JP5466620B2 - 対物レンズ - Google Patents

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Description

本発明は、光情報記録媒体からの信号再生を行う光ピックアップ装置に用いられる対物に関し、さらに詳細には、記録密度の異なる複数の情報記録媒体からの信号再生を行う光ピックアップ装置に用いられる互換再生用対物レンズに関する。
光ディスクに代表される光情報記録媒体は、音楽や映像などの民生用としては、CD(Compact Disc)に始まり、DVD(Digital Versatile Disc)、BD(Blu-ray Disc)と大容量化されてきた。CDは主に音楽用、DVDは標準画質のビデオ用、BDはハイビジョン動画用として用いられている。
DVDやBDが新たに製品化される際に、常に業界で配慮されて来たのは下位互換性である。DVDの再生装置ではCDを再生できるように、BDの再生装置ではDVDやCDを再生できるように、常に過去のコンテンツを新しいシステムにおいて参照できるように媒体構造や装置が工夫されてきた。
DVDではCDとの互換性をとれるように、対物レンズに位相シフトや回折作用などのための輪帯構造が導入された。これによりレーザ光源は赤色と赤外の2つであっても、1つの対物レンズでDVDとCDの両方の光ディスクの再生ができるようになっている。
しかし、BDではBD専用レンズとDVD/CD互換レンズの2つの対物レンズをレンズアクチュエータに搭載するのがまだ一般的である。これは、輪帯構造では2種類の波長の収差性能を両立することができても、3つの波長ですべて満足することが困難であるからである。
しかし、転送速度の高速化や、ピックアップ装置、ドライブ装置の小型化、低価格化に向けて、BDにおいても単レンズの3波長互換レンズへの要求が高まっている。
このような目的のために、対物レンズに入射する光線の発散度合い、収束度合いを波長によって可変させるとともに回折レンズ素子を組み合わせる構成が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
また、特に特許文献2では、第1光路差付与構造と第2光路差付与構造を導入し、最も短い波長のそれぞれ奇数倍と偶数倍に0.1波長以内の誤差で光路差を付与することが述べられている。また3つの波長についてすべて平行光を入射させるとともに輪帯状回折面を組み合わせる構成が提案されている。(例えば、特許文献3参照)
さらに基本的にBD専用対物レンズと別体として想定された位相補償板において、BDの波長の整数倍の光路差を与える非周期的位相構造を用いて、DVDとCDの収差を低減するとともに、副次的な非周期的位相構造や、非周期的位相構造を輪帯ごとに非球面とすることによりBDでの収差を許容範囲内で劣化させて、DVDとCDの収差を低減する方法が提案されている。(例えば、特許文献4参照)
特許第4062742号公報 特許第3957003号公報 特許第4099662号公報 特表2008−524639号公報
特許文献1および2に開示されている構成では、対物レンズに入射する光線が平行光でないことが問題となる場合がある。光ディスクをドライブ装置に装着する場合に、ディスクを回転させるスピンドルモータの回転中心は、ディスクの情報トラックの曲率中心とは必ずしも一致しない。これは光ディスクのような可換媒体を用いる情報記録装置においては不可避のことであり、これに伴って静止している光ピックアップと回転している光ディスクの情報トラックは相対的に位置ずれを生じる。
光ピックアップでは、この相対的な位置ずれを補償するために、情報トラックと集光スポットの位置ずれをトラッキング誤差信号として検出し、この信号によって対物レンズを搭載したアクチュエータを駆動している。これによって、光スポットは信号再生の間、つねに情報トラックを追随することが可能となり、連続的な情報再生を可能としている。しかしながら、スポットを動かすためにアクチュエータでレンズを動かす際に、レンズに入射している光束が平行光であれば、レンズが動いても波面収差は発生しないが、レンズに入射している光束が収束光や発散光となっていると、レンズ移動に伴って対物レンズの主光線が傾くためにコマ収差が発生する。
特に、BDのようなNAの大きいレンズではその影響は深刻である。したがって入射光線は平行光であることが望ましい。なお、特許文献1では、実施例6が、3波長がすべて倍率0で平行光であるが、収差を補正するための回折面はカップリングレンズにある例であり、対物レンズに入射する光束は発散光や収束光にはなっていないものの、球面収差のある波面となっていると考えられる。この場合には、レンズが動くとコマ収差の発生を招き、やはり好ましくない。
また、特許文献2では、2種類の光路差付与構造に最も短い波長の奇数倍と偶数倍の光路差を付与することが述べられているが、BD、DVD、CDを再生する単レンズで入射光をすべて平行光とする場合には、我々はそのような条件での解を見つけることができなかった。
また、特許文献3に開示されている構成では、レンズに入射する光束は3波長とも平行光であるが、実施例にはBD、DVD、CDの波長とNAに該当するものがなく、本願で解決すべき課題に対応した設計例が開示されていない。
また、特許文献4に開示されている構成では、BD収差を劣化させる副次的段差構造を導入するとは言え、BD波長の整数倍の光路差を与える階段構造が基本となっているため、位相構造の設計の自由度が少ない。さらに、階段のステップ面をどのような非球面にするのかについても何ら指針がない。このため十分な収差低減効果が得られない懸念がある。また、輪帯構造を非球面とするときの自動設計のための変数の設定の開示がない。
本発明は、従来技術における前記課題を解決するためになされたものであり、BD、DVD、CDともに平行光が入射する場合に、その収差を十分に低減する単一のレンズを提供することを目的とする。
