直噴ディーゼルエンジンは、燃料噴射ノズル部(以下、ノズル部という)からピストン頂面部に設けられた凹状の燃焼室内に燃料を直接噴射する方式のディーゼルエンジンである。直噴ディーゼルエンジンでは、ノズル部がインジェクタと共に、シリンダヘッドに直接固定されている。
図18に示すように、このノズル部80は、噴射された燃料噴霧Fsとシリンダヘッド81の下面との干渉を避け、かつ、燃料が燃焼室82内に噴射されるように、ノズル部80の噴孔がシリンダヘッド81の下面から一定量daだけ突き出るように取り付けられている。この噴孔は、噴射される燃料の流線同士が一定の角度(噴射角度)βを形成するように穿孔されている。
ピストン83はクランクシャフトの回転に伴いシリンダ内を上下する。燃料は、ピストン83が上死点近傍にあるタイミングを狙って燃焼室82に噴射される。したがって、図19示すように、燃焼室82に向けて噴射された燃料噴霧Fsが燃焼室82の壁面に衝突する位置はピストン83の上下位置によって変化する。符号dbは燃料噴射期間中のピストン83の動き幅を示している。燃料噴射期間中にピストン83が動く分、燃焼室82に燃料噴霧Fsが当たる位置は符号dcで示すように変化する。燃料噴霧Fsが燃焼室82に当たる位置は、ピストン83が上死点にあるとき最も下になる。
ディーゼルエンジンにおいて燃料と空気との混合は噴射された燃料の持つエネルギーの強さと周囲の空気流動の強さに依るところが大きいので、シリンダ内に噴射された燃料は、空気が最も存在し、かつ、強い空気流動が得られる燃焼室内に全量噴射されることが望ましい。なお、燃料の一部が燃焼室の外に噴射される場合、特に排気ガス中の煤が増加することが知られている。
ところで、ノズル部の突出し量は、ノズル部から噴射された燃料が燃焼室に当たる位置を決める重要な要素の一つである。ノズル部の突出し量は、主に、燃焼室形状、インジェクタの噴射角(各噴霧の垂直方向に対する幅、ベータ角)等の諸元値を元に出力、排気ガス、燃費、耐久の各性能を満足するように決められる。
また、近年、排気ガス規制値は極めて厳しくなると同時に温暖化ガスである二酸化炭素(CO2)の削減(低燃費化)の要求を満たすため、エンジンの回転速度や燃料負荷に応じて燃料の最適な噴射時期の選定が極めて重要な要素となっている。その結果、要求される燃料噴射時期の範囲が拡大している。
例えば軽負荷域において低燃費と低エミッション燃焼を実現するために広く形成されている予混合圧縮着火(Premixed Compression Ignition:以下、PCIという)燃焼での燃料噴射時期は、圧縮上死点前のクランク角度で30°〜20°であり、PCI燃焼を行えない従来の燃焼領域(中負荷以上の領域、以下、通常燃焼領域という)では窒素酸化物の生成を抑制するために圧縮上死点前数度〜圧縮上死点後10°以上であるので、全域を通しての燃料噴射時期は圧縮上死点前30°〜圧縮上死点後10°以上と幅広い範囲に拡大している。図20に、小型ディーゼルエンジンでの燃料噴射時期の範囲と、その間のピストンの変位量の一例を示す。例示したエンジンのストロークは100mmである。エンジンの全運転領域(回転領域、燃料負荷領域)において燃料噴射時期が上死点前30°から上死点後10°の範囲まで設定されている。この間にピストンは概ね8mm変位する。なお、符号Puは圧縮上死点位置を示し、符号Taは燃料噴射時期の範囲を示し、符号deはピストンの移動距離を示している。
ここで、ノズル部の突出し量が固定されている場合、燃料噴霧が燃焼室において衝突する位置は、エンジン回転速度、燃焼噴射開始時期(噴射時期)、噴射圧等により常に一定の関係となっている。
しかし、ノズル部の突出し量が、ある領域での性能を満足するように設定された場合、他の領域では必ずしも最適な設定であるとは限らない。
また、図21に示すように、ノズル部の突出し量を大きく設定(固定)した場合(図21の左側)、燃料噴射時期が圧縮上死点近傍の場合、ノズル部から噴射された燃料噴霧Fsは燃焼室82の底に近い位置に当たることになり、その結果、燃料拡散が不均一になり、空気との混合も良好に成されず、排ガス性能が低下する、という問題がある。
逆に、ノズル部の突出し量を少なく設定(固定)した場合(図21の右側)、噴射期間が長い、または、燃料噴射時期が圧縮上死点から離れると、ノズル部から噴射された燃料噴霧Fsが燃焼室82内に入る機会が減少し、燃焼室82内での空気流動を有効に使えず、燃料噴霧Fsと空気との混合も良好に成されず、排ガス性能が低下する、という問題がある。
排ガス対策として、上記のPCI燃焼などのように燃料噴射時期を従来以上に大幅に進角したり、NOx低減のため遅角量を大きく設定したりなど、燃料噴射時期の設定が広範囲になってきている。その場合、上記のように燃料噴霧が燃焼室から外れるとスモークや炭化水素(HC)の排出量が増大する問題がある。または、燃料噴霧を燃焼室内に入れるため、排ガス改善範囲および量が制限される問題がある。
