以下、本発明の一実施の形態であるパチンコ機1について、図面を参照して説明する。まず、パチンコ機1の機械的構成について、図1から図3を参照して説明する。
図1に示すように、パチンコ機1の上半分の部分には遊技盤2が設けられている。遊技盤2は略正方形であり(図2参照)、透明なガラス板を保持したガラス枠13によって前面を保護されている。遊技盤2の下方部には、発射機に遊技球を供給し、且つ賞品球を受ける上皿5が設けられている。上皿5の直下には、賞品球を受ける下皿6が設けられている。下皿6の右横には、遊技球の発射を調整する発射ハンドル7が設けられている。ガラス枠13の上方の左右の角にはスピーカ48がそれぞれ設けられている。また、上皿5の上部の正面視略中央部には、トラックボール装置8が配設されている。詳細は後述するが、パチンコ機1は、トラックボール装置8のトラックボール18(図3参照)の回転量を検出し、検出した回転量に応じて演出を制御することができる。
図2に示すように、遊技盤2の前面には、ガイドレール3で囲まれた略円形の遊技領域4が形成されている。遊技領域4には、表示装置28および役物装置30が設けられている。表示装置28は、各種図柄をドットによって表示するドット表示装置であり、遊技領域4の中心よりもやや上方に配設されている。役物装置30は、遊技領域4の上部から右側に亘って配設されている。役物装置30は、マグロの形状に形成された装飾体(図示せず)を揺動させながら上下させることで、マグロを釣り上げる演出を行う。
表示装置28の下方には、普通図柄始動ゲート12が設けられている。普通図柄始動ゲート12の下方には、特別図柄始動電動役物15が配設されている。さらに、特別図柄始動電動役物15の下方には、大入賞口16が設けられている。遊技盤2には、上記以外に種々の電飾ランプ、入賞口、風車、および遊技釘が設けられている。なお、特別図柄始動電動役物15および大入賞口16には開閉部材が設けられている。遊技球は、開閉部材が開放された場合のみ、特別図柄始動電動役物15または大入賞口16に入賞できる。各開閉部材は、ソレノイドによって電気的に開放される。特別図柄始動電動役物15の左方には、図柄表示部17が設けられている。図柄表示部17は、普通当たり判定の結果を示す普通図柄、および大当たり判定の結果を示す特別図柄等を表示する。
図3を参照して、トラックボール装置8について説明する。トラックボール装置8は、主に、トラックボール18、支持部19、固定部21、蓋体22、補助リング23、およびリングカバー24によって構成されている。トラックボール18は、半透明の樹脂材料によって形成された球体であり、支持部19の筐体内部に設けられたボール用LED26(図3参照)に照射されることで発光する。パチンコ機1は、トラックボール装置8の操作が有効となっていることを、トラックボール18を発光させることで遊技者に報知することができる。支持部19は、略直方体状に形成された筐体の内部に、トラックボール18の回転量および回転方向を検出する回転検出センサ25(図3参照)を備える。回転検出センサ25には周知のセンサを用いることができる。本実施の形態の回転検出センサ25は、発光素子と受光素子とを備え、スリットを通過する光を受光素子が検出することで回転量および回転方向を検出する。回転検出センサ25は、トラックボールの回転量が単位量に達する毎にパルス信号を出力する。トラックボール18は、支持部19の上面に形成された穴部20によって回転可能に支持される。
固定部21は、支持部19の下部を収納して固定する。蓋体22は、所定の厚みを有する略板状の部材であり、トラックボール装置8を上部から覆って上皿5に固定する。蓋体22の略中央には、トラックボール18の上部を外側に露出させるための円形の穴が穿設されている。トラックボール18の露出部分には、補助リング23、および環状のリングカバー24が被せられる。補助リング23の内径、およびリングカバー24の内径は、いずれもトラックボール18の径よりも小さい。従って、リングカバー24が蓋体22に固定されることで、トラックボール18が支持部19に回転可能に保持される。
次に、図4を参照して、パチンコ機1の電気的構成について説明する。図4に示すように、制御部40は、主基板41、サブ統合基板58、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、払出制御基板45、および中継基板47から構成されている。
