以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る無線通信システムの構成を示す図である。図1に示すように、本実施形態の無線通信システムは、車両に搭載される車載装置100と、車両のユーザに携帯される携帯通信端末200と、車両の外部に設置される情報センタ(テレマティックスセンター)300とから構成されている。そして、本実施形態に係る無線通信システムは、これら車載装置100、携帯通信端末200、および情報センタ300が、無線通信により、相互にデータの授受を行うものである。また、詳しくは後述するが、本実施形態に係る無線通信システムは、2通りの通信方法により無線通信を行うことができる。図1中においては、これら2通りの通信方法による各装置間のデータの授受をそれぞれ異なる矢印で示している。具体的には、図1においては、車両外部の各地点に設置された外部アクセスポイントを介して、車載装置100、携帯通信端末200、および情報センタ300との間でデータの授受を行う無線通信(第1無線通信方法による無線通信)を太い黒の矢印で示しており、車載装置100と情報センタ300とが、携帯通信端末200を介して、データの授受を行う無線通信(第2無線通信方法による無線通信)を太い白抜きの矢印で示している。
まず、車載装置100の構成について説明する。車載装置100は、例えば、車両に搭載されるナビゲーション装置であり、図1に示すように、車載制御装置110、車載通信装置120、入力装置130、ディスプレイ140、ドライブデータレコーダー150を有する。
入力装置130は、無線通信の通信方法を切り替えるための切替指示などの各種情報を、車両のユーザに入力させるための装置である。入力装置130としては、例えば、ディスプレイ画面上に配置されるタッチパネルまたはジョイスティックなどのユーザの手操作による入力が可能な装置であってもよいし、あるいは、マイクなどのユーザの発話音声による入力が可能な装置であってもよい。入力装置130により入力されたユーザからの入力指示は、車載制御装置110に送信される。
ディスプレイ140は、無線通信の通信方法を切り替えるためのメニューや、無線通信を切り替える際の確認メッセージなどの各種情報を、ディスプレイ140が備える画面上に表示することで、これらの情報を車両のユーザに提示する。なお、これらの情報をユーザに提示するための装置としては、ディスプレイ140に限定されるものではなく、例えば、スピーカを用いて、音声により情報を、ユーザに提示するような装置であってもよい。
ドライブデータレコーダー150は、図示しないカメラにより撮像された車両走行中の映像データを、カメラから取得する。そして、ドライブデータレコーダー150は、取得した映像データをドライブデータレコーダー150が備えるメモリ(不図示)に一時的に記憶するとともに、ドライブデータレコーダー150のメモリに記憶された映像データを、一定時間間隔で、車載制御装置110に送信する。なお、車載制御装置110に送信された映像データは、車載通信装置120を介して、携帯通信端末200に送信される。
車載制御装置110は、ドライブデータレコーダー150から車両走行中の映像データを取得し、取得した映像データを車載通信装置120に送信する。また、車載制御装置110は、入力装置130により入力されたユーザからの指示に基づいて、車載通信装置120に命令を送信したり、ディスプレイ140の画面上に、ユーザに提示するための情報を表示させるなど、各種制御を行うものである。
車載通信装置120は、携帯通信端末200および情報センタ300と無線通信によるデータの授受を行うために、図1に示すように、車両側アクセスポイント検出装置121(以下、車両側AP検出装置121という。)、車載通信制御装置122、および車載通信インターフェース123(以下、車載通信I/F123という。)を備える。
車両側AP検出装置121は、車両外部に設置された外部アクセスポイントのうち、車載装置100が接続可能な外部アクセスポイントの検出を行う。ここで、外部アクセスポイントは、車両外部の複数の地点に設置されており、外部アクセスポイントの接続範囲(ホットスポット)の内側に存在する通信機器と無線接続することができる。そのため、車載装置100が搭載された車両が車両外部の各地点に設置された外部アクセスポイントの接続範囲の内側に存在する場合、車載装置100と外部アクセスポイントとは無線接続を行うことが可能となる。車両側AP検出装置121は、このように車載装置100が接続可能な外部アクセスポイントの検出を行う。
