JP5454953B2 - 通信資源割当システム - Google Patents

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Description

本発明は、ネットワークに接続され、互いに通信する複数の管理対象デバイスがネットワークを介して通信資源配布システムに通信資源を要求し、前記通信資源配布システムが資源割当状況管理部に保存される資源割当情報にアクセスして読み出された通信資源割当情報を、要求した前記管理対象デバイスに返す通信資源割当システムに関する。
本発明が適用される具体的な例としては、工業用無線規格であるISA100.11aやWireless HARTのような通信方式が挙げられるが、本発明は無線に固有のものではなく、通信資源の割当・管理・配布を中央で一括して行うシステム一般に広く適用することが可能である。
通信システムを構成する管理対象デバイスは、自らが使用する通信資源を何らかの方法で獲得する必要がある。本発明で対象とする通信資源割当システムは、通信資源の獲得を各管理対象デバイスが行うのではなく、システム内の通信資源を一括して管理する資源管理の仕組みがシステム内に存在し、これが必要な通信資源を各デバイスに割当る方式である。
ここで通信資源とは、一般的には、通信タイミング(時間)、通信経路(空間)を指し、さらに無線による通信システムの場合は、これに加え通信する無線チャネル(周波数)が含まれる。また、各通信システムに依存した独自の資源が存在する場合も、本発明における通信資源として扱う。
図9は、従来の通信資源割当システムの構成例を示す機能ブロック図である。ネットワーク10に接続され、互いに通信する複数の管理対象デバイス群21乃至25が、通信資源割当・配布システム30に通信資源Qを要求し、通信資源割当・配布システム30が通信資源割当情報Rを、要求した管理対象デバイスに返す機能構成である。
従来技術では、通信資源の割当と管理、及び通信資源の管理対象デバイスへの配布は、一つの通信資源割当・配布システム30が担当している。このシステムの具体的な動作は、通信ネットワーク情報や各管理対象デバイスからの通信品質情報を蓄積し、各管理対象デバイスからの資源割当要求に対して、これら蓄積情報を参考にして、一定の評価基準に従って最適と判断される通信資源を要求元および必要に応じて関連する管理対象デバイスに割当てる。
通信資源割当・配布システム30の機能構成は、外部との通信(通信プロトコル処理などを含む)を行う通信部31、一定の基準に従って実際に割当てる資源を決定する通信資源割当アルゴリズム32、通信資源の割当状況を保持する資源割当状況管理部33から構成される。
図10は、図9の動作を説明するシーケンス図である。シーケンスs1では、管理対象デバイス21からの通信資源割当要求Qを通信資源割当・配布システム30の通信部31が受信し、その情報は通信資源割当アルゴリズム32に転送される。
シーケンスs2では、通信資源割当アルゴリズム32は、予め設定された資源割当方法や各種の制約事項を確認し、管理対象デバイスの要求に対して、要求デバイスに与える資源およびその他デバイス(データ中継デバイスなど)に対して割当が必要な通信資源を決定する。
シーケンスs3では、通信資源割当アルゴリズム32は、必要な資源の種類とその量を指定し、これらの通信資源の割当に必要な未割当(未使用)の資源をデータベース構成の資源割当状況管理部33にアクセスして探索する。シーケンスs4では、資源割当状況管理部33が割当可能な資源情報の探索結果を、通信資源割当アルゴリズム32に対して通知する。
シーケンスs5では、探索結果通知を受け取った通信資源割当アルゴリズム32は、資源割当状況管理部内に格納された資源情報に対してそれらが割当済みであることをマークする一方で、その検索結果である通信資源割当情報Rを資源要求元の管理対象デバイス21および関連デバイスに返信して通信資源の配布を行う。
特表平9−507372号公報
通信環境が動的に変化するような環境、例えば、無線ネットワークにおける移動デバイスに対する通信資源の管理においては、従来方式のように、予め決めておいた一定制約や基準に基づいて、通信資源管理システムが自動的に通信資源の割当を行う方式が運用管理面および一定の通信品質確保の手段として有用である。
しかしながら、産業用システムにおけるセンサネットワークのような、センサなどの設置位置は固定、データの伝送量やそのタイミング(周期)などは、システム設計段階で既に決まっているようなアプリケーションを実装する管理対象デバイス群に相互通信のシステムを導入する場合、各管理対象デバイス群に対して動的な通信資源の割当を行う従来方式をそのまま適用すると、次のような問題が発生する。
(1)自動設定された資源割当がオペレータの期待と相違する可能性がある。
各通信デバイスが予め設計された位置に配置され、また、予め設定された周期で通信を行うシステムでは、通信経路や通信のタイミングなど通信資源の割当に対してユーザ介入の余地を与えることで、所望の通信システム構築の実現が期待されている。
