が過大であるため力行時(駆動時)には車輪の空転を誘発し、制動時には滑走(スリップ)を誘発するとともに、塗出口の周囲や車両床面を汚染する。また、車輪とレールとの間に散水して潤滑する供給方式の場合には、水が低コストで入手が容易ではあるがレールや車輪に水が付着するとこれらの錆を促進する。このため、近年、安定した摩擦係数が確保できる固形の潤滑剤(固体潤滑剤)を摩擦調整剤として使用し、この摩擦調整剤を噴射装置によってレールの頭頂面に噴射している。
従来の噴射装置(従来技術1)は、レールと車輪との間の摩擦抵抗を調整する粉末状の潤滑剤を収容する潤滑剤タンクと、潤滑剤タンクから潤滑剤をレール上に噴射する潤滑剤噴射ノズルと、この潤滑剤噴射ノズルの近傍に配置されており空気を噴射する空気噴射ノズルと、空気噴射ノズルに空気を送風する送風機などを備えている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術1では、送風機から空気噴射ノズルに空気を送風すると、この送風機からの空気によって潤滑剤タンク内の潤滑剤が吸引されて潤滑剤噴射ノズルからこの潤滑剤を噴射している。
また、従来の噴射装置(従来技術2)は、液体状の摩擦調整剤を収容する調整剤タンクと、圧縮空気を収容するエアタンクと、レールの頭頂面に圧縮空気と摩擦調整剤とを噴射するノズルと、摩擦調整剤をノズルから噴射するためにエアタンクからの圧縮空気を調整剤タンクに供給及び供給停止する切替弁などを備えている(例えば、特許文献1参照)。この従来技術2では、列車の後尾車両に設置されており、列車が急曲線を通過するときにこの列車の後尾車両から内軌側のレールの頭頂面に摩擦調整剤を噴射している。
特開昭56-043060号公報
特開2001-151110号公報
従来技術1では、潤滑剤噴射ノズルからレール上に潤滑剤を供給すると、車両の接近に伴う振動や走行風によってレール上から潤滑剤が落下してしまう問題点がある。また、従来技術1では、車輪の踏面と接触するレールの頭頂面に潤滑剤噴射ノズルから潤滑剤を正確に噴射することが困難であり、レールの頭頂面以外の部分にも潤滑剤が飛散してしまい潤滑剤を無駄に消費してしまう問題点がある。さらに、従来技術1では、潤滑剤噴射ノズルから噴射された潤滑剤がこの潤滑剤噴射ノズルの付近のレール上に集中して散布されてしまいレール上に散布される潤滑剤の分布に濃淡が形成されてしまう問題点がある。
従来技術2では、摩擦調整剤が固体潤滑剤とポリマー媒質との混合物であるため、調整剤タンク内で固体潤滑剤とポリマー媒質とが分離すると硬化して、摩擦調整剤をノズルから噴射不可能な状態になってしまう問題点がある。このため、従来技術2では、調整剤タンク内で固体潤滑剤とポリマー媒質とが分離しないように、摩擦調整剤を常時撹拌する撹拌装置をこの調整剤タンク内に設ける必要があり、装置が複雑になるとともに装置のコストが高くなってしまう問題点がある。また、従来技術2では、固体潤滑剤とポリマー媒質との混合物をノズルから噴射するため、固体潤滑剤がノズル内に付着して乾燥するとノズルが詰まり、摩擦調整剤を噴射不能な状態になってしまう問題点がある。
この発明の課題は、簡単な構造によって固体噴射物を確実に噴射動作させることができるとともに、レール上に固体噴射物を長時間安定して留めることができる噴射装置及び噴射方法を提供することである。
この発明は、以下に記載するような解決手段により、前記課題を解決する。
なお、この発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、この実施形態に限定するものではない。
請求項1の発明は、図1、図2、図4〜図6、図8〜図14、図16〜図18及び図20〜図25に示すように、レール(RL;RL,RR)に噴射物(M1,M2;M3,M2)を噴射する噴射装置であって、固体噴射物(M1;M3)を噴射する固体噴射口(17a)と、この固体噴射物を前記レールに留める液体噴射物(M2)を噴射する液体噴射口(18a)とを有する噴射部(16;16L,16R)を備え、前記噴射部は、前記固体噴射物と前記液体噴射物とが空中で混合してから前記レールに付着するように、前記固体噴射口からこの固体噴射物を噴射するとともに、前記液体噴射口からこの液体噴射物を噴射することを特徴とする噴射装置(4)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載の噴射装置において、図4、図5、図10、図11、図13、図14、図17、図18、図21、図22、図24及び図25に示すように、前記固体噴射物を収容する固体収容部(11;11L,11R)と、前記液体噴射物を収容する液体収容部(12;12L,12R)とを備え、前記噴射部は、前記固体収容部内の前記固体噴射物を前記固体噴射口から噴射し、前記液体収容部内の前記液体噴射物を前記液体噴射口から噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載の噴射装置において、図4〜図6、図10、図11、図13、図14、図17、図18、図21、図22、図24および図25に示すように、前記噴射部は、下方に位置する前記固体噴射口から前記固体噴射物を噴射し、上方に位置する前記液体噴射口から前記液体噴射物を噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の噴射装置において、図1及び図8に示すように、前記噴射部は、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射する噴射対象区間(L1)のレールにこの固体噴射物とこの液体噴射物とを線路(R)側から噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項5の発明は、請求項4に記載の噴射装置において、前記噴射部は、前記噴射対象区間のレールの長さ方向に所定の間隔をあけて複数箇所から前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項6の発明は、請求項4又は請求項5に記載の噴射装置において、図2及び図9に示すように、前記噴射部は、前記噴射対象区間に列車(1)が接近したときに、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項7の発明は、請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の噴射装置において、前記噴射部は、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射した後に、この液体噴射物のみを再噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項8の発明は、請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載の噴射装置において、前記噴射部は、前記レールに付着した前記液体噴射物が乾燥状態であるときに、この液体噴射物のみを再噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項9の発明は、請求項4から請求項8までのいずれか1項に記載の噴射装置において、図1に示すように、前記噴射部(16)は、前記噴射対象区間が曲線区間であるときに、この曲線区間の内軌側レール(RL)の外側からこの内軌側レールの頭頂面(R1)に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項10の発明は、請求項9に記載の噴射装置において、前記噴射部は、前記レールと車輪との間の摩擦を緩和する摩擦緩和材を前記固体噴射物として噴射し、前記摩擦緩和材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項11の発明は、請求項4から請求項8までのいずれか1項に記載の噴射装置において、図8に示すように、前記噴射部(16L,16R)は、前記噴射対象区間の左右のレール(RL,RR)の外側からこの左右のレールの頭頂面に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項12の発明は、請求項11に記載の噴射装置において、前記噴射部は、前記レールと車輪との間の粘着係数を増加させる増粘着材を前記固体噴射物として噴射し、前記増粘着材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項13の発明は、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の噴射装置において、図12、図16、図20及び図23に示すように、前記噴射部(16L,16R)は、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射する噴射対象区間(L1)のレール(RL,RR)にこの固体噴射物とこの液体噴射物とを列車(1)側から噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項14の発明は、請求項13に記載の噴射装置において、図12及び図16に示すように、前記噴射部は、後尾車両(1B)の後側の台車(3)の後方に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項15の発明は、請求項13又は請求項14に記載の噴射装置において、図20及び図23に示すように、前記噴射部は、先頭車両(1A)の前側の台車(3)の前方に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項16の発明は、請求項14又は請求項15に記載の噴射装置において、前記噴射部は、前記レールと車輪との間の摩擦を緩和する摩擦緩和材を前記固体噴射物として噴射し、前記摩擦緩和材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項17の発明は、請求項14又は請求項15に記載の噴射装置において、前記噴射部は、前記レールと車輪との間の粘着係数を増加させる増粘着材を前記固体噴射物として噴射し、前記増粘着材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射することを特徴とする噴射装置である。
請求項18の発明は、図1、図2、図4〜図25に示すように、レール(RL;RL,RR)に噴射物(M1,M2;M3,M2)を噴射する噴射方法であって、固体噴射物(M1;M3)を固体噴射口(17a)から噴射するとともに、このレールにこの固体噴射物を留める液体噴射物(M2)を液体噴射口(18a)から噴射して、この固体噴射物とこの液体噴射物とを空中で混合させてからこのレールに付着(S110;S210;S310)させることを特徴とする噴射方法である。
請求項19の発明は、請求項18に記載の噴射方法において、図4、図5、図10、図11、図13、図14、図17、図18、図21、図22、図24及び図25に示すように、前記固体噴射物を収容する固体収容部(11;11L,11R)内のこの固体噴射物を前記固体噴射口から噴射し、前記液体噴射物を収容する液体収容部(12;12L,12R)内のこの液体噴射物を前記液体噴射口から噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項20の発明は、請求項18又は請求項19に記載の噴射方法において、図4〜図6、図10、図11、図13、図14、図17、図18、図21、図22、図24および図25に示すように、下方に位置する前記固体噴射口から前記固体噴射物を噴射し、上方に位置する前記液体噴射口から前記液体噴射物を噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項21の発明は、請求項18から請求項20までのいずれか1項に記載の噴射方法において、図1及び図8に示すように、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射する噴射対象区間(L1)のレールにこの固体噴射物とこの液体噴射物とを線路側から噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項22の発明は、請求項21に記載の噴射方法において、前記噴射対象区間のレールの長さ方向に所定の間隔をあけて複数箇所から前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項23の発明は、請求項21又は請求項22に記載の噴射方法において、図2、図7及び図9に示すように、前記噴射対象区間に列車(1)が接近(S100)したときに、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項24の発明は、請求項21から請求項23までのいずれか1項に記載の噴射方法において、図7に示すように、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射した後に、この液体噴射物のみを再噴射(S130)することを特徴とする噴射方法である。
