JP5495938B2 - ガスタービン燃料の制御機構及びガスタービン - Google Patents
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一般に、ガスタービンの燃焼器にガス燃料を供給するガス燃料供給系では、ガス燃料を一定の圧力に維持しつつ、ガスタービンの燃焼器に所望の燃料流量を与えるための制御機構が必要である。
このようなガスタービン燃料の制御機構としては、ガス燃料流量を制御する流量調節弁と、流量調節弁の上流でガス燃料の圧力制御を行う圧力調節弁とを用いた構成が知られている。
圧力調節弁3は、一定の圧力P1で供給されてくるガス燃料を所望の圧力P2に調圧するための制御弁である。この圧力調節弁3は、下流側(二次側)で検出される調圧後の圧力が所望の圧力P2に維持されるよう常に開度調整を行っている。
なお、ガスタービンの一構成例においては、1台のガスタービンが複数の燃焼器Fを備えており、各燃焼器Fに対して、複数のメイン燃料ノズルと、パイロット燃料ノズルとが設けられている。
すなわち、ガスタービンの急激な過渡現象(負荷遮断など)が生じた場合、圧力調節弁3の下流側では圧力(二次側調整圧力)P2が急激に増大し、燃料ノズルNに対して燃料を過投入してしまう可能性がある。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ガスタービンに急激な過渡現象が生じた場合であっても燃料の過投入を防止または抑制できるガスタービン燃料の制御機構、及びこのガスタービン燃料の制御機構を備えたガスタービンを提供することにある。
本発明に係るガスタービン燃料の制御機構は、燃焼器の燃料ノズルにガス燃料を供給するガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、圧力調節弁により所定の圧力に調整された前記ガス燃料を流量調節弁が所望の燃料流量に制御して燃料ノズルに与えるガスタービン燃料の制御機構において、前記圧力調節弁の開度指令値を演算して出力する開度指令演算部を備え、該開度指令演算部は、前記圧力調節弁の上流側圧力(P1)と、前記流量調節弁の上流側圧力(P2)と、運転状況に応じて変化するガスタービン燃料流量指令値(Qs)及びガス燃料供給圧力設定値(P2set)との入力値に基づいて前記開度指令値を得るとともに、前記開度指令演算部には、前記上流側圧力(P1)、前記ガスタービン燃料流量指令値(Qs)及び前記ガス燃料供給圧力設定値(P2set)の入力値から前記圧力調節弁の必要開度を得て先行動作させるフィードフォワード制御部と、前記上流側圧力(P2)及び前記ガス燃料供給圧力設定値(P2set)の差分により前記必要開度を補正して前記開度指令値を得るフィードバック制御部とが設けられていることを特徴とするものである。
上記の発明において、前記ガス燃料の温度を計測して燃料温度計測値を前記開度指令演算部に入力する温度計測部を設けることが好ましく、これにより、燃料温度により燃料密度が変動するという外乱要因を低減し、圧力調節弁の開度制御を高精度に行うことが可能になる。
このようなガスタービンによれば、前記燃焼器の燃料ノズルにガス燃料を供給するガスタービンのガス燃料供給系に請求項1から4のいずれかに記載のガスタービン燃料の制御機構を設けたので、ガスタービンに急激な過渡事象が生じた場合であっても、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値(Qs)が反映された開度指令値により圧力調節弁を先行動作させ、流量調節弁の上流側圧力(P2)に大きな圧力変動が生じることを防止または抑制でき、燃料の過投入も防止または抑制できる。
