JP5488520B2 - 内燃機関の制御装置 - Google Patents

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Description

この発明は、内燃機関の制御装置に関する。
従来、筒内圧センサによる測定データを用いて各種制御を行う内燃機関の制御装置が知られている。例えば、特開平4−81557号公報に開示されているように、EGR装置を備えた内燃機関において、筒内圧センサの測定データから気筒における発生熱量を求めて、その発生熱量を監視して、EGR装置に関する制御の内容を設定する技術が知られている。
特開平4−81557号公報
内燃機関の各気筒の燃焼の状態を表す量(以下、「燃焼状態量」とも称す)として種々の量があり、筒内圧センサによればその種々の燃焼状態量を気筒ごとに測定することができる。このような筒内圧センサの測定データを内燃機関の制御に利用する技術の開発が進められている。そのなかの一つとして、筒内圧センサの測定データを用いて燃焼状態量としての発生熱量等を検出し、空燃比やEGR率の計算に役立てる技術の開発が行われてきている。筒内圧センサの測定データを利用した空燃比等の高精度な検出手法が確立できれば、筒内圧センサが設けられた内燃機関において、各気筒の燃焼に関する情報を個別かつ正確に把握することができるようになる。
筒内圧センサの測定データを用いる空燃比やEGRに関する計算においては、例えば燃焼状態量の1つである発生熱量を筒内圧センサの測定データとして求めたうえで、この発生熱量に含まれる種々の影響(例えば、燃料性状、水温、EGR等)を補正しながら、空燃比を検出するといった手法が考えられる。その補正を行うにあたっては、例えば、発生熱量に対してEGR率(EGR濃度、EGRガスの量)が影響を及ぼす点を考慮して、燃焼速度を用いてEGR率を検出しこのEGR率から発生熱量を補正することにより最終的に空燃比を計算するという手法が考えられる。この手法のように、空燃比やEGR率といった算出対象の値を精度良く計算するためには、筒内圧センサの測定データとして得た燃焼状態量に含まれる各種影響の補正を行うことが好ましい。
上記のごとく筒内圧センサから得た燃焼状態量を利用して空燃比等の算出、補正を行うに当たって、留意しなければならない点がある。すなわち、例えば燃焼状態量の1つに挙げられる燃焼速度は、EGRからの影響のみならず空燃比からも影響を受ける。燃焼速度以外の燃焼状態量についても、空燃比に影響を受ける燃焼状態量は、空燃比のみならずEGRの影響をも受けてしまう。それらの複数の影響が燃焼状態量に作用することを無視しては、良好な精度での空燃比、EGR率等の計算は困難である。また、補正を試みたとしても、空燃比およびEGRの双方の影響を受ける燃焼状態量を用いるのであれば、1つの燃焼状態量に対する空燃比やEGR率の影響を他の燃焼状態量を利用して補正する補正手法は成り立たない。従来の技術水準においては、筒内圧センサ測定データを用いた空燃比やEGR率の計算について、上記のような事情が考慮された計算手法が見出されていなかった。
本願発明者は、上記のような事情に鑑み、鋭意研究をおこなった結果、筒内圧センサによる測定データを用いて精度良く空燃比または/およびEGR率を計算することができる技術を見出した。その技術においては、空燃比やEGR率の変化に対して、複数種類の燃焼状態量が異なる感度を有するという点(異なる割合で変化するという点)が利用されている。燃焼状態量の一つとして燃焼速度があるが、本願発明者は、上記の空燃比、EGR率の計算技術において燃焼速度を用いるにあたり、燃焼速度を演算する演算式の好ましい形態を見出した。
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、燃焼速度を精度良く計算して、燃焼速度の値を用いた空燃比または/およびEGR率の計算の精度向上に資することができる内燃機関の制御装置を提供することを目的とする。
第1の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
少なくとも1つの気筒に筒内圧センサが取り付けられ、当該少なくとも1つの気筒に対してEGRを実行可能な内燃機関の制御装置であって、
EGR率を小数で表した場合における1+EGR率の値に対して空燃比の値を積算した項を含む燃焼速度の演算式に従って、前記筒内圧センサが取り付けられた気筒の燃焼速度を算出する第1算出手段と、
前記筒内圧センサが取り付けられた前記気筒の燃焼の状態を表す量である燃焼状態量のうち燃焼速度とは空燃比またはEGRについての感度が異なる少なくとも1種類の燃焼状態量を、前記筒内圧センサの出力に基づいて算出する第2算出手段と、
前記燃焼速度および前記少なくとも1種類の燃焼状態量と空燃比およびEGR率との間の関係に基づいて、前記筒内圧センサが取り付けられた前記気筒における空燃比または/およびEGR率を計算する計算手段と、
を備えることを特徴とする。
第2の発明は、上記の目的を達成するため、内燃機関の制御装置であって、
少なくとも1つの気筒に筒内圧センサが取り付けられ、当該少なくとも1つの気筒に対してEGRを実行可能な内燃機関の制御装置であって、
前記筒内圧センサが取り付けられた気筒における新気とEGRガスを含む筒内ガスの燃料濃度を表す項を有する演算式に従って、前記筒内圧センサが取り付けられた気筒の燃焼速度を算出する第1算出手段と、
前記筒内圧センサが取り付けられた前記気筒の燃焼の状態を表す量である燃焼状態量のうち燃焼速度とは空燃比またはEGR率についての感度が異なる少なくとも1種類の燃焼状態量を、前記筒内圧センサの出力に基づいて算出する第2算出手段と、
