以下、本発明の実施例を図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、以下の実施例において図は適宜簡略化或いは変形されており、各部の寸法比および形状等は必ずしも正確に描かれていない。
図1は、本発明が適用される車両10を構成するエンジン12から駆動輪24までの動力伝達経路の概略構成を説明する図である。図1において、例えば走行用の駆動力源として用いられるエンジン12により発生させられた動力は、流体式伝動装置としてのトルクコンバータ14、前後進切換装置16、車両用ベルト式無段変速機としてのベルト式無段変速機18(以下、無段変速機18という)、減速歯車装置20、差動歯車装置22などを順次介して、左右の駆動輪24へ伝達される。
トルクコンバータ14は、エンジン12のクランク軸13に連結されたポンプ翼車14p、及びトルクコンバータ14の出力側部材に相当するタービン軸30を介して前後進切換装置16に連結されたタービン翼車14tを備えており、流体を介して動力伝達を行うようになっている。また、それ等のポンプ翼車14p及びタービン翼車14tの間にはロックアップクラッチ26が設けられており、このロックアップクラッチ26が完全係合させられることによってポンプ翼車14p及びタービン翼車14tは一体回転させられる。ポンプ翼車14pには、無段変速機18を変速制御したり、無段変速機18におけるベルト挟圧力を発生させたり、ロックアップクラッチ26のトルク容量を制御したり、前後進切換装置16における動力伝達経路を切り換えたり、車両10の動力伝達経路の各部に潤滑油を供給したりする為の作動油圧をエンジン12により回転駆動されることにより発生する機械式のオイルポンプ28が連結されている。
前後進切換装置16は、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1とダブルピニオン型の遊星歯車装置16pとを主体として構成されており、トルクコンバータ14のタービン軸30はサンギヤ16sに一体的に連結され、無段変速機18の入力軸32はキャリア16cに一体的に連結されている一方、キャリア16cとサンギヤ16sとは前進用クラッチC1を介して選択的に連結され、リングギヤ16rは後進用ブレーキB1を介して非回転部材としてのハウジング34に選択的に固定されるようになっている。前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1は断続装置に相当するもので、何れも油圧シリンダによって摩擦係合させられる油圧式摩擦係合装置である。
このように構成された前後進切換装置16では、前進用クラッチC1が係合されると共に後進用ブレーキB1が解放されると、前後進切換装置16は一体回転状態とされることによりタービン軸30が入力軸32に直結され、前進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、前進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、後進用ブレーキB1が係合されると共に前進用クラッチC1が解放されると、前後進切換装置16は後進用動力伝達経路が成立(達成)させられて、入力軸32はタービン軸30に対して逆方向へ回転させられるようになり、後進方向の駆動力が無段変速機18側へ伝達される。また、前進用クラッチC1及び後進用ブレーキB1が共に解放されると、前後進切換装置16は動力伝達を遮断するニュートラル状態(動力伝達遮断状態)とされる。
エンジン12は、例えばガソリンエンジンやディーゼルエンジン等の内燃機関にて構成されている。このエンジン12の吸気配管36には、スロットルアクチュエータ38を用いてエンジン12の吸入空気量Qairを電気的に制御する為の電子スロットル弁40が備えられている。
無段変速機18は、入力軸32に設けられた入力側部材である有効径が可変のプライマリプーリ42及び出力軸44に設けられた出力側部材である有効径が可変のセカンダリプーリ46の一対の可変プーリ42,46と、その一対の可変プーリ42,46の間に巻き掛けられた伝動ベルト48とを備えており、一対の可変プーリ42,46と伝動ベルト48との間の摩擦力を介して動力伝達が行われる。
プライマリプーリ42は、入力軸32に固定された入力側固定回転体としての固定シーブ42aと、入力軸32に対して軸まわりの相対回転不能かつ軸方向の移動可能に設けられた入力側可動回転体としての可動シーブ42bと、それらの間のV溝幅を変更する為のプライマリプーリ42における入力側推力(プライマリ推力)Win(=プライマリ圧Pin×受圧面積)を付与する油圧アクチュエータとしての入力側油圧シリンダ(プライマリ側油圧シリンダ)42cとを備えて構成されている。また、セカンダリプーリ46は、出力軸44に固定された出力側固定回転体としての固定シーブ46aと、出力軸44に対して軸まわりの相対回転不能かつ軸方向の移動可能に設けられた出力側可動回転体としての可動シーブ46bと、それらの間のV溝幅を変更する為のセカンダリプーリ46における出力側推力(セカンダリ推力)Wout(=セカンダリ圧Pout×受圧面積)を付与する油圧アクチュエータとしての出力側油圧シリンダ(セカンダリ側油圧シリンダ)46cとを備えて構成されている。なお、プライマリ推力Winが本発明のプライマリプーリのシーブ推力に対応し、セカンダリ推力Woutが本発明のセカンダリプーリのシーブ推力に対応している。
そして、プライマリ側油圧シリンダ42cへの油圧であるプライマリ圧Pin及びセカンダリ側油圧シリンダ46cへの油圧であるセカンダリ圧Poutが油圧制御回路100(図3参照)によって各々独立に調圧制御されることにより、プライマリ推力Win及びセカンダリ推力Woutが各々独立に制御される。これにより、一対の可変プーリ42,46のV溝幅が変化して伝動ベルト48の掛かり径(有効径)が変更され、実変速比(ギヤ比)γ(=入力軸回転速度Nin/出力軸回転速度Nout)が連続的に変化させられると共に、伝動ベルト48が滑りを生じないように一対の可変プーリ42,46と伝動ベルト48との間の摩擦力(ベルト挟圧力)が制御される。このように、プライマリ推力Win及びセカンダリ推力Woutが各々調節されることで伝動ベルト48の滑りが防止されつつ実際の変速比(実変速比)γが目標変速比γ*となるように調節される。なお、入力軸回転速度Ninは入力軸32の回転速度であり、出力軸回転速度Noutは出力軸44の回転速度である。また、本実施例では図1から判るように、入力軸回転速度Ninはプライマリプーリ42の回転速度と同一であり、出力軸回転速度Noutはセカンダリプーリ46の回転速度と同一である。なお、以下において、プライマリプーリ42の回転速度をプライマリ回転速度Ninと記載し、セカンダリプーリ46の回転速度をセカンダリ回転速度Noutと記載する。
無段変速機18では、例えばプライマリ圧Pinが高められると、プライマリプーリ42のV溝幅が狭くされて変速比γが小さくされるすなわち無段変速機18がアップシフトされる。また、プライマリ圧Pinが低められると、プライマリプーリ42のV溝幅が広くされて変速比γが大きくされるすなわち無段変速機18がダウンシフトされる。従って、プライマリプーリ42のV溝幅が最小とされるところで、無段変速機18の実変速比γとして最小変速比γmin(最高速側変速比、最Hi)が形成される。また、プライマリプーリ42のV溝幅が最大とされるところで、無段変速機18の実変速比γとして最大変速比γmax(最低速側変速比、最Low)が形成される。なお、プライマリ圧Pin(プライマリ推力Winも同意)とセカンダリ圧Pout(セカンダリ推力Woutも同意)とにより伝動ベルト48の滑り(ベルト滑り)が防止されつつ、それらプライマリ推力Winとセカンダリ推力Woutとの相互関係にて目標変速比γ*が実現されるものであり、一方のプーリ圧(推力も同意)のみで目標の変速が実現されるものではない。
図2は、エンジン12や無段変速機18などを制御する為に車両10に設けられた制御系統の要部を説明するブロック線図である。図2において、車両10には、例えば無段変速機18の変速制御などに関連する車両用無段変速機の制御装置を含む電子制御装置50が備えられている。電子制御装置50は、例えばCPU、RAM、ROM、入出力インターフェース等を備えた所謂マイクロコンピュータを含んで構成されており、CPUはRAMの一時記憶機能を利用しつつ予めROMに記憶されたプログラムに従って信号処理を行うことにより車両10の各種制御を実行する。例えば、電子制御装置50は、エンジン12の出力制御、無段変速機18の変速制御やベルト挟圧力制御、ロックアップクラッチ26のトルク容量制御等を実行するようになっており、必要に応じてエンジン制御用、無段変速機18及びロックアップクラッチ26の油圧制御用等に分けて構成される。
