JP5484883B2 - 遊星歯車装置 - Google Patents
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Description
遊星歯車装置は、少ない段数で大きな減速比が得られ、かつ、大きなトルクが伝達できるので、変速装置、増減速装置としてよく用いられている。
ところが、各歯車の加工誤差、組立て誤差等により各歯車間に働く荷重が等しくならない不等配が発生する。各歯車間に不等配が発生すると、大きな荷重を受ける歯車およびその歯車を支持する軸受などが損傷する恐れがある。
これは、内歯車がゴムあるいは板ばねの弾性部材を介してケーシングに支持され、弾性部材の弾性によって内歯車を移動可能として加工誤差や組立て誤差等に起因する荷重不等配の影響を少なくしようとするものである。
また、特許文献1に示されるように、内歯車がゴムあるいは板ばねの弾性部材を介してケーシングに支持されるものでは、強度面で問題がある。すなわち、たとえば、石炭ミルの粉砕テーブルを回転駆動する遊星減速装置のように歯車に高負荷(荷重)が作用するものの場合、弾性部材が破損される恐れがある。
すなわち、本発明の一態様は、外周に歯面を有する太陽歯車と、内周側に歯面を有し、該太陽歯車の外周側に間隔をあけて配置されるとともに外周側がケーシングに支持されている内歯車と、前記太陽歯車および前記内歯車の間で、それらと歯合するように配置されている少なくとも1個の遊星歯車と、が備えられている遊星歯車装置であって、前記内歯車と前記ケーシングとの結合部には、少なくとも一部にスプライン結合部が含まれている遊星歯車装置である。
内歯車はケーシングに対して、スプライン溝とこれに噛み合うスプライン歯との間の隙間分およびスプライン歯の弾性変形分だけ周方向に移動することができるので、加工誤差、組立て誤差等による荷重不等配を調節することができ、荷重等配を向上されせることができる。
また、スプライン結合部はゴム、板ばね等に比較して強度が高いので、歯車に高負荷(荷重)が作用するものにも対応することができる。
また、支持部材が複数ある場合、一旦遊星歯車装置を組み立てた後、各支持部材に作用する荷重を測定し、それらが略一定になるように支持部材の取付位置を容易に調節することができる。
[第一実施形態]
以下、本発明の第一実施形態にかかる遊星減速装置(遊星歯車装置)1について、図1〜図3を参照して説明する。
図1は、第一実施形態にかかる遊星減速装置1が用いられている石炭ミル3の概略構成を示す模式図である。図2は、遊星減速装置1の縦断面図である。
石炭ミル3には、図示を省略しているが、粉砕された微粉を分級し、外部へ供給する部材が備えられている。
遊星減速装置1には、粉砕テーブル7を回転可能に支持するケーシング19と、モータ9の回転が伝達される入力軸21と、入力軸21の端部に固定して取り付けられた外周に歯面を有する太陽歯車23と、内周側に歯面を有し、太陽歯車23の外周側に間隔をあけて配置されるとともにケーシング19に支持されている内歯車25と、内歯車25および太陽歯車23間の空間に配置され、ケーシング19に内歯車25および太陽歯車23と同一回転中心を持つように回転可能に支持されたキャリア27と、それぞれキャリア27に回転可能に支持され、太陽歯車23および内歯車25と歯合する複数の遊星歯車29と、が備えられている。
内部空間31は、上部が開放され、キャリア27の上部に取り付けられた出力軸33の先端が粉砕テーブル7に固定して取り付けられている。
ケーシング19の下部には、キャリア27の軸支部および入力軸21が配置される貫通孔35が設けられている。
遊星歯車29は、自転するとともに太陽歯車23の回りを公転し、この遊星歯車29の公転によってキャリア27は回転する。キャリア27の回転は、出力軸33を介して粉砕テーブル7に伝達される。これにより、粉砕テーブル7は出力軸33回りに回転する。
内歯車25は、上下方向および周方向の移動が拘束されるようにケーシング19に支持されている。
内歯車25の外周とケーシング19の内周との結合部には、複数、たとえば、3個のスプライン結合部37が設けられている。
スプライン結合部37は、ケーシング19の内周に設けられた凸であるスプライン歯39が、内歯車25の外周に設けられた凹部であるスプライン溝41に嵌合して構成されている。
スプライン結合部37は、内歯車25の全周に亘り略等間隔に設けられている。これに限らず、内歯車25の全周の一部分に配置するようにしてもよい。
スプライン結合部37の数や形状(幅、長さおよび高さ)は、負荷等に応じて適宜設定される。
モータ9が作動されると、遊星減速装置1の入力軸21が回転し、それに伴い太陽歯車23が回転する。太陽歯車23が回転すると、固定された内歯車25および太陽歯車23と噛み合っている遊星歯車29が自転しつつ太陽歯車23の周りを公転する。
遊星歯車29の公転動作によりキャリア27は軸線中心回りに回転する。このキャリア27の回転が出力軸33によって粉砕テーブル7に伝達され、粉砕テーブル7は出力軸33回りに回転する。
この状態で、供給管15から粉砕テーブル7の中央部分に石炭が供給される。石炭は、粉砕テーブル7上において遠心力によって外周方向に移動し、粉砕テーブル7と粉砕ローラ11との間にかみこまれ、粉砕される。
粉砕された石炭の微粉は、分級されつつ外部に搬出される。
