JP5460031B2 - デフォルメ地図生成装置 - Google Patents
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Description
デフォルメ地図の生成方法としては、道路の直線化や方向量子化を実施することで、道路を変形する方法(例えば、特許文献1を参照)のほか、地図の中から特徴部分を抽出し、その特徴部分を近似図形を用いてデフォルメする方法(例えば、特許文献2,3を参照)や、予め地図の形状をいくつかのパターンに分類しておき、地図中の所定箇所の形状に類似しているパターンを判別して地図の形状を変形させる方法(例えば、特許文献4を参照)などがある。
特許文献2には、地図からラウンドアバウトのような特殊な形状を有する道路を抽出して、その特殊形状道路を近似する図形の関数を算出し、その図形の関数を用いて、特殊形状道路を近似図形に置き換えるデフォルメ方法が開示されている。
ここで、「ラウンドアバウト」とは、複数の地点で本線道路と接続して、進路を変更するために進入する環状の道路のことである。
特許文献4には、例えば、高速道路内の分岐、標識、碁盤の目形状など、地図の形状を予めいくつかのパターンに分類しておき、各パターンについて予め用意されている標準の二次元表示モデルを変形させることで、少ない演算でデフォルメ地図を生成する方法が開示されている。
また、デフォルメ対象の地図範囲には、ラウンドアバウトのような特殊な形状が必ず存在するとは限らないため、特殊な形状が含まれない地図範囲では、全体として均整の取れたデフォルメ地図を生成することが困難である。
均整の取れていないデフォルメ地図としては、例えば、元地図で正方形に近い領域の縦横比が、デフォルメ地図上では4:5になってしまって、元地図とデフォルメ地図の間で中途半端な差を生じてしまう場合や、元地図ではほぼ等間隔の複数の道路が、デフォルメ地図上では間隔に大差が生じてしまう場合がある。また、元地図上では互いに付近に存在する類似形状が、デフォルメ地図上では離れた位置となってしまって、形状の類似性も元地図と比べて崩れてしまう場合や、地図全体において余白と道路等のバランスが悪い(例えば、地図右部分に無駄な余白が大きくあり、左部分の狭い範囲に道路が密集している)場合などがある。
図1はこの発明の実施の形態1によるデフォルメ地図生成装置を示す構成図である。
図1において、記憶部1はデフォルメ対象の地図範囲の地図データ(例えば、道路を構成するノード(補間点)の座標データや、道路の接続関係を示す道路ネットワークデータを記憶している他に、後述する各処理部における中間データ(変形途中の結果)・デフォルメ結果や、変形に関するパラメータ・定義等を記憶するメモリである。なお、記憶部1は地図データ記憶手段を構成している。
また、道路が交差している地点を特に交差点ノードと称し、交差点ノードから別の交差点ノードまでの一連のエッジ列をリンクと称する。
道路ネットワークデータは、リンクを構成するノードの情報(座標、ID等)、リンクを構成するエッジの接続関係の情報、交差点ノードの情報(座標、ID等)、交差点ノードに接続するリンクの情報(ID等)などを有している。
道路ネットワークデータや道路を構成する補間点の座標データは、例えば、市販の道路地図データに格納されている。
地図の縮尺は、例えば、縮尺2500分の1の大縮尺地図から、縮尺100万分の1の小縮尺地図まで扱うことが可能である。
大局的特徴抽出部3の特徴パーツ抽出部5は簡略化部2により簡略化された地図データの中から、抽出定義設定部4により設定された特徴的形状を形成している地図データを特徴パーツとして抽出する処理を実施する。
特徴パーツとしては、既存技術のような円等の単純な幾何形状に限らず、地図範囲全体から抽出される構造的な特徴(滑らかな連続性、対称性、類似性のある部分等)を形成している形状も含まれる。
大局的特徴抽出部3の相関的特徴抽出部6は特徴パーツ抽出部5により抽出された複数の特徴パーツ間の相関的な特徴を抽出する処理を実施する。
特徴パーツ変形部8は相関的特徴抽出部6により抽出された特徴パーツ間の相関的な特徴を考慮して、特徴パーツ抽出部5により抽出された特徴パーツを変形することで、デフォルメ対象の地図範囲の全体として均整の取れる位置に上記特徴パーツを移動させる(背景設定部7により設定された背景領域の範囲内で特徴パーツを移動させる)処理を実施する。なお、特徴パーツ変形部8は特徴パーツ変形手段を構成している。
特徴パーツ変形部8の特徴パーツ均整変形部10は相関的特徴抽出部6により抽出された特徴パーツ間の相関的な特徴(例えば、特徴パーツ間の距離や、特徴パーツの交差によって生じる領域の形状や面積)を考慮して、特徴パーツ抽出部5により抽出された特徴パーツを変形することで、デフォルメ対象の地図範囲の全体として均整の取れる位置に上記特徴パーツを移動させる処理を実施する。
特徴パーツ変形部8の特徴パーツ内ノード位置調整部11は特徴パーツ抽出部5により抽出された特徴パーツを構成しているノードの位置を均整の取れた位置に移動させる処理を実施する。
局所変形部12の接続エッジ変形部13は特徴パーツ変形部8により変形された特徴パーツに接続されているエッジである接続エッジを、他の接続エッジとの関係を考慮して変形する処理を実施する。
局所変形部12の局所エッジ変形部14は特徴パーツ変形部8により変形された特徴パーツを構成しているエッジ以外のエッジであり、かつ、上記接続エッジ以外のエッジを変形する処理を実施する。
表示部15はデフォルメ対象のデータやデフォルメ結果等を表示する表示機器である。
簡略化部2は、記憶部1により記憶されている地図データに対する間引き処理(例えば、道路を構成するノードの間引き処理)や、隣接しているエッジの統合処理などを実施して、地図データの簡略化を図り、簡略化後の地図データを大局的特徴抽出部3に出力するとともに、簡略化後の地図データを記憶部1に格納する。
以下、大局的特徴抽出部3の処理内容を具体的に説明する。
ここで、大局的とは、デフォルメ対象の地図範囲全体との意味である。
