JP5479428B2 - ボーリングコアの電子化システム - Google Patents

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本願発明は、地質調査の一つであるボーリング調査で得られるボーリングコアの電子化システムに関するものである。
土木構造物あるいは建築構造物を対象として地質調査を行う場合、一般的には地質踏査、物理探査、ボーリング調査、室内土質試験などが行われる。
地質踏査は、現地の露頭で地質状況を肉眼で観察することが基本であり、地層の走向や傾斜から、ある程度地中の地質状況を推定することができる。物理探査は、地表あるいはボーリング孔内から、弾性波や比抵抗などの物理的な手法を用いて地質状況を把握しようとするもので、地盤の工学的なパラメータを求める手法として有効に活用することができる。
しかし、地質踏査は地表という限られた部分でかつ不連続な露頭の観察による情報しか得られないこと、また物理探査は工学的なパラメータとして有効であるが、実際に地中に分布している地質を目で見ることができないという欠点がある。
これに対して、ボーリング調査は、ボーリングサンプラーにより、例えば図9に示すような所定の円柱体状のボーリングコア10を採取することにより、地中の地質状況を実際に観察することが可能で、同採取コア10の状況からの岩盤分類、同採取コア10の室内試験による力学特性の把握、あるいは同採取コア10(実際には複数本)を用いた地球科学的調査からの地層層序決定など、深部の地質を直接的に調査するための唯一の調査手法として位置づけることができる。
したがって、業務発注者にとって、ボーリングコアは、構造物等の設計・施工の基礎資料として非常に大切なもので、5年〜10年程度、さらに重要なものであれば、半永久的に保管する必要がある。
特に岩石コアは、長期に保存されて各種室内試験やいろいろな目的で繰り返し観察されることが多い。このため、採取時の状態をできるだけ長く保存することが求められている。
そこで、一般に地質調査業者は、このようなボーリングコア10,10・・・を、例えば図10に示すような木製のコア箱20に入れて調査業務発注者に納品している。
このコア箱20は、例えば図示のように、上記ボーリングコア10,10・・・が入る所定の深さの箱体21内を4枚の仕切板21a〜21dで5本の収納スペース22a〜22eに仕切り、それらの各々に各調査地点(調査位置)毎のボーリングコア10,10・・・を収納保管できるようにしている。
そして、上記箱体21の後端側には、ヒンジ部を介して蓋体23が開閉自在に設けられているとともに、左右両側部には、運搬用の把手24,24が設けられている。
これらボーリングコア10,10・・・の整理は、一定の規則に基づき、できるだけ簡潔に整理され、見たいときに容易に必要とするコア箱20内のボーリングコア10,10・・・が見られるように整理・整頓されていなければならない。
したがって、一般に上記箱体21の一側部には、例えば次のような項目および対応する内容が記載されたラベル25が貼付されている。
工事件名 ×××××
調査位置 ××× ボーリング番号 No.〇〇
深 度 〇〇m〜〇〇m
標本箱通し番号 〇のうちの〇、会社名×××××
そして、通常、上記コア箱20内の各ボーリングコア10,10・・・の写真が撮られる。
コア10,10・・・の写真を撮る場合には、コア箱20の内容が適切に判別できるようにした記載した黒板、色ずれ判定用の三原色のカラーチャートを用意して、最もコア状況が正確に判定できる状況下で撮影を行う必要がある。必要があれば乾燥したコア10,10・・・の表面を濡らすとか、直射日光が当たる場合には日陰で撮影するとかの処置が必要である
コア写真の撮影時には、コア箱20の面とカメラが直角になる位置から撮影し、撮影された写真においてコア箱20が台形に変形しないように配置する必要がある(例えば先行技術文献1の記載を参照)。
「ボーリングポケットブック(第4版)」P315〜317 (社)全国地質調査業協会連合会編 平成22年5月20日(株)オーム社発行
ところが、上記従来のコア箱20は、調査対象地域の調査位置毎に少なくとも1個は必要であり、1件の調査業務だけでも相当数のコア箱が必要となる。しかも、その数は、地質調査業務が発生する度に数が増えていくため、地質調査業者はもちろん、地質調査発注業者にとってもコア倉庫内の保存スペースや古くなったコアおよびコア箱の処分等が問題となっている。