なお、車両側AP検出装置121による外部アクセスポイントの検出方法は特に限定されない。例えば、車両側AP検出装置121は、自車両に備えられたGPSを含む車両位置検出装置(不図示)から自車両の位置情報を取得し、さらに、地図データベース(不図示)から該地図データベースに予め記憶された外部アクセスポイント情報(外部アクセスポイントの設置位置情報およびアクセスポイントの接続範囲情報を含む情報)を取得する。そして、車両側AP検出装置121は、自車両の位置情報と、外部アクセスポイントの位置情報と、外部アクセスポイントの接続範囲情報とに基づいて、自車両が、その接続範囲の内側に存在する外部アクセスポイントを、車載装置100と接続可能な外部アクセスポイントとして検出することができる。
車載通信制御装置122は、車両側AP検出装置121による外部アクセスポイントの検出状態に応じて、車載通信I/F123の動作モード(詳細は後述する。)の切り替え、外部アクセスポイントに無線接続するための設定、さらには車載通信I/F123による無線接続のON/OFFの切り替えなどの制御を行うことにより、携帯通信端末200および情報センタ300との無線通信を可能とする。また、車載通信装置122は、外部アクセスポイントのセキュリティの属性確認なども行う。なお、車載通信制御装置122による無線通信の制御の詳細については、後述する。
無線通信I/F123は、携帯通信端末200の携帯通信装置220、および情報センタ300のセンタ通信装置320と無線通信によるデータの授受を行う。また、本実施形態において、無線通信I/F123は、車載通信制御装置122の制御により、『ステーションモード(以下、STAモード)』および『アクセスポイントモード(以下、APモード)』のいずれかの動作モードに選択的に切り替えられる。
『STAモード』とは、車載通信I/F123を、アクセスポイントに接続するためのステーション端末として動作させるためのモードである。『STAモード』により車載通信I/F123がステーション端末として動作することで、ステーション端末である車載通信I/F123と、アクセスポイントである車両外部に設置された外部アクセスポイントとの間で無線接続(例えば、WiFiに基づく無線接続)を行うことができる。
一方、『APモード』とは、車載通信I/F123をアクセスポイントとして動作させるためのモードである。『APモード』により車載通信I/F123がアクセスポイントとして動作することで、アクセスポイントである車載通信I/F123と、アクセスポイントに接続するためのステーション端末である携帯通信端末200との間で無線接続(例えば、WiFiに基づく無線接続)を行うことができる。
次に、携帯通信端末200について説明する。携帯通信端末200は、例えば、携帯電話機、PDAなどの車両のユーザにより携帯される通信機器であり、端末制御装置210、端末通信装置220、メモリ230を備える。
端末制御装置210は、車載装置100から送信されたデータを、端末通信装置220から取得し、取得したデータをメモリ230に記憶させる。また、端末制御装置210は、メモリ230に記憶されたデータを読み出し、端末通信装置220に送信する。
端末通信装置220は、携帯通信端末200と車載装置100との無線通信、および携帯通信端末200と情報センタ300との無線通信を行うために、端末側アクセスポイント検出装置221(以下、端末側AP検出装置221という。)と、端末通信制御装置222と、端末通信インターフェース223(以下、端末通信I/F223という。)とを備える。
端末側AP検出装置221は、車両内部に設置されたアクセスポイントである車載アクセスポイントの検出を行う。上述したように、車載装置100の車載通信I/F123は、その動作モードが『APモード』の場合に、車両内部に設置されたアクセスポイントとして動作するため、端末側AP検出装置221は、この場合に、車載装置100の車載通信I/F123を車載アクセスポイントとして検出する。また、端末側AP検出装置221は、車両側AP検出装置121と同様に、車両外部に設置される外部アクセスポイントの検出も行う。端末側AP検出手段221による検出結果は、端末通信制御装置222へと送信される。なお、本実施形態において、端末側AP検出装置221を、予め登録された車載アクセスポイントのみを検出する構成としてもよい。
端末通信制御装置222は、車載装置100および情報センタ300からの接続指示に応じて、外部アクセスポイントおよび車載アクセスポイントに無線接続するための設定や、端末通信I/F223による無線接続のON/OFFの切り替えを制御することにより、無線接続の対象を、車載装置100と外部アクセスポイントとで切り替える。また、端末通信制御装置222は、端末側AP検出装置221から送信された車載アクセスポイントおよび外部アクセスポイントの検出状態の監視や、外部アクセスポイントのセキュリティの属性確認なども行う。
端末通信I/F223は、車載装置100の車載通信装置120、および情報センタ300のセンタ通信装置320からのデータを受信し、受信したデータを端末通信制御装置222に送信する。また、端末通信I/F223は、端末通信制御装置222からデータを受信し、受信したデータを車載装置100の車載通信装置120、または、情報センタ300のセンタ通信装置320に送信する。
