従来の白熱電球に比べて、消費電力が低く、かつ、長寿命といった長所を有する発光ダイオード(以下、「LED」という。)は、需要者のエコロジー意識の高まりとともに、省エネ対策のひとつとしてその使用範囲が急速に広まっており、また、白熱電球の代替としてLEDを使用したいというニーズも高まっている。
ところがLEDは「直流」電流で作動することから、商用電圧を用いてLEDを点灯する際には当該商用電圧を降圧・整流(=直流電圧に変換)あるいは整流・降圧してLEDに給電するLED点灯回路が必須となる。
このようなLED点灯回路として、先に商用交流電源からの交流電圧を整流して直流電圧に変換し、然る後、当該直流電圧をスイッチング回路で降圧してLEDに供給するものが開発されている(例えば、特許文献1の図3)。
特許文献1の図3に開示された回路は、いわゆる降圧回路を利用したLED点灯回路である。降圧回路を用いたLED点灯回路1Aの典型例を図6に示す。このLED点灯回路1Aは、商用交流電源Sから受け取った交流電圧Vinを整流して脈流の直流電圧Vdc1にする整流回路2と(なお、当該整流回路2は、脈流の直流電圧の平滑を行う平滑コンデンサ3を有している。)、LED4と、当該直流電圧Vdc1を受けてLED4を点灯するLED駆動回路5とを備えている。
LED駆動回路5は、整流回路2から伸びるプラスラインL1およびゼロボルトラインL2の間に配設された、ダイオード6(例えば、数十kHzから数百kHzのスイッチングに耐える高速ダイオード)、リアクタンス素子7、およびスイッチング素子8(例えばMOSFET)で構成されており、これらで降圧回路が構成されている。降圧回路の特徴として、LED4はリアクタンス素子7に対して直列に挿入されており、これらLED4およびリアクタンス素子7がダイオード6に対して並列接続されている。
さらに、スイッチング素子8に対して直列に接続されており、LED4に流れる電流を検出する電流検出抵抗9、およびスイッチング素子8をオンオフ制御するPWM制御回路PがLED点灯回路1Aに設けられている。PWM制御回路Pは、電流検出抵抗9に生じる検出電圧Vsを受け、当該検出電圧Vsと基準電圧Vrefとを比較する比較回路P1と、発振器P2と、フリップフロップP3とを備えている。
このLED点灯回路1Aを作動させたときにおける、各部における電圧あるいは電流の波形を図7に示す。また、図8には、脈流の直流電圧Vdc1が最大となるタイミングにおける各部での電圧あるいは電流の波形を示す。なお、両図では横軸がすべて「時間」となっているが、図7に描かれた時間軸は商用周波数の波形がわかるようになっている。また図8に描かれた時間軸はスイッチング周波数の波形がわかるように時間軸が拡大されていることに注意する必要がある。
商用交流電源Sからの商用交流電圧Vin(図7(a)参照)は、整流回路2で図7(b)のような脈流の直流電圧Vdc1に全波整流された後、プラスラインL1およびゼロボルトラインL2を介してLED駆動回路5に与えられる。
然る後、発振器P2によりフリップフロップP3がセットされると、スイッチング素子8のゲート8aに電圧が印加されて、当該スイッチング素子8がオン(導通状態)になる。スイッチング素子8がオンになると、プラスラインL1から、LED4、リアクタンス素子7、スイッチング素子8、電流検出抵抗9、およびゼロボルトラインL2の順に電流が流れ(スイッチング素子8がオンになると同時に電流値は直線的に立ち上がる。)、リアクタンス素子7に電気エネルギーが蓄積される(図8参照:VLはリアクタンス素子7の両端電圧である。)。そして、電流検出抵抗9の検出電圧Vsが基準電圧Vrefに達すると、比較回路P1がフリップフロップP3をリセットし、スイッチング素子8はオフ(非導通状態)となる。
スイッチング素子8がオフになると、リアクタンス素子7にそれまで蓄積されていた電気エネルギーにより、今度は、リアクタンス素子7、ダイオード6、LED4、再びリアクタンス素子7の順に電流が流れ出し、LED4に流れる電流値は、時間の経過とともに、直線的に減少していく(図8(c)参照)。
そして、予め設定された時間が経過すると、PWM制御回路Pの発振器P2が再びフリップフロップP3をセットし、上述のように、ゲートに電圧が印加されたスイッチング素子8がオンになる。この動作が発振器P2の周波数で繰り返される。
なお、降圧回路の場合、スイッチングの周期(=発振器P2の周波数の逆数)をT、スイッチング素子8がオンになっている時間をt1、LED4の順電圧をVoとすると、スイッチング素子8がオンの時と、オフの時とにおいて、リアクタンス素子7が蓄積・放出する電気エネルギーの量は等しいことから、次式が成り立つ(図8(a)参照)。
(Vdc1−Vo)×t1=Vo×(T−t1) …(式1)
ところで、上述のような、降圧回路を用いたLED点灯回路1Aの他に、いわゆる昇圧回路を用いたLED点灯回路1Bも開発されている。昇圧回路を用いたLED点灯回路1Bの典型例を図9に示す。また、このLED点灯回路1Bを作動させたときの、各部における電圧あるいは電流の波形、および脈流の直流電圧Vdc2が最大となるタイミングでの各部における電圧あるいは電流の波形をそれぞれ図10、および図11に示す(なお、両図における時間軸の違いについては上述の通り)。