広域な地図範囲や、多数の道路が複雑に交差する領域をデフォルメ対象とする場合、デフォルメ対象の地図範囲は、円等の単純な幾何形状の集まりになるとは限らない。
一方で、道路が複雑に交差する場合でも、類似する形状が近接している場合は、部分的なまとまりとして知覚され、全体として秩序だった地図として認識される場合がある。
このため、ここでは、地図範囲全体から醸し出される構造的な特徴(まとまりや秩序に関するもの)を大局的特徴と称する。
(A)同方向で、滑らかに連続する道路
(B)同方向ではないが、滑らかに連続する道路
(C)滑らかに閉領域を形成する道路
図3において、ノードA、B、C、D、E、F、G、Hからなるエッジ列は、水平方向に滑らかに連続する道路であり、上記(A)の特徴的形状に該当する。
ノードS、C、I、J、K、L、Mからなるエッジ列と、ノードT、U、V、D、N、O、P、Q、Rからなるエッジ列は、エッジの方向が或る一定方向に揃っている訳ではないが、隣接エッジ同士が滑らかに接続する道路であり、上記(B)の特徴的形状に該当する。
ノードn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9からなるエッジ列は、閉領域を形成する道路であり、上記(C)の特徴的形状に該当する。
特徴的形状(A)の抽出基準は、例えば、以下の(a1)〜(a3)である。
(a1)抽出する方向
(a2)方向の角度定義
(a3)同方向とみなす隣接エッジ接続角度の閾値
「方向の角度定義」とは、(a1)で定めた方向とみなす角度範囲の定義である。
図4は水平方向の角度定義の一例を示す説明図である。
図4の矢印で示す範囲が水平方向として定義された場合、ノードAとノードBを両端とするエッジ1は、水平方向のエッジとみなし、道路を構成する各エッジの方向が、どの角度範囲に該当するかを調べることにより、同方向で滑らかに連続する道路を抽出することができる。
例えば、水平方に滑らかに連続するエッジ列を抽出する場合において、水平方向に近い方向である斜め45度方向のエッジが、水平方向のエッジに接続されている場合には、これらのエッジ同士の接続角度の値に応じて部分的な形状変化とみなすか否かを決める。接続角度の値が微小である場合には、部分的な形状変化とみなすようにする。
(b1)隣接するエッジの接続角度の閾値
(b2)最近接ノード間の距離の閾値(隣接ノード間距離を除く)
ここで、「隣接するエッジの接続角度の閾値」は、滑らかに接続するエッジを抽出する際の閾値である。
「最近接ノード間の距離の閾値」は、閉領域とみなすか否かの判定基準である。
同方向ではないが、滑らかに連続する道路において、最近接ノード間の距離が閾値以下の場合には特徴的形状(C)とみなし、それ以外の場合は特徴的形状(B)とみなすようにする。ただし、隣接するノード間距離は、本基準の対象外である。
これにより、同じ特徴的形状を抽出する場合でも、抽出基準を領域によって変えておくことで、抽出する特徴的形状のバリエーションを変えることが可能になる。
抽出定義設定部4により設定された特徴的形状は、記憶部1に格納されるとともに、特徴パーツ抽出部5に出力される。
具体的には、同方向ではないが、滑らかに連続する道路の一部が閉領域とみなされる場合、その滑らかに連続する道路は、上述した「(B)同方向ではないが、滑らかに連続する道路」と「(C)滑らかに閉領域を形成する道路」の2つの特徴的形状を有することになる。
図3の例では、ノードF、W、X、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9からなるエッジ列は、同方向ではないが滑らかに連続する道路(特徴的形状(B))として抽出される。
このとき、最近接ノード間距離は、ノードn1とノードn9の距離となり、この距離が閾値以下であることから、ノードn1からノードn9に至るまでの部分エッジ列が、滑らかに閉領域を形成する道路(特徴的形状(C))となる。
(1)水平方向に滑らかに連続する道路(特徴的形状(A))
・ノードA、B、C、D、E、F、G、Hからなるエッジ列
(2)同方向ではないが、滑らかに連続する道路(特徴的形状(B))
・ノードS、C、I、J、K、L、Mからなるエッジ列
・ノードT、U、V、D、N、O、P、Q、Rからなるエッジ列
・ノードF、W、X、n1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9
からなるエッジ列
(3)滑らかに閉領域を形成する道路(特徴的形状(C))
・ノードn1、n2、n3、n4、n5、n6、n7、n8、n9からなるエッジ
列
相関的特徴抽出部6は、相関的な特徴を算出すると、その相関的な特徴を特徴パーツ情報に追記して、記憶部1の特徴パーツ情報を更新する。
ここで、特徴パーツ間の相関的な特徴は、(A)同じ特徴的形状の種類に属する特徴パーツ同士の特徴と、(B)異なる特徴的形状に属する特徴パーツも許容する特徴パーツ同士の特徴との2種類に大別することができる。
以下に、(A)(B)の具体例を示す。
(i)同方向に滑らかに連続するエッジ列(以下、「同方向エッジ列」と称する)同士
で、以下の相関的な特徴を算出する。
(a)エッジ列間距離
(b)エッジ列の端点間の距離及びエッジ列端点近接フラグ
(c)同方向に滑らかに連続するエッジ列同士の交差(分岐)の有無、分岐がある場
合は分岐角度・接続エッジ長
(d)エッジ列の長さ、エッジ列の長さに基づく類似性
以下、(a)〜(d)の相関的な特徴の算出方法を具体的に説明する。
同方向に滑らかに連続するエッジ列について、エッジ列同士でエッジ列間の距離を算出する。特に、付近のエッジ列間に関して算出する。
図5はエッジ列間距離の算出方法を説明する説明図である。
図5では、4つの水平方向エッジ列A、B、C、D(水平方向に滑らかに連続するエッジ列)を示している。
D=Σdi/n (1)
ただし、diは水平方向エッジ列Aを構成するノードiから水平方向エッジ列Bに下ろした垂線の長さである。
また、nは水平方向エッジ列Aを構成するノードの個数である。