次に、情報センタ300について説明する。情報センタ300は、車両の外部に設置されるサーバなどであり、図1に示すように、センタ制御装置310と、センタ通信装置320と、データベース330とを備える。なお、情報センタ300は、車両外部の各地点に設置された複数の外部アクセスポイントと、有線または無線により接続している。
センタ制御装置310は、センタ通信装置320を介して、車載装置100および携帯通信端末200に、データベース330に記憶されたデータに基づくデータを提供する。また、センタ制御装置310は、車載装置100および携帯通信端末200から送信されたデータをセンタ通信装置320から取得し、取得したデータをデータベース330に記憶する。さらに、センタ制御装置310は、車載装置100からの要求があった場合には、車載装置100からの要求に応じて、車載装置100と該車載装置100に対応する携帯通信端末200(例えば、車載装置100を搭載する車両のユーザにより携帯される携帯通信端末200)との間で、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介した無線通信を可能とするための通信セッションを作成する。また、センタ制御装置310は、車載装置100と携帯通信端末200との間の通信セッションの削除も行う。
センタ通信装置320は、車載装置100から通信セッションの作成、削除の要求を含む各種データを受信し、受信した各種データをセンタ制御装置310に送信する。また、センタ通信装置320は、センタ制御装置310から送信されたデータを受信し、受信したデータを車載装置100および携帯通信端末200に送信する。特に、本実施形態では、センタ通信装置320は、センタ制御装置310により車載装置100と携帯通信端末200との間の通信セッションが作成された場合、作成した通信セッションを用いて、車載装置100からのデータを受信し、受信したデータを、車載装置100の要求に応じて、携帯通信端末200に送信するとともに、反対に、携帯通信端末200からのデータを受信し、受信したデータを、携帯通信端末200の要求に応じて、車載装置100に送信することで、車載装置100と携帯通信端末との無線通信を可能とする。
次いで、図2および図3を参照して、本実施形態に係る無線通信システムの無線通信方法について説明する。本実施形態に係る無線通信システムは、外部アクセスポイントの検出状態に応じて、図2に示す第1無線通信方法と、図3に示す第2無線通信方法との2通りの無線通信方法を採る。ここで、図2は、第1無線通信方法を説明するための図であり、図3は、第2無線通信方法を説明するための図である。以下において、図2に示す第1無線通信方法と図3に示す第2無線通信方法とについて、それぞれ説明する。
まず、図2に示す第1無線通信方法について説明する。第1無線通信方法は、無線接続可能な外部アクセスポイントが検出される場合に、この外部アクセスポイント(およびインターネット通信網)を介して無線通信を行う通信方法である。図2に示す第1無線通信方法において、車載装置100の車載通信I/F123の動作モードは、外部アクセスポイントを利用するための『STAモード』となっており、これにより、ステーション端末である車載装置100はアクセスポイントである外部アクセスポイントと無線接続(例えば、WiFiに基づく無線接続)しており、その結果、車載装置100は情報センタ300と無線通信可能となっている。また同様に、携帯通信端末200は外部アクセスポイントと無線接続(例えば、WiFiに基づく無線接続)しており、これにより、外部アクセスポイントを介して、携帯通信端末200は情報センタ300と無線通信可能となっている。さらに、図2に示す第1無線通信方法においては、車載装置100と携帯通信端末200との間に、通信セッションが確立されている。この通信セッションは、車載装置100と携帯通信端末200との間で、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介した無線通信を可能とするものであり、車載装置100の要求に応じて、情報センタ300によって生成される。情報センタ300によりこの通信セッションが確立されることで、車載装置100と携帯通信端末200との間で、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介した無線通信が可能となっている。