請求項25の発明は、請求項21から請求項24までのいずれか1項に記載の噴射方法において、前記レールに付着した前記液体噴射物が乾燥状態であるときに、この液体噴射物のみを再噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項26の発明は、請求項21から請求項25までのいずれか1項に記載の噴射方法において、図1に示すように、前記噴射対象区間(L1)が曲線区間であるときに、この曲線区間の内軌側レール(RL)の外側からこの内軌側レールの頭頂面(R1)に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項27の発明は、請求項28に記載の噴射方法において、前記レールと車輪との間の摩擦を緩和する摩擦緩和材を前記固体噴射物として噴射し、前記摩擦緩和材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項28の発明は、請求項21から請求項25までのいずれか1項に記載の噴射方法において、前記噴射対象区間の左右のレール(RL;RR)の外側からこの左右のレールの頭頂面に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴としている噴射方法である。
請求項29の発明は、請求項28に記載の噴射方法において、前記レールと車輪との間の粘着係数を増加させる増粘着材を前記固体噴射物として噴射し、前記増粘着材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項30の発明は、請求項18から請求項20までのいずれか1項に記載の噴射方法において、図12、図15、図16、図19、図20及び図23に示すように、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射する噴射対象区間(L1)のレール(R;RL、RR)にこの固体噴射物とこの液体噴射物とを列車(1)側から噴射(S210;S310)することを特徴とする噴射方法である。
請求項31の発明は、請求項30に記載の噴射方法において、図12及び図16に示すように、後尾車両(1B)の後側の台車(3)の後方に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項32の発明は、請求項30又は請求項31に記載の噴射方法において、図20及び図23に示すように、先頭車両(1A)の前側の台車(3)の前方に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項33の発明は、請求項31又は請求項32に記載の噴射方法において、前記レールと車輪との間の摩擦を緩和する摩擦緩和材を前記固体噴射物として噴射し、前記摩擦緩和材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射することを特徴とする噴射方法である。
請求項34の発明は、請求項31又は請求項32に記載の噴射方法において、前記レールと車輪との間の粘着係数を増加させる増粘着材を前記固体噴射物として噴射し、前記増粘着材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射することを特徴とする噴射方法である。
この発明によると、簡単な構造によって固体噴射物を確実に噴射動作させることができるとともに、レール上に固体噴射物を長時間安定して留めることができる。
この発明の第1実施形態に係る噴射装置を曲線区間の線路側に設置した状態を概略的に示す平面図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置が設置されている曲線区間を列車が通過するときの状況を概略的に示す平面図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置が設置されている曲線区間を車両が通過するときの車輪とレールとの状態を示す正面図であり、(A)は内軌側のレールと車輪との接触状態を示す正面図であり、(B)は外軌側のレールと車輪との接触状態を示す正面図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置を概略的に示す斜視図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置の固体噴射口及び液体噴射口の位置関係を説明するための図であり、(A)は正面図であり、(B)は平面図であり、(C)は側面図である。 この発明の第1実施形態に係る噴射装置の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の第2実施形態に係る噴射装置を直線区間の軌道側に設置した状態を概略的に示す平面図である。 この発明の第2実施形態に係る噴射装置が設置されている直線区間を列車が通過するときの状況を概略的に示す平面図である。 この発明の第2実施形態に係る噴射装置を概略的に示す斜視図である。 この発明の第2実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。 この発明の第3実施形態に係る噴射装置を車両側に設置した列車が曲線区間を通過するときの状況を概略的に示す平面図である。 この発明の第3実施形態に係る噴射装置を概略的に示す斜視図である。 この発明の第3実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。 この発明の第3実施形態に係る噴射装置の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の第4実施形態に係る噴射装置を車両側に設置した列車が直線区間を通過するときの状況を概略的に示す平面図である。 この発明の第4実施形態に係る噴射装置を概略的に示す斜視図である。 この発明の第4実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。 この発明の第4実施形態に係る噴射装置の動作を説明するためのフローチャートである。 この発明の第5実施形態に係る噴射装置を車両側に設置した列車が曲線区間を通過するときの状況を概略的に示す平面図である。 この発明の第5実施形態に係る噴射装置を概略的に示す斜視図である。 この発明の第5実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。 この発明の第6実施形態に係る噴射装置を車両側に設置した列車が直線区間を通過するときの状況を概略的に示す平面図である。 この発明の第6実施形態に係る噴射装置を概略的に示す斜視図である。 この発明の第6実施形態に係る噴射装置を概略的に示す構成図である。 この発明の実施例に係る噴射装置による摩擦緩和材の付着効果を確認するための噴射試験装置の構成図である。
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
以下では、図1及び図2に示すように、左方向の急曲線の内軌側に噴射装置を配置した場合を例に挙げて説明する。
図1及び図2に示す線路Rは、列車1が走行する通路(軌道)であり、図3に示すように車輪WL,WRを案内する一対のレールRL,RRなどを備えている。図1及び図2に示すように、レールRLは急曲線の内軌(曲線の内側のレール)であり、レールRRは急曲線の外軌(曲線の外側のレール)である。レールRL,RRは、図3に示すように、車輪WL,WRを直接支持する頭頂面(頭部上面)R1と、この頭頂面R1と連続する内側頭側面R2とを備えている。図5に示すように、レールRL,RRと車輪WL,WRとの接触点Sには垂直力W及び接線力Fが作用し、垂直力Wに対する接線力Fの比例係数(接線力係数(トラクション係数))F/Wが摩擦係数であり、この摩擦係数の最大値が粘着係数である。図2に示す横圧Qは、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間に作用する力のうち車軸方向(垂直力W及び接線力Fと直交する方向)に作用する力である。
図2に示す列車1は、線路Rを運転させる目的で組成された車両であり、旅客を輸送するための旅客列車、貨物を輸送するための貨物列車、又は旅客列車と貨物列車とを併結して運転する混合列車などである。列車1は、車両1A,1Bによって編成されている。車両1A,1Bは、線路R上を走行する鉄道車両であり、電車、気動車、機関車又は貨車などである。車両1Aは列車1の先頭車両であり、車両1Bは車両1Aの次に連結された次位車両である。車両1A,1Bは、車体2と、台車3などを備えている。
車体2は、乗客又は貨物を積載し輸送するための構造物である。台車3は、車体2を支持して走行する装置であり、一対のレールRL,RRとそれぞれ回転接触する一対の車輪WL,WRと、車体2と台車3とを回転自在に連結するけん引装置3aなどを備えている。車輪WL,WRは、図3に示すように、レールRL,RRの頭頂面R1と接触して摩擦抵抗を受ける車輪踏面W1と、鉄道車両が急曲線を通過するときに、外軌側のレールRRの内側頭側面R2と接触して摩擦抵抗を受けるフランジ面W2とを備えている。
図1、図2及び図4〜図6に示す噴射装置4は、レールRLに噴射物を噴射する装置である。噴射装置4は、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを略同時に空中に噴射してこれらを空中で混合し、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを吸着させた状態でレールRLの頭頂面R1上に落下させ、液体噴射物M2の表面張力によって固体噴射物M1を頭頂面R1上に付着させる。噴射装置4は、図1及び図2に示すように、曲線区間の線路Rの内軌側のレールRLの外側に配置されている定置式噴射装置である。噴射装置4は、図4及び図5に示すように、気体噴射部5と、流路6と、噴射量可変部7,8と、流路9,10と、固体収容部11と、液体収容部12と、流路13〜15と、噴射部16などを備えている。
図4〜図6に示す固体噴射物M1は、レールRLと車輪WLとの間の摩擦を緩和させる粉状物又は粒状物である。固体噴射物M1は、摩擦抵抗(摩擦係数)を略一定範囲内に低減する摩擦安定剤として機能する。固体噴射物M1は、例えば、カーボン系材料又はこのカーボン系材料を主成分として酸化鉄(マグネタイト)及び/又は黒鉛(グラファイト)を含む摩擦緩和材、カーボン系材料を主成分とする基材をニッケルメッキなどの硬質めっき層からなる被覆層によって被覆した摩擦緩和材、コークス粒子と黒鉛粒子とを混合した摩擦緩和材などである。
図4〜図6に示す液体噴射物M2は、レールRLに固体噴射物M1を留める液状物である。液体噴射物M2は、固体噴射物M1とともに空中に噴射されたときに固体噴射物M1を空中で吸着させて、固体噴射物M1とともにレールRLの頭頂面R1に付着し、表面張力によってこの固体噴射物M1を頭頂面R1上に残留させる。液体噴射物M2は、例えば、入手が容易で安価な水、アルコール類又はこれらの混合物などからなるミスト状(霧状)の液滴である。
図4及び図5に示す気体噴射部5は、圧縮空気を噴射する装置である。気体噴射部5は、例えば、圧縮空気を収容するエアタンクと、このエアタンク内に空気を供給するコンプレッサと、エアタンク内の圧縮空気を流路6内に流入させる開閉弁(電磁弁)などを備えている。気体噴射部5は、制御装置21が出力する噴射動作信号に基づいて開閉弁を開放し圧縮空気を噴射する。流路6は、圧縮空気が流れる管路であり、上流側が気体噴射部5に接続されており、下流側が二つに分岐して噴射量可変部7,8にそれぞれ接続されている。
噴射量可変部7は、固体噴射物M1の噴射量を可変する装置である。噴射量可変部7は、固体噴射物M1の散布量が略一定となるように固体噴射物M1の噴射量を可変する。噴射量可変部7は、流路9を流れる圧縮空気の流量を調整する流量調整器として機能する圧力調整弁(電磁弁)を備えており、流量調整後の圧縮空気を固体収容部11に排出する。噴射量可変部7は、流路9の上流側に設置されており、制御装置21が出力する可変動作信号に基づいて流路9を流れる圧縮空気の流量を調整する。
