JP5498056B2 - 医療機器導入装置 - Google Patents

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Description

本発明は、医療機器を体腔内に挿入する際に使用する医療機器導入装置に関する。
従来、低侵襲治療の一例として、腹腔鏡等を用いて胆のう摘出術等の各種手技が行われている。このような腹腔鏡手術は、腹壁に複数の穴を開けて複数の器具が挿入されて行われる。
近年、腹壁に開ける穴の数をより少なくして患者の負担を低減するために、患者の口や鼻、肛門等の自然開口から軟性の内視鏡を挿入して手技を行うものが提案されている。このような手技に使用される医療機器として、例えば、特許文献1に記載されるような処置用内視鏡が提案されている。
この処置用内視鏡は、可撓性を有する軟性の挿入部を有し、挿入部先端には湾曲動作を行う湾曲部を有する一対のアーム部が設けられ、挿入部に配された複数のチャンネルが挿通されている。処置用内視鏡の操作部には、アーム部を前後左右に湾曲操作するための部材が設けられている。
ユーザは処置具の挿入部をチャンネル内に挿入し、処置具の操作部を処置用内視鏡の操作部に装着して、処置具の先端をアーム部から突出させ、操作部を前後左右に操作することによって、処置具の先端を処置対象の組織等に異なる方向からアプローチさせて手技を行う。
さらに、この手技を発展させたものとして、一旦腹腔内に内視鏡を挿入してから、胸腔内や膀胱内等まで内視鏡の先端を移動させて手技を行うことが検討されている。この場合、腹腔内へのアプローチとしては、切開痕の目立ちにくい臍部が好適な候補とされている。その後、腹腔内に挿入した器具で横隔膜や膀胱の壁面に孔をあけてから、内視鏡を腹腔内に挿入してこの孔に通す必要がある。
米国特許出願公開第2007/0167680号明細書
しかしながら、内視鏡によって横隔膜等を通過させる手技は、もっぱら腹腔内で行われるため、手技中にこの孔から内視鏡の挿抜を繰り返し行うことは、腹腔への挿抜を繰り返すのに比較してはるかに困難である。
また、孔に内視鏡を通して胸腔内等まで内視鏡を移動させた場合も、上述のように臍部からアプローチする際は、かなりの長さで内視鏡が挿入されることがある。このようなとき、特に軟性内視鏡を使用していると、手技を行う先端の位置や向きの保持は容易ではないという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、腹腔からアプローチしても、胸腔内や膀胱内等で容易に手技を行うことを可能にする医療機器導入装置を提供することを目的とする。
本発明の第一の態様は、生体内に医療機器を導入するための医療機器導入装置であって、管腔を有する硬質の本体と、前記本体に設けられ、前記本体を前記生体の第1の隔壁に固定するための第1固定部と、前記本体において、前記第1固定部よりも先端側に設けられ、前記本体を前記第1の隔壁と異なる第2の隔壁に固定するための第2固定部と、を備え、前記第1固定部および前記第2固定部の両方が、前記本体に対して摺動自在に取り付けられている医療機器導入装置である。
本発明の医療機器導入装置によれば、腹腔からアプローチしても、胸腔内や膀胱内等で容易に手技を行うことが可能となる。
本発明の第1実施形態の医療機器導入装置を示す図である。 同医療機器導入装置に挿入される医療機器の一例である処置内視鏡の構成を示す図である。 同処置内視鏡の第2操作部を示す図である。 同医療機器導入装置の使用時の動作を示す図である。 (a)から(c)は、いずれも同医療機器導入装置の変形例における内針を示す図である。 本発明の第2実施形態の医療機器導入装置を示す図である。 同医療機器導入装置の使用時の動作を示す図である。 本発明の第3実施形態の医療機器導入装置を示す図である。 同医療機器導入装置の湾曲部の他の例を示す図である。 同医療機器導入装置の使用時の動作を示す図である。 同実施形態の変形例の医療機器導入装置を示す図である。 本発明の変形例の医療機器導入装置を示す図である。 本発明の変形例の医療機器導入装置を示す図である。 本発明の変形例の医療機器導入装置を示す図である。