次に、図3に示す第2無線通信方法について説明する。第2無線通信方法は、無線接続可能な外部アクセスポイントが検出されない場合に、電話回線網を介して無線通信を行う通信方法である。図3に示す第2無線通信方法においては、車載装置100の車載通信I/F123は『APモード』となっており、これにより、アクセスポイントである車載装置100はステーション端末である携帯通信端末200と無線接続(例えば、WiFiに基づく無線接続)しており、その結果、車載装置100は携帯通信端末200と無線接続可能となっている。また、携帯通信端末200は、電話回線網を介して、情報センタ300と無線通信可能となっている。これにより、第2無線通信方法では、携帯通信端末200を介して、車載装置100と情報センタ300とが無線通信可能となっている。なお、無線接続可能な外部アクセスポイントが検出され、外部アクセスポイントが利用できる場合でも、入力装置130を介したユーザの指示により、第2無線通信方法による無線通信を行うことができる。
続いて、図4〜図7を参照して、本実施形態の無線通信の切替処理について説明する。図4〜図7は、本実施形態の無線通信の切替処理を示すフローチャートである。なお、この無線通信の切替処理は、一定時間間隔で、周期的に繰り返される。
図4に示すように、まず、ステップS101では、車載装置100の車両側AP検出装置121により、車両外部に設置された外部アクセスポイントの検出が行われ、外部アクセスポイントの検出結果が、車両側AP検出装置121から車載通信制御装置122へと送信される。そして、ステップS102では、車載装置100の車載通信制御装置122により、外部アクセスポイントの検出結果が取得され、車載装置100が無線接続可能な外部アクセスポイントが検出された否か判断される。外部アクセスポイントが検出されたと判断された場合はステップS103に進み、一方、外部アクセスポイントが検出されないと判断された場合は、ステップS108に進む。
ステップS103では、車載通信制御装置122により、外部アクセスポイントの検出状態が、前回の無線通信の切替処理において検出された外部アクセスポイントの検出状態と比較して、検出されない状態から検出される状態に変更されたか否か判断される。外部アクセスポイントの検出状態が、検出されない状態から検出される状態に変更されたと判断された場合は、ステップS104に進み、一方、外部アクセスポイントの検出状態が、検出される状態のままであると判断された場合は、ステップS105に進む。
ステップS104では、切替処理1が行われる。切替処理1は、図3に示す第2無線通信方法による無線通信を、図2に示す第1無線通信方法による無線通信に切り替える処理である。ここで、図5は、切替処理1を示すフローチャートである。以下においては、図5を参照して、切替処理1について説明する。なお、ステップS104においては、外部アクセスポイントが検出されており、かつ、外部アクセスポイントの検出状態が検出されない状態から検出される状態に変更されている。このことから、自車両は、直前まで、外部アクセスポイントの接続範囲の外側に存在していたものと判断され、そのため、車載通信I/F123の動作モードは、このステップS104においても、外部アクセスポイントと無線接続を行わない『APモード』のままであると判断される。そのため、以下においては、車載通信I/F123の動作モードが『APモード』であるものとして説明を行う。
ステップS201では、車載制御装置110により、電話回線網を介した無線通信から、外部アクセスポイント(およびインターネット通信網)を介した無線通信に切り替えてよいか否かの確認メッセージが、ディスプレイ140を介して、ユーザに提示される。そして、ステップS202では、車載制御装置110により、ステップS201でユーザに提示された確認メッセージに対応して、ユーザにより、無線通信の切り替えが許可されたか否か判断される。無線通信の切り替えが許可された場合はステップS203に進み、一方、無線通信の切り替えが許可されない場合は、図5に示す切替処理1を終了する。なお、無線通信の切り替えの許可は、例えば、車両のユーザにより、入力装置130を介して行われることができる。
ステップS203では、車載通信制御装置122により、携帯通信端末200に対して、携帯通信端末200と外部アクセスポイントとの無線接続を確立するための接続指示が、車載通信I/F123を介して送信される。
続くステップS204では、車載通信制御装置122により、車載装置100と携帯通信端末200との間の無線接続の切断が行われる。そして、ステップS205では、車載通信制御装置122により、車載通信I/F123の動作モードが、『APモード』から『STAモード』に変更される。これにより、車載通信I/F123は、外部アクセスポイントと接続するためのステーション端末として動作することができ、アクセスポイントである外部アクセスポイントとステーション端末として動作する車載通信I/F123との間で無線接続が可能となる。
