JP5484968B2 - 情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム - Google Patents

情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム Download PDF

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Description

本発明は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
一般的に、金融機関では、融資を行う場合、顧客の貸借対照表や損益計算書等の財務データに基づいて、顧客に対して自社で格付を行い、自社内で予め定められた格付に応じた与信限度額(クレジットリミット)に基づいて融資額を決定する。
例えば、特許文献1では、社内スコア(自社内で予め定められた格付)に応じたクレジットライン(与信限度額)を、調査機関から入手可能な売上高、総資産、自己資本等の情報により得られる取引先の企業規模毎に設定しておき、社内スコア及び企業規模が決定されれば自動的にクレジットラインが設定される金融取引システムが開示されている。
特開2002−7703号公報
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、期待損失(EL:expected loss)に基づく手法が採用され、「実際の倒産が予想倒産件数と同じであれば」という前提で、クレジットラインの上限が導出されているが、期待損失を超える損失については考慮されていない。また、ELは、1社に100億を貸している場合と2社に50億ずつ貸している場合とが同じ値となる指標となっており、残高の偏りを踏まえた実質的な債務者数(実質債務者数)が考慮されていない。つまり、従来の技術では、与信限度額の算出において、リスク量が適切に考慮されておらず、与信限度額を適切に設定することができないという問題がある。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、与信限度額をより適切に設定することを目的とする。
そこで、本発明に係る情報処理装置は、実質債務者数Nの仮想データを、記憶部に記憶されている設定情報を基に作成する仮想データ作成手段と、前記記憶部に記憶されている格付毎の推移を表す格付推移データに従って、複数のシナリオについて、前記仮想データの推移後の格付を決定する推移後格付決定手段と、前記仮想データの推移後の格付に基づいてシナリオ毎にリスク量を計算し、前記記憶部に記憶されている信頼水準に対応するリスク量を前記仮想データの予測リスク量として特定する予測リスク量特定手段と、前記記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さい予測リスク量が前記予測リスク量特定手段で特定された際の前記実質債務者数Nのうち、最小となる実質債務者数Nを分散対象数として設定する分散対象数設定手段と、前記分散対象数設定手段で設定された分散対象数と前記記憶部に記憶されている与信総額とに基づいて与信限度額を算出する与信限度額算出手段と、を有する。
ここで、「仮想データ作成手段」は、例えば、後述する仮想データ作成部100に対応する。「推移後格付決定手段」は、例えば、後述する推移後格付決定部110に対応する。「予測リスク量特定手段」は、例えば、後述する予測リスク量特定部120に対応する。「分散対象数設定手段」は、例えば、後述する分散対象数設定部130に対応する。「与信限度額算出手段」は、例えば、後述する与信限度額算出部140に対応する。
また、本発明に係る情報処理装置は、格付毎の推移を表す格付推移データを記憶部から取得し、対象数Nからなる複数のシナリオの推移後の格付を、乱数を用いて決定する推移後格付決定手段と、前記推移後格付決定手段で決定された推移後の格付に対応する相関及びデフォルト率、予め設定されたデフォルト時の損失率、並びに予め設定された与信総額を記憶部から取得し、取得した前記相関、前記デフォルト率、前記損失率、及び前記与信総額に基づいて、シナリオ毎にリスク量を算出するリスク量算出手段と、前記リスク量算出手段で算出されたリスク量から、前記記憶部に記憶されている信頼水準に対応するリスク量を前記対象数Nの予測リスク量として特定する予測リスク量特定手段と、前記記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さい予測リスク量が前記予測リスク量特定手段で特定された際の前記対象数Nのうち、最小となる対象数Nを分散対象数として設定する分散対象数設定手段と、前記分散対象数設定手段で設定された分散対象数と前記与信総額とに基づいて与信限度額を算出する与信限度額算出手段と、を有する。
ここで、「推移後格付決定手段」は、例えば、後述する推移後格付決定部200に対応する。「リスク量算出手段」は、例えば、後述するリスク量算出部210に対応する。「予測リスク量特定手段」は、例えば、後述する予測リスク量特定部220に対応する。「分散対象数設定手段」は、例えば、後述する分散対象数設定部230に対応する。「与信限度額算出手段」は、例えば、後述する与信限度額算出部240に対応する。
本発明によれば、与信限度額をより適切に設定することができる。
景気と格付との関係の例を示す図である。 景気と格付との関係の例を示す図である。 情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。 情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。 与信限度額算出処理に係るフローチャートの一例を示す図である。 格付別パラメータの一例を示す図である。 諸設定パラメータの一例を示す図である。 基本パラメータの一例を示す図である。 格付推移行列の一例を示す図である。 計算結果の表示の一例を示す図である。 仮想ポートフォリオ・データの例を示す図である。 格付閾値と債務者の企業価値の確率分布との関係の一例を示す図である。 推移後格付の一例を示す図である。 リスク量計算用パラメータの一例を示す図である。 リスク量の一例を示す図である。 最悪時のリスク量の一例を示す図である。 情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面に基づいて説明する。