前記の目的を達成するために、本発明の対物レンズは、波長λ1、λ2、λ3(λ1<λ2<λ3)の3つの波長の平行光のレーザ光を、それぞれNA1、NA2、NA3(NA1>NA2>NA3)の開口数で集光した光スポットで再生できる第1、第2、第3の光情報記録媒体に、前記3つの波長のレーザ光をそれぞれ集光して情報を再生する単レンズの対物レンズであって、それぞれの情報記録媒体の情報記録層を保護する透明媒質の厚さをそれぞれt1、t2、t3(t1<t2<t3)とするとき、前記第1の光情報記録媒体の前記透明媒質と同じ屈折率を有し、前記透明媒質の厚さt1と前記透明媒質の厚さt2の中間の厚さt(t1<t<t2)の透明媒質越しに波長λ1のレーザ光を集光できるように3次球面波面収差が最適化された非球面レンズ形状が形成され、光軸を中心とした複数の同心円で区分された複数輪帯で前記波長λ1、λ2、λ3のレーザ光のいずれにおいても隣接する領域に対して位相差を与える少なくとも2種類の輪帯構造が付加された最内周の第1のレンズ領域と、前記第1のレンズ領域の外側に環状に配置され、前記非球面レンズ形状に対し、光軸を中心とした複数の同心円で区分された複数輪帯で前記波長λ1、λ2のレーザ光のいずれにおいても隣接する領域に対して位相差を与えるとともに、波長λ3のレーザ光に対しても位相差を与える少なくとも1種類以上の前記第1のレンズ領域の輪帯構造とは異なる輪帯構造が付加された第2のレンズ領域と、前記第2のレンズ領域の外側に環状に配置され、厚さt1の透明媒質越しに波長λ1のレーザ光を集光できるように波面収差が最適化された非球面レンズ形状を有する第3のレンズ領域と、を有し、前記第1のレンズ領域においては輪帯構造を付加する前のRMS波面収差に対し、輪帯構造を付加した後のRMS波面収差が、前記第1、第2、第3の光情報記録媒体のいずれに対しても低減するとともに、前記第2のレンズ領域では前記第1、第2の光情報記録媒体のいずれに対しても前記RMS波面収差が低減するように、前記輪帯構造の位相差がそれぞれ調整され、前記第1、第2、第3のレンズ領域に入射する波長λ1のレーザ光を前記第1の光情報記録媒体に集光し、前記第1、第2のレンズ領域に入射する波長λ2のレーザ光を前記第2の光情報記録媒体に集光し、前記第1のレンズ領域に入射する波長λ3のレーザ光を前記第3の光情報記録媒体に集光する。
本発明の対物レンズは、更に、前記第1のレンズ領域に付加された少なくとも2種類の輪帯構造のうち少なくとも1つは、光軸を中心とした複数の同心円で区分された複数輪帯で隣接する領域の光路差から前記波長λ1の整数倍を除いた±0.5λ以内の値の実質的な光路差であるところの位相差が、0.1λ以上であるように、前記輪帯構造の深さがそれぞれ調整されている。
また、本発明の対物レンズは、前記第1のレンズ領域の少なくとも2種類の輪帯構造がともに同一レンズ面上に合成して形成されるとともに、第2のレンズ領域の少なくとも1種類以上の輪帯構造も同じレンズ面上に形成されている。
また、本発明の対物レンズは、波長λ1は405±5nm、波長λ2は660±10nm、波長λ3は785±10nm、開口数NA1は0.8以上、開口数NA2は0.6以上、開口数NA3は0.45以上に対応したレンズである。
また、本発明の対物レンズは、前記第1、第2、第3のレンズ領域の境界部に隣接しない輪帯領域の入射瞳面に投影した輪帯幅の最小の幅が10μm以下とならないように、輪帯幅が10μm以下となる輪帯は隣接する輪帯と結合し、結合した輪帯の位相差を加算した位相差を与える輪帯とする。
また、本発明の対物レンズは、前記第1のレンズ領域、および第2のレンズ領域のそれぞれ2種類以上の位相構造のうち、いずれも少なくとも1つは隣接する輪帯に対し0.05λ以上の位相差を与える輪帯構造である。
基本的に、波長λ1、λ2、λ3(λ1<λ2<λ3)の3つの波長のレーザ光を、それぞれNA1、NA2、NA3(NA1>NA2>NA3)の開口数で集光した光スポットで再生できる第1、第2、第3の光情報記録媒体に、前記3つの波長のレーザ光をそれぞれ集光して情報を再生する単レンズの対物レンズであり、それぞれの情報記録媒体の情報記録層を保護する透明媒質の厚さをそれぞれt1、t2、t3(t1<t2<t3)とするとき、前記第1の光情報記録媒体の前記透明媒質と同じ屈折率を有し、厚さt(t1<t<t2)の透明媒質越しに波長λ1のレーザ光を集光できるように3次球面波面収差が最適化された仮想的な非球面レンズ形状を想定する。
このレンズの光軸を中心とする内周領域に、複数の同心円で区分された複数の輪帯で前記λ1において実質的に0.1λ以上の位相差を与える少なくとも2種類の輪帯構造が付加する。ここで、「実質的に」という文言で意図しているのは、光路差から波長の整数倍を除去した±0.5λ以内の位相差として±0.1λ以上の位相差を与える、ということである。
したがって、実際上、上限と下限は±0.5λである。2種類の輪帯構造は後で説明するように、非球面が対応する透明媒質層の厚さがt1でもt2でもt3でもない、tという厚さであるとき、t1、t2、t3の厚さの媒体でそれぞれ発生する収差をともに低減する条件から決まる。3種類でなく、2種類であるのは、tもその条件から決まる未知数に含められるからである。
さらに、前記第1のレンズ領域の外側の前記非球面レンズ形状に対し、光軸を中心とした複数の同心円で区分された複数輪帯でλ3に対しては実質的に0.3λ以上の位相差を与える少なくとも1種類以上の前記第1のレンズ領域とは異なる輪帯構造が付加された第2のレンズ領域を設ける。λ3で0.3λ以上とするのは、NAが最も小さい記録媒体の再生において、収差を大きくしてこの領域の光が集光されないようにするためである。
さらに前記第2のレンズ領域の外側に厚さt1の透明媒質越しに波長λ1のレーザ光を集光できるように波面収差が最適化された非球面レンズ形状を有する第3のレンズ領域を形成する。