主基板41は、パチンコ機1の主制御を司る。主基板41の主基板CPUユニット50には、各種の演算処理を行うCPU51と、データを一時的に記憶するRAM52と、制御プログラム等を記憶したROM53とが設けられている。主基板CPUユニット50には、割込信号発生回路57が接続されている。CPU51は、割込信号発生回路57から割込信号が入力される毎にプログラムを実行する。この主基板41は、I/Oインタフェイス54を介してサブ統合基板58、払出制御基板45、中継基板47、出力ポート55、および始動口スイッチ68に接続されている。出力ポート55は、図示外の遊技場管理用コンピュータにパチンコ機1の情報を出力する。始動口スイッチ68は、特別図柄始動電動役物15に入賞した遊技球を検出する。
サブ統合基板58は、CPU581、RAM582、およびROM583を備え、ランプドライバ基板46、演出制御基板43、スピーカ48、回転検出センサ25、およびボール用LED26に接続している。サブ統合基板58は、主基板41から送信されるコマンドに従って、演出等の総合的な制御を行う。特に、サブ統合基板58は、回転検出センサ25から入力されるトラックボール18の回転量に基づいて、表示装置28、役物装置30、およびスピーカ48等によって行われる演出を制御する。また、サブ統合基板58は、トラックボール18の操作が有効とされている間には、ボール用LED26を発光させる。
ランプドライバ基板46は、CPU46a等を備え、役物装置30、各種電飾ランプ等の制御を行う。役物装置30は、装飾体(図示せず)を上下させるためのステップモータ(図示せず)を備え、ステップモータの動作はCPU46aによって制御される。演出制御基板43は、CPU43a等を備え、サブ統合基板58から受信するコマンドに従って表示装置28の表示を制御する。払出制御基板45は、CPU45a等を備える。払出制御基板45は、主基板41から送信されるコマンドに応じて賞品球払出装置49の動作を制御し、所定数の遊技球を払い出させる。
中継基板47は、開閉部材を開閉する電動役物開放ソレノイド69および大入賞口開放ソレノイド70、遊技球の入賞を検出する普通図柄作動スイッチ74および大入賞口スイッチ75、図柄を表示する図柄表示部17等に接続し、主基板41との間の中継を行う。電源基板42は、主基板41および遊技球発射装置37に接続されており、各基板および遊技球発射装置に直流の安定化した電力を供給する。遊技球発射装置37は、一定間隔(本実施の形態では0.6秒)毎に1個ずつ遊技球を遊技領域4へ発射する。
次に、主基板41のRAM52の記憶エリアについて説明する。RAM52には、カウンタ記憶エリア、普通当たり関係情報記憶エリア、大当たり関係情報記憶エリア、およびコマンド関係記憶エリア等の各種記憶エリアが設けられている。カウンタ記憶エリアは、乱数取得カウンタ、タイマカウンタ等の各種カウンタを記憶する。普通当たり関係情報記憶エリアは、普通図柄始動ゲート12への遊技球の入賞時に取得される各種乱数を記憶する。詳細には、普通当たり関係情報記憶エリアには、乱数取得カウンタである普通当たり判定カウンタ、普通図柄変動パターン決定カウンタ、および図柄決定カウンタの値が記憶される。大当たり関係情報記憶エリアは、特別図柄始動電動役物15への遊技球の入賞時に取得される大当たり判定カウンタの値、および特別図柄変動パターン決定カウンタの値を記憶する。コマンド関係記憶エリアは、主基板41から他の基板等へ出力される制御コマンドを記憶する。
次に、主基板41のROM53の記憶エリアについて説明する。ROM53には、各種初期値、プログラム等が記憶されている。さらに、ROM53には、普通当たり判定を行うための普通当たり判定テーブル、普通当たりと判定された場合に当たり普通図柄を決定するための当たり普通図柄決定テーブル、大当たり判定を行うための大当たり判定テーブル、普通図柄変動パターンを決定するための普通図柄変動パターン決定テーブル、特別図柄変動パターンを決定するための特別図柄変動パターン決定テーブル等の各種テーブルが記憶されている。
次に、図5を参照して、パチンコ機1の主基板41による動作について説明する。パチンコ機1の主制御は、ROM53に記憶されている制御プログラムによって行われる。制御プログラムのメイン処理は、割込信号発生回路57(図4参照)が4ms毎に発生する割込信号をCPU51が感知した際に、CPU51において実行される。以下、フローチャートの各ステップについて「S」と略記する。
まず、コマンド出力処理が行われる(S10)。コマンド出力処理では、制御コマンドが他の基板に出力される。ここで出力される制御コマンドは、前回実行されたメイン処理においてRAM52に記憶された制御コマンドである。
