JP5463776B2 - 車両内装品の表皮材 - Google Patents

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Description

本発明は、車両内装品の通電可能な表皮材に関する。
この種の表皮材として特許文献1に記載の織物が公知である。この織物は、導電糸(導電線材の一例)と非導電糸を製織してなる織物であり、導電糸に電力を供給可能な通電手段を有する。通電手段は、電源部材に電気的に接続可能な部材であり、帯状の基板と、基板上に設けた導電性の薄板を備える。
そして公知技術では、複数の導電糸を、例えば織物の緯糸方向に並列配置する。つぎに一対の通電手段を織物両側に配置したのち、被覆テープにて織物の経糸方向に沿って固定する。こうすることで複数の導電糸を、一対の通電手段によって電気的に並列につなげることができる。
ここで公知の織物は、例えば車両用シート(車両内装品の一例)の表皮材として使用することができる。そしてこの種の表皮材は、複数の表皮ピースを縫合してなる袋状部材であることが多い。
そこで特許文献1の織物にて、略矩形状の表皮ピース(着座部形状に対応の表皮ピース)を形成したのち、一対の通電手段を、表皮ピースの末端部よりも内側に配置する。そして表皮ピースの末端部を、他の表皮ピースの末端部に縫合して袋状の表皮材を形成して、シート外形をなすクッション材に被覆する。このとき表皮ピースの一面が着座部となるとともに、他面側(着座部の裏面側)に一対の通電手段が配置する。
そして表皮ピースを通電状態として、表皮ピース(着座部)の導電糸を発熱させることにより、表皮材をヒータとして機能させることができる。
特開2007−227384号公報
しかし公知技術のように、違和感の原因となる通電手段を着座部裏面に配設する構成は、表皮材の着座性等(特性)を考慮すると、すんなり採用できる構成ではなかった。
また公知技術では、一対の通電手段間(加熱帯)の導電糸に通電することで、表皮ピースを発熱させる構成である。このため加熱帯から外れる部分は発熱させることができず、表皮材の発熱面積が狭くなりがちであった(ヒータとしての性能に若干劣る構成であった)。
本発明は上述の点に鑑みて創案されたものであり、本発明が解決しようとする課題は、表皮材の特性に悪影響を極力及ぼすことなく、通電手段を表皮材に性能良く取付けることにある。
上記課題を解決するための手段として、第1発明の表皮材は、通電可能な導電線材と、導電線材に電力を供給可能な通電手段とを有するとともに、複数の表皮ピースを結合してなる車両内装品の表皮材である。
そして本発明では、上述の表皮材が、複数の表皮ピースとしての第一表皮ピースと第二表皮ピースを有するとともに、第一表皮ピースの一部又は全部が導電線材にて構成される。そして通電手段によって導電線材を通電状態とすることにより、上述の表皮材を、例えば静電容量式センサの電極やヒータとして使用することができる。
この種の構成では、表皮材の特性に悪影響を極力及ぼすことなく、通電手段を表皮材に性能良く取付けることが望ましい。
そこで本発明では、第一表皮ピース末端部と第二表皮ピース末端部を対面状に結合して結合部を形成するとともに、この結合部を、表皮材の一面(例えば着座面)とは異なる他面側に突出配置する。そして上述の通電手段を結合部に取付けて、結合部から露出の導電線材と通電手段を電気的につなげる構成とした。
本発明では、他面側に突出した結合部に通電手段を配設することで、表皮材一面(例えば着座面)の着座性等を好適に維持することができる。また本発明では、一対の通電手段を、例えば対向配置する二つの末端部に各々配設することで、両末端部の間(比較的広い範囲)の導電線材を通電状態とすることができる。
また発明の車両内装品の表皮材は、上述の通電手段が、第1糸と第2糸とからなる織物である支持部材と、通電可能な線状の導線を有する。そして支持部材が、第1糸の配索方向に長尺な帯状部材である。
そこで本発明では、複数の導線を、第1糸方向(例えば経糸方向)に向かって直線状に配索されるように、支持部材に対して並列して取付ける(通電手段を極力コンパクト化する)構成とした。
発明の車両内装品の表皮材は、第発明の車両内装品の表皮材であって、上述の支持部材が、複数の導線を並列配置可能な導電部と、結合部に取付け可能な被取付け部を有する。そして本発明では、被取付け部が、導電部よりも強靭である(例えば、より強靭な組織構成を有する、導線よりも伸度の高い糸にて構成される)ことから、通電手段を結合部に安定的に取付けることができる。
発明の車両内装品の表皮材は、第発明または第発明の車両内装品の表皮材であって、上述の通電手段が、導電線材に導線を押付け可能な押付手段を有することで、導電線材に対する電気的な接続性の良い構成とされる。
発明の表皮材の製造方法は、第発明〜第発明のいずれかに記載された車両内装品の表皮材の製造方法である。そして本発明では、下記の第一工程〜第三工程によって、通電手段と電源部材の電気的接続を比較的容易に行える構成とした。
第一工程:第1糸と第2糸で通電手段を作製するに際して、第1糸方向に導線を配置するとともに、通電手段の端部側を第1糸のみで作製する。
第二工程:レーザなどの除去手段によって、通電手段の端部側を除去して導線を露出させる。このとき端部を第1糸のみで構成したことで、比較的容易に端部側を除去(例えば第1糸としての経糸を途中で切断するだけで除去)することができる。