噴射量可変部8は、液体噴射物M2の噴射量を可変する装置である。噴射量可変部8は、液体噴射物M2の散布量が略一定となるように液体噴射物M2の噴射量を可変する。噴射量可変部8は、流路10を流れる圧縮空気の流量を調整する流量調整器として機能する圧力調整弁(電磁弁)を備えており、流量調整後の圧縮空気を液体噴射部18に排出する。噴射量可変部8は、流路10の上流側に設置されており、制御装置21が出力する可変動作信号に基づいて流路10を流れる圧縮空気の流量を調整する。
流路9,10は、噴射量可変部7,8を通過した圧縮空気が流れる管路である。流路9は、固体噴射部17に向かって噴射量可変部7を通過した圧縮空気が流れ、流路10は液体噴射部18に向かって噴射量可変部8を通過した圧縮空気が流れる。流路9は、上流側が噴射量可変部7に接続されており、下流側が固体収容部11に接続されている。流路10は、上流側が噴射量可変部8に接続されており、下流側が液体噴射部18に接続されている。
固体収容部11は、固体噴射物M1を収容する部分である。固体収容部11は、例えば、固体噴射物M1を収容するタンクなどであり、噴射量可変部7を通過した圧縮空気が流入すると、固体収容部11内が負圧になって固体噴射物M1が吸引され固体噴射物M1を圧縮空気とともに流路9に排出する。
液体収容部12は、液体噴射物M2を収容する部分である。液体収容部12は、例えば、液体噴射物M2を収容するタンクなどであり、噴射量可変部8を通過した圧縮空気が液体噴射部18に流入すると、この液体噴射部18内が負圧になって液体噴射物M2が吸引され液体噴射物M2を流路10に排出する。
流路13は、圧縮空気及び固体噴射物M1が流れる管路である。流路13は、レールRLに固体噴射物M1を供給するために、固体収容部11から固体噴射部 に向かって固体噴射物M1を送出する。流路13は、上流側が固体収容部11に接続されており、下流側が固体噴射部17に接続されている。
流路14は、圧縮空気が流れる管路である。流路14は、レールRLに液体噴射物M2を供給するために、噴射量可変部8から液体噴射部18に向かって圧縮空気を送出する。流路14は、上流側が噴射量可変部8に接続されており、下流側が液体噴射部18に接続されている。
流路15は、液体噴射物M2が流れる管路である。流路15は、レールRLに液体噴射物M2を供給するために、液体収容部12から液体噴射部18に向かって液体噴射物M2を送出する。流路15は、上流側が液体収容部12に接続されており、下流側が液体噴射部18に接続されている。
図1、図2及び図4〜図6に示す噴射部16は、レールRLに噴射物を噴射する部分である。噴射部16は、固体噴射部17と液体噴射部18などを備えており、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを略同時に空中に噴射する。固体噴射部17は、図5に示す接触点SのレールRLの頭頂面R1に向かって圧縮空気とともに固体噴射物M1を所定時間連続して噴射する噴射ノズルである。液体噴射部18は、噴射量可変部8から流入する圧縮空気によって液体収容部12から液体噴射物M2を吸引し、図5に示す接触点SのレールRLの頭頂面R1に向かって圧縮空気とともに液体噴射物M2を所定時間連続して噴霧するミストノズルである。液体噴射部18は、液体噴射物M2の液滴が所定の大きさ及び量になるようにこの液体噴射物M2を噴射する。
噴射部16は、図4〜図6に示すように、固体噴射物M1を噴射する固体噴射口17aと、液体噴射物M2を噴射する液体噴射口18aとを有する。噴射部16は、図6(A)(C)に示すように、レールRLに対する固体噴射物M1の付着性が向上するように、固体噴射口17aと液体噴射口18aとが上下に配置されており、下方に位置する固体噴射口17aから固体噴射物M1を噴射し、上方に位置する液体噴射口18aから液体噴射物M2を噴射する。噴射部16は、固体噴射物M1と液体噴射物M2とが空中で混合してからレールRLに付着するように、固体噴射口17aからこの固体噴射物M1を噴射するとともに、液体噴射口18aからこの液体噴射物M2を噴射する。噴射部16は、固体噴射物M1と液体噴射物M2とが噴射前に混合して流路13〜15などで硬化しないように、図4及び図5に示すように固体収容部11内の固体噴射物M1を固体噴射口17aから噴射し、液体収容部12内の液体噴射物M2を液体噴射口18aから噴射する。噴射部16は、図1及び図2に示すように、レールRLの頭頂面R1上に固体噴射物M1を正確に噴射して摩擦緩和効果を発揮するように、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する噴射対象区間L1のレールRLにこの固体噴射物M1とこの液体噴射物M2とを線路R側から噴射する。噴射部16は、レールRLの長さ方向に沿って固体噴射物M1と液体噴射物M2とが頭頂面R1上に略均一に散布されるように、噴射対象区間L1の線路Rの長さ方向に所定の間隔をあけて複数箇所からこの固体噴射物M1とこの液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16は、噴射対象区間L1に列車1が進入する前に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射するように、この噴射対象区間L1に列車1が接近したときに、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16は、液体噴射物M2が乾燥して固体噴射物M1をレールRLに残留させる機能が低下したようなときには、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射した後に、液体噴射物M2のみを液体噴射口18aから再噴射する。噴射部16は、例えば、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射してから所定時間経過後に、レールRLに付着した液体噴射物M2が乾燥状態であるときには、液体噴射物M2のみを液体噴射口18aから再噴射する。噴射部16は、例えば、図1及び図2に示すように、左方向の曲線区間を列車1が通過するときには、列車1の安全な走行を確保しつつ進行方向左側のレールRLと車輪WLとの間の摩擦抵抗が緩和するように、この曲線区間の内軌側のレールRLの外側からこの内軌側のレールRLの頭頂面R1に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。
噴射部16は、図6(B)に示すように、レールRLの長さ方向に対して略平行に所定の噴射角度θ1で固体噴射物M1及び液体噴射物M2を斜め方向に噴射するとともに、図6(C)に示すようにレールRL,RRの頭頂面R1に対して所定の仰角θ2で固体噴射物M1及び液体噴射物M2を斜め上方に噴射する。噴射部16は、図6に示すように、固体噴射部17及び液体噴射部18を支持する支持部16aを備えており、この支持部16aは固体噴射部17及び液体噴射部18の噴射角度θ1及び仰角θ2を調整可能なように支持しており、レールRL,RRを支持するまくらぎ又はスラブ版などの支持体(支承体)又はレールRL,RRの底部に図示しない固定部材によって着脱自在に固定されている。噴射部16は、図6(A)に示すように、鉄道車両が安全に走行するために建築物などが入ってはならない軌道上に確保された空間である建築限界L2を超えない範囲内に配置されており、レールRLの頭頂面R1よりも液体噴射部18が僅かに低くなるように配置されている。
図4及び図5に示す列車接近検出装置19は、噴射対象区間L1への列車1の接近を検出する装置である。列車接近検出装置19は、例えば、図1及び図2に示す曲線区間に列車1が進入する前に固体噴射物M1及び液体噴射部W1を噴射部16が噴射するように、この曲線区間の入口よりも前方の所定地点を通過する列車1を検出して、この列車1の曲線区間への接近を検出する。列車接近検出装置19は、例えば、線路Rの一方の側から光を照射する発光部と、この線路Rの他方の側でこの光を受光する受光部と、発光部と受光部との間を列車が通過してこれらの間の光が列車1によって遮られたときにこの列車1の通過を検出する検出部などを備える光学式の列車通過検出装置などである。列車接近検出装置19は、曲線区間への列車1の接近を検出したときにはこの検出結果を列車接近検出情報(列車接近検出信号)として制御装置21に出力する。
図4及び図5に示す乾燥状態判定装置20は、レールRLに付着した液体噴射物M2の乾燥状態を判定する装置である。乾燥状態判定装置20は、例えば、レールRLに付着した液体噴射物M2に赤外線を照射する照射部と、この液体噴射物M2から反射する赤外線を受光する受光部と、この受光部が受光した赤外線の減衰量から液体噴射物M2の水分量を検出してこの液体噴射物M2が乾燥状態であるか否かを判定する判定部などを備える赤外線式の水分測定装置、又は固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射してからの経過時間を計測してこの液体噴射物M2の乾燥状態を判定する判定装置などである。乾燥状態判定装置20は、例えば、レールRLに付着した液体噴射物M2の水分量が所定値を下回るときや、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射してからの経過時間が所定時間を越えているときには、この液体噴射物M2が乾燥状態であると判定する。乾燥状態判定装置20は、液体噴射物M2が乾燥状態であると判定したときにはこの判定結果を乾燥状態判定情報(乾燥状態判定信号)として制御装置21に出力する。
制御装置21は、噴射装置4の種々の動作制御する装置である。制御装置21は、固体噴射物M1と液体噴射物M2とが空中で混合してからレールRLに付着するように、固体噴射口17aからの固体噴射物M1の噴射動作と液体噴射口18aからの液体噴射物M2の噴射動作とを制御する。制御装置21は、例えば、気体噴射部5に圧縮空気の噴射を開始又は停止させるためにこの気体噴射部5に噴射動作信号を出力したり、噴射量可変部7,8に圧縮空気の流量を調整させるためにこの噴射量可変部7,8に可変動作信号を出力したり、列車接近検出装置19からの列車接近検出信号に基づいて固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射するように噴射装置4を動作制御したり、乾燥状態判定装置20からの乾燥状態判定信号に基づいて液体噴射物M2のみを再噴射するように噴射装置4を動作制御したりする。制御装置21には、噴射装置4、列車接近検出装置19及び乾燥状態判定装置20などが相互に通信可能なように接続されている。
次に、この発明の第1実施形態に係る噴射装置の動作を説明する。
以下では、制御装置21の動作を中心として、図1及び図2に示すような左方向の急曲線を列車1が走行する場合を例に挙げて説明する。
ステップ(以下、Sという)100において、噴射対象区間L1に列車1が接近しているか否かを制御装置21が判断する。噴射対象区間L1に列車1が接近すると、列車接近検出装置19の発光部と受光部との間の光を列車1が遮るため、列車接近検出装置19が噴射対象区間L1への列車1の接近を検出し、列車接近検出信号を制御装置21に出力する。列車接近検出装置19から列車接近検出信号が制御装置21に入力したときには、噴射対象区間L1に列車1が接近していると制御装置21が判断してS110に進み、列車接近検出装置19から列車接近検出信号が制御装置21に入力しなかったときには、列車接近検出信号が制御装置21に入力するまで制御装置21が判断を繰り返す。
