JP5480157B2 - 気流における帯電浮遊粒子のサイズ分布を特徴付けるデバイス - Google Patents

気流における帯電浮遊粒子のサイズ分布を特徴付けるデバイス Download PDF

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Description

本発明は、気流における帯電浮遊粒子のサイズ分布を特徴付けるデバイスに関する。
人間の健康を保護するため、健康に害のある浮遊粒子が吸入されるのを防止することは重要である。特に、健康に害のある浮遊粒子は、約10nmから約2.5μmの間、特に約20nmから約300nmの間の等しい直径を持つ超微粒子である。超微粒子は、不完全な燃焼処理の結果として形成される可能性があり、それらは、例えば自動車及び他の局所的な燃焼源といった燃焼源の排気装置から空気中に放出されることができる。超微粒子の吸入が、深刻な肺損傷を生じさせる可能性があることはよく知られている。
浮遊粒子の局所的な検出は好ましくは、浮遊粒子の総粒子数濃度及び平均直径の決定を含む。
上述したパラメタを決定するデバイスは、国際公開第2007/000710 A2号から知られる。既知のデバイスは、気流をサンプリングし、粒子濃度変動部を有するよう構成される。この濃度変動部は、少なくとも1つの時間間隔の間、少なくとも第1の濃度レベル及び第2の濃度レベルの間で超微粒子の濃度の変動を引き起こすことができる。粒子濃度変動部は、第1の濃度レベルと第2の濃度レベルとの間の変動に基づき変化する測定信号を生成することができる粒子検出部の上流に配置される。適用される粒子濃度変動に基づき、既知のデバイスは、連続した時間間隔の間、連続的な態様で変化される粒子濃度レベルに関連付けられる測定信号を決定する。少なくとも2つの変化される粒子濃度レベルのセットに対応する少なくとも2つの測定信号を有するセットが、総粒子数濃度及び平均粒子直径を決定するために必要とされる。時間経過において総粒子数濃度及び平均粒子直径の変化に追従するよう、測定信号の異なるセットが周期的に決定されることができる。
浮遊粒子の総粒子数濃度及び平均直径の正確な決定のため、既知のデバイスは、ある環境を必要とする。その環境では、浮遊粒子の総濃度及び粒子サイズ分布(即ち粒子サイズの関数としての粒子濃度)が、ゆっくり変化する時間の関数、好ましくは時間において実質的に静止した関数にすぎないようにあるべきである。総粒子数濃度及び平均粒子直径の単一の決定のため必要とされる連続測定信号のセットを測定するのに必要な時間間隔の間、総粒子数濃度及び平均粒子直径は実質的に一定のままであるべきである。通常少なくとも最小限の時間期間の間信号平均化を必要とする測定精度に関する最小限の要件のため、この時間間隔は任意に短くされることができない。(例えば、モータ駆動の交通が存在する位置で、又はその近くに存在する)非静止環境における正確な動作のため、これらのパラメタが、時間の経過において急速に変化する場合がある非常に過渡的な状態下で、浮遊粒子の総粒子数濃度及び平均直径を決定することができるデバイスが必要とされる。例えば斯かる状況は、モータ駆動の交通が存在する場所で、又はその近くで起こる可能性がある。
本発明の目的は、静止した状態下及び過渡的な状態下の両方において、気流における帯電浮遊粒子のサイズ分布を信頼性高く特徴付けることができる冒頭部で述べた種類のデバイスを提供することである。
本発明によれば、この目的は、(a)デバイスに入る浮遊粒子を帯電させることにより帯電浮遊粒子のサイズ分布を作成するよう構成される粒子帯電ユニットと、(b)粒子帯電ユニットの下流に配置される第1の測定部及び第2の測定部の並列構成と、(c)データ評価ユニットとを有するデバイスにより実現される。上記第1の測定部は、入ってくる帯電浮遊粒子の実質的に全てを沈殿させ、第1の粒子検出ユニット内部での帯電浮遊粒子の上記沈殿に対応する第1の出力信号を生成するよう構成される第1の粒子検出ユニットを有し、上記第2の測定部は、(a)入ってくる帯電浮遊粒子の少なくとも一部を沈殿させ、第2の粒子検出ユニット内部での帯電浮遊粒子の上記沈殿に対応する第2の出力信号を生成するよう構成される第2の粒子検出ユニットと、(b)第1の粒子サイズ限界より大きいサイズを持つ帯電浮遊粒子の濃度を部分的に減らすよう構成される第1の粒子沈殿ユニットとを有し、上記データ評価ユニットが、上記第1の出力信号及び上記第2の出力信号に基づき、上記第1の粒子サイズ限界より大きいサイズを持つ浮遊粒子の粒子数濃度及び平均直径を算出するよう構成される。
第1の粒子沈殿ユニットは、第2の粒子検出ユニットと一体化されることができるか、又は第2の粒子検出ユニットの上流に配置されることができる。前者の場合、第2の粒子検出ユニットは、第1の粒子サイズ限界より大きいサイズを持つ、入ってくる帯電浮遊粒子の一部だけを沈殿させるよう構成される。後者の場合、第2の粒子検出ユニットは、入ってくる帯電浮遊粒子の実質的に全てを沈殿させるよう構成される。
本発明は、帯電浮遊粒子の総粒子数濃度及び平均直径の決定が、粒子濃度変動部における2つの異なる電場強度の連続的な(シリアルな)印加に基づく粒子サイズ分布の調整に関与するという事実の結果として、過渡的な状態下にある既知のデバイスの不正確さが主にもたらされるという実感に基づかれる。この印加は、第1の有限時間を必要とする。更に、(電場強度の印加を介して得られる粒子サイズ分布に対応する)各連続して生成される出力信号が、最小指定次数の測定精度を得るのに必要とされる充分なデータ平均化を可能にする第2の有限時間の間にサンプリングされなければならない。粒子濃度及び/又は粒子サイズ分布が第1及び/又は第2の有限時間の間、顕著に変化する場合、総粒子数濃度及び平均粒子直径に関する、完全に誤ったとは言えないまでも不正確な値が得られることになる。