また、現在の倉庫内のコア箱を搬入して保存する保存方法では、再度確認する必要性が生じた場合に、目的とするコア箱を抽出するのに、困難を伴い、また搬出に相当の人手を要するという問題がある。
さらに、上述のようにコア写真を撮る、上述のように蓋の付いたコア箱内に収納されたコアの写真を撮るのは難しく、コア箱面に直角にカメラを固定して撮影することによって適切に撮影できるのは、上方側半周面の中央部所定幅面だけで、棒状コアの中身までは撮影できない。
したがって、そのような写真自体を、調査解析用や再確認用の地質データとして使うには十分とは言い難い。
本願発明は、このような問題を解決するためになされたもので、上述のようなボーリングコアを所定の手段で電子データ化し、調査発注業者に電子納品することができるようにするとともに、管理性良く保管し、また必要に応じて自由に効率良く取り出して利用することができるようにしたボーリングコアの電子化システムを提供することを目的とするものである。
本願発明は、上述の問題を解決するために、次のような有効な課題解決手段を備えて構成されている。
(1) 第1の課題解決手段
この発明の第1の課題解決手段は、円柱体状のコアと平面的に敷ならされた粒状コアとの2種の性状の異なるコアよりなるボーリングコアを所定の画像処理手段で電子データ化するとともに、各種の物性観察を行ない、該各種の物性観察結果とともに同電子データ化したボーリングコアデータを画像再生手段により再生可能な所定の記録手段に記録した上で納品または保管するようにしてなるボーリングコアの電子化システムであって、選択および登録が可能な地域・地区別または地質構造帯別に区分して作成された複数の電子的なコア箱整理棚および該複数の電子的なコア箱整理棚に整理される調査目的に応じて必要なコア数に対応して作成された複数の電子コア箱を有し、当該地質調査における調査地域・地区または地質構造帯に対応して該当する上記コア箱整理棚の選択および登録を行うとともに、当該地質調査の調査目的に応じて必要なコア数に対応して必要なコア箱数を登録し、それらを前提として最終的な電子コア箱を作成するようになっている一方、上記所定の画像処理手段が、上記コアの性状の相違に対応できるように、上記円柱体状のボーリングコアの全周面のスキャニングを行う第1のスキャニング手段と上記平面的に敷ならした粒状コアの表面のスキャニングを行う第2のスキャニング手段との2つのスキャニング手段を有して構成されており、上記所定の画像処理手段は、上記処理対象とするボーリングコアが円柱体状のボ−リングコア、または平面的に敷ならされた粒状コアのいずれのコアであるかを判定し、その判定結果に応じて、対応する上記第1のスキャニング手段または上記第2のスキャニング手段を用いて必要な画像を取り込み、所定の形態の画像データに加工した上で所定の記憶手段に読み出し可能な状態で記憶させ、同記憶手段に記憶させた画像データを上記各種の物性観察を行った観察結果の電子データと合わせて上記納品用の所定の記録手段にダウンロードするようになっていることを特徴としている。
このような構成によると、スキャナー等の撮像手段で読み込んだボーリングコアのコアデータを、例えばパソコン等の画像モニタを備えた電子化処理プロセッサ上で、必要に応じ、展開図と立体画像で回転させながら、画像として、その全体を観察することも可能になる。
そして、地質調査業者は、上記地質調査データであるボーリングコアデータをDVD等の所定の記録手段により電子コア箱の形で納品し、一方業務発注者は、当該電子コア箱を多数収納することができる電子コア倉庫で、何ら場所を取ることなく保管することができるようになる。
したがって、ボーリングコアの納品、ボーリングコアの観察、ボーリングコアの保管がきわめて容易かつ効率的となり、これを使って設計するコンサルタント業者を含めて多くの関係者が容易に確認、利用できるようになるとともに、ボーリングコアを収容保存しておくコア倉庫の大幅な縮小化を図ることができる。
