以下、本発明に係る熱電気変換装置の実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
[第1の実施形態]
図1は、本発明に係る熱電気変換装置の第1実施形態の斜視図である。図2は、図1に示す熱電気変換装置の断面図である。
図1および図2に示す熱電気変換装置1は、モジュールケース11中に熱電変換素子が内蔵された2個の熱電気変換モジュール10、10と、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15側に設けられる1個の高温側流体流路部20と、各熱電気変換モジュール10の低温側表面部16側に設けられる2個の低温側流体流路部30、30と、を備える。
図2に示すように、熱電気変換装置1の高温側流体流路部20は、2個の各熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15と、各熱電気変換モジュール10、10の側面部17、17のうちの高温側表面部15側の一部と、2個の熱電気変換モジュール10、10の側面部17、17間を連接する高温側流体流路形成部25を用いて断面略矩形状に形成される。高温側流体流路部20は、内部に断面略矩形状の高温側流体流路21を形成する。
高温側流体流路部20中、熱電気変換装置1の高温側流体流路部20、20間には、断面櫛状のフィン40が設けられる。
このような構成により、熱電気変換装置1は、高温側流体流路部20を中央側としたときに、高温側流体流路部20が熱電気変換装置1の中央側に形成され、低温側流体流路部30が熱電気変換装置1の周辺側に形成されたようになっている。
以下、熱電気変換装置1の各構成について詳細に説明する。
(熱電気変換モジュール)
図3は、熱電気変換モジュールの一例の斜視図である。図4は、熱電気変換モジュールの他の一例の斜視図である。
図3に示すように、熱電気変換モジュール10は、高温側表面部15と、低温側表面部16と、4面の側面部17とで囲まれてなるボックス形のモジュールケース11を備える。
モジュールケース11は、通常、高温側表面部15を含む高温側部材12と、低温側表面部16を含む低温側部材13と、を重ね合わせ、溶接やロウ付けで接合することにより作製される。
高温側部材12や低温側部材13としては、たとえば、高温側表面部15や低温側表面部16を底部とするとともに、高温側表面部15や低温側表面部16の対面が開放されたボックス状になっており、かつ開放端の周囲にフランジが設けられたものが用いられる。
これらのフランジが設けられた高温側部材12と低温側部材13とを重ね合わせ、フランジ同士を溶接やロウ付けで接合すると、図4に示すような、側面部17の周囲にフランジ18が形成されたモジュールケース11が得られる。
熱電気変換モジュール10のモジュールケース11中には、高温側表面部15と低温側表面部16の間にある温度差を用いて熱エネルギを電気エネルギに変換する図示しないp型およびn型の熱電変換素子が内蔵される。
熱電変換素子としては、たとえば、希土類元素、トリウム、コバルト、ニッケル、鉄、パラジウム、アンチモン、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、錫、コバルト、シリコン、マンガン、亜鉛、ボロン、炭素、窒素、酸素、ガリウム、バナジウム、バリウム、マグネシウム、クロム、タンタル、モリブデン、アルミニウム、ビスマスのうち少なくも3種類の元素から構成される熱−電気直接変換半導体が用いられる。
熱−電気直接変換半導体としては、たとえば、スクッテルダイト型結晶構造を有するコバルトアンチモナイド化合物を主相とする熱電気変換材料、充填スクッテルダイト型結晶構造を有するコバルトアンチモナイド化合物を主相とする熱電変換材料、クラスレート化合物を主相とする熱電気変換材料、ハーフホイスラー化合物を主相とする熱電気変換材料のうちの少なくとも1種類、またはこれらの材料からなる化合物、混合物もしくは固溶体等が用いられる。
熱電気変換モジュール10内には、n型熱−電気直接変換半導体とp型熱−電気直接変換半導体とが、低温側表面部16側に配置された低温側電極、高温側表面部15側に配置された高温側電極、等とともに内蔵されている。具体的には、熱電気変換モジュール10内には、第1の低温側電極、n型熱電変換半導体、高温側電極、p型熱電変換半導体および第2の低温側電極がこの順番に電気的に直列接続された状態で内蔵されている。
これにより、熱電気変換モジュール10内の熱電変換素子は、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と低温側表面部16の間にある温度差を用いて熱エネルギを電気エネルギに変換することができるようになっている。
熱電気変換モジュール10は、通常、モジュールケース11を構成する高温側部材12および低温側部材13の少なくともいずれか一方に熱電変換素子等を配置した後、高温側部材12と低温側部材13とを重ね合わせ、フランジ等の接合部を溶接やロウ付けで接合することにより製造される。
高温側部材12と低温側部材13とフランジで接合した場合、得られる熱電気変換モジュール10は、図4に示すように、フランジ18を備えたものになる。このフランジ18は、高温側流体流路形成部25の高温側流体流路形成部材26として用いることができる。
熱電気変換モジュール10の高温側表面部15は、高温側流体に曝される。このため、高温側表面部15は、高温側流体としての腐食性流体等に曝されたり、400℃以上、場合によっては800℃以上の高温に曝されたりする。このため、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15や、高温側表面部15を含む高温側部材12の材質には、耐食性と高温強度の高いことが要求される。また、熱電気変換モジュール10を高温側部材12を用いて作製する場合は、高温側部材12に、溶接の容易性や加工性も必要とされる。
このため、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15や高温側部材12の材質としては、耐食性、高温強度の高いこと、溶接の容易性や加工性等を満たす材料である、クロムモリブデン鋼、フェライト系ステンレス鋼、またはオーステナイト系ステンレス鋼等が用いられる。
一方、熱電気変換モジュール10の低温側表面部16は、低温側流体流路部30に隣接している。低温側流体流路部30内には、通常、水等の低温側流体が流通する。低温側流体が水の場合、低温側流体の温度は、通常100℃以下、たとえば、外気温程度になる。
このため、熱電気変換モジュール10の低温側表面部16や、低温側表面部16を含む低温側部材13の材質は、150℃程度の耐熱性があれば充分である。このため、熱電気変換モジュール10の低温側表面部16や低温側表面部16を含む低温側部材13の材質としては、たとえば、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15や、高温側表面部15を含む高温側部材12の材質と同じものを用いることができる。
熱電気変換モジュール10は、板状であればよく、その外形は矩形状に限らない。また、熱電気変換モジュール10は、モジュールケース11内が、一般的に不活性ガスで置換されるとともに圧力が大気圧以下で維持されており、熱電変換素子等が気密封止されている。このような気密封止タイプのモジュールとしては、たとえば、株式会社東芝製のgigatopaz(登録商標)モジュールを用いることができる。