はじめに、リスク量を適切に考慮して与信限度額を求める本実施形態の概要について説明する。
ここでの与信限度額は、債務者の財務的な返済能力についての視点から求められる値ではなく、債務者に仮に財務状況の観点から融資可能と判断された場合であっても、当該金融機関の与信ポートフォリオ管理として一の債務者への与信集中を許容できる限度の視点から求められるものである。なお、一の債務者とは、単に法人格等の本人名寄せによるものだけでなく、信用リスクの観点から同じ企業グループ等に属する債務者をひとまとめにして一者(一社)とみなしたものでもよい。
すなわち、高格付の債務者であっても、少数の債務者へ与信集中の度合いを高くしていくと、当該金融機関が抱えるリスク量(確率的に被りうる最大的な損失であり、経済的価値の変動を基に計算される。)は大きくなる。
そこで、本実施形態では、与信限度額を一定の値として特定の債務者への集中を制限することで、ポートフォリオのリスク量が一定以下となるような与信限度額を定量的に求める。
なお、与信限度額には、その金額以上に融資等を行うことを制限するハード・リミットだけでなく、ソフト・リミット、アラーム・ラインのように通常とは異なる取引条件や業務運用等を適用する基準となるものも含まれる。
また、株式投資で例えると、次のようになる。
全資産をA社の株など特定の銘柄に一点張りするとリスクが大きい(即ち、損失が大きくなる確率が高い。)。そこで、ポートフォリオ理論により、複数の銘柄に分散投資することでリスクを軽減できるが、リスクを一定以下にするためには一銘柄当たりの投資額をいくら以下にすべきか、という限度額を考える。
例えば、東証一部上場の銘柄である場合は、幾つの銘柄に分散投資した方がよいといった目安が提言されることがあるが、見方を変えると、「限度額=全資産/最小分散銘柄数」と考えられる。一銘柄当たりの投資額を上記限度額以下にすると、結果としてポートフォリオの銘柄数は、最小分散銘柄数以上となることがわかる。すなわち、単純に銘柄数だけを満たしても、特定の銘柄に偏っていては実質的な銘柄数は増えることにはならないので、限度額をもとに投資を行うようにする。
ここで、銘柄数の目安は、必ずしも定量的に求められたものではない場合があるが、そこで用いられている発想を定量的なアプローチで捉えると、「N銘柄に概ね均等に分散投資したときを仮想的に考えて、VaR(Value-at-Risk)のようなリスク指標を一定以下にしたいと考えると、Nをいくつ以上とすべきか」という計算に想到する。
また、上記と同じ計算を、東証二部や新興株について行うと、上記のNよりも大きくなるかもしれない。つまり、投資対象を同じようなリスク特性を有するものにカテゴリーに分けて考えると、カテゴリーごとに異なる計算結果となることが予想される。
株式投資についての例えを、本実施形態の与信限度額(クレジットリミット)について当てはめると、「N先の債務者に均等に与信したときを仮想的に考えて、VaR・非期待損失(UL:unexpected loss)のようなリスク指標(上例では、市場リスクであったが、ここでは信用リスクである。)を一定以下にしたいと考えると、Nをいくつ以上とすべきか」という計算が必要になる。
その条件を満たすNを最小分散社数(Nmin)とすると、与信限度額=与信総額/Nminとなる。一債務者当たりのEAD(与信額)を上記与信限度額以下にすると、結果としてポートフォリオの実質的な債務者数(実質債務者数)は、Nmin以上となることがわかる。すなわち、単純に債務者数だけを満たしても、特定の債務者に偏っていては実質的な債務者数は増えることにはならないので、与信限度額をもとに与信を行う必要がある。ここで、EADは、デフォルト時エクスポージャー(EAD:Exposure at Default)である。
なお、不均等のポートフォリオを、N先の均等ポートフォリオで近似するときのNを求める方法については、例えば参考文献1の集中度係数を用いて、N=1/集中度係数の二乗(つまり、集中度係数=1/√N)として計算することができる。同様の計算式は、エクスポージャーの実効的な個数として、金融庁告示第十九号 第二百六十一条第一項等で用いられている。
参考文献1:家田明・丸茂幸平・吉羽要直、「与信ポートフォリオにおける信用リスクの簡便な算出方法」、『金融研究』 2000.9、日本銀行 金融研究所。
また、債務者を同じようなリスク特性を有するものにカテゴリー分けするときは、基本的には、債務者の格付(内部格付・外部格付)が考えられる。ただし、現在の格付のみに基づいたリスク量にはプロシクリカリティ(pro-cyclicality:景気循環を増幅する効果)が問題となる。
より具体的には、図1Aに示すように、景気にともなって債務者の格付も変動するため、そういったリスク指標を判断基準として貸出等を行ったとき、景気による貸出姿勢の変化を激しくする結果となることが懸念される。なお、景気に影響されにくいTTC(Through The Cycle)の格付モデルへの取り組みはあるものの、毎年ある程度の割合で格付が推移しているのが実態である。
また、図1Bに示すように、好景気のときには現在の格付は高いものの、格付推移の見通しとしては下落の傾向が予想される。また、不況のときには、その逆となる。
そこで、本実施形態では、モンテカルロ法、準モンテカルロ法等を用いて推移後の格付をシミュレーションし(後述の格付推移行列を使用し)、推移後の格付によりリスク量を計算する。この構成によれば、上述した平均回帰(mean reversion)の性質を織り込むことができるようになる。なお、不景気時においても常に下落の傾向の格付推移を想定するようなストレス・シナリオとしての用い方や、現状維持を想定した使用も可能である。