しかしながら、従来方式のように一定のルールにしたがって自動で通信資源の割当を行うシステムでは、自動的に構築された通信資源割当が、オペレータが期待するものとは異なることが考えられる。
従来方式でも、通信資源割当アルゴリズムに対して詳細な制約条件の入力を可能とし、ユーザがこの条件を自由に設定できるようにすることでこの問題は解決するかもしれないが、一方で、システム設定の手間が増えることになる。
(2)資源割当アルゴリズムの開発や入れ替えが困難である。
通信資源割当アルゴリズムは、通信資源割当・配布システムが動作する機器上の1つのソフトウエアとして動作する。このような動作環境では、異なる割当手法を行うアルゴリズム(すなわち異なる制約条件や最適化のための評価基準を持つアルゴリズム)を導入しようとした場合、割当手法毎にアルゴリズムを実装・導入する必要がある。このことは、通信資源割当・配布システム上で動作するソフトウエアを新たなアルゴリズム毎に作成することが必要となる。
この通信システムが、PCなど汎用の動作環境にて動作していれば、そのソフトウエア開発は問題とならないが、組み込み機器など特殊なデバイス上にて動作する場合、ソフトウエア開発のハードルの存在や、インストール時にシステムを全停止しなくてはならないようなケースが発生する。
(3)通信資源割当・配布システムに一定の演算能力が要求されシステム構成に制約が発生する。具体的には、関連する資源割当状況の確認や制約条件を満たす空き資源の探索、特定の条件に従ってデータ操作を行うような処理が一般的に行われる。
通信資源割当・配布システムが取り扱う管理対象デバイスの台数や資源量が少ない場合はよいが、数百、数千以上の管理対象デバイスを扱うようなシステムや割当てる通信資源が複雑に関連するようなシステムの場合、通信資源割当・配布システムには演算能力・メモリなどハードウエア面で大きなリソースが求められる。
通信資源割当・配布システムが高性能なデータ処理を実現する環境の構築が可能であればよいが、デバイスの設置環境(例えば防爆)やコスト面の都合で、処理性能に制約がある場合、本来必要とする演算能力を確保することがある。この結果、通信資源割当・管理システムの処理性能から、システムに収容可能な管理対象デバイスの台数や割当可能な通信帯域に制約が発生することがある。
(4)資源管理システム内のオーバヘッドが存在する。
従来方式の場合、最適と思われる通信資源を割当るためには、通信状態に関連する情報を、通信資源割当前に収集しておく必要がある。通信環境が動的に変化しない、あるいは変化の小さいことが予め分かっているシステムにおいても、動的な環境変化を想定した管理システムの導入は、本来不要である管理情報のメンテナンスを行う必要があり、そのためのオーバヘッドが発生する。
本発明の目的は、システム構成やデータの伝送量がシステム設計段階で予測可能なシステムにおいて、通信資源の割当を行う機能と割当てた資源を管理対象デバイスに配布する機能を分離することにより、システム運用前に予め通信資源割当アルゴリズム処理により静的に割当ることを可能とする通信資源割当システムを実現することにある。
このような課題を達成するために、本発明は次の通りの構成になっている。
(1)ネットワークに接続され、互いに通信する複数の管理対象デバイスが通信資源配布システムに通信資源を要求し、前記通信資源配布システムが資源割当状況管理部に保存される資源割当情報にアクセスして読み出された資源割当情報を、要求した前記管理対象デバイスに返す通信資源割当システムにおいて、
予め取得されたユーザ情報を入力する通信資源割当アルゴリズムにより算出された資源割当情報を前記資源割当状況管理部に渡す、前記通信資源配布システムと分離された通信資源割当ツールを備え、
前記通信資源配布システムは、前記資源割当状況管理部に保存される資源割当情報と、
ネットワークを介して取得される現在の管理対象デバイスの資源割当情報との通信環境差分を検出する通信環境変化検出部を備え、
前記通信資源割当ツールは、前記通信環境差分に関する情報を取得して前記通信資源割当アルゴリズムを修正する、通信環境差分入力部を備え、
前記通信資源割当アルゴリズムは、前記通信環境差分に関する情報の変化差分を考慮した前記資源割当情報を算出する、
ことを特徴とする通信資源割当システム。
(2)前記資源割当状況管理部は、前記通信資源割当ツールよりファイル手段を介して前記資源割当情報を取得することを特徴とする(1)に記載の通信資源割当システム。
(3)前記資源割当状況管理部は、前記通信資源割当ツールより前記ネットワークを介して前記資源割当情報を取得することを特徴とする(1)または(2)に記載の通信資源割当システム。

(4)前記資源割当情報は、ユーザまたは他システムにより編集可能であることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の通信資源割当システム。
(5)前記ユーザ情報は、ネットワーク情報、アプリケーション情報、制約条件情報の少なくともいずれかであることを特徴とする(1)乃至(4)のいずれかに記載の通信資源割当システム。