ここで、図22および図23に、実機で得た同一噴射時期における突出し量とスモークおよび燃費率の関係を示す。運転条件は、低回転側が1300rpm/250Nm、高回転側が2460rpm/450Nmでそれぞれの条件においてノズル部の突出し量を0mm(突出し量:小)、+2mm(突出し量:大)としている。
この図22から、低回転側では突出し量2mmに対して、0mmの小さい方が、スモーク排出が低く、逆に高回転側では突き出し量2mmの大きい方が、0mmに対してスモーク排出が低くなっており、運転条件の違いで突出し量の最適値が存在することが分かる。
また、図23から、燃費においても、同様に低回転側では突出し量の小さい方が有利、高回転側では突出し量は大きい方が有利となる。以上からノズル部の突出し量を可変とすることで、排ガスや燃費などの更なる向上が可能であることが分かる。
ノズル部の突出し量を変える技術としては、エンジンの運転状態(回転速度)に応じて、ノズル部の突出し量をカム機構により調整する技術(例えば特許文献1参照)やエンジンの負荷に応じて、ノズル部の突出し量を油圧により調整する技術(例えば特許文献2参照)などが開示されている。
しかしながら、特許文献1,2においては、ノズル部の突出し時期および位置(量)を燃料噴射時期に要求される適切な時期および位置(量)に高い精度で設定する上で充分とは言えず、如何に精度を高めるか、という課題がある。
また、特許文献1においては、ノズル部の突出し用駆動部にカム機構を用いているので、燃料噴射装置が大型化する課題がある。一方、特許文献2においては、ノズル部の突出し用駆動部に油圧を用いるので特許文献1よりは小型化できるものの、ノズル部の突出し用駆動部を燃料噴射装置本体の外部に設けているので、充分に小型化されているとは言えず、如何に小型化するか、という課題が残されている。
その他の問題点として、ノズル部の突出し量を大きくすると、ノズル部の先端が燃焼熱を受け温度(ノズル部の被熱温度)が上昇し、ある設定温度以上で長時間運転を行うとノズル部の先端が軟化する場合がある。
図24は通常状態のノズル部80の要部拡大断面図を示し、図25は図24の場合の燃料噴射のための駆動電圧、ニードルリフト量および燃料噴射率の状態を示している。ノズル部80内には、噴孔の開閉を行うニードル84が上下動可能な状態で収容されている。これに対して、図26はノズル部80の先端が燃焼熱を受けた場合のノズル部80の要部拡大断面図を示し、図27は図26の場合の燃料噴射のための駆動電圧、ニードルリフト量および燃料噴射率の状態を示している。
ノズル部80の先端が軟化すると、ニードル84の着座面において摩耗が生じ、ニードル84がノズル部80の内壁に沈み込む(図26の符号Ra、図27の符号NL)。この沈み込んだ量だけニードルリフト時に無噴射期間が生じる。その結果、制御指示値で与えられる噴射パルスに対して噴射開始時間が遅れ、実噴射量が減少する(図27の符号Rb)。この噴射量の減少は特にマルチ噴射時の微小噴射量に大きく影響を及ぼし、排ガス、燃費、燃焼音等の諸性能が大きく低下する不具合が発生する。このことからノズル部の被熱温度を低減する必要があり、そのためには、高回転高負荷域などの燃焼温が高くなる領域において、ノズル部80の突出し量はできるだけ小さくすることが望まれる。
以下、本発明の実施の形態の内燃機関について添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に第1の実施の形態の内燃機関の要部の構成を示し、図2に図1の内燃機関の要部断面図を示す。なお、図1の符号Aeは排気ガスを示し、符号Aiは吸気ガスを示し、符号Fは燃料を示し、符号Sは信号を示し、矢印はその流れを示している。また、図1の破線は配線を示している。
第1の実施の形態の内燃機関は、例えばトラックのような自動車に搭載される直列4気筒のコモンレール式のディーゼルエンジン(以下、エンジンという)1として構成され、エンジン本体(内燃機関本体)2と、吸気マニホールド3と、排気マニホールド4と、過給機5と、インタークーラ6と、排気後処理装置7と、燃料噴射システム8と、ECU(Engine Control Unit:制御部)9とを有している。
エンジン本体2は、例えば4個のシリンダ10を備えており、各シリンダ10内のピストン11の頂面の燃焼室12内において圧縮され高温になった空気に燃料を供給して自己着火させ、この自己着火による燃焼で生じる膨張ガスによりシリンダ10内のピストン11を駆動する構成を有している。