前記第1のレンズ領域においては輪帯構造を付加する前のRMS波面収差に対し、付加した後のRMS波面収差が、前記第1、第2、第3の光情報記録媒体いずれに対しても低減するとともに、前記第2のレンズ領域では前記第1、第2の光情報記録媒体のいずれに対しても低減するように、前記輪帯構造の位相差がそれぞれ調整され、前記第1、第2、第3のレンズ領域に入射する波長λ1のレーザ光を前記第1の光情報記録媒体に集光し、前記第1、第2のレンズ領域に入射する波長λ2のレーザ光を前記第2の光情報記録媒体に集光し、前記第1のレンズ領域に入射する波長λ3のレーザ光を前記第3の光情報記録媒体に集光する。ここで実際上、第1の情報記録媒体がBD、第2の情報記録媒体がDVD、第3の情報記録媒体がCDに相当する。
したがって、λ1が405nm、λ2が660nm、λ3が785nm、t1が0.0875mm、t2が0.6mm、t3が1.2mmに相当する。BDは単層の規格では保護層の厚さが0.1mmであるが、2層の規格では表面から0.1mmの深さに第1の記録層(L0層)があり、25μmの表面側、すなわち表面から0.075mmの深さに第2の記録層(L1層)がある。したがってBD専用の対物レンズとしてはこの中間の厚さ0.0875mmの厚さにレンズ形状を最適化するのが一般的である。このため、t1を0.0875mmとしている。
また、記第1のレンズ領域の少なくとも2種類の輪帯構造をともに同一レンズ面上に合成して形成するとともに、第2のレンズ領域の少なくとも1種類以上の輪帯構造も同じレンズ面上に形成する。2種類の輪帯構造は例えばレンズの第1面と第2面に分けて形成することも原理的には可能である。しかし製造上、第1面と第2面の製造上の偏心ずれの影響や、光線が傾いてレンズに入射する場合などを考慮すると第1面の輪帯構造と第2面の輪帯構造の相対的な位置ずれが問題となる可能性がある。それを考慮すると2種類の輪帯構造を合成して1面に形成するのが実際上望ましい。
また、入射する波長λ1、λ2、λ3の光がいずれも平行光であるようにすることにより、対物レンズがトラッキング動作により動いてもコマ収差を発生しないようにすることができる。また実質的に第1の情報記録媒体がBD、第2の情報記録媒体がDVD、第3の情報記録媒体がCDに相当することから、λ1を405±5nm、λ2を660±10nm、λ3を785±10nm、NA1を0.8以上、NA2を0.6以上、NA3を0.45以上としている。
また、前記第1、第2、第3のレンズ領域の境界部に隣接しない輪帯領域の入射瞳面に投影した輪帯幅の最小の幅が10μm以下とならないように、輪帯幅が10μm以下となる輪帯は隣接する輪帯と結合し、結合した輪帯の位相差を加算した位相差を与える輪帯とする。第1のレンズ領域の少なくとも2種類の輪帯構造は、それぞれ輪帯の境界位置が相互に独立に決まるため、補償する収差量が大きいと輪帯の幅が製造上問題となるほど小さくなる場合があり得る。
レンズの金型を切削加工で作成する場合、バイト先端の有限の曲率半径が輪帯形状に顕著に表れないようにするためには輪帯幅は10μm以上であることが望ましい。そのため輪帯幅が10μm以下とならないように、幅が狭い輪帯が想定される位置において隣接する輪帯を統合する。これによって理想的な収差補正の条件から補正後収差波面がずれることになるが、その波面のRMS波面収差が許容値となるかどうかによって性能を評価することができる。
また、前記第1のレンズ領域、および第2のレンズ領域のそれぞれ2種類以上の位相構造のうち、いずれも少なくとも1つは隣接する輪帯に対し0.05λ以上の位相差を与えるようにすると、第1のレンズ領域の2種類以上の輪帯構造の1つを各輪帯が隣接する輪帯に対して比較的小さい位相差に設定させたとしても、トータルとして必要な収差補正量を達成することができ、第2のレンズ領域の収差補正量もトータルとして必要な収差補正量を達成することができる。
本発明によれば、BD、DVD、CDのいずれの光ディスクを再生する場合にも平行光を入射して信号再生ができる単レンズの対物レンズが実現でき、トラッキング動作に伴ってレンズがレーザ光軸から偏心してもコマ収差が発生しないようにすることができる。
図1は発明の基本的な概念を説明する図である。 図2は図1のレンズに光束が入射している状態の模式図である。 図3は段差部における光路差を説明する図である。 図4は補正されるべき波面収差とそれから決まる輪帯構造および補正後波面収差の関係を示す模式図である。 図5は段差深さに対する各波長での位相差の計算結果である。 図6は3波長共用領域の輪帯構造がBDにおいて補償すべき波面収差の計算結果を示す図である。 図7は3波長共用領域の輪帯構造がDVDにおいて補償すべき波面収差の計算結果を示す図である。 図8は3波長共用領域の輪帯構造がCDにおいて補償すべき波面収差の計算結果を示す図である。 図9はBD/DVD共用領域の輪帯構造がBDにおいて補償すべき波面収差を示す図である。 図10はBD/DVD共用領域の輪帯構造がDVDにおいて補償すべき波面収差を示す図である。 図11はBD/DVD共用領域の輪帯構造がCDにおいて補償すべき波面収差を示す図である。 図12は3波長共用領域の輪帯構造によりBDにおいて収差補正が行われた結果の波面収差の計算結果を示す図である。 図13は3波長共用領域の輪帯構造によりDVDにおいて収差補正が行われた結果の波面収差の計算結果を示す図である。 図14は3波長共用領域の輪帯構造によりCDにおいて収差補正が行われた結果の波面収差の計算結果を示す図である。 図15は本発明のレンズによりBDを再生する時の光線図である。 図16は本発明のレンズによりBDを再生する時の波面収差図である。 図17は本発明のレンズによりDVDを再生する時の光線図である。 図18は本発明のレンズによりDVDを再生する時の波面収差図である。 図19は本発明のレンズによりCDを再生する時の光線図である。 図20は本発明のレンズによりCDを再生する時の波面収差図である。 図21はBDの波面収差の計算結果を示す図である。 図22はDVDの波面収差の計算結果を示す図である。 図23はCDの波面収差の計算結果を示す図である。 図24はBD/DVD領域のCDの波面収差を示す図である。