本発明によるデバイスは、連続して生成される出力信号の代わりに、それぞれ、第1及び第2の粒子検出ユニットを有する、第1及び第2の測定部から同時に生成される出力信号を使用することにより、気流における帯電浮遊粒子のサイズ分布のより信頼性が高い特徴化を可能にする。第1の粒子検出ユニットは、帯電浮遊粒子の沈殿される第1のサイズ分布の長さ濃度に比例する第1の出力信号を提供する一方、第2の粒子検出ユニットは、帯電浮遊粒子の沈殿される第2のサイズ分布の長さ濃度に比例する第2の出力信号を提供する。帯電浮遊粒子の沈殿される第1及び第2のサイズ分布は、第1の粒子サイズ限界より大きい帯電浮遊粒子の濃度の部分的な低下だけを生じさせる第1の粒子沈殿ユニットにおける帯電浮遊粒子の制御された沈殿の印加を介して、互いに異なるようにされる。言い換えると、第1の粒子サイズ限界より大きい帯電浮遊粒子に対して、濃度は、第1の粒子沈殿ユニットを通るとき非ゼロ値にまで減らされる。
第1及び第2の出力信号を結み合わせることは、第1の粒子サイズ限界より大きい帯電浮遊粒子に関する情報が得られることを可能にする。両方の出力信号は、同時に記録されることができ、従って、同時に平均化されることもでき、及び、第1の粒子サイズ限界より大きい帯電浮遊粒子の総粒子数濃度及び平均直径をこれらの出力信号から算出するよう構成されるデータ評価ユニットに対する入力として使用される。この計算は、第1の粒子サイズ限界より大きい粒子に関する総粒子数濃度が、第1の粒子沈殿ユニット内部の第1の粒子サイズ限界より大きい帯電浮遊粒子の制御された部分的な沈殿に対応する出力信号(又は出力信号における変化)に関連付けられることがわかるという事実に基づかれる。気流におけるすべての帯電浮遊粒子の沈殿(又はキャプチャ)に対応する出力信号が、気流におけるすべての帯電浮遊粒子の総長さ濃度に関連付けられることがわかる。続いて、第1の粒子サイズ限界より大きい浮遊粒子の平均直径が、第1の粒子サイズ限界より大きい浮遊粒子の総長さ濃度及び総数濃度の間の比率を取ることにより見つかる。
本発明によるデバイスの実施形態が、請求項2に規定される。本実施形態において、このデバイスは、上記第1の測定部及び上記第2の測定部と並列に配置される第3の測定部を更に有し、この第3の測定部が、(a)入ってくる帯電浮遊粒子の少なくとも一部を沈殿させ、第3の粒子検出ユニット内部での帯電浮遊粒子の上記沈殿に対応する第3の出力信号を生成するよう構成される第3の粒子検出ユニットと、(b)第2の粒子サイズ限界より小さなサイズを持つ、入ってくる帯電浮遊粒子の実質的に全てを沈殿させるよう構成される第2の粒子沈殿ユニットとを有し、上記データ評価ユニットは更に、上記第1の出力信号、上記第2の出力信号及び上記第3の出力信号に基づき、上記第2の粒子サイズ限界より大きいサイズを持つ浮遊粒子の粒子数濃度及び平均粒子直径を算出するよう構成される。
第2の粒子沈殿ユニットは、第3の粒子検出ユニットと一体化されることができるか、又は第3の粒子検出ユニットの上流に配置されることができる。前者の場合、第3の粒子検出ユニットは、第2の粒子サイズ限界より小さなサイズを持つ、入ってくる帯電浮遊粒子の全てを完全に沈殿させるよう構成される。後者の場合、第2の粒子検出ユニットは、入ってくる帯電浮遊粒子の実質的に全てを沈殿させるよう構成される。
第1、第2、及び第3の出力信号(個別に及び組み合わせて)は、すべての帯電浮遊粒子の長さ濃度と、第1及び第2の粒子沈殿ユニットによりそれぞれ、中に沈殿される、及び/又は、伝達される帯電浮遊粒子の長さ濃度に関する情報を有することが分かった。
この実施形態は、粒子サイズ分布の複数の粒子サイズ間隔における、より詳細な特徴化を可能にする。すべての出力信号が同時に測定されるので、信号精度を改善するための有限の時間期間にわたる平均化も同時に実行されることができる。これは、浮遊粒子の濃度及びサイズ分布に関する信頼性が高い情報が過渡的な状態下でも得られることを可能にする。
本発明によるデバイスの実施形態が、請求項3に規定される。この実施形態において、上記第2の粒子サイズ限界が、上記気流における上記第1の粒子サイズ限界より大きい、上記数濃度の帯電浮遊粒子の少なくとも90%が、上記第2の粒子サイズ限界より小さなサイズを持つようなものであり、上記データ評価ユニットは更に、上記第1の粒子サイズ限界より大きいサイズを持つ浮遊粒子の上記平均直径から、及び上記第2の粒子サイズ限界の数値から、上記気流における帯電浮遊粒子の上記サイズ分布の相対的な幅を決定するよう構成される。この実施形態は、粒子サイズ分布のより詳細な特徴化を可能にする。
本発明によるデバイスの実施形態が、請求項4に規定される。この実施形態において、上記粒子帯電ユニットが、コロナ放電源と、上記コロナ放電源を少なくとも部分的に囲む多孔質スクリーン電極と、上記多孔質スクリーン電極を少なくとも部分的に囲む参照電極と、上記多孔質スクリーン電極及び上記参照電極の間に電位差を印加する手段とを有する拡散帯電ユニットである。この実施形態は、粒子帯電ユニット内部での静電的な沈殿が原因による、粒子帯電処理の間の粒子濃度における相当な低下により悩むことなしに、このデバイスによるそれらの特徴化の前にあるサイズ分布の浮遊粒子を帯電させる便利な及び制御可能な方法を可能にする。なぜなら、粒子拡散帯電は、比較的低い電場強度でのみ実行されるからである。