ステップS206では、車載通信制御装置122により、車載通信I/F123と外部アクセスポイントとの無線接続が確立される。これにより、図2に示すように、車載装置100と外部アクセスポイントとが無線接続し、結果として、外部アクセスポイントを介して、車載装置100と情報センタ300とが無線通信可能となる。
そして、ステップS207では、車載通信制御装置122により、車載装置100と携帯通信端末200との間で、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介した無線通信を可能とするための通信セッションの要求情報が、車載通信I/F123を介して、情報センタ300に送信される。なお、要求情報を受信した情報センタ300は、後述するステップS211において、車載装置100と携帯通信端末200との間の通信セッションの作成を行うこととなる。
ステップS208〜S210では、携帯通信端末200により、車載装置100から送信された接続指示に基づいて、以下に説明する処理が行われる。なお、この接続指示は、携帯通信端末200と外部アクセスポイントとの無線接続を確立するための指示であり、ステップS203において、車載装置100により送信されたものである。
具体的には、まず、ステップS208において、携帯通信端末200の端末側AP検出装置221により、車載アクセスポイントの検出が行われる。上述したように、車載装置100の車載通信I/F123は、動作モードが『APモード』の場合に、車両内部に設置されたアクセスポイントとして動作するため、端末側AP検出装置221は、この場合に、車載装置100の車載通信I/F123を車載アクセスポイントとして検出する。
そして、ステップS209では、携帯通信端末200の端末通信制御装置222により、ステップS208における端末側AP検出装置221による車載アクセスポイントの検出結果の取得がされ、車載アクセスポイントが検出できないことが確認される。すなわち、ステップS205において、車載装置100の車載通信I/F123が、『APモード』から『STAモード』に変更されると、車両内部に設置されたアクセスポイントとして動作していた車載通信I/F123は、ステーション端末として動作する。その結果、ステップS208において、端末側AP検出装置221は、車載アクセスポイントを検出することができなくなり、車載アクセスポイントが検出できない旨の検出結果を端末通信制御装置222に送信する。これにより、端末通信制御装置222は、車載アクセスポイントが検出できないことを確認することとなる。
ステップS210では、端末通信制御装置222により、携帯通信端末200の端末通信I/F223と外部アクセスポイントとの無線接続が確立される。これにより、図2に示すように、携帯通信端末200と外部アクセスポイントとが無線接続され、その結果、外部アクセスポイントを介して、携帯通信端末200と情報センタ300とが無線通信可能となる。なお、ステップS208〜S210の処理は、ステップS205よりも後に行われればよく、例えば、ステップS206の前に行ってもよい。
ステップS211では、情報センタ300のセンタ制御装置310により、ステップS207において車載装置100から送信された通信セッションの要求情報に基づいて、車載装置100と携帯通信端末200との間で、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介した無線通信を可能とするための通信セッションが作成される。そして、ステップS212では、情報センタ300により、車載装置100と携帯通信端末200との間の通信セッションが作成された旨の通知が、車載装置100および携帯通信端末200に送信される。そして、図5に示す切替処理1が終了すると、図4に示すステップS101に戻り、この無線通信の切替処理が繰り返される。
このように、本実施形態では、外部アクセスポイントが検出され、外部アクセスポイントの検出状態が、検出されない状態から検出される状態に変更された場合は、図5に示す切替処理1により、車載装置100と外部アクセスポイントとが無線接続されることで、車載装置100と情報センタ300とが無線通信可能になる。またこの場合、携帯通信端末200と外部アクセスポイントとが無線接続されるとともに、車載装置100と携帯通信端末200との通信セッションが確立されることで、車載装置100と携帯通信端末200とが、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介して、無線通信可能となる。
一方、図4に示すステップS103において、外部アクセスポイントの検出状態が、検出される状態のままであると判断された場合は、ステップS105に進む。ステップS105では、車載通信制御装置122により、車載通信I/F123の動作モードが 『STAモード』であるか否か判断される。車載通信I/F123の動作モードが 『STAモード』であると判断された場合はステップS106に進み、一方、車載通信I/F123の動作モードが 『APモード』であると判断された場合は、ステップS101に戻り、この無線通信の切替処理が繰り返される。