よって、リスク量に見合う分だけの自己資本等を充実させる必要のある金融機関のおいては、特に、上記のように格付推移を織り込んだリスク量を用いることで、長期的な自己資本等の充実、経営基盤の安定性の確保を図ることができるようになる。
以下では、推移後の格付に基づくリスク量をシミュレーションし、格付別の与信限度額を求める方法を説明する。
図2は、本実施形態に係る情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
情報処理装置は、CPU(Central Processing Unit)10、記憶デバイス20、入力デバイス30、及び出力デバイス40を含んで構成される。CPU10、記憶デバイス20、入力デバイス30、及び出力デバイス40は、バス50を介して通信可能に接続されている。
CPU10は、必要に応じて、記憶デバイス20よりプログラムを読み出して、プログラムを実行する。プログラムが実行されることで、情報処理装置における後述の機能、及び後述のフローチャートに係る処理が実現される。
記憶デバイス20は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HD(Hard Disk)等で構成され、各種の情報を記憶する。記憶デバイス20(例えば、ROM)は、情報処理装置の電源投入時に最初に読み込まれるプログラム等を記憶する。また、記憶デバイス20(例えば、RAM)は、情報処理装置のメインメモリとして機能する。また、記憶デバイス20(例えば、HD)は、プログラム以外にCPU10により算出された数値データ等を記憶する。
入力デバイス30は、ユーザが操作するキーボード及びマウス等で構成され、情報処理装置に各種の情報を入力する機器である。出力デバイス40は、利用者の用に供するディスプレイ等で構成され、各種の情報、画面等を出力する機器である。
なお、情報処理装置は、自装置(すなわち、情報処理装置)を外部記憶デバイス(例えば、CD−ROMドライブ)、ネットワーク等に接続するインターフェースを備えてもよい。すなわち、情報処理装置は、記憶デバイス20に記憶される各種の情報を、CD−ROM等の記録媒体から取得してもよいし、ネットワーク等を通じてダウンロードしてもよい。
次に、図3を参照して、情報処理装置の機能構成について説明する。図3は、情報処理装置の機能構成の一例を示す図である。情報処理装置は、仮想データ作成部100、推移後格付決定部110、予測リスク量特定部120、分散対象数設定部130、及び与信限度額算出部140を含んで構成される。
仮想データ作成部100は、実質債務者数Nの仮想データ(例えば、後述の仮想ポートフォリオ・データ)を、設定情報(例えば、後述の各種のパラメータ)を基に作成する。
推移後格付決定部110は、記憶部の一例である記憶デバイス20に記憶されている格付毎の推移を表す格付推移データ(例えば、後述の格付推移行列)に従って、複数のシナリオについて、仮想データの推移後の格付(例えば、後述の格付推移シナリオ)を決定する。
予測リスク量特定部120は、仮想データの推移後の格付に基づいてシナリオ毎にリスク量を計算し、仮想データの予測リスク量(例えば、後述の格付推移の信頼水準100α%点に対応するリスク量)を特定する。
分散対象数設定部130は、記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さくなるNのうち最小のものを分散対象数(例えば、後述の最小分散社数Nmin)として設定する。
与信限度額算出部140は、分散対象数設定部130で設定された分散対象数と記憶部に記憶されている与信総額とに基づいて与信限度額を算出する。
図4は、本情報処理装置における与信限度額算出処理に係るフローチャートの一例を示す図である。
まず、CPU10は、計算対象とする格付(k)を決定する(ステップS10)。より具体的には、CPU10は、計算対象とする格付を記憶デバイス20から読み出す。計算対象とする格付は、例えば画面を介したユーザ操作により、格付別パラメータとして格付ごとに予め設定されている(例えば、図5A参照のこと。)。
次に、CPU10は、実質債務者数(N)を定める(ステップS15)。より具体的には、CPU10は、実質債務者数を探索する区間(N探索区間)の上限値及び下限値を記憶デバイス20から読み出し、例えば二分法を用いて実質債務者数の値(整数)を定める。N探索区間の上限値及び下限値は、例えば画面を介したユーザ操作により、諸設定パラメータとして予め設定されている(例えば、図5B参照のこと。)。
なお、二分法について、より具体的に説明すれば、以下の(a)〜(b)のとおりである。
(a)実質債務者数NをN探索区間の上限値としたときの予測リスク量と許容リスク量の大小関係(+−)と、同様にNを下限値としたときの大小関係が同じであるときはエラーとする。
(b)Nを、上限値と下限値の中間値(整数)としたときの大小関係が、下限値と同じであれば、下限値を中間値で置換し再度(b)を行う。上限値と同じときは上限値を中間値で置換し再度(b)を行う。
(c)(b)を下限値と上限値の差が1以下となるまで繰り返し、そのときの上限値を最小分散社数とする。
次に、CPU10は、実質債務者数についての仮想ポートフォリオ・データを作成する(ステップS20)。より具体的には、CPU10は、与信総額を記憶デバイス20から読み出し、仮想ポートフォリオ・データとして、各債務者(i=1,・・・N)のEAD(=与信総額/実質債務者数)を求める。また、与信総額は、例えば画面を介したユーザ操作により、基本パラメータとして予め設定されている(例えば、図5C参照のこと。)。