電子制御装置50には、エンジン回転速度センサ52により検出されたクランク軸13の回転角度(位置)Acr及びエンジン12の回転速度(エンジン回転速度)Neを表す信号、タービン回転速度センサ54により検出されたタービン軸30の回転速度(タービン回転速度)Ntを表す信号、入力軸回転速度センサ56により検出された無段変速機18の入力軸32(プライマリプーリ42)の回転速度である入力軸回転速度Ninを表す信号、出力軸回転速度センサ58により検出された車速Vに対応する無段変速機18の出力軸44(セカンダリプーリ46)の回転速度である出力軸回転速度Noutを表す信号、スロットルセンサ60により検出された電子スロットル弁40のスロットル弁開度θthを表す信号、冷却水温センサ62により検出されたエンジン12の冷却水温THwを表す信号、吸入空気量センサ64により検出されたエンジン12の吸入空気量Qairを表す信号、アクセル開度センサ66により検出された運転者の加速要求量としてのアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Accを表す信号、フットブレーキスイッチ68により検出された常用ブレーキであるフットブレーキが操作された状態を示すブレーキオンBonを表す信号、CVT油温センサ70により検出された無段変速機18等の作動油の油温THoilを表す信号、レバーポジションセンサ72により検出されたシフトレバーのレバーポジション(操作位置)Pshを表す信号、バッテリセンサ76により検出されたバッテリ温度THbatやバッテリ入出力電流(バッテリ充放電電流)Ibatやバッテリ電圧Vbatを表す信号、セカンダリ圧センサ78により検出されたセカンダリプーリ46への供給油圧であるセカンダリ圧Poutを表す信号等が、それぞれ供給される。なお、電子制御装置50は、例えば上記バッテリ温度THbat、バッテリ充放電電流Ibat、及びバッテリ電圧Vbatなどに基づいてバッテリ(蓄電装置)の充電状態(充電容量)SOCを逐次算出する。また、電子制御装置50は、例えば出力軸回転速度Noutと入力軸回転速度Ninとに基づいて無段変速機18の実変速比γ(=Nin/Nout)を逐次算出する。
また、電子制御装置50からは、エンジン12の出力制御の為のエンジン出力制御指令信号Se、無段変速機18の変速に関する油圧制御の為の油圧制御指令信号SCVT等が、それぞれ出力される。具体的には、上記エンジン出力制御指令信号Seとして、スロットルアクチュエータ38を駆動して電子スロットル弁40の開閉を制御する為のスロットル信号や燃料噴射装置80から噴射される燃料の量を制御する為の噴射信号や点火装置82によるエンジン12の点火時期を制御する為の点火時期信号などが出力される。また、上記油圧制御指令信号SCVTとして、プライマリ圧Pinを調圧するリニアソレノイド弁SLPを駆動する為の指令信号、セカンダリ圧Poutを調圧するリニアソレノイド弁SLSを駆動する為の指令信号、ライン油圧PLを制御するリニアソレノイド弁SLTを駆動する為の指令信号などが油圧制御回路100へ出力される。
図3は、油圧制御回路100のうち無段変速機18の変速に関する油圧制御に関する要部を示す油圧回路図である。図3において、油圧制御回路100は、例えばオイルポンプ28、プライマリ圧Pinを調圧するプライマリ圧コントロールバルブ110、セカンダリ圧Poutを調圧するセカンダリ圧コントロールバルブ112、プライマリレギュレータバルブ(ライン油圧調圧弁)114、モジュレータバルブ116、リニアソレノイド弁SLT、リニアソレノイド弁SLP、リニアソレノイド弁SLS等を備えている。
ライン油圧PLは、例えばオイルポンプ28から出力(発生)される作動油圧を元圧として、リリーフ型のプライマリレギュレータバルブ114によりリニアソレノイド弁SLTの出力油圧である制御油圧PSLTに基づいてエンジン負荷等に応じた値に調圧される。具体的には、ライン油圧PLは、プライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutの高い方の油圧に所定の余裕分(マージン)を加えた油圧が得られるように設定された制御油圧PSLTに基づいて調圧される。従って、プライマリ圧コントロールバルブ110及びセカンダリ圧コントロールバルブ112の調圧動作において元圧であるライン油圧PLが不足するということが回避されると共に、ライン油圧PLが不必要に高くされないようにすることが可能である。また、モジュレータ油圧PMは、電子制御装置50によって制御される制御油圧PSLT、リニアソレノイド弁SLPの出力油圧である制御油圧PSLP、及びリニアソレノイド弁SLSの出力油圧である制御油圧PSLSの各元圧となるものであって、ライン油圧PLを元圧としてモジュレータバルブ116により一定圧に調圧される。
プライマリ圧コントロールバルブ110は、軸方向へ移動可能に設けられることにより入力ポート110iを開閉してライン油圧PLを入力ポート110iから出力ポート110tを経てプライマリプーリ42へ供給可能にするスプール弁子110aと、そのスプール弁子110aを開弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング110bと、そのスプリング110bを収容し且つスプール弁子110aに開弁方向の推力を付与するために制御油圧PSLPを受け入れる油室110cと、スプール弁子110aに閉弁方向の推力を付与する為に出力ポート110tから出力されたライン油圧PLを受け入れるフィードバック油室110dと、スプール弁子110aに閉弁方向の推力を付与するためにモジュレータ油圧PMを受け入れる油室110eとを備えている。このように構成されたプライマリ圧コントロールバルブ110は、例えば制御油圧PSLPをパイロット圧としてライン油圧PLを調圧制御してプライマリプーリ42のプライマリ側油圧シリンダ42cに供給する。これにより、そのプライマリ側油圧シリンダ42cに供給されるプライマリ圧Pinが制御される。例えば、プライマリ側油圧シリンダ42cに所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド弁SLPが出力する制御油圧PSLPが増大すると、プライマリ圧コントロールバルブ110のスプール弁子110aが図3の上側に移動する。これにより、プライマリ側油圧シリンダ42cへのプライマリ圧Pinが増大する。一方で、プライマリ側油圧シリンダ42cに所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド弁SLPが出力する制御油圧PSLPが低下すると、プライマリ圧コントロールバルブ110のスプール弁子110aが図3の下側に移動する。これにより、プライマリ側油圧シリンダ42cへのプライマリ圧Pinが低下する。
また、プライマリ側油圧シリンダ42cとプライマリ圧コントロールバルブ110との間の油路118には、フェールセーフ等を目的として、オリフィス120が設けられている。このオリフィス120が設けられていることにより、例えばリニアソレノイド弁SLPが故障してもプライマリ側油圧シリンダ42cの内圧が急減しないようにされている。これにより、例えばリニアソレノイド弁SLPの故障に起因した車両10の急減速が抑制される。
セカンダリ圧コントロールバルブ112は、軸方向へ移動可能に設けられることにより入力ポート112iを開閉してライン油圧PLを入力ポート112iから出力ポート112tを経てセカンダリプーリ46へセカンダリ圧Poutとして供給可能にするスプール弁子112aと、そのスプール弁子112aを開弁方向へ付勢する付勢手段としてのスプリング112bと、そのスプリング112bを収容し且つスプール弁子112aに開弁方向の推力を付与するために制御油圧PSLSを受け入れる油室112cと、スプール弁子112aに閉弁方向の推力を付与するために出力ポート112tから出力されたセカンダリ圧Poutを受け入れるフィードバック油室112dと、スプール弁子112aに閉弁方向の推力を付与するためにモジュレータ油圧PMを受け入れる油室112eとを備えている。このように構成されたセカンダリ圧コントロールバルブ112は、例えば制御油圧PSLSをパイロット圧としてライン油圧PLを調圧制御してセカンダリプーリ46のセカンダリ側油圧シリンダ46cに供給する。これにより、そのセカンダリ側油圧シリンダ46cに供給されるセカンダリ圧Poutが制御される。例えば、セカンダリ側油圧シリンダ46cに所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド弁SLSが出力する制御油圧PSLSが増大すると、セカンダリ圧コントロールバルブ112のスプール弁子112aが図3の上側に移動する。これにより、セカンダリ側油圧シリンダ46cへのセカンダリ圧Poutが増大する。一方で、セカンダリ側油圧シリンダ46cに所定の油圧が供給されている状態から、リニアソレノイド弁SLSが出力する制御油圧PSLSが低下すると、セカンダリ圧コントロールバルブ112のスプール弁子112aが図3の下側に移動する。これにより、セカンダリ側油圧シリンダ46cへのセカンダリ圧Poutが低下する。
また、セカンダリ側油圧シリンダ46cとセカンダリ圧コントロールバルブ112との間の油路122には、フェールセーフ等を目的として、オリフィス124が設けられている。このオリフィス124が設けられていることにより、例えばリニアソレノイド弁SLSが故障してもセカンダリ側油圧シリンダ46cの内圧が急減しないようにされている。これにより、例えばリニアソレノイド弁SLSの故障に起因したベルト滑りが防止される。
このように構成された油圧制御回路100において、例えばリニアソレノイド弁SLPにより調圧されるプライマリ圧Pin及びリニアソレノイド弁SLSにより調圧されるセカンダリ圧Poutは、ベルト滑りを発生させず且つ不必要に大きくならないベルト挟圧力を一対の可変プーリ42、46に発生させるように制御される。また、後述するように、プライマリ圧Pinとセカンダリ圧Poutとの相互関係で、一対の可変プーリの42、46の推力比τ(=Wout/Win)が変更されることにより無段変速機18の変速比γが変更される。例えば、その推力比τが大きくされるほど変速比γが大きくされる(すなわち無段変速機18はダウンシフトされる)。