(高温側流体流路部)
図2に示すように、高温側流体流路部20は、2個の各熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15と、各熱電気変換モジュール10、10の側面部17、17のうちの高温側表面部15側の一部と、隣接する2個の熱電気変換モジュール10、10の側面部17、17間を連接する高温側流体流路形成部25とを連接して断面略矩形状に形成される。高温側流体流路部20の内部には、断面略矩形状の高温側流体流路21が形成される。
ここで、高温側流体流路形成部25とは、高温側流体流路部20を構成する部材のうち、熱電気変換モジュール10以外の部材全体を意味する。具体的には、高温側流体流路形成部25は、熱電気変換モジュール10、10の側面部17、17間を連接して、高温側流体流路部20を構成するものである。
高温側流体流路形成部25は、高温側流体流路形成部材26から構成される。ここで、高温側流体流路形成部材26とは、高温側流体流路形成部25を構成する部材である。高温側流体流路形成部25は、たとえば、2つの高温側流体流路形成部材26を溶接、ロウ付け等により接合することにより得られる。
高温側流体流路形成部材26としては、熱電気変換モジュール10がフランジ18を有する場合に、このフランジ18をそのまま高温側流体流路形成部材26として用いることができる。また、高温側流体流路形成部材26としては、熱電気変換モジュール10のフランジ18とは別部材として用意した板材等を用いてもよい。
熱電気変換モジュール10のフランジ18や高温側流体流路形成部材26には、高温側流体流路部20を構成したときに、高温側流体が漏れないように、通気性のないものが用いられる。
高温側流体流路形成部材26の材質には、高温側流体流路部20を構成する熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と同様の特性が要求される。具体的には、高温側流体流路形成部材26の材質には、耐食性と高温強度が高いこと、さらに溶接の容易性や加工性も必要とされる。
このため、高温側流体流路形成部材26の材質としては、たとえば、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と同様のものが用いられる。
高温側流体流路部20は、熱電気変換モジュール10と高温側流体流路形成部25とを接合したり、高温側流体流路形成部25同士を接合したりすることにより、形成される。
図5〜図7は、高温側流体流路部20の作製工程を説明する図である。図7は、図6を高温側流体流路の流路方向からみた図である。
図5〜図7は、具体的には、熱電気変換モジュール10がフランジ18を備える場合に、このフランジ18を高温側流体流路形成部25の高温側流体流路形成部材26として用いて、高温側流体流路部20を作製する作製工程を説明する図である。
図4に示すように熱電気変換モジュール10が側面部17の周囲にフランジ18を備えるものである場合、対向する側面部17、17から突出したフランジ18、18を高温側流体流路形成部材26として用いるために折り曲げると、図5に示すような形状になる。このようにフランジ18を折り曲げた熱電気変換モジュール10を2個作製する。
次に、フランジ18が折り曲げられた2個の熱電気変換モジュール10、10を用い、折り曲げられたフランジ18の先端部分同士を溶接、ロウ付け等により接合すると、図6および図7に示すように、2個の熱電気変換モジュール10、10のフランジ18、18の先端部分同士が接合部28で接合されたものが得られる。
図6および図7に示すように、2個の熱電気変換モジュール10、10がフランジ18の先端部分同士で接合されたものは、高温側流体流路部20を形成する。具体的には、高温側流体流路部20は、2個の各熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15と、各熱電気変換モジュール10、10の側面部17、17のうちの高温側表面部15側の一部と、フランジ18から形成された高温側流体流路形成部材26の先端部同士が接合部28で接合されてなる高温側流体流路形成部25と、からなり、断面略矩形状に形成される。
なお、高温側流体流路形成部20では、フランジ18を折り曲げて高温側流体流路形成部材26を作製する際に、フランジ18を熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15同士が接近する方向に向けて剛性範囲内で強く折り曲げ、固定すると、常温時においても熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に圧縮応力を発生させることができるため好ましい。
高温側流体流路部20内には、断面略矩形状の高温側流体流路21が形成される。
高温側流体流路21中には、通常、自動車の排気ガスや、製鉄所、窯業等の工場の排気ガス等の高温側流体が流通する。高温側流体は、たとえば、400℃〜800℃程度である。
高温側流体流路部20の内面は、高温側流体流路21中の高温、たとえば、400℃〜800℃程度の高温側流体にさらされる。しかし、高温側流体流路部20を構成する熱電気変換モジュール10の高温側表面部15、高温側流体流路形成部25等の各部材は、耐食性と高温強度が高い材質からなるため、高温の高温側流体にさらされても、耐食性や高温強度に問題は生じない。
高温側流体流路部20の外面は、ガラス繊維等からなる断熱材で被覆する等により、大気との間で断熱処理されていることが望ましい。
(低温側流体流路部)
低温側流体流路部30は、熱電気変換モジュール10の低温側表面部16側に設けられる。図1および図2に示すように、低温側流体流路部30は、低温側流体流路形成部35で囲まれて断面矩形状に形成される。
低温側流体流路部30の内部には、断面略矩形状の低温側流体流路31が形成される。低温側流体流路部30中には、通常、100℃以下の水等の低温側流体が流通する。低温側流体として水が用いられる場合、通常、水は外気温程度の温度になる。
このため、低温側流体流路形成部35の材質は、150℃程度の耐熱性があれば充分である。また、低温側流体流路形成部35の材質には、軽量化を図るため、低比重で、低温側流体に対する耐食性および高熱伝導率を有する材料が求められる。
150℃程度の耐熱性、低比重、耐食性、高熱伝導率に鑑み、低温側流体流路形成部35の材質としては、たとえば、アルマイト処理等の陽極酸化処理を施したA6061等のアルミニウム合金を適用することが望ましい。
また、軽量化、強度、耐食性が強く要求される場合には、低温側流体流路形成部35の材質を、チタン合金にすることが有効である。
一方、軽量化が要求されない場合には、低温側流体流路形成部35に、SUS304等のオーステナイト系ステンレス鋼を使用してもよい。
なお、本実施例では、低温側流体流路部30および低温側流体流路31が断面矩形状に形成される例を示したが、低温側流体流路部30および低温側流体流路31の形状は断面矩形状以外でもよい。