しかも、同構成では、あくまでも相互に性状が異なる円柱体状のコアと平面的に敷ならされた粒状コアとの2種のボーリングコアを処理対象としており、上記スキャナー等の画像処理手段で、当該ボーリングコアのコア組成を画像データとして読み込むに際しては、上記円柱体状のコアの全周面のスキャニングを行う第1のスキャニング手段と、例えば最大粒径、礫分、砂分、細粒土分の割合が分かるように平面的に敷ならした粒状コアの表面のスキャニングを行う第2のスキャニング手段との機能の異なる2つのスキャニング手段を有する画像処理手段を用いて適切に画像を取り込むようにしている。したがって、上記コアの性状の相違に応じた適切な画像データを形成することができる。
そして、同適切に形成された画像データを、さらに所定の形態の画像データに加工した上で所定の記憶手段に読み出し可能な状態で記憶させ、同記憶手段に記憶させた画像データを各種の物性観察を行った観察結果の電子データと合わせて、上記DVD等納品用の所定の記録手段にダウンロードするようにしている。
したがって、ダウンロードされた画像データは、物性観察を行った観察結果の電子データとともに、例えばパソコン等の画像モニタを備えた電子化処理プロセッサ上で、3次元画像として再構成し、その全体を正確に観察することも容易になる。
以上の結果、本願発明のボーリングコアの電子化システムによると、地質調査業者から地質調査発注業者に対して電子倉庫化したボーリングコアの電子納品が可能になる一方、納品された地質調査発注業者は読み出し自由な電子保管が可能となり、必要に応じて再利用することができる。
したがって、地質調査業者はもちろん、地質調査発注業者も共に便利となり、上述した従来の問題を確実に解決することができる。
本願発明の実施の形態に係るボーリングコアの電子化システムの全体的なシステム構成を示すブロック図である。 同システムにおける岩石コア全周のスキャン画像を撮影する第1のスキャナーの構成を示す斜視図である。 同システムにおける土質コアのスキャン画像を撮影する第2のスキャナーの構成を示す斜視図である。 同システムにおける電子コア箱のイメージ図である。 同システムの具体的な処理内容を示すフローチャートである。 同システムにおける岩石コアのスキャン画像の作成方法および作成されたスキャン画像を示すボーリングコアのイメージ図である。 同システムにおける土質コアのパット敷ならしスキャン画像を示すイメージ図である。 同システムにおける土質コアの3次元棒状スキャン画像を示すイメージ図である。 従来一般の地質調査で得られたボーリングコアの構造を示すイメージ図である。 同従来のボーリングコアを収納保管するコア箱の構造を示す斜視図である。
図1〜図8は、本願発明の実施の形態に係るボーリングコアの電子化システムの構成と、処理プロセス、処理内容、スキャンニング画像等を示している。
<システム全体の概要>
先ず図1のブロック図は、同本願発明の実施の形態におけるボーリングコアの電子化システムの全体的なシステム構成を示すものである。
図1中、先ず符号1は、例えば、液晶ディスプレイ等のカラーモニタ2や、キーボード等の操作ユニット3、さらには書き込み及び読み出し可能なDVDプレーヤ4等を備えたパーソナル・コンピュータによって構成された電子化処理プロセッサである。
この電子化処理プロセッサ1には、さらに後述する安定した棒状の構造をなす岩石コア10(図9参照)の複数本(5本)に分割された分割片10a〜10eの電子画像(図6の(a)〜(e))を撮影する第1スキャナー5と、岩石コア10のような棒状構造をなしにくい土質コア10′の電子画像(図7の(a),(b))を所定の広さの撮影用透明プレート上に敷きならした上で撮影する第2スキャナー6との2台(又は1台)の大型スキャナーを具備しており、それら第1,第2のスキャナー5,6の撮影画像は、それぞれ画像データとして、上記電子化処理プロセッサ1に入力されるようになっている。
第1スキャナー5は、例えば図2に示すように、本体5aの左右両側壁部5b,5c部分に、同じ長さで複数本(5本)に分割された岩石コア10a〜10eの直径の半分部分を前後一対のゴムローラにより遊嵌状態で回転自在に支持する一方、それら側壁部5b,5cの内の一方側5cの外側に設けたベルト等の連係手段で連動する回転駆動機構5dにより各々を同期させて360°(1回転)又は数分割回転駆動するようになっている。
また、その上方側の開閉自在な蓋5eの内側部分には蛍光照明装置および撮像装置が設けられている(詳細および図示は省略)。