以下、本発明の第1実施形態の医療機器導入装置について、図1から図7を参照して説明する。
図1は、本実施形態の医療機器導入装置1(以下、単に「導入装置」と称する。)を示す図である。導入装置1は、管状の本体2と、本体2に挿入されて使用される内針3とを備えて構成されている。
本体2は、可撓性を有さない硬質の円筒状の部材である。本体2の材料としては、樹脂や金属等を好適に採用することができる。本体2の先端は、軸線に対して鋭角をなすように斜めにカットされており、後述する内針3によって形成された貫通孔に容易に挿入することができる。
また、本体2の外周面には、略円盤状のフランジが2つ一組となった2箇所の固定部が設けられている。このうち、基端側に設けられた第1固定部4Aは、フランジ5A及び5Bからなり、本体2を腹壁に対して固定するために使用される。一方、第2固定部4Bは、フランジ5C及び5Dからなり、本体2を体腔内に存在する横隔膜等の隔壁に対して固定するために使用される。
各固定部4A、4Bにおけるフランジ間の距離は、固定される腹壁等の箇所の厚さに応じて適宜設定される。また、各固定部4A、4B間の距離は、各固定部が固定される場所に応じて適宜設定される。なお、フランジ間の距離や、各固定部間の距離を調節できるように、フランジ5Aないし5Dを本体2に対して摺動自在に取り付け、摩擦力等によって本体2の任意の位置に保持可能に各固定部4A、4Bを構成し、導入装置の汎用性を高めてもよい。
内針3は、金属等で略棒状に形成されており、先端3Aは、体腔内で貫通孔を形成できるように、尖らせて形成されている。内針3の長さは本体2よりも少し長く、径は、本体2の内腔をスムーズに進退できる程度の値に設定されている。
図2は、導入装置1を用いて体腔内に挿入される医療機器の一例である処置内視鏡100の構成を示す図である。処置内視鏡100は、体腔内に挿入される挿入部101と、挿入部の先端に取り付けられたアーム部102と、挿入部101の操作をするための第1操作部103と、アーム部102の操作をするための第2操作部104とを備えて構成されている。
挿入部101は、可撓性を有し、先端にアーム部102及び体腔内組織を観察するための図示しない観察デバイスが取り付けられている。また、挿入部101には、把持鉗子や高周波ナイフ等の各種の処置具を挿通するための図示しない2つの作業用チャンネルが設けられている。各作業用チャンネルの先端側は挿入部101の先端に開口してアーム部102と連通しており、基端側は第1操作部103に設けられた鉗子口105に開口している。
アーム部は第1アーム102Aと第2アーム102Bとの2本のアームから構成されている。各アーム102A、102Bは管状に形成されており、挿入部101の先端に開口した作業用チャンネルと連通している。このため、作業用チャンネルに挿通された処置具が各アーム102A、102Bの先端から突出可能となっている。
各アーム102A、102Bは、複数の節輪106が軸線方向に整列して連結された第1湾曲部107A、107B及び第2湾曲部108A、108Bをそれぞれ有している。先端側の第1湾曲部107A、107Bは、各アーム102A、102Bの軸線に対して上下左右に湾曲可能であり、基端側の第2湾曲部108A、108Bは、各アーム102A、102Bの先端側の軸線間距離が大きくなるように湾曲させた状態で固定することが可能である。
第1湾曲部及び第2湾曲部は、いずれも節輪106に挿通された図示しない複数のワイヤによって操作される。これらのワイヤは挿入部101内を通り、連結シース109を通って第2操作部104に接続されている。
第1操作部103は、アングルノブ110等を備えており、挿入部101を湾曲操作できるように構成されている。また、図示しないユニバーサルケーブルによって、挿入部102に取り付けられた観察デバイスの映像を見るためのモニターや各種制御を行う制御装置等と接続されている。このほか、必要に応じて、送気、送水、吸引等を行うための公知の各種機構と接続されてもよい。