また、スプライン歯39の剛性は内歯車25の剛性に比べて小さいので、若干の弾性変形が可能である。
内歯車25はケーシング19に対して、スプライン溝41とこれに噛み合うスプライン歯39との間の隙間分およびスプライン歯39の弾性変形分だけ周方向に移動することができるので、加工誤差、組立て誤差等による荷重不等配を調節することができ、荷重等配を向上されせることができる。
また、スプライン結合部37はゴム、板ばね等に比較して強度が高いので、歯車に高負荷(荷重)が作用するものにも対応することができる。
次に、本発明の第二実施形態にかかる遊星減速装置1について、図5を用いて説明する。本実施形態にかかる遊星減速装置1は、第一実施形態と同様に石炭ミル3に用いられている。
本実施形態は、内歯車25のケーシング19に対する結合構造が第一実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
本実施形態では、内歯車25の外周面とケーシング19の内周面とは、間隔があけられるようにされている。内歯車25の外周面とケーシング19の内周面との間に、支持部材43が介装されている。
支持部材43は、扇形断面をした棒材であり、内歯車25の軸線方向に延在するように配置されている。
なお、スプライン結合部44は、支持部材43側にスプライン溝49を、内歯車25側にスプライン歯47を設けるようにしてもよい。
たとえば、図6に示されるように、支持部材43の内側部分が内歯車25にボルト51によって固定して取り付けられ、ケーシング19と支持部材43とがスプライン結合部53によってスプライン結合されるようにしてもよい。スプライン結合部53におけるスプライン歯は、図6に示されるように支持部材43側に設けてもよいし、ケーシング19側に設けてもよい。
これらは、いずれにしても内歯車25とケーシング19との結合部に、スプライン結合部44および/またはスプライン結合部53が含まれていることになる。
このように、内歯車25と支持部材43との間および/またはケーシング19と支持部材43との間にスプライン結合部44,53を設けるので、内歯車25とケーシング19との間を直接スプライン結合する場合と比較してスプライン結合部44,53の精度管理等が容易で、スプライン結合部44,53を容易に加工することができる。
次に、本発明の第三実施形態にかかる遊星減速装置1について、図8〜図10を用いて説明する。本実施形態にかかる遊星減速装置1は、第一実施形態と同様に石炭ミル3に用いられている。
本実施形態は、内歯車25のケーシング19に対する結合構造が第一実施形態および第二実施形態のものと異なるので、ここではこの異なる部分について主として説明し、前述した第一実施形態および第二実施形態のものと同じ部分については重複した説明を省略する。
なお、第一実施形態および第二実施形態と同じ部材には同じ符号を付している。
本実施形態では、ケーシング19は、軸線方向で分割され、分割された部材の間にドーナツ形状の中間空間55が形成されている。
支持部材43と内歯車25とは、スプライン結合部44によってスプライン結合されている。すなわち、内歯車25とケーシング19との結合部には、スプライン結合部44が含まれている。
ボルト59は、中間空間55に沿って周方向に移動できるので、支持部材43の周方向位置を調節できる。言い換えれば、支持部材43は、周方向に移動可能に取り付けられていることになる。
このように、支持部材43が半径方向および周方向に移動可能に取り付けられているので、支持部材43の取付位置を容易に調節することができる。
したがって、支持部材43の取り付け時に、スプライン結合部44のスプライン溝とスプライン歯との位置関係を容易に調節することができる。
これにより、荷重等配をより一層向上させることができる。
たとえば、各実施形態では石炭ミル3に用いる遊星減速装置1に適用したものとして説明しているが、たとえば、風車の遊星増速機等、各種製品に用いられる遊星歯車装置に適用できる。
19 ケーシング
23 太陽歯車
25 内歯車
29 遊星歯車
37,44,53 スプライン結合部
Claims (1)
- 外周に歯面を有する太陽歯車と、
内周側に歯面を有し、該太陽歯車の外周側に間隔をあけて配置されるとともに外周側がケーシングに支持されている内歯車と、
前記太陽歯車および前記内歯車の間で、それらと歯合するように配置されている少なくとも1個の遊星歯車と、
が備えられている遊星歯車装置であって、
前記内歯車と前記ケーシングとの結合部には、少なくとも一部にスプライン結合部が含まれ、
前記結合部には、前記内歯車と前記ケーシングとの間に介装される複数の支持部材が用いられ、
前記支持部材は、前記内歯車と前記支持部材との間および/または前記ケーシングと前記支持部材との間がスプライン結合とされ、
前記内歯車は、前記ケーシングに対して、周方向および半径方向に移動可能に取り付けられていることを特徴とする遊星歯車装置。
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- 2009-12-18 JP JP2009287611A patent/JP5484883B2/ja not_active Expired - Fee Related
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