ステップS106では、車載通信制御装置122により、入力装置130に含まれる無線通信切替用のスイッチが、車両のユーザにより押下されたか否か判断される。ここで、ステップS105において、車載通信I/F123の動作モードが『STAモード』であると判断されているため、ステップS106において、自車両は外部アクセスポイントの接続範囲内に存在し、車載装置100は外部アクセスポイントを利用して無線通信を行っているものと判断できる。そのため、ステップS106では、例えば、車載装置100のディスプレイ140の画面上に『外部アクセスポイントから離れる』などのメニューが表示され、車両のユーザが入力装置130を介して、このメニューを選択した場合に、車載通信制御装置122は、無線通信切替用のスイッチが押下されたものと判断する。無線通信切替用のスイッチが車両のユーザにより押下された場合は、ステップS107に進み、一方、 無線通信切替用のスイッチが車両のユーザにより押下されていない場合は、ステップS101に戻り、この無線通信の切替処理が繰り返される。
ステップS107では、切替処理2が行われる。切替処理2は、図2に示す第1無線通信方法による無線通信を、図3に示す第2通信方法による無線通信に切り替える処理である。ここで、図6は、切替処理2を示すフローチャートである。以下においては、図6を参照して、切替処理2について説明する。なお、ステップS107において、車載通信I/F123の動作モードは『STAモード』となっている。
まず、ステップS301では、車載制御装置110により、第1無線通信方法による無線通信から、第2無線通信方法による無線通信に切り替えてよいか否かの確認メッセージが、ディスプレイ140を介して、車両のユーザに提示される。そして、ステップS302では、車載制御装置110により、ステップS301でユーザに提示された確認メッセージに対応して、ユーザにより、無線通信の切り替えが許可されたか否か判断される。無線通信の切り替えが許可された場合はステップS303に進み、一方、無線通信の切り替えが許可されない場合は、図6に示す切替処理2を終了する。
ステップS303では、車載通信制御装置122により、携帯通信端末200に対して、外部アクセスポイントとの無線接続を、車載アクセスポイントとの無線接続に切り替えさせるための切替指示が送信される。なお、切替指示は、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介した車載装置100と携帯通信端末200との間の通信セッションを通じて、車載装置100から携帯通信端末200に送信される。そして、続くステップS304では、携帯通信端末200の端末通信装置220により切替指示が受信され、これにより、端末通信制御装置222は、受信した切替指示に基づいて、端末側AP検出装置221に、車載アクセスポイントの検出を開始させる。
ステップS305では、車載通信制御装置122により、車載装置100と外部アクセスポイントとの無線接続の切断が行われる。そして、ステップS306では、車載通信制御装置122により、車載通信I/F123の動作モードが、『STAモード』から『APモード』に変更される。これにより、車載通信I/F123は、車両内部に設置された車載アクセスポイントとして動作することができ、アクセスポイントである車載通信I/F123とステーション端末である携帯通信端末200との間で無線接続が可能となる。
ステップS307では、端末通信制御装置222により、車載アクセスポイントの検出が確認される。ここで、ステップS306において、車載通信I/F123の動作モードが『APモード』となり、車載通信I/F123が車載アクセスポイントとして動作しているため、ステップS304において、車載アクセスポイントの検出を開始した端末側AP検出装置221は、車載アクセスポイントを検出することとなる。これにより、ステップS307において、端末通信制御装置222は、端末側AP検出装置221による車載アクセスポイントの検出を確認することができる。
ステップS308では、端末通信制御装置222により、車載アクセスポイントとして動作する車載装置100と、ステーション端末である携帯通信端末200との無線接続が確立される。さらに、ステップS309では、端末通信制御装置222により、電話回線網を介した携帯通信端末200と情報センタ300との無線接続が確立される。これにより、携帯通信端末200を介して、車載装置100と情報センタ300との無線通信が可能となる。図6に示す切替処理2が終了すると、図4のステップS101に戻り、この無線通信の切替処理が繰り返される。
