以下、図面を参照しつつ本発明の実施例を説明する。
先ず、図1〜図4に於いて、本発明が実施される多燃料用バーナ装置の一例を説明する。図示される多燃料用バーナ装置1は、低カロリガスと高カロリガスの2種のガスを燃焼させる様になっており、又中心位置に油を燃焼させる油バーナ45が設置された多燃料用バーナ装置となっている。
尚、図中、2はボイラ炉壁、3はボイラ炉壁に設けられた伝熱管を示している。尚、図1〜図3に於いて、図中右側が炉心側であり、以下の説明では、炉心側を前端、反炉心側を後端とする。
前記ボイラ炉壁2にスロート4が設けられ、該スロート4と同心に前記多燃料用バーナ装置1が設けられる。該多燃料用バーナ装置1は主にバーナ5と該バーナ5の先端部を囲む様に設けられた燃焼空気調整装置6から構成されている。
該燃焼空気調整装置6は、後述する様に、前記スロート4と同心に設けられたウインドボックス7、第1空気調整部8、第2空気調整部9を具備し、ダクトフランジ10を介して図示しない燃焼用空気供給源に接続されている。又、前記燃焼空気調整装置6は他の燃焼空気調整装置6と前記ダクトフランジ10を介して接続可能であり、前記多燃料用バーナ装置1は前記ダクトフランジ10を介して連設可能となっている。
前記ウインドボックス7は前記バーナ5の周囲にダクト空間11を形成し、前記第1空気調整部8は前記バーナ5の先端部に同心円状に設けられ、前記第2空気調整部9は前記第1空気調整部8より先端側に、前記バーナ5の先端の周囲を囲繞する様に設けられている。
前記ウインドボックス7の前記スロート4と対向する面は正面板12となっており、該正面板12には前記ウインドボックス7からの輻射熱を遮断し、前記ウインドボックス7の高温空気からの断熱の目的で断熱材13が設けられている。又、前記正面板12の中心部には円筒状のバーナ固定フランジ14が設けられ、該バーナ固定フランジ14に前記バーナ5が固定されている。
先ず、該バーナ5について説明する。
該バーナ5は多重円筒構造を有し、前記スロート4に向け開口する外筒ノズル15と前記スロート4に向け開口する内筒ノズル16との2重筒構造となっている。前記外筒ノズル15及び前記内筒ノズル16は第1ガスバーナノズルを構成している。
前記外筒ノズル15はノズル前端部17と外筒ノズル本体18の2分割構造であり、前記ノズル前端部17は耐腐食性金属製となっている。又、該ノズル前端部17と前記外筒ノズル本体18とはフランジ部19によって締結されているが、前記外筒ノズル本体18の前端部はテーパ形状となっており、前記フランジ部19の外径は前記外筒ノズル本体18の外径よりも小さくなっている。尚、前記フランジ部19は前記バーナ固定フランジ14を通過できればよいので、前記フランジ部19の外径は前記バーナ固定フランジ14の内径より小さければよい。
前記外筒ノズル本体18の後端を閉塞する端板21は、軸心に対して傾斜しており、前記外筒ノズル本体18の後端部の前記端板21が前記正面板12から離反する部分に第1燃料ガス導入口22が設けられている。該第1燃料ガス導入口22は図示しない第1ガス供給源に接続され、該第1燃料ガス導入口22より第1燃料ガス23が供給される。該第1燃料ガス23は、例えば500kcal/m3 〜600kcal/m3 程度の自燃できない低カロリガスとなっている。尚、前記第1燃料ガス23には燃焼安定化の為の蒸気を注入可能となっており、例えば、前記第1燃料ガス導入口22に蒸気噴出ノズル(図示せず)が設けられる。
前記外筒ノズル15の中途部、即ち前記正面板12より後端側の位置に固定フランジ24が設けられ、該固定フランジ24は前記バーナ固定フランジ14に締結可能である。従って、前記外筒ノズル15は反炉心側から前記バーナ固定フランジ14に挿通され、前記固定フランジ24が前記バーナ固定フランジ14に固定されることで、前記外筒ノズル15が前記正面板12に固定される様になっている。
