JP5500540B2 - 量子ドット太陽電池 - Google Patents

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Description

本発明は、量子ドット太陽電池における太陽光有効利用技術に関するものである。
太陽光発電システム技術は、温室効果ガス排出量削減、新エネルギー利用技術という我が国が世界をリードすべき研究開発分野であるばかりでなく、持続的経済成長が期待できる重要な産業技術である。
太陽電池の高効率化技術として、従来から多接合タンデム構造が開発されてきた。現在のところ、III−V族化合物半導体を用いたInGaP/InGaAs/Geの3接合セルが実用化されている。現在の太陽電池のエネルギー変換効率の世界最高記録は、非集光で30%程度であり、集光した場合でも40%程度である。また世界の生産量(2007年)は宇宙用として約1MW/年、地上用では100〜200KW/年(500倍集光で50〜100MW/年) に達しており、集光型セルは今後も2〜3倍の伸びが予想されている。しかし、変換効率を50%以上に近づけるためには、4接合、さらには5接合や6接合のタンデム構造の研究開発が必要であり、最適な化合物材料や各セル間を電気的につなげるトンネル接合材料(インターコネクト材料)の課題に加えて、作製コストの増大が指摘されている。
一方で、近年、結晶型太陽電池(第1世代)、薄膜型太陽電池(第2世代)に続いて、半導体量子ドットや超格子を利用した第3世代の太陽電池が世界的に注目されている。
量子ドットとは、寸法が数nm〜数10nm程度のナノ結晶構造のことであり、主に基板結晶上にエピタキシャル成長させる方法で作製される。量子ドットの周囲は、高いポテンシャル障壁によって三次元的に取り囲まれており、量子ドット中の電子や正孔は、狭い空間に閉じ込められることによって離散的なエネルギー状態となる。結果的に、量子ドット中の電子や正孔の基底エネルギー状態は、量子ドットのサイズに依存する。量子ドットの物理的特性として、量子サイズ効果(量子ドットのサイズを調整することで、光吸収波長を選択できる効果),エネルギー緩和時間の増大(量子ドット中では、電子のエネルギー緩和時間が遅くなるため、フォノン放出によるエネルギー緩和が起こる前に高いエネルギー状態にある電子を取り出せるといった効果),中間バンドの形成(超格子構造にして量子ドット間の結合が起こるようになると、伝導帯および価電子帯にミニバンドが形成され、太陽光により励起された電子は、更なる光励起あるいは熱励起によって量子ドットの井戸から抜け出し、電流として取り出すことができる効果)の3点が太陽電池セルへの応用という観点から有用視されている。
これらを達成することにより60%を越える理論効率を達成することが期待されている。すなわち、従来のpn接合構造に1つの中間バンドを導入した量子ドット太陽電池が実現できると、変換効率の理論値は最高60%(最大集光時)を上回り、現在の単結晶Si太陽電池の2〜3倍の効率が達成できることになる。
このような量子ドット太陽電池の研究開発においては、Imperial
College London (英国)が量子井戸型タンデム太陽電池(2接合タンデム構造で効率29.7%)、またマドリード工科大(スペイン)、ニューサウスウェールズ大(オーストラリア)、デラウエア大、NASA、NREL(米国)等の研究機関では、量子ナノ構造を導入した中間バンド型太陽電池(集光時の理論効率60%)が研究されている。
その他、ホットキャリア太陽電池、MEG型太陽電池、希土類元素や有機材料を用いたup-converter, down-converter太陽電池など、従来の原理・構造にはない全く新しい次世代型の超高効率太陽電池の研究開発が重要視されている。
特に、欧州のFULLSPECTRUMプロジェクト、ニューサウスウェールズ大のThird Generation Photovoltaic Research Centre、そして、NRELでは、理論グループ、物性グループ、そして結晶成長・プロセスグループが連携した研究体制をとって、多接合・量子ナノ構造マルチバンド太陽電池の研究開発を進めている。
さらに最近では、量子ドット超格子ではなく、新しい薄膜材料で中間バンド型太陽電池を実現する研究がLawrence Berkeley National Laboratory(米国)やマドリード工科大で報告されている。
新型太陽電池材料(豊田工業大学 山口真史)、OPTRONICS(2009)No.6.p125−130.