LED点灯回路1B(昇圧回路)は、上述したLED点灯回路1A(降圧回路)に比べて、LED4、ダイオード6、およびリアクタンス素子7の位置や向きが異なっている。すなわち、LED点灯回路1Bにおいて、LED4は、プラスラインL1とゼロボルトラインL2との間で逆方向に接続(LED4のカソード側がプラスラインL1に接続)されており、さらに、ダイオード6もLED4に直列かつ同方向に接続されている。また、リアクタンス素子7の一端はプラスラインL1に接続され、他端はダイオード6のアノード側とスイッチング素子8との間に接続されている。
商用交流電源Sからの商用交流電圧Vin(図10(a)参照)は、整流回路2で図10(b)のような脈流の直流電圧Vdc2に全波整流された後、プラスラインL1およびゼロボルトラインL2を介してLED駆動回路5に与えられる。
発振器P2によりフリップフロップP3がセットされると、スイッチング素子8のゲート8aに電圧が印加されて、当該スイッチング素子8がオンになる。スイッチング素子8がオンになると、プラスラインL1から、リアクタンス素子7、スイッチング素子8、電流検出抵抗9、およびゼロボルトラインL2の順に電流が流れ(スイッチング素子8がオンになると同時に電流値は直線的に立ち上がる。)、リアクタンス素子7に電気エネルギーが蓄積される(図11参照:VLはリアクタンス素子7の両端電圧である。)。そして、電流検出抵抗9の検出電圧Vsが基準電圧Vrefに達すると、比較回路P1がフリップフロップP3をリセットし、スイッチング素子8はオフとなる。スイッチング素子8がオンになっている間は、LED4には電流IoBが流れない。
スイッチング素子8がオフになると、リアクタンス素子7にそれまで蓄積されていた電気エネルギーにより、今度は、リアクタンス素子7、ダイオード6、LED4、プラスラインL1、再びリアクタンス素子7の順に電流が流れ出し、LED4に流れる電流値IoBは、時間の経過とともに、直線的に減少していく(図11(c)参照)。
そして、予め設定された時間が経過すると、PWM制御回路Pの発振器P2が再びフリップフロップP3をセットし、上述のように、ゲートに電圧が印加されたスイッチング素子8がオンになる。この動作が発振器P2の周波数で繰り返される。
なお、昇圧回路の場合、スイッチングの周期(=発振器P2の周波数の逆数)をT、スイッチング素子8がオンになっている時間をt2、LED4の順電圧をVoとすると、スイッチング素子8がオンの時と、オフの時とにおいて、リアクタンス素子7が蓄積・放出する電気エネルギーの量は等しいことから、次式が成り立つ(図11(a)参照)。
Vdc2×t2=Vo×(T−t2) …(式2)
しかしながら、上述した降圧回路および昇圧回路には、それぞれ異なる問題があった。すなわち、降圧回路構成(図6)の場合、スイッチング素子8がオンの時におけるリアクタンス素子7の電圧は、当該リアクタンス素子7にLED4が直列に接続されていることから、直流電圧Vdc1からLED4の順電圧Voの分だけ低くなる(図8(a)参照)。また、スイッチング素子8がオフの時におけるスイッチング素子8の出力電圧Vd1(スイッチング素子8にFETが使用される場合はドレイン・ソース間電圧がこれに対応する。)は、ほぼ整流回路2からの出力直流電圧Vdc1に等しくなるので、図7(c)に示すように、商用交流電圧Vinがゼロ電圧付近になるタイミング(すなわち直流電圧Vdc1がLED4の順電圧Vo以下まで低下するタイミング)でLED4に電流IoAが流れず、欠落部(LED4が消灯する時間)が生じる。
LED4からの光束は応答が速いので、当該光束強度の波形は、図7(d)に示すように、LED4に流れる電流IoAとほぼ同じ波形、つまり欠落部を有する波形になる。このため、当該欠落部が、商用周波数(50Hzあるいは60Hz)の2倍の周波数(つまり、100Hzあるいは120Hz)で発生するフリッカとしてユーザーに感知される。この欠落部は、平滑コンデンサ3の容量が低いほど、またLED4の順電圧Voが高いほど長くなることから、フリッカもより明瞭に感知されることになる。また、商用交流電源SとLED点灯回路1Aとの間に位相制御調光器を配設して調光を行う場合、光量を低下させていくと当該欠落部がさらに長くなることから、フリッカがさらに感知されやすくなる。
このような欠落部の周波数は、上述のように商用周波数の2倍と低いことから、これを改善しようとすると、大容量の平滑コンデンサ3が必要になる。仮に、平滑コンデンサ3を大容量にすると、今度は、位相制御調光器を設けて調光動作を行う際に進相電流が増えてしまい、上述のように調光を行う場合には、位相制御調光器のトライアックが誤動作しやすくなるという問題が生じてしまう。
一方、昇圧回路構成(図9)の場合、スイッチング素子8がオンの時においてリアクタンス素子7に印加される電圧は、LED4の順電圧Voに関係なく、整流回路2からの直流電圧Vdc2となる。また、スイッチング素子8がオフの時におけるスイッチング素子8の出力電圧Vd2(スイッチング素子8にFETが使用される場合はドレイン・ソース電圧がこれに対応する。)は、直流電圧Vdc2にLED4の順電圧Voを加えた値(Vdc2+Vo)にほぼ等しくなる(すなわち、整流回路2から出力される直流電圧Vdc2よりも、LED4の順電圧Vo分だけ高くなる。図11(b)参照)。これが「昇圧回路」と呼ばれる所以である。
