従来、手書きで記入した情報を電子ペンにより電子データ化するシステムが種々実現されている。例えば、電子カルテシステムや電子学習システムや電子採点システムがある。タブレット式の電子ペンの入力端末を用いると、記入した用紙が残らないので、タブレットに紙を重ねておいて書く必要がある。また、端末操作が必要であり、紙と同じようには使えない。さらに、端末を置くスペースを確保する必要もある。
そこで、紙に書くのと同じ要領で使える電子ペンが開発された。このような電子ペンとしては、スウェーデンのアノト(Anoto)社が開発したアノトペン(Anoto pen)がよく知られている。アノトペンは、所定のドットパターン(コード化パターン)が印刷された専用紙(専用ペーパー、アノトパターン紙)とともに使用される。アノトパターン紙には、非常に小さなドット(約0.3mmの間隔で格子状)で構成されるパターンが印刷されている。このパターンで電子ペンが座標を取得する。帳票のフォームを印刷したアノトパターン紙に文字などを書くことで、どこに何が書かれていたかを読み取ることができる。
アノトペンのペン先部には、インクカートリッジと超小型カメラがある。ペン内部には、プロセッサとデータ通信ユニットなどを搭載している。利用者が専用紙上にアノトペンで文字等を書けるし、専用紙上に図案化されている画像にチェックマークを記入できる。普通のボールペンと何ら変わりなく使えるので、書いたものを普通紙の上に残すことができる。記入の際、ペンの移動に伴って、専用紙に印刷されたドットパターンを、超小型カメラで撮影する。撮影したドットパターンに基づいて、専用紙における位置座標を取得する。こうして、アノトペンは、ペン先の超小型カメラで、専用紙に書かれた情報を、デジタル情報としてペン内に取り込む。取得された位置座標等を、アノトペンのデータ通信ユニットで、近くのパーソナルコンピュータや携帯電話などの端末装置に送信する。利用者が書き込んだ文字や絵柄などの記入情報が、連続する位置座標に基づいて端末装置で認識される(特許文献3)。
アノトペンで取得できる情報は、ペン先の専用紙上の位置情報、ペンの軌跡(ストローク)、書く速さ、筆圧、書いた時刻、ペンの傾きなどである。アノトペンから端末装置に入力したデータを文字認識して文字列に変換し、専用紙上の座標と取得データを関連付けて、データベースで管理できる。さらに、帳票のレイアウトと専用紙にレイアウトした記録項目の定義を行うことで、通常用紙の帳票とほとんど変わらない運用ができる。
このような電子ペンを用いて、模擬試験などの採点した結果を効率よく集計する学習採点システムなどが提案されている(特許文献7)。また、複数の受講者の共有学習データを記憶装置に記憶しておき、受講者端末からのアクセスに応じて学習データを提供するシステムも提案されている(特許文献2)。また、受講者が電子ペンによって問題用紙に解答を記入し、各電子ペンで記入された記載内容を、同一の問題用紙ごとにまとめてファイルを作成して記憶するシステム等も提案されている(特許文献10)。以下に、学習システムや電子ペンに関連する従来技術の例をいくつかあげる。
特許文献1に開示された「電子採点システム」は、多数の答案用紙から読み取った解答イメージを設問ごとにまとめ、採点者の能力に応じた設問の解答を採点させることで、採点の作業を単純化し、能率を上げるものである。多数の答案用紙をイメージ・スキャナで読み取り、一つの答案用紙にある多数の解答イメージを切り出す。解答イメージを問題ごとにファイルする。このファイルは、サーバーに送られる。判定用クライアントにおいて問題番号を入力すると、その問題のファイルの解答イメージが、クライアントのCRTに表示される。この表示をみて、採点者は正誤の判定を行う。判定結果は、サーバーにおいて受験者ごとに集計される。
特許文献2に開示された「協調学習システム」は、複数の学習者間における協調学習効果を向上させるものである。協調学習データを、複数の学習者間で共有する。学習者クライアントに対応して、協調学習作業データへのアクセス要求を検知する。学習者クライアントに対応して、協調学習データのアクセス要求数を算出する。複数の学習者クライアント間のアクセス要求数を比較し、その比較結果に応じて、インストラクタクライアントや学習者クライアントへ比較結果を通知する。
特許文献3に開示された「光学読み取り用の符号化用紙」は、複数のマークを備えた符号化パターンを有する用紙である。マークのそれぞれが、異なる値のうちの1つを表している。符号化パターンには、複数の基準位置がある。複数のマークのそれぞれが、1つの基準位置に関連付けられている。各マークの値は、基準位置に対する位置によって決定される。
特許文献4に開示された「情報処理装置」は、電子ペンで紙に書かれた筆跡を、時系列の位置データにして、記入条件の違いを第3者が容易に識別できるようにしたものである。紙の識別情報と、電子ペンの識別情報と、時系列位置情報からなる筆跡情報と、受付けた時刻情報と、紙面の領域を区分する属性情報が与えられる。これらの情報を組み合わせて情報処理を行う。情報処理の結果に従って、特徴を区別して表示する。