図4は、電子制御装置50による制御機能の要部を説明する機能ブロック線図である。図4において、エンジン出力制御部すなわちエンジン出力制御手段130は、例えばエンジン12の出力制御の為にスロットル信号や噴射信号や点火時期信号などのエンジン出力制御指令信号Seをそれぞれスロットルアクチュエータ38や燃料噴射装置80や点火装置82へ出力する。例えば、エンジン出力制御手段130は、アクセル開度Accに応じた要求駆動力(駆動トルク)が得られる為の目標エンジントルクTe*を設定し、その目標エンジントルクTe*が得られるようにスロットルアクチュエータ38により電子スロットル弁40を開閉制御する他、燃料噴射装置80により燃料噴射量を制御したり、点火装置82により点火時期を制御する。
無段変速機制御部すなわち無段変速機制御手段132は、例えば無段変速機18のベルト滑りが発生しないようにしつつ上記エンジン12の作動点が最適ライン上になるようにする無段変速機18の目標変速比γ*を達成するように、プライマリ圧Pinの指令値(又は目標プライマリ圧Pin*)としてのプライマリ指示圧Pintgtとセカンダリ圧Poutの指令値(又は目標セカンダリ圧Pout*)としてのセカンダリ指示圧Pouttgtとを決定し、プライマリ指示圧Pintgtとセカンダリ指示圧Pouttgtとを油圧制御回路100へ出力する。
ところで、本実施例の油圧制御回路100は、一対の可変プーリの42、46の一方の側であるセカンダリプーリ46側のみに、そのセカンダリプーリ46(セカンダリ側油圧シリンダ46c)に作用する実セカンダリ圧Poutを検出する為の油圧センサとしてのセカンダリ圧センサ78を備えている。その為、無段変速機制御手段132は、例えばセカンダリ圧センサ78の検出値(実セカンダリ圧Poutを表す信号)を目標セカンダリ推力Wout*に対応する目標セカンダリ圧Pout*とするフィードバック制御を実行することができる。これによって、セカンダリプーリ46側では、油圧センサが備えられていないプライマリプーリ42側と比較して、精度良く推力(プーリ圧)を制御することができる。つまり、本実施例では、プライマリプーリ42及びセカンダリプーリ46の一方であるセカンダリプーリ46を、他方であるプライマリプーリ42と比較して、精度良く推力(プーリ圧)を制御することができる油圧制御回路100が備えられている。
従って、必要最小限の推力でベルト滑りを防止する為に必要な推力(必要推力)すなわちベルト滑りが発生する直前の推力であるベルト滑り限界推力(以下、滑り限界推力)を目標推力として設定する場合、比較的油圧制御精度が劣る(すなわち油圧センサの検出値と目標値との偏差に基づくフィードバック制御できない)プライマリプーリ42側では、確実に滑り限界推力を確保する為に、油圧指令値(プライマリ指示圧Pintgt)と実油圧(実プライマリ圧Pin)とのずれである油圧ばらつきに相当する推力分をその滑り限界推力に上乗せする必要がある。そうすると、目標の変速を実現する為の推力比τ(=Wout/Win)に基づくプライマリ圧Pin(プライマリ推力Win)とセカンダリ圧Pout(セカンダリ推力Wout)との相互関係から、プライマリプーリ42側油圧ばらつきに相当する推力分に対応して目標セカンダリ推力Wout*も増大させなければならず、燃費が悪化する可能性がある。
そこで、本実施例では、例えば油圧制御精度が比較的良いセカンダリプーリ46側で、セカンダリプーリ46側の滑り限界推力を確保することはもちろんのこと、プライマリプーリ42側の滑り限界推力も確保する、すなわち可変プーリ42、46のベルトトルク容量保証を実現する。また、油圧制御精度が比較的劣るプライマリプーリ42側では、上記ベルト滑りの防止を保証する為の目標セカンダリ推力Wout*に対応した目標プライマリ推力Win*を設定し、目標の変速を実現する。この際、プライマリプーリ42側の油圧ばらつき分による燃費悪化を避ける為、例えば実シーブ位置Xinと目標シーブ位置Xin*との差分であるシーブ位置偏差Eに基づいた変速比フィードバック制御を実行する。ここで、シーブ位置Xinは、プライマリプーリ42の可動シーブ42bの軸心方向の位置であり、プライマリプーリ42のプライマリ回転速度Ninまたは実変速比γが求められると、それらプライマリ回転速度Ninまたは実変速比γに基づいて一義的に算出される。また、目標シーブ位置Xinは、変速後に設定される可動シーブ42bの軸心方向の位置であり、プライマリプーリの目標プライマリ回転速度Nin*または目標変速比γ*が求められると、それら目標プライマリ回転速度Nin*または目標変速比γ*に基づいて一義的に算出される。
具体的には、無段変速機制御手段132は、例えばセカンダリプーリ46側の滑り限界推力であるセカンダリプーリ側滑り限界推力Woutlmtと、プライマリプーリ42側の滑り限界推力であるプライマリプーリ側滑り限界推力Winlmtに基づいて算出される変速制御の為に必要なセカンダリプーリ46側の推力であるセカンダリプーリ側変速制御推力Woutshとのうちの大きい方を、目標セカンダリ推力Wout*として選択する。また、無段変速機制御手段132は、例えば上記選択した目標セカンダリ推力Wout*に基づいて算出される変速制御の為に必要なプライマリプーリ42側の推力であるプライマリプーリ側変速制御推力Winshを、目標プライマリ推力Win*として設定する。また、無段変速機制御手段132は、例えば目標シーブ位置Xin*と実シーブ位置Xinとのシーブ位置偏差Eに基づいたプライマリ推力Winの変速比フィードバック制御により、目標プライマリ推力Win*(すなわちプライマリプーリ側変速制御推力Winsh)を補正する。
なお、この変速比偏差Δγは、変速比γと1対1に対応するパラメータにおける目標値と実際値との偏差であれば良い。例えば、変速比偏差Δγに替えて、プライマリプーリ42側の目標シーブ位置Xin*と実シーブ位置Xin(図3参照)とのシーブ位置偏差E(=Xin−Xin*)、セカンダリプーリ46側の目標シーブ位置Xout*と実シーブ位置Xout(図3参照)との偏差ΔXout(=Xout*−Xout)、プライマリプーリ42側の目標ベルト掛かり径Rin*と実ベルト掛かり径Rin(図3参照)との偏差ΔRin(=Rin*−Rin)、セカンダリプーリ46側の目標ベルト掛かり径Rout*と実ベルト掛かり径Rout(図3参照)との偏差ΔRout(=Rout*−Rout)、目標プライマリ回転速度Nin*と実プライマリ回転速度Ninとの回転速度偏差ΔNin(=Nin*−Nin)などを用いることができる。
また、前記変速制御の為に必要な推力は、例えば目標の変速を実現する為に必要な推力であって、目標変速比γ*及び目標変速比γ*の単位時間当たりの変化量である目標変速速度dγ*(=dγ*/dt)を実現する為に必要な推力である。具体的には、定常状態(変速比γが一定の状態)でのプライマリ推力Winとセカンダリ推力Woutとをバランス推力(定常推力)Wbl(例えばプライマリバランス推力Winblとセカンダリバランス推力Woutbl)と称し、これらの比が推力比τ(=Woutbl/Winbl)である。また、プライマリ推力Winとセカンダリ推力Woutとが一定の変速比γを保つ定常状態にあるとき、一対の可変プーリ42、46の何れかの推力に、ある推力を加算又は減算すると、定常状態が崩れて変速比γが変化し、加算又は減算した推力の大きさに応じた変速速度dγが生じる。この加算又は減算した推力のことを変速差推力(過渡推力)ΔW(例えばプライマリ変速差推力ΔWinとセカンダリ変速差推力ΔWout)と称す。従って、前記変速制御の為に必要な推力は、一方の推力が設定された場合、目標変速比γ*を維持する為の推力比τに基づいて一方の推力に対応する目標変速比γ*を実現する為の他方のバランス推力Wblと、目標変速比γ*が変化させられるときの目標変速速度dγ*を実現する為の変速差推力ΔWとの和となる。また、プライマリプーリ42側にて目標の変速を実現する場合の差推力ΔWは、すなわちプライマリプーリ側換算のプライマリ変速差推力ΔWinは、アップシフト状態であれば(ΔWin>0)となり、ダウンシフト状態であれば(ΔWin<0)となり、変速比一定の定常状態であれば(ΔWin=0)となる。また、セカンダリプーリ46側にて目標の変速を実現する場合の差推力ΔWは、すなわちセカンダリプーリ側換算のセカンダリ変速差推力ΔWoutは、アップシフト状態であれば(ΔWout<0)となり、ダウンシフト状態であれば(ΔWout>0)となり、変速比一定の定常状態であれば(ΔWout=0)となる。
図5は、前記変速制御の為に必要な推力を説明する為の図である。この図5は、例えばセカンダリプーリ46側にてベルト滑り防止を実現するようにセカンダリ推力Woutを設定した場合に、プライマリプーリ42側にて目標のアップシフトを実現するときに設定されるプライマリ推力Winの一例を示している。図5(a)において、t1時点以前或いはt3時点以降では、目標変速比γ*が一定の定常状態にありΔWin=0とされるので、プライマリ推力Winはプライマリバランス推力Winbl(=Wout/τ)のみとなる。また、t1時点乃至t3時点では、目標変速比γ*が小さくされるアップシフト状態にあるので、図5(b)に示した図5(a)のt2時点における推力関係図で表されるように、プライマリ推力Winはプライマリバランス推力Winblとプライマリ変速差推力ΔWinとの和となる。図5(b)に示した各推力の斜線部分は、図5(a)のt2時点の目標変速比γ*を維持する為の各々のバランス推力Wblに相当する。
図6は、セカンダリプーリ46側にのみセカンダリ圧センサ78が備えられている場合に、必要最小限の推力で目標の変速とベルト滑り防止とを両立する為の制御構造を示すブロック図である。図6において、目標変速比γ*及び無段変速機18の入力トルクTinが、例えば無段変速機制御手段132により逐次算出される。