第三工程:端部側から露出した導線を収束して、電源部材に接続可能な接続部を形成する。このとき余分な第1糸(例えば絶縁性の経糸)を予め除去したことで、導線のみで接続部を形成することができる。
本発明に係る第1発明によれば、表皮材の特性に悪影響を極力及ぼすことなく、通電手段を表皮材に性能良く取付けることができる。また第発明によれば、通電手段を表皮材にさらに収納性良く取付けることができる。また第発明によれば、通電手段の取付け安定性を向上させることができる。また第発明によれば、通電手段と導電線材を接続性良く電気的につなげることができる。そして第発明によれば、通電手段と電源部材を接続性良く電気的につなげることができる。
車両用シートの斜視図である。 表皮材裏面の一部透視正面図である。 通電手段の正面図である。 (a)は、通電手段の縦断面図であり、(b)は、押付手段と通電手段を示した縦断面図であり、(c)は、別例の押付手段と通電手段を示した縦断面図であり、(d)は、さらに別例の押付手段と通電手段を示した縦断面図である。 通電手段の組織図であり、(a)は、導電部の組織構成の一例であり、(b)は、被取付け部の組織構成の一例であり、(c)は、導電部の組織構成の他例である。 第一表皮ピース側部(裏面)の正面図である。 第一表皮ピース側部の縦断面図である。 通電手段の製造方法を示す図であり、(a)は、通電手段の正面図であり、(b)は、通電手段一部を切断した状態を示した正面図であり、(c)は、接続部を形成した通電手段と電極一部を示した正面図である。 表皮材一部の縦断面図である。 別例の表皮材一部の縦断面図である。
以下、本発明を実施するための形態を、図1〜図10を参照して説明する。各図では、便宜上、一部の導電線材にのみ符号を付すことがある。
また各図には、適宜、車両用シート前方に符号F、車両用シート後方に符号B、車両用シート側方に符号L、車両用シート上方に符号UP、車両用シート下方に符号DWを付すこととする。
図1の車両用シート2は、シートクッション4とシートバック6とヘッドレスト8を有する。これら部材は、各々、シート外形をなすクッション材(4P,6P,8P、図示省略)と、クッション材を被覆する表皮材(4S,6S,8S)を有する。
そして本実施形態では、シートクッション4の表皮材4Sが、後述の導電線材20と通電手段18を有して、静電容量式センサの電極又はヒータとして機能する(図2を参照)。この種の構成では、通電手段18を表皮材4Sに収納性良く取付けることが望まれる。
そこで本実施形態では、後述する構成によって、表皮材4Sの特性に悪影響を極力及ぼすことなく、通電手段18を表皮材4Sに収納性良く取付けることとした。
[表皮材]
表皮材4Sは、複数の表皮ピース(例えば第一表皮ピース40fと第二表皮ピース40s)を結合して作製された袋状部材であり、後述の結合部CPを有する(図2及び図9を参照)。
第一表皮ピース40fは、座面形状に対応する略矩形(正面視)の部材であり、基本構成(表材12、パッド材14、裏基布16)を有する。また第二表皮ピース40sは、第一表皮ピース40fと結合可能な形状を有するとともに、その基本構成が、第一表皮ピース40fの基本構成と略同一である。
そして本実施形態では、第一表皮ピース40fの表材12が、後述の導電線材20及び通電手段18を有して、通電可能な構成とされる。そこで本実施形態では、専ら第一表皮ピース40fを一例として、その構成を説明する。
(導電線材)
導電線材20は、通電可能な導電性の線材であり、典型的に比抵抗(体積抵抗率とも呼ぶ)が100〜10-12Ω・cmである。この導電線材20を表材12に取付けることで、表材12自体を、静電容量式センサの電極やヒータとして用いることができる。
ここで「比抵抗(体積抵抗率)」とは、どのような材料が電気を通しにくいかを比較するために用いられる物性値であり、例えば「JIS K−7194」に準拠して測定することができる。
導電線材20として、金属や合金などの導電糸、炭素繊維のフィラメント、炭素繊維のカバリング糸及びメッキ線材を例示できる。メッキ線材は、非導電性又は導電性の線材(芯糸)と、金属又は合金のメッキ層を有する。
また炭素繊維とは、ポリアクリロニトリル系炭素繊維(PAN系炭素繊維)やピッチ系炭素繊維である。なかでも焼成温度1000℃以上の炭素繊維(炭素化繊維、黒鉛化繊維、黒鉛繊維)のフィラメントは良好な電気伝導性を有するため、本実施形態の導電線材20として好適に使用できる。
また炭素繊維のカバリング糸は、炭素繊維からなる芯糸(例えば複数の炭素繊維のフィラメントからなる束)と、この芯糸に撚り合された鞘糸(後述の他の線材)を有することが好ましい。芯糸中の炭素繊維の本数(フィラメント数)は特に限定しないが、典型的には2本以上の複数であることが望ましい。
そして炭素繊維の芯糸を鞘糸でカバリングすることで、着座時の応力(繊維軸に対する垂直方向のせん断力や圧縮力)が特定の炭素繊維に集中することを防止又は低減できる。このように導電線材20の耐久性を向上させることで、着座時の押圧や摩擦による断線を防止又は低減できる。
(他の線材)
他の線材(材質)として、植物系及び動物系の天然繊維、熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂からなる化学繊維及びこれらの混繊糸を例示できる。他の線材は、上記材質の線状部材であればよく、紡績糸、フィラメント、延伸糸又は伸縮加工糸(仮撚加工糸や座屈糸)を例示することができる。
