JP5471407B2 - 回転体の振動監視装置 - Google Patents

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本発明は、回転体の振動を監視して回転体の異常を監視する回転体の監視装置に関する。
発電プラントにおいては、ガスタービンや蒸気タービンなどの回転体に発電機を連結して発電機を駆動し発電を行うものである。これら回転体の運転時の異常は、回転体の振動変化として現れるので、回転体の運転状況を監視するために軸受に振動計が設置されている。以下、回転体としてガスタービンを例に取り説明する。
図9はガスタービンの構成図である。ガスタービンは、ガスタービン本体11と、燃焼器12と、空気圧縮機13とから構成され、ガスタービン本体11及び空気圧縮機13は回転軸14で連結されている。回転軸14には、ガスタービン発電設備の場合には図示省略の発電機が連結され、コンバインドサイクル発電設備の場合にはさらに蒸気タービンが連結される。
回転軸14は軸受15a、15bで支承され、軸受15a、15bには振動計16a、16bが設置されている。そして、振動計16a、16bで計測された振動は振動監視装置17に入力され、振動監視装置17は回転軸の振動が警報値を超えたか否かでガスタービンの異常が監視される。
空気圧縮機13には入口案内翼18が設けられており、回転軸14の回転数が一定の場合には、入口案内翼18の開度を調節することにより空気圧縮機13に取り込む空気流量が制御される。また、空気圧縮機13には空気圧縮機再循環弁19が設けられ、空気圧縮機13で圧縮された圧縮空気の一部を空気圧縮機13の入口に供給し、空気圧縮機13の入口に供給される空気を暖めるようにしている。空気圧縮機13で得られた圧縮空気は燃焼器12に供給され、燃焼器12で燃料と混合される。燃焼器12では燃料と圧縮空気との混合ガスを燃焼させて、その燃焼ガスをガスタービン本体11に供給しガスタービン11を駆動する。
このようなガスタービンのガスタービン本体11や空気圧縮機13の監視は、回転軸14の振動を監視することで運用をしている。つまり、ガスタービン本体11や空気圧縮機13に異常が発生すると、軸受15a、15bの軸受振動が大きくなるので、その監視をすることで運用をしている。
ここで、回転体の振動を監視するものとして、基準値の振動位相−振幅ベクトルを予め用意しておき、同一運転条件の下で振動位相−振幅ベクトルを計測し、その差ベクトルのベクトル量に閾値を設定して異常兆候の検知を行うようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。また、現在の振動の振幅値および位相角値の軌跡がトレンド表示されている画面上に、振動振幅値および位相角の基準点を重ねて表示するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
特開平1−270623号公報 特開2002−62932号公報
ところが、従来の回転軸14の振動の監視では、軸受15a、15bの振動の絶対値が警報値を超えたか否かで回転体の異常を検出しているので、ガスタービン11や空気圧縮機13などの回転体の微小な振動異常を検出できない場合がある。微小な振動の異常が見過ごされ、そのような微小な異常振動が継続することにより、突然大きなトラブルに発展してしまうことがある。大きなトラブルに発展した場合には、その復旧には大きなコスト及び作業停止期間が発生し、その被害は甚大なものとなる。
本発明の目的は、回転体の大きなトラブルが発生する前の予兆を検出できる回転体の振動監視装置を提供することである。