図3は、第2操作部104の一例を示す図である。この第2操作部104は、第1アーム102Aを操作するための第1操作ユニット111と、第2アーム102Bを操作するための第2操作ユニット112とを備えて構成されている。
各操作ユニット111、112には、術者が操作するための操作スティック113A、113Bがそれぞれ取り付けられている。操作スティック113A、113Bは、それぞれ内部に処置具を挿通するためのチャンネルを有しており、鉗子口105に接続されて挿入部101内の作業用チャンネルとそれぞれ連通している。
各操作スティック113A、113Bには、それぞれの上下方向の操作と連動して回動する第1操作軸114A、114B(不図示)と、左右方向の操作と連動して回動する第2操作軸115A、115B(不図示)が取り付けられている。連結シース109を通って延びた第1湾曲部107A、107Bを操作するためのワイヤは、それぞれ異なる第1ワイヤユニット116に接続され、各操作ユニット111、112の第1操作軸及び第2操作軸に着脱自在に取り付けられている。
これにより、操作スティック113A、113Bに処置具を挿入して、アーム部102の先端から突出させ、上下左右に操作スティック113A、113Bを操作することによって、アーム部102を操作して、処置具先端の処置機構を上下左右に動かすことができる。
また、第2湾曲部108A、108Bを操作するためのワイヤは、第1ワイヤユニット116とほぼ同様の構造の第2ワイヤユニット117に接続されて各操作ユニット111、112に取り付けられている。これらのワイヤは、各操作スティック113A、113Bに設けられたレバー118A、118Bを基端側に引くことによって牽引され、第1アーム102Aと第2アーム102Bとが、図2に示すように、軸線間の距離が拡大した状態に湾曲固定される。
上記のように構成された導入装置1を用いて、処置内視鏡100を体腔内に導入して手技を行う際の手順について説明する。ここでは、胸腔に処置内視鏡100を導入して手技を行う例を用いて説明する。
まずユーザは、全身麻酔等を施した患者Pの臍部120において腹壁(第1の隔壁)を切開し、導入装置1を腹腔(第1の体腔)内に挿入するための第1貫通孔121を形成する。第1貫通孔121の大きさは、本体2の外径にあわせて適宜調節する。
次に、ユーザは、図4に示すように本体2を第1貫通孔121から腹腔に挿入する。そして、本体2の先端を横隔膜(第2の隔壁)122に向かって移動させる。ユーザはここで処置用内視鏡100を本体に挿入して本体2の前方を観察し、胸腔(第2の体腔)にアプローチするための第2貫通孔を形成する横隔膜122上の穿孔位置を決定する。
なお、穿孔位置の決定のための観察は、通常の内視鏡を本体2に挿入して行ってもよいし、他の切開箇所から挿入した腹腔鏡等の観察装置によって行ってもよい。
続いてユーザは、穿孔位置に本体2の先端を当接させた状態で保持し、観察のために本体2に挿入した内視鏡等を抜去してから内針3を本体2内に挿入する。そして、内針3を横隔膜122に突き当てて回転操作することによって横隔膜122を穿通させ、横隔膜122に第2貫通孔123を形成する。
第2貫通孔123の形成後、ユーザは、本体2を第2貫通孔123に挿通し、第2固定部4Bのフランジ5Cとフランジ5Dとによって横隔膜122を挟持させて本体2を横隔膜122に対して固定する。そして、第1固定部4Aのフランジ5Aとフランジ5Bとによって臍部120周辺の腹壁を挟持させて本体2を腹壁に対しても固定する。なお、第1固定部4Aにおける腹壁への本体2の固定は、第2固定部4Bの固定の前に行われても良いし、第2貫通孔123の形成前に行われてもよい。
また、胸腔に導入装置1を挿入する場合は、本体2の内腔に気密弁等を設けるのが好ましい。このようにすると、胸腔からの脱気が防止され、患者が気胸状態になることが防止される。
導入装置1が腹壁及び横隔膜の2点で固定されたところで、ユーザは、処置内視鏡100を本体2に挿入し、本体2の先端から挿入部101及びアーム部102を胸腔内に突出させる。そして、第2操作部104の操作スティック113A、113Bに使用する処置具を挿入してアーム部102の先端から突出させる。