(6)前記通信資源割当アルゴリズムは、外部演算ライブラリにアクセスしてその資源を利用することを特徴とする(1)乃至(5)のいずれかに記載の通信資源割当システム。
)前記通信資源割当ツールは、ネットワークを介して接続される複数台の通信資源配布システムに対し、これら通信資源配布システムが夫々通信する管理対象デバイスの資源割当情報を配布することを特徴とする(1)乃至()のいずれかに記載の通信資源割当システム。
本発明によれば、次のような効果を期待することができる。
(1)通信資源割当結果に対してユーザや他システムが介入できる仕組みを提供することが可能となる。即ち、通信資源割当ツールと通信資源配布システムの間を、「資源割当情報」にて分離することにより、通信資源の割当結果に対してオペレータや他のシステムが介入することが容易となる。
(2)複数の異なるシステムに対する通信資源の割当が簡単になる。資源割当ツールを独立させた本発明方式の適用により、資源割当ツールの動作環境を1つに決めることが可能であり、資源割当アルゴリズムの実装は1つの要件につき1実装で済む。事前設定情報のフォーマットのみを決めておけば、どのような構成の通信資源配布システムに対してもその割当結果を入力することができる。
(3)異なる要件に対しても資源配布システムの共通化を図ることが可能である。
資源割当に関して、異なる要件に対応させるためには資源割当アルゴリズムの入れ替えが必要である。従来方式の場合、資源割当の仕組みと配布の仕組みが一体化しているため、資源割当アルゴリズムの実装を入れ替えるためには、資源割当・配布システム全体の更新が必要となる。一方、本発明方式の場合、資源割当アルゴリズムの入れ替えは、資源割当ツールに閉じた環境内で実施することができる。
このため、本発明方式においてシステム毎に異なる通信資源割当を行う場合、資源割当ツール上のアルゴリズムの変更だけで済み、割当資源配布システムにはシステム要件とは関係なく共通のものが使用できることになる。
(4)複雑な通信資源割当処理を高性能なマシン上で実現することが可能である。
通信資源の割当処理は、各種制約条件とシステム要求を同時に満たす解(資源)を探索することであり、一般に複雑な処理が求められる。特に扱う管理対象デバイスの台数やアプリケーション通信量を多くサポートしようとするほど複雑度が増してくる。
従来方式の場合、これらは通信資源割当・配布システム上で全て行う必要があるが、本発明方式では、複雑な通信資源割当の処理を高性能な演算能力を持った機器で実行し、その結果を通信資源配布システムに通知することが可能である。このため、通信資源配布システムには大きな演算能力を必要とせず、コスト面でのメリットや設置環境(例えば防爆など)への対応も行い易い。
また、通信資源割当ツールは、資源割当情報を出力した段階で動作が完了するため、その後は他のシステムの資源割当に利用することができ、1つの割当システムを複数のシステムで利用することができる。
(5)図3に示すように、現場設置機器に資源配布の機能を行わせることにより分散処理が可能である。資源配布システムは、複雑な処理を必要としないため非力な環境下でも動作する。このため、通信資源割当ツールは複数のシステムで共用し、通信資源配布システムをシステム毎に用意することにより、管理の分散化を行うことができる。
(6)図4に示すように、資源割当に関して各種支援ツールの適用が容易である。資源割当ツールをPCなど、汎用のプラットフォーム上にて動作させることで、資源割当ツール対して、現場固有のツールやGUIなどの独自のソフトウエアを付加することが容易になる。
(7)図6に示すように、通信環境の変化差分を通信資源配布機能が通信資源割当機能に通知することで、通信環境変化へ迅速に対応し、高信頼な通信環境を維持することができる。これにより、図8に示すように、高信頼性を要求される工業用無線ネットワークであるISA100.11aにおいて、通信環境への変化へ追随することが本発明の分離システムにおいて容易に実現することができる。
本発明を適用した通信資源割当システムの一実施例を示す機能ブロック図である。 図1の動作を説明するシーケンス図である。 本発明を適用した通信資源割当システムの他の実施例を示す機能ブロック図である。 本発明を適用した通信資源割当システムの更に他の実施例を示す機能ブロック図である。 本発明によりISA100 System Managerを構成した実施例を示す機能ブロック図である。 本発明を適用した通信資源割当システムの更に他の実施例を示す機能ブロック図である。 図6の動作を説明するシーケンス図である。 ISA100 System Managerによる差分情報の収集を説明する機能ブロック図である。 従来の通信資源割当システムの構成例を示す機能ブロック図である。 図9の動作を説明するシーケンス図である。
以下本発明を、図面を用いて詳細に説明する。図1は、本発明を適用した通信資源割当システムの一実施例を示す機能ブロック図である。図9で説明した従来構成と同一要素には同一符号を付して説明を省略する。