S110において、固体噴射物M1及び液体噴射物M2の噴射を制御装置21が噴射装置4に指令する。列車接近検出装置19から列車接近検出信号が制御装置21に入力すると、噴射量可変部7,8に可変動作信号を制御装置21が出力する。このため、図4及び図5に示す気体噴射部5のエアタンクから圧縮空気が流路6に流入し、この圧縮空気が噴射量可変部7,8に流入する。その結果、固体収容部11から固体噴射物M1が流路13に噴射されて、固体噴射物M1が圧縮空気とともに固体噴射口17aから噴射するとともに、液体収容部12から液体噴射物M2が流路15に噴射されて、液体噴射物M2が圧縮空気とともに液体噴射口18aから噴射する。固体噴射口17aから固体噴射物M1が空気中に噴射するとともに液体噴射口18aから液体噴射物M2が空気中に噴射すると、固体噴射物M1と液体噴射物M2とが空中で混合して固体噴射物M1の表面に霧状の液体噴射物M2が吸着する。このため、固体噴射物M1の周囲が液体噴射物M2によって覆われた状態で、固体噴射物M1と液体噴射物M2とがレールRLの頭頂面R1に向かって落下してこの頭頂面R1に付着し、液体噴射物M2の表面張力によってレールRLの頭頂面R1に固体噴射物M1が残留する。固体噴射物M1と空気中で混合しなかった液体噴射物M2がレールRLの頭頂面R1に向かって落下してこの頭頂面R1に付着すると、この頭頂面R1に液体噴射物M2の膜を形成する。このため、液体噴射物M2と空気中で混合しなかった固体噴射物M1がレールRLの頭頂面R1に向かって落下すると、この頭頂面R1に付着した液体噴射物M2に固体噴射物M1が付着して、液体噴射物M2の表面張力によって固体噴射物M1が頭頂面R1に残留する。
S120において、液体噴射物M2が乾燥状態であるか否かを制御装置21が判断する。レールRLに液体噴射物M2が付着すると、この液体噴射物M2の水分量を赤外線によって測定したり固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射してからの経過時間を計測したりして、この液体噴射物M2の乾燥状態を乾燥状態判定装置20が判定し、乾燥状態判定信号を制御装置21に出力する。乾燥状態判定装置20から乾燥状態判定信号が制御装置21に入力したときには、液体噴射物M2が乾燥状態であると制御装置21が判断してS130に進み、乾燥状態判定装置20から乾燥状態測定信号が制御装置21に入力しなかったときには、液体噴射物M2が乾燥状態ではなく湿潤状態であると制御装置21が判断してS140に進む。
S130において、液体噴射物M2の再噴射を制御装置21が噴射装置4に指令する。固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射してから噴射対象区間L1に列車1が進入する前に、レールRLに付着した液体噴射物M2が乾燥するとレールRLから固体噴射物M1が脱落してしまう可能性がある。このため、乾燥状態判定装置20から乾燥状態判定信号が制御装置21に入力すると、噴射量可変部8に可変動作信号を制御装置21が出力する。このため、図4及び図5に示す気体噴射部5のエアタンクから圧縮空気が流路6に流入し、この圧縮空気が噴射量可変部8に流入する。その結果、液体収容部12から液体噴射物M2が流路15に噴射されて、液体噴射物M2が圧縮空気とともに液体噴射口18aから噴射する。液体噴射口18aから液体噴射物M2が空気中に噴射すると、液体噴射物M2がレールRLの頭頂面R1に向かって落下してこの頭頂面R1に付着し、液体噴射物M2の表面張力によって頭頂面R1上に固体噴射物M1が残留し頭頂面R1から固体噴射物M1が脱落するのを防止する。
噴射対象区間L1に列車1が進入すると、先頭の車両1Aのフランジ面W2と内側頭側面R2との間に固体噴射物M1が挟み込まれてこれらの間で固体噴射物M1が加圧される。車両1A以降の次位の車両1Bが次々にフランジ面W2と内側頭側面R2との間に固体噴射物M1を挟み込み、これらの間で固体噴射物M1がさらに加圧される。その結果、レールRLと車輪WLとの間に発生する横圧Qが低減するため、内側頭側面R2とフランジ面W2との間に生じる過度の摩擦抵抗が緩和され、急曲線におけるレールRL,RRの摩耗が防止される。また、固体噴射物M1が内側頭側面R2に残留してこの固体噴射物M1による摩擦係数の緩和機能が長期間にわたり持続し、列車1が通過した後に急曲線を後続列車が通過するときにも、残留する固体噴射物M1によって摩擦緩和の効果が維持される。
S140において、噴射対象区間L1に次の列車1が接近しているか否かを制御装置21が判断する。噴射対象区間L1に後続の列車1が接近すると、列車接近検出装置19が噴射対象区間L1へのこの後続の列車1の接近を検出し、列車接近検出信号を制御装置21に出力する。列車接近検出装置19から列車接近検出信号が制御装置21に入力したときには、噴射対象区間L1に後続の列車1が接近していると制御装置21が判断してS110に戻り、S110以降の処理を制御装置21が繰り返す。一方、列車接近検出装置19から列車接近検出信号が制御装置21に入力しなかったときには、噴射対象区間L1に後続の列車1が接近していないと制御装置21が判断してS150に進む。
S150において、次の列車1が存在するか否かを制御装置21が判断する。例えば、列車1の運行を管理する運行管理システムが送信する列車情報を制御装置21が受信して次の列車1が存在するか否かを制御装置21が判断する。次の列車1が存在すると制御装置21が判断したときにはS120に戻り、液体噴射物M2が乾燥状態であるか否かを制御装置21が判断し、S120以降の処理を制御装置21が繰り返す。一方、次の列車1が存在しないと制御装置21が判断したときには一連の処理を終了する。
この発明の第1実施形態に係る噴射装置及び噴射方法には、以下に記載するような効果がある。
(1) この第1実施形態では、固体噴射物M1と液体噴射物M2とが空中で混合してからレールRLに付着するように、固体噴射口17aから固体噴射物M1を噴射するとともに、この固体噴射物M1をレールRLに留める液体噴射物M2を液体噴射口18aから噴射する。このため、固体噴射口17aと液体噴射口18aとを有する簡単な構造の噴射部16によって固体噴射物M1と液体噴射物M2とを別々に噴射することができ、固体噴射物M1と液体噴射物M2とが混合して硬化するのを防ぎ、固体噴射物M1を確実に噴射動作させることができる。また、レールRL上に固体噴射物M1を一様に分布させて長時間安定して留めることができるため、列車1の接近に伴う振動や走行風によってレールRL上から固体噴射物M1が落下するのを防ぐことができる。
(2) この第1実施形態では、固体収容部11内の固体噴射物M1を固体噴射口17aから噴射し、液体収容部12内の液体噴射物M2を液体噴射口18aから噴射する。このため、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを混合させずに個別に収容しそれぞれを空中に噴射して混合する空中混合式の構造を採用することによって、固体噴射物M1と液体噴射物M2との混合物が固体噴射口17aや液体噴射口18aに付着しこれらが詰まるのを防止することができる。
(3) この第1実施形態では、下方に位置する固体噴射口17aから固体噴射物M1を噴射し、上方に位置する液体噴射口18aから液体噴射物M2を噴射する。このため、レールRLの頭頂面R1への固体噴射物M1の付着量を向上させることができるとともに、液体噴射物M2がレールRLの側面に付着してこのレールRLに錆が発生するのを防ぐことができる。
(4) この第1実施形態では、噴射対象区間L1のレールRLに固体噴射物M1と液体噴射物M2とを線路R側から噴射部16が噴射する。このため、噴射対象区間L1のレールRLの頭頂面R1に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを正確に噴射することができるとともに、この頭頂面R1以外の部分に固体噴射物M1を噴射して固体噴射物M1を無駄に消費してしまうのを防ぐことができる。
(5) この第1実施形態では、噴射対象区間L1のレールRLの長さ方向に所定の間隔をあけて複数箇所から固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射部16が噴射する。このため、固体噴射物M1と液体噴射物M2とが噴射部16の付近に集中して散布されるのを防ぐことができ、線路Rの長さ方向に沿って固体噴射物M1と液体噴射物M2とを略均一に散布することができる。
(6) この第1実施形態では、噴射対象区間L1に列車1が接近したときに、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射部16が噴射する。このため、噴射対象区間L1に列車1が進入する前の所定のタイミングで固体噴射物M1と液体噴射物M2とを事前に噴射することができ、液体噴射物M2によって固体噴射物M1をレールRLの頭頂面R1に安定して付着させることができる。
(7) この第1実施形態では、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射した後に、この液体噴射物M2のみを噴射部16が再噴射する。このため、固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射してから所定時間経過後に液体噴射物M2のみを自動的に再噴射し固体噴射物M1を湿潤状態にして、レールRLの頭頂面R1上に固体噴射物M1を留めることができる。
(8) この第1実施形態では、レールRLに付着した液体噴射物M2が乾燥状態であるときに、この液体噴射物M2のみを噴射部16が再噴射する。このため、液体噴射物M2の乾燥状態を常時監視して、液体噴射物M2が乾燥状態になってレールRLの頭頂面R1から固体噴射物M1が脱落する前に、この液体噴射物M2を自動的に再噴射してこの固体噴射物M1を頭頂面R1上に留めることができる。
(9) この第1実施形態では、噴射対象区間L1が曲線区間であるときに、この曲線区間の内軌側のレールRLの外側からこの内軌側のレールRLの頭頂面R1に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射部16が噴射する。このため、列車1の走行に支障のない曲線区間の外側から固体噴射物M1と液体噴射物M2とを安全に噴射することができる。
(10) この第1実施形態では、レールRLと車輪WLとの間の摩擦を緩和する摩擦緩和材を固体噴射物M1として噴射部16が噴射し、この摩擦緩和材をレールRLに留める水を液体噴射物M2としてこの噴射部16が噴射する。このため、入手が容易な水によって摩擦緩和材をレールRLに留めてレールRLと車輪WLとの間の摩擦抵抗を緩和することができる。また、従来の油のような潤滑剤に比べて列車1のブレーキ時に発生する空転や滑走による影響を低減することができるとともに、列車1や線路Rの汚染を防ぐことができる。さらに、従来の水のような潤滑剤に比べて噴射対象区間L1の線路Rに必要最小限の水を噴射することができるため、レールRLに付着しても錆を誘発することがなく、レールRLに流れる信号に与える影響を低減することができる。
(第2実施形態)
以下では、図1〜図6に示す部分と対応する部分については対応する番号を付して詳細な説明を省略する。
図8〜図10に示す噴射装置4は、例えば、直線区間の線路Rの左右のレールRL,RRの外側に配置されている定置式噴射装置である。噴射装置4は、図10及び図11に示すように、気体噴射部5L,5Rと、流路6L,6Rと、噴射量可変部7L,7R,8L,8Rと、流路9L,9R,10L,10Rと、固体収容部11L,11Rと、液体収容部12L,12Rと、流路13L〜15L,13R〜15Rと、噴射部16L,16Rなどを備えている。図9及び図10に示す固体噴射物M3は、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間の粘着係数を増加させる粉状物又は粒状物である。固体噴射部M3は、例えば、セラミックスであるアルミナ粒子又は珪砂などの増粘着材である。固体収容部11L,11Rは、固体噴射物M3を収容する部分である。噴射部16L,16Rは、レールRL,RRに噴射物を噴射する部分であり、固体噴射物M3と液体噴射物M2とが空中で混合してからレールRL,RRに付着するように、固体噴射口17aからこの固体噴射物M3を噴射するとともに、液体噴射口18aからこの液体噴射物M2を噴射する。噴射部16L,16Rは、例えば、図8に示すように、直線区間を列車1が通過するときには、この直線の左側のレールRLの外側からこの左側のレールRLの頭頂面R1に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射し、この直線の右側のレールRRの外側からこの右側のレールRRの頭頂面R1に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射する。図9及び図10に示す制御装置21は、固体噴射物M3と液体噴射物M2とが空中で混合してからレールRL,RRに付着するように、固体噴射口17aからの固体噴射物M3の噴射動作と液体噴射口18aからの液体噴射物M2の噴射動作とを制御する。
次に、この発明の第2実施形態に係る噴射装置の動作を説明する。