次に、CPU10は、格付推移行列に基づいて格付推移シナリオを生成し、推移後格付を求める(ステップS25)。より具体的には、CPU10は、債務者(i)の現在の格付(Ri)を基に、格付推移行列、デフォルト率(PD:Probability of Default)、及び相関を記憶デバイス20から読み出し、格付推移シナリオ(j=1,・・・試行回数)について、モンテカルロ法や準モンテカルロ法等により推移後格付(Rij)を求める。なお、相関とは、債務者が相互に関係しあっていること(例えば、景気が悪いときに、各債務者がばらばらにデフォルトするのではなく、それぞれが関連してデフォルトすること)をいう。
ここで、格付推移行列は、例えば画面を介したユーザ操作により、予め設定されている(例えば、図5D参照のこと。)。格付推移行列は、今期の格付が来期ではどの格付にあるか、すなわち今期の格付がどの様に推移するかを示している。なお、本実施形態では、格付は、「S」が最も高い格付であり、「A」、「B」、・・・の順に、低い格付となり、デフォルトは、債務不履行となることを表す。
また、PD及び相関は、例えば画面を介したユーザ操作により、格付別パラメータとして格付ごとに予め設定されている(例えば、図5A参照のこと。)。
次に、CPU10は、推移後格付に基づくリスク量(VaR、UL等)を計算する(ステップS30)。より具体的には、CPU10は、債務者の推移後格付に基づいて仮想ポートフォリオ・データのリスク量を解析近似法、モンテカルロ法等により求める。
次に、CPU10は、試行回数分のステップS25及びステップS30の処理を行う(ステップS35)。換言するならば、CPU10は、試行回数分の処理を行ったかを判定する。このとき、CPU10は、試行回数分の処理を行ったと判定した場合は、ステップS40の処理を行い、試行回数分の処理を行っていないと判定した場合は、ステップS25の処理を行う。
ステップS40では、CPU10は、推移後格付に基づくリスク量の分布を作成する。
次に、CPU10は、作成した分布の100α%点(なお、αは、図5Cに示す格付推移時の信頼水準の値である。)を求めることで、確率αで起こりうる最悪時のリスク量(Wα)とする(ステップS45)。
次に、CPU10は、最悪時のリスク量と許容リスク量の大小関係(言い換えると、解を含む区間)を判定する(ステップS50)。
次に、CPU10は、最悪時のリスク量<許容リスク量となる最小の実質債務者数(最小分散社数Nmin)を求める(ステップS55)。換言するならば、CPU10は、解を求めることができたか否かを判定する。このとき、CPU10は、最小の実質債務者数を求めたと判定した場合、ステップS60の処理を行い、求めていないと判定した場合、ステップS15の処理を行う。
ステップS60では、CPU10は、計算対象の格付の与信限度額を与信総額/最小の実質債務者数を計算することにより求める。なお、計算結果については、CPU10は、任意の桁において四捨五入をして端数を処理等してもよい。
次に、CPU10は、計算対象の格付の全ての与信限度額を求めたか否かを判定する(ステップS65)。このとき、CPU10は、全ての与信限度額を求めたと判定した場合は、与信限度額算出処理を終了し、与信限度額を求めていないものがあると判定した場合は、ステップS10の処理を行う。
なお、CPU10は、上述の与信限度額算出処理を終了すると、計算結果として、格付ごとの与信限度額を出力デバイスに表示する(例えば、図5E参照のこと。)。
ここで、与信限度額の算出方法について、より具体的な例を挙げて説明する。なお、ここでは、各種のパラメータは図5に示すものとする。
また、上述のとおり、本実施形態では、CPU10は、図5Aに示す格付けを順次読み出し、各格付についてステップS10〜ステップS65の処理を繰り返し実行する。ここでは、ステップS10でCPU10によって記憶デバイス20から読み出された格付が「C」(以下では、C格と称する。)の場合について説明する。
また、上述のとおり、本実施の形態では、CPU10は、二分法によって所定の条件を満たすNが求まるまでは、Nを変化させながらS15〜S55を繰り返し実行する。図5Bに示す例では、Nの最小値は10であり、Nの最大値は1000であることを示しているが、ここでは、ステップS15で実質債務者数が100として定められた場合について説明する。
なお、本実施の形態では、二分法によりNを変化させていくが、例えば最小値から1ずつ順番にNの値を増加させていきながら、所定の条件を満たすN(すなわち、最悪時のリスク量Wα<許容リスク量となる最小のN)を求める構成であってもよく、特に限定はされない。
まず、CPU10は、仮想ポートフォリオ・データを作成する(ステップS20)。仮想ポートフォリオ・データは、図6に示すように、債務者(債務者i)に対応して、現在の格付(現在格付Ri)および、EAD(EADi)を含んで構成される。EADは、与信総額を実質債務者数(N)で除することにより算出され、この例では、EADは、1兆五千(億円)/100(人)=150(億円)となる。付言するならば、この例では、Nは100であり、N−1は99であり、N−2は98である。
次に、CPU10は、格付推移行列のC格に対応する行の値(0%、0%、4.0%、70.0%、16.0%、5.0%、3.0%、1.9%、0.1%)を取得し、モンテカルロ法を適用して、債務者i(i=1、・・・100)及び格付推移シナリオj(j=1、・・・試行回数)に対応する推移後格付を求める(ステップS25)。
より詳細に説明すると、CPU10は、処理手順(1)〜(3)を行うことで推移後格付を求める。なお、処理手順1〜2における計算式では、s、rは、格付記号に対応する整数符号(低格付から順番に1〜としたもの)とする。図5Dに示す例では、格付記号のデフォルト、G、F、E、D、C、B、A、Sの順に、それぞれ、整数符号1、2、3、4、5、6、7、8、9に対応する。また、Riは債務者iの現在格付であり、Rijは債務者iの格付推移シナリオjにおける推移後格付であるが、明細書や図面では、格付記号または格付記号に対応する整数符号のいずれかによって、具体的な格付を示している。