以下、本発明を実施する形態について、まず基本的な原理を説明する。
図1は、本発明の基本的な概念を説明する図である。本発明に係る対物レンズ101は基本的に、ある1つの材料から構成される単レンズであって、図の左側の光が入射する面(以降第1面と呼ぶ)と図の右側の光が出射する面(以降第2面と呼ぶ)から構成される。
基本的に、平行光を集光するレンズは、平行光を入射する側の面の曲率が大きく(曲率半径が小さく)、収束光を射出する側の面の曲率が小さい(曲率半径が大きい)ことはよく知られている。
第1面と第2面には、光軸102を中心とした同心円で区分された3つの領域があり、第1面では、最も内側が第1領域103、それに隣接した円環状の領域が第2領域104、その外側の最外周の領域が第3領域105である。
ここで、この図は、側面図を示しているため、円環を側面から見た形となっており、第2領域、第3領域が光軸102に対して対称に上下に分かれているが、光軸に対して平行な視線でみれば円環状につながっていることは言うまでもない。
同様にして、第2面でも第1領域106、第2領域107、第3領域108がある。ここで、第1面と第2面にはそれぞれ段差で区分された輪帯構造があり、それぞれ第1の輪帯構造、第2の輪帯構造と呼ぶことにする。
第2の輪帯構造は、段差によって形づくられる輪帯境界で区分された複数の輪帯を有し、第1の輪帯構造と第2の輪帯構造では、一般に輪帯境界の半径位置も、段差量も、輪帯数も異なっている。段差量は入射する光線に対して、図3に示すような光路差を与える。
図3の図中、太い折れ線AEGDが、ある段差の近傍を拡大した断面プロファイルであり、左から図に対して水平な平行光束が入射し、AEGDで表わされるレンズ面によって屈折されたとき、段差EGを境として、上側の光束と下側の光束の間に生じる光路差を図中の式で表わしている。
ここで、レンズ面は、段差近傍で曲率による面の曲がりが見えないくらいに拡大されているとし、線分AEとGDは平行であり、レンズ面であるこれらの線分は鉛直方向に対する傾き角(接線角)がθであり、同時にレンズ面に対する入射光線の入射角がθであると仮定している。
さらに、段差EGは、光軸および入射光線に平行と仮定する。また式の中で、nは、レンズの屈折率を表わしている。このように与えられる光路差を、波長λと整数mを用いて、mλ+φ(ただし−λ/2<φ≦λ/2)と表わしたとき、本明細書中では、φを位相差と定義する。伝播する光波においては、段差による光路差が光のコヒーレンス長よりも十分短い光路差の範囲内であれば、段差を通り過ぎた後の光の挙動はmではなく、位相差φで左右されるものであることはよく知られている。本発明における収差補正量も、位相差φの量だけ補正されるのである。
さらに、図3より、ある段差によって隣接する輪帯間に生じる光路差および位相差は、段差量と光線に対する面の傾斜角の関数となっていることがわかる。さらに、ある段差による光路差が、波長λ1、λ2、λ3でm1λ1+φ1、m2λ2+φ2、m3λ3+φ3で表わされるとき、当然ながらm1、m2、m3は相互に異なる可能性が高く、φ1とφ2とφ3も、同様に、さらに高い確率で異なる値となる。これによって、1つの段差は異なる波長で異なる収差補正量を生じることもわかる。
図1の第1および第2の輪帯構造によって加わる光路差および位相差は、面の傾斜角によらず、同一輪帯構造、同一領域内ではほぼ一定となるように形成する。しかし、同一輪帯構造内においても、第1領域の輪帯構造と第2領域の輪帯構造では、光路差および位相差は一般に異なっている。
また、第3領域においては、図1の例では輪帯構造を形成していない。これは、第3領域がBD専用領域であるため、BD専用レンズ構造とすることができるからである。
しかし、DVDやCDの再生時に第3領域に入射する光線を記録膜面上で十分拡散できるようにするために、必要に応じ、BDで位相差を生じない輪帯構造を付加することもできる。
図2は、図1のレンズに光束が入射している状態の模式図である。図1の第1領域103に相当する領域には、波長785nmのCD用の入射光束203が入射しており、第1面の第1の輪帯構造と第2面の第2の輪帯構造によって収差が補正され、厚さt3の透明媒質層206を通してそのレンズと反対側の面の表面にある記録膜面に集光している。
第2面の第1領域106は、第1面の第1領域103に入射した光束203が出射するようにその境界半径位置が設定されている。
また、図1の第1領域103と第2領域104の範囲に相当する領域には、波長660nmのDVD用の入射光束202が入射しており、第1面の第1領域103の第1の輪帯構造と第2面の第1領域106の第2の輪帯構造により、第1領域の収差が補正され、第1面の第2領域104の第1の輪帯構造と第2面の第2領域107の第2の輪帯構造によって、第2領域の収差が補正され、厚さt2の透明媒質層205を通してそのレンズと反対側の面の表面にある記録膜面に集光している。
第2面の第2領域107の外周側境界近傍からは、第1面の第2領域に入射した光束202の外周側境界近傍に入射した光が出射するようにその境界半径位置が設定されている。
また、図1の第1領域103と第2領域104と第3領域105の範囲に相当する領域には、波長405nmのBD用の入射光束201が入射しており、第1面の第1領域103の第1輪帯構造と第2面の第1領域106の第2の輪帯構造により、第1領域の収差が補正され、第1面の第2領域104の第1の輪帯構造と第2面の第2領域107の第2の輪帯構造によって第2領域の収差が補正され、第1面の第3領域に入射した光が第2面の第3領域から出射して、収差なく厚さt1の透明媒質層204を通してそのレンズと反対側の面の表面にある記録膜面に集光している。