距離を算出するエッジ同士では、エッジ列上のノード数が多い方のエッジ列を用いて距離を算出する。図5の場合、エッジ列Aとエッジ列Bでは、エッジ列Aの方がエッジ列Bよりもエッジ列上のノード数が多いため、エッジ列A上のノードを用いて、式(1)によって、エッジ列間距離Dを算出する。
D=Σdi’/n’ (2)
ただし、n’は部分的に他方のエッジ列に垂線を下ろすことが可能なノードの個数であり、di’はそのノードiから他方のエッジ列に下ろした垂線の長さである。
例えば、水平方向エッジ列Bと水平方向エッジ列Dの場合、図6に示すように、範囲Lが水平方向エッジ列Bと水平方向エッジ列Dの距離算出が可能な範囲であり、式(2)の分子はd1’、d2’、d3’の総和となり、分母n’は3となる。
水平方向エッジ列Bと水平方向エッジ列C、および、水平方向エッジ列Cと水平方向エッジ列Dについては、各々同様にして式(2)によって、エッジ列間距離を算出する。
相関的特徴抽出部6により算出されたエッジ列間距離は、算出した他方のエッジ列IDと組み合わせて、特徴パーツ情報に追記して、記憶部1の特徴パーツ情報を更新する。
同方向に滑らかに連続するエッジ列について、付近のエッジ列同士で、x軸方向やy軸方向に対するエッジ列端点間の距離を算出し、その距離が閾値以下の場合、エッジ列の端が近接していることを示す「エッジ列端点近接フラグ」の値を“1”に設定する。
図7は水平方向エッジ列の端点間の距離を示す説明図である。
エッジ列の端点とは、水平方向エッジ列Aの場合、ノード1とノード5が該当する。
そこで、或るエッジ列iおいて、y軸の正方向側とy軸の負方向側で、エッジ列iに最も近いエッジ列jを取得し、エッジ列iの端点とエッジ列jの端点との距離を算出する。
例えば、図7のエッジ列Bの場合、y軸の正方向側のエッジ列はエッジ列A、y軸の負方向側のエッジ列はエッジ列Cとなるため、エッジ列Bとエッジ列A,Cとで、エッジ列端点間の距離を算出する。
水平方向エッジ列の場合は、x軸方向に沿った距離を算出する。エッジ列Bの左側端点とエッジ列Cの左側端点との距離は、図7のL1に相当する。
垂直方向のエッジ列では、端点間の距離として、y軸方向に沿った距離を算出する。斜め方向のエッジ列は、x軸方向又はy軸方向に沿った距離とする。
相関的特徴抽出部6により算出されたエッジ列端点間の距離は、算出した他方のエッジ列IDと組み合わせて、特徴パーツ情報に追記して、記憶部1の特徴パーツ情報を更新する。
同方向に滑らかに連続するエッジ列について、付近のエッジ列同士で交差が生じているか(分岐が生じるか)を調べる。
図8はノード1〜9からなる水平方向エッジ列Aと、ノード4、10、11、12からなる水平方向エッジ列Bが交差する様子を示す説明図である。
各エッジは、特徴パーツ抽出部5において、一つのエッジが複数のエッジ列に重複して登録されないようにし、より滑らかに接続するエッジ列に含めることで、図8に示す状態となっている。付近のエッジ列に関して、ノードの共有点があるか否かを調べることで、エッジ列の交差の有無を調べることができる。
また、どのエッジ列同士が分岐となるかを識別できるように分岐毎に固有の値を設定する。ただし、分岐を形成するエッジ列同士で同じ値となるように分岐IDを設定する。
また、分岐部分の交差ノード(図8のノード4)と、分岐先の道路側で交差ノードに接続するノード(図8のノード5、ノード10)とのなす角度(以下、「分岐角度」と称する)や、交差ノードと交差ノードに接続するノードとの距離(以下、「接続エッジ長」と称する)を算出し、その分岐角度と接続エッジ長を特徴パーツ情報に追記する。
「分岐角度」は、図8の場合、α、βである。「接続エッジ長」は、図8の場合、ノード4とノード5間の距離と、ノード4とノード10間の距離である。
以下、分岐先の道路をまとめている側を「分岐元道路」と称する。図8では、ノード1、2、3、4からなる部分である。
このようにして分岐IDを特徴パーツ情報に設定し、記憶部1に格納されている特徴パーツ情報を更新する。
ここでは、水平方向エッジ列同士で分岐の有無を調べる例を示したが、垂直方向エッジ列同士や斜め方向エッジ列同士など、その他の同方向エッジ列同士に関しても同様である。
同方向に滑らかに連続するエッジ列について、各々、エッジ列の長さを算出する。
付近に存在するエッジ列同士で、エッジ列の長さの差の絶対値を算出し、その絶対値が閾値以下である場合、これらのエッジ列同士は類似性が高いとして、エッジ列の長さと一緒に、閾値以下となる他方のエッジ列の個数、他方のエッジ列IDを特徴パーツ情報に追記し、記憶部1に格納されている特徴パーツ情報を更新する。
ここで、「エッジ列の長さ」は、エッジ列を構成するエッジ長の総和ではなく、エッジ列の方向(水平方向/垂直方向等)に沿った長さである。例えば、水平方向エッジ列の場合、図9(A)に示すように、エッジ列Aとエッジ列Bにおけるエッジ列の長さは共にU1である。
斜め方向のエッジ列の場合は、エッジ列を構成するノード座標から、エッジ列を近似する回帰直線を求め、回帰直線に沿った方向の長さとする。図9(B)の例では、U2に相当する。
各エッジ列について、曲率、曲率半径、変曲点などを算出し、その算出結果を用いて、エッジ列同士の類似性と対称性を判定する。ただし、エッジ列全体でなくとも、部分的に類似性や対称性を有していてもよいとする。
エッジ列同士が類似性や対称性を有していることを示すために、フラグ(類似性フラグ、対称性フラグ)の値を“1”に設定する(デフォルトは、類似性や対称性が無いとみなす“0”とする)。
類似性や対称性フラグの設定は、対応する他方のエッジ列IDと組み合わせて、どのエッジ列と類似性や対称性を有するのかが分かるようにする。
また、部分的に類似性や対称性を有する場合は、類似性や対称性を有する部分について、始端のノードIDと終端のノードIDを抽出する。
類似性フラグ、対称性フラグ、類似性フラグや対称性フラグの値が“1”の場合、類似性や対称性を有する他方のエッジ列ID、類似性や対称性を有する部分の始端ノードID、終端ノードID、外接矩形の左下座標・右上座標・辺の長さ(縦、横)・重心座標・面積、類似性や対称性を有する非閉領域エッジ列との重心間距離の値を特徴パーツ情報に追記し、記憶部1に格納されている特徴パーツ情報を更新する。