ユーザは、レバー118A、118Bを基端側に引いて各アーム102A、102Bの第2湾曲部108A、108Bを湾曲した状態に固定し、処置具を操作しやすい状態にする。その後操作スティック113A、113Bを操作して、アーム部102を介して処置具の先端を上下左右に操作して、所望の手技を行う。
胸腔内での手技終了後、ユーザは、処置内視鏡100を本体2内に後退させて、本体2を横隔膜122から抜去する。そして、処置内視鏡100に挿入する処置具を必要に応じて持針器等に交換してから再度処置内視鏡100を本体2の先端から突出させ、第2貫通孔123の縫合を行う。縫合終了後、ユーザは処置内視鏡100及び本体2を第1貫通孔121から抜去し、第1貫通孔121を縫合して全体の手技を終了する。
本実施形態の導入装置1によれば、第1固定部4A及び第2固定部4Bによって、腹壁及び横隔膜に固定された本体2によって、内視鏡等の医療機器を導入するための管路が腹腔経由で胸腔まで確保される。したがって、処置内視鏡100等を腹腔内臓器に接触させずに胸腔までデリバリーすることができ、切除した組織等も、腹腔内臓器に接触させずに回収することができる。その結果、第1の体腔である腹腔を汚染することなく第2の体腔である胸腔内での手技を行うことができる。
また、本体2が硬質の材料で形成されているので、確保された管路の形状が安定する。したがって、処置内視鏡100等のように挿入部が可撓性を有するものを導入しても先端の向きや位置を安定して保持することができるので、操作を安定させて適切かつ容易に手技を実施することができる。
さらに、各固定部4A、4Bにフランジ5Aないし5Dが設けられているので、本体2が確実に固定されるとともに、体外と腹腔間、及び腹腔と胸腔との間の体液や空気等の移動を防いでより衛生的に手技を行うことができる。
加えて、患者の体表においては、臍部120に第1貫通孔121を形成するだけで手技を行うことができるので、手術痕を目立たなくすることができ、患者の侵襲も低く抑えることができる。
本実施形態においては、内針3の先端が針状に形成された例を説明したが、これに代えて、図5A及び5Bに示す変形例のように、内針3の軸線に平行に設けられたブレード6や、螺旋状のブレード7が設けられてもよい。
また、図5Cに示す変形例のように、先端に電極部材8を設け、内針3の他の部分を絶縁性部材で形成することによって、高周波電流によって横隔膜等に貫通孔を形成できるように構成されてもよい。このような場合、通電の方式は、モノポーラ、バイポーラのいずれでも採用することが可能であり、貫通孔を形成する際に必ずしも内針を回転操作する必要はない。さらに、公知の各種のトロッカーの先端形状も好適に採用可能である。
続いて、本発明の第2実施形態について、図6及び図7を参照して説明する。本実施形態の導入装置と導入装置1との異なるところは、固定部の形状である。
なお、上述の導入装置1と共通する構成については、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図6は、本実施形態の導入装置11を示す図である。本体2には、第1固定部4A及び第2固定部4Bに代えて、バルーン(拡張部材)12が取り付けられている。バルーン12は、図示しない流体供給装置と接続されており、内部に空気や生理食塩水等の流体を供給及び回収することによって、膨張及び収縮が可能に構成されている。なお、バルーン12に代えて、収縮及び拡張が可能な他の部材が用いられてもよい。
図7は、導入装置11を胸腔に挿入した状態を示す図である。導入装置11の体腔内への挿入時は、上述の導入装置1と同様の操作で横隔膜122に第2貫通孔123を形成し、本体2の先端を第2貫通孔123に挿入する。その後、ユーザは、流体供給装置を操作して、バルーン12に流体を供給して膨張させ、本体2を患者Pの体腔内に保持する。バルーン12の大きさは、腹腔内で本体2を保持するのに充分な大きさに設定されているので、バルーン12は、第1固定部及び第2固定部として機能する。