本発明によるデバイスの実施形態が、請求項5に規定される。この実施形態において、粒子検出ユニットの少なくとも1つが、ファラデーケージ内に配置される粒子フィルタを有し、上記ファラデーケージは、高感度な電流計を介して参照電位に接続され、上記高感度な電流計は、上記データ評価ユニットに出力信号を中継するよう構成される。この実施形態は、浮遊粒子の帯電サイズ分布を特徴付ける便利な方法を可能にする。なぜなら、気流からそれらの電荷と共にすべての浮遊粒子をキャプチャするよう、粒子フィルタが容易に作られることができるからである。
本発明によるデバイスの実施形態が、請求項6に規定される。この実施形態において、上記粒子検出ユニットのうちの少なくとも1つが、平行板沈殿器を有し、上記平行板沈殿器の上記プレートの1つは、高感度な電流計を介して参照電位に接続され、上記高感度な電流計が、上記データ評価ユニットに出力信号を中継するよう構成される。この実施形態は、帯電浮遊粒子のサイズ分布を特徴付ける便利な方法を可能にする。なぜなら、入ってくる帯電浮遊粒子の一部又は全部を沈殿させるよう、平行板沈殿器のプレートの間の電場強度が容易に選択されることができるからである。
本発明によるデバイスの実施形態が、請求項7に規定される。この実施形態において、上記第1の粒子サイズ限界が、10nmから20nmの間のサイズ範囲に含まれる粒子直径にセットされる。この粒子サイズ限界は、低い有効粒子サイズ限界をセットし、実際的に注目するほとんどの粒子サイズを組み込む浮遊粒子の幅広いサイズ範囲の特徴化を可能にするよう十分に低い。この限界を超えると、浮遊粒子サイズ分布が粒子に関連付けられる電荷に基づき特徴付けられることができる。
本発明によるデバイスの第1の実施形態の概略的な表現を示す図である。 本発明によるデバイスの第2の実施形態の概略的な表現を示す図である。 本発明によるデバイスの第3の実施形態の概略的な表現を示す図である。 プレート間に印加される電場E又は電場Eを持つ平行板沈殿器を有する粒子沈殿ユニットに関して、拡散荷電粒子の小数点の粒子沈殿効率を粒子サイズの関数として概略的に示すグラフである。 粒子沈殿ユニットに含まれる平行板沈殿器のプレート間の第1の電場E及び第2の電場Eの連続した印加を概略的に示すグラフである。
本発明の例が、添付の図面を参照して以下詳述されることになる。
これらの図面は、概略的であり大きさ通りに描かれていない点に留意されたい。図面における明確さ及び便宜のため、これらの図におけるパーツの相対的な大きさ及び割合は、誇張して、又は実際より小さく示されている。
図1Aは、本発明によるデバイスの第1の実施形態を示す。デバイス1aは、第1の測定部10を通る気流50の第1の部分51及び第2の測定部20を通る気流50の第2の部分52を並列に処理することにより、気流50をサンプリングするよう構成される。この目的のため、デバイス1は、ベンチレータ70を有する。ベンチレータの代わりに、例えば、ポンプ、又は空気密度における局所的な差によりもたらされる熱煙突効果を用いて空気を置換するよう構成される加熱要素といった別の空気置換デバイスが使用されることもできる。
第1の測定部10は、第1の出力信号41を生成するよう構成される第1の粒子検出ユニット11を有し、第2の測定部20は、第2の出力信号42を生成するよう構成される第2の粒子検出ユニット21を有する。粒子検出ユニットへ入る前に、デバイス1aによりサンプルリングされる浮遊粒子は、帯電される。この目的のため、デバイス1aは、第1の粒子検出ユニット11及び第2の粒子検出ユニット21の上流に配置される粒子帯電ユニット60を有する。もちろん、測定部10及び20の各々に粒子帯電ユニットを配置することも可能である。粒子帯電ユニット60は、コロナ放電源61と、コロナ放電源61を少なくとも部分的に囲む多孔質スクリーン電極62と、多孔質スクリーン電極62を少なくとも部分的に囲む参照電極63と、多孔質スクリーン電極62及び参照電極63の間に電位差を印加する手段64とを有する。粒子の帯電は、多孔質スクリーン電極62及び参照電極63の間に配置される導管をサンプリングされた気流50における浮遊粒子が通過する間、起こる。多孔質スクリーン電極62及び参照電極63の間の電場を好ましくは500V/cm以下に保つことにより、粒子の帯電は、比較的低い電界強度で発生する。これは、浮遊粒子の最小の帯電誘導損失が(例えば参照電極63上の沈殿を介して)粒子帯電ユニット60内部に発生することを保証する。これらの状態下での粒子の帯電は一般に、粒子拡散帯電と呼ばれる。UV光源を有する又はイオン化放射線を介して行う粒子帯電ユニットといった他のタイプの粒子帯電ユニットも可能である。
第1の粒子検出ユニット11は、ファラデーケージ112内に配置された粒子フィルタ111を有する(第2の粒子検出ユニット21に関しては必要な変更が加えられる)。粒子フィルタ111及び211は、ファラデーケージ112及び212を通過する気流51及び52から浮遊粒子をキャプチャすることができる。ファラデーケージ112及び212は、高感度な電流計(図示省略)を介して参照電位に接続される。この電流計は、粒子フィルタ111及び211において単位時間当たりに沈澱する電荷の量を表す電流出力信号41及び42をそれぞれ生成することができる。出力信号41及び42は、データ評価ユニット40に中継される。
図1Aに示される実施形態では、第1の粒子検出ユニット11及び第2の粒子検出ユニット21は超精細な粒子検出ユニットである。このユニットは、気流50における、およそ10nm〜2.5μmの範囲、好ましくはおよそ15nm〜500nmの範囲、最も好ましくはおよそ20nm〜300nmの範囲にある均等な直径の粒子の存在を決定することができる。通常の環境空気において、総粒子数濃度に対する最も大きい貢献は通常、例えば自動車エンジンといった燃焼源により生成される300nmより小さな浮遊粒子から生じる。
