JP5462098B2 - 気象測定装置 - Google Patents
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Description
降水量は、雨、雪、霰、霙、雹、霧等の降水を水に換算した量であり、より詳細には、特定の時間内に降った雨、雪、霰、霙、雹、霧等の降水が流れ去らずに地表面を覆った時の水の深さや量、重さで測定する。雪等の固形降水の場合は、溶かして水にして測定する。降雨に関しては、気象業務法で貯水型雨量計または転倒枡型雨量計を用いることが規定されている。なお、降水現象の系統的分類については、例えば、図5に示すような分類が知られている(非特許文献1参照)。
受水器で受けた降水を目盛のついた雨量枡に貯め、その目盛を目視することによって雨量を計測する貯水型指示雨量計と、貯水槽に貯めた降水の重さでペンレコーダを駆動して、ゼンマイ等の動力で回転するドラムに巻かれた記録紙に貯水量の時系列データを自動的に記録する貯水型自記雨量計がある。貯水型自記雨量計は、貯水槽に―定量貯まるとその貯水槽内の水を排水する構造となっており、長期間の連統計測が可能である。
口径20cmの受水器に入った雨や雪等の降水を濾水器で受け、2つの枡がシーソーのような構造になっている転倒枡のどちらかの枡に注ぐ。転倒枡の各枡は、例えば降水量0.5mmに相当する降水が枡に貯まると反対側に転倒して枡内の水を排水する。その枡の左右交互の転倒回数を数えることにより降水量を計測する。
レーダー波を用いて降水粒子からの電波の反射を観測することにより、降水分布とその強度を求める観測技術である。上空のレーダー反射因子分布と地上雨量分布を関係付けるキャリブレーションを行った上で、レーダー雨量観測を行うことが知られている(特許文献2参照)。
積雪計とは、自然に降り積もって地表面を覆った雪等の固形降水の深さを測定する機器である。一般に積雪計は、2〜4mの高さにレーザー光や超音波等の送受波器を設置し、送波器から送波したレーザー光や超音波等が雪面で反射して受波器に戻ってくるまでの時間によって、送受波器から雪面までの距離を測定するものである。計測方式としては下記の2種類があるが、気象庁では主に超音波式積雪計を使用している。積雪計に関しては各種の障害が発生している。
光電式積雪計は、送波器から照射されたレーザー光が雪面で反射して受波器に戻ってくるまでの時間を測定することによって、送受波器と雪面までの距離を求めるものである。
超音波式積雪計は、送波器から送波された超音波が雪面で反射して受波器に戻ってくるまでの時間を、温度による音速の補正を行った上で測定することによって、送受波器と雪面までの距離を求めるものである。
視程には、水平方向の見通し距離である水平視程と鉛直方向の見通し距離である鉛直視程がある。視程の計測手段としては、目視式と機械式がある。目視式の場合は、認識が容易な多数の目標物の観測点からの距離を予め計測しておき、実際の測定の際にどの目標物まで目視できるかを判定して、目視できる最も遠い目標物の観測点からの距離をもって視程とする。
(1)測定対象空間の被測定物である雨、雪、霰、霙、雹、霧等に近赤外線を照射して、その反射光で撮像して得られた二次元画像の解析領域を二次元離散フーリエ変換して求めたパワースペクトルと、雨、雪、霰、霙、雹、霧等の被測定物の量(例.降雨量、降雪量、霧の濃度、霰の量等)及び奥行き距離を関係付けることにより、比較的簡単な構成の装置及び操作で、降雨、降雪、霧、霰、視程等の観測を可能とするとともに、低価格でありながら高精度を有し、しかも設置及び管理がし易い。
図1は、本発明に係る気象測定装置1の全体構成を説明する図である。気象測定装置1は、センサ装置2と画像解析装置3とを備えている。センサ装置2と画像解析装置3との間では、伝送手段4により情報伝送が行われる。