次いで、スイッチ読込処理が行われる(S11)。スイッチ読込処理(S11)では、普通図柄始動ゲート12、特別図柄始動電動役物15、および大入賞口16に設けられた各スイッチ(図4参照)の検出結果から、各入賞口への遊技球の入賞が検知される。
次いで、カウンタ更新処理が行われる(S12)。カウンタ更新処理では、RAM52に記憶されている乱数取得カウンタおよびタイマカウンタの値が加算または減算される。
次いで、特別電動役物処理が行われる(S13)。特別電動役物処理では、主に、大当たり遊技の動作を制御するための処理と、大当たり遊技終了後に生起される遊技状態に関する処理とが行われる。本実施の形態のパチンコ機1は、大当たり遊技が55回連続するまで、大当たり遊技終了後に必ず確率変動時短状態を生起させる。確率変動時短状態が生起されると、大当たりと判定される確率および普通当たりと判定される確率が共に高くなる。従って、一旦大当たり遊技が実行されると、大当たり遊技が55回行われるまで、大当たり遊技と普通当たり遊技とが連続して行われ、多数の遊技球が払い出される。
次いで、特別図柄処理が行われる(S14)。特別図柄処理では、大当たり判定が行われて、判定結果を遊技者に報知するための特別図柄の変動パターンが決定される。決定された変動パターンを指定する特別図柄変動パターン指定コマンドが、RAM52に記憶される。RAM52に記憶された特別図柄変動パターン指定コマンドは、次回のメイン処理でサブ統合基板58に送信される。サブ統合基板58は、主基板41から指定された変動パターンに従って、トラックボール装置8を用いた引合演出を制御する。この詳細は後述する。
次いで、普通電動役物処理が行われる(S15)。普通電動役物処理では、普通当たりとなった場合に普通当たり遊技の動作を制御するための処理が行われる。本実施の形態では、普通当たりとなって特別図柄始動電動役物15が開放されなければ、大当たり判定は行われない。
次いで、普通図柄処理が行われる(S16)。普通図柄処理では、普通当たり判定、普通図柄変動パターンの決定、普通図柄の変動を制御するためのコマンドの記憶等の処理が行われる。
次いで、払出処理(S17)、エラーチェック(S18)、および情報出力処理(S19)が行われる。払出処理では、賞品球の払い出しが制御される。エラーチェックでは、エラーが発生している場合に、表示装置28およびスピーカ48等を用いてエラーが報知される。情報出力処理では、図示外の遊技場管理用コンピュータに各種の情報が出力される。
以下、図6から図17を参照して、サブ統合基板58が記憶するデータ、およびサブ統合基板58における処理について説明する。前述したように、サブ統合基板58は、主基板41から受信するコマンドに基づいて、表示装置28、スピーカ48、および役物装置30等による演出を制御する。特に、サブ統合基板58は、大当たり判定の結果を示す特別図柄が変動している間、トラックボール装置8の操作量と経過時間とに基づいて、引合演出を表示装置28等に実行させることができる。引合演出は、主人公とマグロが互いに引き合う演出である。引き合い(バトル)に主人公が勝利し、マグロを釣り上げた場合には、判定結果が大当たりであることを示す。逆に、マグロがバトルに勝利し、バトルが再度行われることなくマグロが逃げた場合には、判定結果がはずれであることを示す。以下、引合演出を制御するためのデータ構造、および処理について、詳細に説明する。
図6を参照して、サブ統合基板58のRAM582の記憶エリアについて説明する。RAM582には、指定変動パターン記憶エリア5821、制御変数記憶エリア5822、所属区分記憶エリア5823、およびカウンタ記憶エリア5824等の種々の記憶エリアが設けられている。
指定変動パターン記憶エリア5821は、主基板41から送信される特別図柄変動パターン指定コマンドによって指定された変動パターンを記憶する。サブ統合基板58は、指定された変動パターンに従って、1回の特別図柄の変動中に実行する引合演出の回数(以下、「バトル回数」という。)、引合演出で主人公を勝利させるか否か(大当たりであることを報知するか否か)等を決定する。制御変数記憶エリア5822は、引合演出の演出態様を決定するために用いられるその時点の制御変数を記憶する。サブ統合基板58は、トラックボール装置8の操作量を経過時間とに基づいて、0から1000の間で制御変数を変動させる。サブ統合基板58は、制御変数の値に対応する演出態様を表示装置28等に実行させる。その後、勝利映像または敗北映像を表示装置28に表示させる。所属区分記憶エリア5823は、その時点の制御変数が属する区分を記憶する。詳細は後述するが、制御変数が変動する範囲(0から1000)は、11個の区分に分割されている。サブ統合基板58は、その時点の制御変数が属する区分を記憶し、区分が変更される毎に演出態様を変更する。カウンタ記憶エリア5824は、引合演出の時間を計測するタイマカウンタ等の各種カウンタを記憶する。