そして、図示のように、分割された複数本の岩石コア10a〜10eを上述のように回転駆動可能にセットした状態で、上記蓋5eを閉め、上記岩石コア10a〜10eを360°(又は分割)回転させるとともに蓋5e側の蛍光照明装置を点灯させ、上記撮像装置を駆動させると、例えば複数本の岩石コア10a〜10eの全周面が順次撮像され、最終的に図6に示すような円柱体状の画像(a)〜(e)として、上記カラーモニタ2の画面上に映し出される。
そして、この画像データが、上記DVDプレーヤ4に入力されて順次記録される。
他方、第2スキャナー6は、上記第1スキャナー5と同様に開閉自在な蓋6bと本体6aとを備え、蓋6bの内側に蛍光照明装置と撮像装置(詳細および図示を省略)を具備して構成されているが、本体6a側上面には土質コア10′載置用のガラス面6dが設けられている。
そして、この土質コア載置用のガラス面6d上に、土質コア10′を所定の長さ及び所定の幅でフラットに敷きならした透明プレート6eが交換可能に載置される。
透明プレート6eおよび上記本体6a側のガラス面6dは、上記コアチューブに入った状態の土質コア10′が上記岩石コア10と同様に5mのものであるとして、この実施形態では、5分割した1mの長さ部分をコアチューブ状態のコアの直径の3.14倍程度に敷きならすことができる左右長さおよび奥行幅寸法のものに形成されている。
そして、撮影に当たっては、そのようにしてコアチューブから抜き出した土質コア10′を所定の厚さでフラットに敷きならした透明プレート6eを本体6a側のガラス面6d上にセットして蓋6bを閉め、上記蛍光照明装置および撮像装置を駆動して、その平面画像を撮影する。
この場合、上記のように本体6a上部のガラス面6dの左右方向の寸法(長さ)は、上記規格上の基準であるコアチューブ状態における土質コア10′の長さ5m部分を1/5に分割した1mの長さのものに対応したものとなっており、それを5回撮影する。
そして、この2回撮影した図7の(a),(b)に示す2つの平面画像を後で上下方向に接続一体化し、ロール状に3D化して、最終的に図8に示すような円柱体形状のコア画像10′とする。
また、図1中の符号7aは、例えばジオドクター型等の電子聴診器であり、分析対象となるボーリングコア10に所定の打撃を与えた時の打撃音を拾って上述の電子化処理プロセッサ1に音声データとして入力し、電子化処理プロセッサ1上で打撃音を再生し、またカラーモニタ2上に音声波形をグラフ表示し、その周波数解析で岩の硬軟判定を可能とする。
また符号7bは、モース硬度試験機であり、上記対象となるボーリングコア10のモース硬度値を測定して、上記電子化処理プロセッサ1に入力する。
また符号7cは、ショアー硬度試験機であり、上記対象となるボーリングコア10のショアー反発硬度値を測定して、上記電子化処理プロセッサ1に入力する。
また符号7dは、水中重量測定器であり、対象となるボーリングコアの礫部分の比重や吸水率等を測定して、上記電子化処理プロセッサ1に入力する。
また、符号7eは、強度試験機であり、例えば対象となるボーリングコアの一軸圧縮強度および三軸圧縮強度を試験して、その結果を上記電子化処理プロセッサ1に入力する。
さらに、符号7fは、以上の各種オプションデータに加えて、例えば地層の見分け方、地質の時代区分、土質見本写真、岩石見本写真、主要造岩鉱物の薄片顕微鏡写真等の参考資料を付属データとして電子化処理プロセッサ1に入力する参考資料データ供給部である。
次に、図5は、上述のようにして得られるボーリングサンプルである「ボーリングコア」10,10′の組成および特性を電子データ化し、地質データとしてDVD等所定の保存手段に保存する地質データ電子化システム「電子コア倉庫」の構成および内容を示すフローチャートであり、以下、その内容について、詳細に説明する。
すなわち、先ず同電子化システムの運用開始に際し、当該「電子コア倉庫」へ入室するための必要なユーザー登録(使用契約)を行う(ステップS1)。次に同ユーザー登録が完了したことが判定されると、次にコア箱の整理として、今回の対象となる地質調査地域・地区・地質構造帯を入力する。すると、日本全国の地域・地区別又は日本全国地質構造帯別に区分して設けられているコア箱整理棚NO1〜NOnの内の該当する整理棚NOxが選択され、登録される(ステップS2)。