図10では、ノード1〜13からなるエッジ列Aと、ノード14〜21からなるエッジ列Bは、ともに同方向ではないが、滑らかに連続する道路として抽出された非閉領域を形成する特徴パーツである。
エッジ列Aとエッジ列Bについて、エッジ列上のノードに基づいて、曲率、曲率半径や変曲点を算出する。
滑らかに連続するエッジ列が変曲点を有する場合は、滑らかに連続する曲線形状の向きが同じ部分(以下、「部分エッジ列」と称する)に分ける。
図10のエッジ列Aでは、ノード1〜8からなる部分エッジ列A1と、ノード8〜13からなる部分エッジ列A2の2つに分けられる。
類似性・対称性の判定には、曲率や曲率半径だけでなく、他の特徴量を使用することができる。この結果、図10では、ノード8〜13からなる部分エッジ列A2とエッジ列B上のノード16〜21の部分が、類似性を有する部分と判定される。
ノード8〜13からなる部分の外接矩形と、ノード16〜21からなる部分の外接矩形を求め、それらの外接矩形の左下座標、右上座標、重心座標、面積、辺の長さを算出する。また、ノード8〜13からなる部分の外接矩形の重心と、ノード16〜21からなる部分の外接矩形の重心との距離を算出する。
図10の場合と同様に、対称性がある部分について、外接矩形の左下座標、右上座標、重心座標、面積、辺の長さを算出する。また、エッジ列C上のノード6〜11の部分の外接矩形の重心と、エッジ列D上のノード12〜17の部分の外接矩形の重心との距離を算出する。
図3では、ノードS、C、I、J、K、L、Mからなるエッジ列と、ノードT、U、V、D、N、O、P、Q、Rからなるエッジ列が、対称性がある形状と判定される。
図10や図11の場合と同様に、外接矩形に関する情報(左下座標、面積等)や、外接矩形重心間の距離を算出する。
これらの算出した値は、特徴パーツ情報に追記し、記憶部1に格納されている特徴パーツ情報を更新する。
滑らかな閉領域のエッジ列(以下、「閉領域エッジ列」と称する)に関して、エッジ列同士を比較し、以下の相関的な特徴を算出する。
(a)閉領域の近似図形、形状類似性
(b)閉領域の外接矩形の左下座標、右上座標、重心座標、辺の長さ(縦、横)
(c)閉領域が類似である場合、それらのエッジ列間に対する外接矩形の重心間距離
(d)閉領域の面積、大きさ類似性
図3のノードn1〜n9からなるエッジ列のように、閉領域エッジ列の端点が閉じていない場合は、閉じていない端点間をエッジで結んで閉領域とし、この閉領域について特徴を算出する。
以下、(a)〜(d)の相関的な特徴の算出方法を具体的に説明する。
閉領域と基本的な幾何図形(例えば、円、楕円、n角形(n>=3))を比較して、閉領域に最も近い幾何図形を閉領域の近似図形として決定し、その近似図形を特徴パーツ情報に追記する。
付近に存在する閉領域エッジ列同士で近似図形が同じである場合、これらの閉領域エッジ列の形状が類似であるとして、これを示すためのフラグ(以下、「形状類似性フラグ」と称する)の値を“1”に設定し、その形状類似性フラグを特徴パーツ情報に追記する。
ただし、形状類似性フラグは、デフォルトでは“0”とする(類似性なし)。
どの閉領域エッジ列同士が類似性を有するのか区別できるように、対応する他方の閉領域エッジ列のIDも特徴パーツ情報に追記する。
(b)閉領域の外接矩形の左下座標、右上座標、重心座標、辺の長さ(縦、横)
閉領域エッジ列に外接する矩形を求め、その矩形の左下座標、右上座標、重心座標、辺の長さ(縦、横)を算出し、この算出値を特徴パーツ情報に追記する。
上記(a)において、付近の閉領域エッジ列間で類似性を認めた場合は、閉領域エッジ列の外接矩形の重心間距離を算出し、類似性のある閉領域エッジ列IDと組み合わせて、特徴パーツ情報に追記する。
(d)閉領域の面積、大きさ類似性
閉領域エッジ列上のノード座標を用いて、閉領域の面積を算出する。また、付近の閉領域エッジ列の面積と比較し、面積の差の絶対値が閾値以下である場合は、大きさが類似であるとして、大きさ類似フラグの値を“1”に設定し(デフォルトは0)、その類似フラグを特徴パーツ情報に追記する。
以上のようにして、同じ特徴的形状の種類に属するエッジ列同士の相関的な特徴を算出し、その相関的な特徴を特徴パーツ情報に追記して、特徴パーツ情報を更新する。
デフォルメ対象の地図範囲に存在する特徴パーツ同士を比較し、特徴パーツ同士の相関的な特徴として、以下を算出する。
(a)複数の特徴パーツで囲まれる領域の近似図形、形状類似性
(b)複数の特徴パーツで囲まれる領域の外接矩形の左下座標、右上座標、重心座標
、辺の長さ(縦、横)
(c)複数の特徴パーツで囲まれる領域の外接矩形の重心間距離
(d)複数の特徴パーツで囲まれる領域の面積、大きさ類似性
(e)同方向エッジ列と閉領域エッジ列との最短距離
図12には、以下の特徴パーツが含まれている。
(ア)2つの水平方向エッジ列(同方向エッジ列)
・ノードc1、n1、2、7、n4、c7からなるエッジ列
・ノードc2、n2、n3、c8からなるエッジ列
(イ)2つの垂直方向エッジ列(同方向エッジ列)
・ノードc3、n1、5、n2、c4からなるエッジ列
・ノードc5、n4、11、n3、c6からなるエッジ列
(ウ)対称性を有する特徴パーツ(非閉領域エッジ列)
・ノード1、2、3、4、5からなるエッジ列と、ノード6、7、8、9、10、
11からなるエッジ列とは、対称性がある特徴パーツ同士
・ノードn1、2、3、4、5で形成される矩形領域R1
・ノード7、8、9、10、11、n4で形成される矩形領域R2
・ノード2、3、4、5、n2、n3、11、10、9、8、7で形成される矩形
領域R3
・ノードn1、n2、n3、n4で形成される矩形領域
なお、矩形領域R3は、矩形の形状が複雑であるため処理対象外とする。
ここで、「直交方向」とは、水平方向エッジ列の場合は垂直方向、斜め方向エッジ列の場合は、斜め方向エッジ列を近似する回帰直線の傾きに直交する方向である。
図13において、Iは閉領域の重心である。水平方向エッジ列と閉領域エッジ列との最短距離はdとなる。