ここで、実際のBD、DVD、CDに対応して、t1はBDの2層の中間の表面からの深さ0.0875mm、t2はDVDの基板厚として0.6mm、t3はCDの基板厚1.2mmとしてレンズを形成しておく。
以上の説明においては、簡単のため、第1領域および第2領域において、2つの輪帯構造を第1面と第2面に形成する例を示した。しかし、同一領域内の異なる輪帯構造は、必ずしも2面に分けて形成する必要はない。
なぜなら、2つの輪帯構造はある光束に光路差を2回与えるだけであるため、最終的に2回の光路差をあらかじめ加算した光路差を一度に与えても等価であるためである。
したがって、必要に応じて1つの面に2つの輪帯構造をまとめて付加してもよい。1つの面にまとめることによって、入射光束に対する2つの輪帯構造の位相シフト分布の相対的な位置ずれを抑えることができ、複雑な構造を形成する面の数を2面から1面に減らすことにより、製造コストを抑えることができ、斜めに入射する光線に対する位相シフト分布のずれを抑えることができる、などのメリットを享受することができる。
一方で、1つの面にまとめることによって、輪帯構造が複雑になり、製造上の難易度が上がるなどのデメリットが生じる可能性もある。それらを勘案して、2面に分離するかどうかを判断する必要がある。しかし、本発明においてはBDのNAが高く、第2面での光束径が小さくなる上、入射角も大きくなって、段差部で生じる損失光が増えることを懸念し、主に第1面に2つの輪帯構造をまとめる方式を検討したので、その実施例を以降で述べる。
次に、2種類の輪帯構造で原理的に3つの波長での収差補正ができることを説明する。図4は、補正されるべき波面収差とそれから決まる輪帯構造および補正後波面収差の関係を示す模式図である。
図4は、円筒座標の3次元グラフになっており、半径はレンズの有効口径内の半径座標、縦軸は、あるディスクを対応する波長で再生するときの波面収差を表わしている。この波面収差を段差に対応したその波長における位相差φの位相段差で補正する場合、縦軸の収差を等しくφの位相間隔でN輪帯分を刻み、刻んだ境界に当たる半径位置で輪帯境界を決めることになる。
刻まれた波面収差曲線は、位相シフト量に応じて波面収差値0近傍、すなわち半径座標軸に沿って切り揃えて折り畳まれている。これが、収差補正後の波面収差である。このように、段差の位相差φに輪帯数Nを乗じたφ×Nの収差補正量が、補償されるべき波面収差のPeak−to−peak値にほぼ対応するように輪帯数Nを決める。
このような輪帯構造を別の波長で作用させると、それぞれ対応する異なる位相差φに等しい輪帯数Nを乗じた収差補償量の相似な波面収差が補正できる。これらを第1輪帯構造と第2輪帯構造の2つの輪帯構造を用いて、それぞれのディスクで発生する収差量と対応させる条件から、以下の連立方程式が導ける。
Figure 0005466620
Figure 0005466620
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φの添え字には、それぞれ対応するディスクの名前と、輪帯構造の番号をつけ、輪帯数Nは第1輪帯構造と第2輪帯構造の2種類をそれぞれの番号を添え字として表わして、第1輪帯構造の収差補正量と第2輪帯構造の収差補正量の和から、その波長でトータルで補償される補償量として、それぞれ左辺に示している。これらが対応すべき発生する収差量が右辺である。
tを、輪帯構造がない状態での対物レンズが無収差で集光できる透明媒質の仮想的な厚さ(以下「対応基板厚」と呼ぶ)とし、その厚さとディスクの実際の透明媒質の厚さとの差に比例して収差が発生すると仮定している。αはその比例係数である。
ここで、ディスク名を添え字としたnは、その波長におけるレンズの屈折率である。BDとDVDとCDを1つのレンズで再生しようとするときに発生する収差は、基本的にレンズが対応できる透明媒質の厚さが実際のディスクの透明媒質の厚さと異なることに起因する3次の球面収差であり、その収差量の半径座標に対する関数形状はまったく相似な形状となっている。
したがって、このように発生する収差をレンズの対応基板厚の関数としてモデル化することが可能となるのである。この3つの方程式をN1、N2、tの3つの未知数の連立方程式とすると、第1輪帯構造と第2輪帯構造の段差量に対応する位相差φを与えれば、一意的にその解が求められることを示している。
そこで、いろいろな段差量の組み合わせを探して輪帯構造を決定する。なお、本願明細書において、「基板」は光記録媒体の記録膜を保護する透明媒質層と等価であり、「基板厚」は光記録媒体の記録膜を保護する透明媒質層の厚さと同義であり、「対応基板厚」は実際の光記録媒体の透明媒質層の厚さではなく、レンズが当該厚さの透明媒質越しに軸上球面収差なく集光できる仮想的な厚さのことである。
上記の説明においては、3波長共用領域を説明したが、第2領域のBD/DVD領域においてはCDに関する収差補正が不要となる。このとき、レンズの対応基板厚tは3波長共用領域と一致させる必要がある。
したがって、第1輪帯構造の輪帯数N1と第2輪帯構造の輪帯数N2を未知数とした連立方程式を解けばよい。第2領域の対応基板厚を第1領域の対応基板厚と一致させなければならない理由の1つは、BD再生時とDVD再生時の両方で第1領域の最良像点位置(ベストフォーカス位置)と第2領域の最良像点位置を一致させる必要があるためである。
ディスクの透明基板の厚さがレンズの対応基板厚と異なると、それに比例した球面収差が発生し、また、それに比例して近軸焦点位置に対する最良像点位置のずれが生じる。したがって、最良像点位置をそろえるには対応基板厚を一致させる必要がある。
もう1つの理由は、BD再生時とDVD再生時で、輪帯構造で補正すべき収差形状を相似的にそろえる必要があるからである。第1領域と第2領域で対応基板厚を変えると、それぞれのディスクの再生波面形状が相似形からずれるため、共通の輪帯構造で収差補正を行うと補償後波面が平らでなくうねりが生じる。これは、収差補正効果を弱めることになるからである。
