JP5463190B2 - 定数設定装置及び方法並びにプログラム - Google Patents
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Description
例えば、1つの室外機に対する1つの室内機を有するシングル型空気調和機においては、室内機の運転モード、容量、型名、室温などの情報が逐一室外機に伝送され、伝送された情報に基づいて圧縮機の回転数が制御されている。一方、1つの室外機に対して複数の室内機を有し、複数の室内機が任意に発停を繰り返すマルチ型空気調和機においては、室外機と室内機との信号の送受信、初期設定、及び制御アルゴリズム等が非常に複雑であり、圧縮機の回転数の制御も複雑となるという課題があった。また、マルチ型空気調和機においては、室内機と室外機とがそれぞれ対応する機種でなければならず、かつ、空調負荷の増加に伴って室内機を増設した場合には、空気調和システム全体の構成を組み直さなければならないという課題があった。
また、特許文献1には、電子膨張弁による過熱度のステップ応答に基づいて、電子膨張弁のPID制御における比例係数、微分係数、及び積分係数を決定する動作を実行する方法が提案されている。
本発明は、圧縮機を有する少なくとも1台の室外機に対して、複数台の室内機が並列に接続されている空気調和機に適用され、前記圧縮機の圧力制御に係る制御定数を設定する定数設定装置であって、前記圧縮機の目標圧力値の変更に応じて算出される前記制御定数である第1制御定数と、前記室外機に接続された運転中の前記室内機の合計の運転容量に応じて算出される前記制御定数である第2制御定数とを算出する算出手段と、通常時は、前記第2制御定数に基づいて前記圧縮機の回転数を決定する回転数決定手段とを具備する定数設定装置を提供する。
1台の室外機に対して複数台の室内機が並列に接続されるマルチ型空気調和機の場合には、各室内機の空調負荷は、室内機毎の空気条件の負荷変動だけでなく、例えば、他の室内機の個別発停によって生じる室内機全体の運転容量の変化が、負荷変動として存在する。圧縮機の目標圧力値は、基本的には頻繁に変更されるものではないのに対して、室内機の個別発停は比較的頻発する。したがって、室内機の運転容量の変化を「外乱」として取り扱うこととする。本発明では、通常時、圧縮機は、室外機に接続される室内機全体の運転容量に応じて算出される第2制御定数に基づいて制御されるので、上述した外乱を考慮した運転制御ができる。
目標圧力値が変更された場合には、回転数決定手段において決定される圧縮機の回転数が、第1制御定数に基づいて決定されるので、目標圧力の変更に応じた圧縮機制御を行うことができる。
第1制御定数に切り替えられた場合であっても、第1所定期間の経過後に、または圧縮機の圧力値が所定の圧力範囲に到達してから第2所定期間経過後に、第2制御定数に切り替えられるので、圧縮機の回転数の決定に使用する制御定数を、確実に第2制御定数に戻すことができる。
目標圧力値の変更があった場合よりも、室内機の外乱等による負荷変動が生じた場合の方が、圧縮機の制御が過敏に行われるようになっているので、室内機の負荷変動への対応を速やかに行うことができる。
圧縮機の制御対象となる圧力値が、一定期間内に所定の範囲内であるか否かに応じて、制御定数を調整するので、圧縮機の制御を簡便に行うことができる。
圧縮機の圧力が目標に到達するまでの時間が、規定の目標到達時間よりも長い場合には、制御定数の比例ゲインを増加させ、所定の圧力範囲に到達するまでの時間を低減することができる。
このように、到達時間経過以降の一定期間内における制御対象の絶対値の最大圧力値が、所定の圧力範囲を超過している場合には、超過しないように比例ゲインが低減され、所定の圧力範囲を超過していない場合には、超過するまで比例ゲインが増加される。これにより、所定の圧力範囲を逸脱しない範囲で比例ゲインが調整され、圧縮機の制御性に応じた制御定数の調整ができる。