前記燃焼速度および前記少なくとも1種類の燃焼状態量と空燃比およびEGR率との間の関係に基づいて、前記筒内圧センサが取り付けられた前記気筒における空燃比または/およびEGR率を計算する計算手段と、
を備えることを特徴とする。
また、第3の発明は、第1または第2の発明において、
前記演算式が、燃焼速度をCSと表し、空燃比をAFと表し、EGR率を小数で表した値をEGRと表し、エンジン回転数をNEと表し、かつ、α、αおよびαを所定の係数とした場合における
Figure 0005488520
であること備えることを特徴とする。
第1の発明によれば、筒内圧センサ出力からの空燃比、EGR率算出にあたって、物理現象をより精密に反映させたうえでの、精度の高い計算を行うことができる。
第2の発明によれば、筒内圧センサ出力からの空燃比、EGR率算出にあたって、物理現象をより精密に反映させたうえでの、精度の高い計算を行うことができる。
第3の発明によれば、物理現象をより精密に反映させたうえでの精度の高い計算を、工数の低減をはかりつつ、実現することができる。
本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の構成を、これが適用される内燃機関の構成とともに示す図である。 本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の動作について説明するための図である。 本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の動作について説明するための図である。 本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の動作について説明するための図である。 本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の動作について説明するための図である。 本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の動作について説明するための図である。 本発明の実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置において演算処理装置が実行するルーチンのフローチャートである。
実施の形態1.
[システム構成]
図1は、本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の構成を、これが適用される内燃機関(以下、単にエンジンという)システムの構成とともに示す図である。車両等の移動体に搭載される内燃機関に好適に用いることができる。図1に示すエンジンは、スパークプラグ6を備えた火花点火式の4ストロークレシプロエンジンである。また、筒内に燃料を直接噴射する燃料直噴インジェクタ7を備えた筒内直噴エンジンでもある。図1では1つの気筒のみが描かれているが、一般的な車両用のエンジンは複数の気筒から構成されている。そのうち少なくとも1つの気筒には筒内圧を測定するための筒内圧センサ5が取り付けられており、本実施形態では好ましい形態として複数の気筒すべてに対してそれぞれ筒内圧センサ5が取り付けられているものとする。
また、このエンジンには、クランク軸の回転角に応じて信号を出力するクランク角度センサ8と、ノックの発生を検出するためのノックセンサ9とが取り付けられている。クランク角度センサ8の信号CAからは、エンジン回転数(単位時間当たり回転数)や、ピストンの位置によって決まる筒内容積を計算することができる。気筒に接続された吸気通路の入口にはエアクリーナ1が設けられ、エアクリーナ1の下流にスロットルバルブ2が配置されている。スロットルバルブ2の下流にはサージタンク4が設けられていて、サージタンク4には吸気圧を測定するための吸気圧センサ3が取り付けられている。
一方、気筒に接続された排気通路には2つの触媒10,11が配置されている。また、このエンジンの排気通路と吸気通路とを接続するEGR通路にはEGRクーラ13とEGRバルブ12とが設けられている。EGRクーラ13にはその冷却水温を測定するための水温センサ14が取り付けられている。また、このエンジンは制御装置としての演算処理装置20を備えている。演算処理装置20は各センサ3,5,8,9,14からの信号を処理し、その処理結果を各アクチュエータ2,6,7,12の操作に反映させている。
[実施の形態1の動作]
(実施の形態1にかかる計算技術の基本概念)
図2は、本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の動作について説明するための図であり、実施の形態1にかかる計算技術の基本概念の内容説明するための図である。図2は、具体的には、空燃比に対する各燃焼状態量(燃焼の状態を表す量)の感度(Sensitivity)を示す図である。図2には、(i)Pmax(最大筒内圧)、(ii)Ingition Delay(着火遅れ)、(iii)Heat Release(発生熱量)、(iv)Combustion Speed(燃焼速度)、(v)Specific Heat Ratio(比熱比)という5つの燃焼状態量についての感度(つまり変化の割合(%))の相違が示されている。
図2における上段には、空燃比A/Fが14.6から13へと変化した場合、つまりストイキからリッチへと変化した場合における感度が示されている。この場合、例えば、(iv)Combustion Speed(燃焼速度)は、他の燃焼状態量との比較では、相対的に、空燃比のリッチ側変化に対する感度が高いという結果が示されている。