本発明のために、平行板沈殿器を有する粒子検出ユニットといった他のタイプの粒子検出ユニットが使用されることもできる。この場合、平行板沈殿器は、プレート間を通過する気流51の第1の部分における実質的にすべての帯電浮遊粒子を沈殿させることが可能な電場をそのプレートの間に生成するよう構成される。帯電浮遊粒子の沈殿は、高感度な電流計を介して参照電位に接続されるプレート上で発生する。この場合、高感度な電流計は、データ評価ユニット40に出力信号を中継するよう構成される。測定された電流は、平行板沈殿器内で単位時間当たり沈殿された電荷量を表す。
浮遊粒子は、拡散帯電を介して帯電されるので、第1の出力信号41は、第1の粒子検出ユニット11に入り、そこでキャプチャされた気流50の第1の部分51における帯電浮遊粒子の長さ濃度に比例する大きさを持つ(第2の出力信号42に関しては必要な変更が加えられる)。第2の測定部20は更に、第2の粒子検出ユニット21の上流で、粒子帯電ユニット60の下流に配置される、第1の粒子沈殿ユニット22を有する。第1の粒子沈殿ユニット22は、第1の粒子サイズ限界dより大きい帯電浮遊粒子の濃度の部分的な低下(即ち非ゼロ値への低下)を生じさせることができる。
図1Aに示される実施形態では、第1の粒子沈殿ユニット22は、平行板沈殿器221を有する。第1の作動モードにおいて、第1の電場Eは、平行板沈殿器221のプレート間に印加される。第1の電場Eの大きさは、第1の沈殿ユニット22のプレート間を進み、第1の粒子サイズ限界dより大きい粒子サイズを持つ帯電浮遊粒子の濃度が、非ゼロ値へと減らされるようなものである。これは、拡散帯電を用いて帯電された浮遊粒子に関する粒子サイズの関数として、小数点の粒子沈殿効率を概略的に示す図3Aに説明される。図3Aから、第1の電場Eが、平行板沈殿器221のプレート間に印加されるとき、それらの濃度が非ゼロ値へと減らされるよう、第1の粒子サイズ限界dより大きなサイズの全ての帯電粒子が、1より小さな小数点の粒子沈殿効率を持つことがわかる。第1の粒子サイズ限界dより小さな帯電粒子に対して、平行板沈殿器221内部にのみ部分的な沈殿効率をもたらすことも、まだ可能である。
第1の出力信号41及び第2の出力信号42は、第1の粒子サイズ限界dより大きい粒子に関する総粒子数濃度及び平均粒子直径をこれらの出力信号から算出するよう構成されるデータ評価ユニット40により記録される。第1の出力信号41及び第2の出力信号42を同時に記録することは、過渡的な状態下でも、dより大きい帯電浮遊粒子の総粒子数濃度及び平均粒子直径の即時的な決定を可能にする。
第1の出力信号41及び第2の出力信号42は、それぞれ、大きさI及びIの電流であり、それぞれ、粒子検出ユニット11及び21において単位時間当たりにキャプチャされる帯電浮遊粒子の電荷を表す。デバイス1aにおいて、電流I及びIはそれぞれ、第1及び第2の粒子検出ユニット11及び12により直接測定される。本発明によるデバイスの別の実施形態において(図1Bにおけるデバイス1bを参照)、第2の粒子検出ユニット21及び第1の粒子沈殿ユニット22は、そのプレート間を通過する気流52の第2の部分において第1の粒子サイズ限界dより大きい帯電浮遊粒子の濃度を部分的に減らすことができる電場を生成するよう構成される平行板沈殿器221を有する、単一の多目的ユニットに一体化される。平行板沈殿器221のプレートの1つは、帯電浮遊粒子に対する沈殿面として機能し、高感度な電流計を介して参照電位に接続される。高感度な電流計は、データ評価ユニット40に出力信号42を中継するよう構成される。この場合、出力信号42は、上述の電流I及びIの間の差を表し、平行板沈殿器221において単位時間当たりに沈澱する帯電浮遊粒子の電荷を表す。ここで、電流Iの大きさは、出力信号42の値を出力信号41の値から減算することにより得られることができる。
任意の理論により縛られることを望むものではないが、以下、電気電流I及びIがデバイス1aに入る浮遊粒子の濃度及びサイズ分布にどのように関連するか、並びにそのデバイスに存在する様々な処理パラメタ及びデバイスパラメタにどのように関連するかに関する詳細な説明が与えられる。粒子拡散帯電の条件下において、有効直径dの粒子上の電気素量pavの平均数が、
Figure 0005480157
という関係に従うことが判明した。ここで、Aは、実質的にdから独立している定数を表す。
式(1)における定数Aに関する値、更には粒子帯電ユニット60に存在するさまざまな処理及び帯電パラメタの関数としての粒子帯電特性に関するより詳細な情報が、経験的に又は例えば帯電エアゾールに関するフックス理論の助けを借りて、得られることができる(例えば、M. Adachi らによる、Journal of Aerosol Science、16(1985)、pp.109〜123参照)。
電流Iは、
Figure 0005480157
という関係に従うことが分かった。ここで、積分は、すべての浮遊粒子のすべての粒子サイズdにわたり実施される。式(2)において、eは、電気素量を表し、φは、ファラデーケージ内部のフィルタを通る気流の容量を表し、Lは、粒子長濃度であり、N(d)は、粒子サイズの関数として粒子数濃度を表す。ファラデーケージ内部のフィルタに入るすべての帯電浮遊粒子が、そのフィルタ内部にも閉じ込められると暗に仮定される。比率dN(d)/dln(d)は、正規化された粒子サイズ分布を表す。こうして、Iは、粒子長濃度Lに比例する。粒子サイズの対数にわたり正規化された粒子サイズ分布の積分が、総粒子数濃度Nを生み出し、これは、
Figure 0005480157
と表される点に留意されたい。
デバイス1aにおける第1の粒子沈殿ユニット22に関して、平行板沈殿器221のプレート間の印加電場Eは、直径dの帯電浮遊粒子の分数の沈殿度ξ(E)をもたらし、これは、