このように、スイッチング素子8の出力電圧Vd2が高くなり、商用交流電圧Vinがゼロ電圧付近になるタイミングにおいてもLED4には順電圧Vo以上の電圧が維持されるので、図10(d)に示すように、光束ΦBに欠落部が生じることはない。したがって、昇圧回路構成の場合、商用交流電圧Vinの周波数(50Hzあるいは60Hz)の2倍の周波数(つまり、100Hzあるいは120Hz)のフリッカはほとんど感知されない。
なお、昇圧回路構成の場合、スイッチング素子8がオンになっている間、LED4は消灯することになるが、スイッチング素子8の発振周波数は数十Hzから数百kHzであり、50Hzあるいは60Hzである商用交流電圧Vinの周波数に比べてはるかに高いことから、高周波のLED4の消灯はフリッカとしてユーザーに感知されることはない。
しかしながら、昇圧回路では、スイッチング素子8がオンになっている場合、LED4には電流が流れず、当該LED4は点灯しないことから、結果的に降圧回路に比べて効率が低下するとともに、損失が増えて発熱しやすいという問題があった。
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、商用交流電圧Vinがゼロ電圧付近になるタイミングにおいても、LEDに流れる電流値の低下を少なくして、LEDからの光束Φに欠落部が生じるのを回避できるとともに、効率の低下も抑えて無駄な発熱を抑えることのできるLED点灯回路を提供することにある。
請求項1に記載した発明(図1)は、
「商用交流電源Sから受けた商用交流電圧Vinを整流して脈流の直流電圧Vdcにする整流回路16と、
前記整流回路16にそれぞれ接続され、前記直流電圧Vdcが印加されるプラスライン18およびゼロボルトライン20と、
前記整流回路16からの前記直流電圧Vdcを用いて複数のLED14a、14bを点灯するLED駆動回路22とを備えており、
前記LED駆動回路22は、
前記プラスライン18および前記ゼロボルトライン20間の導通をオンオフするスイッチング素子28と、
前記スイッチング素子28および前記ゼロボルトライン20間に配設された電流検出抵抗30と、
前記スイッチング素子28を予め設定した時間間隔でオンにするとともに、オンにした後、前記電流検出抵抗30の電圧Vsが所定の値Vrefになったタイミングで前記スイッチング素子28をオフにするPWM制御回路32と、
アノードが前記プラスライン18に接続された第1の前記LED14aのカソードと、前記スイッチング素子28との間に配設されたリアクタンス素子34と、
カソードが前記プラスライン18に接続された第2の前記LED14bのアノードにそのカソードが接続され、前記スイッチング素子28および前記リアクタンス素子34間にそのアノードが接続されたダイオード36とを備えていることを特徴とするLED点灯回路10」である。
このLED点灯回路10では、商用交流電源Sからの商用交流電圧Vin(図2(a)参照)は、整流回路16で図2(b)のような脈流の直流電圧Vdcに全波整流された後、プラスライン18およびゼロボルトライン20を介してLED駆動回路22に与えられる。
そして、PWM制御回路32によってスイッチング素子28がオンにされると、整流回路16に接続されたプラスライン18から、第1のLED14a、リアクタンス素子34、スイッチング素子28、電流検出抵抗30、およびゼロボルトライン20の順で電流が流れ(スイッチング素子28がオンになると同時に第1のLED14aに流れる電流値Io1は直線的に立ち上がる。)、リアクタンス素子34に電気エネルギーが蓄積される。スイッチング素子28がオンの間、第2のLED14bには電流Io2が流れていない。そして、電流検出抵抗30の両端電圧(=検出電圧Vs)が所定の値(=基準電圧Vref)に達すると、PWM制御回路32がスイッチング素子28をオフにする。
スイッチング素子28がオフになると、リアクタンス素子34にそれまで蓄積されていた電気エネルギーにより、今度は、リアクタンス素子34、ダイオード36、第2のLED14b、第1のLED14a、再びリアクタンス素子34の順に電流が流れ出し、電流値Io1、Io2は、時間の経過とともに、直線的に減少していく。
そして、予め設定された時間間隔で、PWM制御回路32が再びスイッチング素子28をオンにする。このような動作が、PWM制御回路32に予め設定された時間間隔(すなわち、PWM制御回路32の発振周波数の逆数)で繰り返される。
請求項1のLED点灯回路10には少なくとも二つのLED(第1および第2のLED)14a、14bが取り付けられる(LED14a、14bが取り付けられたLED点灯回路10を、以下では「LEDランプ12」という。)。LEDランプ12からの光束Φ3は、第1および第2のLED14a、14bからの光束Φ1、Φ2を組み合わせた光束になる(図2(e)参照)。