なお天然繊維では、綿、麻又は羊毛が風合いに優れるため、表材12の構成として用いることが好ましい。また化学繊維では、ポリエステル繊維(例えばポリエチレンテレフタレートのフィラメント)やナイロン繊維は耐久性と風合いと強度に優れるため、表材12の構成として用いることが好ましい。
なお他の線材の繊度(D1)は特に限定しないが、例えば30〜3000dtex程度の他の線材を使用することができる(図4を参照)。
そして他の線材は、導電線材20や導線30(後述)よりも燃焼又は溶融しやすい線材であることが望ましい。すなわち他の線材は、導電線材20や導線30よりも低融点の線材であるか、又は限界酸素指数(LOI)が26未満の線材であることが望ましい。
ここで限界酸素指数(LOI)とは、絶縁繊維などの線材が燃焼を持続するために必要な最小酸素量から求めた酸素濃度の指数(O2%)である。この限界酸素指数(LOI)は、「JIS K 7201 高分子材料の酸素指数燃焼試験方法」や、「JIS L 1091(1999) 8.5E−2法(酸素指数法試験)」に準拠して測定できる。
(表材)
表材12は、表皮材4Sの着座側(表面側)を構成する部材である(図2及び図9を参照)。第一表皮ピース40fの表材12は、導電線材20を取付けた布材(織物、編物、不織布又は皮革)であり、第二表皮ピース40sの表材12は、例えば他の線材からなる布材である。
なお表材12は、平織物、斜文織物又は朱子織物等のいかなる構成の織物でもよく、経編、丸編又は横編等のいかなる構成の編物でもよい。そして表材12は、いかなる繊維(原料)、いかなるウェブ形成技術、いかなるウェブ結合技術によって製造した不織布でもよい。
導電線材20の取付け方法として下記の手法を例示することができる。
(1)表材12としての織物緯糸の一部として導電線材20を打ち込む。このとき表材12の表面側への導電線材20の露出を抑えるとともに、表材12の中央(内部)又は裏面側に多くの導電線材20を配置させて取付ける。
(2)表材12の裏面に導電線材20を接着して取付ける。
(1)の手法では、表材12(織物)の製織時に、導電線材20(緯糸)を、複数の経糸21毎に交錯させて打込むことができる。このとき導電線材20をカバリングすることにより導電線材20を曲げても折れにくくなり、ガイドやレピアのヘッドにおける屈曲に耐えられるようになる。
そして(1)の手法によれば、表材12の中央(内部)又は裏面に導電線材20の大部分を配置することで、表材12の表面側(着座側)に導電線材20が極力露出しない構成となる。これにより摩擦や摩耗に対して導電線材20の耐久性が極めて高くなる。
(2)の手法では、表材12の裏面に導電線材20を接着して取付けることができる。そして(2)の手法によれば、表材12の裏面に導電線材20の全部を配置することで、表材12の表面(意匠面)に導電線材20が露出しない構成となる。
なお表材12には、単数の導電線材20を配置してもよいが、好ましくは複数の導電線材20を平行に配置する(図2を参照)。例えば表材12にヒータ機能を持たせる場合、導電線材20同士の間隔寸法を1mm〜60mmに設定することができる。
また表材12にセンサ(電極)機能を持たせる場合、導電線材20同士の間隔寸法を60mmの範囲内に設定することが望ましい。導電線材20同士の間隔寸法が60mmを超えると、表材12のセンサ機能が悪化(静電容量が低下)して電極として機能しないおそれがある。好ましくは導電線材20の間隔寸法の上限値を30mmとすることで、表材12がより好適なセンサ機能(静電容量)を備える。
(パッド材及び裏基布)
第一表皮ピース40f及び第二表皮ピース40sは、いずれもパッド材14と裏基布16を有することが好ましい。
ここでパッド材14は、柔軟性を備える多孔性の部材であり、好ましくはクッション材よりも柔軟な部材である。このパッド材14として、例えば含気率の高いウレタンパッドや、軟質ウレタンフォームからなるスラブウレタンフォームを用いることができる。
また裏基布16は、表皮材4Sの裏側(着座側とは異なる側)を構成する部材であり、例えば織編物、不織布、樹脂フィルム(例えばDOW社製のポリオレフィンフィルム(DAF780))にて構成することができる。
[表皮ピースの作製]
本実施形態では、上述の表材12とパッド材14と裏基布16をこの順で積層して接合することで、第一表皮ピース40fの原反(平面状)を形成する。接合手段は特に限定しないが、ラミネート加工(溶着)、縫着及び接着などの手法を例示できる。また第一表皮ピース40fは、その裏面側(裏基布16側)に、適宜バッキングを施す(樹脂層を形成する)ことができる。
そして第一表皮ピース40fの原反を略矩形状(座面形状)にカットしたのち、通電手段18(後述)を表材12に取付けることで第一表皮ピース40fを形成する。原反をカットする手法は特に限定しないが、例えば後述の除去手段を使用することができる。
(通電手段)
通電手段18は、導電線材20と電源部材9を電気的につなげる部材であり、複数の導線30と、支持部材32と、押付手段34を備える(図3及び図4を参照)。本実施形態の通電手段18は、他の線材(21,22)と導線30を有する帯状部材である(図5を参照)。
そして通電手段18によって導電線材20に電力を供給することで、第一表皮ピース40f(表皮材4S)を、センサの電極又はヒータとして機能させることができる。
(導線)
導線30は、導電性を有する線状部材であり、導電線材20よりも比抵抗が低いことが好ましい(図4を参照)。導線30の電気抵抗を導電線材20よりも低くすることで、通電時における通電手段18の発熱を防止又は低減することができる。