以上のようにして、相関的特徴抽出部6により抽出された特徴パーツ間の相関的な特徴は、特徴パーツ情報に随時追記して、記憶部1に格納されている特徴パーツ情報を更新する。
最終結果は、特徴パーツ変形部8の特徴パーツ均整変形部10に出力される。
即ち、背景設定部7は、デフォルメ対象の地図範囲において、エッジやノードの移動範囲となる背景領域のデフォルメ後の形状を設定する。
道路地図の場合、背景領域は、海や河川と陸地の境界を示す形状(陸地の輪郭形状)となる。
図14の(A)(B)において、四角形ABCDは、デフォルメ対象の地図範囲に相当し、例えば、道路地図の1メッシュである。
(A)において、領域Rは、ノードやエッジが存在する陸地の領域であり、(B)において、領域Qは、領域Rのデフォルメ後の形状を表している。
領域Rから領域Qへの変形は、自動あるいは手動で行う。
自動で行う方法として、領域Rの輪郭を構成するノードの座標に基づいて、輪郭を構成するポリラインの形状の簡略化を行い、簡略化後のエッジに対して、エッジ方向を水平、垂直、斜め45度方向などに量子化する方法がある。
手動で行う方法として、表示部15が、デフォルメ対象の地図範囲をディスプレイに表示し、ユーザが地図範囲中の領域輪郭上のノードを複数指定し、それに対応する変形後の位置をディスプレイ上で入力する方法がある。
背景設定部7により設定された背景領域は、背景端部エッジ変形部9に出力される。
以下、特徴パーツ変形部8の処理内容を具体的に説明する。
図15及び図16は背景端部エッジ変形部9によるエッジの変形を示す説明図である。
図15において、ノード1、2、3、4、5、6、7からなるエッジ列は、特徴パーツ抽出部5によって、斜め方向に滑らかに連続する道路として抽出されたエッジ列(同方向エッジ列)である。
図15(A)の領域Rは、背景設定部7によって、図15(B)の領域Qに変形されているため、この背景領域に沿ったエッジ列の変形を行う。
具体的には、ノード1、2、3、4、5、6、7からなるエッジ列を斜め方向の一直線に近似するのではなく、領域Qの輪郭形状に沿って、各エッジの方向が水平・垂直・斜め45度方向の8方向となるように方向量子化を行うことで、図15(B)のノード1’、2’、3’、4’、5’、6’、7’の変形結果を得ている。
背景領域が特に指定されていない場合、図16(B)に示すように、メッシュ等のデフォルメ対象の地図範囲を内包する四角形の領域が背景領域となる。
背景領域が四角形の場合、背景領域の端部分(下部、上部、右部、左部)では、斜め方向に連続するエッジ列が四角形の淵に沿って水平方向又は垂直方向のエッジ列となるように、斜め方向エッジ列上のノードについて移動先座標を算出する。
移動先座標の算出では、変形前の道路接続関係が崩れない範囲で、新しい移動先座標を算出する。
なお、背景領域の端部分とみなす領域は、定義ファイル等で既定しておくことができる。背景領域をディスプレイに表示して、ユーザが指定する方法でもよい。
このようにして、背景端部に存在する特徴パーツ内のノードを移動させる。新しい座標に基づいて、記憶部1に格納されている道路ネットワークデータのノード座標や、特徴パーツ情報のノード座標を更新する。
即ち、特徴パーツ同士の距離や特徴パーツ同士が形成する領域が、以下に示す「特徴パーツ均整変形の基本方針」に基づく配置となるように、特徴パーツの配置を調整しながら、特徴パーツを構成するエッジの方向を量子化して、エッジを変形させる。
a.同方向エッジ列間距離の大小関係(または比率)の保持
地図範囲中に、同方向に滑らかに連続する道路(同方向エッジ列)が複数存在する場
合、同じ方向のエッジ列間距離の大小関係(または比率)が、エッジ列変形前の該当
する道路間距離の大小関係(または比率)を保持する配置となるように、同方向エッ
ジ列を変形する。
b.同方向エッジ列間の類似性の保持
地図範囲中に、同方向に滑らかに連続する道路(同方向エッジ列)が複数存在し、こ
れらの間に類似性が見られる場合、類似性を保持して同方向エッジ列を変形する。
c.同方向エッジ列上の分岐表現
同方向エッジ列が分岐を含む場合は、分岐角度及び交差ノードと、それに接続するノ
ード間との距離に基づき、分岐元と分岐先の複数道路との配置を決定する。対称性の
ある分岐では、対称性のある配置となるように特徴パーツを変形する。分岐を含む同
方向エッジ列に関しても、上記aに示すエッジ列間距離の大小関係を保持した配置と
する。
(i)分岐先の複数の道路間で、分岐角度及び接続エッジ長が同程度である場合
複数道路間で分岐角度を等しくし、これらの道路の形状が対称となるように、特徴
パーツを構成するエッジの方向量子化を行って特徴パーツを変形する。
(ii)分岐先の複数の道路間で、分岐角度、接続エッジ長が同程度でない場合
複数の分岐先道路のうち、分岐角度が最小の分岐先道路が分岐元道路と水平直線を
形成するようにして、残りの分岐先道路を分岐角度と接続エッジ長に基づいて変形
する。
閉領域エッジ列が存在する場合や、特徴パーツ同士の交差によって領域が形成される
場合において、その領域が正方形、あるいは、その領域の縦横比が黄金比や白銀比な
ど、美しい比率として知られている比率に近い長方形である場合は、少なくともユー
ザが重要視する部分に関しては、これらの比率の矩形となるように、領域の周囲の特
徴パーツの配置を決定し、特徴パーツ内のエッジ方向を量子化する。
ここで、黄金比は、1:(1+√5)/2であり、白銀比は、1:√2である。
長方形の比率は、黄金比や白銀比に限らず、デザイン的に美しいとして知られている
他の比率を使用してもよい。
)の保持
閉領域同士や、特徴パーツの交差により形成される領域同士で面積の大小関係(また
は比率)が変化しないような配置とする。ただし、ユーザが重要視する部分に関して
、エッジ列間距離を増大させる等して、意図的に大小関係(または比率)を変化させ
る場合は除くものとする。
また、閉領域や特徴パーツの交差により生じる領域を正方形又は長方形のどちらかに
特定できる場合は、変形後の形状も変形前の形状(正方形/長方形)と同じになるよ
うにする(正方形領域が長方形領域にならないようにする。その逆も同様)。
特徴パーツが対称性を有する形状の場合、対称性のある形状・配置とする。