第1のLED14aは、上述した「降圧回路」と同様の回路を構成しており、当該第1のLED14aに流れる電流Io1波形は、図2(c)に示すように、整流回路16からの直流電圧Vdcが第1のLED14aの順電圧Vo1よりも低くなるタイミングで当該第1のLED14aに流れる電流がゼロになり、第1のLED14aが消灯する「欠落部」が生じる。
一方、第2のLED14bは、上述のように昇圧回路を構成しており、当該第2のLED14bに流れる電流Io2波形は、図2(d)および図3(d)に示すように、スイッチング素子28がオンのときには電流Io2が流れず消灯するが、当該スイッチング素子28がオフのときには電流Io2が流れて点灯する。そして、スイッチング素子28がオフの時におけるスイッチング素子28の出力電圧Vdは、直流電圧Vdcに第2のLED14bの順電圧Vo2を加えた値(Vdc+Vo2)にほぼ等しくなる(すなわち、整流回路16から出力される直流電圧Vdcよりも、第2のLED14bの順電圧Vo2分だけ高くなる。)。
このように、スイッチング素子28の出力電圧Vdが高くなり、整流回路16からの直流電圧Vdcが低くなるタイミングにおいても、第2のLED14bには順電圧Vo2以上の電圧が維持されるので、このタイミングで第2のLED14bが消灯することはない(図2(d)参照。なお、後述する周波数の高い消灯は除く)。
以上のことから、第1のLED14aからの光束Φ1に欠落部が生じたとしても、第2のLED14bからの光束Φ2には欠落部が生じないので、LEDランプ12からの全体光束Φ3(光束Φ1+光束Φ2)としては欠落部がなくなり(図2(e)参照)、従来の降圧回路構成で問題であった商用周波数(50Hzあるいは60Hz)の2倍の周波数(つまり、100Hzあるいは120Hz)のフリッカが感知されることはほとんどなくなる。
なお、スイッチング素子28がオンになっている間、第2のLED14bは消灯することになるが、スイッチング素子28の発振周波数は数十kHzから数百kHzであり、50Hzあるいは60Hzである商用交流電圧Vinの周波数に比べてはるかに高いことから、高周波数の第2のLED14bの消灯がフリッカとしてユーザーに感知されることはない。
また、従来の昇圧回路構成では、スイッチング素子8がオンのタイミングでLED4に電流が流れず、当該LED4は点灯しないことから、その間は電流検出抵抗9等に電流が流れるだけで損失となっていたが、請求項1のLED点灯回路10によれば、スイッチング素子28がオンのタイミングでも第1のLED14aは点灯することから、全体として効率の低下を抑えることができる。
請求項2に記載した発明は、請求項1に記載したLED点灯回路10を改良したものであり、
「第1の前記LED14aの順電圧Vo1は、第2の前記LED14bの順電圧Vo2よりも低く設定されている」ことを特徴とする。
第1のLED14aの順電圧Vo1を低くして、商用交流電圧Vinがゼロ電圧になる付近で第1のLED14aからの光束Φ1に欠落部が生じる期間を短くすることにより、さらにフリッカを感知し難くすることができるとともに、第2のLED14bの順電圧Vo2を高くすることにより、当該第2のLED14bに流れる電流値Io2を低く抑えて回路全体の効率を高めることができるようになる。
請求項3に記載した発明は、請求項2に記載したLED点灯回路10を改良したものであり、
「第1の前記LED14aからの光の色温度は、第2の前記LED14bからの光の色温度よりも低く設定されている」ことを特徴とする。
第1のLED14aの順電圧Vo1は、第2のLED14bの順電圧Vo2よりも低く設定されており、かつ、第1のLED14aからの光の色温度を第2のLED14bからの光の色温度よりも低く設定することにより、例えばLED点灯回路10に位相制御調光器を接続して当該LED点灯回路10に与えられる交流電圧Vinの導通角を狭くしていったとき、第1のLED14aに流れる電流Io1よりも第2のLED14bに流れる電流Io2の方が先に低下していく。したがって、位相制御調光器を用いて全LED14a、14bからの光束Φ1、Φ2を低下させていったとき、色温度の高い第2のLED14bの光束Φ2が先に低下していき、色温度の低い第1のLED14aの光束Φ1の低下を後にすることができるので、光束Φ3の低下とともに光の色温度を低下させて、あたかもハロゲンランプからの光のような挙動を実現することができ、従来のハロゲンランプの代替えとしてLEDを用いる場合に最適なLED点灯回路とすることができる。
請求項4に記載した発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載したLED点灯回路10を改良したものであり(図4)、
「前記整流回路16と前記LED点灯回路10との間における前記プラスライン18および前記ゼロボルトライン20間において前記整流回路16に並列接続され、前記整流回路16から受ける前記直流電圧Vdcのピーク電圧以下の放電開始電圧Vvfから前記放電開始電圧Vvf以下の充電開始電圧Vvgまでの間にて放電を行うとともに、前記充電開始電圧Vvgから前記直流電圧Vdcのピーク電圧までの間にて充電を行う谷埋用コンデンサ52を有しており、前記谷埋用コンデンサ52が放電することによって、脈流の前記直流電圧Vdc波形のピーク間における電圧値が前記充電開始電圧Vvg以上となるように谷埋めする谷埋め回路50をさらに備えており、