具体的には、無段変速機制御手段132は、無段変速機18の変速後に達成すべき変速比γである静的目標変速比γc*を決定する。無段変速機制御手段132は、例えば図7に示すようなアクセル開度Acc(またはスロットル弁開度θth)をパラメータとして出力軸回転速度Noutに対応する車速Vと目標入力軸回転速度Nin*との予め求められて記憶された関係(変速マップ、変速線)から実際の車速V及びアクセル開度Accで示される車両状態に基づいて目標入力軸回転速度Nin*を設定する。そして、無段変速機制御手段132は、目標入力軸回転速度Nin*に基づいて静的目標変速比γc*(=Nin*/Nout)を算出する。図7の変速マップは変速条件に相当するもので、車速V(出力軸回転速度Nout)が小さくアクセル開度Accが大きい程、大きな変速比γになる目標入力軸回転速度Nin*が設定されるようになっている。この静的目標変速比γc*は、無段変速機18の最小変速比γmin(最高速ギヤ比、最Hi)と最大変速比γmax(最低速ギヤ比、最Low)の範囲内で定められる。そして、無段変速機制御手段132は、例えば迅速且つ滑らかな変速が実現されるように予め実験的に設定された関係から、変速開始前の実変速比γと変速後に設定される静的目標変速比γc*とそれらの差とに基づいて、変速中の過渡的な変速比γの目標値として動的目標変速比γt*を決定する。例えば、無段変速機制御手段132は、変速中に逐次変化させる動的目標変速比γt*を、変速開始時から変速後目標変速比γc*に向かって変化する滑らかな曲線(例えば1次遅れ曲線や2次遅れ曲線)に沿って変化する経過時間の関数として決定する。すなわち、無段変速機制御手段132は、無段変速機18の変速中において、変速開始時からの時間経過に従って変速開始前の実変速比γから静的目標変速比γc*に近付くように逐次動的目標変速比γt*を変化させる。そして、この目標変速比γ*の時間変化率が目標変速速度dγ*である。つまり、無段変速機制御手段132は、上記経過時間の関数として動的目標変速比γt*を決定するので、変速中における目標変速速度dγ*も決定していることになる。例えば変速が完了して動的目標変速比γt*が一定の定常状態となれば、目標変速速度dγ*は零になる。なお、静的目標変速比γc*が、本発明の目標変速比に対応する。
また、無段変速機制御手段132は、例えばエンジントルクTeにトルクコンバータ14のトルク比t(=トルクコンバータ14の出力トルクであるタービントルクTt/トルクコンバータ14の入力トルクであるポンプトルクTp)を乗じたトルク(=Te×t)として、無段変速機18の入力トルクTinを算出する。また、無段変速機制御手段132は、例えばエンジン12に対する要求負荷としての吸入空気量Qair(或いはそれに相当するスロットル弁開度θth等)をパラメータとしてエンジン回転速度NeとエンジントルクTeとの予め実験的に求められて記憶された関係(マップ、エンジントルク特性図)から、吸入空気量Qair及びエンジン回転速度Neに基づいて推定エンジントルクTesとして、エンジントルクTeを算出する。或いは、このエンジントルクTeは、例えばトルクセンサなどにより検出されるエンジン12の実出力トルク(実エンジントルク)Teなどが用いられても良い。また、トルクコンバータ14のトルク比tは、トルクコンバータ14の速度比e(=トルクコンバータ14の出力回転速度であるタービン回転速度Nt/トルクコンバータ14の入力回転速度であるポンプ回転速度Np(エンジン回転速度Ne))の関数であり、例えば速度比eとトルク比t、効率η、及び容量係数Cとのそれぞれの予め実験的に求められて記憶された関係(マップ、トルクコンバータ14の所定の作動特性図)から、実際の速度比eに基づいて無段変速機制御手段132により算出される。なお、推定エンジントルクTesは、実エンジントルクTeそのものを表すように算出されるものであり、特に実エンジントルクTeと区別する場合を除き、推定エンジントルクTesを実エンジントルクTeとして取り扱うものとする。従って、推定エンジントルクTesには実エンジントルクTeも含むものとする。
また、無段変速機制御手段132は、例えば滑り限界推力Wlmtを算出する滑り限界推力算出部すなわち滑り限界推力算出手段134と、バランス推力Wblを算出する定常推力算出部すなわち定常推力算出手段136と、変速差推力ΔWを算出する差推力算出部すなわち差推力算出手段138と、フィードバック制御量Winfbを算出するFB制御量算出部すなわちFB制御量算出手段140と、後述する収束速度FB制御量Wefbを算出する収束速度FB制御量算出部すなわち収束速度FB制御量算出手段142とを備えている。
図6のブロックB1及びブロックB2において、滑り限界推力算出手段134は、例えば実変速比γと無段変速機18の入力トルクTinとに基づいて滑り限界推力Wlmtを算出する。具体的には、限界推力算出手段134は、次式(1)及び次式(2)からプライマリプーリ42の入力トルクとしての無段変速機18の入力トルクTin、セカンダリプーリ46の入力トルクとしての無段変速機18の出力トルクTout、可変プーリ42、46のシーブ角α、プライマリプーリ42側の所定のエレメント・プーリ間摩擦係数μin、セカンダリプーリ46側の所定のエレメント・プーリ間摩擦係数μout、実変速比γから一意的に算出されるプライマリプーリ42側のベルト掛かり径Rin、実変速比γから一意的に算出されるセカンダリプーリ46側のベルト掛かり径Rout(以上、図3参照)に基づいて、セカンダリプーリ側滑り限界推力Woutlmt及びプライマリプーリ側滑り限界推力Winlmtをそれぞれ算出する。なお、Tout=γ×Tin=(Rout/Rin)×Tinとしている。
Woutlmt=(Tout×cosα)/(2×μout×Rout)
=(Tin ×cosα)/(2×μout×Rin ) ・・・(1)
Winlmt =(Tin ×cosα)/(2×μin ×Rin ) ・・・(2)
図6のブロックB3及びブロックB6において、定常推力算出手段136は、例えばプライマリプーリ側滑り限界推力Winlmtに対応するセカンダリバランス推力Woutbl、及び目標セカンダリ推力Wout*に対応するプライマリバランス推力Winblをそれぞれ算出する。具体的には、定常推力算出手段136は、目標変速比γ*(静的目標変速比γc*)をパラメータとしてプライマリ側安全率SFin(=Win/Winlmt)の逆数SFin−1(=Winlmt/Win)とプライマリプーリ42側に対応するセカンダリプーリ46側の推力を算出するときの推力比τinとの予め実験的に求められて記憶された例えば図8(a)に示すような関係(推力比マップ)から、逐次算出される目標変速比γ*及びプライマリ側安全率の逆数SFin−1に基づいて推力比τinを算出する。そして、定常推力算出手段136は、次式(3)からプライマリプーリ側滑り限界推力Winlmt及び推力比τinに基づいてセカンダリバランス推力Woutblを算出する。また、定常推力算出手段136は、目標変速比γ*をパラメータとしてセカンダリ側安全率SFout(=Wout/Woutlmt)の逆数SFout−1(=Woutlmt/Wout)とセカンダリプーリ46側に対応するプライマリプーリ42側の推力を算出するときの推力比τoutとの予め実験的に求められて記憶された例えば図8(b)に示すような関係(推力比マップ)から、逐次算出される目標変速比γ*及びセカンダリ側安全率の逆数SFout−1に基づいて推力比τoutを算出する。そして、定常推力算出手段136は、次式(4)から目標セカンダリ推力Wout*及び推力比τoutに基づいてプライマリバランス推力Winblを算出する。なお、被駆動時には入力トルクTinや出力トルクToutが負の値となることから、上記各安全率の逆数SFin−1,SFout−1も被駆動時には負の値となる。また、この逆数SFin−1,SFout−1は、逐次算出されても良いが、安全率SFin、SFoutに所定値(例えば1−1.5程度)を各々設定するならばその逆数を設定しても良い。
Woutbl=Winlmt×τin ・・・(3)
Winbl=Wout*/τout ・・・(4)
図6のブロックB4およびブロックB7において、差推力算出手段138は、例えばセカンダリプーリ46側にて目標の変速を実現する場合のセカンダリプーリ側換算の差推力ΔWとしてのセカンダリ変速差推力ΔWout、及びプライマリプーリ42側にて目標の変速を実現する場合のプライマリプーリ側換算の差推力ΔWとしてのプライマリ変速差推力ΔWinを算出する。具体的には、差推力算出手段138は、目標変速速度dγ*とセカンダリ変速差推力ΔWoutとの予め実験的に求められて記憶された例えば図9(b)に示すような関係(差推力マップ)から、逐次算出される目標変速速度dγ*に基づいてセカンダリ変速差推力ΔWoutを算出する。また、差推力算出手段138は、目標変速速度dγ*とプライマリ変速差推力ΔWinとの予め実験的に求められて記憶された例えば図9(a)に示すような関係(差推力マップ)から、逐次算出される目標変速速度dγ*に基づいてプライマリ変速差推力ΔWinを算出する。
ここで、上記ブロックB3,B4における演算では、推力比マップ(図8参照)や差推力マップ(図9参照)等の予め実験的に求められて設定された物理特性図を用いる。その為、油圧制御回路100等の個体差によりセカンダリバランス推力Woutblやセカンダリ変速差推力ΔWoutの算出結果には物理特性に対するばらつきが存在する。そこで、このような物理特性に対するばらつきを考慮する場合には、限界推力算出手段134は、例えばプライマリプーリ側滑り限界推力Winlmtに基づくセカンダリプーリ46側の推力(セカンダリバランス推力Woutblやセカンダリ変速差推力ΔWout)の算出に関わる物理特性に対するばらつき分に対応する所定推力(制御マージン)Wmgnを、上記セカンダリプーリ46側の推力の算出に先立って、プライマリプーリ側滑り限界推力Winlmtに加算する。従って、上記物理特性に対するばらつきを考慮する場合には、前記ブロックB3において、定常推力算出手段136は、例えば前記式(3)に替えて、次式(3)’から上記制御マージンWmgnが加算されたプライマリプーリ側滑り限界推力Winlmt及び推力比τinに基づいてセカンダリバランス推力Woutblを算出する。
