JP5465442B2 - 光学的計測装置 - Google Patents

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Description

本願発明は、光の干渉縞を利用して微小な計測対象物の計測面物の高さや形状等を光学的に計測する光学的計測装置の構成に関するものである。
従来、微小な計測対象物体や同物体の微小な計測対象面の所定の位置間の段差寸法(高さ寸法)や3次元形状、例えば半導体や液晶ディスプレーの製造ライン、マイクロマシンなどの製造ラインにおけるナノメータレベルでのパターン間の段差寸法や微小な機構部分の高さなどを光学的に計測する計測装置として、例えば光源に白色光源を用い、当該白色光源からの白色光の干渉を利用して計測するものが知られている(例えば特許文献1を参照)。
白色光源は、合成光の光源であるから多数の波長の光を発生させる。したがって、同白色光源からの多数の波長の光を上記のような測定対象物の測定対象面上で干渉させた場合、干渉によって光が強め合う位置は、当該測定対象面上の非常に短い区間となる。
そこで、例えばCCDカメラなどの撮像手段により計測対象面を撮像しながら、対物レンズ等の光学系を上下に駆動することによって撮像手段への光路長を変え、撮像された計測面の複数画像内の各点で、その光量が最大になった時の光学系上の位置を求めるようにすれば、計測面である微小物体表面の、例えば凹凸形状等の3次元形状等を計測することができる。
今例えば図17に、そのような構成を採用した従来公知の光学的計測装置の具体的な構成を示す。
図17中、先ず符号1は上述したナノレベルの微小な物体などの計測対象物、2は同計測対象物1を臨むCCDカメラ6からの光学系路上の位置に設けられていて、上記計測対象物1の計測面からの反射光を集光しCCDカメラ6の受光素子部分に入力する対物レンズ、3は同対物レンズ2を上記光学系路上においてフォーカス方向(光軸方向)に微小な距離駆動することによって光路長を変えるピエゾアクチュエータなどよりなる光路長可変手段、4はハーフミラー4aを備え、白色光源5からの光を上記対物レンズ2を通して計測対象物1の計測面に照射するビームスプリッター、6は上記計測対象物1の計測面からの反射光を対物レンズ2を介して収束させながら上記ビームスプリッター4を介して受光素子部分に入力し、上記計測対象物1の計測面の画像を得るCCDカメラである。
しかし、この従来の計測装置は、原理的にナノメートル単位の計測精度での光学系路上の位置決めを必要とするため、例えば数10マイクロメートルの測定対象物の高さを測定しようとした場合、数100回の位置決め工程を必要とし、相当に長い計測時間が必要となる。
したがって、同計測装置では、必要な計測精度が高くなるほど、また必要な計測レンジが広くなるほど、多大な計測時間を要することになり、極めて計測効率が悪く、上述した半導体製造ライン等の製造ラインにおける製造効率向上の妨げとなっていた。
そこで、このような問題を解消するために、例えば図18に示されるように、複数の異なる波長のレーザ光を発生する第1,第2,第3の複数のレーザ光発生手段L1,L2,L3とこれら第1,第2,第3の複数のレーザ光発生手段L1,L2,L3に対応した第1,第2,第3の複数の撮像手段C1,C2,C3とを設け、第1,第2,第3の複数のレーザ光発生手段L1,L2,L3から照射されたレーザ光が第1,第2のビームスプリッターB1,B2部分で合流したあと、第3のビームスプリッターで計測対象物Wの計測面への照射光と参照ミラーMRへの参照光との2つのレーザ光に分けられて照射されるようにする。
そして、計測対象物Wの計測面に当たった反射光は、再び第3のビームスプリッターB3で参照ミラーMRからの反射光と合流して、レーザ光の干渉像を作りながら、第4,第5のビームスプリッターB4,B5を通って、第1,第2,第3の撮像手段C1,C2,C3により撮像されるようにする。
これら第1〜第3の各撮像手段C1,C2,C3の前には、それぞれ各レーザ光の波長にあった特性の第1〜第3の光学フィルタF1〜F3が装着されており、各レーザ光の波長毎の干渉画像を撮像する。
一方、計測対象物Wは所定のナノメータステージST上に載置されており、同計測対象物Wを載せたステージSTは、上述の場合と同様のピエゾ素子などのアクチュエータで微小駆動され(例えば数10nm単位で)、光路長を所望に変化させるようになっている。このように上記光学系の光路長を数10nm単位で変化させると、計測対象物Wの計測面からの反射光と参照光との干渉状態が変化するために、形成される干渉画像の明るさが変わる。この明るさ変化は、上記光路長の変化量に応じて例えば図19のようにサイン波状に変化し、光路長の変化の1波長が1周期となる。
同光路長は、計測面の凹凸に応じて場所毎に異なるため、明暗の変化の仕方も場所によって違い、場所毎のサイン波状の明るさ変化の位相差となって表れる。したがって、図20のように、この位相差を測定すると、計測面の凹凸部の高さの差を計算することができることになる。
しかし、上記明るさが変化するサイン波(図19)は波長の一周期で元に戻るので、結局1波長のレーザ光源では、1/2波長分の長さまでしか差が計測できない。
ところが、上記のように、複数の波長のレーザ光源L1,L2,L3を使用し、個別に位相を測定するようにすると、光路長の変化は波長に依存するため、例えば図21に示すように、光路長の変化と高さとの関係が2つのレーザ光源間で相互にずれてくる。したがって相互に波長が異なる複数の光源で計測された位相を組み合わせれば、1つの光源の1/2波長以下の計測が可能になる。
このような複数の波長のレーザ光を用いた位相シフト法による微小形状、微小寸法の計測では、例えば図22に示すように、光路長を微小距離ΔL毎に移動させることにより明るさ変化のサイン波の位相θを同ΔL毎にコード化し、同位相コードの組み合わせで1/2波長以下の長さを計測するものである。