本発明の特長とするセンサ装置2の原理をまず説明する。本発明のセンサ装置2は、基本的には、測定対象空間に波長の異なる複数の光を照射し、測定対象空間に存在する雨、雪、霰、霙、雹、霧等の被測定物からの反射光によって、偏光角が異なる複数の偏光フィルタを装着した複数の分光カメラで被測定物を撮像して二次元画像を得るものである。
実施例1の気象測定装置1におけるセンサ装置2は、図2に示すように、第1の光源11、第1の分光カメラ13及び第2の分光カメラ14と、第2の光源12、第3の分光カメラ15及び第4の分光カメラ16と、制御・通信機器17とを備えている。
画像解析装置3は、図3に示すように、CPU25、メモリ26、記憶部27、バス(データ、アドレス)28、入出力インターフェース部29、及び通信インターフェース部30を備えた通常のコンピュータが使用される。
センサ装置2で撮像した、異なる波長及び異なる偏光角の組み合わせの4つの二次元画像の解析領域を、画像解析装置3においてフーリエ変換して得たフーリエパワースペクトル画像情報から総計パワースペクトルを得て、この総計パワースペクトルを、統計的分類手段(手法)を利用して、予め作成された種類識別用教師データと比較し、被測定物の種類を識別し、さらに平均総計パワースペクトルに基づき、予め降水量算出用教師データ作成部38で作成された降水量算出用教師データにより被測定物の降水量を算出することができる。
Rn1は、波長λ1、偏光角θ1で撮像された二次元画像の解析領域の総計パワースペクトル。
Rn2は、波長λ1、偏光角θ2で撮像された二次元画像の解析領域の総計パワースペクトル。
Rn3は、波長λ2、偏光角θ1で撮像された二次元画像の解析領域の総計パワースペクトル。
Rn4は、波長λ2、偏光角θ2で撮像された二次元画像の解析領域の総計パワースペクトル。
(2)平均総計パワースペクトルrn
Rn1、Rn2、Rn3、Rn4の平均値
(3)単位時降水量fn
貯水型雨量計や転倒枡型雨量計等を使用して気象業法に規定されている方法で計測された、実際の降水現象における降水量を計測に要した時間で除した単位時間当たりの降水量
k12 R112、R122、R132、R142
k13 R113、R123、R133、R143
… … … … …
… … … … …
k21 R211、R221、R231、R241
… … … … …
… … … … …
以上の構成からなる本発明の気象測定装置1を利用し、被測定空間における被測定物を測定して種類を識別し、降水量を算出する場合は、次のようなプロセスで行う。図2に示すセンサ装置2を使用して、その第1の分光カメラ13〜第4の分光カメラ16で、それぞれ、2つの波長λ1、λ2のいずれかと2つの偏光フィルタのいずれかを組み合わせた条件で、撮像した合計4つ二次元画像を得る。
原理・全体構成:
本発明に係る気象測定装置は、画像解析装置3に備えられている視程算出手段40を利用して、視程を算出する視程計として用いることが可能である。
y1=x1×tanα
y2=x2×tanα
奥行き距離=y2−y1
教師データの作成:
降雨時の場合を例に挙げて以下に具体的に説明する。図6において、光源(図示せず)を近赤外線とし、第1の分光カメラ51及び第2の分光カメラ52には同じ偏光角の偏光フィルタを装着する。
本発明に係る気象測定装置1で実際の視程算出は、次のように行う。図2に示す気象測定装置1によって、実際の測定対象空間について複数の二次元画像を撮像し、それらの解析領域から、実施例1で説明したように図4に示す被測定物種類識別手段31において、複数の総計パワースペクトルを算出し、これに基づき測定対象空間の被測定物の種類を識別する。
二次元画像の解析領域をフーリエ変換して得られる画像である。
(2)総計パワースペクトル
フーリエパワースペクトル画像情報から抽出したパワースペクトルの総和である。
(3)平均総計パワースペクトル
降水量算出の場合は、異なる波長および異なる偏光角による複数の総計パワースペクトルの平均値で、実際の降水量の算出に使用される。視程算出の場合は、同じ波長および同じ偏光角による2つの総計パワースペクトルの平均値で、視程回帰曲線の作成に使用される。