以下では、図8及び図9に示すような直線区間を列車1が走行する場合を例に挙げて説明する。
図9に示すように、図中矢印方向に走行する列車1が噴射対象区間L1に進入すると、列車接近検出装置19から列車接近検出信号が制御装置21に入力して、固体噴射物M3及び液体噴射物M2の噴射を制御装置21が噴射装置4に指令する。このため、図10及び図11に示すように、固体噴射口17aから固体噴射物M3が空気中に噴射するとともに液体噴射口18aから液体噴射物M2が空気中に噴射して、固体噴射物M3と液体噴射物M2とが空中で混合して、固体噴射物M3と液体噴射物M2とがレールRL,RRの頭頂面R1に向かって落下してこの頭頂面R1に付着する。噴射対象区間L1に列車1が進入すると、列車1の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に固体噴射物M3が挟み込まれてこれらの間で固体噴射物M3が加圧される。その結果、図11に示すレールRL,RRの頭頂面R1と車輪WL,WRの車輪踏面W1との間の粘着係数が増加されて、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間に発生する巨視的な滑りである空転又は滑走が防止される。
この発明の第2実施形態に係る噴射装置及び噴射方法には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第2実施形態では、噴射対象区間L1の左右のレールRL,RRの外側からこの左右のレールRL,RRの頭頂面R1に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射部16が噴射する。このため、列車1の走行に支障のない線路Rの外側から固体噴射物M3と液体噴射物M2とを安全に噴射することができる。
(2) この第2実施形態では、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間の粘着係数を増加させる増粘着材を固体噴射物M3として噴射部16が噴射し、この増粘着材をレールRL,RRに留める水を液体噴射物M2として噴射部16が噴射する。このため、入手が容易な水によって増粘着材をレールRL,RRに留めてレールRL,RRと車輪WL,WRとの間の粘着係数を増加させることができる。
(第3実施形態)
図12に示す車両1Bは、車体2と、台車3と、噴射装置4などを備えている。図12〜図14に示す噴射装置4は、曲線区間のレールRL,RRの頭頂面R1に後尾の車両1B側から噴射物を噴射する車上式噴射装置である。噴射装置4は、図13及び図14に示すように、気体噴射部5と、流路6L,6Rと、噴射量可変部7L,7R,8L,8Rと、流路9L,9R,10L,10Rと、固体収容部11L,11Rと、液体収容部12L,12Rと、流路13L〜15L,13R〜15Rと、噴射部16L,16Rなどを備えている。噴射装置4は、図13に示すように、例えば、列車1が直線区間及び曲線区間を走行するときに、噴射部16L,16Rの固体噴射口17a及び液体噴射口18aと左右のレールRL,RRの頭頂面R1とが所定の間隔をあけて対向するように、後尾の車両1Bの進行方向後側の台車3に装着されている。
図12に示す噴射部16L,16Rは、噴射対象区間L1のレールRL,RRに列車1側から固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16L,16Rは、噴射対象区間L1を通過している列車1の次にこの噴射対象区間L1に進入する後続の列車1の車輪WLとレールRLとの間の摩擦抵抗を緩和するために、後尾の車両1Bの後側の台車3の後方に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16Lは、列車1の進行方向左側のレールRLの頭頂面R1に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射し、噴射部16Rは列車1の進行方向右側のレールRRの頭頂面R1に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16L,16Rは、図6に示す噴射部16と同様に、下方に位置する固体噴射口17aから固体噴射物M1を噴射し、上方に位置する液体噴射口18aから液体噴射物M2を噴射する。噴射部16L,16Rは、図13及び図14に示す曲線検出装置22、横圧検出装置23又はきしり音検出装置24の検出結果に基づいて、レールRL,RRの頭頂面R1に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16L,16Rは、例えば、曲線検出装置22が検出する後尾の車両1Bの後側の台車3の左右方向の回転角に基づいて固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射したり、横圧検出装置23が検出した横圧Qが所定値よりも大きいときに固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射したり、きしり音検出装置24が検出したきしり音のレベルが所定値よりも大きいときに固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射したりする。
制御装置21は、曲線検出装置22、横圧検出装置23及びきしり音検出装置24の検出結果に基づいて、固体噴射部17からの固体噴射物M1の噴射動作と液体噴射部18からの液体噴射物M2の噴射動作とを制御する。制御装置21は、例えば、気体噴射部5に圧縮空気の噴射を開始又は停止させるためにこの気体噴射部5に噴射動作信号を出力したり、噴射量可変部7L,7R,8L,8Rに圧縮空気の流量を調整させるためにこの噴射量可変部7L,7R,8L,8Rに可変動作信号を出力したりする。制御装置21には、曲線検出装置22、横圧検出装置23及びきしり音検出装置24などが相互に通信可能なように接続されている。
曲線検出装置22は、後尾の車両1Bの後側の台車3の曲線進入を検出する装置であり、この車両1Bの後側の台車3の左右方向の回転角(ヨーイング角)を検出する。曲線検出装置22は、例えば、図2に示すように後尾の車両1Bの後側の台車3がけん引装置3aを中心として回転するときの回転角をカム装置、近接スイッチ、変位センサ又は加速度センサなどによって検知して、急曲線及びこの急曲線の方向を検出する。曲線検出装置22は、回転角に応じた回転角検出信号を制御装置21に出力する。
横圧検出装置23は、後尾の車両1Bの後側の台車3のレールRL,RRと車輪WL,WRとの間に発生する横圧Qを検出する装置である。横圧検出装置23は、例えば、車輪WL,WRに貼り付けられたひずみゲージからの出力信号に基づいて荷重を検出し、横圧Qを測定する横圧測定器などである。横圧検出装置23は、横圧Qの作用する方向を測定して、急曲線及びこの急曲線の方向を検出するとともに、横圧Qに応じた横圧検出信号を制御装置21に出力する。
きしり音検出装置24は、後尾の車両1Bの後側の台車3の曲線進入時に発生するきしり音を検出する装置である。ここで、きしり音(きしみ音)とは、後尾の車両1Bが曲線を通過する場合において、レールRL,RRに対して直角方向に作用する車輪WL,WRのすべり(横クリープ力)が所定の大きさを超えたときに、車輪WL,WR自身の固有振動数が大きく増幅され自励振動によって発生する摩擦振動音である。きしり音検出装置24は、例えば、騒音を測定するマイクロホンと、このマイクロホンの出力信号を処理しきしり音の信号成分を抽出する信号処理回路などを備えている。きしり音検出装置24は、きしり音の発生する方向を測定して、急曲線及びこの急曲線の方向を検出するととともに、きしり音に応じたきしり音検出信号を制御装置21に出力する。
次に、この発明の第3実施形態に係る噴射装置の動作を説明する。
以下では、制御装置21の動作を中心として、図12に示すような左方向の急曲線を列車1が走行する場合を例に挙げて説明する。
図15に示すS200において、車両1Bが急曲線に進入したか否かを制御装置21が判断する。例えば、図12に示すように、後尾の車両1Bが急曲線に進入すると、図13及び図14に示す曲線検出装置22、横圧検出装置23又はきしり音検出装置24の少なくとも一つが急曲線及びこの急曲線の方向を検出する。その結果、曲線検出信号、横圧検出信号又はきしり音検出信号の少なくとも一つが制御装置21に出力されて、車両1Bが急曲線に進入したか否かを制御装置21が判断する。車両1Bが急曲線に進入したと制御装置21が判断したときにはS210に進み、車両1Bが急曲線に進入していないと制御装置21が判断したときには車両1Bが急曲線に進入するまで制御装置21が判断を繰り返す。
S210において、固体噴射物M1及び液体噴射物M2の噴射開始を制御装置21が噴射装置4に指令する。車両1Bが急曲線に進入したと制御装置21が判断すると、固体噴射物M1及び液体噴射物M2の噴射を制御装置21が噴射装置4に指令する。このため、後尾の車両1Bの後側の台車3の後方に噴射部16Lの固体噴射口17aから固体噴射物M1が空気中に噴射するとともに、噴射部16Lの液体噴射口18aから液体噴射物M2が空気中に噴射する。その結果、固体噴射物M1と液体噴射物M2とが空中で混合して、固体噴射物M1と液体噴射物M2とがレールRLの頭頂面R1に向かって落下してこの頭頂面R1に付着する。列車1が噴射対象区間L1である急曲線を通過した後にこの急曲線に後続の列車1が進入すると、この列車1の車輪WLとレールRLとの間に固体噴射物M1が挟み込まれてこれらの間で固体噴射物M1が加圧される。その結果、図3に示すレールRLの頭頂面R1と車輪WLの車輪踏面W1との間の摩擦抵抗が緩和されて、レールRLと車輪WLとの間に発生する横圧Qが低減するため、内側頭側面R2とフランジ面W2との間に生じる過度の摩擦抵抗が緩和され、急曲線におけるレールRLの摩耗が防止される。
S230において、車両1Bが急曲線から進出したか否かを制御装置21が判断する。例えば、図12に示す車両1Bが急曲線から進出すると、図13及び図14に示す曲線検出装置22、横圧検出装置23又はきしり音検出装置24の少なくとも一つの検出結果に基づいて、車両1Bが急曲線から進出したか否かを制御装置21が判断する。車両1Bが急曲線から進出したと制御装置21が判断したときにはS240に進み、車両1Bが急曲線から進出していないと制御装置21が判断したときには車両1Bが急曲線から進出するまで制御装置21が判断を繰り返す。
S240において、固体噴射物M1及び液体噴射物M2の噴射停止を制御装置21が噴射装置4に指令する。車両1Bが急曲線から進出したと制御装置21が判断すると、固体噴射物M1及び液体噴射物M2の噴射停止を制御装置21が噴射装置4に指令する。その結果、気体噴射部5のエアタンクから流路6L,6Rに圧縮空気を流入させる開閉弁が閉じて、固体噴射物M1及び液体噴射物M2の噴射が停止する。
この発明の第3実施形態に係る噴射装置及び噴射方法には、第1実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第3実施形態では、噴射対象区間L1のレールRL,RRに固体噴射物M1と液体噴射物M2とを列車1側から噴射部16L,16Rが噴射する。このため、例えば、固体噴射物M1を噴射する必要性が高い噴射対象区間L1を列車1が通過するときにこの列車1側からレールRL,RRの頭頂面R1に固体噴射物M1を噴射することができる。その結果、第1実施形態のような固体噴射物M1と液体噴射物M2とを線路R側から噴射するための地上側の噴射装置4を噴射対象区間L1に多数設置する必要がなくなって低コスト化を図ることができる。
(2) この第3実施形態では、後尾の車両1Bの後側の台車3の後方に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射部16L,16Rが噴射する。このため、この車両1Bの後続の列車1が噴射対象区間L1に進入するまでに、この噴射対象区間L1のレールRL,RRの頭頂面R1に液体噴射物M2によって固体噴射物M1を留めておくことができる。
(第4実施形態)
