JP5460909B2 - 撮像装置及び画像処理方法 - Google Patents
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Description
本発明は、画像の階調補正の技術に関する。
従来、好ましい明るさ、コントラストの画像を得るために、取得した画像の輝度ヒストグラムや被写体情報を解析して、階調補正を行う方式が知られている。
特に、主被写体の明るさが背景の明るさに比べて著しく暗いような、いわゆる逆光シーンでは、撮影した画像の主被写体部分が暗くなってしまうため、階調補正が有効である。また、背景の明るさが著しく明るくなるいわゆる「飛び」に関しては、以下の方法がある。まず、撮像素子を露光する段階で、飛びを抑えるように適正露出よりも暗めの露出で撮像しておく。そして、得られた画像データの輝度値を所定の出力輝度値に変換する補正テーブル(トーンカーブ)を用いて、暗めに撮影された領域の輝度値は適正レベルに、既に明るく撮影された領域の輝度値に関してはそのままのレベルになるように階調補正する。これは、撮像素子のダイナミックレンジを擬似的に拡大するのに効果のある方法として知られている。(例えば、特許文献1参照。)
また、画像の輝度成分の低周波成分信号を用いて階調補正することで、いわゆる覆い焼きのような効果を得る方法が提案されている。この方法では、画像のコントラストを維持したまま、暗く撮影されてしまった被写体を明るくするような階調補正を行うことができる。(例えば、特許文献2参照。)
一方、白い壁や雪景色などのように画面内に白い部分があっても、自動露出制御では所定の輝度レベルになるように露出決定するため、本来白いものが灰色に近い色で撮影されてしまう場合がある。このようなシーンに対して、高輝度成分が少ないか存在しない場合に、高輝度な入力輝度に割り当てる出力輝度領域を狭くし、不要な領域への階調割当を無くすように階調補正を行うことで、白いものを白く撮るような効果を得ることも知られている。
しかしながら、特許文献1のように、トーンカーブを用いて画像の暗い部分を明るく補正し、もともと明るい部分は補正を抑えるような階調補正を行うと、主被写体と背景の中間の輝度帯域においてコントラストが失われ、のっぺりとした画像になることがあった。
また、特許文献2のように、画像の輝度成分の低周波成分信号を用いて階調補正を行うと、シーンによってはコントラストがありすぎるために不自然な画像になることがあった。
本発明は上記問題点を鑑みてなされたものであり、撮像した画像の輝度分布に応じて、画質劣化を起こすことなく、その画像に適した階調補正を行うことを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置は、撮像して得られた画像データに対し、出力輝度の輝度範囲に対応する入力輝度の輝度範囲を変更する階調補正を実施するための第1の補正データを決定する第1の決定手段と、撮像して得られた画像データに対し、輝度周波数の高さに応じた階調補正を実施するための第2の補正データを決定する第2の決定手段と、前記第1及び第2の補正データの一方を用いた階調補正が実施される画像データに対し、前記第1及び第2の補正データの他方を用いた階調補正の実施を制限する制御手段と、を有する。
本発明によれば、撮像した画像の輝度分布に応じて、その画像に適した階調補正を行うことができる。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための最良の形態を詳細に説明する。ただし、本形態において例示される構成部品の寸法、材質、形状、それらの相対配置などは、本発明が適用される装置の構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明がそれらの例示に限定されるものではない。
以下、添付図面を参照して本発明を実施するための形態を詳細に説明する。
●撮像装置の構成
図1は、本発明の実施の形態における撮像装置100の構成を示すブロック図である。
図1は、本発明の実施の形態における撮像装置100の構成を示すブロック図である。
図1において、60は撮像装置100全体の動作を制御するシステム制御部である。
10は撮影レンズであり、外光を集光する。図ではレンズは1枚として表しているが、通常、複数枚のレンズから構成されている。撮影レンズ10は、レンズ駆動回路42により、例えば、光軸に沿って前後に動かすことで、焦点を調節するためのフォーカスレンズ及び画角を調節するズームレンズを含む。更に、ブレ量検知回路44で測定したカメラのブレ量を基にして、手ブレ補正回路40によりレンズを動かして手ブレをキャンセルする方向に光軸を変化させることで光学的な手ブレ補正を行うブレ補正レンズなどを含む。また、撮影レンズ10を含む鏡筒部を繰り出し及び繰り込みさせる方式とし、カメラ未使用時の本体体積を小さくして携帯性を向上することが可能である。
なお、ブレ量検知回路44はジャイロセンサを含み、図1ではレンズを駆動することで手ブレ補正を実現しているが、後述する撮像素子16を駆動することで同様に手ブレを補正することも可能である。
12はメカニカルシャッタ(以下、単に「シャッタ」と呼ぶ。)である。システム制御部60は、メカニカルシャッタ制御情報をシャッタ駆動回路28に伝達することで、シャッタ12を制御することが可能である。静止画撮影時の露光時間は、シャッタ12の開閉時間により決定されるが、システム制御部60がこの開閉時間を判断し、シャッタ駆動回路28に指示を出す。
