JP5493981B2 - 金属材の加熱方法 - Google Patents

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予熱帯、加熱帯、均熱帯からなる加熱炉(連続式加熱炉)において、金属材(例えば、鋼スラブ)を熱効率良く加熱するための金属材の加熱方法に関するものである。
予熱帯、加熱帯、均熱帯からなる加熱炉(連続式加熱炉)では、通常バーナと蓄熱式バーナとが併設されていることが多い。ちなみに、蓄熱式バーナは、蓄熱体を備えて、燃焼と排ガス吸引を交互に繰り返す交番燃焼式バーナである。バーナの熱効率を向上するには、燃料とともに供給する空気(燃焼用空気)の温度を上昇させることが重要である。蓄熱式バーナは、排ガスを吸引する際に蓄熱体に排ガスの熱を蓄積できて、この蓄積した熱を燃焼用空気の予熱に利用している。一方、通常バーナは、蓄熱体を備えておらず、交番燃焼を行わないバーナを意味している。
このように蓄熱式バーナが併設された連続式加熱炉において、これまで各種の加熱方法が提案されている。
例えば、特許文献1には、蓄熱式バーナの熱効率のよい配置箇所が記されている。また、特許文献2には、蓄熱式バーナに供給する燃料流量の最適化について記載されている。また、特許文献3では、蓄熱式バーナを用いた鋼片温度および炉温の制御方法について言及されている。
特開2001−059117号公報 特開2007−308777号公報 特開平11−323431号公報
しかし、前記特許文献1〜3等に記載された従来の技術においては、蓄熱式バーナと通常バーナとをそれぞれ独立して使用することが前提になっており、しかも、被加熱材(例えば、鋼スラブ)の材質や寸法などに基づいて定める加熱パターンによっては、熱効率の高い蓄熱式バーナ設置箇所での加熱を弱くし、熱効率の低い通常バーナ設置箇所での加熱を強くする必要もあって、連続式加熱炉全体でみると、必ずしも充分に熱効率を向上できていなかった。
例えば、図2は、従来の連続式加熱炉10Bにおける加熱方法の一例を示すものである。図2に示すように、連続式加熱炉10Bは、予熱帯11、加熱帯12、均熱帯13からなっている。そして、加熱帯12には、前段12aに蓄熱式バーナ21(蓄熱式バーナ本体21a、蓄熱体21b)が設置されているとともに、中段12bと後段12cに通常バーナ22が設置されている。また、均熱帯13には、通常バーナ23が設置されている。
このような連続式加熱炉10Bに装入された鋼スラブ1は、予熱帯11、加熱帯12、均熱帯13を順次通過する間に、蓄熱式バーナ21、通常バーナ22、通常バーナ23によって所定の温度に加熱される。そして、連続式加熱炉10Bから抽出された鋼スラブ1は、ローラテーブル19によって熱間圧延機(図示せず)に搬送される。
ここで、従来は、図2に示すように、予熱帯11から煙道18を経由して排出される燃焼排ガスの廃熱をレキュペレータ29で回収して、通常バーナ22へ供給される燃焼用空気の予熱に用いるとともに、燃焼と排ガス吸引を交互に繰り返す蓄熱式バーナ21において、排ガス吸引で蓄熱体21bに蓄えられた熱により予熱された燃焼用空気をその蓄熱式バーナ21ごとの燃焼に用いることで、連続式加熱炉10Bの熱効率向上が図られている。
しかし、前述したように、蓄熱式バーナ21と通常バーナ22とをそれぞれ独立して使用することが前提になっており、そのため、鋼スラブ1の材質や寸法などにより加熱パターンが異なり、加熱到達温度や昇温速度が異なると、例えば、熱効率の高い蓄熱式バーナ21を設置した加熱帯12の一部(ここでは、前段12a)の昇温速度を低くして、熱効率の低い通常バーナ22を設置した加熱帯12の他部(ここでは、中段12b、後段12c)での昇温速度を高くする加熱パターンもあって、熱効率のよい蓄熱式バーナ21の活用度合いが加熱パターンで変化してしまう。