図2における下段には、空燃比A/Fが14.6から18へと変化した場合、つまりストイキからリーンへと変化した場合における各燃焼状態量の感度(変化の割合)が示されている。この場合、例えば、(iii)Ingition Delay(着火遅れ)は、他の燃焼状態量との比較では、相対的に、空燃比のリーン側変化に対する感度が高いという結果が示されている。
図2における上段と下段とを合わせて観察すると、例えば(iii)Heat Release(発生熱量)および(iv)Combustion Speed(燃焼速度)はともに、空燃比のリッチ側変化およびリーン側変化について比較的高い感度を示すことがわかる。
図3および図4は、本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の動作について説明するための図であり、EGRに対する各燃焼状態量(燃焼の状態を表す量)の感度(Sensitivity)を示す図である。図3には、図2と同様に(i)〜(v)の5つの燃焼状態量についての感度の相違が示されている。具体的には、一定量のEGRを行った場合における、個々の燃焼状態量の変化の割合(%)を比較したものである。
図3によれば、EGRに対して、(iv)Combustion Speed(燃焼速度)が相対的に高い感度を示し、(ii)Ingition Delay(着火遅れ)もそれに続いて高い感度を示していることがわかる。
図3からは、図4において矢印で示すように、EGRに対する感度が各燃焼状態量ごとに相違していること、特に、(i)Pmax(最大筒内圧)および(ii)Ingition Delay(着火遅れ)と、(iii)Heat Release(発生熱量)および(iv)Combustion Speed(燃焼速度)との間で、感度の相違が顕著に認められる。
なお、図2乃至図4において、5つの燃焼状態量を列挙しているが、本実施形態では、それらのうち(i)Pmax(最大筒内圧)および(ii)Ingition Delay(着火遅れ)をGroup(1)として、(iii)Heat Release(発生熱量)、(iv)Combustion Speed(燃焼速度)および(v)Specific Heat Ratio(比熱比)をGroup(2)として分類している。
図2乃至図4を用いて説明したように、本願発明者は、複数種類の燃焼状態量が空燃比やEGR率の変化に対して異なる感度を有するという点を見出した。本願発明者は、さらに、この感度の相違を、空燃比やEGR率の計算に利用するという技術を見出した。なお、ここでいうEGR率とは、EGRガスの筒内ガスに対する比率を意味する。
すなわち、演算処理装置20が、筒内圧センサ5の出力に基づいて、上記列挙した燃焼状態量のうちから、空燃比またはEGR率についての感度が異なる少なくとも2種類の燃焼状態量を算出する。また、その一方で、算出対象とする少なくとも2種類の燃焼状態量と空燃比およびEGR率との間の関係を、予め実験等を行うことにより特定しておき、この関係を参照できるように演算処理装置20内のメモリに記憶しておく。次いで、演算処理装置20が、予め記憶した燃焼状態量と空燃比およびEGR率との間の関係に基づいて、算出した燃焼状態量の値から、筒内圧センサ5が取り付けられた気筒における空燃比または/およびEGR率を計算する。
より具体的に述べれば、算出対象とする少なくとも2種類の燃焼状態量と空燃比およびEGR率との間の相関関係を、数式(例えば連立方程式)として整理したうえで、演算処理装置20に記憶してもよい。この数式に対して、筒内圧センサ5の出力に基づき計測データとして求めた燃焼状態量を代入し、その解を求めることによって、空燃比または/およびEGR率を計算してもよい。
この手法によれば、空燃比やEGR率についての感度が相違する複数の燃焼状態量の存在に着目し、その複数の燃焼状態量と空燃比、EGR率との間の関係を利用することにより、筒内圧センサの出力から空燃比やEGR率を精度良く求めることができる。
なお、実施の形態1においては、上記の計算結果のうち、特に空燃比の計算結果に基づいて燃料直噴インジェクタ7の燃料噴射量を決定するものとする。
(実施の形態1にかかる燃焼速度計算技術)
図5は、本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置の動作を説明するための図である。以下、図5を用いて、実施の形態1にかかる燃焼速度計算技術を説明するとともに、この燃焼速度計算技術を利用して上述した実施の形態1に係る計算技術の計算精度などを改善することができる点を説明する。なお、以下の説明では、「空燃比またはEGRに対する感度が異なる少なくとも2種類の燃焼状態量」のうち、少なくとも1種類は「燃焼速度」とし、他の種類として「発生熱量」を選択するものとする。
先ず、熱発生量と燃焼速度について、空燃比とEGRに対する相関関係を予め把握する。具体的には、図5に示すように、熱発生量と空燃比の関係、熱発生量とEGRとの関係、燃焼速度と空燃比との関係、燃焼速度とEGRとの関係について、それぞれ計測或いは計算による検討をしておく。エンジン回転数NEについて1200rpmと2000rpmの2つの条件を設定し、吸入空気量GAについて10g/sと20g/sの2つの条件を設定している。これらの組み合わせにより、図5に示すように3つのエンジン回転数・吸入空気量の条件を設定して、各関係について検討を行っている。
図5に示すごとき検討を行って、空燃比、EGR、熱発生量、および燃焼速度の間にある相関関係を把握して数式(相関式)にまとめることにより、本願発明者は下記の式を導出した。
Figure 0005488520