本発明の特徴は、システム構成やデータの伝送量がシステム設計段階で予測可能なシステムにおいて、通信資源の割当をシステム運用時に動的に行うのではなく、システム運用前に静的に(オフライン処理で)割当て、また、通信資源の割当を行う機能と割当てた資源をシステム構成する管理対象デバイスに対して配布する機能を分離することによって、従来システムの問題点を解決したものである。
本発明通信資源割当システムでは、通信資源の割当を行う通信資源割当ツール100と、システムに依存した通信方式をサポートし、割当てた通信資源を各管理対象デバイスに配布する通信資源配布システム200の2つの機能に分離し、両者間を資源割当情報300で結合した構成を特徴としている。
通信資源割当ツール100と通信資源配布システム200は、同機器内で動作させてもよいし、別機器で動作させてもよいが、いずれの場合もこの2つの機能ブロック間は資源割当情報300により結合される。
資源割当情報300の具体的な実現手法の一つとしてファイル手段が考えられ、通信資源割当ツール100が規定のフォーマットにて設定ファイルを出力し、それを通信資源配布システム200が読み込むことにより両者の連携動作を行う。このファイル手段は、必要に応じてユーザ500により編集可能な機能を持たせることも可能である。
なお、規定のフォーマットとは2つの機能ブロック間での取り決めがあれば任意のものを利用できるが、具体的な例として、XMLファイルやCSVなどの一般的なデータ表記手法を利用することが可能である。
資源割当情報がファイル手段で実現されている場合、通信資源割当ツールの出力を読み込み・編集することが可能な外部ツールを用意し、その結果をユーザが編集することが可能である。
具体的な例として、特定の通信帯域を手動で制御したい、干渉防止のために特定チャネルを利用しないようにしたい(無線システムの場合)などの要求への対応を通信資源割当後に行うことができるようになる。
また、システムの構築時に通信資源割当の設計段階では予期していなかった問題(例えば、ある特定のデバイス間の通信ができなかった)などが発生したとき、システムの配置現場から得られるこれらの情報を資源割当ツールまで戻し、全割当資源を再計算することはコストが大きい。
本発明のシステム構成では、最初に資源割当ツールから出力された資源割当情報を編集し、通信資源配布システムに対して再入力してやることで、システム適用の現場から得られる情報を簡易にフィードバックすることができる。
ファイル手段により結合する構成以外に、2つの機能ブロックを結合する方法として、図6において後述するように、ネットワーク10を介した通信やプロセス間通信などによる結合形態も考えられる。
本発明における通信資源割当ツール100は、通信資源配布システム200とは独立したツールであり、任意の環境で動作させることができ、対象となるシステムの稼動前にオフラインで実行される。
通信資源割当ツール100のユーザ情報読込部101は、ユーザ500が入力するアプリケーション情報(通信周期、データ長、送信元、受信先など)401、ネットワーク情報(機器の配置情報、各機器に搭載されているネットワーク上の機能(データの中継機能の有無)、ネットワークトポロジ情報など)402、および、通信資源割当に関する制約条件情報(通信干渉情報、レイテンシ要求など)403を読み込み、通信資源割当アルゴリズム102に渡す。
通信資源割当ツール100に搭載される通信資源割当アルゴリズム102は、ユーザ情報読込部101を介して入力されたアプリケーション情報、ネットワーク情報、制約条件情報を基に、各アルゴリズム固有の評価(判断)基準に従って通信資源の割当を行う。
評価基準の例として、通信遅延時間の最小化、通信ジッタの最小化、システム全体の消費電力最小化、特定デバイスの消費電力最小化、通信収容数の最大化、通信エラー最小化などが考えられ、各種入力条件とこれらの評価基準を満たすような通信資源割当を行う。
通信資源割当アルゴリズム102は、ソフトウエアにて実現される。このため資源割当アルゴリズムを、交換可能なアーキテクチャに取り、複数の評価基準に対応したアルゴリズムを用意することで、1つの資源割当ツールで複数の要求に対応した通信資源の割当を行うことができる。
通信資源割当アルゴリズム102による通信資源の割当結果は、割当結果出力部103にて、通信資源配布システムが読み込み可能な形式に変換され、事前設定された資源割当情報300として出力する。
なお、通信資源割当ツール100は、管理対象となる通信システムの稼動前の動作を想定しているが、ツールに対する入力情報に変更があったとき、または、稼働中のネットワークに予期しない問題が発生するなどして、割当済みの通信資源に対して見直しの必要がある場合には、システム稼働中でも通信資源割当ツールを再実行させ、新たな条件や環境に対応した資源割当を再実行することも可能である。
通信資源配布システム200は、通信資源割当ツール100が出力する資源割当情報300を基に、各管理対象デバイスからの通信資源の要求に対して、各システムにて定められた手順に従って実際に通信資源を配布する。