(1)式、(2)式、(3)式に入力する第1輪帯構造と第2輪帯構造の位相差がどのような値であっても、いわゆる連立方程式の行列式が0にならない限りは、基本的に、それを満足する解があることになる。しかし、図4に示した収差補正後の波面収差が位相差φの段差のある鋸歯状の曲線波形になることを考えれば、できるだけ小さい位相シフト値で多くの輪帯を刻むようにした方が最終的なRMS波面収差が小さくなることが容易に想像できる。
そこで、(1)式、(2)式、(3)式に入力する位相差の概略値を、図5を用いて決める。図5は、段差深さに対する各波長での位相差の計算結果である。
ここで、レンズを構成する媒質の屈折率は図中に示した通りであり、媒質への入射角は0°(垂直入射)の場合である。
各波長でのカーブが鋸歯状となっているのは±λ/2を超える光路差はそこから四捨五入した整数波長を差し引いて±λ/2以内に折り畳まれているためである。このようにそれぞれの波長では同じ段差量がその波長の違いにより異なる位相差に見えていることがわかる。
白抜きの四角のプロット点で「3波長RMS」という名称の凡例で示しているカーブは、3つの波長の位相差値の2乗平均平方根値である。すなわち、この値が小さい段差深さの近傍で3波長共用領域の波面収差のRMS値を探索すればよい。
また、「赤青2波長RMS」という名称の凡例で示している白抜きの円形のプロット点は、同様にして、赤色波長と青色波長の位相差値の2乗平均平方根値である。これが小さい段差深さの近傍でBD/DVD領域の段差量を探索すればよい。
上記の説明においては、3波長共用領域では第1輪帯構造の輪帯数と、第2輪帯構造の輪帯数と、元の対物レンズの対応基板厚の3つを未知数として、3つの光ディスクで収差を補償する条件から未知数を決めることを説明した。また、そのように決めた3波長共用領域の対応基板厚と同じ対応基板厚を用いて、BD/DVD領域において、第1輪帯構造の輪帯数と、第2輪帯構造の輪帯数の2つを未知数として、3波長共用領域とは異なる段差深さでBDとDVDで収差補償する条件から未知数を決めればよいことを説明した。
しかし、同様の類推から他の決め方もあり得る。たとえば、まず、BD/DVD領域において、対応基板厚と1つの輪帯構造の輪帯数を未知数として、BDとDVDで収差補償する条件から未知数を決め、同じ対応基板厚を用いて3波長共用領域において、3種類の輪帯構造の輪帯数を未知数として、3つの光ディスクで収差補償する条件から未知数を決めることもできる。
このように、本発明においては、3波長共用領域では2種類以上、BD/DVD共用領域では1種類以上の輪帯構造を用いればよい。
以下、本発明の実施の形態についてさらに具体的に説明する。
表1に、第1の実施の形態を示す実施例1の輪帯構造を決める基本仕様値を示す。ここで、BDの有効光束径はBD専用領域の外径を示し、DVDの有効光束径は、BD/DVD共用領域の外径を示し、CDの有効光束径は、3波長共用領域の外径を示す。
Figure 0005466620
また、表2に示す輪帯構造を用いた時の各波長において作用する位相差についても合わせて示している。いずれの波長、いずれの輪帯構造においても、位相差が作用していることがわかる。
Figure 0005466620
表2は、第1、第2輪帯構造の段差量を探索して求めた輪帯構造の基本仕様である。輪帯数が整数でないのは、(1)、(2)、(3)式の連立方程式の解として求まる輪帯数であるためであり、補正すべき収差量のPeak−to−Peak値を段差によって各波長で決まる位相差で除した商として与えられるためである。
対応基板厚は、3波長共用領域において与えられた段差量から(1)、(2)、(3)式の連立方程式の解として求めた値を、BD/DVD共用領域にもそのまま適用している。この理由は先に述べたとおりである。
対応基板厚は、実際のレンズにおいては特定の波長に対して定義できるものであるが、本実施例においては、3つの波長すべてにおいて同じ対応基板厚を仮定し、波長差によって生じる球面収差成分は、輪帯構造を決めたあと、光学設計ソフトを用いた自動設計によって各輪帯の面形状を決定する時にまとめて補償する。
ここで、与えられた段差から決まる輪帯数を、第1、第2輪帯構造でそのまま忠実に刻むと、必ずしも、第1輪帯構造と第2輪帯構造で輪帯位置が一致しないため、2つの輪帯構造を合成した輪帯構造の輪帯数は、2つの輪帯構造の輪帯数の和となる。
表2の3波長共用領域では、それは127輪帯、BD/DVD領域では52輪帯にもなり、たかだか3mmの有効径ではミクロンオーダーの輪帯幅となってしまう。これは、製造上の難易度が高く、輪帯幅を10μm以上とする目的から、本実施例では、第1輪帯構造と第2輪帯構造を合成したすべての輪帯境界の中から、あらかじめ決めた最小輪帯幅以内に近接している輪帯を合成して1つの輪帯とするようにしている。
このとき、複数の輪帯境界を合成した輪帯境界の位置の決定には、合成する各輪帯境界の両側の位相差を重みとして各輪帯半径位置の加重平均を取って合成輪帯位置を決めると残留収差が少なくなることがわかったので、本実施例ではそのようにしている。
これにより、合成輪帯数は3波長共用領域において41輪帯、BD/DVD共用領域において15輪帯となり、BD専用領域と合わせて57輪帯となっている。このとき、最小輪帯幅はBD/DVD領域の14μmであり、この程度の輪帯幅であれば切削加工による金型加工も可能である。
図6、図7、図8は、表1、表2に示した仕様において、3波長共用領域の輪帯構造がBDにて補償すべき波面収差、DVDにて補償すべき波面収差、CDにて補償すべき波面収差の計算結果である。
各グラフの縦軸は波面収差であるが、その符号は光路長が長くなる方向を+と定義している。同様にして図9、図10、図11はBD/DVD共用領域の輪帯構造がBDにて補償すべき波面収差、DVDにて補償すべき波面収差、CDにて補償すべき波面収差の計算結果である。