請求項1の発明に係る回転体の振動監視装置は、回転体の出力が所定値以上で所定時間経過したときは定常運転状態と判定する定常運転状態判定手段と、前記定常運転状態判定手段により前記回転体が定常運転状態になったと判定されたとき前記回転体の振動を所定周期で入力し前記回転体の回転速度と同一周波数成分の振幅及び位相で表される振動ベクトルを所定周期毎に演算する振動ベクトル演算手段と、前記振動ベクトル演算手段で得られた最新の周期の振動ベクトルの振幅及び位相とn周期前に得られた振動ベクトルの振幅及び位相との変化量を求める振動ベクトル変化量演算手段と、前記振動ベクトル変化量演算手段で得られた振動ベクトルの変化量が予め定めた設定値を超えたか否かを判定する振動ベクトル変化量判定手段と、前記振動ベクトル変化量判定手段により前記振動ベクトルの変化量が予め定めた設定値を超えたと判定されたときは警報を出力する警報出力手段とを備えたことを特徴とする。
請求項2の発明に係る回転体の振動監視装置は、請求項1の発明において、回転体が無負荷で定格回転数となった昇速完了以降の運転状態において前記回転体の振動を所定周期で入力し前記回転体の回転速度と同一周波数成分の振幅及び位相で表される振動ベクトルが予め定めた基準範囲内に入っているか否かを判定する基準範囲判定手段を設け、前記基準範囲判定手段により前記振動ベクトルが予め定めた基準範囲を逸脱していると判定されたときは警報を出力することを特徴とする。
請求項3の発明に係る回転体の振動監視装置は、請求項1または請求項2の発明において、前記回転体はガスタービンであり、前記ガスタービンの空気圧縮機の吐出圧力を所定周期で入力し最新の周期の吐出圧力とn周期前に得られた吐出圧力との変化率を求める吐出圧力変化率演算手段と、前記吐出圧力変化率演算手段で得られた吐出圧力変化率の絶対値が予め定めた設定値を超えたか否かを判定する吐出圧力変化率絶対値判定手段とを備え、前記吐出圧力変化率絶対値判定手段により吐出圧力の変化率の絶対値が予め定めた設定値を超えたと判定されたときは警報を出力することを特徴とする。
本発明によれば、回転体が定常運転状態になったとき回転体の回転速度と同一周波数成分の振幅及び位相で表される振動ベクトルを所定周期毎に演算し、最新の周期の振動ベクトルの振幅及び位相とn周期前に得られた振動ベクトルの振幅及び位相との変化量を求め、その振動ベクトルの変化量が予め定めた設定値を超えたときは警報を出力するので、回転体の大きなトラブルが発生する前の予兆を検出できる。すなわち、回転体の定常運転状態での回転体の最新の周期で得られた振動ベクトルと予め定めた基準値との比較ではなく、最新の周期で得られた振動ベクトルとn周期前に得られた振動ベクトルとの変化量で判定を行うので振動の微小な異常も検出できる。これにより、特にラビング等の擦れに対する反応に効果が有り、回転体の大きなトラブルが発生する前に予兆管理ができることから、回転体の大きなトラブルを回避できる。
また、回転体が無負荷で定格回転数となった昇速完了以降の運転状態となったとき、回転体の回転速度と同一周波数成分の振幅及び位相で表される振動ベクトルが予め定めた基準範囲を逸脱しているか否かを判定し警報を出力するので、昇速完了以降において定常運転状態以外の運転状態の異常も監視できる。
また、回転体がガスタービンの空気圧縮機である場合には、吐出圧力の変化率の絶対値が予め定めた設定値を超えたと判定されたときにも警報を出力するので、空気圧縮機の大きなトラブルが発生する前の予兆を精度良く検出できる。すなわち、空気圧縮機の最新の周期で得られた吐出圧力と予め定めた基準値との比較ではなく、最新の周期で得られた吐出圧力とn周期前に得られた吐出圧力との比較を行うので、振動の微小な異常も検出できる。これにより、空気圧縮機の大きなトラブルが発生する前に予兆管理ができることから、空気圧縮機の簡易な補修で済むことが期待でき補修の観点からも大きな効果がある。
本発明の第1の実施の形態に係る回転体の振動監視装置の構成図。 ガスタービンの空気圧縮機の動静翼に損傷が発生し緊急安全停止に至った場合の軸受の振動波形の一例を示す波形図。 本発明の実施の形態における振動ベクトル変化量判定手段での判定処理内容の説明図。 本発明の第2の実施の形態に係る回転体の振動監視装置の構成図。 本発明の第2の実施の形態における基準範囲判定手段での判定処理内容の説明図。 本発明の第3の実施の形態に係る回転体の振動監視装置の構成図。 ガスタービンの空気圧縮機の動静翼に損傷が発生し緊急安全停止に至った場合の空気圧縮機の吐出圧力の変化特性の一例を示す特性図。 本発明の第4の実施の形態に係る回転体の振動監視装置の構成図。 ガスタービンの構成図。
