JP5504221B2 - 発光装置及びその作製方法 - Google Patents

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Description

発光装置、特に、プラスチック基板上に形成された有機発光素子(OLED:Organic Light Emitting Device)を有する発光装置に関する。また、該OLEDパネルにコントローラを含むIC等を実装した、OLEDモジュールに関する。なお本明細書において、OLEDパネル及びOLEDモジュールを共に発光装置と総称する。本発明はさらに、該発光装置を用いた電子機器に関する。
近年、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜(厚さ数〜数百nm程度)を用いて薄膜トランジスタ(TFT)を構成する技術が注目されている。薄膜トランジスタはICや電気光学装置のような電子デバイスに広く応用され、特に画像表示装置のスイッチング素子として開発が急がれている。
このような画像表示装置を利用したアプリケーションは様々なものが期待されているが、特に携帯機器への利用が注目されている。現在、ガラス基板や石英基板が多く使用されているが、割れやすく、重いという欠点がある。また、大量生産を行う上で、ガラス基板や石英基板は大型化が困難であり、不向きである。そのため、可撓性を有する基板、代表的にはフレキシブルなプラスチックフィルムの上にTFT素子を形成することが試みられている。
しかしながら、プラスチックフィルムの耐熱性が低いためプロセスの最高温度を低くせざるを得ず、結果的にガラス基板上に形成する時ほど良好な電気特性のTFTを形成できないのが現状である。そのため、プラスチックフィルムを用いた高性能な発光素子は実現されていない。
近年、自発光型素子としてOLEDを有したアクティブマトリクス型発光装置(以下、単に発光装置と呼ぶ)の研究が活発化している。発光装置は有機発光装置(OELD:Organic EL Display)又は有機ライトエミッティングダイオード(OLED:Organic Light Emitting Diode)とも呼ばれている。
OLEDは自ら発光するため視認性が高く、液晶表示装置(LCD)で必要なバックライトが要らず薄型化に最適であると共に、視野角にも制限が無い。そのため、OLEDを用いた発光装置は、CRTやLCDに代わる表示装置として注目されている。
もし、プラスチックフィルム等の可撓性を有する基板の上に有機発光素子(OLED:Organic Light Emitting Device)が形成された発光装置を作製することができれば、厚みが薄く軽量であるということに加えて、曲面を有するディスプレイや、ショーウィンドウ等などにも用いることができる。よって、その用途は携帯機器のみに限られず、応用範囲は非常に広い。
しかし、プラスチックからなる基板は、一般的に水分や酸素を透過しやすく、有機発光層はこれらのものによって劣化が促進されるので、特に発光装置の寿命が短くなりやすい。そこで従来では、プラスチック基板とOLEDの間に窒化珪素や窒化酸化珪素などからなる絶縁膜を設け、水分や酸素の有機発光層への混入を防いでいた。しかしながら、窒化珪素や窒化酸化珪素などからなる絶縁膜では水分や酸素の有機発光層への混入を十分防止することは困難であった。
加えて、プラスチックフィルム等の基板は一般的に熱に弱く、窒化珪素や窒化酸化珪素などの絶縁膜の成膜温度を高くしすぎると、基板が変形しやすくなる。
また、成膜温度が低すぎると膜質の低下につながり、水分や酸素の透過を十分防ぐことが難しくなる。
また、プラスチックフィルム等の基板上に設けた素子を駆動する際、局所的に発熱が生じて基板の一部が変形、変質してしまうことも問題になっている。
さらに、水分や酸素の透過を防ぐために、窒化珪素や窒化酸化珪素などの絶縁膜の膜厚を厚くすると、応力が大きくなり、クラック(亀裂)が入りやすくなる。また、膜厚を厚くすると、基板が曲げられたときに膜にクラックが入りやすくなる。また、基板を剥離する際、被剥離層が曲げられ、被剥離層にクラックが入ることもある。
また、TFTは、水分や酸素に加え、アルカリ金属(Li、Cs、Na等)やアルカリ土類金属(Ca、Mg等)や他の金属元素の不純物が活性層に拡散すると特性が変化しやすい。
また、最終製品とした後においても、他の不純物、例えば人の汗や接続部品からの不純物が拡散し、有機発光層やTFTの活性層に混入すると、変質や劣化が促進される恐れがある。
本発明は上記問題に鑑み、水分や酸素やアルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物の拡散による劣化を抑えることが可能な発光装置、具体的には、プラスチック基板上に形成されたOLEDを有する発光装置の提供を課題とする。
本発明は、プラスチック基板上に、酸素や水分がOLEDの有機発光層に入り込むのを防ぎ、且つアルカリ金属およびアルカリ土類金属などの不純物がTFTの活性層に入り込むのを防ぐことの可能なAlNXYで示される層からなる膜(以下、バリア膜)を設ける。
本明細書で開示する発明の構成は、絶縁表面を有する基板上に陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を備えた発光装置であって、前記基板に接してAlNXYで示される層が設けられていることを特徴とする発光装置である。
なお、上記アルミニウムを含む窒化酸化物層は、窒素を2.5atm%〜47.5atm%含む膜であり、水分や酸素をブロッキングすることができる効果に加え、熱伝導性が高く放熱効果を有し、さらには透光性が非常に高いという特徴を有している。加えて、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物がTFTの活性層に入り込むのを防ぐことができる。
また、2枚の基板で挟んで酸素や水分がOLEDの有機発光層に入り込むのを防ぐ構成としてもよく、本発明の他の構成は、陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を第1の基板と第2の基板との間に挟んだ発光装置であって、前記第1の基板または前記第2の基板には、AlNXYで示される層が設けられ、且つ、前記発光素子は、AlNXYで示される層で覆われていることを特徴とする発光装置である。
さらに、2枚の基板で挟む際には接着層で基板同士を接着することになるが、両基板にバリア膜を設けても、接着層を通過して水分や酸素などの不純物が侵入してくる恐れがある。そこで、上記発光素子を覆うパッシベーション膜(保護膜とも呼ぶ)としてAlNXYで示される層を用い、上記発光素子をバリア膜とパッシベーション膜とで包む構造とすることが好ましい。加えて、上記発光素子を覆って、AlNXYで示される層からなるパッシベーション膜を2層以上設けて、さらに該2層のパッシベーション膜の間に樹脂を含む応力緩和膜(以下、応力緩和膜と呼ぶ)を設けてもよい。パッシベーション膜に比べて応力が小さい応力緩和膜を、応力緩和膜の間に挟むことで、全体の応力を緩和することができる。
また、本発明は、プラスチック基板上に、酸素や水分がOLEDの有機発光層に入り込むのを防ぐバリア膜と、前記バリア膜よりも応力の小さい有機樹脂からなる層(応力緩和膜)との積層を設けてもよく、本発明の他の構成は、絶縁表面を有する基板上に陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を備えた発光装置であって、前記基板に接してAlNXYで示される層と有機樹脂からなる層との積層が設けられていることを特徴とする発光装置である。
また、2枚の基板で挟んで酸素や水分がOLEDの有機発光層に入り込むのを防ぐ構成としてもよく、本発明の他の構成は、陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を第1の基板と第2の基板との間に挟んだ発光装置であって、前記第1の基板または前記第2の基板には、AlNXYで示される層と有機樹脂からなる層との積層が設けられ、且つ、前記発光素子は、AlNXYで示される層で覆われていることを特徴とする発光装置である。