たとえば、低温側流体流路部30の耐食性向上と軽量化を図るために、低温側流体流路形成部35の基材をアルミニウム合金とし、低温側流体流路形成部35内の低温側流体流路部を形成する部材として、別途焼鈍したステンレス製の管材をHIP加工により埋め込むようにしてもよい。
この場合、低温側流体流路31の形状は断面円状になり、低温側流体流路部30の断面形状も矩形状でなくなるが、熱電気変換モジュール10の低温側表面部16を冷却可能なものであるかぎり、問題はない。
また、低温側流体流路部30と熱電気変換モジュール10との間には、接触熱抵抗低減または温度分布の均一化を図るため、シリコングリースや熱伝導シートを介在させてもよい。
さらに、低温側流体流路部30と熱電気変換モジュール10とは、接触している部分を溶接、ロウ付け等の冶金的接合を施したり、カシメ、押し出し等の機械的接合を施したりすることにより、低温側流体流路部30と熱電気変換モジュール10とを一体構造にしてもよい。
(フィン)
フィン40は、高温側流体流路部20内で、2個の各熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15間に配置される。
フィン40は、熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15に接触するように配置される。
フィン40は、受熱能力を高める、すなわち、高温側流体の熱を、フィン40を介して熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に効率よく伝えるためのものである。フィン40を設けると、熱電気変換装置1の熱効率が向上する。
フィン40は、高温の高温側流体にさらされると、熱膨張して熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15を押圧するため、熱電気変換装置1の構造強度および信頼性を向上させる。
フィン40は高温の高温側流体にさらされるため、フィン40の材質には耐食性と高温強度の高いことが要求される。このため、フィン40の材質には、たとえば、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15や、高温側表面部15を含む高温側部材12の材質と同じものを用いることができる。
フィン40の形状は特に限定されないが、たとえば、図1や図2に示すように、板材を長手方向が高温側流体流路21と一致するように多数配置して、断面櫛状にしたものが用いられる。
なお、フィン40の形状は、断面櫛状のものに限られない。たとえば、図8の(a)、(b)や、図9の(a)、(b)に示すような断面形状のフィン40S、40T、40U、40V等を用いることができる。
図8の(a)、(b)に示すフィン40S、40Tは、一枚の板材をプレス成形して作製することができ、生産性および製造コストが低減されるため好ましい。
また、図9の(a)、(b)に示すフィン40Uは、フィン40Vのフィン構成部材41、42を用い、フィン構成部材41、42を押し付け、接合等を行うことにより作製することができる。
フィン40S〜40Vの中では、フィン40Tが、作製が容易で強度および受熱効率が高いため好ましい。
(高温側流体流路部を構成する材料の線膨張係数αmと、前記フィン40の線膨張係数αfの関係)
高温側流体流路部20を構成する材料、すなわち、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と高温側流体流路形成部25との線膨張係数αmと、フィン40の線膨張係数αfとは、下記式(1)
[数1]
αm<αf (1)
の関係を満たすことが好ましい。
高温側流体流路21中に高温側流体を流通させたときは、一般的に、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15や高温側流体流路形成部25、フィン40等の各部材の剛性が低下する。
しかし、高温側流体流路部20を構成する材料とフィン40との線膨張係数が式(1)の関係を満たすと、高温側流体流路21中に高温側流体を流通させたときに、フィン40が、高温側流体流路部20を構成する材料、すなわち、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15や高温側流体流路形成部25よりも膨張の度合いが大きくなり、フィン40が熱電気変換モジュール10の高温側表面部15を押し付ける圧縮応力を発生させる。
フィン40からの圧縮応力は、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15を介して、熱電気変換モジュール10内部の熱電気変換素子等の各構造物に圧縮応力を発生させる。これにより、熱電気変換装置1は、運転時、すなわち熱電気変換モジュール10の高温側表面部15が高温になった時の安定性および信頼性が向上する。
(作用)
はじめに、高温側流体流路部20の高温側流体流路21中に高温側流体を流通させるとともに、低温側流体流路部30の低温側流体流路31中に低温側流体を流通させる。高温側流体としては、400℃〜800℃程度の自動車の排気ガス等が用いられる。低温側流体としては、100℃程度の水等が用いられる。
熱電気変換モジュール10の高温側表面部15は、高温側流体流路部20を構成し、高温側流体流路21に露出している。このため、高温側流体を流通すると、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15は、高温側流体に直接接触して効率よく加熱される。
一方、熱電気変換モジュール10の低温側表面部16は、低温側流体流路部30に接触しているため、冷却される。
これにより、熱電気変換モジュール10内では、高温側表面部15と低温側表面部16との間に大きな温度差が速やかに生じ、熱エネルギが電気エネルギに効率よく変換されるようになる。
また、高温側流体流路部20を構成する材料、すなわち、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と、各熱電気変換モジュール10の側面部17のうちの高温側表面部15側の一部と、高温側流体流路形成部25との線膨張係数αmと、フィン40の線膨張係数αfとは、それぞれ、上記式(1)の関係を満たす。
このため、熱電気変換装置1の運転のために、高温側流体流路21中に高温側流体を流通させると、高温側流体流路部20を構成する材料よりもフィン40の方がより膨張することから、フィン40が2個の熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15を押し付ける圧縮応力を発生させる。
これにより、熱電気変換装置1は、運転時、すなわち熱電気変換モジュール10の高温側表面部15が高温になった時の安定性および信頼性がより向上する。
上記のように、熱電気変換装置1は、高温側流体流路部20を形成する高温側流体流路形成部25と、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と、熱電気変換モジュール10の側面部17のうちの高温側表面部15側の一部とが一体化して、高温側流体流路部20を形成している。
このため、熱電気変換装置1によれば、熱電気変換モジュール10に熱を供給するための伝熱距離を短縮することにより、熱電気変換モジュール10内の熱電気変換素子に伝える熱量を増加させることが可能になる。