上述した量子ドット太陽電池では、物理構成上、面密度1010cm−2程度の密度でしか構築できないため、従来は太陽光を十分に吸収するために量子ドット層を何層も積層して光の吸収強度を増やす努力がなされてきた。しかしながら、量子ドット層の積層数では、結晶学的に限界があり、無制限に積層できるというものではない。
また、量子ドット層の前段に集光レンズ等を設置して集光させて太陽光を十分に吸収させるという集光方式がある。しかし、かかる集光方式では、装置になった場合の設置面積が大きくなるといった不都合がある。
かかる状況に鑑みて、本発明は、上述した量子ドット太陽電池において、太陽光の強度を強める構造を用いて、量子ドットによる大幅なエネルギー変換効率の向上を図ることが可能な量子ドット太陽電池を提供することを目的とする。
本発明者らは、量子ドット太陽電池における太陽光の有効利用技術を鋭意検討した結果、光キャビティ構造による光閉じ込めを利用することにより、量子ドットに作用する光強度を向上させることができるのではないかと考えた。そして、様々なシミュレーションを行い、量子ドット太陽電池の構造に対して、太陽光の閉じ込め効果を、レンズによる集光を行わずとも、5倍以上に高めることができる構造を理論的に予測したのである。予測した構造によれば、量子ドット太陽電池の効率が飛躍的に向上し、集光と組み合わせた場合に60%以上のエネルギー変換効率が期待できることを知見した。
すなわち、本発明量子ドット太陽電池は、量子ドットを含む活性層を反射素子で挟んだ光キャビティを有する量子ドット太陽電池であって、前記光キャビティが、前記量子ドット間に形成された中間バンドの吸収波長光を共振増幅し得ることを特徴とする。
量子ドットを含む活性層を反射素子で挟んだ光キャビティ構造は、光と活性層の電子系を強く相互作用させ、10層以下の少ない量子ドット層数でも十分に量子ドット特有の中間バンド効果やマルチエキシトン生成(MEG)等の非線形光学過程を顕在化できる可能性が大きい。すなわち、量子ドット太陽電池において、太陽光の強度を強め、量子ドットによる大幅なエネルギー変換効率の向上を図ることができる。
ここで、反射素子は、例えば、半導体を積層したブラッグ反射ミラーを用いることができるが、これに限定されるものではない。
またフォトニック結晶自体が光キャビティ構造となる場合、かかるフォトニック結晶内部に量子ドットを埋め込み形成させた構造は、光と活性層の電子系を強く相互作用させ、太陽光の強度を強め、量子ドットによる大幅なエネルギー変換効率の向上を図ることができる。また、量子ドット特有の中間バンド効果やマルチエキシトン生成(MEG)等の非線形光学過程を顕在化できる可能性が大きい。
ここで、フォトニック結晶は、一次元フォトニック結晶である
ここで、上記の光キャビティは、具体的には、縦型一次元キャビティ構造を成すことが好ましい態様である。従来のpn接合構造に量子ドットを含む活性層を設けた太陽電池における光キャビティは、具体的には、縦型一次元キャビティ構造となる
次に、本発明の量子ドット太陽電池の制御方法は、上述の量子ドット太陽電池の光キャビティのQ値(振幅増大係数)が所定値以上に設定されるように光キャビティを設計することにより、量子ドット太陽電池の活性層の中間バンドの吸収波長帯域(吸収エネルギーバンド幅を制御し得ることを特徴とするものである。
キャビティQ値を所定値以上に設定することによって、相互作用に必要なエネルギーバンド幅を制御することができる。すなわち、キャビティQ値を所定値以上に設定することによって、共鳴バンド幅を自在に制御できるのである。
ここで、Q値を100程度に設定し、不均一サイズの量子ドット全体の吸収エネルギーを増大させることが好ましい。これについて以下に説明する。
量子ドットのサイズを制御して、光吸収波長と光吸収波長帯域をチューニングすることが可能である。すなわち、量子ドットのサイズを制御することで、光吸収波長と光吸収波長帯域を制御し、太陽光スペクトルの利用を最適化することが可能である。仮に、量子ドットのサイズの不均一さが10%程度とすると、この10%程度のサイズ不均一を有する量子ドットすべてが、太陽光に共鳴するためにはQ値=100程度の弱結合状態を実現する必要があると想定している。
このような方法を使うと、最適な設計によりキャビティ内で、例えば1.2μm近傍の中間バンド吸収波長帯の太陽光強度を5倍程度に強めることが可能である。また、量子ドットのサイズ均一性の向上とともに大きなQ値を選択できるので、より強い光と量子ドットの相互作用を生み出すことができる。