Woutbl=(Winlmt+Wmgn)×τin ・・・(3)’
なお、上記制御マージンWmgnは、例えば予め実験的に求められて設定された一定値(設計値)であるが、定常状態(変速比一定状態)よりも過渡状態(変速中)の方がばらつき要因(推力比マップや差推力マップの物理特性図)を多く用いるので、大きい値に設定されている。また、上記算出に関わる物理特性に対するばらつき分は、例えばリニアソレノイド弁SLP,SLSへの各制御電流に対する制御油圧PSLP,PSLSのばらつき、その制御電流を出力する駆動回路のばらつき、制御油圧PSLP,PSLSに対する実プーリ圧Pin,Poutのばらつき等のプーリ圧の油圧指令値に対する実油圧のずれ分(油圧ばらつき分、油圧制御上のばらつき分)とは異なるものである。この油圧ばらつき分は、ユニット(油圧制御回路100等のハードユニット)によっては比較的大きな値となるが、上記算出に関わる物理特性に対するばらつき分は、上記油圧ばらつき分と比べて極めて小さな値である。その為、制御マージンWmgnをプライマリプーリ側滑り限界推力Winlmtに加算することは、プーリ圧の油圧指令値に対して実プーリ圧がどんなにばらついても目標のプーリ圧が得られるようにその油圧指令値に制御上のばらつき分を上乗せすることに比べ、燃費の悪化が抑制される。また、上記ブロックB6,B7における演算では、目標セカンダリ推力Wout*を基にするので、ここでは演算に先立って上記制御マージンWmgnを目標セカンダリ推力Wout*に加算することについては実行しない。
また、無段変速機制御手段132は、例えばプライマリプーリ42側のベルト滑りを防止する為に必要なセカンダリ推力として、セカンダリバランス推力Woutblにセカンダリ変速差推力ΔWoutを加算したセカンダリプーリ側変速制御推力Woutsh(=Woutbl+ΔWout)を算出する。そして、図6のブロックB5において、無段変速機制御手段132は、セカンダリプーリ側滑り限界推力Woutlmtとセカンダリプーリ側変速制御推力Woutshとのうちの大きい方を、目標セカンダリ推力Wout*として選択する。
また、無段変速機制御手段132は、例えばプライマリバランス推力Winblにプライマリ変速差推力ΔWinを加算してプライマリプーリ側変速制御推力Winsh(=Winbl+ΔWin)を算出する。また、図6のブロックB8において、FB制御量算出手段140は、例えば次式(5)に示すような予め求められて設定された変速比フィードバック制御式を用いて、実シーブ位置Xinを動的目標シーブ位置Xint*と一致させる為の変速比フィードバック制御量(FB制御補正量)Winfbを算出する。ここで、実シーブ位置Xinとは、プライマリプーリ42の可動シーブ42bの軸心方向の位置であり、プライマリプーリ42の回転速度Nin(プライマリ回転速度Nin)または実変速比γに基づいて一義的に決定される。また、動的目標シーブ位置Xint*は、変速時において逐次設定され動的に変化する目標シーブ位置であり、前記動的目標変速比γt*に基づいて算出される。この式(5)において、Eは動的目標シーブ位置Xint*と実シーブ位置Xinとの差分であるシーブ位置偏差E(=Xin−Xint*)、K1pは予め設定されている比例ゲイン、K1iは予め設定されている積分ゲイン、K1dは予め設定されている微分ゲインである。そして、無段変速機制御手段132は、例えばプライマリプーリ側変速制御推力Winshに対して、シーブ位置偏差Eに基づいた変速比フィードバック制御により補正した値(=Winsh+Winfb)を目標プライマリ推力Win*として設定する。
Winfb=K1p×E+K1i×(∫Edt)+K1d×(dE/dt)・・・(5)
ここで、実シーブ位置Xin、実変速比γ、および実プライマリ回転速度Nin、はそれぞれ密接に関連しており、これらのいずれか1つが決定されると、他の2つが一義的に決定される。したがって、上記変速比フィードバック制御は、シーブ位置偏差Eだけでなく、実変速比γと動的目標変速比γt*との変速比偏差Δγ'(=γ−γt*)に基づいて実施することもできる。具体的には、下式(5')に基づいてフィードバック制御量Winfbを算出することができる。なお、式(5')において、K2pは予め設定されている比例ゲイン、K2iは予め設定されている積分ゲイン、K2dは予め設定されている微分ゲインである。
Winfb=K2p×Δγ'+K2i×(∫Δγ'dt)+K2d×(dΔγ'/dt)・・(5')
さらに、プライマリ回転速度Ninの回転速度偏差ΔN'(Nin−Nint*)に基づいて変速比フィードバック制御を実施することもできる。なお、Nint*は変速中に逐次設定される動的な目標回転速度であり、前記動的目標変速比γt*に基づいて算出される。具体的には、下式(5'')に基づいてフィードバック制御量Winfbを算出することができる。なお、式(5'')において、K3pは予め設定されている比例ゲイン、K3iは予め設定されている積分ゲイン、K3dは予め設定されている微分ゲインである。なお、上記実シーブ位置Xin、実変速比γ、および実プライマリ回転速度Ninが、本発明の変速比関連値に対応している。以下、これらを特に区別しない場合には、変速比関連値と記載する。さらに、目標シーブ位置Xin*、目標変速比γ*、および目標プライマリ回転速度Nin*が本発明の変速比制御目標値に対応している。以下、これらを特に区別しない場合には、変速比制御目標値と記載する。
Winfb=K3p×ΔN'+K3i×(∫ΔN'dt)+K3d×(dΔN'/dt)・・・(5'')
また、図6のブロックB9において、収束速度FB制御量算出手段142は、例えば次式(6)に示すような予め求められて設定されたフィードバック制御式を用いて、実シーブ位置Xinが変速後に設定される静的目標シーブ位置Xinc*に収束する速度である実収束速度dE'/dtを、後述する目標収束速度dE'/dt*と一致させる為の収束速度フィードバック制御量(収束速度FB補正量)Wefbを算出する。式(6)に示すように、収束速度フィードバック制御量Wefbは、実収束速度dE'/dtと目標収束速度dE'/dt*との収束速度偏差(=dE'/dt-dE'/dt*)に基づいて算出される。ここで、E'がプライマリプーリ42の可動シーブ42の実シーブ位置Xinと変速後に設定される静的目標シーブ位置Xinc*との差分である収束速度FB用シーブ位置偏差(以下、シーブ位置偏差E')であり、下式(7)で算出される。また、実収束速度dE'/dtはそのシーブ位置偏差E'の変化速度、すなわち単位時間あたりの変化量(時間微分値)であり、下式(8)で算出される。さらに、L1pは予め設定されている比例ゲイン、L1iは予め設定されている積分ゲインである。
Wefb=L1p(dE'/dt-dE'/dt*)+L1i∫(dE'/dt-dE'/dt*)dt ・・・(6)
E'=Xin−Xinc* ・・・(7)
dE'/dt=d(Xin−Xinc*)/dt ・・・(8)
ここで、目標収束速度dE'/dt*は、例えば次式(9)に示すような予め設定された関係式で設定される。式(9)において、αは予め実験等によって求められた定数である。式(9)に示すように、目標収束速度dE'/dt*は、シーブ位置偏差E'に比例する経過時間の関数に設定されており、シーブ位置偏差E'が小さくなるに従って目標収束速度dE'/dt*が小さくなるように設定されている。すなわち、変速が進行するに従って実シーブ位置Xinが静的目標シーブ位置Xinc*に近づくと、目標収束速度dE'/dt*が小さくなるように設定されている。そして、実収束速度dE'/dtが目標収束速度dE'/dt*に追従するような収束速度フィードバック制御量Wefbが式(6)〜(9)によって算出される。従って、算出された収束速度フィードバック制御量Wefbに基づいて目標プライマリ推力Win*が補正されることで、変速が進行するに従い実収束速度dE'/dtが抑制され、実シーブ位置Xinが静的目標シーブ位置Xinc*に向かって緩やかに漸近されるため、実シーブ位置Xinのオーバーシュートが抑制される。また、実プライマリ回転速度Ninおよび実変速比γについても同様にオーバーシュートが抑制される。
dE'/dt*=α×E' ・・・(9)
また、収束速度フィードバック制御量Wefbは、シーブ位置偏差E'の実収束速度dE'/dtと目標収束速度dE'/dt*との収束速度偏差(=dE'/dt-dE'/dt*)だけでなく、シーブ位置Xinに基づいて一義的に決定される変速比γおよびプライマリ回転速度Ninに基づいて算出することもできる。次式(6')は、実変速比γが静的目標変速比γc*に収束する速度である実収束速度(dF/dt)を、後述する目標収束速度(dF/dt*)と一致させるための収束速度フィードバック制御量Wefbを算出するための式である。式(6')において、変速比偏差Δγ(=γ−γc*)をFで示しており次式(7')で算出される。また、実収束速度dF/dtはその変速比偏差Δγ(=F)の変化速度、すなわち単位時間あたりの変化量(時間微分値)であり、下式(8')で算出される。式(6')で示すように、収束速度フィードバック制御量Wefbは、実収束速度(dF/dt)と目標収束速度(dF/dt*)との収束速度偏差(=dF/dt−dF/dt*)に基づいて算出される。なお、L2pは予め設定されている比例ゲイン、L2iは予め設定されている積分ゲインである。