図6〜図11のいずれも、3波長共用領域とBD/DVD領域の両方の範囲内で等しい最適基板厚、等しい焦点位置としており、BD/DVD領域外径範囲内のNAで最良像点となる相似な球面収差の関数形状となっている。
図12、図13、図14は、表1、表2の仕様による輪帯構造により図6〜図11の波面収差を補正した結果である。図12は3波長共用領域、BD/DVD共用領域、BD専用領域のBDの波面収差補償結果、図13は3波長共用領域、BD/DVD共用領域のDVDの波面収差補償結果、図14は3波長共用領域のCDの波面収差補償結果である。
これらの結果から得られたRMS波面収差の計算結果を表3に示す。BDでは0.027λrms、DVDでは0.037λrms、CDでは0.029λrmsであった。これらはいわゆるマレシャルの基準0.07λrmsに比べ十分小さく、対物レンズ以外の要因で発生する収差と複合しても十分下回れる性能が期待できる。ここで、CDの波面収差はBD/DVD領域において0.239λにも及んでいる。念のため、図24にBD/DVD領域のCDの波面収差を示す。横軸が0.75から1の範囲で表示されているのはDVDの有効範囲の規格化半径でCDの有効半径より外側を表示するためである。収差は±0.5λ以内に折り畳まれて表示されており、部分的に収差量の小さい輪帯があるものの、全体としては収差量が大きく、スポット形成にはほとんど寄与しないと考えられる。
Figure 0005466620
以上の位相構造の設計結果をもとに、光学設計ソフトを用いて、実際のレンズ面形状の設計を行った結果を表4、表5、表6、および図15から図20に示す。
Figure 0005466620
表4は、レンズ面形状の基本的な定数を表にしたものである。第1面が対物レンズの入射面、第2面が出射面、第3面は透明媒質層表面、第4面が焦点面である。
Figure 0005466620
表5は、第1面の中央に位置する第0輪帯とBD専用領域である第56輪帯、および第2面の非球面係数である。ここで第1面の各輪帯、および第2面のレンズ面形状は
Figure 0005466620
で与えられる。
ただし、cは、曲率(曲率半径の逆数)、rは、光軸からの半径、kは、円錐定数である。A0、A2は、表5の中に示していないが、これらは第0輪帯、第56輪帯、第2面では0とし、第1輪帯から第56輪帯で必要に応じて用いる。A0は軸上サグ量、A2は2次の係数である。
(4)式は、第1項が軸対称なレンズの面形状を記述する一般的な2次曲面の式であり、第2項の級数の半径rの4乗に比例する項以降を含めて一般的な非球面式と呼ばれている。そこにA0を加えることにより輪帯ごとの段差を記述できるようにしている。
2次曲面は、文字通り基本的には半径の2乗に比例する成分が支配的な面形状を記述する式であるため、A2の成分を最初から含んでいることになり、非球面式としてはA2を必要としない。しかし、本実施例では、幅の狭い輪帯の面形状を記述するのにA2の項を用いている。
段差部を除いた各輪帯の面形状は、基本的には、滑らかな光学面を想定しているため、幅の狭い範囲内では低次の項のみで記述できる。そこで、面係数のパラメタ数を減らすために、本実施例では、cとkで記述する関数と、A2とA4で記述する関数の2通りを必要に応じ選択して用いるようにした。表6にそれらの係数を示す。
Figure 0005466620
輪帯番号1から45までは曲率半径と円錐定数、輪帯番号46から55まではA2とA4で表わしている。2通りの関数を用いるのは初期値として用いる通常非球面形状をフィッティングするのに、中心付近では曲率半径と円錐定数を用いた方が精度よくフィッティングでき、傾斜が急峻となる周辺部ではA2とA4でないとフィッティングができなくなるためである。
図15から図20が、以上の面形状に光を入射した場合の光線図と波面収差である。図15がBD再生時の光線図、図16はBD再生時の波面収差図、図17がDVD再生時の光線図、図18はDVD再生時の波面収差図、図19はCD再生時の光線図、図20はCD再生時の波面収差図である。RMS波面収差はBDで0.0384λ、DVDで0.0465λ、CDで0.0320λであった。光線図はそれぞれ各波長の有効径範囲内のみを表示しているが、BD,DVD,CDとも同一のレンズについて表示している。
次に、3波長共用領域においてBD波長に対する第1輪帯構造と第2輪帯構造の位相差を共に0.1λ以内とする場合に、どの程度、収差性能が低下するかについて以下説明する。
表7、表8は表1、表2と同様にして求めた輪帯構造の基本仕様値である。ただし、表1、表2と異なり、3波長共用領域の位相差が第1輪帯、第2輪帯ともに±0.1λ以内となるように、段差の深さを調整している。表1では、BD波長での位相差が第1輪帯構造では−0.109λ、第2輪帯構造では0.159λであり、ともに0.1λより大きい値となっている。これに対して、表7では、第1輪帯構造が−0.07λ、第2輪帯構造が0.094λと、ともに0.1λより小さい値である。また、表8に示すように、さらにこれに伴い、3波長共用領域、BD/DVD共用領域の対応基板厚が0.137mmに薄くなっている。これは、BD波長の位相差が小さくなったため、BDでの収差補正量が少なくなり、(1)(2)(3)式の連立方程式の解として求まる対応基板厚がBDの基板厚0.0875mmに近づいたことを意味している。
このときの波面収差の計算結果を図21、22、23に示す。図21がBDの波面収差、図22がDVDの波面収差、図23がCDの波面収差である。これらの波面収差から求められるRMS波面収差の値を表9に示す。表3と比較して、BDのRMS波面収差は0.027λから0.016λに低減しているが、CDはほとんど変わらず、DVDは0.037λから0.054λに劣化していることがわかる。許容される収差量は光ディスクシステム全体のマージン配分のしかたに依存するため一概には決められないが、0.05λ未満であることは必要と考えられ、通常、この収差量では許容されない。したがって、第1輪帯構造と第2輪帯構造を、BD波長において共に0.1λ以内の位相差とすることが許容されないことが明らかとなったことから、少なくとも、どちらか一方では、0.1λ以上であることが必要である。