具体的には、AlNXYで示される層からなるバリア膜を2層以上設けて、さらに該2層のバリア膜の間に樹脂を含む応力緩和膜(以下、応力緩和膜と呼ぶ)を設ける。そして、該3層以上の絶縁膜上にOLEDを形成して密封することにより、発光装置を形成する。
本発明では、AlNXYで示される層からなる複数のバリア膜を積層することで、バリア膜にクラックが生じても、他のバリア膜で水分や酸素などの不純物が有機発光層に入り込むのを効果的に防ぐことができ、アルカリ金属などの不純物がTFTの活性層に入り込むのを効果的に防ぐことができる。
また、バリア膜に比べて応力が小さい応力緩和膜を、応力緩和膜の間に挟むことで、全体の応力を緩和することができる。よって、トータルのバリア膜の厚さは同じであっても、1層のみのバリア膜に比べて、応力緩和膜を間に挟んだバリア膜は、応力によるクラックが入りにくい。
したがって、1層のみのバリア膜に比べて、トータルのバリア膜の膜厚は同じであっても、水分や酸素などの不純物の有機発光層への混入を効果的に防ぐことができ、さらに、応力によるクラックが入りにくい。
また、バリア膜と応力緩和膜の積層により、よりフレキシブルになり、曲げたときのクラックを防ぐことができる。
また、上記各構成において、前記有機樹脂からなる層は、AlNXYで示される層よりも応力が小さい材料、例えば、ポリイミド、アクリル、ポリアミド、ポリイミドアミド、ベンゾシクロブテン、またはエポキシ樹脂から選ばれた単層、またはそれらの積層からなることを特徴としている。また、上記各構成において、前記有機樹脂からなる層は、前記基板を接着する接着層を含むことを特徴としている。
また、上記各構成において、前記基板は、可撓性を有するプラスチック基板であれば特に限定されないが、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリイミドから選ばれた1種または複数種からなるプラスチック基板である。
また、本発明の他の構成は、AlNXYで示される層上に有機樹脂からなる層と、該層上にAlNXYで示される層とが積層形成されたポリイミド基板上に、陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を備えた発光装置である。
また、本発明の他の構成は、AlNXYで示される層上に有機樹脂からなる層と、該層上にAlNXYで示される層とが積層形成されたポリエチレンサルファイル基板上に、陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を備えた発光装置である。
また、本発明の他の構成は、AlNXYで示される層上に有機樹脂からなる層と、該層上にAlNXYで示される層とが積層形成されたポリカーボネート基板上に、陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を備えた発光装置である。
また、本発明の他の構成は、AlNXYで示される層上に有機樹脂からなる層と、該層上にAlNXYで示される層とが積層形成されたポリエチレンテレフタレート基板上に、陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を備えた発光装置である。
また、本発明の他の構成は、AlNXYで示される層上に有機樹脂からなる層と、該層上にAlNXYで示される層とが積層形成されたポリエチレンナフタレート基板上に、陰極と、該陰極に接する有機化合物層と、該有機化合物層に接する陽極とを有する発光素子を備えた発光装置である。
また、本発明の他の構成は、発光装置と外部との間にAlNXYで示される層または有機樹脂からなる層を単層または多層有していることを特徴とする電子機器である。
また、上記各構成において、前記AlNXYで示される層は、周期律13族元素または周期律15族元素の不純物を0.1atm%〜5atm%含むことを特徴としている。
また、上記各構成において、リン元素またはボロン元素を0.1atm%〜5atm%含むことを特徴とする発光装置。
また、上記各構成における上記AlNXYで示される層により、素子の発熱を拡散させて素子の劣化を抑える効果とともに、プラスチック基板の変形や変質を保護する効果を有する。
なお、本明細書では、OLEDの陽極と陰極の間に形成された全ての層を有機発光層と定義する。有機発光層には具体的に、発光層、正孔注入層、電子注入層、正孔輸送層、電子輸送層等が含まれる。基本的にOLEDは、陽極/発光層/陰極が順に積層された構造を有しており、この構造に加えて、陽極/正孔注入層/発光層/陰極や、陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極等の順に積層した構造を有していることもある。
また、OLEDは、電場を加えることで発生するルミネッセンス(Electroluminescence)が得られる有機化合物(有機発光材料)を含む層(以下、有機発光層と記す)と、陽極と、陰極とを有している。有機化合物におけるルミネッセンスには、一重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(蛍光)と三重項励起状態から基底状態に戻る際の発光(リン光)とがあるが、本発明の発光装置は、上述した発光のうちの、いずれか一方の発光を用いていても良いし、または両方の発光を用いていても良い。
本発明のバリア膜(AlNXY膜)を複数積層することで、バリア膜にクラックが生じても、他のバリア膜で水分や酸素などの不純物の有機発光層への混入を効果的に防ぐことができる。また、本発明のバリア膜(AlNXY膜)により、素子の発熱を拡散させて素子の劣化を抑える効果とともに、プラスチック基板の変形や変質を保護する効果を有する。
加えて、本発明のバリア膜(AlNXY膜)は、アルカリ金属やアルカリ土類金属などの不純物のTFTの活性層及び有機発光層への混入を効果的に防ぐことができる。
また、本発明のバリア膜(AlNXY膜)に比べて応力が小さい応力緩和膜を、複数のバリア膜の間に挟むことで、絶縁膜全体の応力を緩和することができる。
よって、外力が与えられても破壊することなく、フレキシブルな発光装置とすることができる。
ELモジュールの上面図および断面図。 外力が加わったときのELモジュールの外観図。 TFTの作製工程を示す図。 TFTの作製工程を示す図。 OLEDが設けられたアクティブマトリクス基板の断面図。 実施例3を説明する工程断面図。 実施例3を説明する工程断面図。 実施例4を説明するELモジュールの断面図。 実施例5を説明するELモジュールの断面図。 電子機器の一例を示す図。 電子機器の一例を示す図。 本発明のAlNXY膜の透過率を示すグラフである。 本発明のAlNXY膜のESCA分析結果である。 BTストレスでのMOS特性(AlNXY膜)である。 BTストレスでのMOS特性(SiN膜)である。(比較例)
本発明の実施形態について、以下に説明する。
図1(A)は、ELモジュールを示す上面図、図1(B)は図1(A)をA−A’で切断した断面図である。図1(B)において、表面にバリア膜として機能するAlNXYで示される層(AlNXY膜とも呼ぶ)10bと、応力緩和膜(有機樹脂)10cと、AlNXY膜10dとの積層が設けられた可撓性を有するフィルム基板10a(例えば、プラスチック基板等)が接着層33で絶縁膜11と接着されている。なお、接着層33もバリア膜よりも応力の小さい材料を用いて応力緩和膜として機能させてもよい。このように、複数のバリア膜10b、10dを積層することで、バリア膜にクラックが生じても、他のバリア膜で水分や酸素などの不純物が有機発光層に入り込むのを効果的に防ぐことができる。加えて、複数のバリア膜の間に応力緩和膜を設けることによって、よりフレキシブルな発光装置になり、曲げたときのクラックを防ぐことができる。
また、膜厚100nmにおけるAlNXY膜の透過率を図12に示す。図12に示すように、AlNXY膜は透光性が非常に高く(可視光領域で透過率80%〜91.3%)、発光素子からの発光の妨げにならない。