以下本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の第1の実施の形態に係る回転体の振動監視装置の構成図、図2はガスタービンの空気圧縮機の動静翼に損傷が発生し緊急安全停止に至った場合の軸受の振動波形の一例を示す波形図である。
図2において、Xaは図9における軸受15aのX方向軸受の振動波形、Yaは図9における軸受15aのY方向軸受の振動波形、Xbは図9における軸受15bのX方向軸受の振動波形、Ybは図9における軸受15bのY方向軸受の振動波形である。そして、時点t3’で軸受の振動の絶対値が警報値を超え、ガスタービンの振動異常が検出され、時点t3でガスタービンが緊急安全停止した場合を示している。
ガスタービンの緊急安全停止後にその原因を調査すると、空気圧縮機の動静翼の一部に損傷が発生していることが判明した。軸受の振動の絶対値が警報値を超えた時点t3’以前においては、軸受の振動の絶対値は警報値未満であり、軸受の振動の絶対値ではガスタービンの微小な振動異常を検出できなかったが、図2に示すように、ガスタービンの緊急安全停止後に軸受の振動を調査すると、時点t3’以前の時点t1、時点t2において、各軸受の振動波形Xa、Ya、Xb、Ybが突変していることが判明した。この突変の現象を検出することができれば、軸受の振動の絶対値が警報値未満であったとしてもガスタービンの異常を早期に発見でき、大きなトラブルに発展する前に対策を講じることができる。
そこで、本発明の実施の形態では、ガスタービンのトラブル発生の予兆として、各軸受の振動波形Xa、Ya、Xb、Ybがステップ上に変化していることに着目し微小な異常を捉えることができるように、図1に示す回転体の振動監視装置を構築した。
図1において、軸受の振動計16で検出された振動波形、回転軸の回転数、各軸受での振動位相の基準となる位相基準パルス信号などのプラント状態信号は、演算時間Tで入力処理部20により入力され、時系列データとしてデータ記憶部21に記憶される。
定常運転状態判定手段22は、回転体であるガスタービンの出力が所定値以上で所定時間経過したか否かを判定するものであり、その条件を満たしたときはガスタービンは定常運転状態であると判定する。これは、ガスタービンが定常運転状態であるときは、ガスタービンが正常であれば軸受の振動は安定した状態となり、軸受の振動の監視に適した状態となるからである。
振動ベクトル演算手段23は、定常運転状態判定手段22によりガスタービンが定常運転状態になったと判定されたとき起動され、データ記憶部21に格納された演算時間Tのガスタービンの振動を入力し、ガスタービンの回転速度と同一周波数成分の振動ベクトルを所定周期毎に演算し、演算された振動ベクトルを振動ベクトル変化量演算手段24に出力する。振動ベクトルは振幅と位相とのベクトルで表されるので、振動ベクトル変化量演算手段24には、振動ベクトルの振幅及び位相が入力されることになる。
振動ベクトル変化量演算手段24は、振動ベクトル演算手段23で得られた最新の周期の振動ベクトルとn周期(所定時間nT)前に得られた振動ベクトルとの変化量を求め、振動ベクトル変化量判定手段25に出力する。nは所定時間nTを定めるために予め設定される正の整数である。振動ベクトル変化量判定手段25は、振動ベクトル変化量演算手段24で得られた振動ベクトルの変化量が予め定めた設定値を超えたか否かを判定し、その判定結果を警報出力手段26に出力する。そして、警報出力手段26は、振動ベクトル変化量判定手段25により振動ベクトル変化量が予め定めた設定値を超えたと判定されたときは警報を出力する。
ここで、最新の周期の振動ベクトルとn周期前に得られた振動ベクトルとの振動ベクトルの変化量が設定値を超えたときに警報を出力するようにしたのは、振動ベクトル変化量が設定値を超えたときは、各軸受の振動波形Xa、Ya、Xb、Ybがステップ上に変化し、突変したと判断できるからである。すなわち、ガスタービンの軽微な異常が発生した場合、振動ベクトル(あるいは振幅のみ)の絶対値としてはあまり大きく変化しなくても、所定時間nTに変化する振動ベクトル変化量が大きく現れ、精度良く振動の異常を検出できるからである。