特許文献5に開示された「会議支援協調作業システム」は、各会議参加者が着席のまま、並行して共用表示装置に書き込みを行うことができ、もって会議の進行を促すと同時に、参加者に協調作業環境を与えるものである。共用表示サーバーは、複数の参加者によって共用される表示が行われる共用表示装置を制御する。共用表示サーバーに、複数参加者端末がローカルエリアネットワークを介して接続されている。複数参加者端末は、ローカルモードでは、ポインティングデバイスが操作されることにより、参加者用表示装置上のカーソル制御を行う。それと共に、リモートモードでは、ポインティングデバイスが操作されることにより、共用表示装置上のカーソル制御を行う。リモートモードでは、複数の参加者端末から並行して、共用表示装置上のカーソル制御及び書き込みを行えるようにして、会議の進行を図る。
特許文献6に開示された「漢字書き順学習システム」は、電子ペンを利用して、漢字の書き順を正しく修得するものである。電子ペンで、学習者が漢字練習用紙に漢字を記入した場合に、漢字練習用紙から漢字を書いた際の書き順に関するストロークデータを取得する。取得されたストロークデータを無線通信により送信する。電子ペンから送信されたストロークデータを受信する。書き順記録データベースには、各漢字の正しい書き順に関する書き順データが記録されている。電子ペンから受信したストロークデータと、書き順記録データベースに記録された書き順データとを比較して、学習者の漢字の書き順が正しい書き順であるか否かを判定する。
特許文献7に開示された「採点システム」は、電子ペンを使用することにより、模擬試験などの採点結果を効率的かつ正確に取得し、集計などの処理を行うことが可能なものである。受験者などが解答を記入した解答用紙に対して、採点者が電子ペンにより、マル、バツなどの採点記号を記入して採点を行う。解答用紙上に描かれた採点記号のストロークは採点データとして取得され、採点システムに入力される。採点データから採点記号及び訂正記号に対応するストロークを抽出し、個々の採点記号及び訂正記号の特徴を示す記号情報を参照することにより、当該ストロークを認識する。認識結果としては、当該ストロークに対応する採点記号又は訂正記号が特定される。そうして得られた認識結果に基づいて、採点結果が特定され、出力される。よって、採点者が解答用紙上に電子ペンで採点記号などを記入するだけで、採点結果のデータが生成され、その後の集計や分析などに使用できる。
特許文献8に開示された「情報処理装置」は、1枚の紙に複数の電子ペンで協働作業を行うことができるものである。1枚の紙に書き込む複数の電子ペンから情報を受信する。その情報に基づいて、ペン識別子と媒体識別子と記載情報を取得し、ペン識別子と媒体識別子と記載情報を対応付けて蓄積する。1枚の紙に複数人で記載した情報を利用して、複数人の協働作業ができる。例えば、生徒の解答と先生の採点やコメントが、媒体識別子により自動的に関連付けられる。テストの解答と採点結果などを合成して出力できる。
特許文献9に開示された「電子ペンシステム」は、ドットパターンが印刷された用紙上に電子ペンで記入した内容を、種々の形態で電子ドキュメントに反映させるものである。電子ドキュメントを印刷した面とその裏面に、ドットパターンを格子状に印刷した用紙を用いる。電子ペンで撮影したドットパターンの配列状態をもとに、自身の位置情報を用紙毎に取得する。電子ペンで記入された記入内容を、位置情報をもとに取得する。取得した記入内容を、電子ドキュメントに反映させる。
特許文献10に開示された「書類管理システム」は、個々の利用者が同一用紙上に記入した内容を、より詳細に管理するものである。端末装置の処理部が、電子ペンから、各問題用紙の用紙識別子と、問題用紙上の位置に対応する各利用者の記入内容と、利用者識別子とを受信するたびに、用紙識別子の問題用紙ごとに各利用者識別子の利用者の記入内容を当該問題用紙上の位置に記録した利用者別用紙ファイルを作成して記憶部に記憶する。また、処理部は、同一の問題用紙に関する利用者別用紙ファイルを記憶部から抽出し、当該利用者別用紙ファイルから、同一の問題用紙ごとに全利用者の記入内容を、当該問題用紙上に合成した全利用者合成ファイルを作成して記憶部に記憶する。そして、処理部は、入力部からの要求に応じ、記憶部から全利用者合成ファイルを読み出して表示部に出力する。
特許文献11に開示された「採点方法」は、受講生が解答する時間や振る舞いを考慮した柔軟な採点ができる方法である。電子ペンから、電子ペンの軌跡を示す座標情報とペン識別子とを含むペン情報を受信する。座標情報から記載情報を取得する。ペン情報を受信した時刻を取得する。記載情報と時刻に基づいて、得点を算出する。得点を、ペン情報と対応付けて蓄積する。こうして、受講生の解答時間や振る舞いを考慮した柔軟な採点ができる。
以下、本発明を実施するための最良の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
<第1実施形態>
本発明に係る第1実施形態は、問題演習授業の受講者の電子ペンからのデータを、直接または転送装置経由で集約装置(端末装置)に転送して集約処理し、各受講者の解答状況をリアルタイムに一覧表示する進捗管理システムである。
[進捗管理システムのシステム構成]