第1の前記LED14aの順電圧Vo1は、前記谷埋め回路50における前記充電開始電圧Vvgよりも低く設定されている」ことを特徴とする。
このように、整流回路16とLED駆動回路22との間に谷埋め回路50を設けるとともに、第1のLED14aの順電圧Vo1を当該谷埋め回路50における充電開始電圧Vvgよりも低く設定することにより、従来では第1のLED14aに通電することができず、当該第1のLED14aが消灯してフリッカの原因となる欠落部が生じていたタイミングにおいても、谷埋め回路50の谷埋用コンデンサ52が放電することによって第1のLED14aに加えられる電圧を順電圧Vo1よりも高く維持することができるようになる。
これにより、第1のLED14aにおける光束Φ1の欠落部を無くして、商用周波数の2倍の周波数でユーザーに感知されるフリッカをより完全に無くすことができる。
請求項5に記載した発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載のLED点灯回路10と、複数のLED14とを備えるLEDランプ12である。
本発明によれば、商用交流電圧がゼロ電圧付近になるタイミングにおいてLED全体からの光束に欠落部が生じるのを回避できるとともに、効率の低下も抑えて無駄な発熱を抑えることのできるLED点灯回路を提供することができた。
以下、本発明が適用された実施例について、図面を用いて説明する。図1は、本発明が適用された実施例のLED点灯回路10が使用されたLEDランプ12を示しており、図2は、このLED点灯回路10を作動させたときの、各部における電圧あるいは電流の波形を示すグラフである。また、図3は、脈流の直流電圧Vdcが最大となるタイミングでの各部における電圧あるいは電流の波形を示す図である。なお、図2および図3では、横軸はすべて「時間」となっているが、図3に描かれた時間軸はスイッチング周波数の波形がわかるように時間軸が図2に示すものよりも拡大されている。
なお、本明細書では、各部材の符号に関し、同一種類の部材が複数個使用されている場合において、上位概念で示す場合にはアルファベットの枝番をつけずアラビア数字のみで示し、個別に区別する必要がある場合(すなわち下位概念で示す場合)には、アルファベット小文字の枝番をアラビア数字に付して区別する。
LEDランプ12は、複数の(本実施例では2つの)LED14と、LED点灯回路10とで構成されている。
LED14は、順電圧Vo以上の電圧を順方向に印加して所定の電流を流すように制御されることにより光を出す半導体であり、本実施例では、第1のLED14aと、第2のLED14bとが使用されている。なお、第1のLED14aの順電圧をVo1、第2のLED14bの順電圧をVo2で示す。また、第1のLED14aの順電圧Vo1は、第2のLED14bの順電圧Vo2よりも低く設定されている。さらに、第1のLED14aからの光の色温度は、第2のLED14bからの光の色温度よりも低く設定されている。つまり、第1のLED14aからの光の方が赤みの強い光になっている。
また、第1のLED14aは、アノードが後述するプラスライン18に接続されており、第2のLED14bは、カソードがプラスライン18に接続されている。
LED点灯回路10は、大略、整流回路16と、プラスライン18およびゼロボルトライン20と、LED駆動回路22とで構成されている。
整流回路16は、商用交流電源Sから受けた商用交流電圧Vinを整流して脈流の直流電圧Vdcにする回路であり、本実施例では、商用交流電圧Vinを全波整流するための、4つの整流用ダイオード24で構成されたブリッジ回路である整流部Aと、当該整流部Aに対して並列に接続されており、整流部Aで全波整流された直流電圧を適度に平滑化する平滑コンデンサ26で構成された平滑部Bとを有している。
プラスライン18およびゼロボルトライン20は、それぞれ整流回路16に接続され、当該整流回路16からの脈流の直流電圧Vdcが印加される電気伝導度の高い材料で作成された導線(リード線)である。
LED駆動回路22は、プラスライン18およびゼロボルトライン20を介して整流回路16から受けた直流電圧Vdcを用いて、両LED14a、14bを点灯する回路であり、スイッチング素子28と、電流検出抵抗30と、PWM制御回路32と、リアクタンス素子34と、ダイオード36とを備えている。
スイッチング素子28は、プラスライン18およびゼロボルトライン20間に配設され、当該プラスライン18およびゼロボルトライン20間の導通をオンオフするための素子であり、本実施例では、3端子形のMOSFETが使用されている。当該スイッチング素子28は、3つの端子(ゲート28a、ソース28b、およびドレイン28c)を有しており、ゲート28aに電圧が加えられることにより、ソース28bからドレイン28cに電流を流す働きを有している。
電流検出抵抗30は、スイッチング素子28とゼロボルトライン20との間に配設された抵抗であり、後述するように、当該電流検出抵抗30に印加される電圧はPWM制御回路32によって監視されており、当該電圧が所定の値になったときにPWM制御回路32がスイッチング素子28をオフにするようになっている。