ここで導線30の比抵抗は、導電線材20の比抵抗によって適宜設定することができる。典型的には、導線30の比抵抗の範囲を1.4〜15×10-8Ω・mに設定することで、通電時における通電手段18の発熱を防止又は低減することができる。
導線30(材質)として、金、銀、銅、黄銅、白金、鉄、鋼、亜鉛、錫、ニッケル、アルミニウム及びタングステンを例示できる。なかでも銅製の導線30(銅線)は、作製しやすく安価であることから、本実施形態の導線30として好適に使用できる。
また導線30に、上記材質のメッキ層を形成することができる。メッキ層を導線30に形成することで、導電線材20との接触抵抗を低減できるとともに、導線30の耐腐食性を向上させることができる。なおメッキ層の材質は特に限定しないが、比較的安価である錫や銀のメッキ層を好適に使用することができる。
また他の線材表面にメッキ層を形成してなる線材を、本実施形態の導線30として用いることもできる。
ここで導線30の太さ(D2)は特に限定しないが、例えばφ0.01mm〜φ2.0mmの導線30を使用することができる(図4を参照)。また導線30は単糸で用いてもよく、集束手段によってφ0.05mmの導線30を2〜1000本撚り合わせた撚糸を用いることもできる。
なお集束手段は特に限定しない。集束手段として実撚を用いる場合、撚糸の撚り数は、30〜200回/mであることが好ましい。ここで撚り数が30回/m未満であると、縫製時などに導線30が分解する(隣り合う導線30同士が擦れ合うことで撚糸がバラける)ことがある。そして撚糸の撚り数を50〜150回/m(ピッチ:7〜10mm)に設定することで、縫製時の導線30の分解をより確実に防止又は低減できる。
また油剤や樹脂等の収束剤(集束手段の別例)によって導線30を収束させることもできる。この場合、支持部材32(後述)の製織後などに収束剤を除去することができる。
(支持部材)
支持部材32は、経糸21(第1糸)と、緯糸22(第2糸)と、導線30からなる帯状の織物であり、導電部32Aと、被取付け部32Bを有する(図3〜図5を参照)。そして本実施形態の支持部材32は、経糸21(第1糸)の配索方向に長尺な帯状部材である。
そして本実施形態では、複数の導線30を、経糸方向(第1糸方向)に向かって直線状に配索されるように、後述の導電部32Aに対して並列して取付ける。このように導電部32Aにおいて、複数の導線30を直線状に並列配置することで、導電部32Aの幅寸法(W1)をコンパクト化することができる。
(導電部)
本実施形態の導電部32Aは、支持部材32の経糸方向(第1糸方向)に長尺な帯状部位であり、導電部32Aの経糸(一部又は全部)が導線30にて構成される。
例えば導電部32Aの経糸全部を導線30にて構成することができる(図5(a)を参照)。
ここで導電部32Aの組織構成は特に限定しないが、通電手段18の一面側(結合部CPを臨む側)に導電線材20が多く露出する経糸浮きの多い組織であることが望ましい。例えば図5(a)を参照して、経糸方向に経糸が緯糸3本越えて、緯糸1本くぐる組織で導電部32Aを構成することができる。
また導電部32Aの経糸一部を導線30にて構成することもできる。すなわち導電部32Aの経糸を、経糸21(他の線材)と導線30で構成する(図5(b)を参照)。
このとき経糸21と緯糸22からなる組織構成と、導線30と緯糸22からなる組織構成を同一としてもよく、異ならせることもできる。
例えば導線30と緯糸22の組織構成を上記図5(a)の朱子織り状の組織とするとともに、経糸21と緯糸22の組織構成を平織組織とする(図5(c)を参照)。
平織組織にて導電部32Aを引き締めることで、後述する被取付け部32Bとの地厚感の差を低減する(支持部材32をフラット化する)ことができる。そしてフラットな支持部材32は取扱性に優れるため、結合部CPとの縫合作業をスムーズに行うことができる。
(被取付け部)
被取付け部32Bは、導電部32Aの両側又は片側に配置する帯状部位であり、専ら他の線材にて構成することができる。被取付け部32Bの幅寸法(W2)は特に限定しないが、結合部CPに安定して取付け可能な幅寸法を有することが好ましい(図3、図7、図9を参照)。
また被取付け部32Bは、導電部32Aよりも強靭である(例えば、完全組織中の組織点が多いなどの強靭な組織構成を有する、または導線30よりも伸度の高いPET糸等にて構成される)ことが好ましい。被取付け部32Bを強靭にすることで、通電手段18を結合部CPに安定的に取付けることができる。
そして図5(b)を参照して、被取付け部32Bを、斜文織り状の組織(2/2↑斜文織り組織や3/1↑斜文織り組織等)で構成することができる。この種の斜文織り組織の被取付け部32Bは地厚感があり、可縫性に優れることから、結合部CPに安定的に縫合することができる。
(押付手段)
本実施形態の押付手段34は、弾縮性を有する帯状部材である。押付手段34の材質は特に限定しないが、ウレタンフォームなどの発泡性樹脂、エラストマ、ゴム、嵩高の不織布及び嵩高の織編物を例示することができる(図4(b)を参照)。
そして本実施形態では、押付手段34を導電部32Aの他面側に取付ける。そして通電手段18を押付手段34で弾性支持することで、導電線材20に対して導線30が押付けられる。このように導電線材20に導線30を押付けることで、導電線材20と通電手段18の接続安定性を向上させることができる。