図1は、本実施形態における進捗管理システム10のシステム構成図である。図1に示すように、進捗管理システム10は、各受講者それぞれに配布される解答用紙5A,5B,…(5)と、解答用紙5に解答を記入し、記入した情報を外部へ Bluetooth(登録商標) 等の無線で送信するための電子ペン1A,1B,…(1)と、各電子ペン1から送信される記入情報を受信してディスプレイ(表示手段)に記入内容等を表示する集約装置(端末装置)3とを備える。なお、図1では、集約装置3は、電子ペン1A〜1Cから直接、記入情報を受信しているが、記入される解答用紙5が多いために記入情報が送信される電子ペン1の本数が多い場合や、受講者が解答する会場が離れている等により無線通信の範囲外となるような場合は、他の電子ペン1D、1E、…から送信される記入情報を中継して集約装置3へ転送するための転送装置2を設けることができる。このとき、転送装置2から集約装置3へのデータの送信は、例えばLAN経由でTCP/IPの通信方式で行うとよい。各電子ペン1には、アノトペンを利用することができ、転送装置2や集約装置3には、ラップトップパソコンなどを利用することができる。プロジェクター4は、集約装置3から表示情報を受信して、集約装置3の画面をスクリーン6へ投影表示する装置である。プロジェクター4には、液晶プロジェクターなどを利用することができる。
[解答用紙]
図2を参照して解答用紙5について説明する。各解答用紙5A,5B,…(5)には、その略全面に、それぞれ同じパターンのドットパターン(コード化パターン)が印刷され、その上に、所属(クラス)や名前を記入する属性記入欄501、「問1」〜「問3」の各問題の解答を記入する解答欄(記入欄)502〜504等が印刷されている。ドットパターンは、赤外線を吸収するカーボンを含んだインキにより印刷され、各欄501〜504の枠線や文字は、赤外域に吸収性を持たないインキにより印刷される。
[ドットパターン]
次に、図3と図4を参照しながら、解答用紙5に印刷されたアノト方式のドットパターン(コード化パターン)について説明する。図3は、解答用紙5に印刷されたドットパターンのドットと、そのドットが変換される値との関係を説明する図である。図3に示すように、ドットパターンの各ドットは、その位置によって所定の値に対応付けられている。すなわち、ドットの位置を格子の基準位置(縦線及び横線の交差点)から上下左右のどの方向にシフトするかによって、各ドットは、0〜3の値に対応付けられている。また、各ドットの値は、さらに、X座標用の第1ビット値及びY座標用の第2ビット値に変換できる。このようにして対応付けられた情報の組合せにより、解答用紙5上の位置座標が決定されるように構成されている。
図4は、あるドットパターンの配列を示している。図4(a)に示すように、縦横約2mmの範囲内に6×6個のドットが、解答用紙5上のどの部分から6×6ドットを取っても、ユニークなパターンとなるように配置されている。これら36個のドットにより形成されるドットパターンは、位置座標(ドットパターンの解答用紙5上の位置)と、ドットパターンアドレス(コード化パターンアドレス)を保持している。図4(b)は、図4(a)に示す各ドットを、格子の基準位置からのシフト方向によって、図3に示す規則性に基づいて、対応づけられた値に変換したものである。この変換は、ドットパターンの画像を撮影する電子ペン1によって行われる。
[電子ペン]
次に、図5を参照しながら、電子ペン1について説明する。図5に示すように、電子ペン1は、その筐体101の内部に、CPU等により構成されるプロセッサ108と、ROMやRAMなどのメモリ109と、アンテナや送信回路等により構成される通信ユニット111と、バッテリー112と、LED105と、CMOSカメラ106と、リアルタイムクロック110と、圧力センサ107と、インクカートリッジ104とを備えている。インクカートリッジ104の先端は、ペン先部103となっており、各受講者は、電子ペン1のペン先部103を解答用紙5に当接させながら、所属(クラス)や氏名をその記入欄501に記入したり、設問の解答を解答欄502〜504に記入したりすることができる。
バッテリー112は、電子ペン1内の各部品に電力を供給するためのものである。例えば、磁石入りのキャップ(図示せず)の脱着を磁気センサ(図示せず)により検知して、電子ペン1自体の電源のオン/オフを行う。リアルタイムクロック110は、現在時刻(タイムスタンプ)を示す時刻情報を発信し、プロセッサ108に供給する。圧力センサ107は、受講者が電子ペン1により解答用紙5上に文字などを書く際に、ペン先部103からインクカートリッジ104を通じて与えられる圧力、即ち筆圧を検出し、その値をプロセッサ108へ送る。
プロセッサ108は、圧力センサ107から与えられる筆圧データに基づいて、LED105とCMOSカメラ106のスイッチのオン/オフを切り替える。即ち、受講者が電子ペン1で解答用紙5上に文字などを書くと、ペン先部103に筆圧がかかり、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたときに、プロセッサ108は、受講者が記入を開始したと判定して、LED105とCMOSカメラ106を作動させる。
LED105とCMOSカメラ106は、電子ペン1のペン先部103付近に取り付けられている。筐体101におけるLED105とCMOSカメラ106と対向する部分には、開口部102が形成されている。LED105は、解答用紙5上のペン先部103近傍に向けて赤外線を照射する。その領域は、ペン先部103が解答用紙5に接触する位置とはわずかにずれている。CMOSカメラ106は、LED105によって照明された領域内におけるドットパターンを撮影し、そのドットパターンの画像データをプロセッサ108に供給する。CMOSカメラ106による撮影領域は、図4に示すような約2mm×約2mmの大きさを含む範囲である。CMOSカメラ106の撮影は、毎秒50〜100回程度行われる。