本実施形態の導入装置11によっても、上述の導入装置1と同様の効果を得ることができる。
また、バルーン12を膨張させることによって、本体2を安定した状態で体腔内に保持することができるので、導入装置1のようにフランジによって横隔膜等の隔壁を挟持するのに比較して、より容易な操作で本体2の固定を行うことができる。
さらに、バルーン12に供給する流体の量を調節することによって、一定範囲で本体2の横隔膜122に対する角度等を調節することができる。したがって、本体2の保持態様を微調整することにより、本体2を手技により適した状態に保持して手技を行うことができる。
加えて、本体2の抜去時には、バルーン12を完全に収縮させることによって横隔膜や腹壁等を刺激することなく容易に引き抜くことができ、患者の侵襲をより低く抑えることができる。
次に、本発明の第3実施形態について、図8から図13を参照して説明する。本実施形態の導入装置と上述の導入装置1との異なるところは、本体が湾曲可能に構成されている点、及び固定部の形状である。
なお、上述の各導入装置1、11と同様の構成要素には、同一の符号を付して重複する説明を省略する。
図8は、本実施形態の導入装置21に処置内視鏡100が挿入された状態を示す図である。本体22の先端側には、湾曲可能な湾曲部23が設けられている。
湾曲部23の構造は、処置内視鏡100のアーム部102に設けられた第1及び第2湾曲部と基本的には同様である。すなわち、複数の節輪24が軸線方向に並んで連結され、湾曲部23を操作するためのワイヤ(不図示)は、最も先端側の節輪24に接続され、各節輪24に挿通されて本体22の基端側に延びている。ワイヤは、本体22の基端側に設けられたレバー25に接続されており、レバー25を操作することによってワイヤが牽引されて湾曲部23を所定の一方向に湾曲させ、かつ当該湾曲状態に固定することができる。
節輪24の外側は、ポリウレタン等の被覆部材で覆われるのが好ましい。このようにすると、節輪24の軸線方向端面のエッジ等が本体22の外面に露出せず、腹壁等への引っ掛かりを好適に防止することができる。また、図9に示す他の例のように、湾曲部23の節輪24には、本体22によって確保される管路の気密性を保持するための弁26が取り付けられてもよい。弁26は、図9に示すように最も先端側の節輪24にのみ設けられてもよいし、各節輪24に設けられてもよい。
導入装置21の第1固定部27A及び第2固定部27Bは、それぞれ対となったフランジ状のバルーン28A、28B、及び28C、28Dを備えて構成されている。バルーン28Aないし28Dは、上述の導入装置11におけるバルーン12と同様の機構によって膨張及び収縮が可能である。第1固定部27Aは、レバー25よりも先端側に設けられており、第2固定部27Bは、湾曲部23よりも基端側に設けられている。なお、バルーン28Aないし28Dに代えて、収縮及び拡張が可能な他の部材が用いられてもよい。
上記のように構成された導入装置21の使用時の動作について説明する。ここでは、導入装置21を用いて処置内視鏡100を膀胱内に導入して処置を行う場合を例として説明する。
まずユーザは、第1実施形態と同様の手順で臍部120に第1貫通孔121を形成し、導入装置21の本体22を腹腔内に挿入する。次に、本体22の先端を膀胱124の付近まで移動させ、第1実施形態と同様の操作で膀胱124を観察しながら第2貫通孔を形成する箇所を決定する。そして、決定した形成箇所に本体22の先端を当接させて内針3(不図示)を本体22に挿入し、膀胱124に第2貫通孔125を形成する。
第2貫通孔125の形成後、ユーザは本体22を膀胱124内に挿入する。本体22には湾曲部23が設けられているため、膀胱124への挿入が容易でない場合がある。このような場合は、内針3を本体22に挿入したままで、内針3をガイドとして本体22を膀胱124内に挿入してもよい。また、内針3を抜いた後、レバー25を操作し、湾曲部23を湾曲した状態で固定して膀胱124内に挿入してもよい。
本体22を膀胱124内に挿入したところで、ユーザはフランジ状のバルーン28Aないし28Dに流体を供給して膨張させ、第1固定部27A及び第2固定部27Bによって腹壁及び膀胱124の壁面を挟持させて固定する。