例えばレーザ光の波長から、光源1では0−4の5段階で評価され、光源2では0-3の4段階で評価された場合、その組み合わせコードは20種類あるため、光源1の波長の4倍まで計測できることになる。したがって、例えば図23に示すような位相コード−高さ変換テーブルを作製しておくことにより、レーザ光の波長を超えた計測が可能になる。
また、各レーザ光源毎の明るさ変化の位相の計測は、計測する長さによらず、レーザ光源の波長内を数十分割した程度の計測で済むため、従来の白色光の干渉を利用する計測装置に比べて、大幅に計測時間を短縮することができることになる。
『ビジョン技術の実利用ワークショップ』VIEW 2006年 講演論文集第1頁−7頁「超精密3次元形状計測の最新動向−白色干渉における革新的アルゴリズムの開発とその応用−」 特願2007−219054号(平成19年8月24日出願)
しかし、上記本願発明者の先の出願である特許文献2に記載された発明の場合、同一の計測対象物の同一の計測面で数十回程度の計測を行う必要があり、そのためには、計測対象物を停止させる必要がある。このため、例えば高速の画像検査装置で行われる計測、例えば図24のようなラインセンサーLSと走行系とを組み合わせ、検査対象物Dの製造ライン上での移動速度にあわせた大面積、高速状態での迅速な計測作業を実現することはできない。
本願発明は、上記特許文献2の発明の構成では必須であった数十枚の画像撮像の必要性をなくし、1枚の干渉画像のみで複数のレーザ光源による干渉画像の干渉縞の濃淡から画面内各点での明るさ位相を求めることにより、また、それらを組み合わせることにより、微小高さを計測することができるようにした光学的計測装置を提供することを目的とするものである。
本願発明は、同目的を達成するために、次のような課題解決手段を備えて構成されている。
(1) 請求項1の発明
この発明は、観測光と参照光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と参照光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と参照光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の位相の理論的組み合わせを記録した位相−高さ変換テーブルと、該位相−高さ変換テーブルを利用して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備えるとともに、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置することにより、上記撮像された2次元干渉画像に濃淡表示される干渉縞を生じさせ、該干渉縞の濃淡の変化パターンを観測することにより、上記計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしてなる光学的計測装置において、上記計測対象物を一定の方向に移動させる計測対象物移動手段を設けるとともに、上記撮像手段がラインセンサーであって、上記撮像された2次元干渉画像に計測方向と直交する方向の干渉縞が形成されるように、その光軸を上記計測対象物の計測面に対して所定の方向に相対的に所定角傾斜させて設置することにより、上記計測対象物が移動する状態において計測面の微小高さ等を計測するように構成したことを特徴とするものである。
このような構成によると、各波長の光での2次元的な干渉画像について、画素の各点での光路長移動時の明るさ変化のサイン波形としての位相角を見るために、対象を固定させて同一点で光路長を変えて多数回撮像するような必要はなくなり、平面画像一枚のみで解析することが可能になる。
すなわち、前述した特許文献2の発明の問題点は、上記明るさ位相を求めるために、光路長を変えながら数十回の撮像を行い、特定の点の明るさ変化をサイン波として解析し、その位相を求めた事にある。
しかし、この発明では、上記特許文献2の発明の光路長を変えながら明るさ変化の位相を求める点を、上述のように2次元干渉画像上の濃淡縞の変化パターンから求めるようにしている。
そして、その場合、計測対象物の計測面が、光発生手段から照射される光の照射方向に対して相対的に傾いている場合、特に干渉縞の濃淡度が高い明瞭な2次元干渉画像を得ることができる。また、段差のある部分では、明確に異なった濃淡パターンを示す。
したがって、計測対象物の計測面の高さ毎の波長を異にする各光の位相の理論的な組み合わせを記録した位相−高さ変換テーブルおよび該位相−高さ変換テーブルを利用して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段を用い、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置し、上記撮像された一枚の2次元干渉画像の干渉縞の濃淡変化パターンを観測することにより、上記計測対象物の計測面の微小高さを適切に計測することが可能となる。
そして、前述した従来の問題に鑑み、具体的に上記撮像手段をラインセンサーとして計測対象物の移動手段と組み合わせて用いる場合には、ラインセンサーの走査方向に直交して上述した濃淡縞が発生するように光学系を組み合わせることが好ましく、そのようにすれば、装置の振動などによる干渉画像のぶれなどの影響による計測誤差を抑えることができる。
(2) 請求項2の発明
この発明は、上記請求項の発明の構成において、画像解析手段は、2次元干渉画像に光学系の構造に起因する明るさの変化がある場合、同明るさの変化を曲線に近似化し、該曲線により基準サイン波の周期を補正するようになっていることを特徴としている。
上述のように、1枚の平面干渉画像上に濃淡パターンで示される2次元的な干渉縞の明るさ変化を求めた場合、連続した表面毎に連続したサイン波形状の明るさ変化が観測され、段差部では不連続となる。