また、従来の熱電気変換装置は、熱電気変換モジュールと、高温側流体流路部とが別部材であり、熱電気変換モジュールの高温側表面部と、高温側流体流路部との間で接触熱抵抗が発生していた。
しかし、熱電気変換装置1によれば、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15自体が高温側流体流路部20を形成しており、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と高温側流体流路部20との間に接触熱抵抗が発生することがないため、熱電気変換モジュール10内の熱電気変換素子を通過する熱量を増加させ、発電性能が高い。
さらに、熱電気変換装置1は、高温側流体流路部20を中央側としたときに、高温側流体流路部20が熱電気変換装置1の中央側に形成され、低温側流体流路部30が熱電気変換装置1の周辺側に形成されたようになっている。
熱電気変換装置1の周辺側に形成された低温側流体流路部30は、外気で冷却されるため、低温側流体流路31内の低温側流体は、速やかに冷却され、外気温程度の温度になる。
一方、熱電気変換装置1の中央側に形成された高温側流体流路部20は、熱電気変換装置1の中央側に形成され、実質的に外気で冷却されることがない。
このため、熱電気変換装置1によれば、高温側流体の保持している熱が熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に効率よく与えられるとともに、熱電気変換モジュール10の低温側表面部16が効率よく冷却されることにより、大気に放出されることにより損出する熱量を低減しており、発電性能を高く維持することができる。
なお、第1の実施形態として示した熱電気変換装置1では、高温側流体流路部20が、2個の各熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15と、各熱電気変換モジュール10、10の側面部17、17のうちの高温側表面部15側の一部と、2個の熱電気変換モジュール10、10の側面部17、17間を連接する高温側流体流路形成部25を用いて断面略矩形状に形成されるように構成した。
しかし、本発明では、高温側流体流路部が、2個の各熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15と、2個の熱電気変換モジュール10、10の側面部17、17間を連接する高温側流体流路形成部25を用いて断面略矩形状に形成されるように構成してもよい。
すなわち、高温側流体流路部は、熱電気変換モジュール10のうち、側面部17を含まないようにしてもよい。
また、第1の実施形態として示した熱電気変換装置1では、フランジ18、18を溶接、ロウ付け等で接合するとしたが、本発明の熱電気変換装置では、フランジ18、18の先端部をカシメ等で固着してもよい。
さらに、第1の実施形態として示した熱電気変換装置1では、フィン40を設ける構成としたが、本発明の熱電気変換装置においてフィン40は必須のものでなく、フィン40を設けない構成としてもよい。フィン40を配置しない場合は、熱電気変換装置1の低コスト化が可能になる。
また、第1の実施形態として示した熱電気変換装置1では、高温側流体流路部20および高温側流体流路21が断面略矩形状に形成される構成としたが、本発明の熱電気変換装置において、高温側流体流路部20および高温側流体流路21の形状は、断面略矩形状に限定されない。
さらに、図2に示すように、第1の実施形態として示した熱電気変換装置1では、低温側流体流路部30の幅が熱電気変換モジュール10の幅と略同じになっているが、本発明の熱電気変換装置では、図10に示す熱電気変換装置1pのように、低温側流体流路部30の幅が熱電気変換モジュール10の幅よりも幅広になっていてもよい。
[第1の実施形態の第1の変形例]
図11は、図7に第1実施形態として示した熱電気変換装置1の高温側流体流路形成部20の第1の変形例の断面図である。
図11に示すように、高温側流体流路形成部の第1の変形例20Sは、図7に示した高温側流体流路形成部20において、折り曲げられた形状の高温側流体流路形成部材26に代えて、湾曲した形状の高温側流体流路形成部材26Sを用いたものである。
なお、図11では、高温側流体流路形成部20S内で、熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15に接触するように配置されるフィン40の図示を省略する。
高温側流体流路形成部材26Sは、たとえば、熱電気変換モジュール10のフランジ18を剛性範囲内で湾曲させ、フランジ18の先端を接合部28で接合して固定することにより得られる。
高温側流体流路形成部20Sによれば、図7に示した高温側流体流路形成部20と同様の作用を有する。
なお、高温側流体流路形成部20Sでは、フランジ18を湾曲して高温側流体流路形成部材26Sを作製する際に、フランジ18を熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15同士が接近する方向に向けて剛性範囲内で強く湾曲して固定すると、常温時においてもフィン40から押圧されて熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に圧縮応力を発生させることができるため好ましい。
[第1の実施形態の第2の変形例]
図12は、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置の高温側流体流路形成部の第2の変形例の断面図である。具体的には、図12(a)は高温側流体流路形成部の第2の変形例の断面図であり、図12(b)は第2の変形例を構成する高温側流体流路形成部材の断面図である。
図13は、図12に示した高温側流体流路形成部の変形例の斜視図である。
図14は、図12に示した高温側流体流路形成部の変形例を用いた熱電気変換装置の変形例の断面図である。
図12(a)に示す高温側流体流路形成部の第2の変形例20Tは、図7に示した高温側流体流路形成部20において、折り曲げられた形状の高温側流体流路形成部材26に代えて平板状の高温側流体流路形成部材26Tを用いるとともに、2枚の平板状の高温側流体流路形成部材26Tを接合する高温側流体流路形成部材27Tを用いたものである。高温側流体流路形成部材27Tは、高温側流体流路形成部25Tの一部分を構成する部材である。
なお、図12(a)では、高温側流体流路形成部20T内で、熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15に接触するように配置されるフィン40の図示を省略する。
図12(b)に示すように、高温側流体流路形成部材27Tは、断面がコの字状の板材である。高温側流体流路形成部材27Tの材質は、高温側流体流路形成部材26と同様のものが用いられる。
高温側流体流路形成部20Tは、たとえば、2個の熱電気変換モジュール10、10のフランジ18、18に、高温側流体流路形成部材27Tの両端を接合部28で接合して固定することにより得られる。熱電気変換モジュール10のフランジ18は、高温側流体流路形成部20Tにおいて高温側流体流路形成部材26となる。