14は撮影レンズ10を通過した光の光量を調節する絞りである。絞り14としては、例えば、複数枚の羽から構成された虹彩絞りや、あらかじめ、板を様々な径で穴を打ち抜いた丸絞りがある。システム制御部60は、絞り制御情報を絞り駆動回路26に伝達することで、絞り14を制御することが可能である。システム制御部60は絞り14と絞り駆動回路26を用い、被写体輝度が高い場合は絞りを絞って光量を落とすように制御し、被写体輝度が低い場合は絞りを開いて光をより多く取り込むように制御することができる。
16はCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、撮影レンズ10、シャッタ12、絞り14を介して入射した被写体の光学像を電気信号(画像信号)に変換して出力する。システム制御部60は、撮像素子制御信号をTG(Timing Generator)24に伝達することで、撮像素子16を制御することができる。
TG24は、システム制御部60から受信した制御情報をもとに撮像素子16を駆動する。撮像素子16は各画素における電荷の蓄積と、蓄積した電荷の読み出し動作を周期的に行っており、この動作はTG24からの駆動信号を基準にして行われる。撮像素子16に蓄積された電荷の内、特定のラインや特定の領域のみから電荷を読み出してくることが可能である。これは、TG24から出力される読み出し制御パルスにより読み出し方を変更することで実現することができる。システム制御部60は状況に応じて最適な読み出し方式を決定し、TG24に指示する。例えば、静止画撮影時は高解像度が要求されるため撮像素子16の全データを読み出し、電子ファインダー時や動画撮影時は30fpsや60fpsなどの高いフレームレートが要求されるため特定のラインだけ間引いて読み出す、といった使い分けを行う。またTG24を介して、撮像素子16の露光時間を制御することが可能である。任意のタイミングで、撮像素子16がチャージした電荷をクリアするように、TG24から撮像素子16へ駆動信号を出すことでこれを可能としている。
18は、撮像素子16から出力された電気信号(画像信号)に対して、相関二重サンプリング方式により画像データのノイズ成分を除去する、CDS(Correlated Double Sampler)回路である。20は、画像データのレベルを減衰/増幅するPGA(Programmable Gain Amplifier)回路であって、増幅量は、後述するシステム制御部60により制御される。通常、適正なレベルの画像データを得るために、絞り14で撮像素子16への入射光量を、また、シャッタ12により露光時間を適切に設定することで、撮像素子16の露出を適正にする。これに加えて、PGA回路20で画像データ信号を減衰/増幅することで、擬似的に画像データの露出を変える役割を担うことができる。これは、絞りやシャッタ速度と並ぶ撮影時の露出条件の一つとして、感度という概念でユーザーに機能提供することが可能である。
PGA回路20により処理された画像データは、A/D(Analog/Digital)回路22にてアナログ信号からデジタル信号へ変換される。デバイスにより、デジタル信号のビット幅は10ビット、12ビット、14ビットなどがある。後段の画像処理回路50は、複数種類のビット幅に対応可能である。図1では、CDS回路18、PGA回路20、A/D回路22をそれぞれ別の構成として表しているが、一つのICパッケージにこれらの回路の機能を搭載したものを採用することも可能である。
A/D回路22から出力されたデジタル化された画像データは画像処理回路50へ入力される。画像処理回路50は複数のブロックから構成され、さまざまな機能を実現している。
例えば、撮像素子16はカラーフィルタを通して画素毎に特定の色成分の光を抽出して、抽出した光を光電変換するのが一般的である。A/D回路22から出力される画像信号は撮像素子16の画素及びカラーフィルタ配置に対応したデータ形式になっており、輝度成分のみを評価して露出制御を行う自動露出制御(AE:AutoExposureControl)で使用するには適さない。そこで、画像処理回路50は、画像信号から色情報を排除し、輝度情報のみを抜き出す機能を備えている。
さらに、画像処理回路50は、撮像素子16から読み出された画像信号の周波数成分のみを抜き出す機能を備え、自動ピント合わせ制御(AF:AutoFocus)時に使用することができる。撮像素子16から読み出された画像信号のどの領域の周波数成分を抽出するか、または、領域内を分割設定できる機能を備えている。このAF処理時には、撮像素子16の駆動を焦点調節に適した駆動にすることが可能である。撮像素子16を使用したテレビAFの場合、撮像素子16から画像信号を読み出す度にフォーカスレンズを新たなピント位置に駆動するため、撮像素子16のフレームレートが高いほうが、フォーカスレンズを素早く多くのピント位置に動かすことができる。このため、AF時のみ速いフレームレートになるように撮像素子16を駆動することができる。逆にフレームレートを遅くし、撮像素子16からより多くの画素データを読み出すようにすることで、画像処理回路50で周波数解析可能なデータが増え、より正確な焦点調節制御が可能になるという面もある。このような撮像素子16の使い方は、カメラの撮影モードや、被写体の明るさに応じて適応的に決めることが可能である。
さらに、画像処理回路50は、A/D回路22によりデジタル化された画像データのレベルの増減、画像の色効果などを操作する機能を備え、撮影画像の画質を調節するという役割も担っている。画像データのレベルに関しては、画像全体に一律の増幅率でレベルを増減させる機能や、元の信号レベルの大小に応じて信号レベルを変換するトーンカーブ(ガンマ)機能がある。他に、画面内の領域毎の周波数成分に応じた増幅率でレベルを増減させる機能など、様々なレベル調節をすることができる。