(別例)
また別例の押付手段35として、導電部32Aに嵩高な緯糸22を用いることができる(図4(c)を参照)。
例えば導電部32Aの緯糸22として、通電手段18又は導線30よりも太い(高繊度)の線材を使用することができる。そして押付手段35(嵩高な緯糸22)で通電手段18を弾性的に支持することで、導電線材20に対して導線30を押付けることができる。
なお押付手段としての緯糸22の繊度(D3)は特に限定しないが、例えば1500〜3000dtexであることが望ましい。
更に別例の押付手段35aとして、導線部32Aの緯糸22を、経糸21(他の線材)の上下に配置する構造(二階建て構造)を用いることができる(図4(d)を参照)。そして導線30を、上側の緯糸22と下側の緯糸22の間を上下に交差させることにより、嵩高な二階建て構造によって導線30を弾性的に支持することができる。
そして同構成では、経糸21(他の線材)として、導線30よりも張力の大きい糸(好ましくは2倍以上の張力を有する糸)を用いることが好ましい。さらに経糸21(他の線材)と緯糸22の組織を平織組織として、経糸21(他の線材)の上下に緯糸22を配置させることが好ましい(図5(c)を参照)。そして押付手段35aによって通電手段18を弾性的に支持することで、導電線材20に導線30を好適に押付けることができる。
(通電手段の製造)
通電手段18の製造方法は、下記の第一工程〜第三工程を備えることが好ましい。これら3工程にて通電手段18を製造することにより、通電手段18と電源部材9の電気的接続を比較的容易に行うことができる(図8を参照)。
第一工程:経糸21と緯糸22で支持部材32を作製するに際して、経糸方向に導線30を配置する。このとき支持部材32の端部側における緯糸22の配置数(打ち込み量)を少なく設定するか、または支持部材32の端部側を経糸21のみで形成することができる。
第二工程:レーザなどの除去手段によって、支持部材32の端部側を除去して導線30を露出させる。
第三工程:端部側から露出した導線30を収束して、電源部材9に接続可能な接続部36を形成する。
(第一工程)
第一工程では、織機を用いて支持部材32を作製しつつ、導電部32Aの経糸方向に複数の導線30を配置する。
このとき接続部36(後述)と電源部材9の接続を容易にする観点から、通電手段18の端部側では、緯糸22の配設量を少なく設定することができる。例えば通常の緯糸22の配設量を20本/2.54cmに設定した場合、端部側における緯糸22の配設量を1本/2.54cmに設定することができる。
また電源部材9との接続を更に容易にする観点から、通電手段18の端部側を経糸21のみで作製することができる(図8を参照)。
なお緯糸22の配設量を調節する手段は特に限定しない。例えば電子制御によって、織機のベルト送りローラの速度に緩急をつけることで、緯糸22の配設量(緯糸密度)を所望の値に調整することができる。
なお経糸21と緯糸22として、上述の他の線材を使用することができる。ここで織製準備のし易さや製織のし易さなどを考慮すると、ポリエステルフィラメント糸を経糸21として用いることが好ましい。また生産のし易さや生産性を考慮すると、ポリエステルフィラメント糸を緯糸22として用いることが好ましい。
また織機の種類は特に限定しないが、シャットル織機、レピア織機、エアジェット織機、ウォータージェット織機、ニードル織機を例示することができる。
なかでもニードル織機は、他の線材(21,22)と導線30を混合して織ることに適するため、通電手段18を生産性良く織ることができる。特に細幅用ニードル織機は、帯状(リボン状、テープ状)の通電手段18を生産性良く作製することができる。
(第二工程)
第二工程では、後述の除去手段によって、支持部材32の端部側などの他の線材を除去して導線30を露出させる(図8を参照)。
例えば通電手段18にレーザを照射して、端部側の経糸21を途中で切断して切れ目CTを形成する。このとき経糸21よりも溶融しにくい導線30は、除去手段によって切断されることなくそのままの状態で残存する。そこで切れ目CTから端部を剥き取るなどして、端部側の経糸21を除去して導線30を露出させることができる。また樹脂製の経糸21(ポリエステルフィラメント糸等)の溶断により、経糸21の糸端(切断面)が固化するため、経糸21のほつれを防止又は低減することができる。
除去手段として、支持部材32と物理的に接触可能な除去装置(パンチ機構やハサミ機構等)や、レーザなどの光学的な除去手段を例示できる。
なかでもレーザは正確な温度(出力)制御が可能であり、本実施形態の除去手段として好適に用いることができる。レーザの種類は特に限定しないが、CO2レーザ、YAGレーザ、エキシマレーザ、UVレーザ、半導体レーザ、ファイバレーザ、LDレーザ、LD励起固体レーザを例示できる。なかでも有機物(他の線材)への吸収が高いCO2レーザが好ましい。
そしてレーザの設定出力などを適宜調節することで、導線30を残存させつつ他の線材(経糸21)だけを燃焼又は溶融させて切断することができる。
例えば三菱炭酸ガスレーザ加工機(形式:2512H2、発信機形式名:25SRP、レーザ定格出力:1000W)を除去手段として使用する。このときレーザ加工機の照射条件を、出力15W以上25W未満(周波数200Hz,加工速度1500mm/min)に設定することで、導線30を極力残存させつつ他の線材を燃焼(溶融)させることができる。
(第三工程)