図7を参照して、サブ統合基板58のROM583の記憶エリアについて説明する。ROM583には、演出決定テーブル記憶エリア5831、増加量算出テーブル記憶エリア5832、減算量算出テーブル記憶エリア5833、および各種初期値を記憶する初期値記憶エリア5834等の種々の記憶エリアが設けられている。以下、各記憶エリアに記憶されているテーブルについて詳述する。
図8を参照して、演出決定テーブル記憶エリア5831に記憶されている演出決定テーブルについて説明する。演出決定テーブルでは、制御変数の各区分に対して、表示装置28に表示させる映像と、役物装置30の装飾体の位置とが対応付けられている。サブ統合基板581は、制御変数を変動させた結果区分が変化すると、演出決定テーブルを参照して演出態様を変更する。前述したように、制御変数は0から1000の範囲で変動し、この範囲は「0」から「10」の計11個の区分に分割されている。区分「0」から区分「9」までは、制御変数が小さい方から順に100ずつ各区分に割り当てられており、区分「10」には制御変数1000のみが割り当てられている。各区分には、映像「0」から映像「10」までの11個の映像がそれぞれ対応付けられている。さらに、各区分には、役物装置30の装飾体の位置を示す5つの役物位置「0」〜「4」のいずれかが順に対応付けられている。役物位置の数値が大きくなる程、装飾体の位置は高くなる。区分番号「0」の演出態様が、主人公が勝利する可能性が最も低い演出態様である。区分番号が大きくなる程、主人公が勝利する可能性が高い演出態様となる。区分番号「10」の演出態様は、主人公が勝利したことを示す演出態様である。
図9から図12を参照して、引合演出中に表示装置28に表示される映像の一例について説明する。図9は、映像「0」の一例を示す。映像「0」は、弱気な顔の主人公と活きのいいマグロとを表示することで、主人公が勝利する可能性が最も低いことを示す。図10は、映像「9」の一例を示す。映像「9」は、映像「0」とは逆に、強気な顔の主人公を大きく表示することで、主人公が勝利する可能性が最も高いことを示す。図11は、勝利映像である映像「10」の一例を示す。映像「10」は、マグロを釣り上げた主人公と、釣り上げられたマグロとを表示することで、主人公が勝利したこと(すなわち、大当たりであること)を示す。図12は、バトルが終了した後に行われる敗北演出中に表示される敗北映像の一例を示す。敗北映像は、落胆した主人公の顔のみを表示することで、マグロとのバトルに敗北したことを示す。
図13を参照して、増加量算出テーブル記憶エリア5832に記憶されている増加量算出テーブルについて説明する。増加量算出テーブルは、制御変数が属する区分と、制御変数の増加量とを対応付けるテーブルである。トラックボール装置8の回転検出センサ25は、トラックボール18の回転を検出すると、所定量の回転を検出する毎にパルスをサブ統合基板58に出力する。サブ統合基板58は、n個のパルスを検出する毎に、その時点の制御変数が属する区分に対応する値を増加量として算出し、制御変数を増加させる。増加量が大きい程、主人公が勝利する可能性が高い演出が実行されやすい。従って、増加量は、演出上の主人公の強さに対応する。nは所定の自然数であるが、この値は任意に設定できる。
増加量算出テーブル記憶エリア5832には、<レベル5>から<レベル1>の5つのテーブルが記憶されている。サブ統合基板58は、いずれのテーブルを参照するかを抽選し、当選したテーブルを参照して演出を制御する。レベル2〜5では、区分番号が小さい程、増加量が大きくなるように設定されている。従って、主人公がバトルに敗北しそうな場合には、遊技者は、トラックボール18を操作することで、主人公が勝利する可能性が高い演出に比較的容易に移行させることができる。しかし、主人公がバトルに勝利しそうな場合には、敗北しそうな場合に比べて増加量が小さい。従って、主人公が勝利する可能性がさらに高い演出へ移行させるのは比較的困難である。このように設定することで、主人公がマグロを釣り上げる過程を遊技者にリアルに実感させることができる。一方で、<レベル1>では、全区分を通じて増加量は一定である。このように、増加量の値は自由に設定することができる。遊技機の設計者は、テーブルの値を変更するだけで、演出の内容(パチンコ機1では、主人公がマグロを引っ張る加減)を容易に調整することができる。