また、集光型太陽電池構造では光キャビティに入射する光の角度が集光レンズ、あるいはミラーの場所によって異なり、太陽光の入射角度に応じて共鳴波長のシフトを生じる。後述するが、共振波長は光の入射角度に依存して、30nm程度制御できることから、集光レンズ等を用いた集光するタイプの太陽電池の場合、集光レンズから光キャビティまでの入射角度が異なることを活用して、大きなQ値で光と量子ドットを強く結合させた状態でもサイズ分布によりエネルギー拡がりをもった量子ドットに有効に太陽光を活性層に導くことができることになる。
これを利用して、Q値を100以上に高く設定し、狭い共振エネルギー幅を有する場合でも量子ドット全体で太陽光を吸収させることが可能である。例えば、Q値を500以上に設定した場合は、太陽光強度は光キャビティ効果で20倍程度増幅される。集光による太陽光強度の増大を考慮すれば、量子ドットに吸収される太陽光強度は光キャビィティー増幅率と集光増幅率の積で増幅される。集光レンズ、あるいはミラーで100倍に集光した太陽光をQ値500に設定した量子ドット太陽電池に入射すれば、光キャビティを持たない非集光の太陽電池に比べて2000倍の太陽光を量子ドットが効率よく吸収する。かかる方法により、量子ドット特有の中間バンド効果やマルチエキシトン生成(MEG)等の非線形光学効果を飛躍的に向上させ、太陽電池特性として十分引き出すことが可能である。
本発明の量子ドット太陽電池によれば、集光レンズを用いずに、光キャビティ構造により太陽光の閉じ込め効果を5倍以上高めることが可能で、それにより、量子ドット太陽電池の効率を飛躍的に向上させ、高いエネルギー変換効率が得られるといった効果がある。
量子ドット太陽電池の概略構成図 量子ドット太陽電池のエネルギーバンド図 太陽光の強度とフォトン数 本発明の光キャビティ構造の量子ドット太陽電池のイメージ図 近赤外領域の増幅の様子を示すグラフ 光の入射角度と共振波長の相関グラフ 光キャビティのペア数に伴うスペクトルの変動を示すグラフ 光キャビティのブラッグ反射ミラー周期数に対するQ値ならびに電界強度増強Eの相関グラフ 量子ドットサイズの揺らぎとスペクトル幅の相関グラフ 集光型量子ドット太陽電池の構造イメージ図 太陽光強度(電界強度増強E)と共振エネルギー幅の相関グラフ
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しながら詳細に説明していく。なお、本発明の範囲は、以下の実施例や図示例に限定されるものではなく、幾多の変更及び変形が可能である。
図1は、本発明の一実施形態の量子ドット太陽電池の概略構成図を示している。本発明の量子ドット太陽電池1は、図1に示すように、ブラッグ反射ミラー層(p型半導体層)2とブラッグ反射ミラー層(n型半導体層)3の間の半導体pn接合領域に、活性層4を備えた構造を有する。活性層4は、複数の量子ドット層41と中間層42が積層された構成となっている。すなわち、ブラッグ反射ミラー層(p型半導体層)2とブラッグ反射ミラー層(n型半導体層)3で光キャビティ構造を構成し、その中に活性層4を備えているのである。そして、ブラッグ反射ミラー層(n型半導体層)3の下部には半導体基板5があり、その下に裏面電極7が設けられている。また、ブラッグ反射ミラー層(p型半導体層)2の上部には、グリッド電極6があり、上部から入射する太陽光(矢印)のエネルギーを変換して、電気として取り出す。8は、反射防止膜である。
pn接合の間に複数の量子ドット層41を積層させた構造を有する量子ドット太陽電池は、量子ドット層41の間に入る中間層42が充分厚い場合、エネルギーバンド構造は図2(a)のようになる。この場合、太陽光により励起された電子は、更なる光励起あるいは熱励起によって量子ドットの井戸から抜け出し、電流として取り出すことができる。一方、中間層の厚さが数nm程度まで薄い場合、量子ドット間に中間バンドが形成されて、電子や正孔は少ないエネルギー損失で移動することが可能となる。
なお、量子ドット層は、一次元の量子井戸、二次元の量子細線、三次元の量子ドットのいずれでも構成可能である。