本発明において、AlNXY膜は、スパッタ法を用い、例えば、窒化アルミニウム(AlN)ターゲットを用い、アルゴンガスと窒素ガスと酸素ガスを混合した雰囲気下にて成膜する。AlNXY膜は、窒素を数atm%以上、好ましくは2.5atm%〜47.5atm%含む範囲であればよく、スパッタ条件(基板温度、原料ガスおよびその流量、成膜圧力など)を適宜調節することによって窒素濃度を調節することができる。なお、得られたAlNXY膜のESCA(Electron Spectroscopy for Analysis)での分析による組成を図13に示す。また、アルミニウム(Al)ターゲットを用い、窒素ガス及び酸素ガスを含む雰囲気下にて成膜してもよい。なお、スパッタ法に限定されず、蒸着法やその他の公知技術を用いてもよい。
また、AlNXY膜による水分や酸素のブロッキング効果を確認するため、膜厚200nmのAlNXY膜が設けられたフィルム基板でOLEDを封止したサンプルと、膜厚200nmのSiN膜が設けられたフィルム基板でOLEDを封止したサンプルとを用意して、85度に加熱した水蒸気雰囲気中での経時変化を調べる実験を行ったところ、SiN膜のサンプルに比べ、AlNXY膜のサンプルのほうがOLEDの寿命が長く、長時間の発光が可能であった。この実験結果から、AlNXY膜は、SiN膜よりも装置外から水分や酸素などの不純物といった有機化合物層の劣化を促す物質が侵入することを防げる材料膜であることが読み取れる。
また、AlNXY膜によるアルカリ金属のブロッキング効果を確認するため、シリコン基板上に膜厚50nmの熱酸化膜を設け、その上に膜厚40nmのAlNXY膜を設け、その上にLiを含むアルミニウム電極を設け、これらの膜が設けられた面とは反対側のシリコン基板面にSiを含むアルミニウム電極を設けて300℃、1時間の熱処理を行った後、BTストレス試験(±1.7MV/cm、150℃、1時間)を行いMOS特性(C−V特性)を測定した。実験結果を図14に示す。図14に示したC―V特性は、プラスの電圧を印加した時、即ち+BTの時、プラス側にシフトしていることから、シフトした原因はLiではなく、AlNXY膜によるアルカリ金属のブロッキング効果が有ることが確認できた。比較のため、MOSの上方に絶縁膜(膜厚100nmの窒化シリコン膜)を介してAlLi合金を形成し、同様にそのMOSの特性変動を調べた。結果を図15に示す。プラスの電圧を印加した時、即ち+BTの時、図15に示したC−V特性変動は大きくマイナス側にシフトしており、その原因は、主にLiが活性層へ混入したことであると考えられる。
また、AlNXY膜でプラスチック基板の両面のみを覆う構成としてもよい。
なお、ここでは耐熱性を有する基板上に絶縁膜11、絶縁膜20を設け、その上に画素部22、ソース側駆動回路14、及びゲート側駆動回路13を設けた後、カバー材を接着して固定し、耐熱性を有する基板を剥離した後、上記フィルム基板を貼りつけているが、特に限定されず、画素部22、ソース側駆動回路14、及びゲート側駆動回路13の形成温度に耐え得るフィルム基板であれば、フィルム基板上に画素部22、ソース側駆動回路14、及びゲート側駆動回路13を形成すればよく、その場合、接着層を設ける必要はない。
耐熱性を有する基板(ガラス基板や石英基板)を剥離する技術は特に限定されず、ここでは、膜の内部応力を利用して剥離を行う剥離方法、具体的には、耐熱性を有する基板上に熱処理によって膜剥がれ(ピーリング)などのプロセス上の異常は生じない第1の材料層と第2の材料層との積層を設け、該積層上に素子(TFTや発光素子)を形成した後、物理的手段、代表的には機械的な力を加えること、例えば人間の手で引き剥がすことで容易に第2の材料層の層内または界面において、きれいに分離できる方法を用いる。第1の材料層と第2の材料層との結合力は、熱エネルギーには耐え得る強さを有している一方、剥離する直前において、引張応力を有する第1の材料層と圧縮応力を有する第2の材料層との間には応力歪みを有しているため、力学的エネルギーに弱く、剥離する。ここでは、第1の材料層としてタングステン膜を用い、第2の材料層としてスパッタ法による酸化珪素膜を用いて剥離させたため、絶縁膜11が第2の材料層に相当している。
また、耐熱性を有する基板を剥離する他の技術として、分離層を介して存在する被剥離層を前記基板から剥離する剥離方法(特開平10−125929号公報、特開平10−125931号公報)を用いてもよい。上記公報に記載の技術は、非晶質シリコン(またはポリシリコン)からなる分離層を設け、基板を通過させてレーザー光を照射して非晶質シリコンに含まれる水素を放出させることにより、空隙を生じさせて基板を分離させるというものである。
図1(B)において、絶縁膜20上には画素部12、ゲート側駆動回路13が形成されており、画素部12は電流制御用TFT21とそのドレインに電気的に接続された画素電極(陰極)22を含む複数の画素により形成される。電流制御用TFT21としてはpチャネル型TFTを用いることも可能であるが、nチャネル型TFTを用いることが好ましい。また、ゲート側駆動回路13はnチャネル型TFT23とpチャネル型TFT24とを組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。各TFTの活性層としては、結晶構造を有する半導体膜(ポリシリコン膜)や非晶質構造を有する半導体膜(アモルファスシリコン膜など)を用いる。
また、画素電極22は発光素子(OLED)の陰極として機能する。また、画素電極22の両端にはバンク25が形成され、画素電極22上には有機化合物層26および発光素子の陽極27が形成される。
有機化合物層26としては、発光層、電荷輸送層または電荷注入層を自由に組み合わせて有機化合物層(発光及びそのためのキャリアの移動を行わせるための層)を形成すれば良い。例えば、低分子系有機化合物材料や高分子系有機化合物材料を用いればよい。また、有機化合物層26として一重項励起により発光(蛍光)する発光材料(シングレット化合物)からなる薄膜、または三重項励起により発光(リン光)する発光材料(トリプレット化合物)からなる薄膜を用いることができる。また、電荷輸送層や電荷注入層として炭化珪素等の無機材料を用いることも可能である。これらの有機材料や無機材料は公知の材料を用いることができる。
陽極27は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線18を経由してFPC19に電気的に接続されている。さらに、画素部12及びゲート側駆動回路13に含まれる素子は全て陽極27、有機樹脂28、及び保護膜29で覆われている。
また、図1(A)において、28は有機樹脂、29は保護膜であり、画素部12および駆動回路13、14は有機樹脂28で覆われ、その有機樹脂は保護膜(AlNXY膜)29で覆われている。なお、有機樹脂28としては、できるだけ可視光に対して透明もしくは半透明な材料を用いるのが好ましい。また、有機樹脂28はできるだけ水分や酸素などの不純物を透過しない材料であることが望ましい。
さらに、画素部12および駆動回路13、14は、接着剤を用いてカバー材30aで封止されている。カバー材30aは、支持体として剥離前に接着される。
なお、支持体となるカバー材30aを接着した後、剥離する際には配線引き出し端子の部分(接続部分)が絶縁膜20、11のみとなり機械強度が弱くなるため、剥離前にFPC19を貼りつけ、さらに有機樹脂32で固定している。
ここで、熱や外力などによる変形に耐えるためカバー材30aはフィルム基板10aと同じ材質のもの、例えばプラスチック基板を用いることが望ましい。なお、水分や酸素などの不純物の侵入を防ぐため、カバー材30aには予めAlNXY膜30bを形成する。ここではカバー材中を通して発光を通過させるため、単層のバリア層(AlNXY膜30b)としたが、フィルム基板10aと同様に、複数のバリア膜と、該バリア膜どうしの間に前記バリア膜よりも応力の小さい層(応力緩和膜)を設けてもよい。その場合、応力緩和膜としては透光性の高いものを用いる。
なお、18はソース側駆動回路14及びゲート側駆動回路13に入力される信号を伝送するための配線であり、外部入力端子となるFPC(フレキシブルプリントサーキット)19からビデオ信号やクロック信号を受け取る。なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)
が取り付けられていても良い。本明細書におけるELモジュールには、発光素子が設けられた基板本体だけでなく、それにFPCもしくはPWBが取り付けられた状態をも含むものとする。