このように、本実施形態では、外部アクセスポイントが検出され、かつ、外部アクセスポイントが検出された状態において、ユーザが無線通信切替用のスイッチを押下した場合に、図6に示す切替処理2により、車載装置100と携帯通信端末200とが無線接続されることで、車載装置100と携帯通信端末200とが無線通信可能となる。さらにこの場合、携帯通信端末200と情報センタ300とが電話回線網を介して無線接続されることで、携帯通信端末200を介して、車載装置100と情報センタ300とが無線通信可能となる。
一方、図4に示すステップS102において、外部アクセスポイントが検出されないと判断された場合は、ステップS108に進む。ステップS108では、車載通信制御装置122により、前回の無線通信の切替処理において検出された外部アクセスポイントの検出状態と比較して、外部アクセスポイントの検出状態が、検出される状態から検出されない状態に変更されたか否か判断される。外部アクセスポイントの検出状態が、検出される状態から検出されない状態に変更されたと判断された場合は、ステップS109に進み、一方、外部アクセスポイントの検出状態が、検出されない状態のままであると判断された場合は、ステップS101に戻り、この無線通信の切替処理が繰り返される。
ステップS109では、切替処理3が行われる。切替処理3も、切替処理2と同様に、図2に示す第1無線通信方法による無線通信から、図3に示す第2無線通信方法による無線通信方法へ切り替える処理である。 ここで、図7は、切替処理3を示すフローチャートである。以下においては、図7を参照して、切替処理3について説明する。なお、ステップS109では、外部アクセスポイントが検出されておらず、かつ、外部アクセスポイントの検出状態が検出される状態から検出されない状態に変更されている。そのため、自車両は、直前まで、外部アクセスポイントの接続範囲の内側に存在していたものと判断され、車載通信I/F123の動作モードは、このステップS109においても、外部アクセスポイントと無線接続を行うための『STAモード』であるものと判断される。そのため、以下においては、車載通信I/F123の動作モードが『STAモード』であるものとして説明を行う。また、ステップS109の切替処理3においては、外部アクセスポイントが検出されていないため、以下においては、車載装置100と外部アクセスポイントとの無線接続は既に切断されており、かつ、携帯通信端末200と外部アクセスポイントとの無線接続も既に切断されているものとして説明を行う。
まず、ステップS401では、車載通信制御装置122により、車載装置100と外部アクセスポイントとの無線接続が切断されていることが確認される。例えば、車載通信制御装置122は、情報センタ300に対して接続確認用のデータを送信し、この接続確認用のデータに対する返信が、情報センタ300から一定時間以上行われないことを検出することで、車載装置100と外部アクセスポイントとの無線接続が切断されていることを確認する。そして、ステップS402では、車載装置100の車両側AP検出装置121により、外部アクセスポイントの検出が行われ、ステップS403において、車載通信制御装置122により、ステップS402の外部アクセスポイントの検出結果に基づいて、外部アクセスポイントが検出できないことが確認される。
また、ステップS404〜ステップS406では、携帯通信端末200により、ステップS401〜S403と同様の処理が行われる。すなわち、まず、ステップS404では、端末通信制御装置222により、携帯通信端末200と外部アクセスポイントとの無線接続が切断されていることが確認され、続くステップS405では、携帯通信端末200の端末側AP検出装置221により、外部アクセスポイントの検出が行われ、そして、テップS406では、車載通信制御装置122により、外部アクセスポイントが検出できないことが確認される。さらに、ステップS407では、端末側AP検出装置221により、車載アクセスポイントの検出が開始される。
そして、ステップS408〜ステップS411では、上述した図6に示す切替処理2のステップS306〜S309と同様に、第2無線通信方法による無線通信へ切り替えるための処理が行われる。すなわち、車載通信制御装置122により、車載通信I/F123の動作モードが、『STAモード』から『APモード』に変更され(ステップS408)、これにより、携帯通信端末200の端末側AP検出装置221により、車載アクセスポイントの検出が確認される(ステップS409)。そして、端末通信制御装置222により、携帯通信端末200と車載装置100との無線接続が確立されるとともに(ステップS410)、電話回線網を介して、携帯通信端末200と情報センタ300との無線接続が確立される(ステップS411)。そして、図7に示す切替処理3が終了すると、図4のステップS101に戻り、この無線通信の切替処理が繰り返される。