このような構成によれば、空気調和機は、圧縮機の目標圧力値の変更に応じた制御定数として算出された第1制御定数と、室外機に接続された運転中の室内機の合計の運転容量に応じた制御定数として算出された第2制御定数とのうち、通常時は、第2制御定数に基づいて決定される回転数によって圧縮機が運転される。
1台の室外機に対して複数台の室内機が並列に接続されるマルチ型の空気調和機の場合には、各室内機の空調負荷は、室内機毎の空気条件の負荷変動だけでなく、例えば、他の室内機の個別発停によって生じる室内機全体の運転容量の変化が、負荷変動の外乱となる。本発明では、通常時、圧縮機は、室外機に接続される室内機全体の運転容量に応じて算出される第2制御定数に基づいて制御されるので、上述した外乱を考慮した運転制御ができる。
本実施形態において、定数設定装置は、1台の室外機に対して複数の室内機を備えるマルチ型空気調和機の室外機に適用される場合を例に挙げて説明することとする。
図1は、一実施形態に係るマルチ型空気調和機1の構成図である。図1において、マルチ型空気調和機1は、室外機2、及び複数の室内機3a,3bを備えており、室外機2と各室内機3a,3bとは電装線4を介して接続されている。以下、特に明記しない場合には、室内機は室内機3として記載する。また、本実施形態においては、室外機2と接続される室内機3の個数が2個の場合を例に挙げて説明するが、室内機3の個数は特に限定されない。
圧縮機21は、低温低圧の気体冷媒を、高温高圧の気体冷媒に変換して吐出する。圧縮機21の高圧の気体冷媒の吐出側には、吐出される気体冷媒の圧力を計測する高圧圧力センサ22が設けられ、また、圧縮機21の低圧の気体冷媒の吸入側には、吸入される気体冷媒の圧力を計測する低圧圧力センサ23が設けられている。高圧圧力センサ22及び低圧圧力センサ23は、計測した圧力値を室外コントローラ20に出力する。
圧縮機回転数検出器24は、圧縮機21の回転数を検出し、検出値を室外コントローラ20に出力する。
室外コントローラ20は、高圧圧力センサ22、低圧圧力センサ23、圧縮機回転数検出器24、及び計時部25から取得した情報に基づいて圧縮機21の圧力制御に係る制御定数を設定するとともに、設定された制御定数に基づいて決定される圧縮機21の回転数によって圧縮機21を制御する。また、電源投入の初回である場合には、メーカ等であらかじめ規定されている初期設定定数に基づいて圧縮機21の運転が開始される。初期設定定数は、例えば、立ち上がりが遅い等、機器の安全側に設定された設定定数である。
具体的には、室外コントローラ20は、定数設定装置10を備えている。
算出部11は、プロセス応答測定運転(ステップ応答運転)を開始し、圧縮機21の目標圧力値の変更に応じて算出される制御定数である第1制御定数(以下「タイプA定数」という)と、室外機2に接続された運転中の各室内機3a,3bの合計の運転容量に応じて算出される制御定数である第2制御定数(以下「タイプB定数」という)とを算出する。
また、タイプB定数は、タイプA定数を用いて圧力制御する場合よりも速く圧縮機21の圧力を目標圧力値まで変化させる制御定数であることが好ましい。
第1所定条件とは、例えば、サーモオン状態になっている室内機の各機能(EEV(Electronic Expansion Valve:電子膨張弁)開度、ファン回転数指令等)を固定し、サーモオフ状態になっている室内機3及び停止状態になっている室内機3がサーモオン状態に切り替えられることを禁止する。また、第1所定条件では、圧縮機21の回転数をステップ幅Xだけステップ状に変化させ、このとき、制御定数の算出に必要となる計算定数を算出する。
Y0=Ymax−Rmax×Tmax (1)
等価無駄時間L=Y0/Rmax (2)
等価時定数T=Y1/Rmax (3)
また、第2所定条件とは、例えば、サーモオン状態になっている室内機の各機能(EEV(Electronic Expansion Valve:電子膨張弁)開度、ファン回転数指令等)を固定し、サーモオフ状態になっている室内機3及び停止している室内機3がサーモオン状態に切り替えられることを禁止する。また、第2所定条件では、冷暖房の能力を低減させないような運転側(冷房運転時はマイナス側(例えば、−0.01MPa)、暖房運転時はプラス側(+0.3MPa))に目標圧力値を変化させる。