図3は振動ベクトル変化量判定手段25での判定処理内容の説明図であり、図3(a)は振動ベクトル変化量が設定値内である場合のベクトル図、図3(b)は振動ベクトル変化量が設定値を超えた場合のベクトル図である。図3(a)及び図3(b)において、Zは最新周期の振動ベクトル、Zi−nはn周期前の振動ベクトル、ΔZ(=Z−Zi−n)は振動ベクトル変化量、Sはn周期前の振動ベクトルZi−nを中心とし半径を設定値rとする正常範囲である。振動ベクトル変化量ΔZは、基準単位時間(所定時間)nTあたりの振動ベクトルの変化量である。
図3(a)に示すように、軸受の振動に突変が発生していないときは、最新の周期の振動ベクトルZとn周期前の振動ベクトルZi−nとの振動ベクトル変化量ΔZは正常範囲S内に位置することになる。これに対し、軸受の振動に突変が発生したときは、図3(b)に示すように、振動ベクトル変化量ΔZは正常範囲Sを逸脱することになる。振動ベクトル変化量ΔZが正常範囲Sを逸脱するのは、最新の周期の振動ベクトルZがn周期前の振動ベクトルZi−nに対し、振幅または位相のいずれか一方が大きくずれたとき、または双方が大きくずれたときである。この場合には軸受の振動に突変が発生したと判断する。
第1の実施の形態によれば、ガスタービンの定常運転状態で、最新の周期で得られた振動ベクトルとn周期前に得られた振動ベクトルとの振動ベクトル変化量で判定を行うので、ガスタービンの振動の微小な異常が検出できる。これにより、回転機器の振動異常に関する様々な要因(アンバランス、ロータクラック、ラビング、ミスアライメント等)を早期に検出することができ、ガスタービンの大きなトラブルが発生する前に予兆管理ができる。
次に、本発明の第2の実施の形態を説明する。図4は本発明の第2の実施の形態に係る回転体の振動監視装置の構成図である。この第2の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、回転体が無負荷で定格回転数となった昇速完了以降の運転状態において振動ベクトルが予め定めた基準範囲内に入っているか否かを判定する基準範囲判定手段27を追加して設け、ガスタービンが定常運転状態のときだけではなく、昇速完了以降の運転状態においても基準範囲内にあるかどうかを判定するようにしたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
定常運転状態判定手段22は、ガスタービンの出力が所定値以上で所定時間経過したときは定常運転状態と判定する機能に加え、ガスタービンが無負荷状態で定格回転数となったときは昇速完了状態と判定する機能を有する。
一般に、ガスタービン発電設備においては、ガスタービンの起動は回転数が零から定格回転数まで昇速し、その後にガスタービンの回転軸に連結された発電機を電力系統に併入し無負荷状態から初負荷をとり、徐々に負荷を増加させていくことになる。図1に示した第1の実施の形態では、徐々に負荷をとりガスタービンの出力が所定値以上で所定時間経過したとき、つまり定常運転状態において振動の監視を開始するようにしたが、この第2の実施の形態では、ガスタービンの昇速完了以降において、随時、基準範囲との比較により振動の監視を行うようにしたものである。
基準範囲判定手段27は、ガスタービンの昇速完了以降の予め定められた運転状態において、データ記憶部21から軸受の振動を入力し、ガスタービンの回転速度と同一周波数成分の振動ベクトルを求め、その振動ベクトルが予め定めた基準範囲を逸脱しているか否かを判定し、その判定結果を警報出力手段26に出力する。警報出力手段26は、基準範囲判定手段27により昇速完了時の振動ベクトルが予め定めた基準範囲を逸脱していると判定されたときは警報を出力する。