第三工程では、端部側に露出した導線30を収束して、電源部材9(ECU)に接続可能な接続部36を形成する。
このとき余分な経糸21(絶縁性の経糸21)を予め除去したことで、導線30のみで接続部36を形成することができる。なお導線30の収束方法は特に限定しないが、例えば複数の導線30を撚り合わせて一体化する(実撚を用いる)ことができる。
(通電手段の配設)
本実施形態では、第一表皮ピース40fの末端部から他の線材を除去して、導電線材20を露出させる(図2を参照)。
例えば除去手段によって、末端部の他の線材だけを溶融(燃焼)させて、第一表皮ピース40fの両端に切れ目を形成することができる。そして第一表皮ピース40fから側部を剥き取ることにより、導電線材20を露出させる。
次に図6〜図8を参照して、一対の通電手段18を、第一表皮ピース40fの両末端部に各々配置したのち、第一表皮ピース40fに被取付け部32Bを縫着する(縫着線SEW)。これにより通電手段18と導電線材20の相対的な位置関係が好適に維持されて、両者の電気的な接続安定性が向上する。
そして導電部32Aと導電線材20を縫着して、通電手段18と導電線材20を電気的につなげる(縫着線SEW)。このとき通電手段18に押付手段34,35を設けることで、導電線材20と導線30の接続安定性を向上させることができる。
また本実施形態では、図10を参照して、導電線材20を通電手段18で包み込みつつ、末端部に対して通電手段18を略U字状に内折りして縫着固定することができる(縫着線SEW)。
このように通電手段18を、導電線材20の保護部材として使用する。こうすることで導電線材20と他部材(クッション材等)の接触が極力阻止されて、導電線材20の破損や摩耗を防止又は低減することができる。
なお本実施例では、通電手段18を、第一表皮ピース40fの表面側(表材12側)に取付ける例を説明した(図9及び図10を参照)。これとは異なり、通電手段18を、第一表皮ピース40fの裏面側(裏基布16側)に取付けることもできる。
そして第一表皮ピース40f末端部と第二表皮ピース40s末端部を対面状に縫着結合して結合部CPを形成する(図8及び図9の縫着線SEWを参照)。この結合部CPを、表皮材4Sの裏面(他面)側に突出配置する。このとき通電手段18は、第一表皮ピース40f末端部(結合部CP)に縫着されて、結合部CPから露出の導電線材20に電気的につなげられた状態となる。つぎに通電手段18の接続部36を、カシメ部材9cとコネクタ9bによって電源部材9のケーブル端子9aにつなげる。
このように通電手段18を電源部材9(ECU)に電気的につなげて、複数の導電線材20の回路を第一表皮ピース40fに形成することができる。本実施形態では、一対の通電手段18によって、複数の導電線材20の並列回路を形成することにより、比較的低電圧で複数の導電線材20を通電(発熱)させることができる。
そして本実施形態では、一対の通電手段18を、第一表皮ピース40fの対向配置する二つの末端部に各々配設することができる(図2を参照)。こうすることで両末端部の間(比較的広い範囲)の導電線材20を通電状態とすることができる。
以上説明した通り、本実施形態では、通電手段18を、他面側に突出配置の結合部CPに配設することで、表皮材4S一面(例えば着座面)の着座性等を好適に維持することができる。また結合部CPに通電手段18を配置することで、着座動作による衝撃を受けにくくなり(機械的負荷に強くなり)、導線30の断線が防止又は低減される。
そして本実施形態では、複数の導線30を、経糸方向に向かって直線状に配索されるように、支持部材32に対して並列して取付ける(通電手段18を極力コンパクト化する)構成とした。
このため本実施形態によれば、表皮材4Sの特性に悪影響を極力及ぼすことなく、通電手段18を表皮材4Sに収納性良く取付けることができる。
以下、本実施形態を実施例に基づいて説明するが、本発明は実施例に限定されない。
[実施例1]
(第一表皮ピース)
第一表皮ピースの経糸として、先染め(アイボリー)ポリエチレンテレフタレート(PET)の仮撚加工糸(167dtex/2−48フィラメント)を使用した。
第1緯糸(導電線材)として、炭素繊維(東レ社製「トレカ(登録商標)T300−1K−50A」)の芯糸と、ナイロン6の巻き付け糸(22dtex−7フィラメント)を用いた。そして巻き付け糸を芯糸に対して、撚数400T/mのS撚ダブルカバリングを行ったものを第1緯糸(導電線材)とした。
第2緯糸として、先染め(アイボリー)PETの仮撚加工糸(84dtex/2−36フィラメント)を使用した。
そして経糸を整経したのち、ジャガード織機にて第1緯糸と第2緯糸を交互に打ち込む(柄を表現する)中で、第二緯糸38本に1本の周期で第1緯糸(導電線材)を打ち込んだ。このとき経糸8本毎に第1緯糸を打ち込み、経糸8本に1本の割合で第1緯糸を布材表面に配置した。このとき布材の柄を考慮して、経糸の浮き柄同士の間(凹部分)に表側の第1緯糸(導電線材)を配置して、第一表皮ピースの表材を作製した。
つぎに第一表皮ピースの表材に対して、公知の仕上げ加工(起毛、剪毛)を行ったのち、バッキング剤を裏面に付与して乾燥した。バッキング剤として、ブチルアクリレートとアクリロニトリルから合成されたアクリル系ポリマーと難燃剤を主成分とするものを用いた。そしてバッキング剤の付与量は45g/m2とし、乾燥温度は150℃×1minとした。表材の仕上げ密度は、経/緯=141/98本/2.54cmであった。導電線材同士の間隔寸法(W1)は10mmであった。