A/D回路22によりデジタル化された画像データは画像処理回路50へ入力すると同時に、一時記憶メモリ30に記憶することができる。一時記憶メモリ30に一旦記憶した画像データは再度読み出すことができ、システム制御部60から画像データを参照したり、読み出した画像データを画像処理回路50に入力することが可能である。さらに、画像処理回路50で画像処理した画像データを一時記憶メモリ30に書き戻したり、システム制御部60から任意のデータを書き込むことも可能である。
画像処理回路50で適切に処理された画像データを、画像認識回路38に入力することができる。画像認識回路38は、入力された画像の明るさ状況、合焦状況、色状況の認識に加え、人物の顔認識とその表情、文字がある場合はその文字情報を認識することができる。また、画像認識回路38には複数の画像を入力することができ、例えば2つの画像を入力し、その2つの画像の特徴を比較することで、同一の画像かどうかを判定することができる。画像認識回路38での画像認識処理に加え、システム制御部60でも画像認識処理を行うことができる。システム制御部60はCPU上で予め符号化されたプログラムを実行することができるが、一時記憶メモリ30に記憶された画像データを読み出し、その画像データを解析してシーンの状況を認識することができる。
70は操作部であり、電源ON/OFFスイッチ102、シャッタスイッチ104、モード切替スイッチ110、パラメータ選択スイッチ群151等を含む。シャッタスイッチ104は、浅く押下する場合(SW1)と深く押下する場合(SW2)の2段階の押下操作により、撮影の準備及び開始を指示する。自動露出制御や自動焦点調節制御を行う撮像装置の場合、シャッタスイッチ104を浅く押す(SW1ON)ことで撮影準備として自動露出制御と自動焦点調節制御を行い、深く押す(SW2ON)ことで静止画撮影や画像認識の指示を行う操作が実現可能である。モード切替スイッチ110は、静止画撮影モード、動画撮影モード、再生モードなどのカメラ動作モードを切り替えることができる。ここでは、数モードを切り替え可能な部材として表現するが、撮影する特定のシーンに最適化した、風景撮影モードや人物撮影モードなどの多くの静止画モードを備えることも可能である。また、パラメータ選択スイッチ群151a〜151eにより、測距領域や測光モードをはじめとする撮影時の撮影条件の選択や、撮影画像再生時のページ送り、カメラの動作設定全般などをユーザーが選択することができる。さらに前述の電子ファインダーのOn/Offを選択することもできる。また、画像表示装置108は画像を表示すると共に、タッチパネルとして入力装置となる構成とすることもできる。
108はLCDなどにより構成される画像表示装置である。画像表示装置108に画像を出力する場合、画像処理回路50で画像処理を行った画像データをVRAM34上に展開しておき、それをデジタル/アナログ(D/A)回路36にてアナログデータに変換してから表示する。また、電子ファインダ機能は、撮像素子16から読み出される連続した画像を、順次、画像表示装置108に表示更新していくことで実現することができる。VRAM34上に画像データを展開する際、1つの画像データを画像表示装置108に最も大きくなるように、または複数の画像をマルチ画面表示するように、など、様々な表示形態に対応するようにVRAM34上に展開することができる。
また、画像表示装置108には、画像だけでなく任意の情報を単独、もしくは画像と共に表示することが可能である。カメラの状態表示や、ユーザーが選択あるいはカメラが決定したシャッタ速度や絞り値、感度情報などの文字情報や、画像処理回路50で測定した輝度分布のようなヒストグラムや、顔認識結果、シーン認識結果等も表示可能である。情報の表示位置、表示色も任意に選択可能である。これら様々な情報を表示することで、ユーザーインタフェースとすることが可能となる。また、画像表示装置108には、画像記憶媒体82に記憶されている画像データを表示することも可能である。画像データが圧縮されている場合、圧縮伸張回路32にて伸張し、VRAM34にデータを展開する。この展開したデータをD/A回路36にてアナログデータに変換して出力する。
なお、従来からの光学ファインダを併設する構成とすることも可能である。その場合、電子ファインダ機能をOFFにし、光学ファインダを使用することで、電力消耗を減らすことが可能である。
画像記憶媒体82は不揮発性のものであり、画像記憶媒体インタフェース80を介して、主に撮影した画像データを記憶することが可能である。画像データの記憶に関しては、例えば、フォルダ階層を持たせたり、撮影した順にフォルダやファイル名が昇順に命名されるようにすることができる。各画像データには、絞り値やシャッタ速度、ISO感度などの撮影情報や、撮影した時刻などを付加することができ、それらを画像データと共に記憶することが可能となっている。さらに、記憶した画像データの読み出しはもちろん、画像の複製、移動、消去も可能である。
また、86は、プリンタやPC、表示装置等の外部装置であって、外部機器インタフェース84を介して接続される。
次に、上記構成を有する撮像装置100において実行される、本実施の形態における階調補正方法について説明する。本実施の形態では、以下に示す3種類の階調補正方法を用いる場合について説明する。
(1)第1の階調補正方法
本実施の形態では、第1の階調補正方法として、低輝度の被写体と高輝度の被写体とが混在しているシーンにおいて、高輝度側の白飛び(飽和)を抑制する階調補正方法とする。以後、この第1の階調補正方法をD+補正と呼ぶ。
本実施の形態では、第1の階調補正方法として、低輝度の被写体と高輝度の被写体とが混在しているシーンにおいて、高輝度側の白飛び(飽和)を抑制する階調補正方法とする。以後、この第1の階調補正方法をD+補正と呼ぶ。