ガスタービンの昇速完了以降の予め定められた運転状態としては、ガスタービンが無負荷で定格回転数まで昇速した昇速完了状態、あるいは、ガスタービンが負荷をとり予め定めた運用負荷帯の運転状態になったときなどである。
図5は基準範囲判定手段27での判定処理内容の説明図であり、ガスタービンの昇速完了以降の予め定められた運転状態として、ガスタービンが無負荷で定格回転数まで昇速した昇速完了状態である場合を示している。すなわち、図5(a)はガスタービンの昇速完了時の振動ベクトルが基準値内である場合のベクトル図、図5(b)はガスタービンの昇速完了時の振動ベクトルが基準値を超えた場合のベクトル図である。図5(a)及び図5(b)において、Zjは昇速完了時の振動ベクトル、Kは昇速完了までの振動ベクトルの軌跡、Uは予め定められた基準範囲である。この基準範囲は過去の運転実績データ等から予め定められる。
図5(a)に示すように、軸受の振動に異常が発生していないときは、昇速完了時の振動ベクトルZjは基準範囲U内に位置することになる。これに対し、軸受の振動に異常が発生したときは、図5(b)に示すように、昇速完了時の振動ベクトルZjは基準範囲Uを逸脱することになる。昇速完了時の振動ベクトルZjが基準範囲Uを逸脱するのは、昇速完了時の振動ベクトルZjが基準範囲Uに対し、振幅または位相のいずれか一方が大きくずれたとき、または双方が大きくずれたときである。この場合には軸受の振動に異常が発生していると判断する。昇速完了時の振動ベクトルZjについては、予め定められた基準範囲を用いるのは、同じ起動条件(タービンメタル温度による起動パターンの違い)であれば、ガスタービンの昇速完了状態で回転体に異常がなければ、振動ベクトルに大きな変化がないと想定されるからである。
第2の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、ガスタービンの定常運転状態だけでなく、ガスタービンの昇速完了以降の随時の運転状態においても、ガスタービンの振動の微小な異常が検出でき、ガスタービンの大きなトラブルが発生する前に予兆管理ができる。
次に、本発明の第3の実施の形態を説明する。図6は本発明の第3の実施の形態に係る回転体の振動監視装置の構成図である。この第3の実施の形態は、図1に示した第1の実施の形態に対し、ガスタービンの空気圧縮機の吐出圧力との変化率を求める吐出圧力変化率演算手段28と、ガスタービンの空気圧縮機の吐出圧力の変化率の絶対値が予め定めた設定値を超えたか否かを判定する吐出圧力変化率絶対値判定手段29とを追加して設け、ガスタービンの振動の微小な異常のうち、ガスタービンの空気圧縮機の振動の微小な異常も検出できるようにしたものである。図1と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
図7は、ガスタービンの空気圧縮機の動静翼に損傷が発生し緊急安全停止に至った場合の空気圧縮機の吐出圧力の変化特性の一例を示す特性図である。図7において、時点t3’で軸受の振動の絶対値が警報値を超え、ガスタービンの振動異常が検出され、時点t3でガスタービンが緊急安全停止した場合を示している。なお、図7では軸受の振動の絶対値の図示を省略している。ガスタービンの緊急安全停止後にその原因を調査すると、空気圧縮機の動静翼に一部に損傷が発生していることが判明した。
軸受の振動の絶対値が警報値を超えた時点t3’以前においては、軸受の振動の絶対値は警報値未満であり、軸受の振動の絶対値では空気圧縮機13の軽微な異常を検出できなかったが、図7に示すように、ガスタービンの緊急安全停止後に空気圧縮機の吐出圧力の変化特性曲線を調査すると、時点t3’以前の時点t1、時点t2において、空気圧縮機の吐出圧力が突変していることが判明した。この突変の現象を検出することができれば、軸受の振動の絶対値が警報値未満であったとしても空気圧縮機の異常を早期に発見でき、大きなトラブルに発展する前に対策を講じることができる。