したがって、この連続部をサイン波として解析すれば、同一枚の平面干渉画像から、画素の各点のサイン波としての位相角を求めることができる。そして、この位相角が上記各波長の光で求められれば、前述の特許文献2の場合と同様に、予じめ上記光路長可変手段によって上記観測光の光路長を変えながら、上記各波長の光の明るさ変化の位相を計測し、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各波長の光の位相の理論的組み合わせに基いて、また必要に応じ、同組み合わせを記録した位相−高さ変換テーブルを参照して、計測面の高さを求めることができる。
該計測は、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを備えた画像解析手段により、容易に実現される。
そして、同画像解析手段の画像解析プログラムで計測対象物の計測面に当たった各波長の光の参照光との干渉画像を解析するに際しては、干渉の結果発生する濃淡パターンの変化をサイン波からの変形パターンとして比較し、データプログラミング等の方法で対応を取ることで、適切に画像上の各点の各波長の光での位相を求め、それらを組み合わせればよい。
ところが、上記光発生手段からの観測光と参照光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系には、その光導入口部における計測対象物との対向角により、また光導入口部の中心軸部分とその外周側部分とでは光路内への入射量(入射光束量)に相違があるために、どうしても所定レベル以上の明るさ変化が生じる。
そして、このような明るさの変化があると、それに応じて基準サイン波の周期も変化し、上記明るさ変化の位相の計測に誤差を生じ、それら位相の組み合わせに基いて計算される計測面の高さにも誤差が生じる。
そこで、これを解消するために、この発明の画像解析手段では、2次元干渉画像に光学系の構造に起因する明るさの変化がある場合、同明るさの変化を、例えば2次曲線やサインカーブ等所定の曲線に近似化し、該曲線により示される明るさ変化の度合に応じて基準サイン波の周期を補正し、実際に計測された明るさ値を同補正された基準サイン波と比較することによって、明るさ変化の位相を求めるようにしている。
このようにすると、可能な限り光学系の構造に起因する明るさ変化の影響を避けた適正な高さの計測が可能となる。
(3) 請求項3の発明
この発明は、上記請求項1又は2の発明の構成において、画像解析手段は、明るさの最大値および最小値を取る極値位置を計算し、それらの間をサイン波で結んで基準サイン波とし、実際の明るさ値を同基準サイン波と比較することにより、明るさ変化の位相を求めるようになっていることを特徴としている。
上述のように、1枚の平面干渉画像上に濃淡パターンで示される2次元的な干渉縞の明るさ変化を求めた場合、連続した表面毎に連続したサイン波形状の明るさ変化が観測され、段差部では不連続となる。
したがって、この連続部をサイン波として解析すれば、同一枚の平面干渉画像から、画素の各点のサイン波としての位相角を求めることができる。そして、この位相角が上記各波長の光で求められれば、前述の特許文献2の場合と同様に、予じめ上記光路長可変手段によって上記観測光の光路長を変えながら、上記各波長の光の明るさ変化の位相を計測し、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各波長の光の位相の理論的組み合わせに基いて、また必要に応じ、同組み合わせを記録した位相−高さ変換テーブルを参照して、計測面の高さを求めることができる。
該計測は、上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを備えた画像解析手段により、容易に実現される。
そして、同画像解析手段の画像解析プログラムで計測対象物の計測面に当たった各波長の光の参照光との干渉画像を解析するに際しては、干渉の結果発生する濃淡パターンの変化をサイン波からの変形パターンとして比較し、データプログラミング等の方法で対応を取ることで、適切に画像上の各点の各レーザ光での位相を求め、それらを組み合わせればよい。
ところが、上記光発生手段からの観測光と参照光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系には、その光導入口部における計測対象物との対向角により、また光導入口路の中心軸部分とその外周側部分とでは光路内への入射量(入射光束量)に相違があるために、どうしても所定レベル以上の明るさ変化が生じる。
そして、このような明るさの変化があると、それに応じて基準サイン波の周期も変化し、上記明るさ変化の位相の計測に誤差を生じ、それら位相の組み合わせに基いて計算される計測面の高さにも誤差が生じる。
そこで、これを解消するために、この発明の画像解析手段では、その時の明るさの最大値および最小値を取る極値位置を計算し、それらの間をサイン波で結んで基準サイン波とし、実際に計測された明るさ値を同基準サイン波と比較することによって、明るさ変化の位相を求めるようにしている。
このようにすると、可能な限り光学系の構造に起因する明るさ変化の影響を避けた適正な高さの計測が可能となる。
以上の結果、本願発明によると、複数の波長の光による干渉画像の位相の組み合わせ計測による微小形状等の光学的計測装置において、各波長の光の干渉画像について、画素各点での光路長移動時の明るさ変化のサイン波形としての位相角を見るために、対象を固定させ、同一点で光路長を変えて多数回撮像する必要があったものを、2次元的な平面画像一枚のみで解析することが可能になる。
これにより、計測対象物体を移動させながらの高速計測を可能にし、ラインセンサーなど、製造ライン上での製造速度に合わせたリアルタイムな処理が可能な高性能の計測・検査装置を低コストに実現することができるようになる。