(4)二次元画像情報
分光画像情報と偏光画像情報からなる情報である。
(5)パターン
被測定物の種類の特徴をあらわす複数の総計パワースペクトルの並びである。
(6)種類識別用教師データ
被測定物の種類毎のパターンの集合を母集団とするデータ群である(母集団はχ二乗分布として表現される)。
(7)単位時降水量
ある瞬間の降水量である。
(8)降水量回帰曲線
平均総計パワースペクトルを代入して単位時降水量を算出するための曲線である。
(9)降水量算出用教師データ
被測定物の種類毎の降水量回帰曲線からなるデータである。
(10)視程回帰曲線
特定の(1種類の)波長および偏光角による総計パワースペクトルを代入して視程を算出するための曲線である(波長および偏光角は、立体計測により視程回帰曲線を作成した時に使用したセンサ装置または分光カメラの波長および偏光角と同じ)。
(11)視程算出用教師データ
被測定物の種類毎の視程回帰曲線からなるデータである。
(12)奥行き距離情報
平均総計パワースペクトルと奥行き距離からなる情報で、視程回帰曲線の作成に使用される。
(13)一般の利用事業者
視程用の立体計測装置や教師データ作成機能付きの画像解析装置は必ずしも有さないが、気象測定装置を備え、気象測定や視程計測を行う事業者である。
(14)開発事業者
視程用の立体計測装置、教師データ作成機能付きの画像解析装置、教師データ作成に特化した画像解析装置等を備え、種類識別用教師データ、降水量算出用教師データ、視程算出用教師データ等の作成等を行う事業者である。
(15)利用施設、ユーザ
気象測定装置で得られた被測定物の種類、降水量、視程等の最終的な算出データを気象測定装置から受けて、それぞれの目的に活用するエンドユーザである。
(16)管理事務所
気象測定装置を利用する会社の管理事務所であり、一般の利用事業者又は開発事業者となる場合もある。
1 気象測定装置
2 センサ装置
3 画像解析装置
3’ 視程算出用教師データ作成機能を備えた画像解析装置
4 伝送手段
5 管理事務所
6 利用施設
7 通信回線
8 一般ユーザ
9 入出力装置(キーボード、表示装置等)
11 第1の光源
12 第2の光源
13 第1の分光カメラ
14 第2の分光カメラ
15 第3の分光カメラ
16 第4の分光カメラ
17 制御・通信機器
18 測定対象空間
19 被測定物
21 第1の偏光フィルタ
22 第2の偏光フィルタ
25 CPU
26 メモリ
27 記憶部
28 バス(データ、アドレス)
29 入出力インターフェース部
30 通信インターフェース部
31 被測定物種類識別手段
32 フーリエ変換部
33 被測定物識別部
34 被測定物量算出手段
35 パワースペクトル平均処理部
36 被測定物降水量算出部
37 種類識別用教師データ作成部
38 降水量算出用教師データ作成部
40 視程算出手段
(実施例2)
41 CPU
42 視程算出用教師データ作成手段
50 視程用の立体計測装置
51 第1の分光カメラ
52 第2の分光カメラ
53 直線軌跡
54 第1の被写体(基準とする測定対象空間)
55 第2の被写体(測定対象である測定対象空間)
56 第1の被写体と第2の被写体を通過する直線
57 第1の被写体から第2の分光カメラに延びる直線
58 第2の被写体から第2の分光カメラに延びる直線
Claims (7)
- センサ装置と画像解析装置とを備え、センサ装置と画像解析装置は、伝送手段によって情報伝送が可能なように接続され、測定対象空間の被測定物の分光且つ偏光した二次元画像を撮像して、二次元画像を画像解析することで、被測定物の種類を識別するとともに量を測定する気象測定装置であって、
センサ装置は、光源と、分光カメラと、偏光フィルタと、制御・通信機器とを備えており、
光源は、近赤外線を測定対象空間に向けて照射するものであり、