そこで、本発明の第3の実施の形態では、第1の実施の形態や第2の実施の形態において、ガスタービンのトラブル発生の予兆として、各軸受の振動波形Xa、Ya、Xb、Ybがステップ上に変化していることに加え、空気圧縮機のトラブル発生の予兆として、空気圧縮機の吐出圧力がステップ上に変化していることに着目し微小な異常を捉えることができるようにした。
図6において、ガスタービンの空気圧縮機の吐出圧力は、ガスタービンの出力制御を行うために用いられているので、本発明の第3の実施の形態では、その空気圧縮機の吐出圧力を空気圧縮機の軽微な異常の検出にも用いる。空気圧縮機の吐出圧力は、プラント状態信号として入力処理部20により所定周期で入力されデータ記憶部21に記憶される。吐出圧力変化率演算手段28はデータ記憶部21に記憶された最新の周期の吐出圧力とn周期前に得られた吐出圧力からその変化率を求め吐出圧力変化率絶対値判定手段29に出力する。
吐出圧力変化率絶対値判定手段29は、吐出圧力変化率演算手段28で得られた吐出圧力の変化率の絶対値を求め、吐出圧力の変化率の絶対値が予め定めた変化率設定値を超えたか否かを判定し、その判定結果を警報出力手段26に出力する。
警報出力手段26は、振動ベクトル変化量判定手段25により振動ベクトル変化量が予め定めた設定値を超えたと判定され、または吐出圧力変化率絶対値判定手段29により吐出圧力の変化率の絶対値が予め定めた変化率設定値を超えたと判定されたときは警報を出力する。
ここで、ガスタービンの運転状況として、外的要因により空気圧縮機の吐出圧力が変化する状態であるときは、警報出力手段26の警報出力を阻止するようにしてもよい。例えば、空気圧縮機入口案内翼が所定変化率以上で動作しているときや、空気圧縮機再循環弁が閉止するときなどは、空気圧縮機の吐出圧力が大きく変化するときであるので、前述のときには、警報出力手段26の警報出力を阻止するようにする。警報出力手段26の警報出力を阻止するには、警報出力手段26の警報出力をリセットするためのリセット信号を継続して出力したり、吐出圧力変化率演算手段28の動作を停止するようにしてもよい。
第3の実施の形態によれば、第1の実施の形態の効果に加え、ガスタービンの空気圧縮機のトラブル発生の予兆として、空気圧縮機の吐出圧力がステップ上に変化していることに着目し、空気圧縮機の吐出圧力の変化率を常時監視し、吐出圧力の変化率が所定の設定値以上の変化を来したときは警報を発生させることにより軽微な異常を捉えることができる。これにより、空気圧縮機の大きなトラブルが発生する前に予兆管理ができることから、空気圧縮機の簡易な補修で済むことが期待できる。また、外的要因により空気圧縮機の吐出圧力が変化する状態であるときは、警報出力を阻止するので、不要な警報を出力することを防止でき、これにより設定値を小さくすることが出来るため、より軽微な異常も捉えることが出来る。
次に、図8は本発明の第4の実施の形態に係る回転体の振動監視装置の構成図である。この第4の実施の形態は、図4に示した第2の実施の形態に対し、ガスタービンの空気圧縮機の吐出圧力の変化率を求める吐出圧力変化率演算手段28と、ガスタービンの空気圧縮機の吐出圧力の変化率の絶対値が予め定めた設定値を超えたか否かを判定する変化率絶対値判定手段29とを追加して設け、ガスタービンの振動の微小な異常のうち、ガスタービンの空気圧縮機の軽微な異常も検出できるようにしたものである。すなわち、図6に示した第3の実施の形態に対し、基準範囲判定手段27を追加して設けたものである。図2や図6と同一要素には同一符号を付し重複する説明は省略する。
図8において、吐出圧力変化率演算手段28はデータ記憶部21に記憶された最新の周期の吐出圧力とn周期前に得られた吐出圧力とからその変化率を求め変化率絶対値判定手段29に出力し、吐出圧力変化率絶対値判定手段29は、吐出圧力変化率演算手段28で得られた吐出圧力の変化率の絶対値を求め、吐出圧力の変化率の絶対値が予め定めた変化率設定値を超えたか否かを判定し、その判定結果を警報出力手段26に出力する。