このようなガスタービン燃料の制御方法によれば、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値(Qs)を反映した開度指令値が用いられる。従って、ガスタービンの急激な過渡事象が生じた場合においても、ガスタービン燃料流量指令値(Qs)を用いて圧力調節弁を先行動作させることにより、流量調節弁の上流側圧力(P2)に大きな圧力変動が生じることを防止または抑制できるようになり、燃料の過投入も防止または抑制できる。また、フィードフォワード制御部においては、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値(Qs)を反映させた開度指令値を算出し、圧力調節弁を先行動作させることが可能になる。
このようなガスタービン燃料の制御方法によれば、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値(Qs)を反映した開度指令値が用いられる。従って、ガスタービンの急激な過渡事象が生じた場合においても、ガスタービン燃料流量指令値(Qs)を用いて圧力調節弁を先行動作させることにより、流量調節弁の上流側圧力(P2)に大きな圧力変動が生じることを防止または抑制できるようになり、燃料の過投入も防止または抑制できる。また、フィードフォワード制御部においては、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値(Qs)を反映させた開度指令値を算出し、圧力調節弁を先行動作させることが可能になる。
ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを主な構成要素とする装置であり、圧縮機は空気を取り込んで圧縮し、高圧の圧縮空気を吐出する。圧縮機から吐出された圧縮空気は、燃焼用空気として燃焼器に取り入れられ、燃焼器に供給されたガスタービン燃料を燃焼させて高温の燃焼ガスを生成する。この燃焼ガスはタービンに取り入れられ、動翼及び静翼間を燃焼ガスが流れることによりタービンを駆動して出力を得る。
ガス燃料供給系は、燃料タンク等の燃料供給源からガス燃料を導入する燃料配管2を備えている。この燃料配管2は、燃焼器F内に設置されているノズルNの数(図示の例ではNaからNnまでn個)に応じて分岐され、すなわち、パイロットノズルや複数のメインノズル毎に分岐した燃料枝配管2a〜2nを並列に配置したものとなる。なお、燃焼器Fが複数設けられている場合には、燃焼器F毎に同様の燃料配管2及び燃料枝配管2a〜2nが配設されている。
また、燃料枝配管2a〜2nには、所望の圧力P2で供給されてくるガス燃料の流量を所望の値に調整する流量調節弁4a〜4nが設置されている。
なお、以下の説明において、流量調節弁4a〜4nの区別が不要の場合には、流量調節弁4a〜4nを総称して流量調整弁4と呼ぶことにする。
この開度指令演算部10は、圧力調節弁3の上流側で検出した圧力P1と、流量調節弁4の上流側(圧力調節弁3の下流側でもある)で検出した圧力P2と、運転状況に応じて変化するガスタービン燃料流量指令値Qs及びガス燃料供給圧力設定値P2setとの入力値に基づいて、圧力調節弁3の開度指令値Sを得るものである。従って、この開度指令値Sが開度指令演算部10から出力されることにより、圧力調節弁3の開度調整は、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値Qsを反映した開度指令値Sにより行われる。
具体的に説明すると、ガスタービン流量指令値Qsの入力を受けたFF制御部20は、必要Cv値算出部22において、圧力調節弁3の必要Cv値計算値Scを算出する。この必要Cv値計算値Scは、圧力調節弁3の上流側で計測される圧力P1及びガス燃料供給圧力設定値P2setの条件に対応した値が所定の演算式により算出される。
こうして得られた開度指令値S1は、ガスタービンの運転状況に応じて定まる圧力調整弁3の開度指令信号であり、後述するFB制御部30に出力される。
すなわち、FF制御部20においては、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値Qsを反映させた開度指令値S1を算出する演算処理を行い、圧力調節弁3の開度を所望の開度に先行動作させることができる。