前記内筒ノズル16は、前記外筒ノズル15の内部に該外筒ノズル15と同心に配置され、後端部が前記端板21に固着される。前記内筒ノズル16の先端は前記ノズル前端部17に内嵌し、先端の半径方向は該ノズル前端部17によって位置決めされるが、先端は軸心方向について変位が自在となっている。前記内筒ノズル16と前記外筒ノズル15との間には筒状の空間が形成され、該空間は前記第1燃料ガス23の導入流路25となっている。
前記内筒ノズル16と前記外筒ノズル15との間に円筒管である3次空気導入ダクト26が半径方向に設けられる。該3次空気導入ダクト26は、前記ダクト空間11の内周面に開口する3次空気導入口30を形成し、前記正面板12より前端側の、更に円周所要等分した位置に設けられ、前記内筒ノズル16の内部と前記ダクト空間11とを連通する。
又、前記内筒ノズル16の前記外筒ノズル本体18先端部のテーパ部と対向する部分は同様にテーパ部となっており、又該テーパ部より前端側に位置する内筒前端部27は直円筒形状となっている。
前記内筒ノズル16は前記端板21と前記3次空気導入ダクト26によって前記外筒ノズル本体18に支持される。前記内筒ノズル16の前記端板21と前記3次空気導入ダクト26との間には伸縮可能なエキスパンション28が設けられ、前記外筒ノズル15と前記内筒ノズル16間の熱膨張差は前記エキスパンション28によって吸収される様になっている。
前記内筒ノズル16の後端は、端板を兼ねるバーナ支持部29によって閉塞されている。該バーナ支持部29は軸心方向に沿って3層構造となっており、前端層は断熱層31、又中間層は中間室32、後端層は後端室33であり、前記中間室32、前記後端室33は中空となっている。
前記内筒ノズル16の内部には該内筒ノズル16の軸心と平行な棒状の第2ガスバーナノズル34が複数、例えば4本、スパットバーナとして設けられている。該第2ガスバーナノズル34は、前記バーナ支持部29を水平方向に貫通し、又同一円周上に左右対称に配設され、ノズルホルダ35を介して前記バーナ支持部29に気密に取付けられている。又、前記内筒ノズル16の内面からノズルサポート40が中心に向けて突設され、該ノズルサポート40に前記第2ガスバーナノズル34が抜差し可能に挿通し、前記ノズルサポート40によって前記第2ガスバーナノズル34の中途部が支持されている。又、前記ノズルサポート40のノズル支持部は筒体であり、又両端部が拡大した形状となっており、両端部は前記第2ガスバーナノズル34が前記ノズルサポート40に挿入する際のガイドとなっている。
前記第2ガスバーナノズル34は2重管構造であり、該第2ガスバーナノズル34の内部に収納されるノズル内管36は連結管37を介してリングヘッダ38に連結されている。前記連結管37はU字状に屈曲され、後端側から着脱作業が可能であると共に後端側に取外しが可能となっている。
又、図5に示される様に、前記第2ガスバーナノズル34の先端は前記スロート4迄達し、先端部は所要の角度θで斜に切断された形状をしており、先端の斜面には所要数、例えば5〜8のガス噴出孔56が前記斜面に対して垂直に穿設されている。更に、先端の斜面は前記スロート4の中心に向う様に、更に半径線に対して所定角度傾斜しており、後述する様に、前記第2ガスバーナノズル34からの噴出ガスの噴出方向、即ち噴出ガスによって形成される火炎が互いに交差する様に、例えば第2ガスバーナノズル34が4本であれば、火炎が井桁状となる様に前記斜面の向きが設定されている。
又、前記斜面の角度θ、更に斜面の向きを調整することで、燃焼振動を抑制することができ、燃焼振動が発生しない斜面の角度、斜面の向きが選択される。
前記リングヘッダ38は前記バーナ支持部29に設けられ、前記リングヘッダ38には第2燃料ガス供給管39が連通し(図4参照)、前記リングヘッダ38は前記第2燃料ガス供給管39を介して図示しない第2燃料ガス源に接続され、該第2燃料ガス源から前記リングヘッダ38に第2燃料ガス41が供給され、更に前記リングヘッダ38から複数の前記ノズル内管36に第2燃料ガス41が分配して供給される。前記ノズル内管36に前記リングヘッダ38を介して第2燃料ガス41を供給することで、特に流量調整弁等を用いることなく、複数の前記ノズル内管36に均等に前記第2燃料ガス41が供給される。