そして布材の裏面に、ウレタンシートのパッド材(厚み5mm)と、ハーフトリコット(15dtexのナイロン6)の裏基布を配置したのち、フレームラミネーションにより一体化して、第一表皮ピースの原反を作製した。
(通電手段)
本実施例では、下記の手順により帯状の通電手段を作製した。織機として、細幅用ニードル織機NG−3(ヤコブミューラー社製)を用いた。
緯糸として、PETの延伸糸(560dtex−96フィラメント)を使用した。
第1経糸として、PETの仮撚糸(333dtex−72フィラメント)を使用した。
第2経糸(導線)として、錫メッキ層を有する銅線を撚り合わせた線材(φ0.05mm、22フィラメント、50回/m撚り)を使用した。
整経に際して、24本の第2経糸(導線)を中央に配置するとともに、20本の第1経糸を各々両端に配置した。緯糸の打込み本数は21本/2.54cmに設定したが、製織後の実測値では20本/2.54cmとなっていた。
そして本実施例では、図5(a)に示す組織で導電部を作製するとともに、図5(b)に示す組織で一対の被取付け部を作製した。
導電部の幅寸法は15mmであり、厚み寸法は0.52mmであった(厚さの測定方法「JIS L 1096 8.5.1」)。また一対の被取付け部の幅寸法は各々5mmであった。
(押付手段)
本実施例では、支持部材、押付手段、裏基布がこの順で積層された三層構造の通電手段を作製することとした。押付手段として、ウレタンフォーム(イノアックコーポレート社製 軟質ウレタンフォームERG−S 2mm)を使用した。また裏基布として、ハーフトリコット(17dtex、3フィラメントのナイロン6にて編成)を使用した。
そして導電部の他面側に押付手段と裏基布をこの順でラミネートした。
(接続部)
本実施例では、通電手段に、電源部材に接続可能な接続部を形成した。より具体的には、後述のレーザ加工機を用いて、通電手段の一面側の反対面にレーザを照射して第1経糸(PET糸)と緯糸を切断した。このときのレーザの照射条件は、速度1500mm/分、出力20W、Duty7.7%、周波数200Hzとした。
そして通電手段の第1経糸(PET糸)と緯糸は除去手段によって溶融して切断されたが、第2経糸(導線)は切断されることなくそのままの状態で残存した。また通電手段の切断面(溶断面)には、構成糸のほつれがほとんどなかった。そして通電手段から露出した第2経糸(導線)を集束させることにより、電源部材(ECU)に接続可能な接続部を形成した。
(第一表皮ピースと通電手段の接続)
除去手段として、三菱炭酸ガスレーザ加工機(形式:2512H2、発信機形式名:25SRP、レーザ定格出力:1000W)を使用した。そして実施例1の原反にレーザを照射して、シート座面メイン用に、所定寸法の第一表皮ピースを切り出した(図2を参照)。このときのレーザの照射条件は、速度500mm/分、出力30W、Duty7.7%、周波数200Hzとした。
つぎに第一表皮ピース(裏面側)にレーザを照射して、その両側に一対の切れ目を形成した。レーザの照射条件は、速度1500mm/分、出力20W、Duty7.7%、周波数200Hzとした。このときPET糸(他の線材)は除去手段によって溶融して切断されたが、炭素繊維(導電線材)は切断されることなくそのままの状態で残存した。
つぎに第一表皮ピースから端部側を剥き取ることにより、導電線材の側部を露出させた。そして第一表皮ピースの表面に通電手段の被取付け部を縫製したのち、導電線材と導電部を縫製によって密着させて接続した(通電手段を結合部に取付けた)。
[実施例2]
本実施例では、下記の手順により、帯状の通電手段(織物)を作製した。織機として、上記細幅用ニードル織機NG−3を用いた。
緯糸として、PETの延伸糸(560dtex−96フィラメント)を使用した。
第1経糸として、PETの延伸糸(560dtex−96フィラメント)を使用した。
第2経糸(導線)として、錫メッキ層を有する銅線を撚り合わせた線材(φ0.05mm、22フィラメント、50回/m撚り)を使用した。
第3経糸(押付手段(35a))として、PETの延伸糸(1670dtex−144フィラメント)を使用した。
本実施例では、導電部を、24本の第2経糸(導線)と、22本の第3経糸(PET糸)にて作製した。すなわち整経に際して、中央に、2本の第2経糸(導線)と、2本の第3経糸(PET糸)を交互に配置した。また両側に、20本の第1経糸を各々配置した。緯糸の打込み本数は30本/2.54cmに設定したが、製織後の実測値では31本/2.54cmとなっていた。
そして一対の被取付け部を、図5(b)に示す組織で作製した。また導電部では、第2経糸(導線)と緯糸の組織構成と、第3経糸(PET糸)と緯糸の組織構成を異なる組織構成とした。すなわち第2経糸(導線)と緯糸の組織構成を、図5(a)に示す組織とし、第3経糸(押付手段(35a)としてのPET糸)と緯糸の組織構成を、図5(c)に示す組織とした。このとき第2経糸(導線)の張力(50g/本)に対して、第3経糸(PET糸)の張力(150g/本)を高くしたことで、図4(d)に示すように緯糸(22)を、第3経糸(21)を挟んで配置させる(二階建て構造とする)ことができた。
導電部の幅寸法は17mmであり、厚み寸法は0.95mmであった。また一対の被取付け部の幅寸法は各々3mmであった。