通信資源配布システム200に実装される設定情報読込部201は、通信資源割当ツール100が出力する資源割当情報300を読み込み、同じく通信資源配布システム200内に存在する資源割当状況管理部202にそのデータを格納する。
システムの管理対象デバイスが、通信資源配布システム200に対して通信資源割当要求を行うと、その要求を通信部203が受け取り、通信資源配布部204に通知する。通信資源配布部204は、資源割当状況管理部202アクセスして要求に対応した通信資源の検索を行う。
このとき、各管理対象デバイスにて必要とされる通信資源は、既に通信資源割当ツール100によって割当済みであり、資源割当要求に対応した通信資源情報は、資源割当情報管理部202に格納済みである。
通信資源配布部204は、資源割当情報管理部202を探索した結果の通信資源情報を、通信部203経由で要求元の管理対象デバイスおよび必要に応じて中継デバイスなどの関連デバイスに対して通知する。
このような構成をとることで通信資源配布システム200には、通信資源割当に関する複雑なアルゴリズム処理が不要となるため、シンプルなハードウエア・ソフトウエアで実装できる。この結果、通信資源配布システム200には高い演算能力は不要となり、現場設置機器など非力な演算能力しか持たないシステムで動作させることが可能となる。
また、システムを構築する管理対象デバイスには、各システムに対応した通信プロトコルにて通信資源情報を配布する通信資源配布システム200との間で通信資源情報のやり取りを行うだけであり、実際に配布する通信資源を決定する通信資源割当ツール100の存在は管理対象デバイス側からは見えない。
このため、本発明を採用した場合でも、システムを構成する管理対象デバイス側の実装は、従来方式のままで一切の変更が必要とされないことが特徴である。
図2は、図1の動作を説明するシーケンス図である。システム運用前において、シーケンスs1では、ユーザ500より、アプリケーション情報、ネットワーク情報、制約条件情報が通信資源割当アルゴリズム102に入力される。シーケンスs2では、資源割当結果が設定情報読込部201に渡され、シーケンスs3で資源割当状況管理部202に格納される。
システム運用中において、シーケンスs4で管理対象デバイス21より通信資源配布部204に対して資源割当要求Qが通知されると、シーケンスs5で通信資源配布部204は、資源割当状況管理部202にアクセスして通信割当結果を参照する。
シーケンスs6で、資源割当状況管理部202は、参照結果を通信資源配布部204に通知する。シーケンスs7で、通信資源配布部204は、通信資源割当情報Rを要求元の管理対象デバイス21に通知する。
図3は、本発明を適用した通信資源割当システムの他の実施例を示す機能ブロック図である。この実施例では、1台の通信資源割当ツール100は、複数システム600A、600B、600C毎に通信資源配布システム200A、200B、200Cを割当て、各通信資源配布システム対して担当するシステムに関する事前設定情報を予め通知しておく。
通信資源割当ツール100が、通信資源配布システムシステム200A、200B、200Cに対して各システムの通信資源の事前割当結果を予め通知しておくことにより、各システムに閉じた(つまり通信資源配布システム以下の構成だけで)システム構築が可能となる。このような分散構成においては、中央システムとの情報のやり取りをすることなくシステムを運用することが可能であるため、耐障害性の観点からもメリットがある。
従来方式では、通信資源の割当は通信資源割当・配布システム上に搭載される資源割当アルゴリズムが自動的に決定する。このため、所望の要件を実現するシステム構築を行わせたい場合、それらの要件毎に資源割当アルゴリズムを実装し、通信資源割当・配布システム上にインストールしなくてはならない。
しかしながら通信資源割当・配布システムは、そのハードウエア、ソフトウエア環境が適用先のシステムによって異なることが考えられ、この場合同じ要件を実現する場合であっても各システムに応じた資源割当アルゴリズムの実装が必要になることがある。
資源割当ツールを独立させた本発明方式の適用により、資源割当ツールの動作環境を1つに決めることが可能であり、資源割当アルゴリズムの実装は1つの要件につき1実装で済む。事前設定情報のフォーマットのみを決めておけば、どのような構成の通信資源配布システムに対してもその割当結果を入力することができる。
一般的に、通信資源配布システム200は、アプリケーションやネットワーク、設置環境等によって使用可能な機器に制約が生じることがある(たとえば防爆性能を満たすための消費電力など)。
一方、通信資源の割当を行う通信資源割当ツール100のアルゴリズムは、複雑な制約を満たす資源割当を行うために、複雑な計算が必要とされるなど高度の演算能力が必要とされる。また、通信資源割当やその最適化において必要とされる数値演算ライブラリのようなものが既に用意されていることが多い。
例えば通信干渉防止のための彩色問題を解くアルゴリズムや、数理計画法ソルバーなどは、商用、非商用に関わらず多くのものが利用可能であり、これらを資源割当演算のエンジンとして利用することで資源割当アルゴリズムの実装をシンプルにすることができる。