カーボンは赤外線を吸収するため、LED105によって照射された赤外線は、ドットに含まれるカーボンによって吸収される。そのため、ドットの部分は赤外線の反射量が少なく、ドット以外の部分は赤外線の反射量が多い。CMOSカメラ106の撮影結果を閾値で判別することによって、カーボンを含むドットの領域とそれ以外の領域を、赤外線の反射量の違いで区別することができる。各欄の枠線を印刷したインキは赤外域に吸収性を持たないため、ドットパターンを容易に認識できる。
プロセッサ108は、受講者が記入している間、CMOSカメラ106によって供給される画像データのドットパターンから、受講者が記入するストローク(一筆跡)の解答用紙5上におけるXY座標(座標データ)を連続的に演算していく。すなわち、プロセッサ108は、CMOSカメラ106によって供給されるドットパターンの画像データをデータ配列に変換し、さらに、X座標ビット値とY座標ビット値に変換したうえで、所定の演算方法により、データ配列からXY座標データとドットパターンアドレスを演算する。そして、プロセッサ108は、リアルタイムクロック110から発信される現在時刻(タイムスタンプ:記入された時刻情報)と、筆圧データと、ドットパターンアドレスと、XY座標データとを関連付ける。なお、解答用紙5における6×6のドットパターンは、その解答用紙5内で重複することはないため、受講者が電子ペン1で解答内容を記入すると、記入された位置が解答用紙5のどの位置にあたるかを、プロセッサ108による座標演算により特定することができる。
メモリ109には、電子ペン1を識別するための電子ペン識別情報が記憶されている。電子ペン1Aであれば、電子ペンID(電子ペン識別情報)「pen01」が、電子ペン1Bであれば、電子ペンID「pen02」が、電子ペン1Cであれば、電子ペンID「pen03」が、それぞれメモリ109に記憶されている。
通信ユニット111は、電子ペンIDと、時刻情報(タイムスタンプ)と、筆圧データと、ドットパターンアドレスと、XY座標データとを関連付けて、記入情報として集約装置3へ直接、又は転送装置2を経由して送信する。通信ユニット111による送信は、 Bluetooth(登録商標) 等の無線送信によって、集約装置3へ即時的かつ逐次的に行われる。
各電子ペン1は、受講者が解答用紙5に解答を記入する都度、記入情報を生成して、集約装置3へ送信する。例えば、受講者が電子ペン1のペン先部103を解答用紙5に接触(ペン・ダウン)させて、属性記入欄501や解答欄502〜504に記入すると、電子ペン1は、圧力センサ107で所定値以上の筆圧が検出されたことにより、解答用紙5への接触を検出する。LED105によって赤外線を照射しつつ、CMOSカメラ106によってドットパターンを撮影する。撮影されたドットパターンの画像データから、解答用紙5への接触位置における座標データとドットパターンアドレスを、プロセッサ108によって演算する。プロセッサ108は、リアルタイムクロック110によって発信された現在時刻を示す時間情報と、ドットパターンアドレスと、座標データと、筆圧データと、電子ペンIDとを関連付けた記入情報を生成し、その記入情報を集約装置3へ送信させる。
このように、電子ペン1は、受講者が解答用紙5に記入し続けている間、記入情報を生成し、集約装置3へ送信する。そして、受講者が電子ペン1を解答用紙5から離す(ペン・アップ)と、電子ペン1は、集約装置3への記入情報の送信を中止する。
[転送装置]
図6を参照して転送装置2について説明する。図6に、転送装置2の機能ブロック図と集約装置3の機能ブロック図とを含む進捗管理システム10のシステム構成図を示す。
図6に示すように、転送装置2は、転送受信手段21と転送送信手段22とを備える。転送受信手段21は、電子ペン1から送信される記入情報等のデータを受信する手段である。転送送信手段22は、転送受信手段21によって受信した記入情報等のデータを集約装置3に送信する手段である。転送送信手段22による集約装置3へのデータの送信は、例えばLAN経由でTCP/IPの通信方式により行うと良い。
[集約装置]
続いて、図6を参照して集約装置3について説明する。図6に示すように、集約装置3は、送信手段30、集約処理手段(処理手段)31、入力手段32、集約個別受信手段(受信手段)33、集約転送受信手段(受信手段)34、表示手段35、記憶手段301を備える。集約装置3は、ハードウェアとして、電子ペン1やプロジェクター4とのデータ通信が可能な通信装置と、CPU等のプロセッサと、ROMやRAM、ハードディスクなどのメモリと、ディスプレイと、マウスやキーボード等で構成されているパーソナルコンピュータ等である。
集約個別受信手段33は、電子ペン1から送信された記入情報等のデータを受信する手段である。集約転送受信手段34は、転送装置2から転送された記入情報等のデータを受信する手段である。集約個別受信手段33及び集約転送受信手段34は、アンテナや受信回路等により構成される。
入力手段32は、処理や表示の種別を含む処理態様を指示する手段であり、キーボードやマウスなどにより構成される。送信手段30は、表示手段35に表示される内容と同じ内容をプロジェクター4に表示させるため、表示手段35への表示信号を同期してプロジェクター4へ送信する手段である。