図16〜図18に示す噴射部16L,16Rは、噴射対象区間L1を通過している列車1の次にこの噴射対象区間L1に進入する後続の列車1の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間の粘着係数を増加させるために、後尾の車両1Bの後側の台車3の後方に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16Lは、列車1の進行方向左側のレールRLの頭頂面R1に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射し、噴射部16Rは列車1の進行方向右側のレールRRの頭頂面R1に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16L,16Rは、図6に示す噴射部16と同様に、下方に位置する固体噴射口17aから固体噴射物M3を噴射し、上方に位置する液体噴射口18aから液体噴射物M2を噴射する。噴射部16L,16Rは、図27及び図18に示す粘着状態検出装置25の検出結果に基づいて、レールRL,RRの頭頂面R1に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16L,16Rは、例えば、粘着状態検出装置25が出力する空転/滑走検出信号に基づいて、固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射する。
制御装置21は、粘着状態検出装置25の検出結果に基づいて、固体噴射口17aからの固体噴射物M3の噴射動作と液体噴射口18aからの液体噴射物M2の噴射動作とを制御する。制御装置21は、例えば、粘着状態検出装置25の検出結果に基づいて、気体噴射部5に圧縮空気の噴射を開始又は停止させるためにこの気体噴射部5に噴射動作信号を出力したり、噴射量可変部7L,7R,8L,8Rに圧縮空気の流量を調整させるためにこの噴射量可変部7L,7R,8L,8Rに可変動作信号を出力したりする。制御装置21には、粘着状態検出装置25などが相互に通信可能なように接続されている。
粘着状態検出装置25は、車輪WL,WRとレールRL,RRとの間の粘着状態を検出する装置である。粘着状態検出装置25は、例えば、力行(駆動)時に車輪WL,WRがレールRL,RR上を滑る車輪WL,WRの空転を検出するとともに、ブレーキ時に車輪WL,WRがレールRL,RR上を滑る車輪WL,WRの滑走を検出する。粘着状態検出装置25は、車輪WL,WRの空転又は滑走が発生した後に、車輪WL,WRとレールRL,RRとの間の粘着力が増大又は駆動力若しくはブレーキ力が減少して、車輪WL,WRの回転速度が車両1A,1Bの走行速度と同じ速度に復帰する車輪WL,WRの再粘着を検出する。粘着状態検出装置25は、例えば、車輪WL,WR及びレールRL,RRの損傷を防止するために、車輪WL,WRとレールRL,RRとの間の巨視的なすべりを検出するとともに車輪WL,WRの再粘着を検出する空転滑走検出装置などであり、車両1A,1Bを駆動制御するインバータ制御装置の一部に組み込まれている。粘着状態検出装置25は、車輪WL,WRの空転及び/又は滑走などの巨視的なすべりを検出したときには、空転/滑走検出信号(すべり検出信号)を制御装置21に出力し、車輪WL,WRの再粘着を検出したときには再粘着検出信号を制御装置21に出力する。
次に、この発明の第4実施形態に係る噴射装置の動作を説明する。
以下では、図16に示す直線区間を列車1が走行する場合を例に挙げて説明する。
図19に示すS300において、粘着状態検出装置25が車輪WL,WRの空転又は滑走を検出したか否かを制御装置21が判断する。粘着状態検出装置25が車輪WL,WRの空転又は滑走を検出すると、粘着状態検出装置25が空転/滑走検出信号を制御装置21に出力する。空転/滑走検出信号が入力したと制御装置21が判断したときにはS310に進み、空転/滑走検出信号が入力しなかったと制御装置21が判断したときには空転/滑走検出信号が入力するまで制御装置21が判断を繰り返す。
S310において、固体噴射物M3及び液体噴射物M2の噴射開始を制御装置21が噴射装置4に指令する。車輪WL,WRが空転又は滑走していると制御装置21が判断すると、固体噴射物M3及び液体噴射物M2の噴射を制御装置21が噴射装置4に指令する。このため、後尾の車両1Bの後側の台車3の後方に固体噴射口17aから固体噴射物M3が空気中に噴射するとともに液体噴射口18aから液体噴射物M2が空気中に噴射して、固体噴射物M3と液体噴射物M2とが空中で混合して、固体噴射物M3と液体噴射物M2とがレールRL,RRの頭頂面R1に向かって落下してこの頭頂面R1に付着する。その結果、列車1が噴射対象区間L1を通過した後にこの噴射対象区間L1に後続の列車1が進入すると、この後続の列車1の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に固体噴射物M3が挟み込まれてこれらの間で固体噴射物M3が加圧される。その結果、レールRL,RRの頭頂面R1と車輪WL,WRの車輪踏面W1との間の粘着係数が増加されて、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間に発生する巨視的な滑りである空転又は滑走が防止される。
S320において、粘着状態検出装置25が車輪WL,WRの再粘着を検出したか否かを制御装置21が判断する。粘着状態検出装置25が車輪WL,WRの再粘着を検出すると、粘着状態検出装置25が再粘着検出信号を制御装置21に出力する。再粘着検出信号が入力したと制御装置21が判断したときにはS330に進み、再粘着検出信号が入力しなかったと制御装置21が判断したときには再粘着検出信号が入力するまで制御装置21が判断を繰り返す。
S330において、固体噴射物M3及び液体噴射物M2の噴射停止を制御装置21が噴射装置4に指令する。粘着状態検出装置25が車輪WL,WRの再粘着を検出したと制御装置21が判断すると、固体噴射物M3及び液体噴射物M2の噴射停止を制御装置21が噴射装置4に指令する。その結果、気体噴射部5のエアタンクから流路6L,6Rに圧縮空気を流入させる開閉弁が閉じて、固体噴射物M3及び液体噴射物M2の噴射が停止する。
この発明の第4実施形態に係る噴射装置及び噴射方法には、第2実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
(1) この第4実施形態では、噴射対象区間L1のレールRL,RRに固体噴射物M3と液体噴射物M2とを列車1側から噴射部16L,16Rが噴射する。このため、例えば、固体噴射物M3を噴射する必要性が高い噴射対象区間L1を列車1が通過するときにこの列車1側からレールRL,RRの頭頂面R1に固体噴射物M3を噴射することができる。その結果、第2実施形態のような固体噴射物M3と液体噴射物M2とを線路R側から噴射するための地上側の噴射装置4を噴射対象区間L1に多数設置する必要がなくなって低コスト化を図ることができる。
(2) この第4実施形態では、後尾の車両1Bの後側の台車3の後方に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射部16L,16Rが噴射する。このため、この車両1Bの後続の列車1が噴射対象区間L1に進入するまでに、この噴射対象区間L1のレールRL,RRの頭頂面R1に液体噴射物M2によって固体噴射物M3を留めておくことができる。
(第5実施形態)
図20に示す車両1Aは、車体2と、台車3と、噴射装置4などを備えている。噴射装置4は、図21に示すように、例えば、列車1が曲線区間を走行するときに、噴射部16L,16Rの固体噴射口17a及び液体噴射口18aと左右のレールRL,RRの頭頂面R1とが所定の間隔をあけて対向するように、先頭の車両1Aの進行方向前側の台車3に装着されている。噴射装置4は、図12に示す後尾の車両1Bに搭載された噴射装置4とは異なり、図20に示すように曲線区間のレールRL,RRの頭頂面R1に先頭の車両1A側から噴射物を噴射する車上式噴射装置である。噴射部16L,16Rは、噴射対象区間L1のレールRL,RRに列車1側から固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16L,16Rは、噴射対象区間L1を通過する列車1の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間の摩擦抵抗を緩和するために、先頭の車両1Aの前側の台車3の前方に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16Lは、列車1の進行方向左側のレールRLの頭頂面R1に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射し、噴射部16Rは列車1の進行方向右側のレールRRの頭頂面R1に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16L,16Rは、図6に示す噴射部16と同様に、下方に位置する固体噴射口17aから固体噴射物M1を噴射し、上方に位置する液体噴射口18aから液体噴射物M2を噴射する。噴射部16L,16Rは、例えば、図21及び図22に示す曲線検出装置22が検出する先頭の車両1Aの前側の台車3の左右方向の回転角に基づいて固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射する。曲線検出装置22は、先頭の車両1Aの前側の台車3の曲線進入を検出し、この車両1Aの前側の台車3の左右方向の回転角(ヨーイング角)を検出する。横圧検出装置23は、先頭の車両1Aの前側の台車3のレールRL,RRと車輪WL,WRとの間に発生する横圧Qを検出する。きしり音検出装置24は、先頭の車両1Aの前側の台車3の曲線進入時に発生するきしり音を検出する。
次に、この発明の第5実施形態に係る噴射装置の動作を説明する。
以下では、図20に示すような左方向の急曲線を列車1が走行する場合を例に挙げて説明する。
図20に示すように、図中矢印方向に走行する列車1の先頭の車両1Aが急曲線に進入すると、図21及び図22に示す曲線検出装置22、横圧検出装置23又はきしり音検出装置24の少なくとも一つが急曲線及びこの急曲線の方向を検出する。その結果、曲線検出信号、横圧検出信号又はきしり音検出信号の少なくとも一つが制御装置21に出力されて、車両1Aが急曲線に進入したか否かを制御装置21が判断する。車両1Aが急曲線に進入したと制御装置21が判断すると、固体噴射物M1及び液体噴射物M2の噴射を制御装置21が噴射装置4に指令し、固体噴射物M1と液体噴射物M2とが空中で混合して、固体噴射物M1と液体噴射物M2とがレールRL,RRの頭頂面R1に向かって落下してこの頭頂面R1に付着する。その結果、列車1が噴射対象区間L1を通過するときに、この列車1の車輪WLとレールRLとの間に固体噴射物M1が挟み込まれてこれらの間で固体噴射物M1が加圧される。その結果、図22に示すレールRLの頭頂面R1と車輪WLの車輪踏面W1との間の摩擦抵抗が緩和されて、レールRLと車輪WLとの間に発生する横圧Qが低減するため、内側頭側面R2とフランジ面W2との間に生じる過度の摩擦抵抗が緩和され、急曲線におけるレールRL,RRの摩耗が防止される。
この発明の第5実施形態に係る噴射装置及び噴射方法には、第1実施形態及び第3実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第3実施形態では、先頭の車両1Aの前側の台車3の前方に固体噴射物M1と液体噴射物M2とを噴射部16L,16Rが噴射する。このため、車両1A,1Bが噴射対象区間L1を通過するまでに、この噴射対象区間L1のレールRL,RRの頭頂面R1に液体噴射物M2によって固体噴射物M1を留めておくことができるとともに、第3実施形態とは異なりこの車両1A,1Bの後続の列車だけではなく固体噴射物M1及び液体噴射物M2を噴射しつつ走行する列車1の車輪WL,WRの車輪踏面W1とレールRL,RRとの間の摩擦抵抗も緩和することができる。
(第6実施形態)
図23〜図25に示す噴射装置4は、図20〜図22に示す噴射装置4とは異なり、噴射対象区間L1を通過する列車1の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間の粘着係数を増加させるために、先頭の車両1Aの前側の台車3の前方に噴射部16L,16Rから固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16Lは、列車1の進行方向左側のレールRLの頭頂面R1に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射し、噴射部16Rは列車1の進行方向右側のレールRRの頭頂面R1に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射する。噴射部16L,16Rは、例えば、粘着状態検出装置25の検出結果に基づいて、固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射する。