こうして算出されたフィードバック信号S2は、FF制御部20から出力される開度指令値S1に加算処理される。この結果、最終的な圧力調節弁3の開度指令値Sとしては、実際の圧力P2を反映するように補正した値が出力される。
図3の開度指令演算部10Aでは、ガス燃料供給圧力設定値P2setに代えて、流量調節弁4の上流側で検出した実測値の圧力P2から必要開度を得るFF制御部20Aが採用されている。
ガスタービン流量指令値Qsの入力を受けたFF制御部20Aは、必要Cv値算出部22Aにおいて、圧力調節弁3の必要Cv値計算値Scを算出する。この必要Cv値計算値Scは、圧力調節弁3の上流側で計測される圧力P1及び流量調節弁4の上流側で計測される圧力P2の条件に対応した値が所定の演算式により算出される。
すなわち、FF制御部20Aにおいては、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値Qsと実際の圧力P2とを反映させた開度指令値S1′を算出する演算処理を行い、圧力調節弁3の開度を所望の開度に先行動作させることができる。
このような第1変形例の演算ロジックを採用すれば、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値Qsを反映させた開度指令値S′を算出し、圧力調節弁3を先行動作させることが可能になる。特に、この場合のFF制御部20Aは、ガス燃料供給圧力設定値P2setに代えて、実測値である流量調節弁4の上流側圧力P2から必要開度の開度指令値S′を得るようにしたので、圧力P2の圧力変動に速やかに応答して圧力調節弁3を先行動作させることができる。
図4の開度指令演算部10Bにおいて、FF制御部20Bは、圧力調節弁3の上流側圧力P1と、ガス燃料供給圧力設定値P2setとにより、圧力調節弁3の現状がチョーク状態またはノンチョーク状態のいずれかにあることを判断するチョーク状態判定部24を備えている。なお、圧力調節弁3の現状がチョーク状態の場合には、ガス燃料供給圧力設定値P2setの入力はない。
すなわち、必要Cv値算出部22Bは、圧力調節弁3の上流側で計測される圧力P1及びガス燃料供給圧力設定値P2setの条件に加えて、圧力調節弁3のチョーク状態/ノンチョーク状態に関する現状の判定結果の入力を受け、これらに対応した必要Cv値計算値SAを得る。この必要Cv値計算値SAは、Cv値−開度変換部23に入力され、Cv値を開度に変換する演算処理をして開度指令値SA1の信号を得る。
このように、FF制御部20Bにおいては、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値Qs及びチョーク状態/ノンチョーク状態を反映させた開度指令値SA1を算出する演算処理を行い、圧力調節弁3の開度を所望の開度に先行動作させることができる。
こうして得られた開度信号SA1はFB制御部30へ出力され、FB制御部30では、上述した実施形態と同様に、流量調節弁4の上流側で検出した圧力P2と、ガス燃料供給圧力設定値P2setとの圧力値を比較して差分をとり、この差分からPIコントローラ31によるフィードバック信号S2を算出する。
このように、この第2変形例では、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値Qsに加えて、チョーク状態判定部24の判定結果が最終的な開度指令信号の演算に反映されているので、運転状況に応じてより適切な開度指令値Sfを得ることが可能になる。
すなわち、必要Cv値算出部22Cは、圧力調節弁3の上流側で計測される圧力P1及びガス燃料供給圧力設定値P2setの条件に加えて、圧力調節弁3のチョーク状態/ノンチョーク状態に関する現状の判定結果の入力を受け、これらに対応した必要Cv値計算値SA′を得る。この必要Cv値計算値SA′は、Cv値−開度変換部23に入力されることにより、開度指令値SA1′の信号が得られる。
こうして得られた開度信号SA1′は、上述した第2変形例と同様に、FB制御部30へ出力されてフィードバック信号S2が加算処理され、最終的には実測値の圧力P2を反映するように補正された圧力調節弁3の開度指令値Sf′が出力される。