記憶手段301は、解答用紙5における各欄501〜504と、それぞれが占める座標領域と、その欄の枠線等の画像データとを関連付けて記憶している。ユーザーエリアの座標領域は、特定の角の座標点(Xn,Yn)と、X方向の幅Wnと、Y方向の高さHnとによって定義づけられている。また、記憶手段301は、利用者の入力手段32の操作により選択されたユーザエリア等を後述の「しおり一覧リスト」として記憶する。また、記憶手段301は、集約処理手段31によって演算等された情報を記憶したり、集約個別受信手段33及び集約転送受信手段34によって受信された記入情報等を、電子ペンID(電子ペン識別情報)に基づいて、電子ペン1ごとに記憶する。この記憶手段301は、ROMやRAM、ハードディスクなどのメモリによって構成されている。
集約処理手段31は、電子ペン1からのデータを集約して処理する手段であり、アプリケーションプログラムの実行により機能を発揮するCPU等のプロセッサによって構成されている。この集約処理手段31は、一覧表示手段36、選択一覧表示手段37、詳細記入状況情報表示手段38、及び記入時間計測手段39を有する。
一覧表示手段36は、表示手段35に対して、解答用紙5への記入状況を電子ペン1ごとに現在記入中の解答欄を一覧表示させる制御手段である。選択一覧表示手段37は、表示手段35に対して、解答用紙5のうちの選択された解答欄の現在の記入状況を電子ペン1ごとに一覧表示させる制御手段である。詳細記入状況情報表示手段38は、解答用紙5の記入欄ごとに記入開始時刻と記入終了時刻と記入時間とを含む詳細記入状況情報を電子ペン1ごとに表示させる制御手段である。記入時間計測手段39は、解答用紙の記入欄ごとに記入時間を計測する手段である。表示手段35は、一覧表示手段36、選択一覧表示手段37、詳細記入状況情報表示手段38、記入時間計測手段39の処理結果に基づいて解答用紙上の各電子ペン1のストロークをリアルタイムに表示する手段であり、ディスプレイ等により構成される。以下、各手段による表示機能について説明する。
[進捗状況一覧表示機能]
図7〜図9を参照して、一覧表示手段36により実行される進捗状況一覧表示機能について説明する。一覧表示手段36は、各電子ペン1ごとに、現在受信している記入情報に関する内容が記入された解答欄とその記入内容とを表示手段35に表示することで、電子ペン1で現在記入中の解答欄とその記入内容とを表示する機能を有する。ここで、図7は、一覧表示機能を説明するための進捗管理システム10における処理手順を示すフローチャートである。図8は、ある演習授業において、三名の受講者が解答を始めて、ある時間経過した時における各解答用紙5A〜5Cの解答記入状況を示す図である。図9は、図8に示す解答記入状況の時点での集約装置3における進捗状況を示す表示画面の図である。
図7に示すように、各電子ペン1A〜1Cは、各受講者がそれぞれの解答用紙5A〜5Cに所属や名前、解答を記入する都度、記入情報を生成して、集約装置3へ送信する。すなわち、受講者が電子ペン1のペン先部103を解答用紙5に接触(ペン・ダウン)させて(Step1)、属性記入欄501、解答欄502〜504に文字を記入するために、ストロークを記入し始めると、電子ペン1は、圧力センサ107によって所定値以上の筆圧が検出されたことにより解答用紙5への接触を検出し、LED105によって赤外線を照射しつつCMOSカメラ106によりストロークに沿ってドットパターンを撮像し、プロセッサ108によって、撮像されたドットパターンの画像データから解答用紙5への接触位置における位置座標データを演算する。そしてプロセッサ108は、クロック110によって発信された現在時刻を示す時間情報、ドットパターンアドレス、位置座標データ、筆圧データ、及び、電子ペンIDを関連付けた記入情報を生成し、その記入情報を通信ユニット111に、 Bluetooth(登録商標)方式で集約装置3へ送信させる(Step2)。
このように電子ペン1は、受講者が解答用紙5にストロークを記入し続けている間、記入情報を生成し、集約装置3へ送信する。そして、受講者が電子ペン1を解答用紙5から離す(ペン・アップ)と、電子ペン1は集約装置3への記入情報の送信を中止する(Step3)。そして、受講者が次のストロークを記入するために、再び電子ペン1のペン先部103を解答用紙5に接触(ペン・ダウン)させると(Step4)、電子ペン1は、同様の処理により、プロセッサ108によって、撮像されたドットパターンの画像データから解答用紙5への接触位置における位置座標データを演算して、クロック110によって発信された現在時刻を示す時間情報、ドットパターンアドレス、座標データ、筆圧データ、及び電子ペンIDを関連付けた記入情報を生成し、その記入情報を通信ユニット111に集約装置3へ送信させる(Step2)。このように、各電子ペン1は、ストロークが受講者によって記入される都度、そのストロークに沿った位置座標を含む記入情報を集約装置3へ送信する。
ここで、電子ペン1が転送装置2を介して記入情報を集約装置3へ送信する場合には、電子ペン1が記入情報を転送装置2へ Bluetooth(登録商標)方式による無線で送信した後、転送装置2が受信した記入情報を、LANを経由してTCP/IPの通信方式により集約装置3へ送信する。
集約装置3では、集約個別受信手段33又は集約転送受信手段34によって、電子ペン1から記入情報を受信し、記憶手段301に記憶すると(Step5)、集約処理手段31により、記入情報から電子ペンIDを抽出するとともに、記憶手段301に記憶されているユーザエリアの座標領域を参照して、記入情報に含まれる位置座標データのユーザーエリアを認識する(Step6)。集約処理手段31は、ユーザエリアにより、受信した記入情報が属性記入欄501に記入された情報を含むのか、解答欄502〜504のいずれの解答欄に記入された情報を含むのかを認識することができる。