但し、上記の式において、「Q」は熱発生量であり、「ηc」は充填効率であり、「AF」は空燃比であり、「EGR」はEGR率であり、「CS」は燃焼速度であり、「NE」はエンジン回転数であり、「Pθcomp」は圧縮圧である。α〜αは、把握した相関関係に基づいて定めた所定の係数である。
演算処理装置20は、内部又は外部のメモリに記憶させた上記の式の連立解を求める演算処理プログラムを実行することができる。上記の式の連立解として得られる空燃比AFとEGR率とを、筒内圧センサ5が測定する気筒における空燃比とEGR率の検出値として取り扱うことができる。
本発明にかかる実施の形態1に含まれる特徴の1つは、上記の式1における右辺第1項が「α×AF×(1+EGR)」であることである。この点について、以下説明する。
本願発明者は、「空燃比と燃焼速度との相関」および「EGRと燃焼速度との相関」の間にある一定の関係の存在を見出すとともに、具体的に「空燃比をリーンにした際の燃焼速度の低下量と、EGRを導入した際の燃焼速度の低下量との間に、一定の相関があること」を見出すに至った。この一定の相関についての詳細な検討の結果、本願発明者は、「空燃比をリーンにする際における増加空気量と同等量のEGRを導入した場合に、燃焼速度が、空燃比をリーンにした時と同等の感度(変化の割合)で低下する」という事実に着目するに至った。
図6は、本発明の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置における燃焼速度計算技術を説明するための図である。図6は、空燃比(左図)およびEGR(右図)が、燃焼速度(Combustion Speed)に及ぼす影響を調査した結果を示す。なお、図中に矢印で示すとおり、縦軸方向の目盛は5%/msec間隔である。図6に示すとおり、空燃比と燃焼速度との相関、およびEGRと燃焼速度との相関は、それぞれ線形的なものである(各図の破線および一点鎖線を参照)。図6に示す矢印Aは、空燃比A/Fの値が2ほどリーンに変化した場合(具体的には、空燃比が14から16へと変化した場合)における燃焼速度の低下量を指し示しており、その値は5%/msecである。一方、図6に示す矢印Bも5%/msecの燃焼速度低下量を指し示している。本願発明者は、「空燃比を2だけリーン化する際に増加する空気量と同等量のEGR」を行った場合には、「空燃比を2だけリーン化させたときと同等の感度で、燃焼速度が低下する」という事実を見出したのである。本願発明者は、「筒内ガスの燃料密度が、燃焼速度に影響を与えている」という知見を得ており、その結果、物理現象により近い形でのモデル式を作成するための好ましい形態として、実施の形態1にかかる燃焼速度を表す演算式を作成するに至った。
上記の式1の右辺第1項「α×AF×(1+EGR)」は、「EGR率を小数で表した場合における1+EGR率の値に対して、空燃比の値を積算した項」である。式1にこのような形式の項を含ませた理由は、次のとおりである。すなわち、空燃比が一定の場合に、一例として、EGR率=+10%でのEGRを行ったとする。上述したように「空燃比をリーンにする際における増加空気量と同等量のEGRを導入した場合に、燃焼速度が、空燃比をリーンにした時と同等の感度(変化の割合)で低下する」のであるから、「+10%のEGR」を行うことで、「その+10%のEGRガス分の新気が増大したときと同等の燃焼速度低下」が表れると考えられる。そうすると、内燃機関制御上の空燃比(新気/燃料)に対して、このEGR率変化分の係数(この例では10%増加と言う意味で1.1倍の増加であり、例えばEGR率20%であれば1.2倍の増加となる)を積算すれば、空燃比変化およびEGR変化により生ずる燃焼速度変化を正確に表した計算を行うことができる。このような技術的思想により、実施の形態1にかかる上記の式1の右辺第1項が、「α×AF×(1+EGR)」という形式つまり「AF」と「1+EGR」とを同一の項に含む形式とされている。
以上説明したように、実施の形態1によれば、本願発明者が見出した上述の「燃焼速度に関する、空燃比とEGRの相関関係」を利用して燃焼速度のモデル式を作成することによって、物理現象により近い形のモデル式を得ることができる。特に、実施の形態1において使用される式1は、エンジン実機において見出された関連性に基づいて作成された数式であり、物理現象により近いモデル式である。この高精度なモデル式によって、「実施の形態1にかかる計算技術の基本概念」において最終的に行われる空燃比やEGR率の推定精度が向上する。実施の形態1によれば、実施の形態1において実現しようとする筒内圧センサ出力からの空燃比、EGR率算出にあたって、物理現象をより精密に反映させたうえでの、精度の高い計算を行うことができる。
しかも、実施の形態1によれば、式1においてAFとEGRとについての係数が共通のαとなっており、係数のマッチングにかかる工数を抑制できるという利点もある。すなわち、空燃比とEGR率とを独立したパラメータ(変数)として扱う場合、「AF」に乗ずる係数と、「EGR」に乗ずる係数とを、それぞれ適合しなければならない。このように適合係数が増加することで、係数のマッチングにかかる工数が多くなってしまう。この点、実施の形態1によれば、係数を少なく抑えて、マッチングに係る工数を抑制することができる。