本願発明の実施の形態1に係る光の干渉画像を利用した微小物体の光学的計測装置の基本的な測定原理を示す模式図である。 同装置における光の干渉画像における明るさ変化を示す図である。 同装置における図2の干渉画像の明るさ変化に対応したサイン波と位相の変化を示す説明図である。 本願発明の実施の形態1に係る光の干渉像を利用した微小物体の光学的計測装置の具体的な使用形態を示す斜視図である。 同装置における多波長の干渉・撮像光学系の全体構成を示す図である。 同装置における図4の高速形状計測装置で得られた干渉画像からの高さデータの解析処理の流れを示す説明図である。 同装置において、一つの波長のレーザ光による干渉画像を空間微分し、その微分エッジを取り出した画像の例である。 同装置において、図7の微分エッジで分けられた領域内の干渉画像の各画素の明るさ位相角を求める流れを示す説明図である。 同装置において、図2の干渉画像内で図7のエッジで分けられた領域毎に計測線を設けた例の説明図である。 同装置において、図9の干渉画像の計測線上の明るさ変化から1周期分を取り出し、標準サイン波データと重ね合わせた概念図である。 同装置において、干渉画像の計測線上の明るさ変化データと基準サイン波データとを、データを伸張しながら重ね合わせる方法の流れを示す図である。 同装置において、干渉画像の計測線上の明るさ変化データと標準サイン波データとを対応づける考え方の説明図である。 同装置において、図11の重ね合わせ時の誤差を修正するデータプログラミングの方法を示す説明図である。 本願発明の実施の形態2に係る光の干渉画像を利用した微小物体の光学的計測装置の構成を示し、さらに詳しくは同装置において明るさ変化が生じた場合に、それに対応した基準サイン波の周期をサイン波の1周期で補正する補正方法を示す説明図(波形図a〜c)である。 同装置において明るさ変化に対応した基準サイン波の周期をサイン波の半周期で補正する補正方法に関し、最小2乗法による2次曲線の演算と同演算値からサブピクセル精度で極値位置を計算する極値位置の計算方法を示す図である。 同装置の図15の明るさ変化に対応した周期の補正方法において、図15のサブピクセル精度で求めた極値位置間で基準サイン波を生成し、実際の明るさ変化が同基準サイン波と等しくなる点の位相をその点の明るさ位相とすることにより、2次元干渉画像の干渉縞の各点の位相を決定する位相決定方法を示す図である。 従来の白色光源による微小物体の光学的計測装置の構成を示す図である。 本願発明の実施の形態に係る微小物体の光学的計測装置の前提となる光学的計測装置の構成を示す図である。 同装置における光路長の変化に対応した測定対象物からの反射光と参照光との干渉状態の変化による測定画像の明るさ変化(サイン波状の変化)を示す説明図である。 同装置における測定画像の明るさ変化(サイン波状の変化)に対応した位相差Δθから測定対象物の高さの差を測定できることを示す説明図である。 同装置における複数のレーザ光の光路長変化による明るさ変化が、レーザ光の波長によって決まるため、複数のレーザ光を組み合わせることにより波長以上の計測ができることを示す説明図である。 同装置において光路長をΔL毎に移動させて明るさ変化のサイン波の位相θをΔL毎にコード化し、同コードの組み合わせで1波長以上の長さを計測する場合のコード化方法を示す説明図である。 同装置における位相コードを高さに変換する位相コード変換テーブルの構成を示す図である。 同装置を製造ライン上のラインセンサーに組合せて構成した一つの適用形態を示す図である。
[実施の形態1]
まず図1〜図13は、レーザ光の干渉縞の濃淡変化を利用して微小物体の表面形状や高さ寸法を計測する本願発明の実施の形態1に係る光学的計測装置の構成を示している。
(本願発明の要旨)
先に提案した特許文献2の発明の問題点は、明るさ変化の位相を求めるために、観測光と参照光の光路長を変えながら数十回の撮像を行い、特定の計測点の明るさの変化をサイン波として解析し、その位相を求めたことにある。本願発明は、この光路長を変えながら明るさ変化の位相を求める点を、2次元干渉画像上の縞模様の濃淡の変化から求めるようにしたことを特徴としている。
今、この実施の形態の前提となる模式的な計測方法と計測された干渉画像の例を図1、図2に示す。図1中の符号Dは計測対象物であり、該計測対象物Dの計測面dは、段差を持った2つの面からなっている。そして、この計測面dに対して、図5のような構成を備えたラインセンサーLSのレーザ光照射手段を介して上方から下方にレーザ光を照射し、その反射光(観測光)を参照光と干渉させて撮像した干渉画像が図2に示す画像である。なお、この場合、上記計測対象物Dの計測面dが、レーザ光の照射方向に対して相対的に多少傾いている場合、図2のように、特に干渉縞(キャリア縞)が明瞭な濃淡画像を得ることができる。そして、段差のある部分では、異なった濃淡パターンを示す。
なお、ここで撮像系として、例えば図4のような第1〜第4のラインセンサーLS1〜LS4を用いる場合には、これら第1〜第4のラインセンサーLS1〜LS4の走査方向に直交して濃淡縞が発生するように光学系を組むことが好ましく、そのようにすると、装置の振動などによる画像のぶれの影響(誤計測)を抑えることができる。
すでに述べた特許文献2に示す方法では、先ず光学系の高さを少しずつ変えながら図2の様な濃淡画像を撮像し、同画像内の同一点での明るさの変化を調べる。この明るさの変化は、理論的にサイン波形になるので、次に同サイン波と比較し、その基準高さで撮像した画像の位相を求め、該位相との位相差から2点間の段差を求めるようにしている。また複数波長のレーザ光を用いた場合、各レーザ光毎の位相の組み合わせにより、それらレーザ光の単波長以上の寸法の段差を求めることができる。