ここで、該第2燃料ガス41としては、例えば2000〜10000kcal/m3 程度の自燃可能な高カロリガスとなっている。
前記第2ガスバーナノズル34は前記ノズル内管36の周囲に、又全長に亘って間隙(図示せず)が形成される構造となっており、該間隙は前記ノズルホルダ35に穿設された連絡孔42を介して前記後端室33に連通している。又、該後端室33には冷却空気供給管43が連通され、該冷却空気供給管43は図示しない冷却空気供給源に接続され、前記後端室33には前記冷却空気供給管43を介して冷却空気44が供給される。該冷却空気44は前記連絡孔42を通って前記第2ガスバーナノズル34内部の間隙を流れ、該第2ガスバーナノズル34を冷却しつつ、該第2ガスバーナノズル34の先端から流出する様になっている。
次に、図11を参照して前記油バーナ(低カロリガス助燃バーナ)45について説明する。
該油バーナ45は、前記バーナ支持部29の中心部を貫通し、前記内筒ノズル16の軸心に沿って延出する様に配設され、前記油バーナ45は油バーナサポート46を介して前記バーナ支持部29に取付けられている。
前記油バーナサポート46は、筒体であり、後端が前記バーナ支持部29に片持支持され、該バーナ支持部29から前方に所定長さ延出している。前記油バーナ45は、前記油バーナサポート46を摺動自在に貫通し、前記スロート4迄延出している。
前記油バーナサポート46は後端部にコネクタ55を有すると共に前端部にはノズルチップ108を有し、前記ノズルチップ108は複数の噴出口109が穿設され該噴出口109からは油と蒸気/空気が噴出される様になっている。尚、図示していないが、前記コネクタ55と油供給管(図示せず)及び蒸気/空気供給管(図示せず)とはカップリング等により容易に着脱できる様になっている。
又、前記油バーナ45は中空管である油バーナ管111と、該油バーナ管111に内部収納され、前記コネクタ55と前記ノズルチップ108とを接続する油導管112、前記コネクタ55と前記ノズルチップ108とを接続する蒸気導管113とを有する。前記油導管112、前記蒸気導管113はそれぞれ前記コネクタ55を介して前記油供給管及び蒸気供給管に連通している。
前記油導管112、前記蒸気導管113の何れか一方には所定間隔で駒114が設けられ、他方は該駒114を遊貫している。前記油導管112、前記蒸気導管113は前記駒114によって、前記油バーナ管111の内部で半径方向には変位が拘束される。又、前記駒114を貫通して前記油バーナ管111の略全長に亘る長さを有する補強管115が設けられる。
尚、前記ノズルチップ108及び前記駒114と前記油バーナ管111との拘束はなく、前記油バーナ管111、前記油導管112、前記蒸気導管113はそれぞれ軸心方向に相対変位が可能となっている。前記油バーナ管111、前記油導管112、前記蒸気導管113間の相対変位を可能とすることで、熱膨張差による変形等が防止される。前記駒114は、円周所要箇所に凹部(図示せず)が形成され、前記駒114によって仕切られる空間同士は前記凹部を介して連通する様になっている。
前記油バーナ管111と前記油導管112、前記蒸気導管113との間には間隙が形成され、該間隙を通って冷却空気が流通する様になっている。
前記油バーナ45は前記油バーナサポート46によって支持されると共に該油バーナサポート46にはシール部材が設けられ、前記油バーナ45と前記油バーナサポート46との間はシールされている。更に、前記油バーナ45と前記油バーナサポート46との間には間隙(図示せず)が形成され、該間隙と前記中間室32とは連絡管48によって接続され、後述する様に間隙にはシールガス50が供給される。
前記中間室32にはシール空気供給管47が連通され、該シール空気供給管47は図示しないシールガス供給源(図示せず)に接続されている。該シールガス供給源から前記シール空気供給管47を経て前記中間室32にシールガス50が供給され、前記中間室32から前記連絡管48を通ってシールガス50が前記油バーナサポート46と前記油バーナ45との間に供給される。前記シールガス50によって該油バーナサポート46と前記油バーナ45との間がガスシールドされる。前記シールガス50が供給されることで、シール性が高まり、又冷却効果が高められる。