なお、空燃比とEGRがそれぞれ独立に燃焼速度に寄与するものとして、燃焼速度を定義しモデル化することも、燃焼速度の演算式の作成方法の一つとして考えられる。すなわち、燃焼速度CSを算出する数式として、空燃比とEGR率とを独立したパラメータ(変数)として扱うことも考えられる。しかしながら、空燃比とEGR率を独立的に規定した燃焼速度の演算式は、上述したような本願発明者が見出した一定の相関関係が反映されていない。当該相関関係が未反映の状態のモデル式は、物理現象との間の整合性(近似性)と言う点で、いまだ改善の余地が残っている。この点、実施の形態1によれば、そのような余地を残さないよう可能な限り精度向上を追及し、物理現象をより精密に反映させたうえでの精度の高い計算を行うことができる。
なお、実施の形態1によれば、熱発生量等および燃焼速度という比較的感度の相違が大きいと認められる2つの燃焼状態量を利用することによって、筒内圧センサ5の出力から空燃比やEGR率を精度良く求めることができる。
特に、実施の形態1によれば、筒内圧センサ5の測定データを用いているので筒内の燃焼状態に基づいてリアルタイムでのA/F制御が可能となる。この点は、既存の排気によるA/F制御(排気空燃比を空燃比センサで検出することによるA/F制御)では得られない優れた特徴である。
また、実施の形態1によれば、筒内圧センサの測定データから把握した気筒の燃焼状態に応じて、燃料噴射量を、内燃機関制御上の適切量に精度良く設定することができる。
なお、上記の実施の形態1において、エンジンの複数の気筒にそれぞれ取り付けられた筒内圧センサ5に基づいて、それら複数の気筒について、気筒毎に空燃比を求めたり、EGR率を求めたりしてもよい。その場合には、演算処理装置20は、各気筒について、2種類の燃焼状態量(例えば発生熱量と燃焼速度)を算出し、さらに、各気筒のそれぞれについて空燃比やEGR率を算出してもよい。
さらに、各気筒について算出されたEGR率の相違に基づいて、各気筒のそれぞれの制御内容の算定を行ったり、または既に算定された制御内容の補正を行ったりしてもよい。これにより、気筒毎のEGR率を求めて、内燃機関の制御内容を適正化することができる。
具体的には、例えば、演算処理装置20が、各気筒の燃料直噴インジェクタ7のそれぞれの燃料噴射量を、EGR率の相違に基づいて設定してもよい。これによれば、気筒毎のEGR率を求めて、燃料噴射量を気筒毎に適正化することができる。
[実施の形態1にかかる変形例]
実施の形態1では、「EGR率を小数で表した場合における1+EGR率の値に対して空燃比の値を積算した項」を含む燃焼速度の演算式、すなわち式1における「AF×(1+EGR)」を含む演算式を、燃焼速度の計算に使用した。しかしながら、本発明はこのような形式に限定されるものではない。
前述したように、本願発明者は、「筒内ガスの燃料密度が、燃焼速度に影響を与えている」という知見を得ており、「空燃比をリーンにする際における増加空気量と同等量のEGRを導入した場合に、燃焼速度が、空燃比をリーンにした時と同等の感度(変化の割合)で低下する」という知見を得ている。この知見に基づいて、「空燃比」および「小数で表したEGR率」という形式に限定されずに、「新気とEGRガスを含む筒内ガスの燃料濃度を表す項」を含む演算式を、燃焼速度の演算式として作成してもよい。前述したように、実施の形態1でいうEGR率とは、EGRガスの筒内ガスに対する比率を意味しており、その分子の値はEGRガスの量である。空燃比とEGR率とを考慮したときの筒内ガスの燃料密度とは、下記の式で表すことができる。
筒内ガス量/筒内燃料量 = (新気の量+EGRガス量)/筒内燃料量
この式は、Gas/Fuelの意味の「G/F」とも称される概念を表している。実施の形態1における式1の右辺第1項「α×AF×(1+EGR)」に代えて、このG/Fに所定係数を乗じるような項を含む演算式を、燃焼速度の演算式として作成しても良い。
上述した実施の形態1では、発生熱量および燃焼速度という2種類の燃焼状態量を選択した。しかしながら、本発明はこれに限られるものではない。
前述したように、実施の形態1によれば、式1の利用によって、燃焼速度に関する高精度の計算が可能である。この高精度に算出された燃焼速度のほかに「実施の形態1にかかる計算技術の基本概念」で述べた計算を行うための燃焼状態量として、発生熱量の代わりに、「燃焼状態量のうち燃焼速度とは空燃比またはEGRについての感度が異なる少なくとも1種類の燃焼状態量」を選択してもよい。そのうえで、上述した実施例において燃焼速度および発生熱量について行ったのと同様の技術的手法、つまり、相関関係の把握およびその相関を数式等にまとめて演算処理装置20に記憶して筒内圧センサ5の出力値から計算を行うようにしてもよい。図2乃至図4で挙げたように、少なくとも、(i)Pmax(最大筒内圧)、(ii)Ingition Delay(着火遅れ)、(iii)Heat Release(発生熱量)、(iv)Combustion Speed(燃焼速度)、(v)Specific Heat Ratio(比熱比)という5つの燃焼状態量について、空燃比またはEGRに対する感度の相違が認められる。これらのなかから、発生熱量に代えて、適宜に少なくとも1種類の燃焼状態量を選択して実施の形態1の実施例と同様の技術的手法を適用してもよい。
なお、熱発生量そのものに代えて、熱発生量と相関を有するパラメータ(発生熱量関連パラメータ)を用いても良い。熱発生量関連パラメータとしては、例えば、「PVκ」が知られている。すなわち、クランク角度がθであるタイミングに筒内圧センサ5により検出あるいは推定される筒内圧力をP(θ)とし、クランク角度がθであるタイミング(当該筒内圧力P(θ)の検出時あるいは推定時)の筒内容積をV(θ)とし、比熱比をκとする。「PVκ」とは、この筒内圧力P(θ)と、筒内容積V(θ)を比熱比(所定の指数)κで累乗した値V(θ)との積値P(θ)・Vκ(θ)である。このPVκも、気筒内で発生する熱量を反映する状態量である。