PWM制御回路32は、スイッチング素子28を予め設定した時間間隔でオンにするとともに、オンにした後、電流検出抵抗30の電圧が所定の値になったタイミングでスイッチング素子28をオフにする回路であり、大略、比較回路38と、発振器40と、フリップフロップ42とで構成されている。なお、PWM制御回路32の具体例としては、Supertex社のLEDドライバーIC「HV9910」を挙げることができる。
比較回路38は、電流検出抵抗30にかかる検出電圧Vsを受け、当該検出電圧Vsと基準電圧Vrefとを比較する回路であり、検出電圧Vsが基準電圧Vrefに達したときに、フリップフロップ42をリセットするようになっている。
発振器40は、予め設定された発振周波数に基づいて所定の時間間隔でフリップフロップ42をセットするものである。
フリップフロップ42は、スイッチング素子28のゲート28aに加える電圧をオンオフすることによって、ソース28bおよびドレイン28c間の導通をオンオフするものであり、発振器40によってセットされてから比較回路38によってリセットされるまでの間、ゲート28aに電圧を加え続けて、スイッチング素子28のオン状態を維持するようになっている。
リアクタンス素子34は、アノードがプラスライン18に接続された第1のLED14aのカソードと、スイッチング素子28との間に配設されたコイル素子である。
ダイオード36は、そのカソードが、第2のLED14bのアノードに接続されており、そのアノードが、スイッチング素子28およびリアクタンス素子34の間に接続されている。
要するに、第1のLED14aは、リアクタンス素子34に対して直列、およびダイオード36に対して並列に配設されていることから、当該第1のLED14aは降圧回路を構成している。また、第2のLED14bは、ダイオード36対して直列、およびリアクタンス素子34に対して並列に配設されていることから、当該第2のLED14bは昇圧回路を構成している。なお、上述のように、第1のLED14aの順電圧Vo1は、第2のLED14bの順電圧Vo2よりも低く設定されている。
次に、上述のLED点灯回路10を用いて両LED14a、14bを点灯させたときにおける各部の働きおよび電圧・電流波形について説明する。
商用交流電源Sからの商用交流電圧Vin(図2(a)参照)は、整流回路16で図2(b)のような脈流の直流電圧に全波整流された後、プラスライン18およびゼロボルトライン20を介してLED駆動回路22に与えられる。
この状態で、PWM制御回路32の発振器40によってスイッチング素子28がオンにされると、整流回路16に接続されたプラスライン18から、第1のLED14a、リアクタンス素子34、スイッチング素子28、電流検出抵抗30、およびゼロボルトライン20の順で電流が流れ(スイッチング素子28がオンになると同時に電流値は直線的に立ち上がる。)、リアクタンス素子34に電気エネルギーが蓄積される。そして、電流検出抵抗30の両端電圧(=検出電圧Vs)が所定の値(=基準電圧Vref)に達すると、PWM制御回路32の比較回路38がフリップフロップ42をリセットすることにより、当該フリップフロップ42からスイッチング素子28のゲート28aへの電圧がオフになり、スイッチング素子28の導通がオフになる。
スイッチング素子28の導通がオフになると、リアクタンス素子34にそれまで蓄積されていた電気エネルギーにより、今度は、リアクタンス素子34、ダイオード36、第2のLED14b、第1のLED14a、および、再びリアクタンス素子34の順に電流が流れ出し、電流値は、時間の経過とともに、直線的に減少していく。
そして、予め設定された時間間隔(=発振器40に設定された発振周波数の逆数)で、発振器40が再びフリップフロップ42をセットして、当該フリップフロップ42がスイッチング素子28をオンにする。このような動作が、PWM制御回路32の発振器40に予め設定された時間間隔(=発振器40の発振周波数の逆数)で繰り返される。
なお、スイッチングの周期(=発振器40に設定された時間間隔)をT、オン時間をt3、第1のLED14aの順電圧をVo1、第2のLED14bの順電圧をVo2とすると、スイッチング素子28がオンの場合とオフの場合とにおいてリアクタンス素子34に蓄積・放出される電気エネルギーは等しいので次式が成り立つ。なお、図中のVLは、リアクタンス素子34の両端電圧である。
(Vdc−Vo1)×t3=(Vo1+Vo2)×(T−t3)…(式3)
本実施例のLED点灯回路10には第1および第2のLED14a、14bが取り付けられており、LEDランプ12からの光束Φ3は、第1および第2のLED14a、14bからの光束Φ1、Φ2を組み合わせた光束になる。
第1のLED14aは、上述のように降圧回路を構成しており、当該第1のLED14aに流れる電流波形は、図2(c)に示すように、整流回路16からの直流電圧Vdcが第1のLED14aの順電圧Vo1よりも低くなるタイミングで当該第1のLED14aに流れる電流がゼロになり、第1のLED14aが消灯する「欠落部」が生じる。