図9は、集約処理手段31の制御により、進捗状況を表示手段35に表示させる画面を示す図である。図9の属性記入欄表示領域601〜603(600)に示すように、集約処理手段31は、各解答用紙5A〜5Cの属性記入欄501に記入された情報を、属性記入欄の枠線の画像データと重ねて、表示手段35に表示させる。
一覧表示手段36は、各属性記入欄表示領域601〜603の下側の領域に、現在受信している記入情報が記載された解答欄の記入内容を表示手段35に表示することで、受講者によって現在記入されている解答欄の記入内容を表示手段35に一覧表示させる。これを図7で説明すると、一覧表示手段36が、各電子ペン1のペンIDごとに、これまで受信してきた記入情報から認識していたユーザエリアと同じユーザエリアを認識している場合(Step7:No)は、ウィンドウの各属性記入欄表示領域601〜603の下側に、そのユーザエリアに該当する解答欄の枠線と、記入情報により認識される手書きの文字、記号等を各解答欄表示領域701〜703(700)に表示させる(Step9)。
一方、一覧表示手段36は、これまで受信してきた記入情報から認識していたユーザエリアと異なるユーザエリアを記入情報から認識した場合(Step8:Yes )は、その電子ペンIDに対応する解答欄表示領域700を切換えて(Step8)、現在の記入情報から認識しているユーザエリアに該当する解答欄の枠線と、その解答欄における記入情報により認識され 手書きの文字、記号等を各解答欄表示領域701〜703に表示させる(Step9)。
表示手段35に表示される表示内容と同じ内容をスクリーンに映し出すため、表示手段35への表示信号と同じ表示信号が送信手段30からプロジェクター4へ送信され、プロジェクター4は、集約装置3の表示手段35に同期して、同じ内容をスクリーンに表示する(Step11)。このような表示手段35における記入中の解答欄表示の切り替え(Step5〜Step9)は、一覧表示機能が実行されている間、記入情報を受信する都度行われる( Step10:Yes)。
図8は、ある演習授業において、「太郎」「次郎」「花子」の三名の受講者がそれぞれ「電子ペン1A」「電子ペン1B」「電子ペン1C」を用いて解答を始めて、ある時間経過した時における各解答用紙5A〜5Cの解答記入状況を示しており、「太郎」は問3の問題を解答中であり、「次郎」は問1の問題を解答中であり、「花子」は問2の問題を解答中である。このとき、図9に示すように、一覧表示手段36は、解答欄表示領域701には、電子ペン1Aにより記入された記入情報のうち、現在解答中の問3の解答欄を表示させ、解答欄表示領域702には、電子ペン1Bにより記入された記入情報のうち、現在解答中の問1の解答欄を表示させ、解答欄表示領域703には、電子ペン1Bにより記入された記入情報のうち、現在解答中の問2の解答欄を表示させている。
このように、電子ペン1による記入から、電子ペン1による記入情報の送信、集約装置3による記入内容の表示に至るまで、リアルタイムで行われるため、進捗状況一覧表示機能により、集約装置3の利用者(講師等)は、表示手段35により、各受講者が現在どの解答欄に対して、どのような解答を記入しつつあるかを認識することができ、各受講者の解答の進捗状況を把握することができる。なお、ある受講者が、解答中に、他の受講者の解答を見ることができないように、集約装置3からプロジェクター4への表示信号の送信を行わないようにしても良い。
[通信状態表示機能]
次に、図9や図11の通信状態表示領域801〜803(800)に示す通信状態表示機能について説明する。この通信状態表示領域801〜803は、電子ペン1と集約装置3との通信状態が視覚的に分かるように、「接続中」または「切断中」と表示する。具体的には、集約処理手段31は、(1) 電子ペン1にキャップが取り付けられて電子ペン1の電源がオフとなっていることにより、電子ペン1との通信ができない場合、(2) 電子ペン1と集約装置3又は転送装置2との間の距離が Bluetooth(登録商標)の通信可能距離を超え又は障害物により電子ペン1との通信ができない場合、或いは、(3) 電子ペン1のバッテリー112が電池切れとなって電子ペン1との通信ができない場合は、その電子ペン1に対応する通信状態表示領域800に「切断中」と表示させる。その一方、電子ペン1のキャップが取り外されて電子ペン1の電源がオンとなってから、上記切断事由に該当しない間は、集約処理手段31は、通信状態表示領域800に「接続中」と表示させる。
この通信状態の表示により、集約装置3の利用者(講師等)は、解答欄表示領域700の記入が進んでいない場合に、通信状態表示領域800が「切断中」となっていることを認識できるため、(1) 電子ペン1の電源がオフとなっていないかどうか、(2) 電波切れとなっていないかどうか、或いは (3)電池切れとなっていないかどうか確認し、進捗管理システム10が正常に作動するよう、スムーズに調整することが可能となる。
[選択一覧表示機能]
次に、図9及び図10を参照して、選択一覧表示手段37により実行される選択一覧表示機能について説明する。選択一覧表示機能は、集約装置3の利用者(講師等)が、集約装置3で選択した特定の解答欄を選択的に表示手段35に表示させる機能である。