以下では、図7および図8を用いて、推移後格付を算出する処理手順(1)〜(3)について説明する。図7は、格付閾値と債務者の企業価値の確率分布(標準正規分布の確率密度関数n(x))との関係の一例を示す図である。また、図8は、複数の格付推移シナリオを示す図であり、CPU10により求められた格付推移シナリオごとの推移後格付の一例を示している。また、ここでは、モンテカルロ法での試行回数が10000回の場合を例に説明する。
処理手順(1)
はじめに、CPU10は、記憶デバイス20に記憶されている図5Dに示す格付推移行列のうち、ステップS10で読み出した計算対象の格付(ここでは、C格)に対応する行の値を読み出し、式(1)及び式(2)を用いて、図7の横軸に示す格付閾値θrを算出する。格付閾値θrとは、格付sから格付r以下へ推移するときの企業価値の閾値である。ここで、図7は、格付閾値と債務者の企業価値の確率分布(標準正規分布の確率密度関数n(x))との関係の一例を示す図であり、横軸は企業価値、縦軸は各企業価値となる確率を示している。なお、図7に示す企業価値の分布を表す曲線は、格付閾値θ0〜θ9を説明するために模式的に示すものであって、債務者ごとに個別に算出するものではない。
Figure 0005484968
ここで、Pskは、現在の格付(Ri=s)からkに対応する格付へ格付が推移する確率である。なお、この例では、Pskは、取得した格付推移行列のC格に対応する行の値である。より具体的には、この例では、現在のC格は整数符号6に対応しており、P6k(k=1〜9)の各値を設定する。すなわち、現在のC格から、デフォルト、G格、F格、E格、D格、C格、B格、A格、S格の各格付へ推移する確率は、それぞれ、P61、P62、P63、P64、P65、P66、P67、P68、P69のように表され、それぞれ、図5Dの格付推移行列においてC格に対応する行の各値、すなわち、0.1%、1.9%、3.0%、5.0%、16.0%、70.0%、4.0%、0%、0%が代入されることになる。
また、PSsrは、現在の格付(Ri=s)からrに対応する格付以下へ推移する確率である。例えば、現在のC格からr(=1〜9)に対応する格付以下へ推移する確率はPS6rのように表される。より具体的には、例えば現在のC格からD格以下へ推移する確率は、D格が整数符号5に対応しており、PS65=P61+P62+P63+P64+P65のように表される。
また、N(x)は、標準正規分布の累積確率関数であり、N-1(x)は、N(x)の逆関数である。なお、上述のθ0およびθ9については図示していないが、θ0=−∞、θ9=∞である。これは、例えば、現在の格付をC格とすると、PS60=0%およびPS69=100%を式(2)に代入することによって、θ0およびθ9がそれぞれ求まる。
処理手順(2)
次に、CPU10は、債務者(債務者i)の企業価値(xi)を表す乱数を生成する。例えばメルセンヌ・ツイスターを用いて、標準正規乱数を生成するが、他の乱数の生成法を用いてもよく特に限定されない。そして、CPU10は、発生した乱数が式(3)の関係を満たすとき、推移後格付Rijをrとする。
より具体的には、CPU10は、生成した乱数と図7の横軸に示す格付閾値θ0〜θ9の各値とを比較して、式(3)を満たすようなr(=1〜9)を特定する。そして、CPU10は、特定したrに対応する格付を、図8に示す推移後格付Rijとして決定し、記憶デバイス20に記憶する。例えば、CPU10は、債務者1について、現在格付がC格の場合に格付推移シナリオ1において生成した乱数xiが、θ4<xi<θ5を満たす値であれば、D格であると判定し、記憶デバイス20に記憶する。
Figure 0005484968
処理手順(3)
CPU10は、処理手順(2)を全ての債務者及び格付推移シナリオについて繰り返し行う。すなわち、この例では、処理手順(2)が、100(人)×10000(回)=1000000(回)行われる。
より具体的には、はじめに、CPU10は、図8に示す全ての債務者i(i=1〜100)について、格付推移シナリオ1における乱数(x1〜x100)を生成し、全てのxi(i=1〜100)について、処理手順(2)のとおり、式(3)を満たすrを特定する。これにより、CPU10は、格付推移シナリオ1における各債務者i(i=1〜100)の推移後格付Ri1(図8の格付推移シナリオj=1の列)を決定する。次に、CPU10は、同様にして、格付推移シナリオ2における各債務者i(i=1〜100)の推移後格付Ri2を決定する。さらに、CPU10は、格付推移シナリオ10000まで、同様の処理を繰り返す。
次に、CPU10は、各格付推移シナリオj(j=1〜10000)について、求めた推移後格付に基づいてリスク量を、解析的近似法、モンテカルロ法等を用いて計算する(ステップS30)。解析的近似法、モンテカルロ法等を用いてリスク量を計算する方法を開示した文献としては、例えば次のようなものがある。
参考文献2:安藤美孝、「与信ポートフォリオの信用リスクの解析的な評価方法:極限損失分布およびグラニュラリティ調整を軸に」、『金融研究』 2005.7、日本銀行 金融研究所
参考文献3:菊池健太郎、「与信ポートフォリオVaRの解析的な評価法:条件付鞍点法による近似計算の理論と数値検証」、『金融研究』第26巻別冊第2号、日本銀行金融研究所、2007年
参考文献4:肥後秀明、「信用リスク計量モデルの基礎と応用」、日本銀行 金融機構局 金融高度化センター、2006年7月10日
以下では、参考文献2に示される式(24)〜式(30)を用いて、リスク量を計算する方法について説明する。
まず、CPU10は、図9に示すように、ステップS25において生成した各格付推移シナリオについて、リスク量の計算に用いるパラメータ(リスク量計算用パラメータ)を生成する。リスク量計算用パラメータは、債務者毎に、格付推移シナリオ、PD、相関、デフォルト時の損失率(LGD:Loss Given Default)、及びEADを含んで構成される。