ピストン11は、その軸心Cをシリンダ10の軸心Cに設計上一致させ、シリンダ10内において往復運動が可能な状態で設置されている。このピストン11の頂面中央には、上記した燃焼室12が凹設されている。特に限定されないが、燃焼室12の底面中央には、上方に隆起する凸部が形成されており、燃焼室12の深さが中央に向かって次第に浅くなるように形成されている。
また、このピストン11の下部は、コネクティングロッド(図示せず)を通じてクランクシャフト(図示せず)に接続されており、ピストン11の往復運動がクランクシャフトにより回転運動に変換される。クランクシャフトの近傍には、エンジン回転速度を検出する回転速度センサ13が設置されている。回転速度センサ13は、ECU9に電気的に接続されており、検出情報を電気信号に変換してECU9に送信するようになっている。
各シリンダ10内の燃焼室12は、各シリンダ10の吸気口14aの吸気用のバルブ15aを介して吸気管16aに接続され、これを通じて図1に示した吸気マニホールド3に接続されている。吸気マニホールド3は吸気管16bを通じてインタークーラ6に接続され、これを介してさらに吸気管16cを通じて過給機5のコンプレッサ5aの出口に接続されている。
一方、各シリンダ10の燃焼室12は、図2に示した各シリンダ10の排気口14bの排気用のバルブ15bを介して排気管17aに接続され、これを通じて図1に示した排気マニホールド4に接続されている。この排気マニホールド4は、排気管17bを通じて過給機5のタービン5bの入口に接続されている。
過給機5は、互いに一体的に形成されたコンプレッサ(圧縮機)5aおよびタービン5bを有している。過給機5のタービン5bの出口は排気管17cを通じて、エンジン本体2で浄化しきれなかった排気ガスを浄化する排気後処理装置7に接続されている。
燃料噴射システム8は、インジェクタ(燃料噴射装置)20と、コモンレール(蓄圧室)21と、高圧サプライポンプ(圧力調整ポンプ)22と、燃料タンク(燃料供給源)23とを有している。
インジェクタ20は、燃料を各燃焼室12内に直接噴射する装置であり、各シリンダ10に1個ずつ配置されている。各インジェクタ20は、図2に示すように、シリンダ10上のシリンダヘッド25において、吸気用および排気用のバルブ14a,14bの間であってピストン11の頂面中央に対向する位置に、インジェクタ20の軸心Cをシリンダ10およびピストン11の軸心Cに設計上一致させた状態で設置されている。
また、各インジェクタ20のノズル部20nは、シリンダヘッド25の下面(燃焼室12の天井面)から突出されている。第1の実施の形態のインジェクタ20においては、後述するように、ノズル部20nが軸心Cに沿って上下に移動可能な構造になっており、これによりノズル部20nの突出し量(シリンダヘッド25の下面から突き出すノズル部20nの長さ)を調整することが可能な構造になっている。
このノズル部20nには、複数の微細な噴孔が形成されており、その複数の微細な噴孔から燃料が放射状に同時に噴射される。このノズル部20nの各噴孔から噴射される燃料の噴射軸FCは、上記した軸心Cに対して予め設定された噴射角度θだけ傾くように設定されている。この噴射角度θは、燃料が燃料噴射期間の全期間に亘って燃焼室12内に収まる角度に設定されている。
各インジェクタ20の燃料流入口には、図1に示す配管26aを通じて介してコモンレール21の燃料流出口が接続されている。また、各インジェクタ20の燃料流出口には、配管26bを通じて燃料タンク23の燃料流入口に接続されている。また、各インジェクタ20は、ECU9に電気的に接続されており、燃料噴射動作がECU9によって制御される。
コモンレール21は、高圧サプライポンプ22で高圧にされ、配管26cを通じて供給された高圧燃料を蓄える部分である。このコモンレール21は、プレッシャーリミッタ27を介して配管26bに接続され、さらにこれを通じて燃料タンク23の燃料流入口に接続されている。また、コモンレール21には、コモンレール21内の燃料圧力を検出する圧力センサ28が設置されている。圧力センサ28は、ECU9に電気的に接続されており、検出情報を電気信号に変換してECU9に送信するようになっている。
高圧サプライポンプ22は、燃料タンク23からフィルタ29を介して供給された燃料を、燃焼室12内に噴射するのに適した圧力まで高める圧力調整ポンプである。高圧サプライポンプ22の電磁バルブは、ECU9に電気的に接続されており、燃料の圧力調整が制御される。
ECU9は、コモンレール21内の燃料圧力を圧力センサ28によりモニタし、目標圧力になるように高圧サプライポンプ22の電磁バルブを制御する。燃料圧力が異常に上昇した場合は、燃料をプレッシャーリミッタ27により燃料タンク23に戻す。
また、ECU9は、例えばアクセル30のアクセル開度センサ31で検出されたアクセル開度と、上記した回転速度センサ13で検出されたエンジン回転速度とから燃料の噴射時期と噴射量を決める。そして、ECU9は、各インジェクタ20を制御することにより、高圧サプライポンプ22で高圧にされコモンレール21内に蓄えられた高圧燃料を各インジェクタ20から各燃焼室12内にタイミング良く適切な噴射量で噴射する。