また、パチンコ機1では、テーブルのレベルの値が大きい程増加量が大きくなるように設定されている。サブ統合基板58は、大当たり判定の結果が大当たりである場合には、レベルの値が大きいテーブルを高い割合で使用する。従って、遊技者は、トラックボール18の操作量と演出態様の変化とを比較することで、主人公がバトルに勝利するか否かを推測することもできる。
図14を参照して、減算量算出テーブル記憶エリア5833に記憶されている減算量算出テーブルについて説明する。減算量算出テーブルは、制御変数が属する区分と、制御変数の減算量とを対応付けるテーブルである。サブ統合基板58は、100msecが経過する毎に、その時点の制御変数が属する区分に対応する値を減算量として算出し、制御変数を減算させる。減算量が大きい程、主人公が敗北する可能性が高い演出が実行されやすい。従って、減算量は、演出上のマグロの強さに対応する。制御変数を減算させる間隔は100msecに限られず、適宜変更できる。
減算量算出テーブル記憶エリア5833には、<レベル3>から<レベル1>の3つのテーブルが記憶されている。レベルの値が小さいテーブル程、減算量は小さい。サブ統合基板58は、大当たりである場合には、レベルの値が小さいテーブルを高い割合で選択し、選択したテーブルを参照して減算量を算出する。逆に、はずれである場合には、レベルの値が大きいテーブルが選択されやすい。従って、遊技者は、時間の経過と共に変化する演出態様から、主人公がバトルに勝利するか否かを推測することもできる。また、減算量算出テーブルでは、区分番号が大きい程、減算量が大きくなるように設定されている。よって、主人公の勝利が近づく程マグロが強くなるような印象を遊技者に与え、遊技者の興趣を惹き付けることができる。テーブルの値は設計者が適宜設定でき、値を変更するだけで演出内容を容易に調整できる。
次に、図15から図17を参照して、サブ統合基板58で行われる処理について説明する。以下説明するサブ統合基板処理は、ROM583に記憶されているプログラムに従って、サブ統合基板58のCPU581が実行する。サブ統合基板処理は、サブ統合基板58に電源が投入されることで開始される。
図15に示すように、サブ統合基板処理が開始されると、大当たり連続期間中であるか否かが判断される(S31)。前述したように、パチンコ機1では、一旦大当たりと判定されると大当たり連続期間へ移行する。大当たり連続期間中は、大当たりと判定される確率および普通当たりと判定される確率は100%となる。従って、大当たり連続期間中であれば(S31:YES)、表示装置28等では大当たり判定の結果等は報知されず、大当たり連続期間中演出が実行される(S32)。その後、処理はS31の判断へ戻る。大当たり連続期間中でなければ(S31:NO)、特別図柄の変動が開始したか否かが判断される(S33)。特別図柄変動パターン指定コマンドを主基板41から受信し、特別図柄の変動が開始したと判断された場合には(S33:YES)、大当たり演出処理によって大当たり判定の結果が報知され(S34)、処理はS31の判断へ戻る。特別図柄が変動していなければ(S33:NO)、普通当たり演出処理によって普通当たり判定の結果が報知され(S35)、処理はS31の判断へ戻る。
図16を参照して、大当たり演出処理について詳細に説明する。まず、受信した特別図柄変動パターン指定コマンドによって指定されている変動パターンが記憶される(S41)。演出時間(特別図柄の変動時間)は、変動パターン毎にあらかじめ定められている。次いで、1回の演出中(1回の特別図柄の変動中)に行われる引合演出の回数であるバトル回数Kが、演出時間に応じて設定される(S42)。例えば、演出時間が20秒ならK=1、40秒ならK=2、60秒ならK=3に設定される。
次いで、大当たり判定の結果が大当たりであるか否かが判断される(S43)。指定された変動パターンが大当たりの変動パターンであり、判定結果が大当たりと判断された場合には(S43:YES)、K回のバトルのうちの最後のバトルのみが、主人公が勝利する主人公勝利バトルに設定される(S44)。K回のバトルのそれぞれにおいて参照される増加量算出テーブルが、レベル1〜5の5つのテーブルから抽選によって決定される(S45)。減算量決定テーブルが、レベル1〜3の3つのテーブルから抽選によって決定される(S46)。