Figure 0005480157
と表される。ここで、pavは式(1)により与えられる。
式(4)において、Cは、粒子サイズ依存のカニングハム・スリップ補正係数を表し(より詳細な情報は、W.C. Hinds, Aerosol Technology. Properties, Behaviour and Measurement of Airborne Particles, 2nd Ed. (1999), John Wiley & Sons, Chapter 3を参照)、λは、平行板沈殿器221のプレートの長さを表し、δは、平行板沈殿器221のプレートの間の間隔を表し、vairは、平行板沈殿器221のプレートの間の平均気流速度であり、ηは、空気粘性である。
デバイス1aの第2の粒子検出ユニット21により記録される電流Iは、平行板沈殿器221内部で沈殿を逃れた帯電粒子から得られ、およそ
Figure 0005480157
により与えられる。ここで、積分は、d>dであるすべての粒子サイズdにわたり実施される。dは、第1の粒子サイズ限界dを表す。ここで
Figure 0005480157
である。式(5)が、任意の所与の有効直径dの粒子に関する平均電気粒子電荷paveを含めるのではなく、代わりに、任意の所与の有効直径dの粒子に関する統計的な粒子電荷分布を含めることにより、一層精巧な形式で書き直されることができる点に留意されたい(読者は、より詳細な情報に関しては、M. Adachiらによる上述の参照文献を参照されたい)。更に、測定部10及び20におけるさまざまな処理及びデバイスパラメタが同じであることが、暗に仮定される。同じでない場合であっても、これは容易に説明されることができる。
に関して適切な値は、有効な粒子直径である。ここで、
Figure 0005480157
である。選ばれた粒子帯電条件に基づき、dは10nmであり、好ましくは15nmであり、より好ましくは20nmである。これにより、d>dに対してξ(E)<1を確実にするため、電場強度Eに対する上限がセットされる。dより小さなサイズの浮遊粒子が、実際に注目する多くの場合において、電流I又は通常の環境空気におけるすべての浮遊粒子の総数濃度Nに対する重要な貢献をしないであろうという仮定を正当化するよう、dの後者の数値は十分小さい。
以下、電流I及びIの間の差は、
Figure 0005480157
に基づき説明されることができる。ここで、N(d>d)は、dより大きい浮遊粒子の数濃度を表す。比較的小さな第1の粒子サイズ限界
Figure 0005480157
において、N(d>d)は多くの場合、すべての浮遊粒子の数濃度Nに近いことになる。パラメタC(dav、σ)は、定数を表す。この値は、dより大きいすべての帯電浮遊粒子の平均粒子サイズdav、及びパラメタσにより説明される粒子サイズ分布の特性の両方にある程度依存すると想定されることができる。例えば、σは、対数正規粒子サイズ分布における幾何学的標準偏差を表すことができる。通常これは環境空気において起こるが、浮遊粒子の大多数が直径約150〜200nm未満のサイズである場合、パラメタC(dav、σ)が、実質的にdav及びσから独立していることが分かった。その結果、
Figure 0005480157
が生じる。ここでC1は定数である。
より大きい帯電浮遊粒子の平均粒子直径davに関しては、
Figure 0005480157
が得られる。
式(8)におけるdavに関する結果は、浮遊粒子の大多数が、約150〜200nm未満の大きさであるという仮定の正当性をチェックするために用いられることができる。そうでない場合、C(dav、σ)がdav及びσの両方に依存していることが説明されなければならない。粒子サイズ分布は、例えば、パラメタN、dav及びσを用いて特徴づけられる対数正規粒子サイズ分布として近似されることができ、
Figure 0005480157
と表されることができる。
式(1)、(4)及び(6)〜(9)を結合することにより、必要に応じて反復的な態様で、関係C(dav、σ)は、既知の粒子サイズ分布に関して(及び従ってdav、σ及びN(d>d)に関する既知の値を用いて)確立されることができ、内部の整合性のため式(7)及び(8)に基づきN(d>d)及びdavに対する結果をチェックするために使用されることができる。代替的に、関係C(dav、σ)は、N(d>d)及びdavに関する既知の値を用いて、既知の粒子サイズ分布に関して経験的に確立されることができる。
第1の粒子沈殿ユニット22内部でキャプチャされる単位時間当たりの粒子電荷を表す電流差I−Iが、帯電粒子の部分的な沈殿が発生する平行板沈殿器221のプレートの1つに付けられる電流計の助けを借りて直接測定されることもできる点に留意されたい。
第1の粒子沈殿ユニット22の第2の作動モードにおいて、第1の電場E及び第2の電場Eが、平行板沈殿器221のプレートの間で連続して印加される。これは、それぞれ、第1の時間期間t及び第2の時間期間tの間の第1の電場E及び第2の電場Eの連続した印加を概略的に示す図3Bに説明される。
第2の電場Eの強度は、第1の電場Eの強度より高く、その結果、第2の粒子サイズ限界dより小さなサイズを持つ帯電浮遊粒子の濃度がゼロへと減らされる。一方、第2の粒子サイズ限界dより大きいサイズを持つ帯電浮遊粒子の濃度は、非ゼロ値へと減らされる。ここで、第2の粒子サイズ限界dは、第1の粒子サイズ限界dより高い。これは、粒子サイズの関数として、帯電粒子の小数点の粒子沈殿効率を概略的に示す図3Aに説明される。図3Aから、電場Eが平行板沈殿器221のプレート間に印加されるとき、濃度が非ゼロ値へと減らされるよう、第1の粒子サイズ限界dより大きなすべての帯電粒子が、1より小さな小数点の粒子沈殿効率を持つことが分かる。電場Eが平行板沈殿器221のプレート間に印加されるとき、第2の粒子サイズ限界dより大きい帯電粒子だけが、1より小さな小数点の粒子沈殿効率を持つ。一方、第1の粒子沈殿ユニット22を出る気流52において濃度がゼロへと減らされるよう、第2の粒子サイズ限界dより小さな帯電粒子は、粒子沈殿効率が1である。