そして通電手段の第1経糸及び第3経糸(PET糸)と緯糸を、実施例1と同一の手法によって除去して、第2経糸(導線)を残存させた。このとき通電手段の切断面(溶断面)には、構成糸のほつれがほとんどなかった。そして通電手段から露出した第2経糸(導線)を集束させることにより、電源部材(ECU)に接続可能な接続部を形成した。
[結果及び考察]
実施例1の通電手段は、被取付け部に地厚感があり、第一表皮ピースに対する可縫性に優れていた。また実施例2の通電手段は、支持部材がフラットとなり、取扱性に優れていた。またいずれの通電手段も、複数の導線を直線状に並列したことから、導電部の幅寸法が狭小となり、コンパクトな構成となった。
また実施例1では、押付手段(ウレタンフォームのラミネート)によって導電部に厚みをもたせたことで、導電線材と導線の接続安定性を向上させることができた。また実施例2でも、押付手段(二階建て構造)によって導電部に厚みをもたせたことで、導電線材と導線の接続安定性を向上させることができた。
そして実施例1及び2の通電手段は、第一表皮ピース末端部(結合部)に収納性良く取付けることができた。
このことから実施例1及び2によれば、表皮材の特性に悪影響を極力及ぼすことなく、通電手段を表皮材に性能良く取付けられることがわかった。
本実施形態の車両内装品の表皮材は、上述した実施形態に限定されるものではなく、その他各種の実施形態を取り得る。
(1)本実施形態では、第一表皮ピース40fを着座部に使用する例を説明した。本実施形態の第一表皮ピース40fは、天板メイン部、天板サイド部、かまち部、背裏部、及びヘッドレスト8などの車両用シート2の各種構成の表皮ピースとして使用することができる。
また第一表皮ピース40fは、車両用シート2のほか、天井部、ドア部、ハンドル、コンソールボックスなどの車両内装品の表皮ピースとして使用することができる。
(2)また本実施形態では、第一表皮ピース40fに対して導電線材20を波状に配設した。この導電線材20は、直線状やジグザグ状などの各種状態で表材に配設できる。
(3)また本実施形態では、第一表皮ピース40fに対して、複数の導電線材20をシート幅方向に並列配置する例を説明した。複数の導電線材20の配置関係は特に限定されるものではなく、例えばシート前後方向に並列配置してもよい。この場合には一対の通電手段18をシート前後に配置する。
(4
(5)また本実施形態では、専ら経糸方向に導線30を配置した。導線30は、可能であれば緯糸方向に配置することができる。
(6
(7)また本実施形態では、専らヒータとして機能する表皮材4Sの例を説明した。表皮材4Sは、静電容量式センサの電極として使用することができる。この場合、第一表皮ピース40fの末端部(片側)にのみ単数の通電手段18を取付けることができる。
(8)また本実施例では、各表皮ピースの結合方法と、表皮ピースと通電手段の取付け方法として縫着を例示した。これら各構成の結合方法や取付け方法は、縫着のほかに、接着、融着、リング部材によるホグリング止めなどの各種手法を採用することができる。
2 車両用シート
4 シートクッション
6 シートバック
8 ヘッドレスト
9a ケーブル
9 電源部材
12 表材
14 パッド材
16 裏基布
18 通電手段
20 導電線材
30 導線
32 支持部材
32A 導電部
32B 被取付け部
34 押付手段
35 押付手段(別例)
35a 押付手段(更に別例)
36 接続部
40f 第一表皮ピース
40s 第二表皮ピース
CP 結合部
SEW 縫着線

Claims (4)

  1. 通電可能な導電線材と、前記導電線材に電力を供給可能な通電手段とを有するとともに、複数の表皮ピースを結合してなる車両内装品の表皮材において、
    前記複数の表皮ピースとしての第一表皮ピースと第二表皮ピースを有するとともに、前記第一表皮ピースの一部又は全部が前記導電線材にて構成され、
    前記第一表皮ピース末端部と前記第二表皮ピース末端部を対面状に結合して結合部を形成するとともに、前記結合部を、前記表皮材の一面とは異なる他面側に突出配置し、
    前記通電手段を前記結合部に取付けて、前記結合部から露出の導電線材と前記通電手段を電気的につなげるとともに、
    前記通電手段が、第1糸と第2糸とからなる織物である支持部材と、通電可能な線状の導線を有するとともに、前記支持部材が、前記第1糸の配索方向に長尺な帯状部材であり、
    前記複数の導線を、前記第1糸方向に向かって直線状に配索されるように、前記支持部材に対して並列して取付けた車両内装品の表皮材。
  2. 前記支持部材が、前記複数の導線を並列配置可能な導電部と、前記結合部に取付け可能な被取付け部を有するとともに、前記被取付け部が、前記導電部よりも強靭である請求項1に記載の車両内装品の表皮材。
  3. 前記通電手段が、前記導電線材に前記導線を押付け可能な押付手段を有する請求項1又は請求項2に記載の車両内装品の表皮材。
  4. 請求項1〜請求項3のいずれかに記載された車両内装品の表皮材の製造方法において、
    前記第1糸と前記第2糸で前記通電手段を作製するに際して、前記第1糸方向に前記導線を配置するとともに、前記支持部材の端部側を前記第1糸のみで作製する第一工程と、
    除去手段によって、前記支持部材の端部側を除去して前記導線を露出させる第二工程と、
    前記端部側から露出した前記導線を収束して、電源部材に接続可能な接続部を形成する第三工程とを有する車両内装品の表皮材の製造方法
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