次に、図3に、第1の実施の形態のインジェクタ20の燃料噴射前(ノズル部20n:閉止、ノズル引き込み状態)の要部拡大断面図を示す。
インジェクタ20は、インジェクタ本体(燃料噴射装置本体)35に供給された燃料をノズル部20nからエンジン1の燃焼室12内に噴射する燃料噴射機構と、ノズル部20nの燃焼室12内側への突出し量を調整するノズル突出量調整機構とを各々の構成の一部を共有させた状態で備えている。このため、インジェクタ20にノズル突出量調整機構を設けたからといってインジェクタ20が大型になることもない。
また、インジェクタ20を制御するECU9は、エンジン1のエンジン回転速度および負荷に応じて、インジェクタ20のノズル突出量調整機構を制御することによりノズル部20nの燃焼室12内側への突出し量を調整する。これにより、エンジン1の運転中に、ノズル部20nの突出し時期および位置を、燃料噴射時期に要求される適切な時期および位置に、より高い精度で設定することができる。したがって、小型で高性能な燃料噴射が可能なインジェクタ20を提供することができる。以下、インジェクタ20の各構成を詳細に説明する。
インジェクタ20は、インジェクタ本体35と、これを収容するアウターケース(筐体)36とを有している。インジェクタ本体35は、その外周がアウターケース36の内周に接した状態で軸心Cに沿って図3の上下方向に移動可能なようにアウターケース36内に収容されている。
インジェクタ本体35の上面とアウターケース36の内側天井面との間には、アウターケース36の内側天井面から軸心Cに沿って下方に延びるストッパ36aが形成されている。このストッパ36aは、ノズル部20nの引き込み量(位置)の上限を決めるための突部である。
また、インジェクタ本体35の上面とアウターケース36の内側天井面との間には、ストッパ36aを取り囲むように、ノズル突出し用のスプリング37aが設置されている。このスプリング37aにより、インジェクタ本体35はノズル部20nが外部に突出す方向に付勢されている。
インジェクタ本体35の底面中心(軸心C上)には上記したノズル部20nが一体的に形成されている。このノズル部20nは、アウターケース36の底面中心(軸心C上)に形成された開口部38を通じてアウターケース36の外部に突出されている。
アウターケース36の底面とシリンダヘッド25との間には、シリンダヘッド25とノズル部20nとの間のガス漏れを防ぐためのノズルパッキン39が設置されている。ノズル部20nの設定突出し量は、ノズルパッキン39の厚さおよびストッパ36aによって引き込み側の初期値(突出し量の初期値)を設定し、ストッパ36bによってストローク量を調整することによって設定されている。第1の実施の形態のインジェクタ20のノズル部20nの設定突出し量は、初期の突出し量(最も引き込んだ状態)から、ストローク量だけ突き出た2段階とされている。
また、インジェクタ20の側面には、上記した燃料流入口40aおよび燃料流出口40bがアウターケース36の内外を連通するように開口形成されている。この燃料流入口40aは、図1に示したコモンレール21に接続され、燃料流出口40bは、図1に示した燃料タンク23の燃料流入口に接続されている。
このようなインジェクタ20において、インジェクタ本体35には、駆動室41と、連通孔42と、油圧制御室43と、ニードル室44とが軸心Cに沿って図3の上から順に形成されているとともに、インジェクタ本体35の底面とアウターケース36の内側底面との間には、ノズルリフト用の油圧室45が形成されている。
駆動室41と油圧制御室43とは、これらよりも小径の連通孔42を通じて互いに接続されており、この駆動室41、連通孔42および油圧制御室43で形成される空間には、コマンドピストン46が軸心Cに沿って図3の上下方向に移動可能な状態で収容されている。このコマンドピストン46は、燃料噴射機構とノズル突出量調整機構とで共通する構成であり、受圧部46aと、バルブ(弁体)46bと、これらを接続する連結部46cとを一体的に有している。受圧部46aおよびバルブ46bは、連結部46cおよび連通孔42よりも大径とされている。
駆動室41は、コマンドピストン46の受圧部46aにより第1、第2駆動室41a,41bに分かれている。第1駆動室41aには、例えば圧電素子で構成されるピエゾアクチュエータ部(駆動部)47が収容されている。このピエゾアクチュエータ部47は、ピエゾ圧電効果(逆圧電効果)を応用した位置決め機能を持ち、予め設定した移動量でバルブ46bを移動できる駆動装置である。ピエゾアクチュエータ部47は、燃料噴射機構とノズル突出量調整機構とで共通する構成である。