より具体的に説明すると、通常、撮影前に、撮影条件として絞り値、シャッタ速度、ゲイン量等を決定するが、この時、画面の輝度情報や人物の顔の有無に応じて適切な露出で撮影しようとする。しかしながら、撮像素子のダイナミックレンジはさほど広くは無く、どのように絞り、シャッタ、ゲインを設定しても、太陽を背にして立つ人物を撮影する時のような逆光シーンでは、人物が暗すぎる、あるいは背景が明るすぎる、といったことが起こる。このような、背景が明るすぎる現象を軽減するのがD+補正である。
D+補正では、先ず、高輝度部分の白飛びが発生しないように露出アンダーとなる露出値を設定して撮影を行い、得られた画像データの低輝度部分の輝度を持ち上げるように設定されたガンマカーブ(トーンカーブ)を用いて、補正を行う。
(2)第2の階調補正方法
本実施の形態では、第2の階調補正方法として、撮影した画像の高輝度領域の輝度データの状況に応じて不要な階調割当を行わない階調補正方法とする。以後、この第2の階調補正方法をD−補正と呼ぶ。図8(a)はD−補正が有効なシーンのヒストグラムの一例を示す図である。画面内に、暗い輝度から明るい輝度まで均等に輝度分布がある場合には、図8(a)のようなヒストグラムにならない。図8(a)では高輝度側には輝度が分布しておらず、画面内の輝度差がさほど激しくないシーンであると判断できる。
本実施の形態では、第2の階調補正方法として、撮影した画像の高輝度領域の輝度データの状況に応じて不要な階調割当を行わない階調補正方法とする。以後、この第2の階調補正方法をD−補正と呼ぶ。図8(a)はD−補正が有効なシーンのヒストグラムの一例を示す図である。画面内に、暗い輝度から明るい輝度まで均等に輝度分布がある場合には、図8(a)のようなヒストグラムにならない。図8(a)では高輝度側には輝度が分布しておらず、画面内の輝度差がさほど激しくないシーンであると判断できる。
輝度分布が広範囲に亘っている場合には、どの入力輝度に対しても出力輝度が割り当たるように、図8(b)に示す通常ガンマカーブ302のようなガンマカーブを設定する。しかし、図8(a)のヒストグラムのように高輝度領域に分布が無い場合、その入力輝度に対して出力輝度を割り当てても有効な階調表現にはならない。従って、ヒストグラムの分布が存在する最大輝度値である輝度値312を入力輝度の上限とし、その輝度値312を画像データが取り得る最大輝度値に割り当てる、図8(b)に示すD−ガンマカーブ320のようなガンマカーブを設定する。D−ガンマカーブ320は入力輝度324までの入力輝度に対して有効に出力輝度を割り当て、入力輝度324を超えた輝度に対しては割当を行わない。なお、図8(b)では輝度分布領域とD−ガンマカーブ320の入力輝度の割り当て範囲が完全に一致している場合を示している。しかしながら、予め用意した複数のD−ガンマカーブのいずれかを選択する方式とする場合、入力輝度分布とD−ガンマカーブの入力輝度の割り当て範囲が完全には一致しない場合もある。
(3)第3の階調補正方法
本実施の形態では、第3の階調補正方法として、撮影した画像の低周波領域、輝度情報、人物顔の有無といった状況に応じて、低周波かつ低輝度な領域の輝度レベルを調節する階調補正方法とする。以後、この第3の階調補正方法を暗部補正と呼ぶ。
本実施の形態では、第3の階調補正方法として、撮影した画像の低周波領域、輝度情報、人物顔の有無といった状況に応じて、低周波かつ低輝度な領域の輝度レベルを調節する階調補正方法とする。以後、この第3の階調補正方法を暗部補正と呼ぶ。
図9に、暗部補正が有効なシーンと、そのシーンを暗部補正した結果のイメージ図を示す。図9は人物が太陽を背にして立っているシーンである。暗部補正前は、人物顔、人物の体、地面などが逆光シーンのせいで暗く写っている。この暗くなった暗部を明るくするように、一律のトーンカーブで階調補正を行おうとすると、人物の黒目や着用している横縞シャツの模様も必要以上に明るく補正されてしまう場合がある。その場合には、画像としてはコントラストが低下したような質の低い画像となってしまう。そこで、低周波輝度成分を抽出し、低輝度領域がある程度の面積を持った場合に階調補正を行うように暗部補正を行う。
図10にその様子を示す。画像の低周波成分を抽出するために、図10ではオリジナル画像から3つの異なる解像度の画像を生成する。図10(a)はほぼオリジナル画像の解像度を保っているが、図10(b)、図10(c)と解像度を落としている。図10(c)に至っては人物の判別が困難になっている。この解像度の低下の程度は、得たい暗部補正効果により様々に設定するようにしても良い。これら複数の画像に対し、図11に示すような暗部補正用ガンマをかける。このガンマは、入力輝度が低い領域は高い出力輝度が得られるような変換テーブルとなっている。それぞれの画像の階調補正を行った後、3つの画像を加算平均するように合成する。すると、目や洋服の模様といったある程度の輝度周波数を持つ領域はそれほど暗部補正がかからず、ズボンや地面といった、輝度周波数の低い領域に対しては暗部補正がかかってくる効果が得られる。
●全体の補正処理の流れ
次に、上述した3つの階調補正方法を用いて、より適切な階調の画像を得るための全体の流れを図2〜図7のフローチャートを参照しながら説明する。
次に、上述した3つの階調補正方法を用いて、より適切な階調の画像を得るための全体の流れを図2〜図7のフローチャートを参照しながら説明する。
撮像装置100の起動後、各種デバイスの初期化、起動を経てEVF画像表示などの撮影準備作業を行い、シャッタスイッチ104の押下によるSW1のON待ちに入る(S201)。SW1ONが検知されると、D+補正に用いるD+量の仮決定処理を実行する(S203)。ここで、D+量の仮決定処理について、図3を参照して説明する。