一方、判定結果がはずれであれば(S43:NO)、K回のバトルの全てが主人公敗北バトルに設定され、各バトルにおいて参照される増加量算出テーブルおよび減算量算出テーブルが、それぞれ抽選によって決定される(S47、S48)。前述したように、判定結果が大当たりである場合には、はずれである場合に比べて、レベルの値が大きい増加量算出テーブル、およびレベルの値が小さい減算量決定テーブルが決定され易い。
次いで、当選したレベルが、引合演出中に参照されるテーブルのレベルとして記憶され(S50)、引合演出処理が行われる(S51)。引合演出処理による引合演出の制御が終了すると、処理はサブ統合基板処理(図15参照)へ戻る。
図17を参照して、大当たり演出処理中に実行される引合演出処理(S51)について詳細に説明する。引合演出処理が開始されると、実行するバトル回数を計数するカウンタKの値が「1」減算される(S61)。制御変数Xの初期値が設定される(S62)。本実施の形態では、制御変数Xの初期値は一律で「550」とされるが、初期値の値を変化させてもよい。次いで、実行するバトルが主人公勝利バトルであるか否かが判断され(S63)、主人公勝利バトルであれば(S63:YES)、制御変数Xの上限値が1000に設定される(S64)。一方、主人公敗北バトルであれば(S63:NO)、Xの上限値が999に設定される(S65)。よって、図8に示すように、制御変数Xの区分が「10」となるのは、主人公勝利バトルの場合のみとなる。次いで、表示装置28、役物装置30、およびスピーカ48等による引合演出が開始され、あらかじめ決められたバトル時間の計測が開始される(S66)。引合演出開始時は、制御変数Xが550であるため、Xが属する区分は「5」である。よって、表示装置28では映像「5」が表示され、役物装置30の装飾体の位置は「2」となる。なお、CPU581は、引合演出の開始時に、ボール用LED26を点灯または点滅させる処理を行う。これにより、トラックボール18の操作が有効であることを遊技者に報知することができる。
引合演出(バトル)の実行中は、まず、100msecの周期が到来したか否かが判断される(S67)。到来していなければ(S67:NO)、トラックボール装置8の回転検出センサ25からn個のパルスが入力されたか否かが判断される(S68)。入力されていなければ(S68:NO)、バトル時間が終了したか否かが判断される(S69)。バトル時間が終了していなければ(S69:NO)、処理はS67の判断へ戻り、S67〜S69の判断が繰り返し行われる。
引合演出中に100msecの周期が到来した場合には(S67:YES)、既に決定されているレベルの減算量算出テーブルが参照されて、その時点の制御変数Xが属する区分に対応付けられている値がXから減算される(S70)。なお、制御変数Xの下限値は常に0であり、Xは0より小さい値には減算されない。次いで、Xの減算によって区分が変更されたか否か、つまり、変更されたXの値が区分の境界を越えたか否かが判断される(S71)。区分が変更されていなければ(S71:NO)、処理はそのままS67の判断へ戻る。区分が変更された場合には(S71:YES)、演出決定テーブル(図8参照)が参照され、変更後の区分の演出の実行が制御される(S72)。詳細には、変更後の区分に対応付けられている映像を表示させる処理が、演出制御基板43に対して行われる。また、役物装置30の装飾体の位置を、変更後の区分に対応付けられている位置とする処理が、ランプドライバ基板46に対して行われる。処理はS67の判断へ戻る。
引合演出中に、回転検出センサ25からn個のパルスが入力される毎に(S68:YES)、既に決定されているレベルの増加量算出テーブルが参照されて、その時点の制御変数Xが属する区分に対応付けられている値がXに加算される(S73)。前述したように、実行されているバトルが主人公敗北バトルであれば、Xの上限値は999に設定されているため、Xが1000となることはない。次いで、Xの値が1000となったか否かが判断される(S74)。Xの値が999以下であれば(S74:NO)、区分が変更された場合に限り、変更後の区分の演出の実行が制御される(S71、S72)。
実行されているバトルが主人公勝利バトルであり、且つ制御変数Xの値が1000となった場合には(S74:YES)、ボール用LED26を消灯させる処理が行われる。そして、バトル時間の経過を待つことなく、判定結果が大当たりであることを示す勝利映像である映像「10」(図11参照)を表示させる処理が、演出制御基板43に対して行われる(S78)。その後、演出時間が終了すると、大当たり連続期間中であることを示す「1」が大当たり連続期間フラグに記憶されて「ON」とされ(S79)、処理はサブ統合基板処理へ戻る。