以上のような構造で発光素子をAlNXYで示されるバリア膜10b、10d及びAlNXYで示される保護膜29で封入することにより、発光素子を外気から完全に遮断することができ、装置外から水分や酸素等による有機化合物層の酸化が主原因である劣化を促す物質が侵入することを防ぐことができる。加えて、熱伝導性を有するAlNXY膜により発熱を発散することができる。従って、信頼性の高い発光装置を得ることができる。
加えて、複数のバリア膜の間に応力緩和膜を設けることによって、外力が与えられても破壊することなく、フレキシブルな発光装置になる。
また、図2には、外力が与えられたフレキシブルな発光装置45の外観図を示した。図2中、40は画素部、41はFPC、42a、42bは集積回路、43a、43bはゲート側駆動回路、44はソース側駆動回路、45a、45bはフィルム基板である。フィルム基板45a及びフィルム基板45bには、AlNXYで示される層と有機樹脂からなる層との積層が片面または両面に設けられており、外からの水分、酸素、アルカリ金属などの不純物が侵入してくるのを防ぎ、OLED及びTFTを保護している。
また、AlNXYで示される層と有機樹脂からなる層との積層を基板の外側表面に設けた場合、発光装置と外部との間にAlNXYで示される層または有機樹脂からなる層を単層または多層有している構成となり、外部からの不純物拡散を防止することができる。本明細書中、外部とは、ELモジュールに外部接続される素子やICチップ、ELモジュールに接触するパッケージやその他の部材を含めた総称を指すこととする。
なお、フィルム基板45a上に画素部40や駆動回路や発光素子が設けられており、フィルム基板45bとでこれらの素子を挟みこんでいる。これらの画素部や駆動回路と同一基板上に複雑な集積回路(メモリ、CPU、コントローラ、D/Aコンバータ等)42a、42bを形成しても可能であるが、少ないマスク数での作製は困難である。従って、メモリ、CPU、コントローラ、D/Aコンバータ等を備えたICチップを、COG(chip on glass)方式やTAB(tape automated bonding)方式やワイヤボンディング方法で実装することが好ましい。
フィルム基板45aとフィルム基板45bとを接着した後、ICチップを装着してもよいし、フィルム基板45aにICチップを装着した後でフィルム基板45bで封止してもよい。
なお、ここではFPCしか図示されていないが、このFPCにはプリント配線基盤(PWB)が取り付けられていても良い。
また、画素電極を陽極とし、有機化合物層と陰極を積層して図1とは逆方向に発光する構成としてもよい。その場合には電流制御用TFTとしてpチャネル型TFTを用いることが好ましい。
以上の構成でなる本発明について、以下に示す実施例でもってさらに詳細な説明を行うこととする。
本発明の実施例を図3及び図4を用いて説明する。ここでは、まず、同一基板上にnチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS回路を同時に作製する方法について詳細に説明する。
まず、基板100上に第1の材料層101、第2の材料層102、下地絶縁膜103を形成し、結晶構造を有する半導体膜を得た後、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層104、105を形成する。
基板100としては、ガラス基板(#1737)を用いる。
また、第1の材料層101としては、成膜後或いは剥離直前において、1〜1×1010(Dyne/cm2)の範囲で引張応力を有することを特徴としている。前記第1の材料層としては、上記範囲の引張応力を有する材料であれば、特に限定されず、金属材料(Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptなど)、半導体材料(例えばSi、Geなど)、絶縁体材料、有機材料のいずれか一層、またはこれらの積層を用いることができる。なかでも、タングステン膜、窒化タングステン膜、窒化チタン膜が好ましい。なお、1〜1×1010(Dyne/cm2)よりも大きな引張応力を有する膜は、熱処理を加えた場合、ピーリングを起しやすい。ここではスパッタ法で膜厚100nmの窒化チタン膜を用いる。なお、基板100と密着性が悪い場合にはバッファ層を設ければよい。
また、第2の材料層102としては、−1〜−1×1010(Dyne/cm2)の範囲で圧縮応力を有することを特徴としている。前記第2の材料層としては、上記範囲の圧縮応力を有する材料であれば、特に限定されず、金属材料(Ti、Al、Ta、W、Mo、Cu、Cr、Nd、Fe、Ni、Co、Zr、Zn、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Ptなど)、半導体材料(例えばSi、Geなど)、絶縁体材料、有機材料のいずれか一層、またはこれらの積層を用いることができる。なお、−1×1010(Dyne/cm2)よりも大きな圧縮応力を有する膜は、熱処理を加えた場合、ピーリングを起しやすい。中でも、酸化シリコン材料または酸化金属材料からなる単層、またはこれらの積層が好ましい。ここではスパッタ法で膜厚200nmの酸化シリコン膜を用いる。この第1の材料層101と第2の材料層102の結合力は熱処理には強く、膜剥がれ(ピーリングとも呼ばれる)などが生じないが、物理的手段で簡単に第2の材料層の層内、あるいは界面において剥離することができる。
また、下地絶縁膜103としては、プラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、NH3、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=27%、N=24%、H=17%)を50nm(好ましくは10〜200nm)形成する。次いで、表面をオゾン水で洗浄した後、表面の酸化膜を希フッ酸(1/100希釈)で除去する。次いでプラズマCVD法で成膜温度400℃、原料ガスSiH4、N2Oから作製される酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)を100nm(好ましくは50〜200nm)の厚さに積層形成し、さらに大気解放せずにプラズマCVD法で成膜温度300℃、成膜ガスSiH4で非晶質構造を有する半導体膜(ここではアモルファスシリコン膜)を54nmの厚さ(好ましくは25〜80nm)で形成する。
本実施例では下地膜103を2層構造として示したが、前記絶縁膜の単層膜または2層以上積層させた構造として形成しても良い。また、半導体膜の材料に限定はないが、好ましくはシリコンまたはシリコンゲルマニウム(SiXGe1-X(X=0.0001〜0.02))合金などを用い、公知の手段(スパッタ法、LPCVD法、またはプラズマCVD法等)により形成すればよい。また、プラズマCVD装置は、枚葉式の装置でもよいし、バッチ式の装置でもよい。また、同一の成膜室で大気に触れることなく下地絶縁膜と半導体膜とを連続成膜してもよい。
次いで、非晶質構造を有する半導体膜の表面を洗浄した後、オゾン水で表面に約2nmの極薄い酸化膜を形成する。
次いで、重量換算で10ppmのニッケルを含む酢酸ニッケル塩溶液をスピナーで塗布する。塗布に代えてスパッタ法でニッケル元素を全面に散布する方法を用いてもよい。
次いで、加熱処理を行い結晶化させて結晶構造を有する半導体膜を形成する。
この加熱処理は、電気炉の熱処理または強光の照射を用いればよい。電気炉の熱処理で行う場合は、500℃〜650℃で4〜24時間で行えばよい。ここでは脱水素化のための熱処理(500℃、1時間)の後、結晶化のための熱処理(550℃、4時間)を行って結晶構造を有するシリコン膜を得る。なお、ここでは炉を用いた熱処理を用いて結晶化を行ったが、ランプアニール装置で結晶化を行ってもよい。なお、ここではシリコンの結晶化を助長する金属元素としてニッケルを用いた結晶化技術を用いたが、他の公知の結晶化技術、例えば固相成長法やレーザー結晶化法を用いてもよい。