まず、撮像素子16により撮影して得られた画像データを、画像処理回路50において、例えば縦横4ブロックに均等分割し、ブロック毎にヒストグラムを生成して輝度分布を取得する(S301)。なお、ここで生成するヒストグラムは、画面全体のものであってもよいが、ブロック毎に生成することで、より詳細な分布状況を把握することができる。そして、システム制御部60は、各ブロックのヒストグラムの特に高輝度側の輝度分布を解析し、このままの露出で撮影するとどれくらいの白飛びが発生するかを判断する(S303)。そして、白飛びの発生を抑えるためにはどの程度露出を抑えればよいかを算出するが(S305)、これをD+量と呼ぶ。なお、画像全体の白飛び状況から判断するので、ここで得られるD+量を、以下、「全体D+量DPAll」と呼ぶ。本実施の形態では全体D+量DPAllとして、画像全体の白飛び状況に応じて、補正無し(DPAll=0)、弱補正(DPAll=Low)、中補正(DPAll=Mild)、強補正(DPAll=High)の4段階とする。
また、画像認識回路38は同じ画像データから、例えば人の顔などの予め設定された被写体(以下、「人の顔」として説明する。)を検出し、顔の有無、顔領域の座標及び大きさを含む顔情報を取得する(S315)。ここで、画像中に顔が無いと判断された場合(S317でNO)、ステップS305で求めた全体D+量DPAllを仮D+量DP1として採用する(S337)。一方、画像中に顔が有ると判断された場合(S317でYES)、主顔領域付近のヒストグラムを生成して輝度分布を取得する(S319)。そして、システム制御部60は、顔領域付近の輝度分布の高輝度領域を解析し、顔領域に限定した白飛び状況を把握し(S321)、この白飛び状況に応じてD+量を決定する(S323)。なお、顔領域に限定した白飛び状況から判断するので、ここで得られるD+量を、以下、「顔D+量DPFace」と呼ぶ。本実施の形態では、顔D+量DPFaceとして、ステップS305と同様に、補正無し(DPFace=0)、弱補正(DPFace=Low)、中補正(DPFace=Mild)、強補正(DPFace=High)の4段階とする。なお、D+量は段数で表し、本実施の形態では、Low=1/3段、Mild=2/3段、Hi=1段とする。
そして、全体D+量DPAllと顔D+量DPFaceとを比較する(S335)。比較の結果、全体D+量DPAllの方が大きければ全体D+量DPAllを(S337)、そうでなければ顔D+量DPFaceを(S339)、仮D+量DP1として採用する。
D+量の仮決定が終了すると、図2の処理に戻ってステップS205に進み、図3で求めた仮D+量DP1に基づいて、最終的な絞り値、シャッタ速度、ゲイン、D+量を決定する最終決定処理を行う(S205)。ここで、この最終決定処理について図4を参照して説明する。
まず、撮像素子16により撮影して得られた画像データから、被写体輝度Bv1を取得する(S401)。この被写体輝度は画面を縦横24x16程度の細かさのブロックに分割し、それぞれの輝度積分値をもとに算出する。スポット測光などのように、画面内の任意の狭い領域の測光を行う測光方式の場合、ブロック分割せずにその場所の1ブロックの輝度積分値から輝度値を算出することもできる。求めた被写体輝度Bv1と撮影感度Svから露出値Ev1を求め、露出値と絞り値、シャッタ速度、ゲインの組み合わせを表現した公知のプログラム線図テーブルに基づいて、絞り値Av1、シャッタ速度Tv1、ゲインGain1を求める(S403)。なお、このプログラム線図は、撮影モードごとに異なる線図を持つ構成にすることも可能である。
次に、図3で説明した仮D+量DP1分、露出を抑えるために必要なゲイン及びシャッタ速度の調整を行う。まず、プログラム線図から求めたゲインGain1と仮D+量DP1とを比較する(S405)。ゲインGain1が大きい場合、ゲインGain1から仮D+量DP1を引いた値を新たなゲイン値Gain2とする(S407)。この場合、ゲインを調整するのみでD+量を露出アンダーにできるため、シャッタ速度はプログラム線図から求めたTv1をそのまま採用してTv2とする(S409)。一方、ゲインGain1が仮D+量DP1以下の場合、ゲインだけでは仮D+量DP1分、露出アンダーにすることができないことになる。そこで、まず、ゲインを設定可能な最小値MinGainにする(S411)。続いて、シャッタ速度を速くすることで、仮D+量DP1分の露出アンダーを実現する。ここでは、プログラム線図から求めたTv1に対し、ゲインで調整しきれなかった段数分だけシャッタ速度を速くし、Tv2とする(S413)。
上述したようにして、仮D+量DP1分だけ露出アンダーとなるようにゲインとシャッタ速度を調整した後、この露出が実現可能かどうかをチェックする(S415)。この撮像装置100で設定されている撮影モードにおける露出限界は、メカ的な制御限界から決められるのはもちろん、モード毎に制御限界を設定することが可能である。そのため、絞り値、シャッタ速度、ゲインからなる露出値が、露出限界MaxEv(これ以上シャッター速度を速くしたり、ゲインを下げたりすることができない状態での露出)を超えていないかをチェックする。限界内に収まっている場合、仮D+量DP1を最終的なD+量DP2として確定する(S417)。逆に、限界を超えていた場合、仮D+量DP1を超過分だけ補正した値を最終的なD+量DP2として確定する(S419)。これは、被写体が高輝度のために、設定された露出値が露出限界付近である場合、D+補正を実施すれば効果的ではあるが、D+補正を実施できない状態であるためである。なお、D+補正を行う必要が無い場合には仮D+量DP1=0であり、必ずGain1よりも小さくなる。そのため、ステップS405、S407、S409の流れにより、ステップS403で求めたAv1、Tv1、Gain1がそのまま露出値(Av1、Tv2、Gain2)として確定すると共に、D+量DP2=0となる。