このように、この第3変形例では、実際のガスタービン運転に必要なガスタービン燃料流量指令値Qsに加えて、チョーク状態判定部24Aの判定結果が最終的な開度指令信号の演算に反映されているので、運転状況に応じてより適切な開度指令値Sf′を得ることが可能になる。
図6に示すガスタービン燃料の制御機構(以下、「制御機構」と呼ぶ)1Bは、圧力調節弁3の上流側でガス燃料の温度を計測して燃料温度計測値Tを開度指令演算部10Dに入力する温度計測部5を備えている。この温度計測部5は、燃料配管2において、圧力調節弁3の上流側適所に設けられている。
なお、開度指令演算部10Dにおける他の演算ロジックは、上述した開度指令演算部10,10A〜10Cのいずれでもよく、その演算過程において温度の影響を受けるガス燃料の物理量を補正すればよい。
従って、上述した本実施形態によれば、ガスタービンに急激な過渡現象が生じても燃料の過投入を防止または抑制でき、この結果、ガスタービン本体の損傷を防止して信頼性や耐久性を向上させることができる。
続いて、上述したガスタービン燃料の制御機構について、第1の参考例を図7から図11に基づいて説明する。なお、上述した実施形態及びその変形例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
図7及び図8に示す参考例は、圧力調節弁3の開度制御をする上述した実施形態とは異なり、流量調節弁4の上流側圧力P2と、各燃料枝配管2a〜2nにおける流量調節弁4a〜4nの下流側圧力P3a〜P3nと、ガスタービン燃料流量指令値Qsとに基づいて開度指令演算部40が流量調節弁4の開度指令値を算出する。
なお、以下の参考例に関する説明では、燃料枝配管2aに設けた流量調節弁4aの下流側圧力をP3a、燃料岐配管2bに設けた流量調節弁4bの下流側圧力をP3b、燃料岐配管2nに設けた流量調節弁4nの下流側圧力をP3nとするが、区別の必要がない場合には流量調節弁4及び下流側圧力P3とする。
開度指令演算部40に入力されるガスタービン燃料流量指令値Qsは、たとえばガスタービンの運転制御部41等から流量比演算部42に入力されるガス燃料の必要流量指令値Gsetと、同じくパイロット比設定部43から流量比演算部42に入力されるパイロット比とに基づいて算出されたパイロット流量指令値Qp及びメイン流量指令値Qmである。なお、ガス燃料の必要流量指令値Gsetは、ガスタービンの運転状況に応じて定まる値である。
こうして流量比演算部42で算出されたパイロット流量指令値Qp及びメイン流量指令値Qmは、それぞれがガスタービン燃料指令値Qsとして必要Cv値算出部44に入力される。
従って、ガスタービン流量指令値Qsの入力を受けた必要Cv値算出部44では、流量調節弁4の必要Cv値計算値Fcを算出する。具体的な必要Cv値計算値Fcとしては、パイロット流量指令値Qpに対応する必要Cv値計算値Fcpと、メイン流量指令値Qmに対応する必要Cv値計算値Fcpとが算出され、それぞれが開度指令計算部45に入力される。
また、流量調節弁4の上流側圧力P2及び下流側圧力P3は、既存のガスタービンにおいて通常計測されている物理量である。従って、上述した開度指令演算部40による流量調整弁4の開度制御を行うために、新たなセンサ類の追設は不要であるから、低コストで実施可能となる。
この変形例では、チョーク・ノンチョーク判定部46を備えており、この判定結果が必要Cv値算出部44Aに入力される。
この結果、必要Cv値算出部44Aは、チョーク状態/ノンチョーク状態を反映したパイロット流量指令値Qpに対応する必要Cv値計算値Fcp′と、メイン流量指令値Qmに対応する必要Cv値計算値Fcp′とを算出し、それぞれ開度指令計算部45に入力される。
このように、上述した変形例の演算ロジックを採用して開度指令演算部40による流量調整弁4の開度制御を行うと、チョーク状態/ノンチョーク状態が反映されたことで、より正確な弁開度指令演算処理が可能になる。