次いで、結晶構造を有するシリコン膜表面の酸化膜を希フッ酸等で除去した後、結晶化率を高め、結晶粒内に残される欠陥を補修するための第1のレーザー光(XeCl:波長308nm)の照射を大気中、または酸素雰囲気中で行う。レーザー光には波長400nm以下のエキシマレーザ光や、YAGレーザやYVO4レーザの第2高調波、第3高調波を用いる。第1のレーザー光は、パルス発振であってもよいし、連続発振でもよい。パルス発振の場合、繰り返し周波数10〜1000Hz程度のパルスレーザー光を用い、当該レーザー光を光学系にて100〜500mJ/cm2に集光し、90〜95%のオーバーラップ率をもって照射し、シリコン膜表面を走査させればよい。ここでは、繰り返し周波数30Hz、エネルギー密度393mJ/cm2で第1のレーザー光の照射を大気中で行なう。なお、大気中、または酸素雰囲気中で行うため、第1のレーザー光の照射により表面に酸化膜が形成される。
次いで、第1のレーザー光の照射により形成された酸化膜を希フッ酸で除去した後、第2のレーザー光の照射を窒素雰囲気、或いは真空中で行い、半導体膜表面を平坦化する。このレーザー光(第2のレーザー光)には波長400nm以下のエキシマレーザー光や、YAGレーザーの第2高調波、第3高調波を用いる。第2のレーザー光のエネルギー密度は、第1のレーザー光のエネルギー密度より大きくし、好ましくは30〜60mJ/cm2大きくする。ここでは、繰り返し周波数30Hz、エネルギー密度453mJ/cm2で第2のレーザー光の照射を行ない、半導体膜表面における凹凸のP―V値(Peak to Valley、高さの最大値と最小値の差分)が50nm以下となる。このP−V値は、AFM(原子間力顕微鏡)
により得られる。
また、本実施例では第2のレーザー光の照射を全面に行ったが、オフ電流の低減は、画素部のTFTに特に効果があるため、少なくとも画素部のみに選択的に照射する工程としてもよい。
次いで、オゾン水で表面を120秒処理して合計1〜5nmの酸化膜からなるバリア層を形成する。
次いで、バリア層上にスパッタ法にてゲッタリングサイトとなるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を膜厚150nmで形成する。本実施例のスパッタ法による成膜条件は、成膜圧力を0.3Paとし、ガス(Ar)流量を50(sccm)
とし、成膜パワーを3kWとし、基板温度を150℃とする。なお、上記条件での非晶質シリコン膜に含まれるアルゴン元素の原子濃度は、3×1020/cm3〜6×1020/cm3、酸素の原子濃度は1×1019/cm3〜3×1019/cm3である。その後、ランプアニール装置を用いて650℃、3分の熱処理を行いゲッタリングする。
次いで、バリア層をエッチングストッパーとして、ゲッタリングサイトであるアルゴン元素を含む非晶質シリコン膜を選択的に除去した後、バリア層を希フッ酸で選択的に除去する。なお、ゲッタリングの際、ニッケルは酸素濃度の高い領域に移動しやすい傾向があるため、酸化膜からなるバリア層をゲッタリング後に除去することが望ましい。ここではゲッタリングを行った例を示したが、特に限定されず、他のゲッタリング方法でもよい。
次いで、得られた結晶構造を有するシリコン膜(ポリシリコン膜とも呼ばれる)の表面にオゾン水で薄い酸化膜を形成した後、レジストからなるマスクを形成し、所望の形状にエッチング処理して島状に分離された半導体層104、105を形成する。半導体層を形成した後、レジストからなるマスクを除去する。
次いで、フッ酸を含むエッチャントで酸化膜を除去すると同時にシリコン膜の表面を洗浄した後、ゲート絶縁膜106となる珪素を主成分とする絶縁膜を形成する。本実施例では、プラズマCVD法により115nmの厚さで酸化窒化シリコン膜(組成比Si=32%、O=59%、N=7%、H=2%)で形成する。
次いで、図3(B)に示すように、ゲート絶縁膜106上に膜厚20〜100nmの第1の導電膜107と、膜厚100〜400nmの第2の導電膜108とを積層形成する。本実施例では、ゲート絶縁膜106上に膜厚50nmの窒化タンタル膜、膜厚370nmのタングステン膜を順次積層する。
第1の導電膜及び第2の導電膜を形成する導電性材料としてはTa、W、Ti、Mo、Al、Cuから選ばれた元素、または前記元素を主成分とする合金材料もしくは化合物材料で形成する。また、第1の導電膜及び第2の導電膜としてリン等の不純物元素をドーピングした多結晶シリコン膜に代表される半導体膜や、、AgPdCu合金を用いてもよい。また、2層構造に限定されず、例えば、膜厚50nmのタングステン膜、膜厚500nmのアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜、膜厚30nmの窒化チタン膜を順次積層した3層構造としてもよい。また、3層構造とする場合、第1の導電膜のタングステンに代えて窒化タングステンを用いてもよいし、第2の導電膜のアルミニウムとシリコンの合金(Al−Si)膜に代えてアルミニウムとチタンの合金膜(Al−Ti)を用いてもよいし、第3の導電膜の窒化チタン膜に代えてチタン膜を用いてもよい。また、単層構造であってもよい。
次に、図3(C)に示すように光露光工程によりレジストからなるマスク109を形成し、ゲート電極及び配線を形成するための第1のエッチング処理を行う。エッチングにはICP(Inductively Coupled Plasma:誘導結合型プラズマ)
エッチング法を用いると良い。ICPエッチング法を用い、エッチング条件(コイル型の電極に印加される電力量、基板側の電極に印加される電力量、基板側の電極温度等)を適宜調節することによって所望のテーパー形状に膜をエッチングすることができる。なお、エッチング用ガスとしては、Cl2、BCl3、SiCl4、CCl4などを代表とする塩素系ガスまたはCF4、SF6、NF3などを代表とするフッ素系ガス、またはO2を適宜用いることができる。
第1のエッチング処理では、レジストによるマスクの形状と、基板側に印加するバイアス電圧の効果により端部をテーパー形状とすることができる。テーパー部の角度は15〜45°となるようにする。また、ゲート絶縁膜上に残渣を残すことなくエッチングするためには、10〜20%程度の割合でエッチング時間を増加させると良い。W膜に対する酸化窒化シリコン膜の選択比は2〜4(代表的には3)であるので、オーバーエッチング処理により、酸化窒化シリコン膜が露出した面は20〜50nm程度エッチングされる。こうして、第1のエッチング処理により第1導電膜と第2導電膜から成る第1形状の導電層110、111(第1の導電層110a、111aと第2導電層110b、111b)を形成する。
112はゲート絶縁膜であり、第1の形状の導電層で覆われない領域は20〜50nm程度エッチングされ薄くなる。
そして、第1のドーピング処理を行いn型の不純物(ドナー)をドーピングする。(図3(D))その方法はイオンドープ法若しくはイオン注入法で行う。イオンドープ法の条件はドーズ量を1×1013〜5×1014/cm2として行う。n型を付与する不純物元素として15族に属する元素、典型的にはリン(P)または砒素(As)を用いる。この場合、第1形状の導電層110、111はドーピングする元素に対してマスクとなり、加速電圧を適宣調節(例えば、20〜60keV)して、ゲート絶縁膜112を通過した不純物元素により不純物領域(n+領域)113、114を形成する。例えば、不純物領域(n+領域)におけるリン(P)濃度は1×1020〜1×1021/cm3の範囲となるようにする。
次いで、図4(A)に示すように第2のドーピング処理を行う。第1のドーピング処理よりもドーズ量を下げ高加速電圧の条件でn型の不純物(ドナー)をドーピングする。例えば、加速電圧を70〜120keVとし、1×1013/cm2のドーズ量で行い、図3(D)で半導体層に形成された第1の不純物領域の内側に不純物領域を形成する。ドーピングは、第2の導電膜110b、111bを不純物元素に対するマスクとして用い、第1の導電膜110a、111aの下側の領域に不純物元素が添加されるようにドーピングする。こうして、第1の導電膜110a、111aと重なる不純物領域(n−領域)115、116が形成される。この不純物領域は、第2の導電層110a、111aがほぼ同じ膜厚で残存していることから、第2の導電層に沿った方向における濃度差は小さく、1×1017〜1×1019/cm3の濃度で形成する。