警報出力手段26は、基準範囲判定手段27により振動ベクトルが予め定めた基準範囲を逸脱していると判定され、または振動ベクトル変化量判定手段25により振動ベクトル変化量が予め定めた設定値を超えたと判定され、または吐出圧力変化率絶対値判定手段29により吐出圧力の変化率の絶対値が予め定めた設定値を超えたと判定されたときは警報を出力する。この場合も、ガスタービンの運転状況として、外的要因により空気圧縮機の吐出圧力が変化する状態であるときは、警報出力手段26の警報出力を阻止するようにしてもよい。
第4の実施の形態によれば、第3の実施の形態の効果に加え、ガスタービンの定常運転状態だけでなく、ガスタービンの昇速完了状態などの昇速完了以降の随時の運転状態においても、ガスタービンの振動の微小な異常が検出でき、ガスタービンの大きなトラブルが発生する前に予兆管理ができる。
以上の説明では、回転体としてガスタービンの場合について説明したが、ガスタービン以外の回転体、例えば、蒸気タービンについても適用できることは言うまでもない。また、回転体の振動監視装置を構成する各要素、入力処理部20、データ記憶部21、定常運転状態判定手段22、振動ベクトル演算手段23、振動ベクトル変化量演算手段24、振動ベクトル変化量判定手段25、警報出力手段26、基準範囲判定手段27、吐出圧力変化率演算手段28、変化率絶対値判定手段29などは、演算制御装置及び記憶装置を有したコンピュータで構成してもよい。その場合、演算制御装置が記憶装置に記憶されたプログラムを実行することにより、これらの各機能を実現することになる。
11…ガスタービン本体、12…燃焼器、13…空気圧縮機、14…回転軸、15…軸受、16…振動計、17…振動監視装置、18…入口案内翼、19…空気圧縮機再循環弁、20…入力処理部、21…データ記憶部、22…定常運転状態判定手段、23…振動ベクトル演算手段、24…振動ベクトル変化量演算手段、25…振動ベクトル変化量判定手段、26…警報出力手段、27…基準範囲判定手段、28…吐出圧力変化率演算手段、29…吐出圧力変化率絶対値判定手段

Claims (3)

  1. 回転体の出力が所定値以上で所定時間経過したときは定常運転状態と判定する定常運転状態判定手段と、前記定常運転状態判定手段により前記回転体が定常運転状態になったと判定されたとき前記回転体の振動を所定周期で入力し前記回転体の回転速度と同一周波数成分の振幅及び位相で表される振動ベクトルを所定周期毎に演算する振動ベクトル演算手段と、前記振動ベクトル演算手段で得られた最新の周期の振動ベクトルの振幅及び位相とn周期前に得られた振動ベクトルの振幅及び位相との変化量を求める振動ベクトル変化量演算手段と、前記振動ベクトル変化量演算手段で得られた振動ベクトルの変化量が予め定めた設定値を超えたか否かを判定する振動ベクトル変化量判定手段と、前記振動ベクトル変化量判定手段により前記振動ベクトルの変化量が予め定めた設定値を超えたと判定されたときは警報を出力する警報出力手段とを備えたことを特徴とする回転体の振動監視装置。
  2. 回転体が無負荷で定格回転数となった昇速完了以降の運転状態において前記回転体の振動を所定周期で入力し前記回転体の回転速度と同一周波数成分の振幅及び位相で表される振動ベクトルが予め定めた基準範囲内に入っているか否かを判定する基準範囲判定手段を設け、前記警報出力手段は、前記基準範囲判定手段により前記振動ベクトルが予め定めた基準範囲を逸脱していると判定されたときは警報を出力することを特徴とする請求項1記載の回転体の振動監視装置。
  3. 前記回転体はガスタービンであり、前記ガスタービンの空気圧縮機の吐出圧力を所定周期で入力し最新の周期の吐出圧力とn周期前に得られた吐出圧力との変化率を求める吐出圧力変化率演算手段と、前記吐出圧力変化率演算手段で得られた吐出圧力変化率の絶対値が予め定めた設定値を超えたか否かを判定する吐出圧力変化率絶対値判定手段とを備え、前記警報出力手段は、前記吐出圧力変化率絶対値判定手段により吐出圧力の変化率の絶対値が予め定めた設定値を超えたと判定されたときは警報を出力することを特徴とする請求項1または請求項2記載の回転体の振動監視装置。
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