Wefb=L2p(dF/dt-dF/dt*)+L2i∫(dF/dt-dF/dt*)dt ・・・(6')
F=γ−γc* ・・・(7')
dF/dt=d(γ−γc*)/dt ・・・(8')
ここで、目標収束速度dF/dt*は、例えば次式(9')に示すような予め設定された関係式で設定される。式(9')において、βは予め実験等によって求められた定数である。式(9')に示すように、目標収束速度dF/dt*は、変速比偏差Δγに比例する経過時間の関数に設定されており、変速比偏差Δγが小さくなるに従って目標収束速度dF/dt*が小さくなるように設定されている。すなわち、変速が進行するに従って実変速比γが静的目標変速比γc*に近づくと、目標収束速度dF/dt*が小さくなるように設定されている。そして、実収束速度dF/dtが目標収束速度dF/dt*に追従するような収束速度フィードバック制御量Wefbが式(6')〜(9')によって算出される。従って、算出された収束速度フィードバック制御量Wefbに基づいて目標プライマリ推力Win*が補正されることで、変速が進行するに従い実収束速度dF/dtが抑制され、実変速比γが静的目標変速比γc*に向かって緩やかに漸近されるため、実変速比γのオーバーシュートが抑制される。また、実シーブ位置Xinおよび実プライマリ回転速度Ninについても同様にオーバーシュートが抑制される。
dF/dt*=β×F =β×Δγ・・・(9')
次式(6'')は、実プライマリ回転速度Ninが変速後に設定される静的目標プライマリ回転速度Ninc*に収束する速度である実収束速度(dG/dt)を、後述する目標収束速度(dG/dt*)と一致させるための収束速度フィードバック制御量Wefbを算出するための式である。式(6'')において、回転速度偏差ΔNin(=Nin−Ninc*)をGで示しており次式(7'')で算出される。また、実収束速度dG/dtはその回転速度偏差ΔNin(=G)の変化速度、すなわち単位時間あたりの変化量(時間微分値)であり、下式(8'')で算出される。式(6'')で示すように、収束速度フィードバック制御量Wefbは、実収束速度(dG/dt)と目標収束速度(dG/dt*)との収束速度偏差(=dG/dt−dG/dt*)に基づいて算出される。なお、L3pは予め設定されている比例ゲイン、L3iは予め設定されている積分ゲインである。
Wefb=L3p(dG/dt-dG/dt*)+L3i∫(dG/dt-dG/dt*)dt ・・・(6'')
G=Nin−Ninc* ・・・(7'')
dG/dt=d(Nin−Ninc*)/dt ・・・(8'')
ここで、目標収束速度dG/dt*は、例えば次式(9'')に示すような予め設定された関係式で設定される。式(9'')において、δは予め実験等によって求められた定数である。式(9'')に示すように、目標収束速度dG/dt*は、回転速度偏差ΔNinに比例する経過時間の関数に設定されており、回転速度偏差ΔNinが小さくなるに従って目標収束速度dG/dt*が小さくなるように設定されている。すなわち、変速が進行するに従って実プライマリ回転速度Ninが静的目標プライマリ回転速度Ninc*に近づくと、目標収束速度dG/dt*が小さくなるように設定されている。そして、実収束速度dG/dtが目標収束速度dG/dt*に追従するような収束速度フィードバック制御量Wefbが式(6'')〜(9'')によって算出される。従って、算出された収束速度フィードバック制御量Wefbに基づいて目標プライマリ推力Win*が補正されることで、変速が進行するに従い実収束速度dG/dtが抑制され、実プライマリ回転速度Ninが静的目標プライマリ回転速度Nin*に向かって緩やかに漸近されるため、実プライマリ回転速度Ninのオーバーシュートが抑制される。また、実シーブ位置Xinおよび実変速比γについても同様にオーバーシュートが抑制される。
dG/dt*=δ×G =δ×ΔNin・・・(9'')
ここで、収束速度FB制御量算出手段142による収束速度フィードバック制御量Wefbの算出は、常時実行されるものではなく、静的目標変速比γc*と実変速比γとの差分である変速比偏差Δγが予め設定されている所定値γaを越えたときのみ実行される。収束速度FB制御量算出手段142は、静的目標変速比γc*と実変速比γとの変速比偏差Δγ(=γ−γc*)を逐次算出し、変速比偏差Δγが予め設定されている所定値γaを越えると、静的目標変速比γc*と実変速比γとが乖離しているものと判断し、収束速度フィードバック制御量Wefbの算出を許可する。なお、この許可は即座に算出を開始するものではない。また、上記所定値γaが本発明の閾値に対応する。
静的目標変速比γc*と実変速比γとの変速比偏差Δγが乖離している場合、それに従って静的目標シーブ位置Xinc*と実シーブ位置Xinとの差分であるシーブ位置偏差E'(=Xin−Xinc*)、および、静的目標プライマリ回転速度Ninc*と実プライマリ回転速度Ninとの差分である回転速度偏差ΔNinも同様に乖離している。したがって、その状態でFB制御量算出手段140が実行されると、それらの偏差に基づいて算出されるフィードバック制御量Winfbも大きく変化するため、オーバーシュートが発生し易くなる。このようなときに収束速度FB制御量算出手段142が実施されることで、上記変速比関連値(実変速比γ、実シーブ位置Xin、実プライマリ回転速度Nin)のオーバーシュートが抑制される。一方、上記変速比関連値の各偏差(変速比偏差Δγ、シーブ位置偏差E'、回転速度偏差ΔNin)が小さい場合には、FB制御量算出手段140のみ実施されてもオーバーシュートが殆ど発生しないので、収束速度FB制御量算出手段142は実施されない。これより、収束速度FB制御量算出手段142が実施される状態が短くなり、変速の遅れが低減される。また、例えば路面走行の変化等によって走行状態に変化(外乱)が発生した場合において、収束速度FB制御量算出手段142の実施によって変速制御に影響が発生することも少なくなる。なお、上記所定値γaは、予め実験等によって求められ、オーバーシュート量が予め設定されている値(例えば運転者が違和感を感じる程度の値)以下となるように設定されている。
また、上記収束速度FB制御量算出手段142による収束速度フィードバック制御量Wefbの算出の実施を、実変速比γと静的目標変速比γc*との変速比偏差Δγに基づいて判断したが、プライマリプーリ42の変速後の静的目標プライマリ回転速度Ninc*と実際のプライマリ回転速度Nin(以下、実プライマリ回転速度Nin)との差分である回転速度偏差ΔNin(=Nin−Ninc*)が予め設定されている所定値Naを越えたか否か、或いは、プライマリプーリ42の可動シーブ42bの実シーブ位置Xinと変速後に設定される静的目標シーブ位置Xinc*とのシーブ位置偏差E'(=Xin−Xinc*)が予め設定されている所定値Eaを越えたか否かに基づいて判断しても構わない。このように、回転速度偏差ΔNinおよびシーブ位置偏差ΔXinに基づいて判断する場合であっても、これらの偏差は変速比偏差Δγと密接に関連する値であるため、変速比偏差Δγに基づいて判断することと実質的には変わらない。なお、上記所定値Naおよび所定値Ea(本発明の閾値に対応する)は、予め実験等によって求められ、オーバーシュート量が予め設定されている値(例えば運転者が違和感を感じる程度の値)以下となるように設定されている。
収束速度FB制御量算出手段142は、例えば静的目標変速比γc*と実変速比γとの変速比偏差Δγ(=γ−γc*)が乖離していると判断すると、収束速度フィードバック制御量Wefbの算出開始時期を判断する。収束速度FB制御量算出手段142は、先ず実変速比γが静的目標変速比γc*に到達するのに要する予測到達時間Tを算出する。具体的には、収束速度FB制御量算出手段142は、下式(10)に基づいて予測到達時間Tを逐次算出する。ここで、Δγは算出時点での変速比偏差Δγであり、式(10)に示すように、変速比偏差Δγを収束速度(dΔγ/dt)で除算することで算出される。そして、収束速度FB制御量算出手段142は、算出された予測到達時間Tが予め設定されている所定時間Ta以下か否かを判断し、予測到達時間Tが所定時間Ta以下となると、実変速比γが静的目標変速比γc*に接近したと判断し、収束速度フィーバック制御量Wefbの算出を開始する。なお、所定時間Taは、予め設定されて記憶されている値であり、実変速比γが静的目標変速比γc*に接近したと判断されるような値に設定される。
T=Δγ/(dΔγ/dt) ・・・(10)
また、上記予測到達時間Tは、式(10)のほか、下式(11)で算出することもできる。ここで、ΔNinは、プライマリプーリ42の変速後の静的目標プライマリ回転速度Ninc*と実プライマリ回転速度Ninとの差分である回転速度偏差ΔNin(=Nin−Ninc*)であり、式(11)に示すように、回転速度偏差ΔNinをその回転速度偏差ΔNinの単位時間当たりの変化量(dΔNin/dt)で除算することで算出される。この式(11)に基づいて算出する場合であっても、変速比γとプライマリ回転速度Ninとは密接に関連しているので、変速比γに基づいて算出する場合と実質的には変わらない。
T=ΔNin/(dΔNin/dt) ・・・(11)
さらに、上記予測到達時間Tは、下式(12)で算出することもできる。この式(12)に基づいて算出する場合であっても、変速比γと実シーブ位置Xinとは密接に関連しているので、変速比γに基づいて算出する場合と実質的には変わらない。