バトル時間が終了したと判断されると(S69:YES)、ボール用LED26を消灯させる処理が行われ、実行されていたバトルが主人公勝利バトルであるか否かが判断される(S81)。主人公勝利バトルであれば(S81:YES)、勝利映像である映像「10」が表示され(S78)、大当たり連続期間フラグが「ON」とされて(S79)、処理はサブ統合基板処理へ戻る。
バトル時間が終了し(S69:YES)、実行されていたバトルが主人公敗北バトルであれば(S81:NO)、主人公がマグロとの引き合いに敗北したことを示す敗北映像を表示させる処理が行われる(S82)。実行するバトル回数を計数するカウンタKの値が「1」以上であるか否かが判断され(S83)、「1」以上であれば(S83:YES)、処理はS61へ戻る。カウンタKの値が「0」であれば(S83:NO)、マグロが逃げる映像を表示させる処理が行われて、処理はサブ統合基板処理へ戻る。
以上説明したように、本実施の形態のパチンコ機1では、制御変数Xの値の変動に伴って、演出態様が当選態様(勝利映像)と落選態様(敗北映像)との間で変化する。遊技者によるトラックボール18の操作量が多い程、制御変数Xの値は、当選態様が実行される確率が高いことを示す演出態様を実行させる値に変動する。一方、トラックボール18の操作量が少ない程、制御変数Xの値は、落選態様が実行される確率が高いことを示す演出態様を実行させる値に変動する。つまり、パチンコ機1は、トラックボールの操作量および経過時間を共に用いて1つの演出を制御することで、演出を多様化し、遊技者の興趣を惹き付けることができる。具体的には、主人公とマグロが互いに引き合っている演出を表現することができ、トラックボール18を操作することで主人公が引き合いに勝って大当たりとなるような印象を、遊技者に強く与えることができる。その結果、遊技者は、当選態様による演出が実行されることを期待して、所望の量だけトラックボール18を操作することができる。遊技者は、操作量に応じて変化する演出態様を楽しみながら遊技を行うことができる。
パチンコ機1では、n個のパルスが入力される毎に増加させる制御変数Xの値(増加量)が、その時点の制御変数Xが属する区分毎に対応付けられている。従って、トラックボール18の操作量が一定である場合でも、n個のパルスが入力された時点の制御変数が属する区分に応じて、増加量が異なる場合がある。従って、遊技者が予想し難い多様な演出を行うことができる。詳細には、パチンコ機1は、制御変数Xの値が大きくなる程増加量を小さくすることで、主人公がマグロを引く程マグロが強くなるという、遊技者が予想し難い演出を実行している。また、遊技機の設計者は、制御変数の区分と増加量との対応を適宜設定するだけで、多様な演出を容易に行うことができる。さらに、増加量算出テーブルを複数記憶し(図13参照)、大当たり判定の結果に応じていずれかのテーブルを選択することで、演出の内容をさらに多様化させることができる。
同様に、パチンコ機1では、所定時間毎に減算される制御変数Xの値(減算量)が、その時点の制御変数Xが属する区分毎に対応付けられている。従って、遊技者が予想し難い多様な演出を行うことができる。遊技機の設計者は、制御変数の区分と減算量との対応を適宜設定するだけで、多様な演出を容易に行うことができる。さらに、減算量算出テーブルを複数記憶し(図14参照)、いずれかのテーブルを選択して参照することで、演出の内容を容易に多様化することができる。
パチンコ機1は、制御変数Xの値が変動して区分の境界を越え、区分が変化した場合に、演出態様を変更する。従って、制御変数Xの値そのものに応じて演出態様を細かく変更する場合とは異なり、演出を段階的に制御することができる。よって、演出を容易に制御することができる。
パチンコ機1は、主人公勝利バトルの実行中に制御変数Xが最大値である1000となると、その時点で勝利映像を表示装置28に表示させる。従って、遊技者は、トラックボール18の操作量を増やす程、大当たり遊技状態が生起されることを早い段階で把握することができる。よって、遊技者がトラックボール18を操作する意欲をさらに高めることができ、演出に対する遊技者の興趣を強く惹き付けることができる。また、遊技者は、球状のトラックボール18の回転量を変えることで、操作量を細かい単位で自由に調整することができる。従って、遊技者は、操作量に応じて変動する演出態様を楽しみながら、トラックボール18の操作量を適宜調整し、所望の演出を容易に楽しむことができる。