その後、ユーザは内針3を抜去してから処置内視鏡100を本体22に挿入し、挿入部101の先端及びアーム部102を本体22の先端から突出させる。そして、膀胱124の内部を観察しながら、挿入部101の先端及びアーム部102が処置を行う部位(処置部位)に正対するように、レバー25を操作して本体22の湾曲部23の湾曲度合いを調節し、固定する。このとき、ユーザは必要に応じて本体22を回転させ、本体22の先端の向きを調節してもよい。
その後、ユーザはアーム部102に挿通された処置具を用いて処置部位における処置を行う。処置終了後、本体22を抜去する際は、各固定部27A、27Bのバルーン28Aないし28Dを収縮させて抜去する。
なお、上述した一連の手技はユーザ一人で行ってもよいし、ユーザと一人以上の介助者とで行ってもよい。
アーム部102を有する処置内視鏡100のような医療機器は、一般に径が太いため、膀胱の内視鏡治療における通常ルートである尿道から導入することは困難である。しかし、本実施形態の導入装置21を使用することによって、比較的大径の処置内視鏡であっても、容易に膀胱124内に導入して手技を行うことができる。
本実施形態の導入装置21によっても、上述の導入装置1や導入装置11と同様の効果を得ることができる。
また、導入装置21の本体22には、湾曲部23が設けられており、任意の湾曲状態を保持することが可能であるので、膀胱124等の第2の体腔内における処置内視鏡100等の突出向きを大まかに調節することができる。したがって、導入装置21に挿入された内視鏡等の医療機器の先端をより処置を行いやすい向きに突出させて、より容易かつ的確に手技を行うことができる。
さらに、第1固定部27A及び第2固定部27Bが、膨張及び収縮可能なバルーン28Aないし28Dによって構成されている。したがって、本体22の挿入時及び抜去時には、バルーン28Aないし28Dを収縮させてスムーズに各貫通孔121、125に対して出し入れし、本体22の固定時にはこれらのバルーンを膨張して確実に本体22を固定することができる。その結果、腹壁や、膀胱壁等に対して過剰な刺激を与えずに導入作業を行うことができる。
本実施形態においては、湾曲部が本体の1箇所に設けられた例を説明したが、湾曲部は複数箇所設けられてもよい。以下に一例を示す。
図11は、本実施形態の変形例の導入装置21Aを示す図である。本体22には、先端側に設けられた第1湾曲部23Aと、基端側に設けられた第2湾曲部23Bとの2箇所の湾曲部が設けられている。
導入装置21Aには湾曲部を操作するためのレバー25はない。各湾曲部23A、23Bを湾曲させるための図示しないワイヤは2本取り付けられており、節輪24の軸線を挟んで対向するように各節輪24に挿通されている。各ワイヤの端部は、それぞれ第1湾曲部23Aの最も先端側の節輪24Aと、第2湾曲部23Bの最も基端側の節輪24Bとに接続されている。
上記のように構成された導入装置21Aの本体22に図11に示すように処置内視鏡100を挿入し、挿入部101の湾曲部位を例えば第1湾曲部23Aの内腔に位置させ、第1操作部103を操作して挿入部101を湾曲させると、挿入部101の湾曲に対応して第1湾曲部23Aが湾曲する。そして、第1湾曲部23Aの湾曲に伴い、節輪24に固定されたワイヤが牽引されて第2湾曲部23Bも湾曲することにより、本体22は、図11に示すように略S字状に湾曲した状態で保持される。
上述した変形例の導入装置21Aによれば、挿入された処置内視鏡100を湾曲操作することによって、レバーを操作しなくても本体22を所望の湾曲状態に保持することができる。したがって、ユーザ一人でも容易に内視鏡等を導入し、先端の向き等を調節することができる。
以上、本発明の好ましい実施例を説明したが、本発明はこれら実施例に限定されることはない。本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