高温側流体流路形成部20Tによれば、図7に示した高温側流体流路形成部20と同様の作用を有する。
また、高温側流体流路形成部20Tでは、高温側流体流路形成部20や20Sのように、フランジ18を折り曲げたり湾曲させたりする必要がないため、作製が容易である。
なお、高温側流体流路形成部20Tでは、フランジ18を熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15同士が接近する方向に向けて剛性範囲内で湾曲させた上で、高温側流体流路形成部材27Tと接合すると、常温時においてもフィン40から押圧されて熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に圧縮応力を発生させることができるため好ましい。
また、高温側流体流路形成部材27Tは、高温側流体流路形成部25の一部分を構成する部材であるから、高温側流体流路形成部材27Tの線膨張係数αmは、上記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
図13は、図12(a)に示す高温側流体流路形成部20Tの斜視図である。また、高温側流体流路形成部20Tを、図10に示す熱電気変換装置1pの高温側流体流路形成部20に代えて用いると、図14に示す熱電気変換装置1qが得られる。
[第1の実施形態の第3の変形例]
図15は、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置の高温側流体流路形成部の第3の変形例の断面図である。具体的には、図15(a)は高温側流体流路形成部の第3の変形例の断面図であり、図15(b)は第3の変形例を構成する高温側流体流路形成部材の断面図である。
図15(a)に示す高温側流体流路形成部の第3の変形例20Uは、図12(a)に示した高温側流体流路形成部20Tにおいて、内側に案内溝が設けられていない高温側流体流路形成部材27Tに代えて内側に案内溝が設けられた高温側流体流路形成部材27Uを用いたものである。
なお、図15(a)では、高温側流体流路形成部20U内で、熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15に接触するように配置されるフィン40の図示を省略する。
図15(b)に示すように、高温側流体流路形成部材27Uは、断面が略コの字状の板材であり、さらに図中上下の2箇所に案内溝29が設けられている。案内溝29は、熱電気変換モジュール10のフランジ18を案内することにより、高温側流体流路形成部材27Uと、熱電気変換モジュール10のフランジ18との組み立て、接合を容易にする。
高温側流体流路形成部20Uによれば、図7に示した高温側流体流路形成部20と同様の作用を有する。
また、高温側流体流路形成部20Uによれば、図12(a)に示した高温側流体流路形成部20Tと同様の作用を有する。
さらに、高温側流体流路形成部20Uによれば、高温側流体流路形成部材27Uに案内溝29が形成されているため、高温側流体流路形成部20Tに比べて、高温側流体流路形成部材27Uと、熱電気変換モジュール10のフランジ18との組み立て、接合が容易である。
なお、高温側流体流路形成部20Uでは、フランジ18を熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15同士が接近する方向に向けて剛性範囲内で湾曲させた上で、高温側流体流路形成部材27Uと接合すると、常温時においてもフィン40から押圧されて熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に圧縮応力を発生させることができるため好ましい。
また、高温側流体流路形成部材27Uは、高温側流体流路形成部25の一部分を構成する部材であるから、高温側流体流路形成部材27Uの線膨張係数αmは、上記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
[第1の実施形態の第4の変形例]
図16は、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置の高温側流体流路形成部の第4の変形例の断面図である。具体的には、図16(a)は高温側流体流路形成部の第4の変形例の断面図であり、図16(b)は第4の変形例を構成する高温側流体流路形成部材の断面図である。
図16(a)に示す高温側流体流路形成部の第4の変形例20Vは、図12(a)に示した高温側流体流路形成部20Tにおいて、断面コの字状の高温側流体流路形成部材27Tに代えて平板な高温側流体流路形成部材27Vを用いたものである。
なお、図16(a)では、高温側流体流路形成部20V内で、熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15に接触するように配置されるフィン40の図示を省略する。
図16(b)に示すように、高温側流体流路形成部材27Vは、平板な板材である。このため、高温側流体流路形成部材27Vは、加工が容易であり、高温側流体流路形成部材27Tや27Uに比べて部品加工費が低減される。
高温側流体流路形成部材27Vの材質は、高温側流体流路形成部材26と同様のものが用いられる。
高温側流体流路形成部20Vによれば、図7に示した高温側流体流路形成部20と同様の作用を有する。
また、高温側流体流路形成部20Vによれば、図12(a)に示した高温側流体流路形成部20Tと同様の作用を有する。
さらに、高温側流体流路形成部20Vによれば、高温側流体流路形成部20Tや20Uの高温側流体流路形成部材27Tや27Uに比べて、高温側流体流路形成部材27Vの加工が容易であり、部品加工費が低減される。
なお、高温側流体流路形成部20Uでは、フランジ18を熱電気変換モジュール10、10の高温側表面部15、15同士が接近する方向に向けて剛性範囲内で湾曲させた上で、高温側流体流路形成部材27Uと接合すると、常温時においてもフィン40から押圧されて熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に圧縮応力を発生させることができるため好ましい。
[第2の実施形態]
図17は、本発明に係る熱電気変換装置の第2実施形態の斜視図である。
図17に示す熱電気変換装置1Aは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1を、2個積み重ねるとともに、積み重ねることによって重複する低温側流体流路部30を共通化して、低温側流体流路部30を1個省略したものに相当する。
このため、図17に第2実施形態として示した熱電気変換装置1Aは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1と同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
熱電気変換装置1Aは、具体的には、図面中、下から上に、低温側流体流路部30、熱電気変換モジュール10およびフィン40が、低温側流体流路部30/熱電気変換モジュール10/フィン40/熱電気変換モジュール10/低温側流体流路部30/熱電気変換モジュール10/フィン40/熱電気変換モジュール10の順番で積層されている。