平行板沈殿器221のプレートの間に印加される電場(E又はE)に基づき、出力信号42は、平行板沈殿器221において沈殿を逃れた第1の粒子サイズ限界dより大きい帯電浮遊粒子に関する情報、又は平行板沈殿器221において沈殿を逃れた第2の粒子サイズ限界dより大きい帯電浮遊粒子に関する情報のいずれかを搬送する。データ評価ユニット40は、第1の粒子サイズ限界dより大きい粒子に関する、又は第2の粒子サイズ限界dより大きい粒子に関する粒子数濃度及び平均粒子直径を第1の出力信号41及び第2の出力信号42から算出するよう構成される。こうして、粒子サイズ分布のより詳細な特徴化が、実行されることができる。
第2の作動モードが平行板沈殿器221のプレートの間の2つの異なる電場の連続した印加を必要とするので、浮遊粒子の濃度及びサイズ分布は、t及びtの合計に等しい時間期間に対して実質的に一定であることを必要とする。時間間隔t+tの間、第1の出力信号41が実質的に一定のままであるかどうかを監視することにより、デバイス1aが(過渡的な状態下でも使用可能な)第1のモードでのみ作動されることができるかどうか、又は浮遊粒子のサイズ及び濃度分布のより詳細な特徴化を実行するためデバイス1aが第2のモードで作動されることを可能にするよう、周囲が十分に静止しているかどうかが決定されることができる。
任意の理論により縛られることを望むものではないが、以下、第2の粒子サイズdより大きい浮遊粒子の濃度N(d>d)が、それぞれ第1及び第2の出力信号41及び42からどのように決定されることができるかに関するより詳細な説明が与えられる。この場合も、出力信号41は、電流Iを表す。この電流は、それは式(2)に基づきすべての帯電浮遊粒子の長さ濃度Lに関係する。平行板沈殿器221において印加される電場強度Eにおいて、出力信号42は、電流Iを表す。この電流は、Iと共に、式(6)に基づき第1の粒子サイズ限界dより大きい浮遊粒子に関する情報を生み出す。同様に、平行板沈殿器221において印加される電場強度Eにおいて、出力信号42は、
Figure 0005480157
に基づき電流Iを表す。この電流は、Iと共に、
Figure 0005480157
に基づき、第2の粒子サイズ限界dより大きい浮遊粒子に関する情報を生み出す。
式(11)の右側の第1項は、dより大きいが、dより小さいサイズの帯電浮遊粒子の粒子長濃度に比例する。式(11)の右側の第2項は、デバイス1aにおけるさまざまな処理、帯電及び設計パラメタ、並びにパラメタN、dav及びσの関数として電流I及びIを算出又は測定することにより、パラメタN、dav及び有効な粒子サイズ分布パラメタσで特徴付けられる任意の粒子サイズ分布に関して演繹的に得られる又は推定されることができるパラメタC(dav、σ)を含む。N(d>d)は、第2の粒子サイズ限界dより大きい浮遊粒子の数濃度を表す。粒子サイズ限界d及びdは、解d及びdとして平行板沈殿器221においてそれぞれ電場強度E及びEにおいて得られることができる。ここで、
Figure 0005480157
である(式(4)を参照)。
及びdに対する既知の値を用いて、N(d>d)及びN(d>d)が任意の既知の粒子サイズ分布に関して推定されることができる。これは、電流I、I及びIが知られるとき、パラメタC(dav、σ)が推定されることを可能にする。続いて電流I、I及びIが未知の粒子サイズ分布を持つ未知のエアゾールに関して測定されるとき、電流I及びIを記録することは、式(7)及び(8)に基づきN(d>d)及びdavを得るために十分である。続いて、電流I及びIが、既知のパラメタC(dav、σ)の助けを借りて式(11)に基づき濃度N(d>d)を推定するために用いられることもできる。これは、C(dav、σ)がσにわずかにのみ依存する場合に、最も容易になる。N(d>d)のより正確な決定が要求される場合、davに対する既知の値でC(dav、σ)に対するより正確な値を事前に決定することができるよう、有効な粒子サイズ分布パラメタσが演繹的に知られなければならない。これは、式(6)においてもたらされるパラメタC(dav、σ)に対するより正確な値を決定するためにも有益でありうる。具体的には、対数正規粒子サイズ分布に関して、σが、粒子サイズ分布の標準偏差を表し、
Figure 0005480157
に基づき、davにおよそ関連付けられることが分かった。ここで、粒子サイズdupperは、粒子沈殿部22における並列プレート221間に印加される電場強度Eupperに対して、式(12)からの解d=dupperとして得られる。粒子検出ユニット21により測定される電流は、粒子検出ユニット11により測定される電流Iの数パーセントにまで減らされる。明らかに、dupperは、dupperより小さいサイズのdより大きな帯電浮遊粒子の少なくとも90%を持つ、粒子サイズ分布全体の有効な上位粒子サイズを表す。dav及びdupperの間の比率は、パラメタσにより表される粒子サイズ分布の相対的な幅を評価するために都合よく用いられることができる。
N(d>d)に加えてN(d>d)の決定は、粒子サイズ分布のより詳細な特徴化を可能にする。第2の粒子サイズ限界dより大きい浮遊粒子に関する平均粒子直径dav(d>d)は、
Figure 0005480157