つまり、CPU10は、全ての格付推移シナリオj(j=1〜10000)について、図5Aに示す格付別パラメータおよび図5Cに示す基本パラメータから、各債務者i(i=1〜100)の推移後格付に対応するPD、相関、デフォルト時の損失率(LGD:Loss Given Default)、及びEADを取得し、図9に示すような構成のデータを記憶デバイス20に記憶させ、リスク量計算用パラメータとして用意する。ここで、図9は、格付推移シナリオ1についてのリスク量計算用パラメータを示す図である。
より具体的には、図9に示すPD(PDi)は、図5Aに示す格付別パラメータのPDのうち、推移後格付に対応する値である。例えば、図9に示すように、格付推移シナリオ1については、債務者1の推移後格付はD格であるので、D格に対応する0.50%がCPU10により記憶デバイス20に記憶された格付別パラメータから取得される。
また、図9に示す相関(相関ri)は、図5Aに示す格付別パラメータの相関のうち、推移後格付に対応する値である。例えば、図9に示すように、格付推移シナリオ1における債務者1の推移後格付はD格であり、D格に対応する2.00%がCPU10により記憶デバイス20に記憶された格付別パラメータから取得される。
また、図9に示すLGD(LGDi)は、図5Cに示す基本パラメータのLGDであり、この例では、45%であり、CPU10によって、記憶デバイス20に記憶された格付パラメータから取得される。
また、図9に示すEAD(EADi)は、図6に示す仮想ポートフォリオ・データの各債務者のEADであり、この例では、150億である。各債務者のEAD(EADi)は、CPU10によって、ステップS20において生成された仮想ポートフォリオ・データを記憶している記憶デバイス20から取得される。
続いて、CPU10は、格付け推移シナリオごとに、式(4)〜(15)と生成したリスク量計算用パラメータとから、図10に示すようなリスク量(UL或いはVaR)を求める。より具体的には、CPU10は、VaRを算出する場合、式(14)においてx=N-1(1−β)を代入することになるが、このとき、まず、x=N-1(1−β)と上記のリスク量パラメータとを用いて式(4)〜式(12)に示す各値を算出してから、式(14)によってVaRを算出することになる。また、ULを算出する場合、式(15)に示すとおり、式(14)によって算出したVaRのほか、ELが必要となるため、上記のリスク量パラメータを用いて式(13)によってELを算出してから、式(15)に示すULを算出することになる。なお、βは、リスク量計算時の信頼水準であり、この例では、99.0%である(図5C参照のこと。)。また、図10では、シナリオjのリスク量Vjの一例としてULを示している。
Figure 0005484968
図10に、格付推移シナリオ毎の計算結果(リスク量Vj)の一例を示す。続いて、CPU10は、リスク量の確率分布を作成し、格付推移時の信頼水準(α)として設定された99%点に対応するリスク量を最悪時のリスク量(Wα)として決定する。換言するならば、CPU10は、図10に示すリスク量を小さい方から順に並べたときの例えば(試行回数×格付推移時の信頼水準)番目のリスク量を最悪時のリスク量として決定する。例えば、試行回数が10000回で、格付推移時の信頼水準が99%であれば、リスク量の小さいほうからカウントして、9900(=10000×0.99)番目のリスク量を、計算の対象となっている実質債務者数Nにおける最悪時のリスク量として決定する。そして、CPU10は、最悪時のリスク量と許容リスク量との大小関係を判定し、判定結果を記憶デバイス20に記憶する。なお、リスク量としては、ULを採用してもよいし、VaRを採用してもよい。
続いて、CPU10は、必要に応じて実質債務者数Nを変更し、上記と同様に最悪時のリスク量を決定する。これにより、例えば図11に示すように、実質債務者数Nごとに最悪時のリスク量のデータが生成される。そして、CPU10は、実質債務者数Nごとの最悪時のリスク量について、許容リスク量との大小関係を判定し、最悪時のリスク量が許容リスク量よりも小さくなる最小の実質債務者数、すなわち、最小分散社数Nminを決定し、与信限度額(=与信総額/最小の実質債務者数)を求める。なお、図11に示す例では、説明のため、Nを1つずつ増加させた場合の最悪時のリスク量についての計算結果のイメージを示しているが、二分法を用いた場合には、Nは1つずつ増加する訳ではない。
以上のとおり、CPU10は、ステップS15において二分法によって決定した各実質債務者数Nについて、ステップS20〜ステップS45によって最悪時のリスク量を算出し、ステップS50において許容リスク量との大小関係を判定するという一連の処理を繰り返し、最終的にステップS55において、許容リスク量よりも小さい最悪のリスク量が特定された際の実質債務者数Nのうち、最小となる実質債務者数Nを最小分散社数Nminとして決定し、ステップS60において与信限度額を算出する。なお、実質債務者数Nが最小のときには、最悪時のリスク量は最大となるため、許容リスク量よりも小さい最悪時のリスク量のうち、最大となる最悪時のリスク量が特定されたときの実質債務者数Nを最小分散社数Nminとして決定することもできる。そして、最小分散社数Nminを決定するステップS15〜ステップS60までの一連の処理は、ステップS10において選択された格付ごとに繰り返され、最終的に図5Eに示すように、格付ごとの与信限度額のデータが生成されることになる。
本実施形態によれば、期待損失だけでなくVaRやULなどの確率的な最大損失を考慮したリスク指標の値に基づいて与信限度額を算出することができる。しかも、推移後格付に基づいて算出されたリスク指標の値を用いて与信限度額を算出することになるため、与信限度額に平均回帰の性質を織り込むことができ、プロシクリカリティを解決することが可能となる。したがって、景気の現況のみに左右されることのない適切な与信限度額を設定することができるようになる。