次に、この発明の第6実施形態に係る噴射装置の動作を説明する。
以下では、図23に示す直線区間を列車1が走行する場合を例に挙げて説明する。
図23に示すように、図中矢印方向に直線区間を列車1が走行しているときに空転/滑走検出信号が制御装置21に入力すると、車輪WL,WRが空転又は滑走していると制御装置21が判断して、固体噴射物M3及び液体噴射物M2の噴射動作を制御装置21が噴射装置4に指令する。このため、先頭の車両1Aの前側の台車3の前方に固体噴射口17aから固体噴射物M3が空気中に噴射するとともに液体噴射口18aから液体噴射物M2が空気中に噴射して、固体噴射物M3と液体噴射物M2とが空中で混合し、固体噴射物M3と液体噴射物M2とがレールRL,RRの頭頂面R1に向かって落下してこの頭頂面R1に付着する。その結果、噴射対象区間L1を走行している列車1の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に固体噴射物M3が挟み込まれてこれらの間で固体噴射物M3が加圧される。その結果、図25に示すレールRL,RRの頭頂面R1と車輪WL,WRの車輪踏面W1との間の粘着係数が増加されて、レールRL,RRと車輪WL,WRとの間に発生する巨視的な滑りである空転又は滑走が防止される。
この発明の第6実施形態に係る噴射装置及び噴射方法には、第2実施形態及び第4実施形態の効果に加えて、以下に記載するような効果がある。
この第6実施形態では、先頭の車両1Aの前側の台車3の前方に固体噴射物M3と液体噴射物M2とを噴射部16L,16Rが噴射する。このため、車両1A,1Bが噴射対象区間L1を通過するまでに、この噴射対象区間L1のレールRL,RRの頭頂面R1に液体噴射物M2によって固体噴射物M3を留めておくことができるとともに、第4実施形態とは異なりこの車両1A,1Bの後続の列車だけではなく固体噴射物M3及び液体噴射物M2を噴射しつつ走行する列車1の車輪WL,WRの車輪踏面W1とレールRL,RRとの間の粘着係数も増加させることができる。
(試験目的)
摩擦緩和材の散布ノズルと水を噴射する散水ノズルとを併用したときの摩擦緩和材の散布効果を確認した。先ず、レールの長さ方向と直交する方向に透明粘着テープをレール頭頂面上に貼り付けた状態で、ミストノズルを使用してレールの頭頂面を湿潤させて摩擦緩和材を散布し、この摩擦緩和材の定着状況を確認した。図26に示す噴射試験装置27は、散水ノズルを併用したときの摩擦緩和材の付着効果を確認するための試験装置である。噴射試験装置27は、圧縮空気を発生するコンプレッサ28と、このコンプレッサ28からの圧縮空気を蓄積し所定圧力まで減圧する減圧タンク29と、この減圧タンク29からの圧縮空気が流れる流路30と、この流路30を手動開閉する仕切りコック31と、流路30を自動開閉する電磁弁32と、流路30から分岐する流路33,34と、この流路33,34をそれぞれ手動開閉する仕切りコック35,36と、流路33,34を流れる圧縮空気を所定圧力に調整するレギュレータ37,38と、摩擦緩和材を収容しレギュレータ37からの圧縮空気によってこの摩擦緩和材を噴射する緩和材噴射タンク39と、この緩和材噴射タンク39からの圧縮空気と摩擦緩和材とを噴射する散布ノズル40と、水を収容する水タンク41と、レギュレータ38からの圧縮空気によって水タンク41から水を吸引し圧縮空気とともに水を噴射する散水ノズル42などを備えている。散布ノズル40は、口径2.5mmの株式会社ニッチュー製(株式会社テス販売)の噴射ノズルであり、散水ノズル42は株式会社共立合金製作所製(エバーロイ商事株式会社販売)の口径0.7mmのミニミストノズルである。
(試験条件)
レールの長さ方向に対して噴射角度θ1=2°及びレール頭頂面に対して仰角θ2=2.3°になるように散布ノズル40及び散水ノズル42を治具によって取り付けて、摩擦緩和材を0.15MPa及び散布量19g/30secで散布するとともに、水を0.5MPa及び散水量122ml/minで散水して試験を実施した。また、摩擦緩和材及び水の散布条件を散水無し、散水後摩擦緩和材散布及び摩擦緩和材と水とを同時に散布の3つのパターンで試験を実施し、ノズル出口から0.5m、1.0m、1.5m、2.0m及び2.5mの位置のレール頭頂面に透明粘着テープを貼り付けて摩擦緩和材の付着状況を確認した。
Figure 0005506050
表1は、摩擦緩和材の付着効果確認試験の試験条件をサンプル毎に比較して示す一覧表である。表1に示す「散水ノズル位置」は、図26に示す散布ノズル40の位置に対する散水ノズル42の位置関係である。表1に示す「横」は散布ノズル40の横に散水ノズル42を並列に配置した場合であり、「直上」は散布ノズル40の上に散水ノズル42を並列に配置した場合であり、「散水ノズル前方1.25m」は、散布ノズル40の前方よりも1.25m離れた位置に散水ノズル42を配置した場合であり、「直下」は散布ノズル40の下に散水ノズル42を並列に配置した場合である。ここで、「同一中心」は、散布ノズル40の中心線と散水ノズル42の中心線とが同一の垂直面上であって散布ノズル40の真上に散水ノズル42を配置した場合であり、「5mmレール寄り」は散布ノズル40に対して散水ノズル42を内軌側のレールに5mm近づくように配置した場合であり、「5mm曲線中心より」は散布ノズル40に対して散水ノズル42を内軌側のレールから5mm遠ざかるように配置した場合である。表1に示す「散水条件」は、散水ノズル42から水を噴射するときの条件であり、「無し」は散水ノズル42から散水しなかった場合であり、「散水10秒 インターバル10秒 散布10秒」は10秒間散水した後に10秒間間隔をあけて摩擦緩和材を10秒間散布した場合であり、「同時」は摩擦緩和材と水とを同時に10秒間噴射した場合である。
(試験結果)
表1に示すように、散水ノズル42の位置を散布ノズル40に対して変化させて散水ノズル42を設置し摩擦緩和材の付着状況を確認した。また、表1に示すように、散布ノズル40に対して散水ノズル42を直上に配置したときに、この散水ノズル42の位置を変化させて摩擦緩和材の付着量の影響を観測した。先ず、サンプル毎に摩擦緩和材が付着した透明粘着テープを採取し、この透明粘着テープをサンプル毎に台紙に貼り付けて、この台紙をスキャナで読み込みノイズ及び汚れを除去した。次に、スキャナで読み込んだ画像を、実寸を維持した状態でプリントアウトし、中心部10mm×20mmの範囲内に存在する摩擦緩和材粒子の数を目視により計測して、摩擦緩和材の付着状況を評価した。
Figure 0005506050
表2は、単位面積(2cm2)当りの摩擦緩和材の付着量をサンプル毎に比較して示す一覧表である。サンプルNo.1〜3については、表2に示すように、摩擦緩和材と水とを同時に噴射したサンプルNo.3がサンプルNo.1及びサンプルNo.2に比べて最も摩擦緩和材の付着量が多く、レールに摩擦緩和材を平均的に付着可能であることが確認された。図26に示す噴射試験装置27ではノズル先端から2.0m程度までは摩擦緩和材をレール上に載せることができるが、散水による摩擦緩和材のレールへの付着効果については約1.2m程度までしか確認することができなかった。このため、散水時の空気圧を増減させて付着効果を確認してみたが、摩擦緩和材の付着効果については改善することがなかった。
サンプルNo.4〜6については、サンプルNo.1〜3に比べて、摩擦緩和材の付着量が全体に多くなっていることが確認され、特にノズル先端から0.5m付近では摩擦緩和材の付着量の増加が顕著であった。また、サンプルNo.4〜6については、散布ノズル40に対する散水ノズル42の位置が同一中心、5mmレール寄り及び5mm曲線中心寄りのいずれについても、摩擦緩和材の付着量に変化は認められなかった。
サンプルNo.7については、摩擦緩和材が付着する有効距離を増大させる可能性を確認するために試験を実施したが、ノズル先端から1.5m付近の付着量を僅かに増やすことは可能であるが、ノズル先端から2.0m付近の付着量については殆ど変化が見られなかった。サンプルNo.8については、サンプルNo.4〜6に比べて全体的に摩擦緩和材の付着量が少なく、特にノズル先端から0.5m付近では摩擦緩和材の付着量の減少が顕著であった。また、散水ノズル42の位置が下方に移動したことによりレール側面の濡れ面積が大きくなり錆などの問題を引き起こす可能性が大きいことが確認された。
以上より、摩擦緩和材を噴射するときにミスト状の水を散布することによって、レールに対する摩擦緩和材の付着量を増大可能であることが確認された。また、摩擦緩和材と水とを同時に噴射したときにレールに対する摩擦緩和材の付着量が最も増大することが確認された。さらに、散布ノズル40に対して散水ノズル42を直上に配置した場合に、レールに対する摩擦緩和材の付着量が増加し、特に散水ノズル42をレール側に僅かに寄せた場合に摩擦緩和材の付着量が最大になることが確認された。
(他の実施形態)
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、以下に記載するように種々の変形又は変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。
(1) この実施形態では、噴射物として摩擦緩和材、増粘着材及び水を噴射する場合を例に挙げて説明したが、これらの噴射物以外の噴射物を噴射する場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、圧縮気体として圧縮空気を噴射する場合を例に挙げて説明したが、圧縮空気以外の気体を噴射する場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この実施形態では、列車1が2両編成である場合を例に挙げて説明したが、1両編成又は3両編成以上の列車の場合についてもこの発明を適用することができる。
(2) この実施形態では、車両1A,1Bの台車3が2軸台車である場合を例に挙げて説明したが、1軸台車又は3軸台車である場合についてもこの発明を適用することができる。また、この実施形態では、本線又は支線の曲線区間を列車1が通過する場合を例に挙げて説明したが、分岐器などの急曲線を列車1が通過する場合についてもこの発明を適用することができる。さらに、この第1実施形態、第3実施形態及び第5実施形態では、噴射対象区間L1が左方向の急曲線である場合を例に挙げて説明したが、噴射対象区間L1が右方向の急曲線である場合についても、この発明を適用することができる。この場合には、線路Rの右側のレールRRの外側に噴射装置4を配置したり、固体噴射物M1及び液体噴射物M2を右側の噴射部16Rから噴射したりすることができる。
(3) この第1実施形態、第3実施形態及び第5実施形態では、固体噴射物M1及び液体噴射物M2を線路Rの内軌側のレールRLのみに噴射する場合を例に挙げて説明したが、線路Rの外軌側又は内軌側のレールRL,RRのいずれか一方又は双方に固体噴射物M1及び液体噴射物M2を噴射することもできる。また、この第3実施形態及び第5実施形態では、後尾の車両1Bの後側の台車3の後軸の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に固体噴射物M1及び液体噴射物M2を噴射したり、先頭の車両1Aの前側の台車3の前軸の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に固体噴射物M1及び液体噴射物M2を噴射したりしているが、これに限定するものではない。例えば、後尾の車両1Bの後側の台車3の前軸の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に固体噴射物M1及び液体噴射物M2を噴射したり、先頭の車両1Aの前側の台車3の後軸の車輪WL,WRとレールRL,RRとの間に固体噴射物M1及び液体噴射物M2を噴射したりすることもできる。さらに、この第2実施形態、第4実施形態及び第6実施形態では、噴射対象区間L1が直線区間である場合を例に挙げて説明したが、噴射対象区間L1が曲線区間である場合についても、この発明を適用することができる。
1 列車
1A,1B 車両
2 車体
3 台車
4 噴射装置
5,5L,5R 気体噴射部
7,7L,7R 噴射量可変部
8,8L,8R 噴射量可変部
11,11L,11R 固体収容部