一方、第2のLED14bは、上述のように昇圧回路を構成しており、当該第2のLED14bに流れる電流波形は、図3(d)に示すように、スイッチング素子28がオンのときには電流Io2が流れず消灯するが、当該スイッチング素子28がオフのときには電流Io2が流れて点灯する。そして、スイッチング素子28がオフの時におけるスイッチング素子28の出力電圧Vdは、直流電圧Vdcに第2のLED14bの順電圧Vo2を加えた値(Vdc+Vo2)にほぼ等しくなる(すなわち、整流回路16から出力される直流電圧Vdcよりも、第2のLED14bの順電圧Vo2分だけ高くなる。)。スイッチング素子28の出力電圧Vdが高くなり、整流回路16からの直流電圧Vdcが低くなるタイミングにおいても、第2のLED14bには順電圧Vo2以上の電圧が維持されるので、このタイミングで第2のLED14bが消灯することはない(図2(d)参照。なお、後述する周波数の高い消灯は除く)。
以上のことから、第1のLED14aからの光束Φ1に欠落部が生じたとしても、第2のLED14bからの光束Φ2には欠落部が生じないので、LEDランプ12からの全体光束Φ3(光束Φ1+光束Φ2)としては欠落部がなくなり(図2(e)参照)、従来の降圧回路構成で問題であった商用周波数(50Hzあるいは60Hz)の2倍の周波数(つまり、100Hzあるいは120Hz)のフリッカが感知されることはほとんどなくなる。
なお、図3(d)に示すように、スイッチング素子28がオンになっている間、第2のLED14bには電流が流れず消灯することになるが、スイッチング素子28の発振周波数(つまり、PWM制御回路32の発振器40に設定された発振周波数)は数十kHzから数百kHzであり、50Hzあるいは60Hzである商用交流電圧Vinの周波数に比べてはるかに高いことから、高周波数の第2のLED14bの消灯がフリッカとしてユーザーに感知されることはない。また、第2のLED14bの両端に小容量のコンデンサを接続することにより、図示していない高周波のリップルを平滑・低減し、スイッチング素子28がオンのタイミングにおけるゼロ電流を簡単に無くすことができる(従来の降圧回路の場合、欠落部が長くなるので、これを改善するには平滑コンデンサ26の容量を大きくせざるを得ないが、本実施例の回路であれば、少ない容量の平滑コンデンサ26で改善することができる。)。
また、従来の昇圧回路構成では、スイッチング素子がオンのタイミングでLEDに電流が流れず、当該LEDは点灯しないことから、その間は電流検出抵抗等に電流が流れるだけで損失となっていたが、本実施例のLED点灯回路10によれば、スイッチング素子28がオンのタイミングでも第1のLED14aは点灯することから、全体として効率の低下を抑えることができる。
さらに、本実施例では、第1のLED14aの順電圧Vo1が、第2のLED14bの順電圧Vo2よりも低く設定されており、第1のLED14aの順電圧Vo1を低くすることにより、商用交流電圧Vinがゼロ電圧になる付近で第1のLED14aからの光束Φ1に欠落部が生じる期間を短くして、さらにフリッカを感知し難くすることができるとともに、第2のLED14bの順電圧Vo2を高くすることにより、当該第2のLED14bに流れる電流値を低く抑えて回路全体の効率を高めることができるようになる。
また、第1のLED14aからの光の色温度を、第2のLED14bからの光の色温度よりも低く設定することにより、例えばLED点灯回路10に位相制御調光器を接続して当該LED点灯回路10に与えられる交流電圧Vinの導通角を狭くしていったとき、第1のLED14aに流れる電流Io1よりも第2のLED14bに流れる電流Io2の方が先に低下していく。したがって、位相制御調光器を用いて全LED14a、14bからの光束を低下させていったとき、色温度の高い第2のLED14bからの光が先に低下していき、色温度の低い第1のLED14aからの光の低下を後にすることができるので、光束の低下とともに光の色温度を低下させて、あたかもハロゲンランプからの光のような挙動を実現することができ、従来のハロゲンランプの代替えとしてLEDを用いる場合に最適なLED点灯回路10とすることができる。
なお、図4に示すように、LED点灯回路10における整流回路16とLED駆動回路22との間において、プラスライン18およびゼロボルトライン20間に谷埋め回路50をさらに設けてもよい。
谷埋め回路(バレー・フィル[Valley Fill]回路)50は、整流回路16から供給された脈流の直流電圧Vdcの波形(全波整流後の電圧波形)のピーク間における電圧値が充電開始電圧(後述)以上となるように谷埋めする回路であり、本実施例では、2つの谷埋用コンデンサ52a、52bと、3つの谷埋用ダイオード54a、54b、54cとで構成されている。具体的には、プラスライン18およびゼロボルトライン20の間において、プラスライン18−第1の谷埋用ダイオード54aのカソード、第1の谷埋用ダイオード54aのアノード−第1の谷埋用コンデンサ52a、第1の谷埋用コンデンサ52a−ゼロボルトライン20の順に接続され、これと並列に、プラスライン18−第2の谷埋用コンデンサ52b、第2の谷埋用コンデンサ52b−第2の谷埋用ダイオード54bのカソード、第2の谷埋用ダイオード54bのアノード−ゼロボルトライン20の順に接続され、さらに、第1の谷埋用ダイオード54aと第1の谷埋用コンデンサ52aとの間に第3の谷埋用ダイオード54cのカソード、第2の谷埋用コンデンサ52bと第2の谷埋用ダイオード54bとの間に当該第3の谷埋用ダイオード54cのアノードがそれぞれ接続されている。