この場合のP2圧力推定値演算部47は、ガス燃料の燃料流量計測値、圧力調節弁3の上流側圧力P1及び圧力調節弁3の弁開度に基づいて、流量調節弁4の上流側圧力P2を推定する演算処理を行うものである。すなわち、この参考例は、上述した図7の参考例とは異なり、流量調節弁4の上流側圧力P2を使用しないで開度指令値を算出するものである。
なお、圧力P1の計測地点から圧力P2の計測地点までの配管、オリフィス及びフィルタ等による圧力抵抗特性は既知であるから、圧力P2を直接計測できなくても推定することが可能である。
この参考例では、圧力調節弁3の上流側でガス燃料の温度を計測して燃料温度計測値Tを開度指令演算部40に入力する温度計測部5を備えている。この温度計測部5は、燃料配管2において、圧力調節弁3の上流側適所に設けられている。
なお、このようなガス燃料の温度に応じた補正は、図10に示した圧力P2の予想に適用することも可能である。
最後に、上述したガスタービン燃料の制御機構について、第2の参考例を図12から図18に基づいて説明する。なお、上述した実施形態や参考例と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この参考例は、たとえば図12に示すように、大小2つの圧力調節弁51,52により構成される親子弁方式の圧力調節弁50を採用した制御機構に適用するものであり、以下に従来の構成例を簡単に説明する。なお、以下の説明では、大口径の圧力調節弁を大型圧力調節弁51と呼び、小口径の圧力調節弁を小型圧力調節弁52と呼ぶ。
このため、圧力調節弁50は、ガスタービンの起動から定格負荷に達するまでの間、制御しなければならない圧力−流量範囲が非常に広い。すなわち、起動時には少流量で大きな圧力を、そして、定格負荷時には大流量で小さな圧力をガス燃料に与える必要があるため、大型圧力調節弁51及び小型圧力調節弁52を用意して並列に接続した親子弁方式の圧力制御弁50が採用されている。
このような親子弁方式は、大小2つの圧力調節弁51,52を使用するため、コスト面で不利になるという問題を有している。また、大型圧力調節弁51が途中から開くことにより、燃料系統の安定性にも問題がある。すなわち、大型圧力調節弁51について、ガスタービン出力が一定負荷以上になってから機能するように設定すると、弁開度の有効範囲(レンジアビリティ)の観点から、弁開度の小さい(開き始め)領域で意図せぬ動作を生じる可能性がある。
図14は、横軸がガスタービン出力、縦軸が流量調節弁4の上流側圧力(圧力調節弁3の下流側圧力)であり、ガス燃料をノズルNから所望の圧力で供給するためには、車室圧力より高圧にして供給するためノズル差圧が必要となる。なお、破線で示す圧力P1は、ガス燃料供給圧力の設定値である。
このような出口圧力Poutに制御するため、従来は圧力制御弁3で減圧制御の全てを行っていたため、すなわち、ガス燃料供給圧力P1から実質的に流量調節弁4の上流側圧力となる流調弁入口圧力Pinまで減圧しているため、その圧力制御範囲PRは広くなる。
なお、従来の親子弁方式は、圧力制御範囲PRを2つの圧力調節弁51,52で減圧制御するものである。
この結果、圧力調節弁3を1つにすることができ、コスト面で有利になる。さらに、圧力調節弁3が1つであるため、弁開度の有効範囲において開き始めの領域で意図せぬ動作が生じることはなく、従って、ガス燃料系の安定性を向上させることができる。
ガス燃料供給圧力演算部61は、外気条件及びガスタービン出力要求値に加えて、流量調節弁4から差圧ΔPsの入力を受け、これらの入力情報に基づいてガスタービンにガス燃料を供給するための必要圧力を計算する。
圧調弁開度演算部63及び流調弁開度演算部64では、それぞれに入力された圧力指令値から弁開度を演算し、圧力調節弁3及び流量調整弁4毎の弁開度指令値を出力する。
このように、図15の制御システム60Aを採用することにより、ガス燃料の供給設定圧力は、すなわち流量調節弁4の上流側圧力は、ガスタービンの出力要求値に基づいて算出されるため、固定値とした場合と比較してガスタービンの運転範囲を拡大することができる。