図4は、本発明を適用した通信資源割当システムの更に他の実施例を示す機能ブロック図である。本発明は、通信資源割当を行うツール100と実際にデバイスに対して資源情報を通知する通信資源配布システム200とが分離していることが特徴である。
この実施例では、通信資源割当アルゴリズム102が、外部演算ライブラリ800と連携する形態を示している。通信資源割当アルゴリズム102の内部には、資源割当に必要な演算ライブラリ(例えば数理計画法のソルバー)などを持たずに、必要に応じて資源割当アルゴリズム102から、外部演算ライブラリ800に条件を入力し、演算の結果出力を取得する。
通信資源割当ツール100は、通信資源配布システム200が読み込み可能なデータを出力すればよいので、通信資源割当ツール100の動作環境に対して制約はない。このため、外部の演算ライブラリ800の動作要件を満たすハードウエア、ソフトウエアを用意し、この上で通信資源割当ツール100を動作させることで、外部演算ライブラリ800と協調した動作を行う通信資源割当ツール100を実現することができる。
この手法では、通信資源割当アルゴリズム102自体に複雑な演算ライブラリを実装する必要がないことと、システム要件に応じたライブラリが利用可能(例えば、コスト面で有利なライブラリ、最適性能を求めたライブラリ、短い計算時間で割当可能なライブラリなど)といった面で従来手法では実現困難なメリットを得ることができる。
一般に高性能な演算ライブラリは比較的高価である。この実施例の場合、演算ライブラリ800を導入する必要があるのは通信資源割当ツール100だけであり、システム稼働中にはこの機能は使用しない。すなわち、図3に示した複数のシステムでこの通信資源割当ツールを利用することができ、複数システムの運用においてはコスト面でもメリットがある。
一方で、図9にし示した従来方式で外部演算ライブラリと連携した通信資源割当を行うには、演算ライブラリが対応するプラットフォーム、およびライブラリが要求する演算能力を兼ね備える通信資源割当・配布システムが必要になる。また、動作させるシステムごとに演算ライブラリを導入する必要がありコスト面でも不利となる。
本発明は、工業用無線規格ISA100.11a(以下ISA100)に適用することが可能である。図5は、本発明によりISA100 System Managerを構成した実施例を示す機能ブロック図である。図9に示した従来方式における通信資源割当・配布システム30は、ISA100システムにおけるSystem Managerに相当する。ISA100のSystem Managerは、傘下のデバイスに対して、通信資源である時間(通信タイムスロット)、空間(通信経路)、周波数(使用無線チャネル)を割当る。
ISA100System Managerは、これら通信資源の割当をシステム稼働中に動的に行うことが想定されたシステムであり、各デバイスからの通信資源要求がSystem Managerに通知された段階で、割当て可能な資源の探索を行い、要求元デバイスおよび関連するデバイスに割当てた資源情報を返す機能を備える。
図5に示すISA100 System Manager900は、本発明で示した資源割当ツール100と通信資源配布システム200の双方の機能を包含したものに相当する。ISA100に本発明を適用する場合、資源割当ツール100は高い演算能力をもつコンピュータで実現される。
この資源割当ツール100には、ユーザが所望する通信環境(例えば通信経路情報、通信帯域情報、使用無線チャネルなど)やアプリケーション情報(通信周期や通信相手、データ長など)を入力する。資源割当ツール100は、これらの条件を満たす通信資源の割当を行い、事前設定情報の構築を行う。
ISA100の場合、事前設定情報に含まれる情報の一例として、割当アドレス情報やルーティングテーブル、各デバイスに与える役割、2つのデバイス間の無線通信リンク情報、無線チャネル設定などが含まれる。割当てた事前設定情報は、通信資源配布システム200上に通知され、ここでISA100を構成する管理対象デバイスからの資源割当要求に対して事前設定情報を元に割当結果を返す。
図1の実施例で説明したように、通信資源を静的に割当る場合、演算能力や他システムの連携に関連する問題から、通信資源を割当る機能とシステム運用中にその資源を配布する機能を分離することは有効である。
しかしながら、このようにシステム運用前に通信資源を静的に割当る機能と、システム運用中にその通信資源を配布する機能を分離するようなシステムを構成すると、次のような問題が生じる場合がある。
(1)システム運用前に通信資源を割当る際に想定された通信環境の初期状態は、時間経過と共に変化する。その場合、当初想定していた環境が運用中に変化し、システムの運用に支障をもたらす可能性がある。
通信資源割当ツール100からの資源割当情報300は当初の設定値に固定され、通信資源配布システム200自身も通信資源の再割当の機能を持たないので、システムは、最新の通信環境データを取得することができないことになる。