該油バーナ45の先端には円板形状のスワラ49が固着されている。
該スワラ49は、前記ノズル前端部17に内嵌する外周リング、前記油バーナ45の先端部に外嵌する中心筒部62及び該中心筒部62と前記外周リングとの間に放射状に、所要枚数設けられた旋回羽根を有しており、前記油バーナ45の先端部は前記中心筒部62を貫通している。
尚、前記中心筒部62と前記油バーナ45とは、所要の固定手段によって固定されている。固定手段としては、例えば、前記中心筒部62に取付けたロックボルト等の固定手段によって固定され、或は前記油バーナ45と前記中心筒部62とを螺子結合とする。前記スワラ49と前記油バーナ45が固定手段により一体化され、前記スワラ49は前記油バーナ45が進退される場合に、該油バーナ45と一体に進退する。
尚、前記油バーナ45と前記中心筒部62とを螺子結合とすると、前記油バーナ45を回転することで、該油バーナ45を前記中心筒部62から取外せ、該油バーナ45のみを後述する様に引抜くことができる。
又前記スワラ49は、旋回羽根によって該スワラ49を通過するガスに旋回流を与え、前記油バーナ45から噴出される油と燃焼空気の混合を促進し、或は前記第2ガスバーナノズル34から噴出される高カロリガスと燃料ガスとの混合を促進する保炎作用を有する。
従って、前記油バーナ45は、前記油バーナサポート46によって支持され、又前記スワラ49を介して前記内筒前端部27に支持されている。尚、前記第2ガスバーナノズル34の先端部が前記スワラ49を貫通して、前記スロート4迄突出しており、前記スワラ49は前記第2ガスバーナノズル34と干渉しない様に逃げ部51が形成されている。
前記油バーナ45の後端部は連結部52を介して直動アクチュエータ、例えばエアシリンダ53に連結されている。
前記連結部52は、前記エアシリンダ53のロッド61に連結され、前記油バーナ45が嵌通する筒体の連結部57を有する。該連結部57と前記油バーナ45とは溶接、ロックボルト、係止ピン等の固着手段で固定されている。
前記エアシリンダ53が駆動され、前記ロッド61が伸長すると、前記連結部52を介して前記油バーナ45が前記油バーナサポート46に案内されて後退し、前記ロッド61の短縮で前記油バーナ45が前進する。又、該油バーナ45の進退と一体に前記スワラ49が前記内筒前端部27に案内されて進退する。前記油バーナ45の進退は、該油バーナ45が前記油バーナサポート46に案内され、更に前端部が前記スワラ49を介して前記ノズル前端部17に案内されるので、移動は円滑に行われる。
又、前記ロッド61の動きは、スイッチ54等の位置検出器により検出され、前記スイッチ54により前記油バーナ45の位置又は設置状態が検出される様になっており、前記油バーナ45が燃焼作動位置にセットされた時に前記スイッチ54により検出信号が発せられる様になっている。図中、2点鎖線で示すスワラ49は後退した位置を示している。
前記油バーナ45の後端には、切替弁を兼ねる流体接続用のコネクタ55が設けられ、該コネクタ55を介して油供給源及び空気供給源(いずれも図示せず)と接続されており、該コネクタ55を介して前記油バーナ45に油、又は空気、或は油と空気が選択供給可能となっている。尚、前記油バーナ45で、燃焼する液体燃料としては、重油、軽油、或はピッチ等であってもよい。
図1中、58はクリンカ監視用窓であり、前記外筒ノズル15の外方から該外筒ノズル15の軸心に対して傾斜して設けられ、前記スロート4の少なくとも一部が監視可能となっている。前記クリンカ監視用窓58によって前記スロート4にクリンカが付着したかどうかを確認することで、クリンカ付着によるバーナ焼損等のトラブルを未然に防ぐことができる。又、火炎の有無及び状況を現場にて目視で確認することができる。