すなわち、ガス燃料供給圧力演算部61Aは、外気条件及び車室圧力に加えて、流量調節弁4から差圧ΔPsの入力を受け、これらの入力情報に基づいてガスタービンにガス燃料を供給するための必要圧力を計算する。
すなわち、ガス燃料供給圧力演算部61Bは、外気条件及び燃料流量に加えて、流量調節弁4から差圧ΔPsの入力を受け、これらの入力情報に基づいてガスタービンにガス燃料を供給するための必要圧力を計算する。
すなわち、ガス燃料供給圧力演算部61Dは、外気条件及びガスタービン回転数及び入口案内翼(IGV)開度指令値に加えて、流量調節弁4から差圧ΔPsの入力を受け、これらの入力情報に基づいてガスタービンGTにガス燃料を供給するための必要圧力を計算する。
このように、図16〜図18に示した制御システム60B〜60Dを採用することによっても、ガス燃料の供給設定圧力は、すなわち流量調節弁4の上流側圧力は、ガスタービンの出力関連値に基づいて算出されるため、固定値とした場合と比較してガスタービンの運転範囲を拡大することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
2 燃料配管
2a〜2n 燃料枝配管
3 圧力調節弁
4,4a〜4n 流量調節弁
5 温度計測部
10,10A,10B,10C,10D 開度指令演算部
20,20A,20B,20C フィードフォワード制御部(FF制御部)
22,22A,22B 必要Cv値算出部
23 Cv値−開度変換部
24,24A チョーク状態判定部
30 フィードバック制御部(FB制御部)
31 PIコントローラ
40 開度指令演算部
42 流量比演算部
43 パイロット比設定部
44,44A 必要Cv値算出部
45 開度指令計算部
46 チョーク・ノンチョーク判定部
47 P2圧力推定演算部
50 圧力調節弁(親子弁方式)
51 大型圧力調節弁
52 小型圧力調節弁
60,60A〜60D 制御システム
F 燃焼器
N,Na〜Nn 燃料ノズル
Claims (7)
- 燃焼器の燃料ノズルにガス燃料を供給するガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、圧力調節弁により所定の圧力に調整された前記ガス燃料を流量調節弁が所望の燃料流量に制御して燃料ノズルに与えるガスタービン燃料の制御機構において、
前記圧力調節弁の開度指令値を演算して出力する開度指令演算部を備え、該開度指令演算部は、前記圧力調節弁の上流側圧力(P1)と、前記流量調節弁の上流側圧力(P2)と、運転状況に応じて変化するガスタービン燃料流量指令値(Qs)及びガス燃料供給圧力設定値(P2set)との入力値に基づいて前記開度指令値を得るとともに、
前記開度指令演算部には、前記上流側圧力(P1)、前記ガスタービン燃料流量指令値(Qs)及び前記ガス燃料供給圧力設定値(P2set)の入力値から前記圧力調節弁の必要開度を得て先行動作させるフィードフォワード制御部と、前記上流側圧力(P2)及び前記ガス燃料供給圧力設定値(P2set)の差分により前記必要開度を補正して前記開度指令値を得るフィードバック制御部とが設けられていることを特徴とするガスタービン燃料の制御機構。 - 燃焼器の燃料ノズルにガス燃料を供給するガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、圧力調節弁により所定の圧力に調整された前記ガス燃料を流量調節弁が所望の燃料流量に制御して燃料ノズルに与えるガスタービン燃料の制御機構において、
前記圧力調節弁の開度指令値を演算して出力する開度指令演算部を備え、該開度指令演算部は、前記圧力調節弁の上流側圧力(P1)と、前記流量調節弁の上流側圧力(P2)と、運転状況に応じて変化するガスタービン燃料流量指令値(Qs)及びガス燃料供給圧力設定値(P2set)との入力値に基づいて前記開度指令値を得るとともに、