(2)通信資源を割当る際に想定する初期ネットワーク構成は、通信環境とともにシステム運用中に変化し、それに関連して各デバイスに必要な通信資源も変化する。ネットワーク運用中にネットワークトポロジや端末の追加を行いたい場合でも、動的な割当機能を持たない分離方式には運用中の資源の再割当が困難となる。
図6は、本発明を適用した通信資源割当システムの更に他の実施例を示す機能ブロック図である。この実施例は、上記(1),(2)の問題を解決するものであり、システム運用中に発生する可能性のある環境変化に基づき通信資源割当ツール100の通信資源割当アルゴリズム102の演算機能を動的に修正する構成を特徴としている。
図1の実施例に追加される構成は、通信資源割当ツール100側では、通信環境差分入力部104および通信環境差分入力インターフェース105である。通信資源配布システム200側では、通信環境変化検出部205および通信環境差分出力インターフェース206である。
通信環境差分入力部104は、通信環境差分入力インターフェース105を通じて、ネットワーク10を介して通信資源配布システム200側から送信される通信環境変化差分Δfを受信し、この差分情報を通信資源アルゴリズム102に転送もしくは蓄積する。
通信環境差分入力部104に蓄積された差分情報は、システムで定義されるトリガ(情報量や蓄積時間など)により、通信環境の変化差分Δfを通信資源割当アルゴリズム102に通知する。
通信環境の変化差分Δfを受信した通信資源割当アルゴリズム102は、変化差分を考慮したリソース割当、もしくは、差分情報の蓄積を行う。リソース割当を行う場合は、その差分情報に適した資源割当情報300を再計算して出力する。差分情報Δfを蓄積する場合には、蓄積された差分情報は、システムで定義されるトリガ(情報量や蓄積時間など)により、その差分情報に適した資源割当情報300を再計算して出力する。
通信資源配布システム200の通信環境変化検出部205は、通信部203から取得する現在の通信環境情報f1と、通信環境資源割当状況管理部202より取得される現在の静的な事前設定情報f2を入力し、通信環境変化差分Δfを算出する。算出された通信環境変化差分Δfは、通信環境差分出力インターフェース206を通じ、ネットワーク10を介して通信資源割当ツール100側の通信環境差分入力インターフェース105に送信される。
このような構成をとることで、通信資源配布システム200は、通信資源割当ツール100より割当られた初期状態からの通信環境の変化を通知もしくは検出することができるようになる。この結果、通信資源配布システム200は、通信環境の変化に追随した最適な通信リソースを管理対象デバイスに再割当することが可能となる。
この実施例によれば、環境の変化を随時収集し、通信資源割当ツール100に通知することによって、より現実に即した効率のよい資源割当が、通信資源割当ツール100において可能になる。よって、通信環境変化に対応した信頼性の高い通信環境を維持することができる。
通信資源配布システム200はシンプルな構造であり、複雑な処理である通信資源割当ツール100を別機能とすることで非力なマシンでも実現可能であるという利点がある。この実施例によれば、通信資源の割当を、通信資源割当ツール100に残したまま、通信環境の差分を通知し、通信環境の変化に追随することで、本発明の特徴である分離方式の利点を継承することが可能になる。
図7は、図6の動作を説明するシーケンス図である。シーケンスs1〜シーケンスs7は、図2に示したシーケンス図と同一である。図2に追加されるシーケンスs8では、システム運用中に管理対象デバイス21からネットワーク情報f1が通信環境変化検出部205に通知される。
シーケンスs9では、シーケンスs8と同時または所定のサンプル周期で通信環境変化検出部205が資源割当状況管理部202から通信環境情報f2を取得する。シーケンスs10では、通信環境変化検出部205が、通信環境差分Δfを通信資源割当ツール100の通信環境差分入力部105に送信する。
シーケンスs11では、通信環境差分Δfが通信環境差分入力部105から通信資源割当アルゴリズム102に入力され、初期設定の資源割当情報が修正され、シーケンスs2、シーケンスs3が再度実行されて資源割当管理部202のデータが修正される。
図8は、図5に示したISA100 System Managerによる差分情報の収集を説明する機能ブロック図である。通信資源割当ツール100は、ネットワーク10を介して接続された複数のISA100 System Manager900A,900Bに資源割当情報A,Bを送信する。
ISA100 System Manager900A,900Bは、夫々が管理するネットワークA,ネットワークBに属する管理対象デバイスに通信資源を配布すると共に、各ネットワークA,Bからネットワーク情報を取得して差分情報を算出する機能を有する。