これにより、リスク量に見合う分だけの自己資本等を充実させる必要のある金融機関においては、特に、格付の推移を織り込んだリスク量を用いることで、長期的な自己資本等の充実、経営基盤の安定性の確保を図ることができるようになる。
なお、本実施形態では、最小分散社数Nminを求める方法として、二分法を用いて説明したが、その他の検索アルゴリズムを用いてもよい。例えば、探索区間の対象を1つずつ計算して最小分散社数Nminを求めてもよい。
また、本実施形態では、情報処理装置は、図3に示す機能構成を有するが、これに限られるものではない。例えば、情報処理装置は、図12に示す機能構成を有してもよい。本情報処理装置は、推移後格付決定部200、リスク量算出部210、予測リスク量特定部220、分散対象数設定部230、及び与信限度額算出部240を含んで構成される。
推移後格付決定部200は、格付推移データを記憶部から取得し、対象数N(例えば、実質債務者数N)からなる複数のシナリオ(例えば、格付推移シナリオ)の推移後の格付を、乱数を用いて決定する。リスク量算出部210は、推移後格付決定部200で決定された推移後の格付に対応する相関及びデフォルト率、デフォルト時の損失率、並びに与信総額に基づいて、シナリオ毎にリスク量を算出する。
予測リスク量特定部220は、リスク量算出部210で算出されたリスク量から予測リスク量を特定する。分散対象数設定部230は、記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さくなるNのうち最小のものを分散対象数として設定する。与信限度額算出部240は、分散対象数設定部230で設定された分散対象数と記憶部に記憶されている与信総額とに基づいて与信限度額を算出する。
また、モンテカルロ法、準モンテカルロ法、解析的近似法等を用いた計算は、債務者毎に同じ計算パターンの繰り返しである。そこで、推移後格付決定部110、予測リスク量特定部120、推移後格付決定部200、リスク量算出部210等は、CPU10に実装される(CPU10が提供する)、SIMD(Single Instruction Multiple Data)という機能(SIMD機能)を利用することにより、計算を高速化する。
また、PDについては、破綻懸念先デフォルト基準、要管理先デフォルト基準等を採用することができ、かつ、ストレスをかけた値を採用してもよい。相関、LGDについても同様である。
また、格付推移行列については、過去実績により求めたもの以外に、ストレスをかけた値を採用してもよい。1年間の推移確率以外に、数年間もしくは1年未満の推移確率を採用してもよい。
また、与信総額については、貸出残高のうち担保、保証等で保全された金額や未収利息、コミットメントライン等の未引出部分を含む場合を採用してもよいし、含まない場合を採用してもよい。なお、基準時点の実際の残高以外に、計画上の数字を用いてもよい。
また、与信総額、許容リスク量については、格付毎に異なる値を採用してもよい。
また、以上のように求めた与信限度額に対して、例えば実務上は、きりのよい数字を採用してもよいし、一定の掛目を掛けたものをアラーム・ラインとして採用してもよい。
上述した実施形態によれば、与信限度額をより適切に設定することができるようになる。
また、上述した実施形態では、同種のリスク特性の債務者のみ(homogeneous)の仮想ポートフォリオを用いて、Nを変数とした一次元の数値解析により与信限度額を求めた。他方、多次元の変数を用いて多様なリスク特性の債務者から構成される仮想ポートフォリオを作成する等、数理技術面の探究の余地はある。しかしながら、与信限度額の算出は、数理技術単独の議論ではなく、与信限度額や許容リスク量を超過したときの業務的な意味合い・対応内容と合わせて検討されるべき内容である。そこで、上述した実施形態では、説明・結果予測が容易である一次元の単調関数となるような構成を便宜的に採用している。
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
10 CPU
20 記憶デバイス
30 入力デバイス
40 出力デバイス
50 バス

Claims (8)

  1. 実質債務者数Nの仮想データを、記憶部に記憶されている設定情報を基に作成する仮想データ作成手段と、
    前記記憶部に記憶されている格付毎の推移を表す格付推移データに従って、複数のシナリオについて、前記仮想データの推移後の格付を決定する推移後格付決定手段と、
    前記仮想データの推移後の格付に基づいてシナリオ毎にリスク量を計算し、前記記憶部に記憶されている信頼水準に対応するリスク量を前記仮想データの予測リスク量として特定する予測リスク量特定手段と、
    前記記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さい予測リスク量が前記予測リスク量特定手段で特定された際の前記実質債務者数Nのうち、最小となる実質債務者数Nを分散対象数として設定する分散対象数設定手段と、
    前記分散対象数設定手段で設定された分散対象数と前記記憶部に記憶されている与信総額とに基づいて与信限度額を算出する与信限度額算出手段と、
    を有する情報処理装置。
  2. 前記推移後格付決定手段は、モンテカルロ法又は準モンテカルロ法を適用して推移後の格付を決定し、
    前記予測リスク量特定手段は、モンテカルロ法、準モンテカルロ法、及び解析的近似法の何れか1つを適用してリスク量を算出する請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 前記推移後格付決定手段は、CPUが提供するSIMD機能を利用して推移後の格付を決定し、
    前記予測リスク量特定手段は、CPUが提供するSIMD機能を利用してリスク量を算出する請求項1又は2に記載の情報処理装置。