また、ピエゾアクチュエータ部47は、フランジ48を介してコネクターボディ49に電気的に接続され、さらにこれを通じてECU9に電気的に接続されており、ECU9により目的の燃料噴射量およびノズル部20nの突出量を得るための指示値を与えられ駆動するようになっている。このようなピエゾアクチュエータ部47を用いることにより、ソレノイドを用いたアクチュエータよりも位置精度、応答性、エネルギー効率および耐摩耗性を向上させることができる。
一方、駆動室41の第2駆動室41bには、スプリング37bが設置されている。このスプリング37bにより、コマンドピストン46の受圧部46aはピエゾアクチュエータ部47側に付勢され、コマンドピストン46のバルブ46bは連通孔42を閉止する方向に付勢されている。スプリング37bも燃料噴射機構とノズル突出量調整機構とで共通する構成である。
また、第2駆動室41bは、その側面からアウターケース36の燃料流出口40bに達する燃料出口流路51aを通じて燃料流出口40bに接続されている。燃料流出口40bは、インジェクタ本体35内の燃料を外部に流出するための出口であり、インジェクタ本体35が上下動しても、インジェクタ本体35内の燃料出口流路51aとの接続(連通)が維持されるように燃料出口流路51aよりも大径とされている。これにより、インジェクタ本体35の移動位置にかかわらず、燃料流出口40bと燃料出口流路51aとの接続がなされ、燃料の流出が可能になっている。
また、第2駆動室41bは、その底面中心(軸心C上)から油圧制御室43に達する連通孔42を通じて油圧制御室43に直接接続されている。油圧制御室43は、その側面からアウターケース36の燃料流入口40aに達する燃料入口流路51bを通じて燃料流入口40aに接続されている。燃料流入口40aは、燃料をインジェクタ本体35内に流入するための入口であり、インジェクタ本体35が上下動しても、インジェクタ本体35内の燃料入口流路51bとの接続(連通)が維持されるように燃料入口流路51bよりも大径とされている。これにより、インジェクタ本体35の移動位置にかかわらず、燃料流出口40aと燃料入口流路51bとの接続がなされ、燃料の流入が可能になっている。なお、駆動室41、連通孔42、油圧制御室43、燃料出口流路51a、燃料入口流路51bは、燃料噴射機構およびノズル突出量調整機構に共有の部屋および流路である。
また、油圧制御室43は、燃料流路51cを通じて、アウターケース36の側部内に形成されたノズルリフト用流路(燃料流路)51dに接続されている。燃料経路51cは、油圧制御室42の底面中心(軸心C上)から軸心Cに沿って下方に延在し、途中で軸心Cに交差する方向に延在してノズルリフト用流路51dに接続されている。この燃料流路51cにおいて軸心Cに沿う箇所には、ノズルリフト用のオリフィス52aが設置されている。
ノズルリフト用流路51dにおいて、燃料流路51cとの接続部位の径は、インジェクタ本体35が移動しても、燃料流路51cとの接続(連通)が維持されるように燃料経路51cよりも大径とされている。これにより、インジェクタ本体35の移動位置にかかわらず、ノズルリフト用流路51dと燃料流路51cとの接続が維持されるようになっている。
ノズルリフト用流路51dは、上記したノズルリフト用の油圧室45に接続されている。すなわち、油圧制御室43は、燃料流路51cおよびノズルリフト用流路51dを通じてノズルリフト用の油圧室45に接続されている。
ノズルリフト用の油圧室45には、アウターケース36の内側底面から軸心Cに沿って上方に延びるストッパ36bが形成されている。このストッパ36bは、ノズル部20nの突出し量(位置)の上限を決めるとともに、インジェクタ本体35が下方に移動してもノズルリフト用の油圧室45を確保するための突部である。なお、燃料流路51c、ノズルリフト用流路51d、ノズルリフト用の油圧室45は、スプリング37aはノズル突出量調整機構を構成する部分である。
次に、ニードル室44は、断面T字状に形成され、その下部が上記したノズル部20nの先端内部まで延びている。ニードル室44には、断面T字状のニードル53が軸心Cに沿って図3の上下方向に移動可能な状態で収容されている。ニードル53は、燃料噴射機構を構成する部分であり、受圧部53aとバルブ53bとを一体的に有している。そして、ニードル室44は、ニードル53の受圧部53aにより燃料噴射室44aと背圧室44bとに分かれている。
さらに燃料噴射室44aは、大径室44a1と、その下部に連通する小径室44a2とを有している。大径室44a1は、その側面から燃料入口流路51bに達する燃料流路51eを通じて燃料入口流路51bに接続されている。燃料入口流路51bにおいて燃料流路51eの接続位置と油圧制御室43との間には、制御室入口用のオリフィス52bが設置されている。