図3は、太陽光の強度とフォトン数の関係を示したグラフである。図3(1)は太陽光における波長とフォトン数の関係を示しており、図3(2)は太陽光における波長と強度の関係を示している。太陽光では可視光領域が最も強度が高いことが知られているが、近赤外領域においても、図3(2)に示すように、1000nm、1240nm、1550nm近辺に強度ピークを有するスペクトルが存在する。図3(1)には、太陽光の強度をエネルギー量で除算することにより、フォトン数を求めたものである。図3(1)から、先ほどの1000nm、1240nm、1550nm近辺に強度ピークに対応するフォトン数は、可視光領域の強度ピークのフォトン数に対して、0.8〜0.5倍程度であることがわかる。このことから、近赤外領域においても有効に利用できるフォトン数は数多く存在することがわかる。
図4は、本発明の光キャビティ構造の量子ドット太陽電池のイメージ図を示している。図4に示すように、本発明の量子ドット太陽電池は、量子ドットを含む活性層4(量子ドット層)をブラッグ反射ミラー層2,3で挟んだ、光キャビティ構造を有している。ここで反射素子は、光を透過できる半透明又は透明の誘電性材料から成るものである。量子ドット層を含む活性層自体は、既知の技術により構築される。
なお、図4では、光学強度を図示する曲線と共に、光キャビティ構造の量子ドット太陽電池の構成を示している。
図5は、本発明の光キャビティ構造の量子ドット太陽電池を用いて、近赤外領域の増幅が行われる様子を示すグラフである。図5のグラフは、横軸に1100nm〜1400nmの波長域をとって、本発明の光キャビティ構造の量子ドット太陽電池における反射率(Reflectivity)を示したものである。図5は、参考用として量子ドット(QD)のPL(光によって励起するフォトルミネッセンス特性)をプロットしている。図5のグラフから、1150〜1300nmにおいて、1240nm近辺(量子ドットのPLのピーク付近)に、量子ドット層に共鳴吸収が生じていることが確認できる。
ここで、共鳴吸収が生じる波長は、光キャビティのQ値を所定値以上に設定することにより、図5の矢印に示すように波長シフト制御が可能である。すなわち、光キャビティのQ値を所定値以上に設定することにより、共鳴バンド幅を自在に制御できるのである。

図6は、光の入射角度と共振波長の相関グラフを示している。光の入射角度と共振波長の相関は、光の屈折(スネルの法則)に従っている。図6に示すように、光キャビティに入射する太陽光の入射角度は面に対して垂直の場合(入射角0度)、共振波長は1240nm程度となる。図に示すように、この共振波長は入射角度に依存しており、入射角50度の場合、1210nm程度となる。すなわち、太陽光の入射角度に依存して、量子ドット層の共振波長を、増幅度を保ったまま、30nm程度制御できることになる。
集光型の太陽電池では、光キャビティに入射する光の角度が集光レンズ、あるいはミラーの場所によって異なり、太陽光の入射角度に応じて共鳴波長のシフトを生じる。集光型の太陽電池の場合、集光レンズから光キャビティまでの入射角度が異なることを活用して、大きなQ値で光と量子ドットを強く結合させた状態でも有効に太陽光を活性層に導くことができることになる。これを利用して、Q値を100以上に高く設定し、狭い共振エネルギー幅を有する場合でも量子ドット全体で太陽光を吸収させることが可能である。Q値を500以上に設定した場合は、太陽光強度は光キャビティ効果で20倍以上増幅される。集光による太陽光強度の増大を考慮すれば、量子ドットに吸収される太陽光強度は光キャビィティー増幅率と集光増幅率の積で増幅される。
図7は、光キャビティのペア数に伴うスペクトルの変動を示すグラフを示している。
図7から、量子ドット(QD)のPL(光によって励起するフォトルミネッセンス特性)のピーク付近に、光キャビティの共鳴が生じることが確認できる。
図8は、光キャビティのブラッグ反射ミラー周期数に対するQ値ならびに電界強度増強Eの相関グラフを示している。ここで、光キャビティは、GaAsとAlAsで構成しているものである。図8から、GaAs/AlAsブラッグミラー周期数を6に設定し、光キャビティのQ値を100程度に設定した場合には、電界強度増強Eは5倍となる。これにより、例えば1.2μm近傍の中間バンド吸収波長帯の太陽光強度を5倍程度に強めることが可能であり、可視光領域の強度ピークのフォトン数に対して、4.0〜2.5倍程度に増強したことに相当する。