そこで、蓄熱式バーナ21をより熱効率の良い位置にその都度設置し直して変更したいが、バーナ交換改造時間や費用などが著しくかかって困難で現実的でない。
その結果、蓄熱式バーナ21を併設した場合、蓄熱式バーナ21単体では蓄熱効果によって熱効率を向上できても、加熱パターンによっては蓄熱式バーナ21の活用度合いが小さくて、加熱帯12全体および加熱炉10B全体の熱効率が充分に向上されない問題があった。
本発明は、上記のような事情に鑑みてなされたものであり、予熱帯、加熱帯、均熱帯からなる加熱炉(連続式加熱炉)において、金属材(例えば、鋼スラブ)をより一層熱効率良く加熱することができる金属材の加熱方法を提供することを目的とするものである。
上記課題を解決するために、本発明者らは鋭意検討を行った結果、以下のような考えに至った。すなわち、本発明者らは、蓄熱式バーナと通常バーナとを併設した連続式加熱炉全体において、熱効率を常に高く得るには、蓄熱式バーナの蓄熱体において予熱された燃焼用空気について、通常バーナも含めて当該連続式加熱炉の中で最も燃焼負荷が大きいバーナへ振り分けるのが最良の方法であると考えた。しかし、蓄熱式バーナで予熱された空気を燃焼負荷の大きいバーナに振り分ける加熱パターンは、被加熱材(例えば、鋼スラブ)の材質や寸法により数が多いため、全てに対応するには配管及び弁の数が膨大となる。そこで、さらに検討を行い、設備費用を抑制しつつ、実現性の高い方法として、加熱帯の一部に設置された蓄熱式バーナにおいて予熱された燃焼用空気を振り分けて、加熱帯の他部に設置された通常バーナの燃焼用空気に混合させることを想到した。
上記のような着想に基づいて、本発明は以下のような特徴を有している。
[1]金属材を加熱するための、予熱帯、加熱帯、均熱帯からなる加熱炉において、前記加熱帯の一部に排ガスの熱を蓄えて燃焼用空気の予熱に利用する蓄熱式バーナを設置し、その他の加熱帯に通常バーナを設置するとともに、蓄熱式バーナ設置箇所での燃焼負荷が通常バーナ設置箇所での燃焼負荷よりも大きい加熱パターンでは、蓄熱式バーナを単独で使用し、通常バーナ設置箇所での燃焼負荷が蓄熱式バーナ設置箇所での燃焼負荷よりも大きい加熱パターンでは、前記蓄熱式バーナで予熱された燃焼用空気を、前記通常バーナの燃焼用空気に混合させることを特徴とする金属材の加熱方法。
本発明においては、熱効率の高い蓄熱式バーナを設置した加熱帯の部分の昇温速度を低くして、熱効率の低い通常バーナを設置した加熱帯の他部の昇温速度を高くする加熱パターンなど、加熱パターンによって熱効率のよい蓄熱式バーナの活用度合いが少なくなった場合においても、金属材(例えば、鋼スラブ)の加熱炉の加熱帯の一部に設置された蓄熱式バーナの蓄熱体で燃焼用空気を予熱して、その予熱された燃焼用空気を加熱帯の他部に設置された通常バーナに供給する燃焼用空気に混合させて、通常バーナの燃焼用空気の温度を上昇させることにより、熱効率を向上させて有利な加熱が可能になり、加熱帯および加熱炉全体での燃料原単位が低減できて、熱効率を著しく向上させることができる。
本発明の一実施形態を示す図である。 従来技術を示す図である。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る連続式加熱炉10Aを示すものである。図1に示すように、この実施形態に係る連続式加熱炉10Aの基本的構成は、前述の図2に示した従来の連続式加熱炉10Bと同様である。すなわち、連続式加熱炉10Aは、予熱帯11、加熱帯12、均熱帯13からなっている。そして、加熱帯12には、前段12aに蓄熱式バーナ21(蓄熱式バーナ本体21a、蓄熱体21b)が設置されているとともに、中段12bと後段12cに通常バーナ22が設置されている。また、均熱帯13には、通常バーナ23が設置されている。