に基づきN(d>d)、N(d>d)及びdavから推定されることができる。
一連の連続して増加する電場強度(E、E、E等)が、沈殿器ユニット22の並列プレート221の間に連続的に印加されることができることが上記より明らかであろう。これにより、一連の連続的に減少する粒子数濃度(N(d>d)、N(d>d)、N(d>d)等)が連続的に決定されることが可能にされ、これにより、粒子サイズ分布特性に関する多くの情報が生み出される。測定された出力信号41(電流I)の定常性の度合いが、連続して得られた粒子数濃度の信頼性及び/又は相対的な精度を推定するために使用されることができる。一連の粒子数濃度を決定するのに必要とされる総時間間隔の間、信号41が実質的に一定のままであるとき、最も高い信頼性が得られる。
図2は、本発明によるデバイスの第2の実施形態を示す。第1の測定部10及び第2の測定部20に加えて、デバイス2は、第3の測定部30を更に有する。
第3の測定部30は、第1の測定部10及び第2の測定部20と並列に配置され、デバイス2は、第3の測定部30を通る気流50の第3の部分53を処理するよう構成される。
第3の測定部30は、第3の粒子検出ユニット31を有する。このユニットは、ファラデーケージ312内に配置される粒子フィルタ311を有する。ファラデーケージ112、212及び312は、高感度な電流計(図2において図示省略)を介して参照電位に接続される。この高感度な電流計は、データ評価ユニット40に出力信号41、42及び43を中継するよう構成される。第3の粒子検出ユニット31は、第3の出力信号43を生成するよう構成される。この信号は、第3の粒子検出ユニット31に含まれる粒子フィルタ312において沈澱される粒子に関する電荷に関連付けられる電流である。第3の出力信号43は、第3の粒子検出ユニット31に入ることができ、そこでキャプチャされる気流50の第3の部分53における帯電浮遊粒子の長さ濃度に比例する大きさを持つ。
第3の測定部30は、第3の粒子検出ユニット31の上流で、粒子帯電ユニット60の下流に配置される第2の粒子沈殿ユニット32を更に有する。第2の粒子沈殿ユニット32は、第2の粒子サイズ限界dより小さな帯電浮遊粒子の濃度の完全な低下(即ち、実質的にゼロにする低下)を引き起こすことができる。言い換えると、気流53が第3の粒子検出ユニット31に入るとき、第2の粒子サイズ限界dより小さな帯電浮遊粒子は、気流50の第3の部分53から完全に取り除かれる。
図2に示される実施形態では、第2の粒子沈殿ユニット32が、平行板沈殿器321を有する。動作において、第2の電場Eは、平行板沈殿器321のプレート間に印加される。電場Eの強度は、気流50の第3の部分53において、第2の粒子サイズ限界dより小さなサイズを持つ帯電浮遊粒子の濃度が、ゼロまで減らされる一方、第2の粒子サイズ限界dより大きいサイズを持つ帯電浮遊粒子の濃度は、非ゼロ値へと減らされるようなものである。詳細には、電場Eの強度は、帯電浮遊粒子の大多数が平行板沈殿器321内部に沈殿し、これによりファラデーケージ312により測定される電流が、ファラデーケージ112により測定される電流のわずか2、3パーセントにまで減らされるような範囲へと増加されることができる。この場合、dは、式(13)で導入される粒子サイズdupperを表す。式(13)によれば、比率dav/dupperは、有効サイズ偏差パラメタσの観点から粒子サイズ分布の有効な幅を評価するために用いられることができる。
同時に生成された第1、第2、及び第3の出力信号41、42及び43はそれぞれ、帯電浮遊粒子のサイズ分布を特徴付けるため、及びデバイス1aに関して前述したのと類似した態様でdav、σ、N(d>d)及びN(d>d)に関する値を得るために使用されることができる電流I、I及びIを表す。
第3の測定部30における分離したユニットとして第3の粒子検出ユニット31及び第2の粒子沈殿ユニット32を使用する代わりに、図2に示されるように、平行板沈殿器を有する単一の粒子検出ユニットにそれらを一体化することも可能である。この場合、その上で帯電粒子沈殿が発生するプレートは、高感度な電流計を介して参照電位に接続される。高感度な電流計は、データ評価ユニット40に出力信号43を中継するよう構成される。この場合、出力信号43は、上述の電気電流I及びIの間の差を表し、平行板沈殿器321において単位時間当たりに沈澱する帯電浮遊粒子の電荷を表す。ここで電流Iの大きさは、出力信号43の値を出力信号41の値から減算することにより得られることができる。これは、第2の測定部20に関して図1Bで示される状況に類似している。

(図2に示されるように)デバイス2における測定部の数を3に制限する代わりに、デバイス2は、複数の並列測定部を有することができる。各測定部は、平行板沈殿器を具備し、各測定部は、平行板沈殿器のプレート間に異なる電場強度を課すことにより、粒子サイズ限界より大きいサイズの粒子に関して異なる度合いの帯電粒子沈殿を誘導することができる。これにより、対応する一連の粒子サイズ限界より大きい粒子サイズに対する一連の粒子数濃度の同時決定が可能にされる。決定された一連の粒子数濃度は更に、粒子サイズ分布を決定するため、(例えば式(9)の助けを借りて)この決定された粒子サイズ分布から有効な粒子サイズ分布パラメタσを推定するため、及びそこから粒子サイズ分布に関するσに対する演繹的な推定の値の正当性及び/又は式(13)に基づき確立されるσの所定の値の正当性をチェックするために用いられることができる。こうして、σに関するその値と整合する、対応する一連の粒子サイズ間隔に対する一連の粒子数濃度が決定されるまで、反復的な態様でσに関する値を決定することも可能である。このように、内部の整合性チェックを含む。