例えば、図4には、圧力の測定値が、時刻T2において目標到達判定ゾーンに到達し、時刻T3以降において圧力の測定値が目標到達判定ゾーンを超過(オーバシュート)し、時刻T4において、圧力の測定値の最大値は圧力値Ymax´となっている様子が示されている。
観測部12は、応答観測運転により目標到達判定ゾーンに到達する到達時間を観測、及び目標到達判定ゾーンを超過した場合の最大値を算出した後、一定期間経過すると応答観測運転を終了し、圧縮機21の目標圧力を元の値に戻す。
具体的には、調整部14は、到達時間経過以降の一定期間内における制御対象の絶対値の最大圧力値が、目標到達判定ゾーンを超過していると判定された場合に、タイプA定数及びタイプB定数の制御定数の比例ゲインGを所定量低減(例えば、−10%)させる。また、調整部14は、圧縮機21の制御対象となる圧力値が、目標到達判定ゾーンに到達しておらず、応答観測運転が終了した場合である状態(目標不到達)である場合には、比例ゲインGを変更(調整)しない。
また、目標到達判定ゾーンに到達するまでの到達時間が、規定の目標到達時間と比較して長い(換言すると、目標到達判定ゾーンまでの収束が遅い)場合には、調整部14は、タイプA定数及びタイプB定数の制御定数の比例ゲインGを大幅に所定量増加(例えば、+20%)させることがより好ましい。このように、比例ゲインGを大幅に増加させる補正を行うことにより、制御定数の調整終了までの時間を短縮させることができる。
このように、調整部14は、目標到達判定ゾーンを逸脱しない範囲の限界まで、圧力の測定値を上昇させる、調整後の制御定数(タイプA定数及びタイプB定数)を回転数決定部16に出力する。
また、切替部15は、タイプA定数に切り替えた後、第1所定期間経過後に、または、圧縮機21の制御対象となる圧力値が目標圧力値を含む所定の圧力範囲(目標到達判定ゾーン)に到達してから第2所定期間経過後に、回転数決定部16において圧縮機21の回転数の決定に使用する制御定数をタイプB定数に切り替える。なお、第1所定期間は、タイプB定数からタイプA定数に切り替えた後に、タイプA定数を使用する期間の満了(タイムアップ)を規定する期間である。また、第2所定期間は、第1所定期間より短い期間として規定する。切替部15は、第1所定期間経過以前であっても、圧縮機21の制御対象となる圧力値が目標到達判定ゾーンに到達してから第2所定期間経過した場合には、タイプA定数からタイプB定数に切り替えるので、外乱を考慮した運転制御に速やかに切り替えることができる。
室内コントローラ31は、室内機3の運転モードに応じて、圧縮機21に対する要求周波数を室外機2に出力する。また、室内コントローラ31は、運転容量を管理するとともに、サーモスタットがオン状態となっている場合に、その運転容量(サーモオン容量)を室外機2に出力する。
圧縮機21が通常圧力制御中において、目標圧力が変更されたか否かが判定される(ステップSB1)。目標圧力が変化する場合とは、例えば、冷房運転時、低外気温を検知した場合には低圧圧力を低めに設定する、または、暖房運転時、不暖を検知した場合には高圧圧力を高めに設定する等の場合である。目標圧力が変更された場合には、切替部15において、圧力制御に使用する制御定数がタイプB定数からタイプA定数に切り替えられ(ステップSB2)、制御定数の情報が回転数決定部16に通知される。
ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
2 室外機
3a,3b 室内機
10 定数設定装置
11 算出部
12 観測部
13 判定部
14 調整部
15 切替部
16 回転数決定部
21 圧縮機
Claims (10)