この連続式加熱炉10Aに装入された鋼スラブ1は、予熱帯11、加熱帯12、均熱帯13を順次通過する間に、蓄熱式バーナ21、通常バーナ22、通常バーナ23によって所定の温度に加熱される。そして、連続式加熱炉10Aから抽出された鋼スラブ1は、ローラテーブル19によって熱間圧延機(図示せず)に搬送される。
その際に、予熱帯11から煙道18を経由して排出される燃焼排ガスの廃熱をレキュペレータ29で回収して、通常バーナ22へ供給される燃焼用空気の予熱を行うとともに、燃焼と排ガス吸引を交互に繰り返す蓄熱式バーナ21において、排ガス吸引で蓄熱体21bに蓄えられた熱により予熱された燃焼用空気をその蓄熱式バーナ21ごとの燃焼に用いている。
その上で、この実施形態においては、加熱帯12の前段12aに設置された蓄熱式バーナ21の蓄熱体21bで燃焼用空気を予熱して、その予熱された燃焼用空気を、混合器25によって、加熱帯12の中段12bと後段12cに設置された通常バーナ22の燃焼用空気に混合させて、レキュペレータ29で予熱された燃焼用空気の温度をさらに上昇させることができるようになっている。
そして、蓄熱式バーナ21の設置箇所(加熱帯12の前段12a)での燃焼負荷が最も大きい加熱パターンでは、蓄熱式バーナ21を単独で使用し、通常バーナ22の設置箇所(加熱帯12の中段12b、後段12c)での燃焼負荷が最も大きい加熱パターンでは、蓄熱式バーナ21で予熱された燃焼用空気を通常バーナ22の燃焼用空気に混合させるようにしている。
これによって、この実施形態においては、熱効率の高い蓄熱式バーナ21を設置した加熱帯12の前段12aでの昇温速度を低くして、熱効率の低い通常バーナ22を設置した加熱帯12の中段12bや後段12cでの昇温速度を高くする加熱パターンなど、加熱パターンによって熱効率のよい蓄熱式バーナ21の活用度合いが少なくなった場合においても、熱効率を向上させて有利な加熱が可能になり、加熱帯12および連続式加熱炉10A全体での燃料原単位が低減できて、熱効率を著しく向上させることができる。
なお、このこの場合の蓄熱式バーナに供給し燃焼に用いる空気は蓄熱式バーナの側に蓄熱体とは別途に取り入れ口を設けて、蓄熱体を活用する場合と活用しない場合で切り換え可能にすると良い。
本発明の実施例として、熱延工場の連続式加熱炉において鋼スラブの加熱を行った。
鋼スラブの寸法は、厚みが200〜300mm、幅が600〜2800mmであり、加熱温度は、1100〜1300℃である。
そして、本発明例として、図1に示した本発明の一実施形態に基づいて鋼スラブの加熱を行った。一方、従来例として、図2に示した従来技術に基づいて鋼スラブの加熱を行った。
その結果、本発明例は、従来例に比較して、加熱帯の燃料原単位が約30%向上した。
1 鋼スラブ
10A 連続式加熱炉
10B 連続式加熱炉
11 予熱帯
12 加熱帯
12a 加熱帯の前段
12b 加熱帯の中段
12c 加熱帯の後段
13 均熱帯
18 煙道
19 ローラテーブル
21 蓄熱式バーナ
22 通常バーナ
23 通常バーナ
25 混合器
29 レキュペレータ

Claims (1)

  1. 金属材を加熱するための、予熱帯、加熱帯、均熱帯からなる加熱炉において、前記加熱帯の一部に排ガスの熱を蓄えて燃焼用空気の予熱に利用する蓄熱式バーナを設置し、その他の加熱帯に通常バーナを設置するとともに、蓄熱式バーナ設置箇所での燃焼負荷が通常バーナ設置箇所での燃焼負荷よりも大きい加熱パターンでは、蓄熱式バーナを単独で使用し、通常バーナ設置箇所での燃焼負荷が蓄熱式バーナ設置箇所での燃焼負荷よりも大きい加熱パターンでは、前記蓄熱式バーナで予熱された燃焼用空気を、前記通常バーナの燃焼用空気に混合させることにより、加熱帯および加熱炉全体での燃料原単位を低減させることを特徴とする金属材の加熱方法。
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