次いで、図4(B)に示すように第2のエッチング処理を行う。エッチングはICPエッチング法を用い、エッチングガスにCF4とCl2とO2を混合して、1Paの圧力でコイル型の電極に500WのRF電力(13.56MHz)を供給してプラズマを生成する。基板側(試料ステージ)には50WのRF(13.56MHz)電力を投入し、第1のエッチング処理に比べ低い自己バイアス電圧を印加する。このような条件によりタングステン膜を異方性エッチングし、第1の導電層である窒化タンタル膜またはチタン膜を残存させるようにする。こうして、第2形状の導電層117、118(第1の導電膜117a、118aと第2の導電膜117b、118b)を形成する。119はゲート絶縁膜であり、第2の形状の導電層117、118で覆われない領域はさらに20〜50nm程度エッチングされて膜厚が薄くなる。
そして、図4(C)に示すように、レジストによるマスク120を形成し、pチャネル型TFTを形成する半導体層にp型の不純物(アクセプタ)をドーピングする。典型的にはボロン(B)を用いる。不純物領域(p+領域)121、122の不純物濃度は2×1020〜2×1021/cm3となるようにし、含有するリン濃度の1.5〜3倍のボロンを添加して導電型を反転させる。
以上までの工程でそれぞれの半導体層に不純物領域が形成される。第2形状の導電層117、118はゲート電極となる。その後、図4(D)に示すように、窒化シリコン膜または酸化窒化シリコン膜から成る保護絶縁膜123をプラズマCVD法で形成する。そして導電型の制御を目的としてそれぞれの半導体層に添加された不純物元素を活性化する工程を行う。
さらに、窒化シリコン膜124を形成し、水素化処理を行う。その結果、窒化シリコン膜124中の水素が半導体層中に拡散させることで水素化を達成することができる。
次いで、層間絶縁膜125を形成する。層間絶縁膜125は、ポリイミド、アクリルなどの有機絶縁物材料で形成する。勿論、プラズマCVD法でTEOS(Tetraethyl Ortho silicate)を用いて形成される酸化シリコン膜を適用しても良いが、平坦性を高める観点からは前記有機物材料を用いることが望ましい。
次いで、コンタクトホールを形成し、アルミニウム(Al)、チタン(Ti)
、タンタル(Ta)などを用いて、ソース配線またはドレイン配線126〜128を形成する。
以上の工程で、nチャネル型TFTとpチャネル型TFTとを相補的に組み合わせたCMOS回路を得ることができる。
pチャネル型TFTにはチャネル形成領域130、ソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域121、122を有している。
nチャネル型TFTにはチャネル形成領域131、第2形状の導電層から成るゲート電極118と重なる不純物領域116a(Gate Overlapped Drain:GOLD領域)、ゲート電極の外側に形成される不純物領域116b(LDD領域)
とソース領域またはドレイン領域として機能する不純物領域119を有している。
このようなCMOS回路は、アクティブマトリクス型の発光装置やアクティブマトリクス型の液晶表示装置における駆動回路の一部を形成することを可能とする。それ以外にも、このようなnチャネル型TFTまたはpチャネル型TFTは、画素部のトランジスタに応用することができる。
このようなCMOS回路を組み合わせることで基本論理回路を構成したり、さらに複雑なロジック回路(信号分割回路、D/Aコンバータ、オペアンプ、γ補正回路など)をも構成することができ、さらにはメモリやマイクロプロセッサをも形成することが可能である。
ここでは、上記実施例1で得られるTFTを用いてOLEDを有する発光装置を作製した例について図5を用い、以下に説明する。
同一の絶縁体上に画素部とそれを駆動する駆動回路を有した発光装置の例(但し封止前の状態)を図5に示す。なお、駆動回路には基本単位となるCMOS回路を示し、画素部には一つの画素を示す。このCMOS回路は実施例1に従えば得ることができる。
図5において、200は基板、201は第1の材料層、202は第2の材料層であり、その素子形成基板上に設けられた下地絶縁層203上にはnチャネル型TFTとpチャネル型TFTからなる駆動回路204、pチャネル型TFTからなるスイッチングTFTおよびnチャネル型TFTからなる電流制御TFTとが形成されている。また、本実施例では、TFTはすべてトップゲート型TFTで形成されている。
nチャネル型TFTおよびpチャネル型TFTの説明は実施例1を参照すれば良いので省略する。また、スイッチングTFTはソース領域およびドレイン領域の間に二つのチャネル形成領域を有した構造(ダブルゲート構造)となっているpチャネル型TFTである。なお、本実施例はダブルゲート構造に限定されることなく、チャネル形成領域が一つ形成されるシングルゲート構造もしくは三つ形成されるトリプルゲート構造であっても良い。
また、電流制御TFTのドレイン領域206の上には第2層間絶縁膜208が設けられる前に、第1層間絶縁膜207にコンタクトホールが設けられている。これは第2層間絶縁膜208にコンタクトホールを形成する際に、エッチング工程を簡単にするためである。第2層間絶縁膜208にはドレイン領域206に到達するようにコンタクトホールが形成され、ドレイン領域206に接続された画素電極209が設けられている。画素電極209はOLEDの陰極として機能する電極であり、周期表の1族もしくは2族に属する元素を含む導電膜を用いて形成されている。本実施例では、リチウムとアルミニウムとの化合物からなる導電膜を用いる。
次に、213は画素電極209の端部を覆うように設けられた絶縁膜であり、本明細書中ではバンクと呼ぶ。バンク213は珪素を含む絶縁膜もしくは樹脂膜で形成すれば良い。樹脂膜を用いる場合、樹脂膜の比抵抗が1×106〜1×1012Ωm(好ましくは1×108〜1×1010Ωm)となるようにカーボン粒子もしくは金属粒子を添加すると、成膜時の絶縁破壊を抑えることができる。
また、OLED210は画素電極(陰極)209、有機化合物層211および陽極212からなる。陽極212は、仕事関数の大きい導電膜、代表的には酸化物導電膜が用いられる。酸化物導電膜としては、酸化インジウム、酸化スズ、酸化亜鉛もしくはそれらの化合物を用いれば良い。
なお、本明細書中では発光層に対して正孔注入層、正孔輸送層、正孔阻止層、電子輸送層、電子注入層もしくは電子阻止層を組み合わせた積層した層の総称を有機化合物層と定義する。但し、有機化合物層には有機化合物膜を単層で用いた場合も含むものとする。
また、発光層としては、有機化合物材料であれば特に限定されないが、高分子材料や低分子材料を用いてもよく、例えばニ重項励起により発光する発光材料からなる薄膜、あるいは三重項励起により発光する発光材料からなる薄膜を用いることができる。
なお、ここでは図示しないが陽極212を形成した後、OLED210を完全に覆うようにしてパッシベーション膜を設けることは有効である。パッシベーション膜としては、熱伝導性を有する膜、例えば、AlNXYで示される層が適している。また、他のパッシベーション膜としては、さらにDLC膜、窒化珪素膜もしくは窒化酸化珪素膜を含む絶縁膜を積層してもよく、これらを組み合わせた積層を用いてもよい。
次いで、OLED210を保護するため、実施の形態に示したように支持体となるカバー材を貼りつけて封止(または封入)工程まで行った後、第1の材料層201が設けられた基板200を引き剥がす。そして第2の材料層にフィルム基板を接着層で貼り合わせる。貼り合わせるフィルム基板上には複数のバリア膜と、前記バリア膜どうしの間に前記バリア膜よりも応力の小さい層(応力緩和膜)
とが設けられており、貼り合わせた後の状態が、実施の形態1に示した図1(A)、図1(B)である。第2の材料層202が絶縁膜11に対応している。
ここでは、実施例2に示した工程とは異なる例を示し、具体的には剥離工程及び貼り合わせ工程についてさらに詳細な説明を図6、図7を用いて説明する。
図6(A)中、300は基板、301は窒化物層、302は酸化物層、303は下地絶縁層、304a〜304cは素子、305はOLED、306は層間絶縁膜である。
図6(A)において、基板300はガラス基板、石英基板、セラミック基板などを用いることができる。また、シリコン基板、金属基板またはステンレス基板を用いても良い。
まず、図6(A)に示すように、実施の形態に従って、基板300上に第1の材料層301と第2の材料層302とを形成する。この第1の材料層301の膜応力と、第2の材料層302の膜応力とを異ならせることが重要である。各々の膜厚は、1nm〜1000nmの範囲で適宜設定し、各々の膜応力を調節すればよい。