燃料噴射室44aの小径室44a2は、ノズル部20nの最先端内部に形成されている。この小径室44a2の径は、ニードル53のバルブ53bの底面の径よりも小さい。また、この小径室44a2は、上記した複数の噴孔54を通じて外部と接続されている。噴孔54は、小径室44a2の側面から軸心Cに対して傾斜した状態で外部まで延在している。燃料噴射室44a内に供給された燃料は、その噴孔54を通じて外部に噴射される。
一方、背圧室44bは、燃料流路51fを通じて油圧制御室43に接続されている。燃料流路51fは、背圧室44bの上面中心(軸心C上)から軸心Cに沿って上方に延在し、途中で軸心Cに交差する方向に延在し、さらに途中で軸心Cに沿って延在して油圧制御室43の底面の燃料入口流路51bの接続位置の近傍に接続されている。
また、背圧室44bには、スプリング37cが設置されている。このスプリング37cにより、ニードル53は、そのバルブ53bの先端で小径室44a2を塞ぐ方向に付勢されている。なお、ニードル室44、燃料流路51e,51f、噴孔54およびスプリング37cは、燃料噴射機構を構成する部分である。
このようなインジェクタ20のインジェクタ本体35とアウターケース36との間には高圧燃料が漏れ出ないように金属Oリング55によりシールされている。図3では、例として、燃料入口流路51bの上下、ピエゾアクチュエータ部47およびノズル部20nに金属Oリング55を設置し、それぞれ高燃料圧力時に燃料漏れ無いようにされている。
次に、インジェクタ20の燃料噴射動作およびノズル突出動作について図4〜図10を参照しながら説明する。
図4は、燃料噴射前のインジェクタ20の状態を示している。ここでは、ピエゾアクチュエータに負の駆動電圧を印加することにより、ピエゾアクチュエータ部47を収縮する。コマンドピストン46のバルブ46bは、油圧制御室43にかかるコモンレール21で設定された燃圧と同等の圧力と、コマンドピストン戻し用のスプリング37bとによって、油圧制御室43の上方に押し付けられている。このため、連通孔42はバルブ46bにより閉止されている。
ニードル53のバルブ53b下部には、燃料噴射用の燃料流路51eを通じて流れてきた燃料Fによりコモンレール21で設定された燃料圧力がかかる。一方、ニードル53の受圧部53aにも燃料流路51fを通じて背圧室44bに流れてきた燃料Fによる燃料圧力がかかるとともに、スプリング37cによる付勢力が合わさり、ニードル53が下方に押し付けられる。これにより、ニードル53の上昇が押さえられ、燃料Fは噴射されない。
この時、インジェクタ本体35は、ノズルリフト用流路51dを通じてノズルリフ用の油圧室45に流れてきた燃料Fの燃料圧力により、上方にリフトし、ノズル部20nは引き込み側に設定される。
次に、図5は、ノズル部20nはリフトさせずに(突き出さないで)燃料を噴射するときの状態を示している。また、図6は、図5の場合における、ピエゾアクチュエータ部47に印加した駆動電圧、ピエゾアクチュエータ部47の伸縮量、コマンドピストン46の変位量、ノズル部20n(インジェクタ本体35)のリフト量、ニードル53のリフト量および燃料噴射率を示している。
ここでは、インジェクタ20のピエゾアクチュエータ部47に正の駆動電圧を印加する(図6のS1は噴射開始信号を示し、S2は噴射停止信号を示す)。これにより、ピエゾアクチュエータ部47が最大限に伸長する(図6のLam)。このため、コマンドピストン46はスプリング37bの付勢力に抗して最大限に下降する(図6のLpm)。その結果、コマンドピストン46は下方に押し付けられ、燃料流路51cを遮断する。
この時、油圧制御室43の上方の出口(連通孔42)が開放され、油圧制御室43内の燃料Fが連通孔42および燃料出口流路51aを通じて燃料流出口40bに流れる。ここで、油圧制御室43の入口のオリフィス52bにより油圧制御室43および背圧室44bの圧力が燃料流路51e内の圧力よりも先に減圧される結果、ニードル53は圧力バランスから上方に移動する。これにより、大径室44a1と小径室44a2とが連通し、噴孔54から燃料Fが噴射される。
ノズルリフト用の油圧室45にかかる燃料圧力は、オリフィス52aによって油圧制御室43よりも圧力の低下が遅れるため、維持され、そのときのインジェクタ本体35のリフトも維持される(減圧はしない。すなわち、ノズル部20nは変位しない)。
次に、図7は、ノズル部20nをリフトさせて(突出して)燃料を噴射するときの状態を示している。また、図8は、図7の場合における、ピエゾアクチュエータ部47に印加した駆動電圧、ピエゾアクチュエータ部47の伸縮量、コマンドピストン46の変位量、ノズル部20n(インジェクタ本体35)のリフト量、ニードル53のリフト量および燃料噴射率を示している。