T=E'/(dE'/dt) ・・・(12)
また、収束速度フィードバック制御量算出手段142は、収束速度フィードバック制御量Wefbの算出開始時期を、上記シーブ位置偏差E'が予め設定されている所定値Eb以下となったか否か、変速比偏差Δγが予め設定されている所定値γb以下となったか否か、回転速度偏差ΔNinが予め設定されている所定値Nb以下となったか否かに基づいて判断することもできる。なお、上記各所定値(Eb、γb、Nb)は、予め求められ前記予測到達時間Tが所定時間Ta以下となる値に設定されている。
収束速度FB制御量算出手段142は、例えば式(9)に基づいて目標収束速度dE'/dt*を設定すると共に、式(8)に基づいて逐次実収束速度dE'/dtを算出し、それら目標収束速度dE'/dt*および実収束速度dE'/dtから式(6)に基づいて収束速度フィードバック制御量Wefbを算出する。そして、無段変速機制御手段132は、収束速度フィードバック制御量Wefbが算出されると、プライマリプーリ側変速制御推力Winshに対して、フィードバック制御量Winfbおよび収束速度フィードバック制御量Wefbにより補正した値(=Winsh+Winfb+Wefb)を目標プライマリ推力Win*として設定することで、実シーブ位置Xinが緩やかに静的目標シーブ位置Xinc*に向かって漸近されることで、オーバーシュートが抑制される。なお、収束速度フィードバック制御量Wefbは、式(6')〜(9')に基づいて、または、式(6'')〜(9'')に基づいて算出しても構わない。
また、収束速度FB制御量算出手段142は、静的目標変速比γc*と実変速比γとの変速比偏差Δγが予め設定されている所定値γc以下となると、収束速度フィードバック制御量Wefbの算出を終了する。なお、上記所定値γcは予め実験等によって求められ、変速が完了したものと判断される程度の小さな値に設定される。
また、上記収束速度フィードバック制御量Wefbの算出を終了させる判断は、上記変速比γに基づいて判断するだけでなく、プライマリプーリ42の静的目標プライマリ回転速度Ninc*と実プライマリ回転速度Ninとの回転速度偏差ΔNinが予め設定されている所定値Nc以下か否か、或いは、静的目標シーブ位置Xinc*と実シーブ位置Xinとのシーブ位置偏差E'が予め設定されている所定値Ec以下か否かに基づいて判断することもできる。なお、上記所定値Ncおよび所定値Ecも同様に、予め実験等によって求められ、変速が完了したものと判断される程度の小さな値に設定される。
このように、前記ブロックB1乃至B5は、目標セカンダリ推力Wout*を設定するセカンダリ側目標推力演算部すなわちセカンダリ側目標推力演算手段150として機能する。また、前記ブロックB6乃至B9は、目標プライマリ推力Win*を設定するプライマリ側目標推力演算部すなわちプライマリ側目標推力演算手段152として機能する。
図6のブロックB10及びブロックB13において、無段変速機制御手段132は、例えば目標推力を目標プーリ圧に変換する。具体的には、無段変速機制御手段132は、目標セカンダリ推力Wout*及び目標プライマリ推力Win*を、各油圧シリンダ46c,42cの各受圧面積に基づいて目標セカンダリ圧Pout*(=Wout*/46cの受圧面積)及び目標プライマリ圧Pin*(=Win*/42cの受圧面積)に各々変換する。
ここで、本実施例の油圧制御回路100では、プライマリ圧Pin及びセカンダリ圧Poutの制御にプライマリ圧コントロールバルブ110及びセカンダリ圧コントロールバルブ112の各減圧弁を用いている。その為、例えば変速中は作動油の給排によりスプリング110b,112bのバネ力の変化と流体力(フローフォース)とが生じる。これによりスプール弁子110a,112aの移動方向(弁開閉方向、図3の上下方向、)の力の釣り合いが崩れるので、プーリ指示圧と実プーリ圧との間にずれδP1が発生する。このずれδP1は、例えばベルヌーイの定理と運動量保存則により導出することができ、オーバーライド特性として作動油の流量Qf又はプーリ位置Xin,Xoutの変化量の関数で表すことができる。また、本実施例の油圧制御回路100では、オリフィス120,124が設けられている。その為、変速中は、作動油の流量Qfに応じてオリフィス120,124の上流と下流との間に圧力差δP2が生じる。この圧力差δP2は、例えばオリフィス特性として作動油の流量Qf又はプーリ位置Xin,Xoutの変化量の2次関数で表すことができる。
また、プーリ指示圧の変化に対して実プーリ圧の変化には、油圧制御回路100の遅れ特性と流体の遅れ特性とが存在する。この遅れ特性は、例えば1次遅れ系や2次遅れ系にて近似することができる。そこで、プーリ指示圧に対する実プーリ圧の遅れ特性をモデル化し、このモデル化した遅れ特性に基づいて遅れ特性を相殺する為の遅れ補償特性をモデル化する。
そして、図6のブロックB11,B12及びブロックB14,B15において、無段変速機制御手段132は、例えば目標セカンダリ圧Pout*及び目標プライマリ圧Pin*に対して、前記オーバーライド特性及びオリフィス特性に基づいたずれ量分(δP1+δP2)だけ各々補正し、更に前記モデル化した遅れ補償特性に基づいて油圧応答遅れ分だけ補償した値をセカンダリ指示圧Pouttgt及びプライマリ指示圧Pintgtとして設定する。
無段変速機制御手段132は、例えば目標プライマリ圧Pin*及び目標セカンダリ圧Pout*が得られるように、油圧制御指令信号SCVTとしてプライマリ指示圧Pintgt及びセカンダリ指示圧Pouttgtを油圧制御回路100へ出力する。油圧制御回路100は、その油圧制御指令信号SCVTに従って、リニアソレノイド弁SLPを作動させてプライマリ圧Pinを調圧すると共に、リニアソレノイド弁SLSを作動させてセカンダリ圧Poutを調圧する。
図10は、電子制御装置50の制御作動の要部すなわち無段変速機18の変速制御において変速終了時に発生するオーバーシュートを抑制するための制御作動を説明するためのフローチャートであり、例えば数msec乃至数十msec程度の極めて短いサイクルタイムで繰り返し実行される。なお、図10において、SA1〜SA4、SA6、SA7で示す各ステップは、それぞれ収束速度FB制御量算出手段142に対応している。また、
先ず、ステップSA1(以下、ステップを省略)において、無段変速機18の静的目標変速比γc*と実変速比γとの変速比偏差Δγ(=γ−γc*)が予め設定されている所定値γaを越えたか否か、すなわち静的目標変速比γc*と実変速比γとが乖離しているか否かが判断される。SA1が否定される場合、本ルーチンは終了させられ、収束速度フィードバック制御量Wefbを含まない、上記式(5)に基づく通常の変速比フィードバック制御が実行される。一方、SA1が肯定される場合、SA2が実行される。
SA2では、上記式(10)、式(11)、または式(12)に基づいて予測到達時間Tが算出される。そして、SA3に進み、SA2において算出された予測到達時間Tが予め設定されている所定時間Ta以下となったか否かが判断される。SA3が否定される場合、SA2に戻り、再度その時点における予測到達時間Tが算出される。そして、予測到達時間Tが所定時間Taとなるまで、SA2〜SA3のステップが繰り返し実行され、予測到達時間Tが所定時間Ta以下となると、SA3が肯定され、SA4に進む。
SA4においては、目標収束速度dE'/dt*が式(9)に基づいて設定されると共に、現時点での実収束速度dE'/dtが式(8)に基づいて算出され、算出された目標収束速度dE'/dt*および実収束速度dE'/dtから式(6)に基づいて、収束速度フィードバック制御量Wefbが算出される。次いで、無段変速機制御手段132に対応するSA5では、SA4で算出された収束速度フィードバック制御量Wefbに基づいて目標プライマリ推力Win*(=Winsh+Winfb+Wefb)が補正される。これにより、実収束速度dE'/dtが目標収束速度dE'/dt*に追従することとなる。ここで、目標収束速度dE'/dt*はシーブ位置偏差E'に比例する関数に設定されているので、目標収束速度dE'/dt*は変速が進行するに従って小さくなる。したがって、シーブ位置Xinが変速終盤では緩やかに変化するため、オーバーシュートが抑制される。SA6では、静的目標変速比γc*と実変速比γとの変速比偏差Δγが所定値γc以下となったか否かが判断される。SA6が否定される場合、SA4に戻り、最新の収束速度フィードバック制御量Wefbが算出され、SA5において算出された新たな収束速度フィードバック制御量Wefbに基づいて目標プライマリ推力Win*が補正される。すなわち変速比偏差Δγが所定値γc以下となるまで、収束速度フィードバック制御量Wefbの算出が継続され、その収束速度フィードバック制御量Wefbに基づいて目標プライマリ推力Win*が補正される。そして、変速比偏差Δγが所定値γc以下となると、SA6が肯定され、SA7において収束速度フィードバック制御量Wefbの算出が終了される。
なお、図10のフローチャートにおいて、SA1のステップを、回転速度偏差ΔNin(=Nin−Ninc*)が予め設定されている所定値Naを越えたか否か、実シーブ位置偏差E'が予め設定されている所定値Eaを越えたか否かに基づく判断に切り替えても構わない。また、SA2、SA3のステップを、上記シーブ位置偏差E'が予め設定されている所定値Eb以下となったか否か、変速比偏差Δγが予め設定されている所定値γb以下となったか否か、回転速度偏差ΔNinが予め設定されている所定値Nb以下となったか否かに基づいて判断するものに切り替えても構わない。また、SA4において、収束速度フィードバック制御量Wefbを式(6')〜式(9')、または式(6'')〜式(9'')に基づいて算出することもできる。さらに、SA6において、回転速度偏差ΔNinが予め設定されている所定値Nc以下か否か、或いは、シーブ位置偏差E'が予め設定されている所定値Ec以下か否かに基づいて判断するものに切り替えても構わない。