  4. 格付毎の推移を表す格付推移データを記憶部から取得し、対象数Nからなる複数のシナリオの推移後の格付を、乱数を用いて決定する推移後格付決定手段と、
    前記推移後格付決定手段で決定された推移後の格付に対応する相関及びデフォルト率、予め設定されたデフォルト時の損失率、並びに予め設定された与信総額を記憶部から取得し、取得した前記相関、前記デフォルト率、前記損失率、及び前記与信総額に基づいて、シナリオ毎にリスク量を算出するリスク量算出手段と、
    前記リスク量算出手段で算出されたリスク量から、前記記憶部に記憶されている信頼水準に対応するリスク量を前記対象数Nの予測リスク量として特定する予測リスク量特定手段と、
    前記記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さい予測リスク量が前記予測リスク量特定手段で特定された際の前記対象数Nのうち、最小となる対象数Nを分散対象数として設定する分散対象数設定手段と、
    前記分散対象数設定手段で設定された分散対象数と前記与信総額とに基づいて与信限度額を算出する与信限度額算出手段と、
    を有する情報処理装置。
  5. 情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
    実質債務者数Nの仮想データを、記憶部に記憶されている設定情報を基に作成する仮想データ作成工程と、
    前記記憶部に記憶されている格付毎の推移を表す格付推移データに従って、複数のシナリオについて、前記仮想データの推移後の格付を決定する推移後格付決定工程と、
    前記仮想データの推移後の格付に基づいてシナリオ毎にリスク量を計算し、前記記憶部に記憶されている信頼水準に対応するリスク量を前記仮想データの予測リスク量として特定する予測リスク量特定工程と、
    前記記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さい予測リスク量が前記予測リスク量特定工程で特定された際の前記実質債務者数Nのうち、最小となる実質債務者数Nを分散対象数として設定する分散対象数設定工程と、
    前記分散対象数設定工程で設定された分散対象数と前記記憶部に記憶されている与信総額とに基づいて与信限度額を算出する与信限度額算出工程と、
    を有する情報処理方法。
  6. 情報処理装置が実行する情報処理方法であって、
    格付毎の推移を表す格付推移データを記憶部から取得し、対象数Nからなる複数のシナリオの推移後の格付を、乱数を用いて決定する推移後格付決定工程と、
    前記推移後格付決定工程で決定された推移後の格付に対応する相関及びデフォルト率、予め設定されたデフォルト時の損失率、並びに予め設定された与信総額を記憶部から取得し、取得した前記相関、前記デフォルト率、前記損失率、及び前記与信総額に基づいて、シナリオ毎にリスク量を算出するリスク量算出工程と、
    前記リスク量算出工程で算出されたリスク量から、前記記憶部に記憶されている信頼水準に対応するリスク量を前記対象数Nの予測リスク量として特定する予測リスク量特定工程と、
    前記記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さい予測リスク量が前記予測リスク量特定工程で特定された際の前記対象数Nのうち、最小となる対象数Nを分散対象数として設定する分散対象数設定工程と、
    前記分散対象数設定工程で設定された分散対象数と前記与信総額とに基づいて与信限度額を算出する与信限度額算出工程と、
    を有する情報処理方法。
  7. コンピュータを、
    実質債務者数Nの仮想データを、記憶部に記憶されている設定情報を基に作成する仮想データ作成手段と、
    前記記憶部に記憶されている格付毎の推移を表す格付推移データに従って、複数のシナリオについて、前記仮想データの推移後の格付を決定する推移後格付決定手段と、
    前記仮想データの推移後の格付に基づいてシナリオ毎にリスク量を計算し、前記記憶部に記憶されている信頼水準に対応するリスク量を前記仮想データの予測リスク量として特定する予測リスク量特定手段と、
    前記記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さい予測リスク量が前記予測リスク量特定手段で特定された際の前記実質債務者数Nのうち、最小となる実質債務者数Nを分散対象数として設定する分散対象数設定手段と、
    前記分散対象数設定手段で設定された分散対象数と前記記憶部に記憶されている与信総額とに基づいて与信限度額を算出する与信限度額算出手段と、
    して機能させるプログラム。
  8. コンピュータを、
    格付毎の推移を表す格付推移データを記憶部から取得し、対象数Nからなる複数のシナリオの推移後の格付を、乱数を用いて決定する推移後格付決定手段と、
    前記推移後格付決定手段で決定された推移後の格付に対応する相関及びデフォルト率、予め設定されたデフォルト時の損失率、並びに予め設定された与信総額を記憶部から取得し、取得した前記相関、前記デフォルト率、前記損失率、及び前記与信総額に基づいて、シナリオ毎にリスク量を算出するリスク量算出手段と、
    前記リスク量算出手段で算出されたリスク量から、前記記憶部に記憶されている信頼水準に対応するリスク量を前記対象数Nの予測リスク量として特定する予測リスク量特定手段と、
    前記記憶部に記憶されている許容リスク量よりも小さい予測リスク量が前記予測リスク量特定手段で特定された際の前記対象数Nのうち、最小となる対象数Nを分散対象数として設定する分散対象数設定手段と、
    前記分散対象数設定手段で設定された分散対象数と前記与信総額とに基づいて与信限度額を算出する与信限度額算出手段と、
    して機能させるプログラム。
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