又、図3中、59は火炎方向に向けられ、火炎の状態を検出、或は監視する火炎検出器であり、第1ガスバーナノズルの火炎、油火炎又は前記第2ガスバーナノズル34の少なくとも1つの火炎を監視可能となっている。尚、油火炎若しくは噴出ガスによって形成される火炎は互いに交差しており、相互の第2ガスバーナノズル34間で保炎作用があるので、1つの火炎について前記火炎検出器59によって監視しておれば、全体の火炎の燃焼状態を把握することができる。
又60は始動時に燃料を着火させる為の点火トーチであり、該点火トーチ60にはLPG等の点火用燃料ガス又は油及び燃焼用空気が供給され、又点火用燃料にスパーク等を発する着火電極が設けられ、着火時には火炎を前記スロート4に向け噴出する様になっている。
前記燃焼空気調整装置6について説明する。該燃焼空気調整装置6は、第1空気調整部8と第2空気調整部9を具備しており、先ず第1空気調整部8について説明する。
上記した様に、前記外筒ノズル15と前記内筒ノズル16との間には3次空気導入ダクト26が設けられ、該3次空気導入ダクト26が形成する3次空気導入口30によって前記ダクト空間11と前記内筒ノズル16内部とが連通している。
前記外筒ノズル本体18の先端部に円筒状のスライドダンパ63が摺動自在に外嵌する。該スライドダンパ63は前記3次空気導入口30の直径より大きい軸心方向の寸法を有し、前記スライドダンパ63の後端部はテーパ状に拡大している。又該スライドダンパ63は前記3次空気導入口30を完全に開口できると共に完全に閉塞できるだけのスライド量を有している。
前記スライドダンパ63の周囲には円環状のフランジ64が設けられており、該フランジ64に複数、本実施例では2つのスライド駆動部65が連結されている。
該スライド駆動部65は前記正面板12、前記断熱材13を軸心方向に貫通している。前記正面板12、前記断熱材13の貫通部にはロッド支持部66が設けられ、又該ロッド支持部66に支持され、摺動自在に貫通する様にロッド67が設けられている。該ロッド67の前端は前記フランジ64に連結され、前記ロッド67の後端には取手68が設けられている。
該取手68を持って前記スライド駆動部65を前後することで、前記スライドダンパ63が軸心方向に移動し、該スライドダンパ63の位置によって、該スライドダンパ63と前記3次空気導入口30の重なり量、即ち該3次空気導入口30の開口量が決定される。又、前記スライドダンパ63の位置確認できる様、前記スライド駆動部65の1つに開口量確認計69が設けられる。該開口量確認計69は前記ロッド支持部66に設けられ、メモリ指示針70及び前記ロッド67に刻設された開口メモリ(図示せず)を有し、該開口メモリは前記スライドダンパ63の位置、或は前記3次空気導入口30の開口度に対応しており、前記メモリ指示針70が目盛を指すことで、指した目盛から前記3次空気導入口30の開口量が多燃料用バーナ装置1の外部から簡単に確認できる様になっている。前記ロッド67を固定する場合は、ナット66aを締込み、シール部材を圧縮し、該シール部材を介して前記ロッド67を固定し、或は/又、押しボルトを押付けて前記ロッド67を固定する。
尚、該ロッド67はシリンダ等のアクチュエータにより移動させる様にしてもよい。或は、前記ロッド67にラックギアを設け、該ラックギアに噛合されたピニオンギアを介してモータにより前記ロッド67を進退させる様にしてもよい。
次に、前記第2空気調整部9について、図6〜図10を参照して説明する。
前記ノズル前端部17の周囲にドーナッツ形状の2次空気導入空間72を形成する様に、内部ウインドボックス73が設けられる。該内部ウインドボックス73は、概略の外形形状が円であり、反炉心(後面側)側に設けられた背面板74の中心部にドーナッツ状凹部が形成され、更に該凹部の外周を囲む環状の凸部75が形成されている。
前記内部ウインドボックス73の前面には前記スロート4と同心で同径のバーナ開口76が形成され、該バーナ開口76の周囲に前記スロート4に連続する曲面を有するスロート案内部77が設けられ、該スロート案内部77と前記背面板74の凹部周縁部に掛渡ってベーン軸78が設けられている。該ベーン軸78は前記スロート4の軸心と平行であり、円周方向所要角度ピッチで設けられ、各ベーン軸78にベーン79が回転自在に設けられ、該ベーン79相互はリンク81によって連結されている。