図13は、SW1ON前後の撮像素子16の垂直同期信号VD、撮像素子16への露光、撮像素子16からの蓄積電荷の読み出し、顔検出、ヒストグラム生成、測光用ブロック輝度検出、D+量算出、露出値算出のタイミングを示すタイミング図である。露光及び蓄積電荷の読み出しは毎垂直期間行われる。図13では、顔検出は2垂直期間に1回の周期で行われることを示しているが、この限りではなく、画像認識回路38による画像認識処理の性能次第で検出周期は変わってくる。ヒストグラム生成に関して、同一露光で得られた画像データに基づく顔検出とヒストグラム生成が行われた結果を用いてD+量算出を行いたいため、顔検出周期にあわせてヒストグラムを生成する周期になるように制御している。
このような関係において、SW1がONとなった場合、直前に検出されていた顔検出結果(5)と、画像データ(5)から生成されたヒストグラム(5)とを用いて、D+量算出を行う。D+量仮決定処理511では、図3を参照して説明した処理が実行される。D+量仮決定処理511が終了した後、絞り値、シャッタ速度、ゲイン、D+量の最終決定が行われる(513)。自動露出制御で使用する測光結果は、同様に画像データ(5)から検出された画面ブロック分割輝度を元に算出されたものを使用する。露出値算出513では、図4を参照して説明した処理が実行される。
上述したようにして、D+補正のための絞り値、シャッタ速度、ゲイン、D+量が確定すると、図2に戻って、SW2のON待ちに入る(S207)。SW2ONが検知されると、ステップS205で求めた露出値を用いて撮像素子16を露光し、露光時間経過後に電荷を読み出して、画像データに変換する(S209)。そして得られた画像データに対し、ステップS205で決定したD+量DP2から、D+補正を実施するか否かを判断する(S211)。具体的には、D+量DP2>0であるかどうかを判断する。D+補正を実施しない場合(つまり、DP2が0の場合)は、D−量の決定処理を行う(S213)。ここで、D−量の決定処理について、図5を参照して説明する。
まず、撮像素子16により撮影して得られた画像データから、画像処理回路50において画面全体のヒストグラムを生成する(S501)。そして、システム制御部60はこのヒストグラムにより得られた輝度分布情報のうち、特に高輝度領域の状況を解析し、高輝度領域にどれくらいのデータが存在するかを把握する。そして、ガンマ出力輝度を割り当てる必要が無い領域がどの程度存在するかを分析し、ガンマ出力輝度割当が不要な領域の程度に応じて、D−量DM1を決定する(S505)。本実施の形態では、D−量DM1は、ガンマ出力輝度割当が不要な領域の程度に応じて、補正無し(DM1=0)、弱補正(DM1=Low)、中補正(DM1=Mild)、強補正(DM1=High)の4段階とする。なお、D−量は段数で表し、本実施の形態では、Low=1/3段、Mild=2/3段、Hi=1段とする。
続いて、ステップS205で求めたD+量DP2が0より大きいか否か、すなわち、D+補正を行うかどうかを再度チェックする(S515)。そして、D+補正を行わない場合にはステップS505で決定したDM1をD−量として確定し、D+補正を行う場合には念のためD−補正が行われないようににDM1を0に設定する(S517)。このように、本実施の形態では、D+補正実施時にはD−補正を行わない処理としているが、これは、D+補正とD−補正を同時に行う必要があるシーンは想定しづらいからである。D+補正は高輝度による白飛びの発生の恐れがあるシーンに対して作用するが、図4で説明したように白飛びを防ぐために露出アンダーとなるように露出値を決定した場合、高輝度領域ぎりぎりまで輝度分布があるようなヒストグラムになることが想定される。このようなヒストグラムを有する画像データに対してD−補正を実施する必要は無い。
上述したようにしてD−量が確定すると、図2の処理に戻る。ステップS215では、D−補正を実施するか否かを判断する(S215)。上述したように、D+補正を実施する場合にはD−補正を行わないので、ステップS211でYESであれば、ここではNOの判断となる。また、ステップS213で設定されたD−値DM1=0であれば実施しない、D−値DM1=0でなければ実施する、と判断する。D−補正を実施しない場合には、暗部補正量の決定処理を行う(S217)。一方、D−補正を実施する場合は、暗部補正は行わない。これは、D−補正と暗部補正は共に輝度レベルを上げる効果を持ち、ここで両者の補正を行うように判断してしまうと、必要以上に補正がかかり、明るすぎる画像となってしまう可能性があるからである。また、D−補正がかかるシーンは高輝度領域に輝度分布が無いシーンであるため、逆光シーンのような輝度差が激しいシーンである可能性が低く、暗部補正をかける必要がないシーンであることが想定される。ここで、ステップS217で行われる暗部補正量の決定処理について、図6を参照して説明する。