この実施の形態の特徴は、その内の位相を求めるための方法として、そのように光学系の高さを少しずつ変えながら濃淡画像を撮像し、該画像内の同一点での明るさ変化を調べるのではなく、上記図2のような干渉縞を有する2次元画像の2次元的な解析によって求めることにある。たとえば図2中の矢印(X軸)に沿って明るさ(F)の変化を求めた場合、その明るさ変化は、図3の様になる。
すなわち、計測面dの連続した表面毎に連続したサイン波形状の明るさ変化が観測され、段差部では不連続となっている。そして、この連続部をサイン波として解析することで、一枚の画像からも、画素の各点のサイン波としての位相角を求めることができる。そして、この位相角が各波長のレーザ光で求められれば、上述した特許文献2の場合と同様に図2に示すような位相−高さ変換テーブルを参照して、計測面の高さを求めることができる。
(具体的な装置構成)
つぎに、同原理を採用した光学的計測装置の具体的な構成を図4〜図13に基いて詳細に説明する。
例えば図4に示すように、本計測装置の計測システムは、計測対象物Dを搭載し、同計測対象物Dを一定の方向に水平移動させる駆動台WAと、この駆動台WAの上方に並列に置かれたレーザ光発光手段や多波長レーザ干渉・撮像光学系、その他必要な光学手段を一体に組み込んで構成した第1〜第4のラインセンサーLS1,LS2,LS3,LS4と、該第1〜第4のラインセンサーLS1,LS2,LS3,LS4からの送信画像を解析する第1〜第4の画像解析装置PC1,PC2,PC3,PC4とからなっている。
また、第1〜第4のラインセンサーLS1〜LS4の多波長レーザ干渉・撮像光学系は、例えば図5に示すように、第1〜第3のレーザ光発光手段(多波長レーザ光源)L1,L2,L3と、これら第1〜第3のレーザ光発光手段L1,L2,L3から発光された各レーザ光を同軸状に合流させる第1,第2のビームスプリッタB1,B2と、該合流させたレーザ光を計測対象物Dの計測面dへの照射光(観測光)と参照ミラーMRへの参照光との2つの光軸に分離する第3のビームスプリッタB3と、参照ミラーMRと、参照ミラーMRが載っており、ピエゾ素子などのアクチュエータで光路長を変えられるナノメータステージSTと、計測対象物Dの計測面dへ照射光を導き、その反射光を取り込む対物レンズOLと、計測対象物Dの計測面dに当たった反射光と参照ミラーMRからの反射光とを再び合流させる上記第3のビームスプリッタB3と、この第3のビームスプリッタB3を介して合流させて作られた2次元干渉画像を撮像手段としての第1〜第3のCCDカメラC1,C2,C3に分配する第4,第5のビームスプリッタB4,B5と、これら第4,第5のビームスプリッタB4,B5を介して分配された干渉画像を最終的にを撮影記録する第1〜第3のCCDカメラC1,C2,C3と、これら第1〜第3のCCDカメラC1,C2,C3の各々毎に決まった第1〜第3のレーザ光発光手段L1,L2,L3の内の対応するレーザ光の波長のみを通過させる第1〜第3の光学フィルタF1,F2,F3とからなっている。
すなわち、上記第1〜第3のレーザ光発光手段L1,L2,L3からのレーザ光については、上記第1〜第3の光学フィルタF1,F2,F3で波長制限される事により、それぞれ第1〜第3のCCDカメラC1,C2,C3の各々で対応するレーザ光の波長毎の個別の干渉画像が撮像される。
ここで、上記ピエゾ駆動形のナノメータステージSTは、光の波長の数10分の1毎の長さを規定量として、参照ミラーMRを移動させて、観測光および参照光の光路長を変化させる。これにより、図16に示すように、それぞれのレーザ光毎に明るさがサイン波状に変化するため、あらかじめ図2の位相−高さ変換テーブルを作成する際にも、計測対象物Dが置かれる駆動台WA上で計測対象物Dの計測面dの高さに応じた明るさの変化を計測することができる。したがって、この変化を基に、同高さと明るさの位相との関係を計測して高さコードに変換し、参照テーブルとすることができる。
ところで、このようにして複数のレーザ光発光手段(レーザ光源)L1,L2,L3で位相を計測すると、その組み合わせにより1波長以上の高さを計測することができることは、先に特許文献2に関して説明した通りである。具体的には、同高さを求める方法として、図2に示す位相−高さ変換コードテーブルが使われる。ここでは、1回のナノメータステージSTの光路長の変化をΔLとするとき、それぞれの光源波長L毎に、ΔLで区分したコード(位相コード)を付ける。すなわち、使用するレーザ光の波長をLとするとき、その位相コードは、0−L/ΔLのコードが付く。
一例として、図2の2波長レーザ光の組み合わせ例では、波長1のレーザ光では0-37の、波長2のレーザ光では0-43の値が付けられている。そして、(0,0)-(37,37)までの第1の直線状の組み合わせでテーブルの縁に達すると、次の直線状の並びは(0,38)から始まり、(5,43)まで、そして次は・・・、と、どんどんテーブル上を移り変わっていく。
ところで、このようにテーブル上を移り変わっていくとき、0から順次高さコードを付けていくと、同高さコードは、最大ではこのテーブル全体を一杯にするまで続き、この場合、38×44=1672までコード化することができる。したがって、高さでは1672×ΔLまでの高さを計測できることになる。
具体的に、このテーブルを作製する方法としては、ピエゾ駆動などの方法で、上述の参照ミラーMRを載せたナノメータステージSTを1672×ΔLの各々について全て移動させ、その時々の位相コードを求め、その2つのレーザ光での組み合わせ位置に、そのときのピエゾ駆動での移動回数nを入れていけば良い。
しかし、実際の計測時にも同様にして参照ミラーMRを何回も駆動し、数十回の撮像を行うのでは、図4のような半導体製造ラインの移動速度に合わせて計測対象物Dを連続的に移動させるようなリアルタイム計測目的には使用することができない。このため、この実施の形態では、上記干渉画像の各画素点での明るさの位相を、図2のようなレーザ光の干渉による濃淡縞画像の2次元的な明るさ変化から求めるようにしている。