次いで、第2の材料層302上に被剥離層を形成する。被剥離層は、TFTを代表とする様々な素子(薄膜ダイオード、シリコンのPIN接合からなる光電変換素子やシリコン抵抗素子)を含む層とすればよい。また、基板300の耐え得る範囲の熱処理を行うことができる。なお、本発明において、第2の材料層302の膜応力と、第1の材料層301の膜応力が異なっていても、被剥離層の作製工程における熱処理によって膜剥がれなどが生じない。ここでは、被剥離層として、下地絶縁層303上に、駆動回路23の素子304a、304b、および画素部304の素子304cを形成し、画素部304の素子304cと電気的に接続するOLED15を形成し、OLEDを覆うように膜厚10nm〜1000nmである層間絶縁膜(透光性を有する有機樹脂)306を形成する。(図1(A))
また、第1の材料層301や第2の材料層302によって表面に凹凸が形成された場合、下地絶縁層を形成する前後に表面を平坦化してもよい。平坦化を行った方が、被剥離層においてカバレッジが良好となり、素子を含む被剥離層を形成する場合、素子特性が安定しやすいため好ましい。なお、この平坦化処理として、塗布膜(レジスト膜等)を形成した後エッチングなどを行って平坦化するエッチバック法や機械的化学的研磨法(CMP法)等を用いればよい。
次いで、層間絶縁膜306上に膜厚10nm〜1000nmであるAlNXY膜で示されるアルミニウムを含む窒化酸化物膜307を形成する。(図6(B)
)このAlNXY膜307は保護膜として機能する。ここでは、窒化アルミニウム(AlN)ターゲットを用い、アルゴンガス(20sccm)と窒素ガス(15sccm)と酸素ガス(5sccm)を混合した雰囲気下にて成膜する。また、アルミニウム(Al)ターゲットを用い、窒素ガス及び酸素ガスを含む雰囲気下にて成膜してもよい。また、AlNXY膜307は、装置外から水分や酸素などの不純物といったOLED15の劣化を促す物質が侵入することを防ぐ効果も有している。
次いで、FPC310やICチップ(図示しない)をCOG(chip on glass)方式やTAB(tape automated bonding)方式やワイヤボンディング方法で貼り付ける。また、各TFT素子の各配線と入出力端子311は、配線(接続配線)で繋がれており、入出力端子311にはFPC310を異方性導電材で接着する。異方性導電材は樹脂と表面にAuなどがメッキされた数十〜数百μm径の導電性粒子から成り、導電性粒子により入出力端子とFPCに形成された配線とが電気的に接続される。メモリ、CPU、コントローラ、D/Aコンバータ等を備えたICチップも同様に異方性導電材で基板に接着し、樹脂中に混入された導電性粒子により、ICチップに設けられた入出力端子と引出線または接続配線及び入出力端子と電気的に接続する。
次いで、基板300を物理的手段により引き剥がすために被剥離層を固定する支持体(プラスチック基板からなるカバー材)309をエポキシ樹脂などの接着層308で貼りつける。(図6(C))ここでは、被剥離層の機械的強度が不十分であると仮定した例を示しているが、被剥離層の機械的強度が十分である場合には、被剥離層を固定する支持体なしで剥離することもできる。FPC310やICチップを覆って支持体309を貼り付けるため、支持体309の接着により、入出力端子311とFPCとの接続をさらに固定することができる。また、ここではFPCやICチップを接着した後に支持体を接着した例を示したが、支持体を接着した後、FPCやICチップを装着してもよい。
次いで、第1の材料層301が設けられている基板300を物理的手段により引き剥がす。第2の材料層302の膜応力と、第1の材料層301の膜応力が異なっているため、比較的小さな力で引き剥がすことができる。第1の材料層301と第2の材料層302との結合力は、熱エネルギーには耐え得る強さを有している一方、互いの膜応力は異なり、第1の材料層301と第2の材料層302との間には応力歪みを有しているため、力学的エネルギーに弱く、剥離するには最適である。こうして、第2の材料層302上に形成された被剥離層を基板300から分離することができる。剥離後の状態を図7(A)に示す。なお、この剥離方法は、小さな面積を有する被剥離層の剥離だけでなく、大きな面積を有する被剥離層を全面に渡って歩留まりよく剥離することが可能である。
次いで、第2の材料層302をエポキシ樹脂などの接着層308により転写体309aに貼り付ける。実施の形態では、カバー材と保護膜との間に空隙を有する例を示したが、本実施例では保護膜307に接着層を接着した例を示す。
また、ここでは、転写体309aをプラスチックフィルム基板とすることで、軽量化を図っている。また、転写体309a上にバリア膜として機能するAlNXYで示される層(AlNXY膜とも呼ぶ)309bと、応力緩和膜(有機樹脂)309cと、AlNXY膜309dとの積層を設けて、バリア膜で水分や酸素などの不純物が有機発光層に入り込むのを効果的に防ぐとともに、複数のバリア膜の間に応力緩和膜を設けることによって、よりフレキシブルな発光装置になり、曲げたときのクラックを防ぐことができる。
このようにしてフレキシブルなプラスチック基板上に形成されたOLEDを有する発光装置が完成する。
なお、本明細書中において、転写体とは、剥離された後、被剥離層と接着させるものであり、特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等、いかなる組成の基材でもよい。また、本明細書中において、支持体とは、物理的手段により剥離する際に被剥離層と接着するためのものであり、特に限定されず、プラスチック、ガラス、金属、セラミックス等、いかなる組成の基材でもよい。また、転写体の形状および支持体の形状も特に限定されず、平面を有するもの、曲面を有するもの、可曲性を有するもの、フィルム状のものであってもよい。また、軽量化を最優先するのであれば、フィルム状のプラスチック基板、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエーテルスルホン(PES)
、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリカーボネート(PC)、ナイロン、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリスルホン(PSF)、ポリエーテルイミド(PEI)、ポリアリレート(PAR)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)などのプラスチック基板が好ましい。
本実施例では、画素電極を陽極とし、有機化合物層と陰極を積層して実施の形態(図1)とは逆方向に発光する構成の一例を図8に示す。なお、上面図は図1と同一であるので省略する。
図8に示した断面構造について以下に説明する。AlNXY膜1000bと応力緩和膜1000cと、AlNXY膜1000dとの積層が設けられたフィルム基板1000aが絶縁膜1001と接着層1023で貼り合わせられている。絶縁膜1001上には絶縁膜1010が設けられ、絶縁膜1010の上方には画素部1002、ゲート側駆動回路1003が形成されており、画素部1002は電流制御用TFT1011とそのドレインに電気的に接続された画素電極1012を含む複数の画素により形成される。電流制御用TFT1011は、nチャネル型TFTを用いることも可能であるが、pチャネル型TFTを用いることが好ましい。また、ゲート側駆動回路1003はnチャネル型TFT1013とpチャネル型TFT1014とを組み合わせたCMOS回路を用いて形成される。
これらのTFT(1011、1013、1014を含む)は、上記実施例1のnチャネル型TFT201、上記実施例1のpチャネル型TFT202に従って作製すればよい。
画素電極1012は発光素子(OLED)の陽極として機能する。また、画素電極1012の両端にはバンク1015が形成され、画素電極1012上には有機化合物層1016および発光素子の陰極1017が形成される。
陰極1017は全画素に共通の配線としても機能し、接続配線1008を経由してFPC1009に電気的に接続されている。さらに、画素部1002及びゲート側駆動回路1003に含まれる素子は全て陰極1017、有機樹脂1018、及び保護膜1019で覆われている。保護膜1019として、1000bと同じAlNXY膜を用いてもよい。また、カバー材1020と接着層で貼り合わせている。また、カバー材には凹部を設け、乾燥剤1021を設置する。