前記ベーン軸78の1つベーン軸78aはベーン79aと固着され、前記ベーン軸78aを回転することで、前記ベーン79aが回転し、前記リンク81を介して全てのベーン79が一体的に回転する様になっている。
前記正面板12にはベーン駆動モータ82が設けられ、該ベーン駆動モータ82の出力軸は前記正面板12、前記断熱材13を気密に貫通し、回転継手83を介して前記ベーン軸78aに連結されている。前記ベーン駆動モータ82は図示しない制御部に接続され、該制御部により、前記ベーン駆動モータ82が駆動され、前記ベーン軸78aが回転され、前記ベーン79の角度が変更される様になっている。図2中、84は前記ベーン軸78aを手動で回転する場合のハンドルである。前記ベーン駆動モータ82、前記回転継手83等は、ベーン回転駆動部を構成する。
図7、図8に示される様に、前記ノズル前端部17には外周面から軸心側に傾斜する凹溝85が形成され、該凹溝85と前記スロート案内部77との間で前記スロート4中心部に向う流路86が形成される。又、前記ノズル前端部17と前記内筒前端部27との間で前記第1燃料ガス23が噴出する吐出口87が形成されるが、該吐出口87は前記凹溝85によって周方向に分割された状態となる。
尚、図中、88は前記点火トーチ60との干渉を避ける為に形成した凹部である。
図9、図10に示される様に、前記凸部75の背面75aにリング状の回転ダンパ89が前記凸部75に摺接しつつ所要角度範囲で回転可能に設けられている。前記回転ダンパ89は、前記背面75aに座金を介してボルト90で取付けられ、該ボルト90が挿通する孔91は円周方向に長孔となっている。又、前記凸部75の外周面には所要位置、少なくとも2箇所に、ガイドローラ92が回転自在に設けられ、該ガイドローラ92は前記回転ダンパ89の外周面に転動自在に当接している。従って、前記回転ダンパ89は前記ガイドローラ92に案内され、前記長孔91の範囲で前記回転ダンパ89が回転可能となっている。
前記背面75aには、所定角度ピッチで略短冊状の開口部A93が穿設され、又前記回転ダンパ89には前記開口部A93と同一ピッチで同一形状の開口部B94が穿設され、前記回転ダンパ89の回転範囲で、前記開口部A93が全開、全閉の状態が得られる様になっている。尚、図示では、前記開口部A93が半開状態となっている。
前記回転ダンパ89の内周面には中心に向って突設する一対のブラケット95が対峙して立設され、該ブラケット95間に偏心カム96が嵌合されている。該偏心カム96の回転軸97は前記凸部75内周面に回転自在に支持され、前記回転軸97は回転継手98を介して回転ダンパ回転軸99に連結されている。該回転ダンパ回転軸99は前記正面板12、前記断熱材13を気密に貫通し、前記正面板12に支持されている回転ダンパ回転入力部101に連結されている。
該回転入力部101は、例えばウォーム減速機であり、図示してないがハンドルにより入力軸102を回転させることで、前記回転ダンパ回転軸99が回転し、前記回転継手98を介して前記偏心カム96を回転し、更に前記ブラケット95を介して前記回転ダンパ89が回転する様になっている。前記回転入力部101、前記回転継手98、前記偏心カム96等は、回転ダンパ駆動部を構成する。
尚、前記回転入力部101をモータ等のアクチュエータを具備する構成とし、前記回転ダンパ89の外周或は内周にギアを設け、又前記回転軸97に駆動ギアを設け、該駆動ギア、前記ギアを介して前記回転ダンパ89を自動で回転させる様にしてもよい。
又、前記回転入力部101の回転ダンパ回転軸99突出位置に、回転目盛103を設け、前記回転ダンパ回転軸99の突出端に角度指示針104を設け、前記回転ダンパ89の回転位置、即ち前記開口部A93の開度を示す様にしてもよい。又、該開口部A93は多燃料用バーナ装置1の外部に露出しており、前記開口部A93の開度は簡単に確認することができる。