分光カメラは、偏光フィルタが装着され、測定対象空間の被測定物で反射された近赤外線のうち、偏光フィルタの偏光角度と同じ角度の近赤外線を透過することで、当該被測定物の二次元画像を撮像し、
制御・通信機器は、光源及び分光カメラの動作を制御するとともに、二次元画像を伝送手段で画像解析装置に送信し、
画像解析装置は、被測定物種類識別手段と、被測定物量算出手段と、記憶部とを備えており、
被測定物種類識別手段は、二次元画像情報に基づき測定対象空間の被測定物の種類を識別するものであり、
被測定物量算出手段は、二次元画像情報に基づき測定対象空間の被測定物の降水量を算出する構成であることを特徴とする被測定物の種類及び量を測定する気象測定装置。 - 被測定物は、雨、雪、霰、霙、雹、霧または霧であることを特徴とする請求項1記載の被測定物の種類及び量を測定する気象測定装置。
- 光源として、互いに異なる波長の近赤外線を照射する複数種の光源が設けられており、
偏光フィルタとして、互いに偏光角が異なる複数種の偏光フィルタが設けられており、
分光カメラとして、互いに異なる波長選択性を有する複数の分光カメラが設けられており、
所定の波長選択性を有する複数の分光カメラは、それぞれ偏光角が異なる偏光フィルタが装着されており、別の波長選択性を有する複数の分光カメラは、それぞれ偏光角が異なる偏光フィルタが装着されている構成であることを特徴とする請求項1または2記載の被測定物の種類及び量を測定する気象測定装置。 - 光源として、互いに異なる第1の波長の近赤外線を照射する第1の光源と、第2の波長の近赤外線を投光する第2の光源が設けられており、
偏光フィルタとして、互いに偏光角が異なる第1の偏光フィルタと第2の偏光フィルタが設けられており、
分光カメラとして、第1〜第4の分光カメラの4台が設けられており、
第1の分光カメラは、第1の偏光フィルタが装着され、且つ第1の波長の近赤外線を受光し、第2の分光カメラは、第2の偏光フィルタが装着され、且つ第1の波長の近赤外線を受光し、第3の分光カメラは、第1の偏光フィルタが装着され、且つ第2の波長の近赤外線を受光し、第4の分光カメラは、第2の偏光フィルタが装着され、且つ第2の波長の近赤外線を受光する構成であることを特徴とする請求項1または2記載の被測定物の種類及び量を測定する気象測定装置。 - 被測定物種類識別手段は、複数の分光カメラで撮像した二次元画像の解析領域をフーリエ変換して得られる異なる分光情報と異なる偏光情報の組み合わせを含む複数のフーリエパワースペクトル画像情報と、予め被測定物の種類毎に定められ画像解析装置の記憶部に記憶されている種類識別用教師データとを比較して、被測定物の種類を識別する構成であることを特徴とする請求項3または4記載の被測定物の種類及び量を測定する気象測定装置。
- 被測定物量算出手段は、複数のフーリエパワースペクトル画像情報について得られる複数の総計パワースペクトルの平均値である平均総計パワースペクトルを、予め画像解析装置の記憶部に記憶されている降水量算出用教師データの被測定物の種類毎に定められた降水量回帰曲線に代入して、測定対象空間の被測定物の降水量を算出する構成であることを特徴とする請求項5記載の被測定物の種類及び量を測定する気象測定装置。
- 画像解析装置は、視程算出手段を備えており、
記憶部は、別途立体計測で算出された1種類の特定の波長及び偏光角による総計パワースペクトルと奥行き距離とが関係付けられた視程回帰曲線を視程算出用教師データとして予め被測定物の種類毎に記憶しており、
視程算出手段は、前記視程算出用教師データを作成した時に使用した波長および偏光角による総計パワースペクトルと前記視程算出用教師データとに基づいて、センサ装置を設置した周辺の視程をリアルタイムに算出し、視程計として使用可能であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の被測定物の種類及び量を測定する気象測定装置。
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