g.特徴パーツ同士の包含関係における均整
複数の特徴パーツで囲まれる領域内に別の特徴パーツが存在する場合には、内部に含
まれる特徴パーツは、自分自身に関して算出された相関的特徴と、その外側の特徴パ
ーツが有する相関的特徴の両方を考慮した変形を行う。
ここで、「均整」とは、デフォルメ対象の地図範囲の全体的なつりあい、安定感、秩序性等が存在する状態のことである。
・元地図で正方形に近い領域の縦横比が、デフォルメ地図上では、中途半端な差を有する縦横比になっているデフォルメ地図
・元地図では、ほぼ等間隔に整然と交差する道路が、デフォルメ地図上では、間隔に曖昧な(強調変形とはとれないような)差が生じてしまって、分かり難くなっているデフォルメ地図(図17を参照)
・元地図上では、互いに付近に存在する類似形状が、デフォルメ地図上では、離れた位置となり、また、形状類似性も元地図と比べて崩れてしまっているために、元地図における特徴的な形状が分かり難くなっているデフォルメ地図
・地図全体において、余白と道路のバランスが悪いデフォルメ地図(例えば、地図右部分に無駄な余白が大きくあり、左部分の狭い範囲に道路が密集している)
図18は変形前の特徴パーツを示す説明図である。
図18では、以下の特徴パーツを含んでいるが、説明の簡単化のため、特徴パーツ上のノード以外は図示していない。
(ア)同方向エッジ列(同方向に滑らかに連続するエッジ列)
・A、B、C、D、E、F、G、Hの8個の水平方向エッジ列
ただし、水平方向エッジ列Cは、ノード1〜11からなるエッジ列であり、水平方向エッジ列Hは、ノード6、12、13、14、15、16からなるエッジ列である。
・ア、イ、ウ、エ、オ、カの6個の垂直方向エッジ列
・ノードn1〜n7からなるエッジ列
・ノードn8〜n13からなるエッジ列
(ウ)閉領域エッジ列
・ノードb、c、d、e、f、gからなるエッジ列
即ち、図19は、特徴パーツ均整変形の基本方針にしたがって、図18に示されている特徴パーツのエッジ方向を量子化するとともに、特徴パーツの形状や配置を調整した結果を示している。
図18に示されている特徴パーツの場合、相関的特徴抽出部6から出力される特徴パーツ情報には、水平方向エッジ列Cと水平方向エッジ列Hが分岐を形成していることが示される。また、分岐角度及び接続エッジ長が同程度である。
このため、特徴パーツ均整変形部10は、「特徴パーツ均整変形の基本方針」のc(i)によって、分岐先道路の形状が対称となるように変形する。
・水平方向エッジ列のエッジ列間距離の大小関係
エッジ列間距離が小さい順に以下となる。
1)エッジ列Cとエッジ列D間の距離、エッジ列Fとエッジ列G間の距離(これらは同程度)
2)エッジ列Aとエッジ列B間の距離、エッジ列Dとエッジ列E間の距離(これらは同程度)
3)エッジ列Bとエッジ列C間の距離
4)エッジ列Eとエッジ列F間の距離
・垂直方向エッジ列のエッジ列間距離の大小関係
エッジ列間距離が小さい順に以下となる。
1)エッジ列ウとエッジ列エ間の距離
2)エッジ列アとエッジ列イ間の距離、エッジ列オとエッジ列カ間の距離(これらは同程度)
図18から分かるように、水平方向エッジ列A〜Gは、左側端点のx座標がほぼ等しいことから、相関的特徴抽出部6から出力される特徴パーツ情報において、エッジ列端点近接フラグの値は“1”となっている。
同様に、水平方向エッジ列D、E、F、Gについても、エッジ列端点近接フラグの値が“1”となっているため、この情報により、水平方向エッジ列A〜Hの端点が揃うようにエッジ列の端点座標を定める(「特徴パーツ均整変形の基本方針」のbに該当)。
垂直方向エッジ列に対しても、同様に、変形前の垂直方向エッジ列間距離の大小関係を保持した配置となるように、エッジ列方向の量子化を行う(「特徴パーツ均整変形の基本方針」のaに該当)。
このうち、s1〜s4の矩形領域は、相関的特徴抽出部6により、矩形領域の近似図形が正方形として算出されているため、水平方向エッジ列及び垂直方向エッジ列の変形後の矩形領域が正方形となるように、エッジ列間距離を調整する。なお、s1〜s4の面積の大小関係も保持する(「特徴パーツ均整変形の基本方針」のeに該当)。
このとき、これらのエッジ列と周囲の水平方向エッジ列・垂直方向エッジ列とで囲まれる矩形領域(R1とR2)は、共に横長の長方形領域であるため、ノードn1〜n5からなる部分と、ノードn8〜n13からなる部分を対称的な形状として変形させる際には、変形後の矩形領域R1’とR2’も長方形となるように調整する(「特徴パーツ均整変形の基本方針」のeに該当)。
また、図18では、ノードb、c、d、e、f、gからなるエッジ列が閉領域エッジ列となっており、ノードc1、c2、c3、c4からなる矩形領域の内部に含まれている。
この状態は、基本方針のgに該当する。相関的特徴抽出部6において、閉領域エッジ列と同方向エッジ列との最短距離が算出されており、この距離が、ノードc1、c2、c3、c4からなる矩形の縦の長さに占める比率が変形後も同程度となるように閉領域エッジ列の配置を調整する(「特徴パーツ均整変形の基本方針」のgに該当)。
複数の分岐先道路のうち、分岐角度が最小の分岐先道路が、分岐元道路と水平直線を形成するようにし、残りの分岐先道路を分岐角度と接続エッジ長に基づいて変形する。
図21(A)は分岐部分を垂直方向に曲げる場合の一例であり、図21(B)は斜め45度方向に曲げる場合の一例であり、曲げ方が相違している。周囲のノードの状況やユーザ嗜好等に応じて曲げ方を変えることができる。
図18及び図20では、分岐先道路が2本の例を示しているが、3本以上の場合も同様である。
この場合においても、水平方向エッジ列間距離の大小関係、垂直方向エッジ列間距離の大小関係、特徴パーツ同士で囲まれる領域の大小関係を保持することで、全体が均一な地図(エッジ列間距離は、どの部分も大きくなって見やすいが、元地図の特徴が失われ、全体としては見難い地図)となることを回避し、地図範囲全体としての大局的な特徴を保持したデフォルメ結果を得ることができる。
同方向エッジ列の各々を、所望の一直線となるように変形させることが困難な場合には、同方向エッジ列のエッジの一部を他の量子化方向として変形してノードを迂回する。