まず、撮像素子16により撮影して得られた画像データを、画像処理回路50において複数ブロックに分割し、ブロック毎に積分値を求めることで、ブロック輝度を取得する(S601)。求めたブロック輝度に対して、ステップS205で求めたD+量DP2により、簡易的に輝度補正を行う(S602)。これは、D+補正が行われている場合、撮像素子16から読み出したままの画像データはD+量分だけ露出アンダーであるため、本来の輝度レベルに戻すために簡易的な輝度補正を行う。続いて、画像認識回路38により輝度補正した画像データから、顔の有無、顔座標、顔の大きさを含む顔情報を取得する(S605)。そして、得られた顔情報とブロック輝度から、顔付近の輝度値(顔輝度)を計算すると共に(S607)、画面全体のヒストグラムを生成する(S609)。システム制御部60は、画面全体のヒストグラムから低輝度領域への輝度分布がどの程度あるのかを解析するが(S611)、これは、低輝度領域に輝度分布が無い場合は暗部補正を実施する必要がないため、その判断に用いる。次に、露出条件としてISO感度(ゲイン)情報を取得する(S613)。暗部補正は、低輝度レベルの画素のレベルを増幅する効果を得るために行うものであるが、低輝度レベルであるがゆえに、S/N悪化による画質劣化が露呈しやすい。もともと高ISO感度(高ゲイン)で得られた画像データであれば、既にS/Nが悪化している可能性があるので、ゲイン値に応じて暗部補正量を抑える判断を行うためにISO感度情報を取得する。
そして、得られた各種情報を基にして、最大暗部補正量を決定する(S615)。人物顔が検出されている場合、例え逆光シーンであっても、あまりに大きい暗部補正をかけると人物顔のS/Nが悪化し、印象の悪い画像となってしまう。そのため、先に述べたように、画像データのもともとのS/Nを知る為にISO感度情報も加味して最大暗部補正量を決定する。
次に、ヒストグラム解析結果、及び、最大暗部補正量に基づいて、画面全体としてどの程度の暗部補正を実施すべきかどうかを決定する(S617)。ここで決められた補正量を全体暗部補正量DarkGainAllとする。続いて、顔の有無を判断し(S619)、顔が無い場合、先に求めた全体暗部補正量DarkGainAllを暗部補正量DarkGain1として採用する(S625)。一方、顔がある場合には、ステップS607で求めた顔輝度、及び、最大暗部補正量に基づいて顔暗部補正量DarkGainFaceを決定する(S621)。そして、全体暗部補正量DarkGainAllと顔暗部補正量DarkGainFaceとを比較し(S623)、補正量の大きいほうを暗部補正量DarkGain1として採用する(S625またはS627)。
以上のようにして暗部補正量DarkGain1が決まると、図2の処理に戻る。ステップS217までの処理により、各補正の実施、非実施、実施の際の補正量が決定されているので、これらの情報に基づいて画像処理を行い(S219)、補正後の画像データをメモリカード等へ保存する。ここで、図7を参照して、ステップS219で行割れる画像処理の詳細について説明する。
まずD+量DP2を参照し、DP2が0より大きいかどうか、即ち、D+補正を行うかどうかを判断し(S703)、D+補正を行う場合、D+量DP2からトーンカーブを決定する(S707)。
通常撮影時は自動焦点調節処理で求めた絞り、シャッタ、ゲインで撮影するが、D+補正では、上述したように、この露出条件に対して、算出されたD+量分だけ露出アンダーで露光することで白飛びを抑えている。しかしながら、白飛びを抑えるために露出アンダーにすると、画面全体の輝度がアンダーとなってしまう。ここで、アンダー露出撮影により得られた画像データのうち、本来アンダーにすべきでない輝度領域の輝度値をアンダー分だけ元に戻すように補正されるようにトーンカーブを設定すれば、高輝度領域の白飛びは抑えられる。また、白飛びしていない輝度領域の輝度レベルも暗くなりすぎず、良好な結果が得られるはずである。
図12は、D+補正で用いるトーンカーブの一例を説明する図であり、D+補正を行わない場合の通常ガンマカーブ302に対し、1段分のD+補正を行うD+ガンマカーブ300を示している。D+補正を行わずに適正露光で通常撮影した場合のある入力輝度304を通常ガンマカーブ302で変換すると、出力輝度308となる。これに対し、図4を参照して説明したようにD+量分(1段分)、露出アンダーで露光した場合、入力輝度304は輝度レベルが半分の入力輝度306となる。そこで、この半分の輝度レベルになっている入力輝度306を、露出アンダーではない、つまり、適正露出で撮影した場合と同じ出力輝度308に変換するために、D+ガンマカーブ300を適用して変換する。ここで、露出アンダーで露光した場合には、高輝度領域では白飛びが抑えられているはずである。そこで、D+ガンマカーブ300に示すように、低輝度部分では輝度を持ち上げ、高輝度にいくほどカーブを寝かせていくことで、白とびが抑えられたままの出力輝度を得ることができる。なお、図12ではD+量を1段とした場合のガンマカーブを示しているが、本発明はこれに限るものではなく、例えば1/3段、2/3段、という風に、D+量をさらに細かい段数にすることも可能である。その場合、各D+量に応じたガンマカーブを設定することが必要となる。また、上述したようにD+量に応じてトーンカーブを予め複数種類用意し、その中から選択する方法でも良いが、D+量からトーンカーブを計算して求めてもよい。
D+補正を行わない場合(S703でNO)、D−量DM1を参照し、DM1が0より大きいかどうか、即ち、D−補正を行うかどうかを判断する(S705)。D−補正を行う場合、D−量DM1から、図8を参照して上述したようにしてトーンカーブを決定する(S709)。このトーンカーブもD+補正用のトーンカーブと同様に、複数のD−用トーンカーブから選択するようにしても、D−量からトーンカーブを計算して求めてもよい。
D+補正もD−補正も行わない場合、特定の階調補正を実施する必要がないと判断し、デフォルトのトーンカーブ(例えば、通常ガンマカーブ302)を選択する(S711)。そして、このようにして選択されたいずれかのトーンカーブにより、画像データにトーンカーブ処理を施す(S713)。