ここでは、インジェクタ20のピエゾアクチュエータ部47に、図5で説明したノズル部20nをリフトさせない時の場合よりも低い正の駆動電圧を印加する。この場合、ピエゾアクチュエータ部47の伸縮量は最大量よりも小さくなり(図8の符号La)、コマンドピストン46のバルブ46bの変位量も最大量よりも小さくなり(図8の符号Lp)、バルブ46bは油圧制御室43の中間位置(軸心Cに沿う方向の中間位置)で停止する。これにより、ノズルリフト用流路51cは開放され、ノズルリフト用の油圧室45の圧力が低下する結果、ノズル突出し用のスプリング37aの付勢力によりインジェクタ本体35が下方に移動し、ノズル部20nの先端が燃焼室12側に突き出る方向に移動する。燃料噴射については図5で説明したのと同じである。したがって、ノズル部20nが突き出た状態で、噴孔54から燃料Fが噴射される。
次に、図9は、ノズル部20nをリフトしたまま、燃料噴射を停止した直後の状態を示している。
ここでは、ピエゾアクチュエータ部47に、マイナスの印加電圧を印加すると、ピエゾアクチュエータ部47は収縮し、コマンドピストン戻し用のスプリング37bの付勢力によりコマンドピストン46が上昇する。これにより、油圧制御室43の出口(連通孔42)がコマンドピストン46のバルブ46bにより閉じる。
油圧制御室43には、コモンレール21で設定された燃料圧力がかかり、内圧が上昇する。その時、オリフィスの無いノズルニードル押し付け用の燃料流路51fを介して背圧室44bに圧力がかかるとともに、背圧室44b内のスプリング37cの付勢力が合わさって、ニードル53を押し下げ、燃料Fの噴射が終了する。
次に、図10は、ノズル部20nをリフトさせず燃料噴射を停止した状態を示している。
ここでは、オリフィス52aにより噴射終了動作に少し遅れて、ノズルリフト用流路51dを介してノズルリフト用の油圧室45の圧力が上昇することにより、インジェクタ本体35が押し上げられる。その結果、ノズル部20nの先端が燃焼室12内から遠ざかる方向に移動し、ノズル部20nの突出し量が減少する。
次に、ノズル部20nの突き出し量の切り換え制御方法について図11〜図15を参照しながら説明する。
ノズル部20nの突出し量の切り換えは、ピエゾアクチュエータ部47に印加する駆動電圧量を、エンジン回転速度と燃料噴射量とで与えられる三次元マップに基づいて調整すれば良い。
図11は、ノズル部20nの突出し量切り換えマップを示している。また、図12および図13は図11の各領域RH,RLにおいてピエゾアクチュエータ部47に印加する駆動電圧波形を示している。
例えば図11において、低回転低中負荷域(斜線の下の領域RL)では、排気ガス低減のためノズル部20nを突き出す要求があるので、ピエゾアクチュエータ部47の伸長量を小さくするため、図12に示すように、ピエゾアクチュエータ部47に印加する駆動電圧を低くして、ノズル部20nの突出し量を大きくする。すなわち、低中負荷域におけるノズル20nの突出し量を最適化することによって排ガスおよび燃費等の性能を向上させることができる。
一方、図11において、高回転高負荷領域(斜線の領域RH)では、燃焼温度が高くなるので、ノズル部20nの被熱温度を低下させるために、図13に示すように、ピエゾアクチュエータ部47に印加する駆動電圧を高くして、ノズル部20nの突出し量を小さくする。これにより、ノズル部20nの被熱温度を低減することができるので、インジェクタ20の耐久信頼性を向上させることができる。
また、ピエゾアクチュエータ部47の伸縮を駆動電圧量で行う代わりに、印加電圧は変えずに同一にして、通電回数を制御量としてピエゾアクチュエータ部47を伸縮させても良い。
図14および図15は、ピエゾアクチュエータ部47への通電回数とピエゾアクチュエータ部47のストローク量との関係を示している。図14は通電回数が1回の場合を示し、図15は通電回数が2回の場合を示している。通電回数が多いほど、ピエゾアクチュエータ部47の伸縮量が大きくなる。
したがって、上記のノズル切り換えマップにおける駆動電圧を通電回数に置き換え制御することも可能である。
さらに、ノズル部20nの突出し量は、コマンドピストン46が燃料流路51cを閉塞するまでの時間に依存し、その時間は、ピエゾアクチュエータ部47の伸縮時間による。そこで、ノズル部20nの突出し量を調整するには、例えばピエゾアクチュエータ部47を上記のように複数回作動させ、その作動間のインターバルを調整することにより、コマンドピストン46が燃料流路51cを閉塞するまでの時間を調整でき、ノズル部20nの突出し量を無段階に制御することができる。