次に同整理棚の登録が完了すると、今度は当該ボーリング調査の目的(業務名)と同目的に応じた必要なコア数に対応して必要なコア箱数(1つのコア箱中に1つのコアを収納するため、全体として何個のコア箱が必要か)Nを登録する(ステップS3)。
そして、必要な上記コア箱数Nの登録が完了すると、今度は図4に示すような電子コア箱(イメージ)30の作成作業に入る(ステップS4)。
この電子コア箱30の作成は、上記地域・地点毎にNOを付けて登録されたコア箱の当該NO毎に行われる。この電子コア箱30は、上記必要な数Nのコア箱30a〜30fを上下方向に集合させたものとなっている。
以上のようにして、電子コア箱30の作成が終了すると、続いて、具体的に岩石コア10又は土質コア10′の電子化作業に入る。
ここでは、先ず最初に当該電子化作業が岩石コア10の電子化作業であるか、土質コア10′の電子化作業であるかを判定する(ステップS5)。
その結果、今回の電子化作業が岩石コア10の電子化作業であると判定された場合には、先ずステップS6で岩石コアの電子化作業に入り、上述したコアチューブから棒状の岩石コア10を取り出し、撮像手段である第1のスキャナー5(図2参照)にかける。そして、続くステップS7で、上述した棒状コア分割スキャン法あるいは回転スキャン法を用いてスキャニングする。
ここで使用される第1のスキャナー5は、上述のように、複数本に分割した各棒状の岩石コア10a〜10eを所定分割回転角毎にあるいは低い回転速度で連続的に1回転分回転させながら、その全周面を高精度に撮影することができるようになっており、例えば上記コアチューブから取り出した撮影対象となる棒状の岩石コア10が5m程度のものであった場合、上端側から1m毎に分割して5本分同時に撮影し、湾曲部は画像処理により修正し、それら各々の画像データを所定の記憶手段に順次第1〜第5の展開画像としてメモリする。
次に、上記所定の記憶手段にメモリされている第1〜第5の展開画像を順次接続することによって1枚の(5m分の)展開図を作成するとともに深度方向の連続コア化を図る(ステップS8)。
さらに、それに続いて上記1枚の展開画像を360°ローリングすることによって、最終的に図6の10に示す円柱体状の3次元画像を形成する(ステップS9)。
ここでの展開画像および3次元画像は、それらの何れをも必要に応じてパソコンで読み出し、モニターできる形でメモリされる。
その後、当該岩石コア10に対する地質鑑定を行なった鑑定結果の報告書を折り込み、3次元画像化してメモリする(ステップS10)。
さらに、当該岩石コア10の部分的に弱部(例えば破砕帯やシームなど)がある場合には、同弱部の拡大画像も作成して添付する(ステップS11)。
そして、最後に、各種物性観察結果を集めて、それらの各々を電子化する(ステップS12)。
ここで言う各種物性観察結果としては、例えば次のようなものが採用される。
(1) 柱状図
調査報告書として作成された柱状図
(2) 打撃音の電子化
ジオドクター電子聴診器の利用によりにより、パソコン上で打撃音を再生させ、またグラフ表示、周波数解析を行う。
(3) モース硬度値の電子化
モース硬度試験のモース硬度値により、硬度を示す
(4) ショアー反発硬度の電子化
ショアー反発硬度硬度試験のショアー反発硬度値により硬度を示す
(5) 岩の物理的性質の電子化
礫の比重(水中重量の測定)、吸水率試験の結果等を示す
(6) 岩の力学的性質試験結果の電子化
一軸圧縮強度および三軸圧縮強度試験等の結果を示す
(7) その他参考資料集
・地層の見分け方
・地質の時代区分
・主要造岩鉱物の薄片顕微鏡写真など
その上で、最後に、上記実際に処理したコア箱の数nをチェックし、上記設定値Nだけの処理が完了しているか否かを判定する(ステップS13)。その結果、YESと判定されると、全てのコア箱数Nの電子処理が終了したとして、上記DVDプレーヤ4を用いて、上記電子コア箱30に蓄積した各種電子化データを1セットとしてDVDにダウンロードし、電子納品を可能とする(ステップS14)。
他方、上記コアデータ種別の判定(ステップS5)で、岩石コア10ではなく、土質コア10′であると判定された時は、上記ボーリングコアを粒状又は粉状に砕き、もう1つの撮像手段である第2のスキャナー6にかけて撮像し、電子データ化(画像化)する(ステップS15)。