図23(A)〜(C)は、水平方向エッジ列の変形において、別の量子化方向を混在させてエッジ列を変形している例である。
以上のようにして、特徴パーツ均整変形部10が、相関的特徴抽出部6から出力された特徴パーツ間の相関特徴を用いて、特徴パーツ均整変形の基本方針にしたがって特徴パーツを構成するエッジを変形する。
特徴パーツのエッジ列の変形に伴って、記憶部1に格納されている道路ネットワークデータのノード座標や、特徴パーツ情報のノード座標を更新する。
即ち、特徴パーツ内ノード位置調整部11は、周囲に対称となる特徴パーツが存在する場合、特徴パーツ内のノードの位置が双方の特徴パーツ間で対称となるように、特徴パーツ内のノードの移動先座標を算出する。
図24は特徴パーツ均整変形部10による特徴パーツの変形結果(図19)に対して、特徴パーツ内のノード位置を調整した結果を示している。
また、水平方向エッジ列D上のノード17(図18を参照)は、隣接する水平方向エッジ列C上のノード9(図18を参照)と近い位置に存在するため、水平方向エッジ列C内のノード調整結果に基づき、ノード9とx座標が揃う位置(図24のノード17’)にノードを移動させる。
このようにして、特徴パーツ内のノード位置を調整したノードを、図24では斜線で示している。
特徴パーツ内ノード位置調整部11によるノードの移動に伴って、記憶部1に格納されている道路ネットワークデータのノード座標や、特徴パーツ情報のノード座標を更新する。
以下、局所変形部12の処理内容を具体的に説明する。
即ち、接続エッジ変形部13は、接続エッジのエッジ方向及びエッジ長を、付近の他の接続エッジのエッジ方向及びエッジ長と比較し、その比較結果にしたがって接続エッジを変形する。
接続エッジの変形の具体例は以下の通りである。
接続エッジのエッジ方向とエッジ長が同程度の接続エッジが付近に存在する場合、それらのエッジ長とエッジ方向が揃うように、接続ノードの移動先座標を定める。
例えば、図25(A)において、ノード1〜5からなる直線は、水平方向の同方向エッジ列(特徴パーツ)である。ノードa、b、cは、特徴パーツに接続されている接続ノードである。
これらの接続ノードと特徴パーツ上のノード2、3、4とを結ぶエッジE1、E2、E3は、どれもエッジ方向が垂直方向に近く、エッジ長がほぼ同程度であることから、エッジE1、E2、E3の長さを等しくし、エッジ方向が垂直となるように接続ノードa、b、cの座標を定める。
この結果、図25の(B)の状態となる。なお、ノードの移動先座標算出では、上述したように、元の道路接続関係が変化してしまう場合は、別の移動先座標を算出する。
接続エッジのエッジ長が同程度で、接続エッジの方向が対称的な方向のエッジが周辺に存在する場合(例えば、斜め45度方向と斜め135度方向)、これらの接続エッジが対称的な配置となるように接続エッジを変形する。
例えば、図26(A)において、ノード1〜4からなるエッジ列は、水平方向の同方向エッジ列であり、エッジE1、E2は、特徴パーツである同方向エッジ列に接続されている接続エッジである。
エッジE1とエッジE2の長さが同程度であり、対称的なエッジ方向であることから、図26(B)に示すように、接続エッジE1、E2上のノードa、bのノード座標を算出して、接続エッジを変形する。
接続エッジ変形部13による接続エッジの変形では、接続エッジ上のノード座標に関して、記憶部1に格納されている道路ネットワークデータのノード座標を更新する。
即ち、局所エッジ変形部14は、特徴パーツに接続されている接続エッジの変形結果を反映して、特徴パーツ以外のエッジであり、かつ、接続エッジ以外のエッジを変形する。
具体的には、図27の例では、特徴パーツに接続されている接続エッジ以外のエッジは、エッジE3、E4であり、どちらも垂直方向に近い方向であることから、エッジ方向が垂直方向となるように、ノードc、dの移動先座標を算出し、エッジE3、E4を変形する。
図27では、ノードc、ノードdの先にノードが接続されていないが、この先にノードが接続されている場合は、順次、それらのノード間のエッジ方向に基づき、特徴パーツ以外のエッジであり、かつ、接続エッジ以外のエッジを変形する。
変形後のノード座標に基づき、記憶部1に格納されている道路ネットワークデータのノード座標を更新する。
上記実施の形態1では、特徴パーツを均整が取れた形状や配置にするための方針として、同方向エッジ列間距離の大小関係や、同方向エッジ列間の類似性などを保持するものについて示したが、上記実施の形態1で示している基本方針の全ての項目を適用する必要はなく、ユーザが重要視する項目だけを満たすように、特徴パーツを変形するようにしてもよい。
また、上記実施の形態1で示している条件以外の条件を用いて、特徴パーツを変形するようにしてもよい。
例えば、特徴パーツ均整変形部10が特徴パーツを変形する際、エッジ列が分岐する部分について、その曲がり開始箇所が揃った変形を実現するようにしてもよい。
具体的には、図20の例では、ノード4とノード5間の距離と、ノード4とノード9間の距離とが異なっているが、ノード4とノード5間の距離と、ノード4とノード9間の距離とが同じになるように、特徴パーツを変形するようにする。
即ち、ノードとリンクからなるネットワーク構造を有するネットワークデータで表わされるものであれば、デフォルメ対象として適用することができる。
これにより、ユーザが重要視する部分について、より均整の取れたデフォルメ地図を生成することができる。
Claims (12)
- 地図データを記憶している地図データ記憶手段と、上記地図データ記憶手段により記憶されている地図データの中から、デフォルメ対象の地図範囲における大局的な特徴を醸し出している特徴的形状を形成している地図データを特徴パーツとして抽出するとともに、複数の特徴パーツ間の相関的な特徴を抽出する大局的特徴抽出手段と、上記大局的特徴抽出手段により抽出された特徴パーツ間の相関的な特徴を考慮して上記特徴パーツを変形することで、デフォルメ対象の地図範囲の全体として均整の取れる位置に上記特徴パーツを移動させる特徴パーツ変形手段と、上記特徴パーツ変形手段により変形された特徴パーツを構成しているエッジ以外のエッジを付近のエッジとの関係を考慮して変形する局所変形手段とを備え、