このように第1の実施の形態のエンジン1のインジェクタ20によれば、ノズル20nの突出し量をエンジンの運転状態(回転速度および負荷)によって要求される適切な位置に変更することにより、燃料噴射期間中の燃料噴霧を燃焼室12内に当て易くすることができる。このため、燃料噴霧の拡散を促進でき、かつ、燃焼室12内の空気流動を有効に使い燃料と空気との混合を良化することができるので、排ガス、燃費、出力の各性能を向上させることができる。
また、全負荷域など燃焼温度の高い運転領域などでは、ノズル部20nの突出し量を小さくすることにより、ノズル部20nの被熱温度を低減でき、ノズル部20nのニードル53の着座面における磨耗量を低減できるので、インジェクタ20の耐久信頼性を向上させることができる。
また、燃料噴射機構とノズル突出量調整機構との各々の構成の一部を共通化するとともに、これらの機構部を同じ燃料の圧力調整により駆動する構成として、ノズル突出量調整機構をインジェクタ20内に組み込むことにより、ノズル突出量調整機構を持つインジェクタ20を小型にすることができる。
また、ノズル突出量調整機構をインジェクタ20内に組み込むことにより、インジェクタ20の外観を従来のインジェクタと同様にできるので、インジェクタ20の設置および取り付け方法等も従来のインジェクタと同様に行うことができ、また、シリンダヘッド25やヘッドカバー等のインジェクタ取り付けに関する部分の設計変更も最小限にできる。
また、ノズル20nの突出し量の調整駆動源としてピエゾアクチュエータ部47を用いたことにより、ソレノイドアクチュエータを用いた場合よりも、ノズル部20nの突出し量の設定精度、突出し動作の応答性を向上させることができる。したがって、上記した排ガス、燃費、出力の各性能およびインジェクタ20の耐久信頼性をさらに向上させることができる。
また、ノズル20nの突出し量の調整駆動源としてピエゾアクチュエータ部47を用いたことにより、ソレノイドアクチュエータを用いた場合よりも、小型軽量化することができる。
第2の実施の形態
図16は、第2の実施の形態のエンジン1のインジェクタ20の要部拡大断面図であって、ノズル部20の突出し量の初期値を大の状態にしてから小の状態にする(引き込む)場合(ノズル部20:閉止、ノズルリフト突き出し)を示している。
前記第1の実施の形態では、インジェクタ20のノズルリフト用の油圧室45が、ノズル部20n側に形成されているため、油圧室45に高圧が印加された際に、油圧室45内の燃料が燃焼室12に漏れる可能性がある。
そこで、第2の実施の形態においては、ノズルリフト用の油圧室45を、インジェクタ本体35の長手方向の長さ分だけ燃焼室12から離れた位置に設けた。すなわち、ノズルリフト用の油圧室45を、インジェクタ本体35の上面とアウターケース36の内側天井面との間に設けた。
この場合、インジェクタ本体35の下面とアウターケース36の内側底面との間には、インジェクタ本体35のノズル部20nを燃焼室12から遠ざける方向に付勢するスプリング37dが設置されている。
また、この場合、初期のノズル部20nの位置は突出し方向に設定し、ノズルリフト用の油圧室45の圧力を抜くことによりノズル部20nを燃焼室12から遠ざかる方向に引き込ませる。
このような第2の実施の形態のインジェクタ20によれば、ノズルリフト用の油圧室45の燃料が燃焼室12に漏れ出る可能性を低減することができる。これ以外は、前記第1の実施の形態で説明した構成および効果と同じである。
第3の実施の形態
図17は、第3の実施の形態のエンジン1のインジェクタ20の要部拡大断面図を示している。
エンジン/実車の開発の場において、インジェクタのノズル部の突出し量を変更する場合、通常、ノズル部とシリンダヘッドとの間のガス漏れをシールしているノズルパッキンの厚さを変更して行う。その際、条件変更毎にインジェクタを外す必要があり、それは工数の増大を伴う。それを回避するためには、インジェクタを外さずにノズル部の突出し量を変更できる機構を如何にして提供するかが課題となる。
そこで、第3の実施の形態のエンジン1のインジェクタ20においては、前記第1の実施の形態のストッパ36a(図3参照)を、ネジ機構部58に置き換えている。ネジ機構部58は、軸心Cを中心にしてネジを回転することで、ネジ機構部58を軸心Cに沿う方向(図17の上下方向)に移動することが可能になっている。すなわち、ネジ機構部58のネジの回転微調整により、ノズル部20nの設定突出し量を微調整することが可能となっている。この場合、ノズル部20の突出し量は、ネジの回転角にて置き換えることができる。
このような第3の実施の形態のインジェクタ20によれば、インジェクタ20をシリンダヘッド25に取り付けた後でも、インジェクタ20を取り出す作業をすることなく、外部からノズル部20nの設定突出し量を容易に変更することができる。このため、エンジン1の開発工数を削減できるので、エンジン1の開発期間を短縮することができる。これ以外は、前記第1の実施の形態で説明した構成および効果と同じである。