粒子サイズ分布の有効な幅を説明するのに1つの単一値σだけを含める代わりに、それが時々、粒子サイズ分布の特性をより正確に説明するために複数の異なるサイズ分布パラメタσを含めることが時々必要とされることは明らかであろう。例えば、この粒子サイズ分布が、複数の対数正規粒子サイズ分布の重ね合せの結果であるときなどである。各対数正規サイズ分布iは、式(8)に基づき、パラメタN、dav,i及びσのセットにより表される。
図2に示される実施形態の利点は、浮遊粒子の濃度及びサイズ分布が時間において実質的に一定でない状況下でさえ、また非常に過渡的な状態下であっても、粒子サイズ分布の信頼性が高くかつ正確な特徴化が実行されることができるということである。
本発明が図面及び前述の説明において詳細に図示され及び説明されたが、斯かる図示及び説明は、説明的又は例示的であると考えられ、本発明を限定するものではない。即ち、本発明は、開示された実施形態に限定されるものではない。図面、開示及び添付の特許請求の範囲の研究から、開示された実施形態に対する他の変形が、請求項に記載された発明を実施する当業者により理解され及び遂行されることができる。請求項において、単語「有する」は他の要素を除外するものではなく、不定冠詞「a」又は「an」は複数性を除外するものではない。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるという単なる事実は、これらの手段の組み合わせが有利に使用されることができないことを示すものではない。請求項における任意の参照符号は、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない。

Claims (7)

  1. 気流における帯電浮遊粒子のサイズ分布を特徴付けるデバイスであって、
    前記デバイスに入る浮遊粒子を帯電させることにより前記帯電浮遊粒子のサイズ分布を作成するよう構成される粒子帯電ユニットと、
    前記粒子帯電ユニットの下流に配置される、第1の測定部及び第2の測定部の並列構成と、
    データ評価ユニットとを有し、
    前記第1の測定部が、
    入ってくる帯電浮遊粒子の実質的に全てを沈殿させる第1の粒子検出ユニットであって、該第1の粒子検出ユニット内部での帯電浮遊粒子の前記沈殿に対応する第1の出力信号を生成するよう構成される第1の粒子検出ユニットを有し、
    前記第2の測定部は、
    入ってくる帯電浮遊粒子の少なくとも一部を沈殿させる第2の粒子検出ユニットであって、該第2の粒子検出ユニット内部での帯電浮遊粒子の前記沈殿に対応する第2の出力信号を生成するよう構成される第2の粒子検出ユニットと、
    第1の粒子サイズ限界より大きいサイズを持つ帯電浮遊粒子の濃度を部分的に減らすよう構成される第1の粒子沈殿ユニットとを有し、
    前記データ評価ユニットが、前記第1の出力信号及び前記第2の出力信号に基づき、前記第1の粒子サイズ限界より大きいサイズを持つ浮遊粒子の粒子数濃度及び平均直径を算出するよう構成される、デバイス。
  2. 前記第1の測定部及び前記第2の測定部と並列に配置される第3の測定部を更に有し、
    前記第3の測定部が、
    入ってくる帯電浮遊粒子の少なくとも一部を沈殿させる第3の粒子検出ユニットであって、該第3の粒子検出ユニット内部での帯電浮遊粒子の前記沈殿に対応する第3の出力信号を生成するよう構成される第3の粒子検出ユニットと、
    第2の粒子サイズ限界より小さなサイズを持つ、入ってくる帯電浮遊粒子の実質的に全てを沈殿させるよう構成される第2の粒子沈殿ユニットとを有し、
    前記データ評価ユニットは更に、前記第1の出力信号、前記第2の出力信号及び前記第3の出力信号に基づき、前記第2の粒子サイズ限界より大きいサイズを持つ浮遊粒子の粒子数濃度及び平均粒子直径を算出するよう構成される、請求項1に記載のデバイス。
  3. 前記第2の粒子サイズ限界が、前記気流における前記第1の粒子サイズ限界より大きい、前記数濃度の帯電浮遊粒子の少なくとも90%が、前記第2の粒子サイズ限界より小さなサイズを持つようなものであり、前記データ評価ユニットは更に、前記第1の粒子サイズ限界より大きいサイズを持つ浮遊粒子の前記平均直径から、及び前記第2の粒子サイズ限界の数値から、前記気流における帯電浮遊粒子の前記サイズ分布の相対的な幅を決定するよう構成される、請求項2に記載のデバイス。
  4. 前記粒子帯電ユニットが、コロナ放電源と、前記コロナ放電源を少なくとも部分的に囲む多孔質スクリーン電極と、前記多孔質スクリーン電極を少なくとも部分的に囲む参照電極と、前記多孔質スクリーン電極及び前記参照電極の間に電位差を印加する手段とを有する拡散帯電ユニットである、請求項1乃至3のいずれかに記載のデバイス。
  5. 粒子検出ユニットの少なくとも1つが、ファラデーケージ内に配置される粒子フィルタを有し、前記ファラデーケージは、高感度な電流計を介して参照電位に接続され、前記高感度な電流計が、前記データ評価ユニットに出力信号を中継するよう構成される、請求項1乃至4のいずれかに記載のデバイス。
  6. 前記粒子検出ユニットのうちの少なくとも1つが、平行板沈殿器を有し、前記平行板沈殿器の前記プレートの1つは、高感度な電流計を介して参照電位に接続され、前記高感度な電流計が、前記データ評価ユニットに出力信号を中継するよう構成される、請求項1乃至5のいずれかに記載のデバイス。
  7. 前記第1の粒子サイズ限界が、10nmから20nmの間のサイズ範囲に含まれる粒子直径でセットされる、請求項1乃至6のいずれかに記載のデバイス。
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