更に、前記凸部75の外周面、内周面にパンチングメタル等の多孔穿設板を用い、前記2次空気導入空間72に前記凸部75の背面、外周面、内周面の3面から燃焼用空気を取入れる様にしてもよい。前記多孔穿設板は、前記回転ダンパ89を通過する空気の圧損と前記凸部75の外周面、内周面を通過する空気の圧損とのバランス調整をして、前記回転ダンパ89による流量調整を有効にするものである。尚、前記凸部75の外周面、内周面の多孔部分は、別途設けた閉塞板(図示せず)により、閉塞可能としてもよい。
以下、上記多燃料用バーナ装置1の作用について説明する。
先ず、前記エアシリンダ53を短縮し、前記油バーナ45を点火位置迄前進させる。所定位置に到達したかどうかは、前記スイッチ54からの信号によって確認される。
又、使用される燃料ガスに対応して、前記スライド駆動部65により前記スライドダンパ63の位置を調整して前記3次空気導入口30の開口度を設定し、前記回転入力部101を介して前記回転ダンパ89の回転を調整して前記開口部A93の開口度を設定し、更にベーン駆動モータ82を駆動して前記ベーン79の角度を設定する。
前記ダクトフランジ10から前記ダクト空間11に燃焼用空気が供給される。
前記ダクト空間11に流入した燃焼用空気の一部は、前記スライドダンパ63により流量が調整され、前記3次空気導入口30より前記内筒ノズル16の内部に流入し、軸心方向の流れとなって前記スワラ49に至り、該スワラ49を通過することで、旋回が与えられて油バーナ45の周囲から、又前記第2ガスバーナノズル34の中心から3次空気107として噴出する。
第1燃料ガス導入口22から低カロリの前記第1燃料ガス23が供給され、前記第2燃料ガス供給管39から高カロリの前記第2燃料ガス41が供給される。
前記油バーナ45から油が噴出され、前記点火トーチ60によって油が点火される。
前記油バーナ45によって油が燃焼することで又は点火トーチ60の点火によって、前記第2ガスバーナノズル34から噴出される第2燃料ガス41に着火される。前記第2ガスバーナノズル34によって形成される火炎は、第2ガスバーナノズル34相互で交差する様に設定されているので、1つの第2ガスバーナノズル34に着火し、燃焼が行われることで、他の第2ガスバーナノズル34についても着火を誘引し、燃焼状態に至る。又、1つが失火したとしても、他の第2ガスバーナノズル34の火炎が火種となって、再び燃焼状態に至る。
前記第1燃料ガス導入口22からは前記第1燃料ガス23が供給され、該第1燃料ガス23は前記端板21に沿って軸方向の流れとなり、前記内筒ノズル16と前記外筒ノズル15間の前記導入流路25を通って、前記凹溝85によって分流され、前記吐出口87より噴出する。
前記ダクト空間11に流入した燃焼用空気の残りは、前記回転ダンパ89により流量が調整され、前記2次空気導入空間72に流入し、前記ベーン79によって旋回が与えられ、前記スロート4に向って2次空気106として流出する。該スロート4の流出の過程で、前記ノズル前端部17には前記凹溝85が形成されているので、より多くの燃焼用空気が前記凹溝85より流出する。従って、該凹溝85は分流作用があり、前記第2ガスバーナノズル34へ積極的に2次空気106が供給され、前記第2燃料ガス41の燃焼を促進する。
又、前記凹溝85を流出する2次空気106は、分流された低カロリの前記第1燃料ガス23の流れに割込む様に流出するので、前記第1燃料ガス23と2次空気106との混合が促進される。更に、分流した前記第1燃料ガス23の流れに隣接して前記第2ガスバーナノズル34による火炎、又は油バーナ45による火炎、又は両方の火炎がそれぞれ形成される為、前記第1燃料ガス23に対する前記第2ガスバーナノズル34の火炎による助燃作用が増大し、前記第1燃料ガス23の良好な燃焼状態が得られる。
上記した様に、2次空気106、3次空気107は同一のウインドボックス7を介して供給され、更に2次空気106、3次空気107はここで流量調整可能としたので、ボイラ全体の燃焼空気の制御系に外乱を与えることなく多燃料用バーナ装置1単体でそれぞれ最適な燃焼用空気の供給が可能となる。