このように、本実施形態では、外部アクセスポイントが検出されず、かつ、外部アクセスポイントの検出状態が検出される状態から検出されない状態に変更した場合に、図7に示す切替処理3により、車載装置100と携帯通信端末200とが無線接続されることで、車載装置100と携帯通信端末200との無線通信が可能となる。さらにこの場合、携帯通信端末200と情報センタ300とが電話回線網を介して無線接続されることで、携帯通信端末200を介して、車載装置100と情報センタ300とが無線通信可能となる。
以上のように、本実施形態に係る無線通信の切替処理が行われる。
このような本実施形態に係る無線通信システムによれば、上述した無線通信の切替処理により、例えば、車載装置100のドライブデータレコーダー150により記録された車両走行中の映像データを、情報センタ300のデータベース330にアップロードする場面において、通信コストを低減するために、以下に説明するような無線通信を行うことが可能となる。
すなわち、自車両が外部アクセスポイントの接続範囲に存在しておらず、外部アクセスポイントが利用できない場合、本実施形態に係る無線通信システムでは、図3に示す第2無線通信方法による無線通信を行うこととなる。この場合に、ドライブレコーダー150により取得された車両走行中の映像データを、無線通信により、車載装置100から携帯通信端末200へと送信し、携帯通信端末200のメモリ230内に記憶しておく。その後、自車両が外部アクセスポイントの接続範囲の外側から内側に移動し、外部アクセスポイントを利用できるようになると、本実施形態に係る無線通信システムでは、図3に示す第2無線通信方法による無線通信から、図2に示す第1無線通信方法による無線通信に切り替わる。そこで、携帯通信端末200のメモリ230に記憶された車両走行中の映像データを、無線通信により、外部アクセスポイントを介して情報センタ300に送信し、情報センタ300のデータベース330にアップロードする。これにより、電話回線網を利用することなく、映像データをデータベース330にアップロードすることができるため、通信コストを低減することができる。
また、この場合、車載端末100と携帯通信端末200との間で、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介した無線通信を可能とする通信セッションを通じて、車載端末100と携帯通信端末200とが無線通信可能となっているため、携帯通信端末200から情報センタ300に映像データをアップロードしている間でも、車載装置100側から、携帯通信端末200を無線通信により操作することができる。
以上のように、本実施形態では、自車両が外部アクセスポイントの接続範囲の外側から内側に移動し、外部アクセスポイントの検出状態が、検出されない状態から検出される状態に変更された場合に、図2に示すように、車載装置100と外部アクセスポイントとの無線接続を確立することで、外部アクセスポイントを介して、車載装置100と情報センタ300との無線通信を可能とすることができる。さらに、この場合に、図2に示すように、携帯通信端末200に対して、外部アクセスポイントとの無線接続の確立を指示するとともに、情報センタ300に対して、車載装置100と携帯通信端末200との間で外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介した無線接続を可能とするための通信セッションの確立を要求することで、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介した車載装置100と携帯通信端末200との無線通信を可能にすることができる。そのため、本実施形態では、電話回線網ではなく、外部アクセスポイントを利用して無線通信を行う場合でも、車載装置100は、情報センタ300と無線通信するとともに、外部アクセスポイントおよび情報センタ300を介して、携帯通信端末200とも無線通信することができるため、車載装置100側から無線通信により携帯通信端末200を操作することができない時間が生じることを有効に防止することができる。
以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
なお、上述した実施形態の車両側AP検出装置121は本発明の車載装置の検出手段に、車載通信I/F123は本発明の車載装置の第1通信手段および第2通信手段に、車載通信制御装置122は本発明の車載装置の第1制御手段および第2制御手段に、端末側AP検出装置221は本発明の携帯通信端末の検出手段に、端末通信I/F223は本発明の携帯通信端末の第1通信手段および第2通信手段に、端末通信制御装置222は本発明の携帯通信端末の制御手段に、それぞれ相当する。