図9に示すように、選択一覧表示手段37は、進捗状況表示ウィンドウにおいて、各解答欄表示領域701〜703の左側に、選択して別のウィンドウで表示するよう、その解答欄の識別情報を記憶手段301に記憶するための「しおりに追加」のチェックボックス901〜903(900)を表示させる。
集約装置3の利用者が「しおりに追加」のチェックボックス900のいずれかをマウスでクリックすると、選択一覧表示手段37は、そのときのチェックボックス900の右側に表示されている解答欄に対応するペンIDと、解答欄番号と、ユーザエリアとを関連付けて、「しおり一覧リスト」として記憶手段301に記憶する。そして、選択一覧表示手段37は、利用者によって「しおり一覧」表示ボタン910がクリックされたと認識すると、記憶手段301に記憶している「しおり一覧リスト」を読み出して、表示すべき属性内容と解答欄を特定し、図10に示すように、「しおり一覧」表示ウインドウにおいて、属性記入欄表示領域600及び解答欄表示領域700に、特定された属性内容及び解答内容を表示させる。
ここで、利用者が「受講者順表示」表示ボタン911をクリックすると、選択一覧表示手段37は、「しおり一覧」表示ウインドウにおいて、解答欄を受講者順(ペンID順)に表示させ、また、利用者が「問題順表示」表示ボタン912をクリックすると、選択一覧表示手段37は、解答欄を問題番号順に表示させる。また、利用者が「しおり削除」表示ボタン913をクリックすると、選択一覧表示手段37は、クリックにより選択された解答欄を記憶手段301の「しおり一覧リスト」から削除する。
この選択一覧表示機能により、集約装置3の利用者が、模範解答や添削対象解答など、特定の解答を「しおり一覧リスト」にリスト・アップして、受講者の解答後又は解答中に、集約装置3やプロジェクター4に表示させることができ、受講者の学習効果の向上に役立てることができる。
[詳細記入状況表示機能]
次に、図9、図11及び図12を参照して、詳細記入状況情報表示手段38による詳細記入状況表示機能について説明する。詳細記入状況表示機能は、図9に示す進捗状況表示ウィンドウにおいて、「進捗詳細」表示ボタン921がクリックされると、図11に示すように、詳細記入状況情報表示手段38が、記入時間計測手段39と協働して、解答用紙5の解答欄ごとに、記入開始時刻と記入終了時刻と記入時間とを含む詳細記入状況情報を、電子ペン1ごとに表示させる機能である。すなわち、詳細記入状況情報表示手段38は、図11に示す進捗詳細情報欄931〜933に、各電子ペン1について、すなわち受講者ごとに、解答欄(ユーザーエリア)への解答時間(記入時間)と、記入開始時刻と、記入最終時刻を表示する。更新中の箇所が視覚的にわかるように、更新中の場合は、その欄の背景色を変更して表示する。
記入時間計測手段39は、解答用紙5の解答欄ごとに解答時間(記入時間)を計測する。解答時間は、(記入最終時刻−記入開始時刻−N−M−L)で求める。Nは、他の解答欄内に電子ペン1がペン・ダウンされ、再び対象の解答欄内に電子ペン1がペン・ダウンされるまでの時間の総和である。Mは、設定値を超えるノンストローク時間(ストロークを記入していない時間)の総和である。Lは、無線通信が確立していない時間の総和である。Nの時間は、他の解答欄に電子ペン1で記入している時間であり、Mの時間は、電子ペン1によりストロークされず解答欄への記入が思考されていない場合もあり、Lの時間は、電子ペン1との通信が確立していないのでは、実際に解答に費やされた時間であるかどうか不明であるため、これらN、M、Lの時間は、その解答欄の記入に当てられた時間ではないと考えうるので、解答時間から差し引いて除外している。解答時間を計測することにより、受講者が各解答欄に解答するために要している解答時間を知ることができ、解答状況を把握することができる。
図12に、解答時間の計算例を示す。問3の解答欄(ユーザーエリア#3)と問2の解答欄(ユーザーエリア#2)への記入があった場合に、問3の解答欄への途中までの記入時間を求める方法の例である。ノンストローク時間の検出閾値Kを60秒に設定しておく。N、M、Lの初期値は0にしておく。記入時間計測手段39は、問3の解答欄への記入開始時刻を記憶して記入時間の計測を開始する。そして、問3の解答欄への記入が続く間、記入終了時刻をリアルタイムに更新しつつ記憶する。記入時間計測手段39は、ノンストローク時間が60秒を超えると、Mに60を加算すると共にその時刻をノンストローク計測開始時刻として記憶して、次の記入開始まで、ノンストローク時間を計測する。記入する解答欄が問2の解答欄に変わると、記入時間計測手段39は、問2の解答欄への記入時間を計測する。電子ペン1のキャップを閉めて記入を停止すると、記入時間計測手段39は、不通信時間の計測を開始する。問3の解答欄への記入が再開されると、記入時間計測手段39は、記入終了時刻をリアルタイムに更新しつつ記憶する。そして、「進捗詳細」表示ボタン921がクリックされると、記入時間計測手段39は、解答時間を計算する。なお、記入時間計測手段は、記入終了時刻の記憶と同時にリアルタイムに解答時間を計算することとしてもよい。
このように、記入時間計測手段39は、電子ペン1の記入位置と時刻から、解答欄におけるストロークの延べ時間を積算して、受講者の各設問に対する解答時間を計測する。そして、記入時間計測手段39は、各受講者の解答状況をリアルタイムに表にして画面に表示する。なお、表の代わりに、グラフなどで表示してもよい。この機能により、講師は、受講者の各設問に対する解答時間を計測した結果に基づいて、受講者が、どの問題につまずいているのか、どの問題が平均的に難しいのかを分析することができ、教室内を移動することなく、各受講者の解答の進捗状況を確認できるので、同時に多くの受講者に対して個別指導できる。例えば、1つの問題に一定時間以上かけている受講者については、その解答状況を自動的に画面に表示して、個別に指導することができる。