図11は、収束速度フィードバック制御量Wefbによって目標プライマリ推力Win*が補正されることでオーバーシュートが抑制されることを説明するためのタイムチャートであり、図10のフローチャートによる作動結果に対応するものである。なお、図11において横軸は経過時間tを示し、縦軸は、上からプライマリシーブ収束速度dE'/dt、実プライマリ回転速度Nin、収束速度FB許可フラグ、収束速度FB実行フラグ、目標セカンダリ推力Wout*、目標プライマリ推力Win*を示している。ここで、収束速度FB許可フラグは、例えば目標プライマリ回転速度Ninc*と実プライマリ回転速度Ninとの回転速度偏差ΔNinが所定値Naを越えたときにONとなり、収束速度FB制御量Wefbの算出が許可される。また、収束速度FB実行フラグは、例えば実プライマリ回転速度Ninが静的目標プライマリ回転速度Ninc*に到達する予測到達時間Tが所定時間Ta以下となるとONとなり、収束速度FB制御量Wefbの算出が開始される。
また、実プライマリ回転速度Ninにおいて、静的目標プライマリ回転速度Ninc*は変速後の目標プライマリ回転速度Nin*を示し、動的目標プライマリ回転速度Nint*は予め設定された関係に基づいて設定され、実プライマリ回転速度Ninと静的目標プライマリ回転速度Ninc*との偏差ΔNinを抑制するものである。動的目標プライマリ回転速度Nint*は、前記動的目標変速比γt*に対応する値に設定され、静的目標プライマリ回転速度Ninc*と実プライマリ回転速度Ninとの間の値をとる。
図11に示すように、t1時点において静的目標プライマリ回転速度Ninc*と実プライマリ回転速度Ninとの偏差ΔNinが所定値Naを越えると、収束速度FB許可フラグがONとなり、実プライマリ回転速度Ninが静的目標プライマリ回転速度Ninc*に到達するのに要する予測到達時間Tの算出が開始され、算出された予測到達時間Tが所定時間Ta以下となったか否かが逐次判断される。ここで、t1時点〜t2時点では、算出された予測到達時間Tが所定時間Taを越えるため、収束速度FB制御量Wefbは算出されない。したがって、t1時点〜t2時点では、図6のB1〜B8、B10〜B15に示すブロックに基づいて目標プライマリ推力Win*および目標セカンダリ推力Wout*が設定される。
そして、t2時点において、逐次算出されている予測到達時間Tが所定時間Ta以下となると、収束速度FB許可フラグがOFFとなる一方、収束速度FB実行フラグがONとなり、収束速度FB制御量Wefbの算出が開始される。具体的には、t2時点において、例えば式(9)に基づいて目標収束速度dE'/dt*が設定され、プライマリシーブ42の可動シーブ42bの実シーブ位置Xinと静的目標シーブ位置Xinc*とのシーブ位置偏差E'(=Xin−Xinc*)およびその変化速度である実収束速度dE'/dtが算出される。そして、算出された実収束速度dE'/dtおよび目標収束速度dE'/dt*から式(6)に基づいて収束速度FB制御量Wefbが算出される。そして、算出された収束速度FB制御量Wefbによって目標プライマリ推力Win*が補正される。
図11に示すように、目標収束速度dE'/dt*は、無段変速機18の変速が進行するに従って小さくなる。これは、式(9)に示すように、目標収束速度dE'/dt*がシーブ位置偏差E'(Xin−Xinc*)の関数で設定されているためである。すなわち、変速が進行するに従ってシーブ位置偏差E'が小さくなるため、それと共に目標収束速度dE'/dt*が小さくなる。そして、実収束速度dE'/dtがこの目標収束速度dE'/dt*に追従するように目標プライマリ推力Win*がフィードバック制御される。これより、図11に示すように、目標プライマリ推力Win*が、収束速度FB制御量Wefbの加算分だけ高くなっている。このように目標プライマリ推力Win*が、算出された収束速度FB制御量Wefbで補正されることで、実プライマリ回転速度Ninが一点鎖線で示すように変化して、オーバーシュートが抑制されている。なお、収束速度FB制御量Wefbによるフィードバック制御が実行されない場合(収束速度FB非実行時)、破線で示しように実プライマリ回転速度Ninがオーバーシュートすることとなる。
なお、図11において、実プライマリ回転速度Ninの回転速度変化が記載されているが、実プライマリ回転速度Ninを無段変速機18の変速比γに置き換えても同様の傾向を示す。すなわち、図12に示すように、収束速度FB制御量算出手段142が実行されることによって、変速比γのオーバーシュートが抑制される。なお、図12の具体的な説明は、図11に示すタイムチャートと略同様であるため、その説明を省略する。また、図示はしないが、シーブ位置Xinも同様に、収束速度FB制御量算出手段142が実行されることによって、そのオーバーシュートが抑制される。
上述のように、本実施例によれば、変速比関連値(実シーブ位置Xin、実変速比γ、実プライマリ回転速度Nin)と変速比制御目標値(目標シーブ位置Xinc*、目標変速比γc*、目標プライマリ回転速度Ninc*)との各偏差(シーブ位置偏差E'、変速比偏差Δγ、回転速度偏差ΔNin)の変化速度で定義される目標収束速度(dE'/dt*、dF/dt*、dG/dt*)を設定し、その目標収束速度と実際の収束速度(dE'/dt、dF/dt、dG/dt)との収束速度偏差が小さくなるように、前記プライマリプーリ42のプライマリ推力Win*を調整する収束速度フィードバック制御を実行するものであり、前記目標収束速度は、前記変速比関連値が変速比制御目標値に近づくに従って小さくなる値に設定される。このようにすれば、変速比関連値が変速比制御目標値に近づくと目標収束速度が小さくなり、且つ、実際の実収束速度がその目標収束速度に近づくように制御されるため、実シーブ位置Xin、実変速比γ、および実プライマリ回転速度Ninが緩やかに変化してオーバーシュートが抑制される。
また、本実施例によれば、目標収束速度(dE'/dt*、dF/dt*、dG/dt*)は、変速比関連値と変速比制御目標値との偏差(E'、F(=Δγ)、G(=ΔNin))に比例して小さくなる値に設定されているため、目標収束速度を前記偏差の減少と共に小さくすることができる。
また、本実施例によれば、予測到達時間Tを算出し、その予測到達時間Tが予め設定されている所定時間Ta以下となると、前記収束速度偏差に基づく収束速度フィードバック制御が開始されるため、オーバーシュートを効果的に抑制することができると共に、収束速度フィードバック制御の実行時間を短くして変速の遅れを低減することができる。
また、本実施例によれば、変速比関連値と変速比制御目標値との偏差が予め設定されている所定値以下となると、前記収束速度偏差に基づく収束速度フィードバック制御が開始されるため、オーバーシュートを効果的に抑制すると共に、収束速度フィードバック制御の実行時間を短くして変速の遅れを低減することができる。
また、本実施例によれば、前記収束速度偏差に基づく収束速度フィードバック制御は、変速比関連値と変速比制御目標値との偏差が予め設定されている設定されている閾値を越えた場合に、その実施が許可されるため、オーバーシュート量が大きくなる車両状態である場合にのみ収束速度フィードバック制御が実行されるので、オーバーシュートを効果的に抑制することができる。
以上、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明したが、本発明はその他の態様においても適用される。
例えば、前述の実施例では、目標収束速度(dE'/dt*)は、例えば式(9)に示すようにシーブ位置偏差E'の1次の関数であったが、必ずしも上記に限定されず、例えばシーブ位置偏差E'の2次の関数であっても構わない。すなわち、目標収束速度(dE'/dt*)は、変速比関連値と変速比制御目標値とが近づくにしたがって小さくなるものであれば、特に限定されない。
また、前述の実施例では、前記収束速度フィードバック制御は、前記変速比フィードバック制御と共に実行するものであったが、偏差が所定値を下回ったときにその変速比フィードバック制御に代えて実行するものであっても構わない。
また、前述の実施例では、実変速比γと静的目標変速比γc*との偏差が予め設定されている閾値を超えた場合に、収束速度フィードバック制御が実行されているが、必ずしも閾値を超えた場合のみ実行する必要はなく、常時実行するものであっても構わない。
また、前述の実施例では、予測到達時間Tが予め設定されている所定時間Ta以下となると、収束速度フィードバック制御が開始されるものであったが、必ずしも予測到達時間Tが所定時間Ta以下となると開始されるものでなくとも構わない。
また、前述の実施例では、例えば実変速比γ(または実シーブ位置Xin、実プライマリ回転速度Nin)と静的目標変速比γc*(または目標シーブ位置Xin*、目標プライマリ回転速度Nin*)との変速比偏差Δγ(またはシーブ位置偏差E'、回転速度偏差ΔNin)が予め設定されている所定値γb(Eb、Nb)以下となると、収束速度フィードバック制御が終了されるものであったが、必ずしも変速比偏差Δγが所定値γb以下となると終了されるものでなくとも構わない。
なお、上述したのはあくまでも一実施形態であり、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を加えた態様で実施することができる。