また、熱電気変換装置1Aは、各フィン40とフィン40に隣接した熱電気変換モジュール10の高温側表面部15とを含むように、2個の高温側流体流路部20、20が形成されている。
熱電気変換装置1Aによれば、熱電気変換装置1と同様な効果を奏する。また、熱電気変換装置1Aによれば、熱電気変換装置1を2個単純に積層した場合に比べて、低温側流体流路部30を1個形成する必要がなくなるため、コンパクト化することができる。
[第3の実施形態]
図18および図19は、本発明に係る熱電気変換装置の第3実施形態の断面図である。図20は、図19に示した熱電気変換装置の第3の実施形態の斜視図である。
図18および図19に示す熱電気変換装置1Bは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1に比較して、2個の熱電気変換モジュール10を用いることに代えて4個の熱電気変換モジュール10を用いる点、熱電気変換装置1の2個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15を含む高温側流体流路部20に代えて、4個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15を含む高温側流体流路部20Bを形成した点、およびフィン40に代えてフィン40Bを用いた点で異なり、他の構成は同じである。
このため、図18および図19に第3実施形態として示す熱電気変換装置1Bと、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1との間で、同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
なお、図19および図20では、図18に示された構成のうち、熱電気変換モジュール10の低温側表面部16の外側に設けられる低温側流体流路部30と、高温側流体流路部20B内の高温側流体流路21中に配置されるフィン40Bとの図示を省略する。
図18および図19に示すように、熱電気変換装置1Bの高温側流体流路部20Bは、4個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と、各熱電気変換モジュール10の側面部17のうちの高温側表面部15側の一部と、隣接する熱電気変換モジュール10の側面部17、17間を連接する高温側流体流路形成部25Bとからなる。
高温側流体流路形成部25Bは、熱電気変換モジュール10の側面部17の周囲に形成された高温側流体流路形成部材26と、隣接する高温側流体流路形成部材26、26の端面を接合する接合部28とからなる。
高温側流体流路形成部材26は、図4に示される熱電気変換モジュール10のフランジ18を、そのまま高温側流体流路形成部材26として用いたものである。
フィン40Bは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1のフィン40と異なり、4個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15の全てに接触する形状になっている。
具体的には、フィン40Bの断面形状は、高温側流体流路部20Bの断面の2本の対角線の一部からなる2本の対角方向線部と、これら2本の対角方向線部から各熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に垂直に下ろした複数本の垂線部とを有するものになっている。
フィン40Bは、このような形状を採ることにより、高温側流体流路21を流通する高温側流体の熱を4個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に効率よく伝えることができるようになっている。
また、フィン40Bを上記形状とすることにより、運転時、すなわち熱電気変換モジュール10の高温側表面部15が高温になった時に、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に効果的かつ均等に圧縮応力を発生させることが可能である。
さらに、熱電気変換装置1Bは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1と同様に、高温側流体流路部20Bを構成する材料、すなわち、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と高温側流体流路形成部25Bとの線膨張係数αmと、フィン40Bの線膨張係数αfとが、上記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
熱電気変換装置1Bによれば、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1と同様の効果を奏する上、さらに、以下の効果を奏する。
すなわち、熱電気変換装置1Bによれば、高温側流体流路部20Bの周囲に熱電気変換モジュール10を密に配置することができるため、高温側流体流路21内を流通する高温側流体の熱の利用効率が高くなる。また、熱電気変換装置1Bによれば、断面積あたりの熱電気変換モジュール10の配置個数が多くなるため、スペース効率が高くなる。
なお、熱電気変換装置1Bでは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1と同様に、高温側流体流路部20B内にフィン40Bを配置しない構成とすることも可能である。フィン40Bを配置しない場合は、熱電気変換装置1Bの低コスト化が可能になる。
[第4の実施形態]
図21は、本発明に係る熱電気変換装置の第4実施形態の断面図である。
図21に示す熱電気変換装置1Cは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1に比較して、2個の熱電気変換モジュール10を用いることに代えて6個の熱電気変換モジュール10を用いる点、熱電気変換装置1の2個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15を含む高温側流体流路部20に代えて、6個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15を含む高温側流体流路部20Cを形成した点、およびフィン40に代えて図示しないフィンを用いた点で異なり、他の構成は同じである。
このため、図21に第4実施形態として示す熱電気変換装置1Cと、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1との間で、同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
なお、図21では、熱電気変換モジュール10の低温側表面部16の外側に設けられる低温側流体流路部30と、高温側流体流路部20C内の高温側流体流路21中に配置されるフィンとの図示を省略する。
図21に示すように、熱電気変換装置1Cの高温側流体流路部20Cは、6個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と、各熱電気変換モジュール10の側面部17のうちの高温側表面部15側の一部と、隣接する熱電気変換モジュール10の側面部17、17間を連接する高温側流体流路形成部25Cとからなる。