12,12L,12R 液体収容部
16,16L,16R 噴射部
17,17L,17R 固体噴射部
17a 固体噴射口
18,18L,18R 液体噴射部
18a 液体噴射口
19 列車接近検出装置
20 乾燥状態判定装置
21 制御装置
22 曲線検出装置
23 横圧検出装置
24 きしり音検出装置
25 粘着招待検出装置
R 線路
L,RR レール
1 頭頂面
2 内側頭側面
L,WR 車輪
1 車輪踏面
2 フランジ面
1 固体噴射物(摩擦緩和材)
2 液体噴射物
3 固体噴射物(増粘着材)
1 噴射対象区間
2 建築限界
θ1 噴射角度
θ2 仰角

Claims (34)

  1. レールに噴射物を噴射する噴射装置であって、
    固体噴射物を噴射する固体噴射口と、この固体噴射物を前記レールに留める液体噴射物を噴射する液体噴射口とを有する噴射部を備え、
    前記噴射部は、前記固体噴射物と前記液体噴射物とが空中で混合してから前記レールに付着するように、前記固体噴射口からこの固体噴射物を噴射するとともに、前記液体噴射口からこの液体噴射物を噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  2. 請求項1に記載の噴射装置において、
    前記固体噴射物を収容する固体収容部と、
    前記液体噴射物を収容する液体収容部とを備え、
    前記噴射部は、前記固体収容部内の前記固体噴射物を前記固体噴射口から噴射し、前記液体収容部内の前記液体噴射物を前記液体噴射口から噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  3. 請求項1又は請求項2に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、下方に位置する前記固体噴射口から前記固体噴射物を噴射し、上方に位置する前記液体噴射口から前記液体噴射物を噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  4. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射する噴射対象区間のレールにこの固体噴射物とこの液体噴射物とを線路側から噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  5. 請求項4に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記噴射対象区間のレールの長さ方向に所定の間隔をあけて複数箇所から前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  6. 請求項4又は請求項5に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記噴射対象区間に列車が接近したときに、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  7. 請求項4から請求項6までのいずれか1項に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射した後に、この液体噴射物のみを再噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  8. 請求項4から請求項7までのいずれか1項に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記レールに付着した前記液体噴射物が乾燥状態であるときに、この液体噴射物のみを再噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  9. 請求項4から請求項8までのいずれか1項に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記噴射対象区間が曲線区間であるときに、この曲線区間の内軌側レールの外側からこの内軌側レールの頭頂面に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  10. 請求項9に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記レールと車輪との間の摩擦を緩和する摩擦緩和材を前記固体噴射物として噴射し、前記摩擦緩和材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  11. 請求項4から請求項8までのいずれか1項に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記噴射対象区間の左右のレールの外側からこの左右のレールの頭頂面に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  12. 請求項11に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記レールと車輪との間の粘着係数を増加させる増粘着材を前記固体噴射物として噴射し、前記増粘着材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  13. 請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射する噴射対象区間のレールにこの固体噴射物とこの液体噴射物とを列車側から噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  14. 請求項13に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、後尾車両の後側の台車の後方に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  15. 請求項13又は請求項14に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、先頭車両の前側の台車の前方に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  16. 請求項14又は請求項15に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記レールと車輪との間の摩擦を緩和する摩擦緩和材を前記固体噴射物として噴射し、前記摩擦緩和材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  17. 請求項14又は請求項15に記載の噴射装置において、
    前記噴射部は、前記レールと車輪との間の粘着係数を増加させる増粘着材を前記固体噴射物として噴射し、前記増粘着材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射すること、
    を特徴とする噴射装置。
  18. レールに噴射物を噴射する噴射方法であって、
    固体噴射物を固体噴射口から噴射するとともに、このレールにこの固体噴射物を留める液体噴射物を液体噴射口から噴射して、この固体噴射物とこの液体噴射物とを空中で混合させてからこのレールに付着させること、
    を特徴とする噴射方法。
  19. 請求項18に記載の噴射方法において、
    前記固体噴射物を収容する固体収容部内のこの固体噴射物を前記固体噴射口から噴射し、前記液体噴射物を収容する液体収容部内のこの液体噴射物を前記液体噴射口から噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  20. 請求項18又は請求項19に記載の噴射方法において、
    下方に位置する前記固体噴射口から前記固体噴射物を噴射し、上方に位置する前記液体噴射口から前記液体噴射物を噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  21. 請求項18から請求項20までのいずれか1項に記載の噴射方法において、
    前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射する噴射対象区間のレールにこの固体噴射物とこの液体噴射物とを線路側から噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  22. 請求項21に記載の噴射方法において、
    前記噴射対象区間のレールの長さ方向に所定の間隔をあけて複数箇所から前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  23. 請求項21又は請求項22に記載の噴射方法において、
    前記噴射対象区間に列車が接近したときに、前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  24. 請求項21から請求項23までのいずれか1項に記載の噴射方法において、
    前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射した後に、この液体噴射物のみを再噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  25. 請求項21から請求項24までのいずれか1項に記載の噴射方法において、
    前記レールに付着した前記液体噴射物が乾燥状態であるときに、この液体噴射物のみを再噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  26. 請求項21から請求項25までのいずれか1項に記載の噴射方法において、
    前記噴射対象区間が曲線区間であるときに、この曲線区間の内軌側レールの外側からこの内軌側レールの頭頂面に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  27. 請求項28に記載の噴射方法において、
    前記レールと車輪との間の摩擦を緩和する摩擦緩和材を前記固体噴射物として噴射し、前記摩擦緩和材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  28. 請求項21から請求項25までのいずれか1項に記載の噴射方法において、
    前記噴射対象区間の左右のレールの外側からこの左右のレールの頭頂面に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  29. 請求項28に記載の噴射方法において、
    前記レールと車輪との間の粘着係数を増加させる増粘着材を前記固体噴射物として噴射し、前記増粘着材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  30. 請求項18から請求項20までのいずれか1項に記載の噴射方法において、
    前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射する噴射対象区間のレールにこの固体噴射物とこの液体噴射物とを列車側から噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  31. 請求項30に記載の噴射方法において、
    後尾車両の後側の台車の後方に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  32. 請求項30又は請求項31に記載の噴射方法において、
    先頭車両の前側の台車の前方に前記固体噴射物と前記液体噴射物とを噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  33. 請求項31又は請求項32に記載の噴射方法において、
    前記レールと車輪との間の摩擦を緩和する摩擦緩和材を前記固体噴射物として噴射し、前記摩擦緩和材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
  34. 請求項31又は請求項32に記載の噴射方法において、
    前記レールと車輪との間の粘着係数を増加させる増粘着材を前記固体噴射物として噴射し、前記増粘着材を前記レールに留める水を前記液体噴射物として噴射すること、
    を特徴とする噴射方法。
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