Figure 0005466620
Figure 0005466620
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本発明の対物レンズは、BD、DVD、CDとも平行光を入射して集光する対物レンズであり、トラッキング動作に伴って対物レンズが光軸から偏心しても収差が発生せず、1個のレンズで3つの光記録媒体の再生が可能であるので、光ピックアップの小型軽量化、低価格化に有効である。
101 対物レンズ
102 光軸
103 第1面の第1領域(3波長共用領域)
104 第1面の第2領域(BD/DVD共用領域)
105 第1面の第3領域(BD専用領域)
106 第2面の第1領域(3波長共用領域)
107 第2面の第2領域(BD/DVD共用領域)
108 第2面の第3領域(BD専用領域)
201 BD用の入射光束
202 DVD用の入射光束
203 CD用の入射光束
204 BD透明媒質層(厚さt1)
205 DVD透明媒質層(厚さt2)
206 CDの透明媒質層(厚さt3)

Claims (6)

  1. 波長λ1、λ2、λ3(λ1<λ2<λ3)の3つの波長の平行光のレーザ光を、それぞれNA1、NA2、NA3(NA1>NA2>NA3)の開口数で集光した光スポットで再生できる第1、第2、第3の光情報記録媒体に、前記3つの波長のレーザ光をそれぞれ集光して情報を再生する単レンズの対物レンズであって、
    それぞれの情報記録媒体の情報記録層を保護する透明媒質の厚さをそれぞれt1、t2、t3(t1<t2<t3)とするとき、前記第1の光情報記録媒体の前記透明媒質と同じ屈折率を有し、前記透明媒質の厚さt1と前記透明媒質の厚さt2の中間の厚さt(t1<t<t2)の透明媒質越しに波長λ1のレーザ光を集光できるように3次球面波面収差が最適化された非球面レンズ形状が形成され、
    光軸を中心とした複数の同心円で区分された複数輪帯で前記波長λ1、λ2、λ3のレーザ光のいずれにおいても隣接する領域に対して位相差を与える少なくとも2種類の輪帯構造が付加された最内周の第1のレンズ領域と、
    前記第1のレンズ領域の外側に環状に配置され、前記非球面レンズ形状に対し、光軸を中心とした複数の同心円で区分された複数輪帯で前記波長λ1、λ2のレーザ光のいずれにおいても隣接する領域に対して位相差を与えるとともに、波長λ3のレーザ光に対しても位相差を与える少なくとも1種類以上の前記第1のレンズ領域の輪帯構造とは異なる輪帯構造が付加された第2のレンズ領域と、
    前記第2のレンズ領域の外側に環状に配置され、厚さt1の透明媒質越しに波長λ1のレーザ光を集光できるように波面収差が最適化された非球面レンズ形状を有する第3のレンズ領域と、を有し、
    前記第1のレンズ領域においては輪帯構造を付加する前のRMS波面収差に対し、輪帯構造を付加した後のRMS波面収差が、前記第1、第2、第3の光情報記録媒体のいずれに対しても低減するとともに、前記第2のレンズ領域では前記第1、第2の光情報記録媒体のいずれに対しても前記RMS波面収差が低減するように、前記輪帯構造の位相差がそれぞれ調整され、
    前記第1、第2、第3のレンズ領域に入射する波長λ1のレーザ光を前記第1の光情報記録媒体に集光し、前記第1、第2のレンズ領域に入射する波長λ2のレーザ光を前記第2の光情報記録媒体に集光し、前記第1のレンズ領域に入射する波長λ3のレーザ光を前記第3の光情報記録媒体に集光することを特徴とする対物レンズ。
  2. 請求項1に記載の対物レンズにおいて、前記第1のレンズ領域に付加された少なくとも2種類の輪帯構造のうち少なくとも1種類は、前記波長λ1のレーザ光において、光軸を中心とした複数の同心円で区分された複数輪帯で隣接する領域の光路差から前記波長λ1の整数倍を除いた±0.5λ以内の値の実質的な位相差が0.1λ以上であり、
    前記第2のレンズ領域に付加された前記第1のレンズ領域の輪帯構造とは異なる少なくとも1種類以上の輪帯構造は、波長λ3のレーザ光に対して光軸を中心とした複数の同心円で区分された複数輪帯で隣接する領域の光路差から前記波長λ3の整数倍を除いた±0.5λ以内の値の実質的な位相差が0.3λ以上であるように、前記輪帯構造の位相差がそれぞれ調整されていることを特徴とする対物レンズ。
  3. 請求項1に記載の対物レンズであって、前記第1のレンズ領域の少なくとも2種類の輪帯構造がともに同一レンズ面上に合成して形成されるとともに、第2のレンズ領域の少なくとも1種類以上の輪帯構造も同じレンズ面上に形成されていることを特徴とする対物レンズ。
  4. 請求項1に記載の対物レンズであって、波長λ1は405±5nm、波長λ2は660±10nm、波長λ3は785±10nm、開口数NA1は0.8以上、開口数NA2は0.6以上、開口数NA3は0.45以上に対応したレンズであることを特徴とする対物レンズ。
  5. 請求項1に記載の対物レンズであって、前記第1、第2、第3のレンズ領域の境界部に隣接しない輪帯領域の入射瞳面に投影した輪帯幅の最小の幅が10μm以下とならないように、輪帯幅が10μm以下となる輪帯は隣接する輪帯と結合し、結合した輪帯の位相差を加算した位相差を与える輪帯とすることを特徴とする対物レンズ。
  6. 請求項1に記載の対物レンズであって、前記第1のレンズ領域、および第2のレンズ領域のそれぞれ2種類以上の位相構造のうち、いずれも少なくとも1つは隣接する輪帯に対し0.05λ以上の位相差を与える輪帯構造であることを特徴とする対物レンズ。
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