高温側流体流路形成部25Cは、熱電気変換モジュール10の側面部17の周囲に形成された高温側流体流路形成部材26と、隣接する高温側流体流路形成部材26、26の端面を接合する接合部28とからなる。
高温側流体流路形成部材26は、図4に示される熱電気変換モジュール10のフランジ18を、そのまま高温側流体流路形成部材26として用いたものである。
図21では、フィンの図示を省略しているが、熱電気変換装置1Cの高温側流体流路部20C内に配置されるフィンは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1のフィン40と異なり、6個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15の全てに接触する形状になっている。具体的には、熱電気変換装置1Cのフィンとしては、図18に第3実施形態として示す熱電気変換装置1Bのフィン40Bにおいて、フィン40Bの接触する熱電気変換モジュール10の数を6個にしたものが用いられる。
具体的には、熱電気変換装置1Cに用いられるフィンの断面形状は、高温側流体流路部20Cの断面において対向する一番遠い頂点同士、すなわち接合部28、28同士を結ぶ一番長い3本の対角線の一部からなる3本の対角方向線部と、これら3本の対角方向線部から各熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に垂直に下ろした複数本の垂線部とを有するものとすることが好ましい。3本の対角方向線部が交わってなす断面形状は、アスタリスク記号に類似した形状になる。
このような形状のフィンを用いることにより、高温側流体流路21を流通する高温側流体の熱を6個の熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に効率よく伝えることができるようになっている。
また、フィンを上記形状とすることにより、運転時、すなわち熱電気変換モジュール10の高温側表面部15が高温になった時に、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15に効果的かつ均等に圧縮応力を発生させることが可能である。
さらに、熱電気変換装置1Cは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1と同様に、高温側流体流路部20Bを構成する材料、すなわち、熱電気変換モジュール10の高温側表面部15と高温側流体流路形成部25Cとの線膨張係数αmと、図示しないフィンの線膨張係数αfとが、上記式(1)の関係を満たすことが好ましい。
熱電気変換装置1Cによれば、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1と同様の効果を奏する上、さらに、以下の効果を奏する。
すなわち、熱電気変換装置1Cによれば、高温側流体流路部20Cの周囲に熱電気変換モジュール10を密に配置することができるため、高温側流体流路21内を流通する高温側流体の熱の利用効率が高くなる。また、熱電気変換装置1Cによれば、断面積あたりの熱電気変換モジュール10の配置個数が多くなるため、スペース効率が高くなる。
さらに、熱電気変換装置1Cによれば、高温側流体流路部20Cの断面形状が六角形であり、円に近い形状であるため、たとえば、自動車の排気マニホールド等に用いることが容易である。
なお、熱電気変換装置1Cでは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1と同様に、高温側流体流路部20C内にフィンを配置しない構成とすることも可能である。フィンを配置しない場合は、熱電気変換装置1Cの低コスト化が可能になる。
[第5の実施形態]
図22は、本発明に係る熱電気変換装置の第5実施形態の斜視図である。
図22に示す熱電気変換装置1Dは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1を、高温側流体流路および低温側流体流路の流通方向に対して2個直列に配置したものに相当する。
このため、図22に第5実施形態として示した熱電気変換装置1Dは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1と同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
熱電気変換装置1Dにおいて、高温側流体流路部20Dは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1の高温側流体流路部20の2個が、高温側流体流路および低温側流体流路の流通方向に沿って接合部28で接合されて延長されたものになっている。
熱電気変換装置1Dにおいて、各低温側流体流路部30は、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1の低温側流体流路部30の2個が、高温側流体流路および低温側流体流路の流通方向に沿って図示しない接合部で接合されて延長されたものになっている。
熱電気変換装置1Dによれば、熱電気変換装置1と同様な効果を奏する。また、熱電気変換装置1Dによれば、熱電気変換装置1に比べて、熱電気変換モジュール10の設置個数が同じ場合に、電気容量が大きくかつコンパクトになる。
なお、図22に示す熱電気変換装置1Dは、熱電気変換装置1を2個直列に配置した例であるが、本発明では、熱電気変換装置1を3個以上直列に配置してもよい。
また、図22に示す熱電気変換装置1Dでは、フィン40が、図中、高温側流体流路21の流路方向に独立して1組ずつ、合計2組用いられている。すなわち、それぞれのフィン40は、図中、上下に配置された2個の熱電気変換モジュール10、10間のみに接触する構成になっている。
しかし、本発明では、2組のフィン40に代えて、2組のフィン40を高温側流体流路21の流路方向に一体化して作製した1組の図示しない長尺のフィン、すなわち、図22において高温側流体の流路方向に2組配置されたフィン40、40間の高温側流体流路21の流路方向の空間にもフィンが配置される長尺のフィン、を用いてもよい。
このような一体化した長尺のフィンを用いた場合、フィンが高温側流体の熱をより多く回収し、熱電気変換装置の発電性能を向上させることができる。
[第6の実施形態]
図23は、本発明に係る熱電気変換装置の第6実施形態の斜視図である。
図23に示す熱電気変換装置1Eは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1を、高温側流体流路および低温側流体流路の流通方向に対して2個並列に配置したものに相当する。
このため、図22に第5実施形態として示した熱電気変換装置1Eは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1と同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
熱電気変換装置1Eの高温側流体流路部20Eは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1の高温側流体流路部20の2個が、高温側流体流路および低温側流体流路の流通方向に対して単に並列に配置されたものとは異なる。