この場合、この土質コアデータには、レイモンドサンプラー試料(N値試験試料)の場合とレイモンドサンプラー以外の試料の場合とがある。
そこで、それらの内の何れであるかを先ずステップS16で判定し、例えばレイモンドサンプラー試料である場合には、パット敷ならしスキャン分析法によって、図7の(a),(b)に示すような2次元状態および3次元状態のスキャン画像をそれぞれ作成する(ステップS17)。
そして、その上で、当該土質コアの物理・力学試験を行なったデータ(結果)を電子データ化する(ステップS18)。
そして、その後、上記岩石コア10の場合と同様にコア箱数nのチェックを行ない(ステップS13)、全てのコア箱数Nの処理が完了したYESの時は、電子納品可能なように、上記電子データ化された土質コアデータをDVDにダウンロードして作業を終える。
他方、レイモンドサンプラー以外の試料の場合、ステップS19で、それがかく乱(撹乱)可能か否かを判定し、かく乱可能でない場合には、コアチューブから採取した棒状コア10′をアクリルチューブ等に入れ、透明円筒型棒状スキャン法あるいは分割スキャン法により、回転させながら、当該棒状コアの土質を示す図8のような3次元画像に形成する(ステップS20)。一方、かく乱可能なものは、上述のパット敷ならしスキャン分析法を用いて画像化する。そして、それを図8に示すような3次元画像に形成する(ステップS17)。
その上で、上記同様に当該土質コア10′の物理・力学試験を行なったデータ(結果)を電子化する(ステップS18)。
そして、その後、上記岩石コア10の場合と同様にコア箱数nのチェックを行ない(ステップS13)、全てのコア箱数Nの処理が完了したYESの時は、電子納品可能なように、上記電子化された土質コアデータをDVDにダウンロードして作業を終える(ステップS14)。
なお、以上の制御フローにおいて、ステップS20の透明円筒型棒状スキャン法あるいは分割スキャン法は、必ずしも採用しなくても良い。
1は電子化処理プロセッサ、2はカラーモニタ、3は操作ユニット、4はDVDプレーヤ、5は第1スキャナー、6は第2スキャナー、30は電子コア箱である。

Claims (1)

  1. 円柱体状のコアと平面的に敷ならされた粒状コアとの2種の性状の異なるコアよりなるボーリングコアを所定の画像処理手段で電子データ化するとともに、各種の物性観察を行ない、該各種の物性観察結果とともに同電子データ化したボーリングコアデータを画像再生手段により再生可能な所定の記録手段に記録した上で納品または保管するようにしてなるボーリングコアの電子化システムであって、選択および登録が可能な地域・地区別または地質構造帯別に区分して作成された複数の電子的なコア箱整理棚および該複数の電子的なコア箱整理棚に整理される調査目的に応じて必要なコア数に対応して作成された複数の電子コア箱を有し、当該地質調査における調査地域・地区または地質構造帯に対応して該当する上記コア箱整理棚の選択および登録を行うとともに、当該地質調査の調査目的に応じて必要なコア数に対応して必要なコア箱数を登録し、それらを前提として最終的な電子コア箱を作成するようになっている一方、上記所定の画像処理手段が、上記コアの性状の相違に対応できるように、上記円柱体状のボーリングコアの全周面のスキャニングを行う第1のスキャニング手段と上記平面的に敷ならした粒状コアの表面のスキャニングを行う第2のスキャニング手段との2つのスキャニング手段を有して構成されており、上記所定の画像処理手段は、上記処理対象とするボーリングコアが円柱体状のボ−リングコア、または平面的に敷ならされた粒状コアのいずれのコアであるかを判定し、その判定結果に応じて、対応する上記第1のスキャニング手段または上記第2のスキャニング手段を用いて必要な画像を取り込み、所定の形態の画像データに加工した上で所定の記憶手段に読み出し可能な状態で記憶させ、同記憶手段に記憶させた画像データを上記各種の物性観察を行った観察結果の電子データと合わせて上記納品用の所定の記録手段にダウンロードするようになっていることを特徴とするボーリングコアの電子化システム。
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