上記大局的特徴抽出手段は、大局的な特徴を醸し出している特徴的形状を形成している地図データとして、同方向に滑らかに連続する形状、同方向ではないが滑らかに連続する形状、あるいは、閉領域とみなせる形状を形成している地図データを特徴パーツとして抽出するとともに、複数の特徴パーツ間の相関的な特徴として、複数の特徴パーツ間の距離の比率又は大小関係、複数の特徴パーツ間の面積の比率又は大小関係、複数の特徴パーツ間の対称性、あるいは、複数の特徴パーツ間の類似性を抽出し、
上記特徴パーツ変形手段は、上記大局的特徴抽出手段により抽出された特徴パーツ間の相関的な特徴である複数の特徴パーツ間の距離の比率又は大小関係、複数の特徴パーツ間の面積の比率又は大小関係、複数の特徴パーツ間の対称性、あるいは、複数の特徴パーツ間の類似性を保持するように、上記特徴パーツを変形することで、デフォルメ対象の地図範囲の全体として均整の取れる位置に上記特徴パーツを移動させることを特徴とするデフォルメ地図生成装置。 - 地図データ記憶手段により記憶されている地図データに対する間引き処理及び統合処理を実施して、上記地図データの簡略化を図り、簡略化後の地図データを大局的特徴抽出手段に出力する簡略化手段を設けたことを特徴とする請求項1記載のデフォルメ地図生成装置。
- 特徴パーツの移動可能な範囲である背景領域を設定する背景設定手段を設け、特徴パーツ変形手段が上記背景設定手段により設定された背景領域の範囲内で上記特徴パーツを移動させることを特徴とする請求項1または請求項2記載のデフォルメ地図生成装置。
- 大局的特徴抽出手段は、大局的な特徴を醸し出している特徴的形状として、同方向に滑らかに連続する形状、同方向ではないが滑らかに連続する形状、あるいは、閉領域とみなせる形状を設定する特徴的形状設定部と、地図データ記憶手段により記憶されている地図データの中から、上記特徴的形状設定部により設定された特徴的形状を形成している地図データを特徴パーツとして抽出する特徴パーツ抽出部と、上記特徴パーツ抽出部により抽出された複数の特徴パーツ間の相関的な特徴として、複数の特徴パーツ間の距離の比率又は大小関係、複数の特徴パーツ間の面積の比率又は大小関係、複数の特徴パーツ間の対称性、あるいは、複数の特徴パーツ間の類似性を抽出する相関的特徴抽出部とから構成されており、
特徴パーツ変形手段は、上記特徴パーツ抽出部により抽出された特徴パーツのうち、背景設定手段により設定された背景領域の端部に存在している特徴パーツを構成しているエッジを変形するエッジ変形部と、上記相関的特徴抽出部により抽出された特徴パーツ間の相関的な特徴である複数の特徴パーツ間の距離の比率又は大小関係、複数の特徴パーツ間の面積の比率又は大小関係、複数の特徴パーツ間の対称性、あるいは、複数の特徴パーツ間の類似性を保持するように、上記特徴パーツ抽出部により抽出された特徴パーツを変形することで、デフォルメ対象の地図範囲の全体として均整の取れる位置に上記特徴パーツを移動させる特徴パーツ均整変形部と、上記特徴パーツ抽出部により抽出された特徴パーツを構成しているノードの位置を調整するノード位置調整部とから構成されており、
局所変形手段は、上記特徴パーツ変形手段により変形された特徴パーツに接続されているエッジである接続エッジを、他の接続エッジとの関係を考慮して変形する接続エッジ変形部と、上記特徴パーツを構成しているエッジ以外のエッジであり、かつ、上記接続エッジ以外のエッジを変形する局所エッジ変形部とから構成されていることを特徴とする請求項3記載のデフォルメ地図生成装置。 - 特徴パーツ抽出部は、エッジの量子化方向に対する角度定義と、隣接しているエッジ間の接続角度とから同方向に滑らかに連続している形状を判定することを特徴とする請求項4記載のデフォルメ地図生成装置。
- 特徴的形状設定部は、デフォルメ対象の地図範囲が複数存在する場合、各地図範囲毎に、大局的な特徴を醸し出している特徴的形状を設定することを特徴とする請求項4記載のデフォルメ地図生成装置。
- 特徴パーツ均整変形部は、特徴パーツ抽出部により抽出された特徴パーツを構成しているエッジの方向に応じて、上記特徴パーツを構成しているエッジ列を変形することを特徴とする請求項4記載のデフォルメ地図生成装置。
- 特徴パーツ均整変形部は、同方向に滑らかに連続する2つのエッジ列が交差して、分岐形状を形成している場合、その分岐部分で交差している2つのエッジ列がなす角度と、その分岐部分のノードである交差ノードと当該交差ノードに接続されている分岐先のノードである接続ノード間の距離とに応じて、その分岐部分を含む特徴パーツの変形を行うことを特徴とする請求項4記載のデフォルメ地図生成装置。
- 特徴パーツ均整変形部は、特徴パーツ抽出部により抽出された特徴パーツを変形する際、上記特徴パーツがノードの密集領域に存在している場合、上記特徴パーツを構成するエッジ列の一部を曲げてノードを迂回するエッジ列の変形を行うことを特徴とする請求項4記載のデフォルメ地図生成装置。
- 特徴パーツ均整変形部は、特徴パーツ抽出部により抽出された特徴パーツを変形する際、変形後の特徴パーツによる形状が正方形、あるいは、黄金比又は白銀比の長方形と近似するように特徴パーツを変形することを特徴とする請求項4記載のデフォルメ地図生成装置。
- 特徴パーツ均整変形部は、特徴パーツ抽出部により同方向に滑らかに連続する形状を形成している特徴パーツが抽出された場合、複数の特徴パーツ間の距離の大小関係を維持しつつ、上記特徴パーツを直線で近似する変形を行うことを特徴とする請求項4記載のデフォルメ地図生成装置。
- 特徴パーツ均整変形部は、特徴パーツ抽出部により抽出された2つの特徴パーツの形状が対称的である場合、形状の対称性を維持しつつ、上記特徴パーツを変形することを特徴とする請求項4記載のデフォルメ地図生成装置。
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