なお、現在の技術水準において構築されているEGR検出技術は、吸気圧とEGRバルブ開度からの推定を行うなどのようにあくまでも限定された環境下で得られたデータからEGR率等を推定する技術(推定モデル)に留まっている。このようなEGR検出技術は、機差ばらつきやデポジット堆積などの影響で検出精度が担保されなくなってしまうという欠点を有している。また、このようなEGR検出技術では、気筒毎のEGR率を検出することは困難である。
この点、実施の形態1にかかる計算技術によれば、空燃比とEGRによって決定される燃焼状態を筒内圧センサにより直接に検出することができる。このため、従来構築されているEGR検出技術と比べて、機差ばらつきやデポジットの影響を受けることなしに、精度良くEGR率および空燃比を検出することができる。また、既に説明したように、気筒毎のEGR率および空燃比を検出することもできる。
さらに、上記の実施の形態1にかかる構成は、筒内圧センサ5の計測データのみから、空燃比およびEGR量を精度良く求めることができるという特徴も有している。つまり、空燃比センサ、吸気圧センサ3、エアフローメータ、EGR弁開度などの情報を用いなくとも、筒内圧センサ5の計測データのみから空燃比およびEGR量を精度良く求めることができる。但し、それらの情報を用いて補正演算などを行うことで一層精度良くEGR率や空燃比を求めてもよく、その様な実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
実施の形態2.
以下、本発明の実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置について説明する。実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置およびこれが適用される内燃機関(エンジン)のハードウェア構成は、実施の形態1のハードウェア構成と同様である。以下、重複を避けるために、実施の形態1で述べた構成と同一あるいは相当する構成には同じ符号を付して説明をし、適宜に説明を省略ないしは簡略化する。
実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置は、上記の実施の形態1にかかる内燃機関の制御装置に搭載された気筒別の空燃比、EGR率の計算機能を、「燃料噴射量算出」および「EGRに関する故障検出」に利用するものである。実施の形態2におけるその気筒別の空燃比、EGR率の計算機能は、実施の形態1で示した、式1の燃焼速度演算式を含む連立方程式に従った計算処理によって達成されている。
(燃料噴射量算出)
以下、実施の形態2における燃料噴射量に関する制御内容を説明する。先ず、実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置においても、演算処理装置20が、実施の形態1にかかる空燃比およびEGR率の計算技術を用いて、各気筒のEGR率を算出する。実施の形態2においては、この算出した各気筒のEGR率に基づいて、各気筒にそれぞれ導入されるEGRのばらつき(分配特性)を把握した上で、「各気筒の新気量」を算出する。このようにして精度良く算出された各気筒の新気量に応じて、燃料直噴インジェクタ7についての最適な基本燃料噴射量を設定するものとする。
さらに、実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置において、演算処理装置20は、実施の形態1にかかる空燃比およびEGR率の計算技術を用いて各気筒の空燃比を算出する。その上で、「各気筒の空燃比と目標空燃比との間の偏差」および上記で算出した「各気筒の新気量」に基づいて、各気筒の燃料噴射量についてそれぞれ補正量を設定するものとする。
(EGRに関する故障検出)
実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置では、以下に述べる2種類の故障検出が行われる。
第1の故障検出として、EGR分配通路における分配異常の検出が行われる。すなわち、実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置では、演算処理装置20が、まず、気筒毎のEGR率を比較することで「各気筒のEGR率のばらつき」を求める。このばらつきが予め設定した許容範囲以上のばらつきを有している場合には、EGR分配通路において分配異常が生じていると判定するものとする。
第2の故障検出として、EGR通路についての異常検出が行われる。すなわち、実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置では、演算処理装置20が、まず、実施の形態1にかかる構成によって算出された気筒毎のEGR率と、各気筒の圧縮圧から算出される各気筒の吸入ガス量とから、各気筒に流入したEGR流量を算出する。次いで、演算処理装置20が、全気筒のEGR流量(各気筒のEGR量の合計値)とEGRバルブ開度との間の相関が、予め設定した所定範囲から外れているか否かを判定する。この判定は、例えば、EGRバルブ開度に応じた全気筒のEGR流量の値が正常な範囲内に収まっているかどうかを、予め定めたいくつかのEGRバルブ開度について診断することにより行えばよい。この相関が予め設定した所定範囲から外れている場合には、EGRバルブ12またはEGR通路における分配位置より上流の通路部に異常があると判定する。
図7は、本発明の実施の形態2にかかる内燃機関の制御装置において演算処理装置20が実行するルーチンのフローチャートである。本ルーチンは、所定周期時間毎に繰り返し実行されるものとする。