前記開度指令演算部には、前記上流側圧力(P1)、前記ガスタービン燃料流量指令値(Qs)及び前記上流側圧力(P2)の入力値から前記圧力調節弁の必要開度を得て先行動作させるフィードフォワード制御部と、前記上流側圧力(P2)及び前記ガス燃料供給圧力設定値(P2set)の差分により前記必要開度を補正して前記開度指令値を得るフィードバック制御部とが設けられていることを特徴とするガスタービン燃料の制御機構。 - 前記開度指令演算部は、前記上流側圧力(P1)と、前記上流側圧力(P2)または前記ガス燃料供給圧力設定値(P2set)のいずれか一方とにより、前記圧力調節弁がチョーク状態またはノンチョーク状態にあることを判断するチョーク状態判定部を備え、該チョーク状態判定部の判定結果を前記開度指令値の演算に反映させたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の制御機構。
- 前記ガス燃料の温度を計測して燃料温度計測値を前記開度指令演算部に入力する温度計測部を設けたことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載のガスタービン燃料の制御機構。
- 空気を導入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンとを具備し、前記燃焼器の燃料ノズルにガス燃料を供給するガスタービンのガス燃料供給系に請求項1から4のいずれか1項に記載の制御機構を設けたことを特徴とするガスタービン。
- 燃焼器の燃料ノズルにガス燃料を供給するガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、圧力調節弁により所定の圧力に調整された前記ガス燃料を流量調節弁が所望の燃料流量に制御して燃料ノズルに与えるガスタービン燃料の制御方法であって、
前記圧力調節弁の開度指令値を演算して出力する開度指令演算部を備え、該開度指令演算部は、前記圧力調節弁の上流側圧力(P1)と、前記流量調節弁の上流側圧力(P2)と、運転状況に応じて変化するガスタービン燃料流量指令値(Qs)及びガス燃料供給圧力設定値(P2set)との入力値に基づいて前記開度指令値を得るとともに、
前記開度指令演算部が、前記上流側圧力(P1)、前記ガスタービン燃料流量指令値(Qs)及び前記ガス燃料供給圧力設定値(P2set)の入力値から前記圧力調節弁の必要開度を得て先行動作させるフィードフォワード制御部と、前記上流側圧力(P2)及び前記ガス燃料供給圧力設定値(P2set)の差分により前記必要開度を補正して前記開度指令値を得るフィードバック制御部とにより前記開度指令値を得ることを特徴とするガスタービン燃料の制御方法。 - 燃焼器の燃料ノズルにガス燃料を供給するガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、圧力調節弁により所定の圧力に調整された前記ガス燃料を流量調節弁が所望の燃料流量に制御して燃料ノズルに与えるガスタービン燃料の制御方法であって、
前記圧力調節弁の開度指令値を演算して出力する開度指令演算部を備え、該開度指令演算部は、前記圧力調節弁の上流側圧力(P1)と、前記流量調節弁の上流側圧力(P2)と、運転状況に応じて変化するガスタービン燃料流量指令値(Qs)及びガス燃料供給圧力設定値(P2set)との入力値に基づいて前記開度指令値を得るとともに、
前記開度指令演算部が、前記上流側圧力(P1)、前記ガスタービン燃料流量指令値(Qs)及び前記上流側圧力(P2)の入力値から前記圧力調節弁の必要開度を得て先行動作させるフィードフォワード制御部と、前記上流側圧力(P2)及び前記ガス燃料供給圧力設定値(P2set)の差分により前記必要開度を補正して前記開度指令値を得るフィードバック制御部とにより前記開度指令値を得ることを特徴とするガスタービン燃料の制御方法。
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JP2010116200A JP5495938B2 (ja) | 2010-05-20 | 2010-05-20 | ガスタービン燃料の制御機構及びガスタービン |
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