燃料供給若しくは燃焼が開始されることで、前記外筒ノズル15と前記内筒ノズル16間で温度差が生じ、温度差に基づく熱膨張差が発生する。又、前記内筒ノズル16は前記端板21と前記3次空気導入ダクト26によって前記外筒ノズル15に拘束されているが、この熱膨張差は前記エキスパンション28の伸縮によって吸収される。
燃焼状態は、前記火炎検出器59によって確認され、前記第1燃料ガス23が安定燃焼状態となると、前記油バーナ45による燃焼を停止することも可能である。前記エアシリンダ53が駆動され、前記油バーナ45が前記スワラ49と共に後退され、該スワラ49、前記油バーナ45の熱損傷が防止される。
又、前記第2ガスバーナノズル34は上記した様に2重管構造となっており、前記連絡孔42を介して冷却空気44が内部を前端に向って流れ、更に前端から流出する。前記冷却空気44によって、前記第2ガスバーナノズル34、特に先端部が冷却され、該第2ガスバーナノズル34の焼損防止若しくは熱応力を低減して延命化が図れる。
而して、自燃ができない低カロリの燃料ガスの燃焼が可能となり、副生ガスの有効利用が図れる。
次に、前記第2燃料ガス41の供給がない場合、或は高カロリガスの燃焼だけでは、前記第1燃料ガス23(低カロリガス)の助燃が不充分である場合は、助燃の為、前記油バーナ45による燃焼が継続される。
尚、本実施例では、下記に示す燃焼パターンでの燃焼が行える。
パターン1(油 + 低カロリガス)
パターン2(油+高カロリガス + 低カロリガス)
パターン3(高カロリガス + 低カロリガス)
パターン4(油/高カロリガス)
次に、上記多燃料用バーナ装置1の保守について説明する。
先ず、前記第2ガスバーナノズル34の保守を行う場合は、対象となる第2ガスバーナノズル34に連結されている連結管37を取外す。該連結管37を取外すことで、前記第2ガスバーナノズル34を固定するものはなくなり、該第2ガスバーナノズル34は後端方向に引抜くことができる。
保守の完了した第2ガスバーナノズル34を装着する場合は、上記手順の逆を行えばよく、作業は極めて簡単である。
又、前記第2ガスバーナノズル34の引抜き、挿入の作業で、前記ノズルサポート40からの離脱、該ノズルサポート40への嵌入は前記ノズルサポート40のノズル支持部の両端部がテーパ状に拡大しているので、嵌脱は容易に行える。更に、前記第2ガスバーナノズル34が前記ノズルホルダ35と前記ノズルサポート40によって支持されるので、第2ガスバーナノズル34と前記スワラ49との嵌合が容易となる。
次に、前記油バーナ45の保守を行う場合は、前記連結部55の固定を解除する。
保守の完了した油バーナ45を装着する場合は、上記手順の逆を行えばよく、作業は極めて簡単である。
更に、大規模な保守を行う場合、多燃料用バーナ装置1に対して接続された配管系を切離せば、前記バーナ5を固定するものは、前記固定フランジ24部分のみであり、炉外部から前記固定フランジ24の切離しが行え、更に、前記外筒ノズル15は前端側に向って外径が漸次減少しているので、前記バーナ5は分解等する必要なく、後端側に引出すことができる。
前記油バーナ45と前記中心筒部62とをロック螺子等の手段で固定した場合では、前記バーナ5を引出した状態で、前記中心筒部62と前記油バーナ45との固定、及び前記連結部57と前記油バーナ45との固定を解除すると、前記油バーナ45を前記バーナ5から引抜くことができる。更に、前記第2ガスバーナノズル34を個々に前記バーナ5から取外すことができる。
更に又、高熱で腐食を受け易い前記ノズル前端部17についても、前記フランジ部19部分で前記外筒ノズル本体18から切離すことができ、交換は容易である。
上述した様に、前記第2ガスバーナノズル34、前記油バーナ45の着脱が容易で、単体での保守作業が簡単に行え、又前記バーナ5についての作業を完了した状態で、炉体に取付けることができ、前記バーナ5について狭小な場所での作業がなくなり、やはり作業性が向上する。