例えば、上述の各実施形態においては、観察デバイス及びアーム部を備える処置内視鏡が導入装置に挿入される例を説明したが、本発明の導入装置の導入対象は、これには限定されない。したがって、行われる手技が比較的単純な内容である等の場合は、導入装置を用いてアーム部を有さない通常の内視鏡を胸腔等の第2の体腔内に導入し、当該内視鏡の作業用チャンネルに処置具を挿入して手技を行ってもよい。
また、図12に示す変形例のように、本体22Aに内視鏡用の管腔と処置具用の管腔とを設け、内視鏡130を処置具131とは異なる開口から突出させて処置具131の先端及び処置部位を観察してもよい。このようにすると、内視鏡130によって観察する際の視点の自由度が向上するのでより的確に手技を行うことができる。この場合、内視鏡130と処置内視鏡100とを組み合わせ、複数の視野を用いて手技を行うことももちろん可能である。
その他、図13に示す変形例のように、配管9を介して図示しない流体供給機構を本体2Aに接続し、本体2Aを通して送気や送水等ができるように導入装置を構成してもよい。この場合、図13に示すように、挿入された処置内視鏡100等と本体2Aの内腔との間隙を利用して流体が供給されてもよいし、流体用の管腔を別に設けてもよい。このようにすると、通常の内視鏡等の送気、送水用のルーメンを用いるのに比較してより大量の流体を供給することができるので、より好適に送気や送水、あるいは吸引等を行うことができる。
さらに、上述の各実施形態においては、固定部の例としてフランジ及びバルーンから形成される例を説明したが、これらに代えて、本体2に図14に示すネジ山のような螺旋状の凸部10や、あるいはネジ溝状の凹部等を設けることによって固定部が構成されてもよい。この場合、本体2を軸線周りに回転しながら貫通孔に挿入することによって、凸部10等に周囲の組織が巻き込まれ、気密を保ちながら本体2を固定することができる。また、挿入時と逆方向に回転しながら抜去することによって、腹壁等に大きな刺激を与えずに本体2を抜去することができる。
加えて、上述の各実施形態においては、第2の体腔として、胸腔及び膀胱の例を説明したが、このほか、胃や腸などの消化管、及び膣腔や子宮内なども本発明の導入装置の使用対象とすることができる。そして、例えば心臓の心膜内のように、第2の体腔内でさらに隔壁によって隔絶された第3の体腔や第4の体腔等についても、導入装置の長さや、固定部の設置箇所及び設置数を適宜変更することによって、ほぼ同様の手順で内視鏡等を導入することができる。
この他、本発明は前述した説明によって限定されることはなく、添付のクレームの範囲によってのみ限定される。
1、11、21、21A 医療機器導入装置
2、2A、22、22A 本体
4A、27A 第1固定部
4B、27B 第2固定部
12、28A、28B、28C、28D バルーン(拡張部材)
23 湾曲部
100 処置内視鏡(医療機器)

Claims (3)

  1. 生体内に医療機器を導入するための医療機器導入装置であって、
    管腔を有する硬質の本体と、
    前記本体に設けられ、前記本体を前記生体の第1の隔壁に固定するための第1固定部と、
    前記本体において、前記第1固定部よりも先端側に設けられ、前記本体を前記第1の隔壁と異なる第2の隔壁に固定するための第2固定部と、
    を備え、
    前記第1固定部および前記第2固定部の両方が、前記本体に対して摺動自在に取り付けられている。
  2. 請求項1に記載の医療機器導入装置であって、前記本体は、湾曲可能に形成された湾曲部を有する。
  3. 請求項1に記載の医療機器導入装置であって、
    前記第1固定部が有する一対の第1フランジは、前記第1の隔壁の両側から前記第1の隔壁を挟持することで前記第1の隔壁に前記本体を固定し、
    前記第2固定部が有する一対の第2フランジは、前記第2の隔壁の両側から前記第2の隔壁を挟持することで前記第2の隔壁に前記本体を固定し、
    一対の前記第1フランジ間の距離、および、一対の前記第2フランジ間の距離の少なくとも一方は、調節可能である。
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