すなわち、熱電気変換装置1Eの高温側流体流路部20Eは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1の高温側流体流路部20が、2個並列に配置されるとともに、隣接する高温側流体流路部20の流路壁を除去し、流路壁が除去された開放端が接合部28E、28Eで接合された形状になっている。このため、熱電気変換装置1Eの高温側流体流路部20Eは、流路壁がなく、断面が、単一の幅広な矩形状に形成されている。
これにより、熱電気変換装置1Eの高温側流体流路部20Eは、部品点数の低減を図るとともに高温側流体の圧力損失を低減することが可能になっている。
熱電気変換装置1Eによれば、熱電気変換装置1と同様な効果を奏する。また、熱電気変換装置1Eによれば、熱電気変換装置1に比べて、熱電気変換モジュール10の設置個数が同じ場合に、電気容量が大きくかつコンパクトであり、部品点数の低減を図るとともに高温側流体の圧力損失を低減することができる。
なお、熱電気変換装置1Eでは、熱電気変換装置1Eの高温側流体流路部20Eは、流路壁がなく、断面が、単一の幅広な矩形状に形成されている。しかし、本発明では、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1の高温側流体流路部20をそのまま変更せずに、高温側流体流路部20の2個を、高温側流体流路および低温側流体流路の流通方向に対して単に並列に配置し、隣接する高温側流体流路部20同士を接合して高温側流体流路部を形成してもよい。この場合、隣接する高温側流体流路部20同士が接合された部分は、高温側流体流路部20E内における流路壁となるが、量産効果による製造コストの低減を図ることが可能になる。
また、図23に示す熱電気変換装置1Eは、熱電気変換装置1を2個並列に配置した例であるが、本発明では、熱電気変換装置1を3個以上並列に配置してもよい。
さらに、図23に示す熱電気変換装置1Eでは、フィン40が、図中、左右に独立して1組ずつ、合計2組用いられている。すなわち、それぞれのフィン40は、図中、上下に配置された2個の熱電気変換モジュール10、10間のみに接触する構成になっている。
しかし、本発明では、2組のフィン40に代えて、2組のフィン40を図中横方向に一体化して作製した1組の図示しない幅広形状のフィン、すなわち、図23に示す2組のフィン40間の空間にもフィンが配置される幅広形状のフィン、を用いてもよい。
このような一体化した幅広形状のフィンを用いた場合、フィンが高温側流体の熱をより多く回収し、熱電気変換装置の発電性能を向上させることができる。
[第7の実施形態]
図24は、本発明に係る熱電気変換装置の第7実施形態の斜視図である。
図24に示す熱電気変換装置1Fは、図23に第6実施形態として示した熱電気変換装置1Eを、高温側流体流路および低温側流体流路の流通方向に対して2個直列に配置したものに相当する。
すなわち、図24に示す熱電気変換装置1Fは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1を、高温側流体流路および低温側流体流路の流通方向に対して2個直列かつ並列に配置したものに略相当する。
このため、図24に第7実施形態として示した熱電気変換装置1Fは、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1および図23に第6実施形態として示した熱電気変換装置1Eと同じ構成に同じ符号を付し、構成および作用の説明を省略または簡略化する。
熱電気変換装置1Fによれば、熱電気変換装置1と同様な効果を奏する。また、熱電気変換装置1Fによれば、熱電気変換装置1に比べて、熱電気変換モジュール10の設置個数が同じ場合に、電気容量が大きくかつコンパクトであり、部品点数の低減を図るとともに高温側流体の圧力損失を低減することができる。
なお、熱電気変換装置1Fでは、熱電気変換装置1Fの高温側流体流路部20Fは、流路壁がなく、断面が、単一の幅広な矩形状に形成されている。しかし、本発明では、図1に第1実施形態として示した熱電気変換装置1の高温側流体流路部20をそのまま変更せずに、高温側流体流路部20の2個を、高温側流体流路および低温側流体流路の流通方向に対して単に並列および直列に配置し、隣接する高温側流体流路部20同士を接合して高温側流体流路部を形成してもよい。この場合、隣接する高温側流体流路部20同士が接合された部分は、高温側流体流路部20F内における流路壁となるが、量産効果による製造コストの低減を図ることが可能になる。
また、図24に示す熱電気変換装置1Fは、熱電気変換装置1を2個直列に配置するとともに2個並列に配置した例であるが、本発明では、熱電気変換装置1を2個以上直列に配置するとともに2個以上並列に配置してもよい。
さらに、図24に示す熱電気変換装置1Fでは、フィン40が、図中、左右前後に独立して1組ずつ、合計4組用いられている。すなわち、それぞれのフィン40は、図中、上下に配置された2個の熱電気変換モジュール10、10間のみに接触する構成になっている。
しかし、本発明では、4組のフィン40に代えて、図中の高温側流体流路21の流路方向の手前側かつ左右に配置された2組のフィン40同士を一体化して作製した図示しない幅広形状のフィンと、図中の高温側流体流路21の流路方向の奥側かつ左右に配置された2組のフィン40同士を一体化して作製した図示しない幅広形状のフィンと、の2組のフィンを用いてもよい。
このような一体化した幅広形状のフィンを用いた場合、フィンが高温側流体の熱をより多く回収し、熱電気変換装置の発電性能を向上させることができる。
また、本発明では、4組のフィン40に代えて、図中の高温側流体の流路方向の左側に配置された2組のフィン40同士を一体化して作製した図示しない長尺のフィンと、図中の高温側流体の流路方向の右側に配置された2組のフィン40同士を一体化して作製した図示しない長尺のフィンと、の2組のフィンを用いてもよい。
このような一体化した長尺のフィンを用いた場合、フィンが高温側流体の熱をより多く回収し、熱電気変換装置の発電性能を向上させることができる。
さらに、本発明では、4組のフィン40に代えて、4組のフィン40を図中横方向および高温側流体流路21の流路方向に一体化して作製した1組の図示しないフィン、すなわち、図24に示す4組のフィン40間の空間にもフィンが配置される面積の大きなフィン、を用いてもよい。
このような一体化した面積の大きなフィンを用いた場合、幅広形状のフィンや長尺のフィンを用いる場合に比べて、フィンが高温側流体の熱をさらに多く回収し、熱電気変換装置の発電性能をより向上させることができる。
[熱電気変換方法]
本発明に係る熱電気変換方法は、本発明に係る熱電気変換装置、たとえば、上記の熱電気変換装置1〜1Fを用い、高温側流体を高温側流体流路部20等に流通させるとともに、低温側流体を低温側流体流路部30等に流通させる熱電気変換方法である。
本発明に係る熱電気変換装置の作用は、本発明に係る熱電気変換装置に示した作用と同様であるため、説明を省略する。
本発明に係る熱電気変換装置によれば、熱エネルギから電気エネルギへの変換が効率よくなり、熱電気変換装置が軽量かつ発電性能が高くなるとともに、構造健全性および信頼性、並びに取付けおよびメンテナンス等の作業性が優れる。