上記のように、本第1実施形態では、進捗管理システム10を、問題演習授業の受講者の電子ペン1からの記入情報を、直接または転送装置2経由で集約装置3に転送して集約処理し、各受講者の解答状況をリアルタイムに集約装置3で一覧表示する構成としたので、受講者それぞれの解答の進捗状況を同時にリアルタイムで把握できる。
<第2実施形態>
次に第2実施形態について説明する。第2実施形態は、本進捗管理システムを、結婚披露宴会場でテーブルごとに出席者が寄せ書きをする際に利用するものである。第2実施形態の説明において、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態で付した符号と同じ符号を付し、共通する処理・機能の説明は省略する。
図13に示すように、結婚披露宴会場の各テーブルに、寄せ書き用にメッセージ・シート5−A〜5−B(5)が配られている。各テーブルでは、電子ペン1A〜1Cをそれぞれ用い、各テーブルごとに、複数の出席者がメッセージ・シート5に寄せ書きする。各電子ペン1A〜1Cは、 Bluetooth(登録商標)の通信方式により、集約装置3へ記入情報を送信する。集約装置3では、第1実施形態における一覧表示手段36による進捗状況一覧表示機能が実行される。集約装置3は、表示情報をプロジェクター4へ送信し、集約装置3と同じ表示内容が出席者に披露されるようスクリーンへ映し出される。
図14は、ある時点におけるメッセージ・シート5−A〜5−Bへの寄せ書き状況を示す図である。メッセージ・シート5には、アノト方式により、電子ペン1の筆記に応じて位置座標が演算されるように、赤外線吸収インキによりドットパターン(コード化パターン)が印刷されている。図14に示すように、各メッセージ・シート5は、グループ名を記入するグループ記入欄1001と、各人の記入用に氏名記入欄1002とメッセージ記入欄1003とが複数印刷されている。そして、各記入欄1001〜1003に対応して、第1実施形態と同様に、集約装置3においてユーザエリア情報が設定され記憶されている。図14に示す時点においては、メッセージ・シート5−Aには、4段目の記入欄1002,1003に記入されている最中であり、メッセージ・シート5−Bには、2段目の記入欄1002,1003に記入されている最中であり、メッセージ・シート5−Cには、3段目の記入欄1002,1003に記入されている最中である。
図15は、一覧表示手段36による進捗状況一覧表示機能が実行されている集約装置3の画面を示す図である。図15に示すように、一覧表示手段36は、表示手段35のグループ表示領域1011に、各メッセージ・シート5に記入されたグループ名を表示させ、メッセージ表示領域1012に、現在、各メッセージ・シート5で記入している最中の氏名記入欄1002とメッセージ記入欄1003の記入内容をリアルタイムで表示させる。
このように、現時点に記入されているメッセージ記入欄等を各メッセージ・シート5について、集約装置3を介してプロジェクター4でスクリーンに映し出していくことにより、出席者は、各テーブルの出席者が記入しているメッセージを連続的に見ることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限られない。
上記実施形態において、進捗状況一覧表示機能等に加え、解答用紙ないしメッセージ・シートの全面を集約装置3の表示手段35に表示できる機能を付加してもよい。また、各解答用紙ないしメッセージ・シートの集約装置3における区別は、記入情報を送信する電子ペン1の電子ペンIDによって行われたが、これに限らず、解答用紙ないしメッセージ・シートごとに異なるパターンのドットパターンを採用してドットパターンを区別するドットパターンアドレスを付与し、ドットパターンの相異により各解答用紙等を集約装置3で区別するよう構成してもよい。また、通信状態表示機能として「接続中」または「切断中」と表示することとしたが、さらに、「記入中」という表示により、記入が行なわれて記入情報を受信している状態と通信が確立しているだけの状態(接続中)とを細分して表示するようにしてもよく、いずれか1つのみ表示するようにしてもよい。また、電子ペン1は、現在時刻を示す時間情報、ドットパターンアドレス、位置座標データ、筆圧データ、及び、電子ペンIDを関連付けた記入情報を生成して送信したが、記入情報を構成する情報のうち、位置座標データがストロークを認識するうえで重要であり、他の情報は、システムの構成によっては必須の情報としていなくともよい。
また、上記第1実施形態で、記入時間計測手段39により解答時間(記入時間)を計測する際に、記入開始時刻から記入最終時刻までの時間から、他の解答欄内に電子ペン1がペン・ダウンされ、再び対象の解答欄内に電子ペン1がペン・ダウンされるまでの時間の総和(N)、設定値を超えるノンストローク時間(ストロークを記入していない時間)の総和(M)、及び無線通信が確立していない時間の総和(L)を差し引いて、解答時間を求めたが、システムの構成を考慮して、N、M、Lのいずれか一つでも差し引くことにより、解答時間を求めるようにしてもよい。