また、カバー材1020を図8に示す凹部形状とした場合、支持体となるカバー材1020を接着した後、剥離する際には配線引き出し端子の部分が絶縁膜1010のみとなり機械強度が弱くなるため、剥離前にFPC1009を貼りつけ、さらに有機樹脂1022で固定することが望ましい。
また、図8では、画素電極を陽極とし、有機化合物層と陰極を積層したため、発光方向は図8に示す矢印の方向となっている。
また、ここではトップゲート型TFTを例として説明したが、TFT構造に関係なく本発明を適用することが可能であり、例えばボトムゲート型(逆スタガ型)TFTや順スタガ型TFTに適用することが可能である。
また、実施の形態ではトップゲート型TFTを用いた例を示したが、ボトムゲート型TFTを用いることも可能である。ここではボトムゲート型TFTを用いた例を図9に示す。
図9中に示したようにnチャネル型TFT1113、pチャネル型TFT1114、nチャネル型TFT1111を全てボトムゲート構造とする。これらのボトムゲート構造は、公知の技術を用いて作製すればよい。なお、これらのTFTの活性層は、結晶構造を有する半導体膜(ポリシリコン等)であってもよいし、非晶質構造を有する半導体膜(アモルファスシリコン等)であってもよい。
また、図9中、1100aは、可撓性を有するフィルム基板(例えば、プラスチック基板等)、1100b、1100dはAlNXY膜、1100cは、応力緩和膜(有機樹脂)、1101は、第2の材料層(例えば、酸化シリコン膜)である絶縁膜、1102は画素部、1103はゲート側駆動回路、1110は絶縁膜、1112は画素電極(陰極)、1115はバンク、1116は有機化合物層、1117は陽極、1118は有機樹脂、1119は保護膜(AlNXY膜)、1120はカバー材、1121は乾燥剤、1122は有機樹脂、1123は接着層である。
また、nチャネル型TFT1113、pチャネル型TFT1114、nチャネル型TFT1111以外の構成は、実施の形態と同一であるのでここでは説明を省略する。
本発明を実施して形成されたELモジュールは様々な電子機器の表示部に用いることができる。即ち、ELモジュールを表示部に組み込んだ電子機器全てに本発明を実施できる。
その様な電子機器としては、ビデオカメラ、デジタルカメラ、ヘッドマウントディスプレイ(ゴーグル型ディスプレイ)、カーナビゲーション、プロジェクタ、カーステレオ、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末(モバイルコンピュータ、携帯電話または電子書籍等)などが挙げられる。それらの一例を図10、図11に示す。
図10(A)はパーソナルコンピュータであり、本体2001、画像入力部2002、表示部2003、キーボード2004等を含む。本発明を表示部2003に適用することができる。
図10(B)はビデオカメラであり、本体2101、表示部2102、音声入力部2103、操作スイッチ2104、バッテリー2105、受像部2106等を含む。本発明を表示部2102に適用することができる。
図10(C)はモバイルコンピュータ(モービルコンピュータ)であり、本体2201、カメラ部2202、受像部2203、操作スイッチ2204、表示部2205等を含む。本発明は表示部2205に適用できる。
図10(D)はゴーグル型ディスプレイであり、本体2301、表示部2302、アーム部2303等を含む。本発明は表示部2302に適用することができる。
図10(E)はプログラムを記録した記録媒体(以下、記録媒体と呼ぶ)を用いるプレーヤーであり、本体2401、表示部2402、スピーカ部2403、記録媒体2404、操作スイッチ2405等を含む。なお、このプレーヤーは記録媒体としてDVD(Digtial Versatile Disc)、CD等を用い、音楽鑑賞や映画鑑賞やゲームやインターネットを行うことができる。本発明は表示部2402に適用することができる。
図10(F)はデジタルカメラであり、本体2501、表示部2502、接眼部2503、操作スイッチ2504、受像部(図示しない)等を含む。本発明を表示部2502に適用することができる。
図11(A)は携帯電話であり、本体2901、音声出力部2902、音声入力部2903、表示部2904、操作スイッチ2905、アンテナ2906、画像入力部(CCD、イメージセンサ等)2907等を含む。本発明を表示部2904に適用することができる。
図11(B)は携帯書籍(電子書籍)であり、本体3001、表示部3002、3003、記憶媒体3004、操作スイッチ3005、アンテナ3006等を含む。本発明は表示部3002、3003に適用することができる。
図11(C)はディスプレイであり、本体3101、支持台3102、表示部3103等を含む。本発明は表示部3103に適用することができる。
ちなみに図11(C)に示すディスプレイは中小型または大型のもの、例えば5〜20インチの画面サイズのものである。また、このようなサイズの表示部を形成するためには、基板の一辺が1mのものを用い、多面取りを行って量産することが好ましい。
以上の様に、本発明の適用範囲は極めて広く、あらゆる分野の電子機器の作製方法に適用することが可能である。また、本実施例の電子機器は実施例1〜5のどのような組み合わせからなる構成を用いても実現することができる。

Claims (4)

  1. プラスチック基板上の第1のアルミニウムを含む窒化酸化物膜と、
    前記第1のアルミニウムを含む窒化酸化物膜上の第1の有機樹脂膜と、
    前記第1の有機樹脂膜上の第2のアルミニウムを含む窒化酸化物膜と、
    前記第2のアルミニウムを含む窒化酸化物膜上の接着層と、
    前記接着層上の絶縁膜と、
    前記絶縁膜上の薄膜トランジスタと、
    前記薄膜トランジスタ上の、前記薄膜トランジスタに電気的に接続される、陽極、陰極及び前記陽極と前記陰極の間の有機発光層を含む発光素子と、
    前記発光素子を覆う第2の有機樹脂膜と、
    前記第2の有機樹脂膜を覆う保護膜と、を有し、
    前記薄膜トランジスタ及び前記発光素子は、接着剤を用いて第3のアルミニウムを含む窒化酸化物膜が設けられたカバー材で封止されており、
    前記発光素子からの発光は、前記カバー材を介して射出することを特徴とする発光装置。
  2. 第1の基板上に第1の材料層、第2の材料層、下地絶縁膜を順に形成し、
    前記下地絶縁膜上に、画素部の第1のTFT素子及び駆動回路の第2のTFT素子を形成し、
    前記第1のTFT素子及び前記第2のTFT素子上に、前記第1のTFT素子に電気的に接続される、陽極、陰極及び前記陽極と前記陰極の間の有機発光層を含む発光素子を形成し、
    前記発光素子上に層間絶縁膜を形成し、
    前記発光素子及び前記層間絶縁膜を覆うようにアルミニウムを含む窒化酸化物膜でなる第1の膜を形成し、
    前記第2のTFT素子に電気的に接続される入出力端子にFPCを異方性導電材で接着し、
    前記FPC及び前記第1の膜上に支持体を第1の接着層を介して貼り付け、
    前記支持体の接着により前記入出力端子と前記FPCとの接続を固定した後、前記第1の材料層が設けられた前記第1の基板を前記第2の材料層から引きはがし、
    前記第2の材料層に第2の接着層を介してアルミニウムを含む窒化酸化物膜でなる第2の膜と、前記第2の膜上に形成された有機樹脂からなる第3の膜と、前記第3の膜上に形成されたアルミニウムを含む窒化酸化物膜でなる第4の膜との積層膜が設けられたプラスチック基板である第2の基板を貼り合わせることを特徴とする発光装置の作製方法。
  3. 請求項2において、
    前記第1の材料層は、タングステン膜または窒化タングステン膜であることを特徴とする発光装置の作製方法。
  4. 請求項2または3において、
    前記第2の材料層は、酸化シリコン材料層、酸化金属材料層、または前記酸化シリコン材料層と前記酸化金属材料層の積層であることを特徴とする発光装置の作製方法。
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