- 圧縮機を有する少なくとも1台の室外機に対して、複数台の室内機が並列に接続されている空気調和機に適用され、前記圧縮機の圧力制御に係る制御定数を設定する定数設定装置であって、
前記圧縮機の目標圧力値の変更に応じて算出される前記制御定数である第1制御定数と、前記室外機に接続された運転中の前記室内機の合計の運転容量に応じて算出される前記制御定数である第2制御定数とを算出する算出手段と、
通常時は、前記第2制御定数に基づいて前記圧縮機の回転数を決定する回転数決定手段と
を具備する定数設定装置。 - 前記目標圧力値が変更された場合に、前記回転数決定手段において前記圧縮機の回転数の決定に使用する前記制御定数を前記第1制御定数に切り替える切替手段を具備する請求項1に記載の定数設定装置。
- 前記切替手段は、前記第1制御定数に切り替えた後、
第1所定期間経過後に、または、
前記圧縮機の圧力値が、前記目標圧力値を含む所定の圧力範囲に到達してから第2所定期間経過後に、
前記回転数決定手段において前記圧縮機の回転数の決定に使用する前記制御定数を前記第2制御定数に切り替える請求項2に記載の定数設定装置。 - 前記第2制御定数は、第1制御定数を用いて圧力制御する場合よりも速く前記圧縮機の圧力を前記目標圧力値まで変化させる前記制御定数である請求項1から請求項3のいずれかに記載の定数設定装置。
- 前記制御定数は、比例要素の比例ゲイン、積分要素の積分ゲイン、及び微分要素の微分ゲインを含み、前記目標圧力値を所定値までステップ状に変化させた場合に、
前記圧縮機の制御対象となる圧力値が前記所定の圧力範囲に到達するまでの時間である到達時間と、前記到達時間経過以降の一定期間内における制御対象の絶対値の最大圧力値とに応じて、前記制御定数を調整する調整手段を具備する請求項1から請求項4のいずれかに記載の定数設定装置。 - 前記到達時間が、該到達時間の目標となる規定の目標到達時間より長いか否かを判定する判定手段を具備し、
前記調整手段は、
前記判定手段により前記到達時間が、前記目標到達時間より長いと判定された場合に、前記制御定数の前記比例ゲインを増加させる請求項1から請求項5のいずれかに記載の定数設定装置。 - 前記到達時間経過以降の一定期間内における制御対象の絶対値の最大圧力値が、前記所定の圧力範囲を超過しているか否かを判定する判定手段を具備し、
前記調整手段は、
前記判定手段により前記到達時間経過以降の一定期間内における制御対象の最大圧力値が、前記所定の圧力範囲を超過していると判定された場合には、前記制御定数の比例ゲインを低減させ、前記所定の圧力範囲を超過していないと判定された場合には、前記制御定数の比例ゲインを増加させる請求項1から請求項6のいずれかに記載の定数設定装置。 - 請求項1から請求項7のいずれかに記載の定数設定装置を具備する空気調和機。
- 圧縮機を有する少なくとも1台の室外機に対して、複数台の室内機が並列に接続されている空気調和機に適用され、前記圧縮機の圧力制御に係る制御定数を設定する定数設定方法であって、
前記圧縮機の目標圧力値の変更に応じて算出される前記制御定数である第1制御定数と、前記室外機に接続された運転中の前記室内機の合計の運転容量に応じて算出される前記制御定数である第2制御定数とを算出する算出過程と、
通常時は、前記第2制御定数に基づいて前記圧縮機の回転数を決定する回転数決定過程と
を有する定数設定方法。 - 圧縮機を有する少なくとも1台の室外機に対して、複数台の室内機が並列に接続されている空気調和機に適用され、前記圧縮機の圧力制御に係る制御定数を設定する定数設定プログラムであって、
前記圧縮機の目標圧力値の変更に応じて算出される前記制御定数である第1制御定数と、前記室外機に接続された運転中の前記室内機の合計の運転容量に応じて算出される前記制御定数である第2制御定数とを算出する算出処理と、
通常時は、前記第2制御定数に基づいて前記圧縮機の回転数を決定する回転数決定処理と
をコンピュータに実行させるための定数設定プログラム。
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