また、GaAs/AlAsブラッグミラー周期数を12に設定し、光キャビティのQ値を500程度に設定した場合には、電界強度増強Eは20倍となる。集光レンズ等を用いた集光するタイプの太陽電池の場合、集光レンズから光キャビティまでの入射角度が異なることを活用して、大きなQ値で光と量子ドットを強く結合させた状態でもサイズ分布によりエネルギー拡がりをもった量子ドットに有効に太陽光を活性層に導くことができることになる。これにより、例えば100倍に集光した太陽光を1.2μm近傍の中間バンド吸収波長帯の太陽光強度を2000倍程度に増幅できることが可能である。
図9は、量子ドットサイズの揺らぎとスペクトル幅の相関グラフを示している。横軸にサイズ変化を%で示し、縦軸には量子ドットの光吸収エネルギー(左縦軸)と波長(右縦軸)で現わしている。この計算結果より、60%の量子ドット体積の変化(サイズ揺らぎ約15%に相当)によって約10meVの広がりを示す。また、後述する図11からわかるように約10meVのエネルギー拡がりに共振する光キャビティは約5倍の太陽光強度(電界強度増強E)の増大を可能にする。
図10は、集光型量子ドット太陽電池の構造イメージ図を示している。上述した光キャビティ構造を備えた量子ドット太陽電池に、集光レンズ、あるいはミラーで100倍に集光した太陽光をQ値500に設定した量子ドット太陽電池に入射すれば、光キャビティを持たない非集光の太陽電池に比べて2000倍の太陽光を量子ドットが効率よく吸収するできることになる。すなわち、例えば、図10のように、集光レンズ21を用いて、有効に太陽光をデバイス側に導き、500以上のQ値で光と量子ドットを強く結合させた状態で、量子ドット特有の中間バンド効果やマルチエキシトン生成(MEG)等の非線形光学効果を飛躍的に向上させ、太陽電池特性として十分引き出すのである。
図11は、太陽光強度(電界強度増強E)と共振エネルギー幅の相関グラフを示している。図から、太陽光強度(電界強度増強E)が増加すると、共振エネルギー幅が指数関数的に狭くなることがわかる。光キャビティのQ値を500以上に高く設定した狭い共振エネルギー幅を有する場合でも、量子ドット太陽電池に太陽光を集光して入射することによって、量子ドットサイズの不均一に由来するエネルギー拡がりを有する量子ドット全体で太陽光を吸収させることが可能である。
本発明は、高性能の太陽電池としての利用が期待できる。
1 量子ドット太陽電池
2 ブラッグ反射ミラー層(p型半導体層)
3 ブラッグ反射ミラー層(n型半導体層)
4 活性層
41 量子ドット層
42 中間層
5 半導体基板
6 上部グリッド電極
7 裏面電極
10 光学強度を図示する曲線
20 集光型量子ドット太陽電池
21 集光レンズ

Claims (7)

  1. 量子ドットを含む活性層を反射素子で挟んだ光キャビティを有する量子ドット太陽電池であって、
    前記光キャビティが、前記量子ドット間に形成された中間バンドの吸収波長光を共振増幅し得ることを特徴とする量子ドット太陽電池。
  2. 前記光キャビティは、一次元フォトニック結晶内に量子ドットを形成させたものであることを特徴とする請求項に記載の量子ドット太陽電池。
  3. 前記光キャビティは、縦型一次元キャビティ構造を成すことを特徴とする請求項1又は2に記載の量子ドット太陽電池。
  4. 請求項1〜3の何れかに記載の量子ドット太陽電池の制御方法であって、
    前記量子ドット太陽電池における前記光キャビティのQ値(振幅増大係数)が所定値以上に設定されるように光キャビティを設計することにより前記活性層の前記中間バンドの吸収波長帯域(吸収エネルギーバンド幅を制御し得ることを特徴とする量子ドット太陽電池の制御方法。
  5. 前記Q値を100以上に設定し、不均一サイズの量子ドット全体の吸収エネルギーを増大させることを特徴とする請求項に記載の量子ドット太陽電池の制御方法。
  6. 前記Q値を100以上に設定し、前記光キャビティに入射する太陽光の入射角度の変化に伴う共鳴波長のシフト領域全体でエネルギー吸収が行えるものとし、量子ドット全体の吸収エネルギーを増幅させることを特徴とする請求項に記載の量子ドット太陽電池の制御方法。
  7. 前記量子ドット太陽電池を集光型の構成とし、前記Q値を100以上に設定し、前記光キャビティに入射する太陽光の入射角度の変化に伴う共鳴波長のシフト領域全体でエネルギー吸収が行えるものとし、量子ドット全体の吸収エネルギーを光キャビィティー増幅率と集光増幅率の積に増幅させることを特徴とする請求項に記載の量子ドット太陽電池の制御方法。
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