ISA100 System Manager900A,900Bは、差分情報A及び差分情報Bを、ネットワーク10を介して通信資源割当ツール100に送信する。通信資源割当ツール100は、各ISA100 System Managerからの差分情報に基づいて資源割当情報A及び資源割当情報Bを修正し、ISA100 System Manager900A,900Bに再配布する。
この実施例では、通信資源割当ツール100内の通信資源割当アルゴリズムは、最初の通信資源配布を行うための情報(制約条件、アプリケーション情報、ネットワーク情報など)が資源割当アルゴリズムに入力され、事前設定情報として出力される。
その事前設定情報は、通信資源配布システムであるSystem Managerへ入力され、事前設定情報に基づき各System Managerが管理するネットワークの管理対象デバイスに通信資源が配布される。
管理対象デバイスが稼動するネットワークでは、運用開始前に配布された通信資源に基づいたネットワークの運用がなされる。しかし、時間とともに通信環境の変化(端末の増減、電波環境の変化、通信デバイス配置位置の変化)が発生する。
それらの変化は、ヘルスリポートなどで差分情報として管理対象デバイスからSystem manager へ通知される。通知された差分情報は、差分情報として資源割当ツール100に入力される。入力された差分情報は、資源割当ツール100内で再度通信資源配布のための計算に利用される。
計算された資源割当情報は、再度System Managerを通じて管理対象デバイスへの通信資源再割当に利用される。差分情報を入力することにより、高信頼性を要求される工業用無線ネットワークであるISA100.11aにおいて、通信環境への変化へ追随することが本発明の分離システムにおいて可能となる。
10 ネットワーク
21〜25 管理対象デバイス群
100 通信資源割当ツール
101 ユーザ情報読込部
102 通信資源割当アルゴリズム
103 割当結果出力部
104 通信環境差分入力部
105 通信環境差分入力インターフェース
200 通信資源配布システム
201 設定情報読込部
202 資源割当状況管理部
203 通信部
204 通信資源配布部
205 通信環境差分出力インターフェース
206 通信環境変化検出部
300 資源情報割当情報
401 アプリケーション情報
402 ネットワーク情報
403 制約条件情報
500 ユーザ
800 外部演算ライブラリ

Claims (7)

  1. ネットワークに接続され、互いに通信する複数の管理対象デバイスが通信資源配布システムに通信資源を要求し、前記通信資源配布システムが資源割当状況管理部に保存される資源割当情報にアクセスして読み出された資源割当情報を、要求した前記管理対象デバイスに返す通信資源割当システムにおいて、
    予め取得されたユーザ情報を入力する通信資源割当アルゴリズムにより算出された資源割当情報を前記資源割当状況管理部に渡す、前記通信資源配布システムと分離された通信資源割当ツールを備え、
    前記通信資源配布システムは、前記資源割当状況管理部に保存される資源割当情報と、
    ネットワークを介して取得される現在の管理対象デバイスの資源割当情報との通信環境差分を検出する通信環境変化検出部を備え、
    前記通信資源割当ツールは、前記通信環境差分に関する情報を取得して前記通信資源割当アルゴリズムを修正する、通信環境差分入力部を備え、
    前記通信資源割当アルゴリズムは、前記通信環境差分に関する情報の変化差分を考慮した前記資源割当情報を算出する、
    ことを特徴とする通信資源割当システム。
  2. 前記資源割当状況管理部は、前記通信資源割当ツールよりファイル手段を介して前記資源割当情報を取得することを特徴とする請求項1に記載の通信資源割当システム。
  3. 前記資源割当状況管理部は、前記通信資源割当ツールより前記ネットワークを介して前記資源割当情報を取得することを特徴とする請求項1または2に記載の通信資源割当システム。
  4. 前記資源割当情報は、ユーザまたは他システムにより編集可能であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の通信資源割当システム。
  5. 前記ユーザ情報は、ネットワーク情報、アプリケーション情報、制約条件情報の少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の通信資源割当システム。
  6. 前記通信資源割当アルゴリズムは、外部演算ライブラリにアクセスしてその資源を利用することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の通信資源割当システム。
  7. 前記通信資源割当ツールは、ネットワークを介して接続される複数台の通信資源配布システムに対し、これら通信資源配布システムが夫々通信する管理対象デバイスの資源割当情報を配布することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の通信資源割当システム。
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