その具体的解析方法の一例は、図6のフローチャートのステップS1〜S4に示す通りである。
<解析方法>
(ステップS1) まず、計測対象物Dを図4の駆動台WAの上に載せて一定方向(矢印方向)に送りながら、図5に示す第1〜第4のラインセンサーLS1〜LS4の多波長撮像光学系により干渉画像を作成し、第1〜第3のCCDカメラC1,C2,C3により各波長のレーザ光毎の2次元干渉画像、IF1,IF2,IF3(図2参照)を得る。
(ステップS2) 次に、それぞれの干渉画像、IF1,IF2,IF3を空間微分し、微分画像IF1′,IF2′,IF3′を得る。そして、この微分画像IF1,IF2,IF3を使って、図7のような微分値が大きく変わるエッジ画像を作成するが、このとき、一つの画像のみでは、完全なエッジを取り出せないので、IF1′.IF2′,IF3′の各画素で微分値の絶対値の最大値を取り出すなどの方法で画像を合成し、この合成画像で、エッジEに囲まれた領域aと背景領域bとを分離する。
(ステップS3) 次に、元の干渉画像IF1,IF2,IF3(図2参照)に帰り、上記分けられた各領域a,bごとに、各領域a,b内での明るさ変化を解析し、各画素の光の波長毎の明るさ位相角θ1, θ2, θ3を求める。
具体的には、上記分けられた領域a,b内で、濃淡変化が大きい方向に規定波長分の明度変化を取り出す。そして、該取り出した明るさ変化にサイン波形を伸縮して重ね合わせる。そして、該重ね合わせたサイン波の位相をその点の位相とする。
(ステップS4) 最後に、各レーザ干渉画像IF1,IF2,IF3上で、画素毎に求めた上記位相角θ1, θ2, θ3を位相コード化し、該位相コードにより図2の位相−高さ変換テーブルを参照することで、計測点の微小高さを求める。
以上の様な方法で、対象とする計測面各部の高さ計測を行うが、このうち上記ステップ(S3)の位相角演算処理内容の一例を、より詳細に示すと、例えば図8のフローチャートのステップS1〜ステップS3のようになる。
<位相角演算方法>
図8のフローチャートのステップS1〜ステップS3の各処理内容について説明すると、次のようになる。
(ステップS1) 図9に示すように、干渉縞画像IF(IF1〜IF3)中で、エッジで分けられた領域a,b毎に明るさ変化を調べる計測線la,lbを引く。このとき、計測線la,lbは、図示のようにできるだけ濃淡変化の大きい方向である事が望ましいが、基本的には変化さえ有ればよい。
(ステップS2) 計測線la,lb上で取り出した明るさ変化は、先にも述べたように基本的にはサイン波形の変形波長である。このため、まず1つの基準サイン波形(標準サイン波形と重ね合わせることによって、サイン波としての位相角θを求める。しかし、この場合には、上記図2の位相−高さ変換テーブルを作成したときのように等間隔で移動した場合の濃淡変化とは異なり、計測線la,lb・・・各点でのサイン波の伸縮の度合いが異なるため、単なる伸張や明るさを合わせたりするだけでは、重ね合わせはできない。
このため、伸縮を自由に変えながら適切に重ね合わせる手法としては、例えばダイナミックプログラミングの手法を用いる方法(いわゆるDP法)などが考えられる。この方法の詳細については後述する。
(ステップS3) このように重ね合わせた結果から、基準サイン波(標準的なサイン波)との一致位置をもとに、基準サイン波の位相角θを計測線la,lb上の各点の明る
さ変化の位相とする。
ところで、凹凸のある平面上では、上述のように干渉画像の濃淡変化をサイン波形と重ね合わせるにしても、凹凸の具合により波形が変形を受けることは、以上に述べた。したがって、そのサイン波形としての位相を求める場合、先ず基準のサイン波形を伸縮させて干渉画像の濃淡変化に合わせた上で、基準のサイン波形の位相角とする必要がある。
そのための手法の一つを、図11のフローチャートに示す。
<データプログラミングを用いた波形マッチング>
(ステップS1) 先ず図10の様な、基準サイン波形を1周期分、最小値から次の最小値まで数10点のサンプル点の強度データ(サイン波サンプルデータ)として数値化し、データテーブルF(i)に記憶する。次に、計測線la,lb上でも明るさ変化が極小値から極小値となる2点を検出する。
(ステップS2) 次に計測線la,lb上の極小値から極小値となる2点間でのサンプル点数が標準サイン波形と同じと成るように、同サンプル点数を数の比率で増減し、サンプルデータG(j)とする。
(ステップS3) 次に図12に示すように、上記サンプル点数と同数で2次元的に設けられた対応するデータテーブルの横軸、縦軸に標準サイン波のサンプルデータF(i)と計測線la,lb上のサイン波サンプルデータG(j)を対応づける。
ここで、(0,0)、(1,0)などの表記は、iデータとjデータとの対応づけを表わし、そのまま対応するデータテーブル上のそのアドレスのデータを参照することができる。
(ステップS4) 次に図13に示すように、上記(0,0)をツリー構造の頂点として、まず、(F(0)-G(0))2の値を計算し、対応するデータテーブルの(0,0)に入れる。すなわち初期データとして、(0,0)を選択する。
(ステップS5) 次に選択された(i,j)について、図13のように、第1項に1を加えたデータ(図12の右側データ)、両方に1を加えたデータ(図12の右上データ)、第2項に1を加えたデータ(図12の上側データ)をツリー構造の次レベルのデータとして作成する。
なお、この際に、必要に応じて生成するデータ対応を制限する枠を設けることがある。その枠を整合窓と呼ぶ。
(ステップS6) 次に、上述のようにして作成した3つのデータのそれぞれについて、次の処理を行う。