図7に示すルーチンでは、先ず、演算処理装置20が、気筒内に導入された新気量・EGR量を検出する処理を実行する(ステップS100)。このステップでは、先ず、吸気圧センサ3の出力値や筒内圧センサ5の出力値など必要なセンサ値が取得され、演算処理装置20上において、実施の形態1で既に説明した空燃比およびEGR率の計算処理が実行される。
次に、演算処理装置20が、気筒別のEGR流入特性を把握するための処理を実行する(ステップS102)。
このステップでは、具体的には、ステップS100で得られたEGR率の値(検出値)から、各気筒へのEGRの分配特性(各気筒のうちどの気筒で相対的にEGR量が多くなりがちであるとか、逆に、どの気筒では相対的にEGR量が少なくなりがちであるか等の傾向)を把握するための処理を実行する。把握した分配特性を利用して、燃料噴射弁(本実施形態においては燃料直噴インジェクタ7)の噴射量の決定の際に次のサイクルでの各気筒のEGR率を予測する。ステップS102における具体的手法として、次に掲げる手法(A1)乃至(A4)の1つ以上を適用することができる。
(A1)演算処理装置20が、各運転条件下における各気筒のEGR率を学習値としてRAM(記憶装置)に保存する処理を実行する。
(A2)演算処理装置20が、全運転条件での気筒間におけるEGR率の比を算出して記憶し、この比と同様の比となる前提で各運転条件についてEGR率を推定する処理を実行する。
(A3)演算処理装置20が、各運転条件で予測されるEGR率と、各気筒のEGR率の比を全運転条件で平均した値をRAMに保存し、次回の予測EGR率に各気筒の比のRAM保存値を積算して各気筒のEGR率を推定する処理を実行する。
(A4)演算処理装置20が、各運転条件で予測されるEGR率と各気筒のEGR率の比を全運転条件で平均した値からEGR分配通路(分配配管)の開口面積を算出し、算出した値をRAMに保存する処理を実行する。
なお、「EGR分配通路」とは、排気通路からのEGRガスが各気筒へと分配される通路を指し、「EGR通路がエンジンの排気通路および吸気通路と接続し、このEGR通路が各気筒の吸気ポートを介して各気筒内へと連通するまでの一連の分配通路」を含む。つまり、EGR分配通路の具体的構成としては、「EGR通路自体が吸気通路の一部(例えばサージタンク、吸気マニホールド)と連通する一本の通路であり、その連通位置の下流で各気筒へと分配される構成」も含まれ、また、「EGR通路自体が枝分かれした部分を有し、その枝分かれの部分がそれぞれの気筒の所定吸気通路位置にそれぞれ連通している構成」も含まれる。
次に、演算処理装置20が、気筒別の推定EGR率(先読み値)から気筒別の新気量を推定する処理を実行する(ステップS104)。
このステップは、次回に各気筒に導入される新気量を推定した上で、気筒毎の適切な燃料噴射量を決定することを目的としている。このステップでは、具体的には、下記の2つの手法のいずれかを適用することにより、気筒別の新気量を推定するものとする。
(B1)上記の(A1)乃至(A3)のいずれかの計算処理(推定演算処理)によって各気筒のEGR率を求めたうえで、この各気筒のEGR率に予測流入総ガス量を乗ずることにより、各気筒の新気量を求めることができる。予測流入総ガス量は、吸気圧センサ3の測定データあるいはエアモデルを用いて求める。
(B2)上記の(A4)の計算処理(推定演算処理)により求めた、EGR分配配管における個々の配管の開口面積から、EGR流入量を算出すると同時に新気量を算出する。これはエアモデルの手法を応用したものである。
次に、演算処理装置20が、気筒別の新気量と目標空燃比から、基本噴射量Qbを算出する処理を実行するする処理を実行する(ステップS106)。
また、ステップS104の処理の実行後、ステップS106の処理とは別に、演算処理装置20が、検出した気筒別空燃比と目標空燃比の偏差、および上記新気量から、噴射量補正値Qdを算出する処理を実行する(ステップS108)。なお、気筒別空燃比は、ステップS102、S104における気筒別のEGR率、気筒別の新気量、および各気筒の燃料噴射量などの情報から求めることができる。
次いで、演算処理装置20が、ステップS106の処理で算出した基本噴射量QbとステップS108で算出した噴射量補正値Qdとの合計を、最終噴射量として算出する処理を実行する(ステップS110)。その後、処理はリターンする。
以上のステップS100、S102、S104、S106、S108およびS110の一連の処理によって、気筒別の燃料噴射量の適正化を行うことができる。
一方、図7のルーチンでは、ステップS100の処理の後、ステップS102の処理とは別に、演算処理装置20が、全気筒のEGR総量(検出値)を算出する処理を実行する(ステップS120)。
次に、演算処理装置20が、EGR開度とエンジン条件とから予想されるEGR量推定値を算出する処理を実行する(ステップS122)。このステップでは、例えば、EGRバルブ12の開度およびエンジン運転条件とに応じてEGR量の推定値を算出する処理(予め記憶したマップ参照或いは数式に従った計算)を演算処理装置20に行わせればよい。
次に、演算処理装置20が、ステップS120のEGR総量の検出値とステップS122のEGR量推定値との間の乖離が所定値より大きいか否かを判定する処理を実行する(ステップS124)。このステップにおける判定結果がNo(条件不成立)である場合には、EGR総量検出値とEGR量推定値との乖離は適正範囲にあると判断することができる。このため、処理はリターンする。