その後、暗部補正を実施するか否かを判断するためにD−量DM1を参照する(S715)。DM1>0ではない場合(即ち、D−補正を行わない場合)、暗部補正の実施が許可され、ステップS217で求めた暗部補正量DarkGain1から暗部補正用トーンカーブを決定する(S717)。そして、このトーンカーブを用いて、暗部補正処理を行う(S719)。暗部補正処理では図10に示した低解像度画像と、図11で示した暗部補正用トーンカーブを用い、低輝度周波数かつ低輝度な領域の輝度を明るく補正するように処理を行う。
このように、暗部補正量DarkGain1を用いて、図10及び図11を参照して上述した低解像度画像と暗部補正用トーンカーブ処理を行うことで、コントラストを損なわずに暗部の輝度レベルを補正することができる。
一方、D−補正が行われる場合には、暗部補正の実施が制限される。本実施の形態では、実施が許可されず、そのまま処理を終了する。
図14は、図7に示す階調補正処理のSW2ON後のタイミング図である。SW2のON後、撮像素子16を露光して読み出された電荷信号(554)は、画像データとして一時記憶メモリ30に保存される(556)と同時に、輝度検出(558)、顔検出(560)、輝度低周波検出が行われる(562)。そうして得られた検出結果を基に、暗部補正量や、D−量の算出を行い(564)、画像処理回路50にて階調補正(566)が行われる。
上記の通り本実施の形態によれば、画像の異なる輝度分布にそれぞれ適した複数の階調補正方法を実行可能な撮像装置において、撮像した画像の輝度分布に応じて、複数の階調補正方法の実施/非実施を判断する。そして、実行する階調補正方法のD+量、またはD−量、及び暗部補正量から適切なトーンカーブを設定して補正することで、明るさ及びコントラストが良好な画像を得ることができる。特に、共に輝度レベルを上げる効果を持つD−補正と暗部補正の両者の補正を行わないように制限している。これにより、必要以上に補正がかかり、明るすぎる画像となってしまうことを回避できるので、画質の低下を起こすこともない。
<変形例>
上記実施の形態では、D−補正を行う場合、暗部補正の実施が許可されなかったが、実施する量を制限するようにしてもよい。その場合、図7のステップS715において、DM1>0と判断された後に、ステップS717及びS719と同様の処理を行うが、図11に示した暗部補正ガンマよりも変化が少ないガンマを決定し、これに基づいて補正を行う。即ち、D−補正を行わない場合よりも、輝度領域間のゲインの差が少ないガンマとする。
上記実施の形態では、D−補正を行う場合、暗部補正の実施が許可されなかったが、実施する量を制限するようにしてもよい。その場合、図7のステップS715において、DM1>0と判断された後に、ステップS717及びS719と同様の処理を行うが、図11に示した暗部補正ガンマよりも変化が少ないガンマを決定し、これに基づいて補正を行う。即ち、D−補正を行わない場合よりも、輝度領域間のゲインの差が少ないガンマとする。
10:撮影レンズ、12:メカニカルシャッタ、14:絞り、16:撮像素子、18:CDS、20:PGA回路、22:A/D回路、24:TG、26:絞り駆動回路、28:シャッタ駆動回路、34:VRAM、36:D/A回路、38:画像認識回路、50:画像処理回路、60:システム制御部、70:操作部、108:画像表示装置
Claims (6)
- 撮像して得られた画像データに対し、出力輝度の輝度範囲に対応する入力輝度の輝度範囲を変更する階調補正を実施するための第1の補正データを決定する第1の決定手段と、 撮像して得られた画像データに対し、輝度周波数の高さに応じた階調補正を実施するための第2の補正データを決定する第2の決定手段と、
前記第1及び第2の補正データの一方を用いた階調補正が実施される画像データに対し、前記第1及び第2の補正データの他方を用いた階調補正の実施を制限する制御手段と、 を有することを特徴とする撮像装置。 - 前記第1の決定手段は、前記撮像して得られた画像データの輝度分布に基づいて前記第1の補正データを決定することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
- 前記第1の決定手段は、前記撮像して得られた画像データの高輝度領域の輝度に基づいて前記第1の補正データを決定することを特徴とする請求項1または2に記載の撮像装置。
- 前記第2の決定手段は、前記撮像して得られた画像データの輝度分布に基づいて前記第2の補正データを決定することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 前記制御手段は、前記第1及び第2の補正データの一方を用いた階調補正が実施される画像データに対し、前記第1及び第2の補正データの他方を用いた階調補正を実施しないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の撮像装置。
- 第1の決定手段が、撮像して得られた画像データに対し、出力輝度の輝度範囲に対応する入力輝度の輝度範囲を変更する階調補正を実施するための第1の補正データを決定する第1の決定工程と、
第2の決定手段が、撮像して得られた画像データに対し、輝度周波数の高さに応じた階調補正を実施するための第2の補正データを決定する第2の決定工程と、
制御手段が、前記第1及び第2の補正データの一方を用いた階調補正が実施される画像データに対し、前記第1及び第2の補正データの他方を用いた階調補正の実施を制限する制御工程と、
を有することを特徴とする画像処理方法。
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