すなわち、まず選択された(i,j)の対応するデータテーブルの場所に記憶された値に、それぞれ新たに対応づけられたデータ間の(F(i)-G(j))2を加える。そして、新たに対応づけられた対応するデータテーブル上の位置に、すでに値が入っているか否かを見る。値が入っていなければ、(F(i)-G(j))2を加えた値を対応位置に書き込み、対応するデータテーブルの位置から該当ツリーデータへの関連づけを行う。
また、値が入っていた場合は、(F(i)-G(j))2を加えた値との大小比較を行い、新しく計算した値の方が大きいか又は等しければ、当該作成したデータについては、以降のツリー展開を禁止する。また、対応するデータテーブルの方のデータが大きければ、すでに入っているデータの該当ツリーデータ側のツリー展開を禁止し、あらたなデータを対応するデータテーブルに書き込み、該当ツリーデータへの関連づけを行う。
(ステップS7) 次に、それまで作成されたツリー構造データのすべての先端部データ(葉データ)の中で、最小値を選ぶ。このとき、最小値となったデータが、計測線の上サンプル点データ、基準サイン波形のサンプル点データの両方の最後に達していれば、探索をやめる。そして、最後でなければ、最小値データを次の選択データとして、上述のステップ(S5)に帰る。
(ステップS8) そして、最後の最小値データとなった位置から、ツリー構造を逆にたどって対応付けデータを列挙することで、基準サイン波データと計測点データとの対応の一致位置を決定する。
このように、本願発明によれば、複数のレーザ光源による干渉像の位相の組み合わせ計測による微小高さ等計測装置において、これまでだと、各レーザ光での干渉画像について、画素の各点での光路長移動時の明るさ変化のサイン波形としての位相角を見るために、対象を固定させて同一点での光路長を変えての多数回の撮像を必要としたものを、2次元的な平面画像一枚のみで解析することが可能になる。
これにより、計測対象物体を移動させながらの計測が可能になり、ライセンサーなど製造ライン上での製造速度に合わせたリアルタイム処理が可能な高性能の計測・検査装置を実現することができるようになる。
[実施の形態2]
次に図14〜図16は、本願発明の実施の形態2に係る微小物体の光学的計測装置の明るさ変化に対応した基準サイン波の補正方法(周期の補正)を示している。
以上の説明から明らかなように、本願発明は、波長の異なる各レーザ光毎の位相を求めるための方法として、すでに述べた従来の特許文献2に示すもののように、光学系の高さを少しずつ変えながら多数枚の濃淡画像を撮像し、該多数枚の濃淡画像内の同一点での明るさの変化を調べるのではなく、前述の図2に示すような、波長を異にする複数のレーザ光源によって形成される干渉縞を有する1枚の2次元干渉画像の干渉縞の濃淡から画面内各点での明るさ位相を求めるようにしている。
今、例えば図2中の矢印(X軸)に沿って明るさ(F)の変化を求めた場合、その明るさ変化は、図3の様になり、計測面の連続した表面毎に連続したサイン波形状の明るさ変化が観測され、段差部では不連続となる。
そこで、この連続部をサイン波として解析することにより、一枚の画像から、画素の各点のサイン波としての位相角を各波長のレーザ光毎に求め、それらの組み合わせに基いて、計測面の高さを求めるようにしている。
そして、同計測は、上述の実施の形態1で説明したような計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを備えた画像解析手段により、容易に実現される。
すなわち、同画像解析手段の画像解析プログラムにより上記干渉画像を解析するに際しては、干渉の結果発生する図2の濃淡パターンの変化に対応して生成される図3のサイン波を基準となるサイン波からの変形パターンとして比較し、データプログラミング等の方法で対応を取ることにより、適切に1枚の画像上の各点(高さの異なる計測面の各点)における各レーザ光毎の位相を求め、それらを組み合わせるようにしている。
ところが、上記複数のレーザ光源からの観測光と参照光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系には、その反射光導入口部(筒状部)における計測対象物の計測面との対向角の相違により、また同反射光導入口部の中心軸部分とその外周側部分とでは光路内への入射量(入射光束量)に相違があるために(例えば中心軸部分が100%と仮定すると、周辺部では70〜80%に減少する)、どうしても撮像された干渉画像にも所定レベルの明るさの変化が生じる(中央部付近が明るく、周辺に行くほど暗くなる)。
そして、このような明るさの変化があると、それに応じて、例えば図14の(a)の波形Aで示すように、基準サイン波の周期が変化して同基準サイン波が次第に傾き(明るさ変化がないと仮定した時の基準サイン波Bと対比)、上記計測面の高さに応じた明るさ変化に対応した位相の計測に誤差を生じ、それら位相の組み合わせに基いて計算される計測面の高さにも誤差が生じる。
そこで、このような問題を解消するために、この実施の形態における画像解析手段では、まず図14の(a)のサイン波Aに示すような干渉画像上の全体的な明るさの変化(図14の(a)におけるサイン波Aは、図2の濃淡パターンを示す明るさが次第に暗くなっていく状態を示している)を、例えば2次曲線Y=ax2+bx+cに近似させることによって、その傾きを把握する。
次に図14の(b)に示すように、同2次曲線の傾きが水平(ゼロ)になるように補正すると同時に、上記明るさの変化の中央位置(ピーク部)とピーク値Pとを合わせる(これにより周期に加えてピーク値も合わせて補正される)。そして、それを正規の基準サイン波Cとする。そして、その上で図14の(c)に示すように、上記図14の(a)のサイン波Aで示される実際に計測された明るさ変化のパターンを同基準サイン波Cと比較し、同サイン波Aの実際の明るさ変化が当該基準サイン波Cの明るさと等しくなる点の位相(例えばθ1,θ2を参照)をその点の位相とすることによって、干渉画像上の干渉縞各点の位相とする。