一方、ステップS124における判定結果がYes(条件成立)である場合には、EGR総量検出値とEGR量推定値との乖離は適正な範囲を超えていると判断することができる。この場合には、演算処理装置20が、EGRバルブ12もしくは分配前のEGR通路の構成(例えば、EGRクーラ13や、図示しないEGR触媒が取り付けられている場合にはこのEGR触媒も含む)に、異常が発生しているとの判定を下す処理を実行する(ステップS126)。このステップにおいて、例えばエンジンの制御処理内容に種々の対応措置を取ったり、或いは、外部への報知(例えば警告ランプ点灯等)を行っても良い。
以上のステップS100、S120、S122、S124、およびS126の一連の処理によって、EGR分配通路に異常が発生しているか否かの判定(つまり故障検出)を行うことができる。
また、図7のルーチンでは、ステップS100の後、ステップS102およびS120の処理とは別に、演算処理装置20が、各気筒のEGR率のばらつき度合を算出する処理を実行する(ステップS130)。このステップでは、例えば、各気筒のEGR率の値を用いて、標準偏差を求めたり、平均値に対する各EGR率の乖離の度合(大きさ)を求める。
次に、演算処理装置20が、ステップS130で求めたばらつき度合が、所定ばらつき度合よりも大きいか否かを判定する処理を実行する(ステップS132)。このステップでは、ステップS130との関係で、標準偏差や、平均値との乖離の大きさが、予め定めた範囲以内に収まっているかを判定する。なお、上記以外の統計的ばらつき評価手法を採用しても良く、例えば分散が所定範囲内にあるか否かを判定しても良い。
ステップS132の判定結果がNo(条件不成立)である場合には、ばらつき度合が所定ばらつき度合以内に収まっていると判断することができる。そこで、この場合には、図7のルーチンでは、演算処理装置20は今回のルーチンを終了する。
一方、ステップS132の判定結果がYes(条件成立)である場合には、ばらつき度合が所定ばらつき度合よりも大きいと判断することができる。この場合には、図7のルーチンでは、演算処理装置20が、分配後のEGR通路に異常が発生していると判定する処理を実行する(ステップS134)。その後、今回のルーチンを終了する。
以上のステップS100、S130、S132およびS134の一連の処理によって、EGR分配通路において、分配のばらつき異常が発生しているか否かの判定(つまり故障検出)を行うことができる。
なお、図7のルーチンにおける、「ステップS100、S102、S104、S106、S108およびS110の一連の処理」と、「ステップS100、S120、S122、S124、およびS126の一連の処理」と、「ステップS100、S130、S132およびS134の一連の処理」とは、必ずしも全てを実行しなくてもよい。それら3つの一連の処理のうち、1つのみ又は2つのみを演算処理装置20に実行させても良い。
1 エアクリーナ
2 スロットルバルブ
3 吸気圧センサ
4 サージタンク
5 筒内圧センサ
6 スパークプラグ
7 燃料直噴インジェクタ
8 クランク角センサ
9 ノックセンサ
10,11 触媒
12 EGRバルブ
13 EGRクーラ
14 水温センサ
20 演算処理装置

Claims (3)

  1. 少なくとも1つの気筒に筒内圧センサが取り付けられ、当該少なくとも1つの気筒に対してEGRを実行可能な内燃機関の制御装置であって、
    EGR率を小数で表した場合における1+EGR率の値に対して空燃比の値を積算した項を含む燃焼速度の演算式に従って、前記筒内圧センサが取り付けられた気筒の燃焼速度を算出する第1算出手段と、
    前記筒内圧センサが取り付けられた前記気筒の燃焼の状態を表す量である燃焼状態量のうち燃焼速度とは空燃比またはEGRについての感度が異なる少なくとも1種類の燃焼状態量を、前記筒内圧センサの出力に基づいて算出する第2算出手段と、
    前記燃焼速度および前記少なくとも1種類の燃焼状態量と空燃比およびEGR率との間の関係に基づいて、前記筒内圧センサが取り付けられた前記気筒における空燃比または/およびEGR率を計算する計算手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  2. 少なくとも1つの気筒に筒内圧センサが取り付けられ、当該少なくとも1つの気筒に対してEGRを実行可能な内燃機関の制御装置であって、
    前記筒内圧センサが取り付けられた気筒における新気とEGRガスを含む筒内ガスの燃料濃度を表す項を有する演算式に従って、前記筒内圧センサが取り付けられた気筒の燃焼速度を算出する第1算出手段と、
    前記筒内圧センサが取り付けられた前記気筒の燃焼の状態を表す量である燃焼状態量のうち燃焼速度とは空燃比またはEGR率についての感度が異なる少なくとも1種類の燃焼状態量を、前記筒内圧センサの出力に基づいて算出する第2算出手段と、
    前記燃焼速度および前記少なくとも1種類の燃焼状態量と空燃比およびEGR率との間の関係に基づいて、前記筒内圧センサが取り付けられた前記気筒における空燃比または/およびEGR率を計算する計算手段と、
    を備えることを特徴とする内燃機関の制御装置。
  3. 前記演算式が、燃焼速度をCSと表し、空燃比をAFと表し、EGR率を小数で表した値をEGRと表し、エンジン回転数をNEと表し、かつ、α、αおよびαを所定の係数とした場合における
    Figure 0005488520
    であること備えることを特徴とする請求項1または2に記載の内燃機関の制御装置。
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