パチンコ機1では、制御変数Xが1回で減少または増加する値は、区分「0」から区分「9」に割り当てられている制御変数の幅(100)よりも小さい(図13および図14参照)。従って、区分が変化する場合には必ず隣の区分に変化し、区分の番号が一度に2以上変化することはない。よって、演出態様が必ず段階的にスムーズに変化することとなり、演出態様が急激に変化して遊技者に違和感を抱かせるおそれを防止することができる。さらに、本実施の形態のように、役物を機械的に動作させる場合でも、役物をスムーズに動作させることができる。
なお、本実施の形態における大当たり遊技が、本発明の「特定遊技状態」に相当する。図5のS14で大当たり判定を行う主基板41のCPU51が、本発明の「決定手段」として機能する。表示装置28および役物装置30が「演出手段」に相当する。トラックボール装置8が「操作手段」に相当する。回転検出センサ25が「検出手段」に相当する。制御変数Xを記憶するサブ統合基板58のRAM582が「変数記憶手段」に相当する。図17のS73で制御変数Xを増加させるサブ統合基板58のCPU581が「第一変動手段」として機能する。図17のS70で制御変数Xを減少させるCPU581が「第二変動手段」として機能する。図17のS72、S78で制御変数Xの値に対応する演出態様を表示装置28および役物装置30に実行させるCPU581が「演出制御手段」として機能する。増加量が「第一変動量」に相当し、減算量が「第二変動量」に相当する。トラックボール18が「操作部」に相当する。
本発明は、以上詳述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能であることは勿論である。まず、上記実施の形態では、引合演出を開始させる際の制御変数Xの初期値は常に550であった。しかし、制御変数Xの初期値の値を変化させることも可能である。例えば、特定遊技状態(例えば、大当たり遊技)が生起されることが決定されている場合には、特定遊技状態が生起されないことが決定されている場合よりも大きい初期値が設定されやすいように初期値を抽選する手段を備えてもよい。この場合、遊技者は、引合演出の開始時の演出態様によって、特定遊技状態が生起されるか否かを推測することができる。よって、遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。
上記実施の形態では、制御変数Xの値を増加させる場合、経過時間に関わらず、トラックボール18の操作量が所定量に達する毎にXの値を増加させる。しかし、Xの値を減算する場合と同様に、所定時間毎にXの値を増加させてもよい。例えば、上記実施の形態において、100msecが経過する毎に、その100msecの間に入力されたパルス数Pの値を取得する。パルス数Pの値をnで割り、小数点以下を切り捨てる。この値に、区分に応じた増加量をかけて、さらに区分に応じた減算量を引くことで、制御変数Xの変動量を算出してもよい。
上記実施の形態では、区分に応じた演出の制御と、区分に応じた制御変数Xの増加量および減算量の制御とを、いずれもテーブルを用いて行っている。しかし、テーブルを用いずに、上記実施の形態と同様の処理を実行するプログラムを作成することも可能である。また、上記実施の形態で示した区分、増加量、減算量等のデータ構成が一例に過ぎないことは言うまでもない。例えば、上記実施の形態では、制御変数Xの値が大きい程、主人公が勝利する可能性が高いことを示す演出が実行される。しかし、逆に、制御変数Xの値が大きい程、主人公が敗北する可能性が高いことを示す演出が実行されるようにしてもよい。
上記実施の形態では、設定される制御変数Xの上限値は、主人公が勝利する場合の「1000」、および主人公が敗北する場合の「999」の2種類のみである。しかし、3種類以上の上限値を設定してもよいし、下限値を2種類以上設定してもよい。具体的には、特定遊技状態が生起されることを、複数回の引合演出の最後に報知する場合、引合演出を繰り返し実行する毎にXの上限値が大きくなるように設定する。この場合、引合演出を繰り返し行う毎に、遊技者の期待感を段階的に高めることができる。よって、遊技者の興趣をより強く惹き付けることができる。また、上記実施の形態において、下限値を0より大きい値(例えば、100、200、300等の区分の境界)に設定することで、演出を多様化し、且つ遊技者の期待感を高めることができる。