なお、この場合、上記基準サイン波Cを、上述のように1周期(0°〜360°)のサイン波の形で修正する場合に限らず、例えば図15および図16に示すように半周期(0°〜180°)の形で修正することもできる。
その場合、例えば元の明るさ変化の影響を受けた明るさ変化データ(干渉縞の濃淡パターンを示す明るさの変化値:輝度変化値)が、例えば図14の(a)のサイン波Aの底辺部を示す図15中の丸印でプロットしたようなノイズを伴う荒れた変化であった場合、適正な明るさ変化の最大値、最小値は分らない。そこで、その時の適正な明るさの最大値および最小値を求めるために、計測した輝度データ列の極値近傍の点の明るさデータを基に、例えば最小2乗法を用いて雑音(ノイズ)成分等を除去した例えば滑らかな2次曲線(又はサインカーブ・・・角印でプロット)を得る。
そして、その上で、例えばサブピクセル精度で同2次曲線の極値位置を計算し、それら極値位置の間をサイン波で結んで基準サイン波Cを生成し、実際に計測された明るさ変化のパターンのサイン波Aを同基準サイン波Cと比較し、サイン波Aで示される実際の明るさの変化が基準サイン波Cの明るさと等しくなる点の位相(例えばθ1,θ2)をその点の位相とすることによって、干渉画像上の干渉縞各点の位相となるようにしてもよい。
以上のようにすると、可能な限り光学系の明るさ変化の影響を避けた適正な高さの計測が可能となる。
また、このような構成による場合、使用されるサイン波が或る程度変形されたサイン波でも良くなることから、計測対象としての計測面が平面で段差を有するようなものだけに限らず、微小な曲面を含むような場合にも対応できるようになる。
なお、以上において、サイン波の極値位置を計算するに際し、サイン波の負サイクル側(底部側)で計算するようにしたが、これは正サイクル側(頂部側)で行っても良いことはもちろんである。ただ明るすぎてコントラストが出にくい正サイクル側ピーク部分よりも、相対的に暗くてコントラストが出やすい負サイクル側ピーク部分の方がデータを入手しやすいメリットがある。
〔その他の実施の形態および変形例〕
(1) 光源について
以上の各実施の形態における説明では、観測光と参照光を含む複数の波長の光を発生する光源(光発生手段)の例として、それぞれレーザ光源を使用したが、これは、例えば所定の波長の発光ダイオード(LED)又は白色光源からの光を狭帯域フィルタを介して所定の波長の光に絞り込んだ発光装置などに変更することも可能である。
(2) 適用対象について
上記微小な計測対象物体や同物体の微小な計測対象面の所定の位置間の段差寸法(高さ寸法)や3次元形状、例えば半導体や液晶ディスプレーの製造ライン、マイクロマシンなどの製造ラインにおけるナノメータレベルでのパターン間の段差寸法や微小な機構部分の高さなどを光学的に計測する計測対象の具体的な例として、例えば次のようなものをあげることができる。
・液晶ガラス基板検査装置(想定する段差:3〜10ミクロン程度)
・形状転写樹脂金型としてのナノインプリント装置(想定する段差:0.1〜1ミクロン程度)
・マイクロ流路(想定する段差:10〜100ミクロン程度)
・バイオチップ(想定する段差:10〜100ミクロン程度)
もちろん、本願発明の適用対象は、決して、これらに限定されるものではなく、これらに類する各種のものを計測対象として適用することができる。
L1〜L3は第1〜第3のレーザ光発光手段、B1〜B5は第1〜第5のビームスプリッター、C1〜C3は第1〜第3のCCDカメラ、F1〜F3は第1〜第3の光学フィルタ、RMは参照光ミラー、STはナノメータステージ、Dは計測対象物、dは計測面、LS,LS1〜LS4はラインセンサーである。

Claims (3)

  1. 観測光と参照光を含む複数の波長の光を発生する光発生手段と、該光発生手段からの観測光と参照光を計測対象物の計測面を介して干渉可能な状態で撮像手段に導く光学系と、上記観測光と参照光とを干渉させて計測対象物の計測面の2次元干渉画像を撮像する撮像手段と、上記計測対象物の計測面の高さ毎の各光の位相の理論的組み合わせを記録した位相−高さ変換テーブルと、該位相−高さ変換テーブルを利用して上記計測対象物の計測面の微小高さを求める画像解析プログラムを有する画像解析手段とを備えるとともに、上記撮像手段を上記計測対象物の計測面に対して相対的に所定の傾斜角を持たせて設置することにより、上記撮像された2次元干渉画像に濃淡表示される干渉縞を生じさせ、該干渉縞の濃淡の変化パターンを観測することにより、上記計測対象物の計測面の微小高さを計測するようにしてなる光学的計測装置において、上記計測対象物を一定の方向に移動させる計測対象物移動手段を設けるとともに、上記撮像手段がラインセンサーであって、上記撮像された2次元干渉画像に計測方向と直交する方向の干渉縞が形成されるように、その光軸を上記計測対象物の計測面に対して所定の方向に相対的に所定角傾斜させて設置することにより、上記計測対象物が移動する状態において計測面の微小高さ等を計測するように構成したことを特徴とする光学的計測装置。
  2. 画像解析手段は、2次元干渉画像に光学系の構造に起因する明るさの変化がある場合、同明るさの変化を曲線に近似化し、該曲線により基準サイン波の周期を補正するようになっていることを特徴とする請求項記載の光学的計測装置。
  3. 画像解析手段は、明るさの最大値および最小値を取る極値位置を計算し、それらの間をサイン波で結んで基準サイン波とし、実際の明るさ値を同基準サイン波と比較することにより、明るさ変化の位相を求めるようになっていることを特徴とする請求項1又は2記載の光学的計測装置。
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