換言すれば、プラスライン18とゼロボルトライン20との間において順方向に配置された第3の谷埋用ダイオード54cを挟んで、一対の第1および第2の谷埋用コンデンサ52a、52bが直列接続されており、プラスライン18側の第2の谷埋用コンデンサ52bおよび第3の谷埋用ダイオード54cの間と、ゼロボルトライン20との間に第2の谷埋用ダイオード54bが逆バイアスで配設され、ゼロボルトライン20側の第1の谷埋用コンデンサ52aおよび第3の谷埋用ダイオード54cの間と、プラスライン18との間に第1の谷埋用ダイオード54aが逆バイアスで配設されている。
この谷埋め回路50の動作について図5を参照しつつ説明すると、商用交流電圧Vin(図5(a)参照)を受けた整流回路16が出力する脈流の直流電圧Vdc(図5(b)参照)の電圧値が高い間(ピーク電圧に至るまで)は、電流がプラスライン18、第2の谷埋用コンデンサ52b、第3の谷埋用ダイオード54c、第1の谷埋用コンデンサ52a、およびゼロボルトライン20の順に流れ、両谷埋用コンデンサ52a、52bが充電される(第1および第2の谷埋用ダイオード54a、54bは逆バイアスになっている。なお、この期間を「充電期間」とよぶ。)。このとき、両谷埋用コンデンサ52a、52bのピーク電圧(Vvf・cap)は、直流電圧Vdcのピーク電圧値の半分になる(直列接続された谷埋用コンデンサ52が2個であるため。)。すなわち、(Vvf・cap=Vdc(peak)÷2)となる。例えば、Vin=100Vac(100Vの交流電圧)であれば、Vdc(peak)≒Vin(peak)=Vin×21/2=140[V]となるので、両谷埋用コンデンサ52a、52bのピーク電圧値(これが放電開始電圧(Vvf)となる)は、Vvf・cap≒70[V]となる(ちなみにこれは、導通角が30度のタイミングに等しい。)。
各周期において直流電圧Vdcがピーク値から低下していったとき、当該直流電圧Vdcが両谷埋用コンデンサ52a、52bの放電開始電圧(Vvf)と等しくなるタイミングがあり、このタイミングにおいて第3の谷埋用ダイオード54cが逆バイアスになるとともに、第1、第2の谷埋用ダイオード54a、54bが順バイアスになり、両谷埋用コンデンサ52a、52bがプラスライン18およびゼロボルトライン20間で互いに並列接続となることから、プラスライン18およびゼロボルトライン20間の電圧Vdcは、両谷埋用コンデンサ52a、52bの電圧に等しくなる(Vdc=Vvf・cap)。そして、交流電圧値Vinがさらに低下していくと、両谷埋用コンデンサ52a、52bの電圧の方が高くなるので、両谷埋用コンデンサ52a、52bは放電を開始する。
したがって、商用交流電圧Vinが谷埋め回路50における谷埋用コンデンサ52a、52bの放電開始電圧(Vvf)まで低下すると、両谷埋用コンデンサ52a、52bが等価的に並列接続になって放電を開始し、両谷埋用コンデンサ52a、52bに充電されていた電力がLED駆動回路22に供給される。たとえ商用交流電圧Vinが第1のLED14aの順電圧Vo1以下に下がったとしても、LED駆動回路22に供給される両谷埋用コンデンサ52a、52bからの電圧が当該順電圧Vo1以下にならない限り、第1のLED14aは消灯せず、「欠落部」が生じることはなくなる。放電開始後、両LED14a、14bに流れる電流Io1、Io2(図5(c)、(d)参照)は、両谷埋用コンデンサ52a、52bの容量に応じて漸減する(両谷埋用コンデンサ52a、52bの容量が大きければ漸減の度合いはさらに緩やかになり、容量が小さければ漸減の度合いはやや急になる。)。
然る後、一旦ゼロ電圧になって再び昇圧してきた商用交流電圧Vinが、LED駆動回路22に給電することによって漸減してきたコンデンサ電圧に一致した(このときのコンデンサ電圧が谷埋め回路50の充電開始電圧(Vvg)となる。)後は、再び整流回路16からの直流電圧VdcがLED駆動回路22に印加されるので、第1のLED14aの順電圧Vo1を谷埋め回路50の充電開始電圧(Vvg)以下に設定することにより、第1のLED14aが消灯する「欠落部」をなくすことができる。これにより、商用周波数の2倍の周波数で感知されるフリッカの問題を大幅に改善できる。
もちろん、谷埋め回路50を3つ以上の谷埋用コンデンサ52および谷埋用ダイオード54を組み合わせて構成してもよい。谷埋用コンデンサ52がn個(n≧2の整数)の場合、放電開始電圧(Vvf)は、商用交流電圧Vinのピーク電圧(Vin(peak))÷nで求められることから、nが3以上になると放電開始電圧(Vvf)が小さくなりすぎて第1のLED14aの順電圧Vo1の選択幅が狭くなる。このため、谷埋用コンデンサ52の数は、本実施例のように2個が好適である。