JP5454805B2 - 骨形成を安全に促進させる医薬複合剤 - Google Patents

骨形成を安全に促進させる医薬複合剤 Download PDF

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本発明は、骨量を安全に増加させるかまたは骨損失、骨疾患を安全に治療するための医薬複合剤に関する。
骨量は破骨細胞による骨吸収と骨芽細胞による骨形成のバランスが保たれることにより維持される。様々な基礎研究や臨床研究から、骨再構築(リモデリング)において骨吸収と骨形成のアンカップリングが生じると、骨量の減少が起こることが明らかとなっている。このような骨疾患として、骨粗鬆症、骨軟化症、無形成骨、副甲状腺機能亢進症による線維性骨炎、透析性骨症、多発性骨髄腫などの癌、ステロイドなどの薬剤投与による骨量減少などのような全身性の骨疾患、または炎症に起因する関節炎、歯周病、外科的損傷による骨折、再骨折、変形性関節症、外科的手術に起因する骨欠損などが該当する。
中でも骨粗鬆症は「低骨量と骨組織微細構造の劣化の結果、骨の脆弱性が亢進し、骨折を起こしやすい全身性の疾患」と定義されるが、その発症要因によって多数の亜型に分離され、例えば基礎疾患の存在しない原発性骨粗鬆症と、種々の内分泌疾患や血液疾患などの他の疾患に伴う続発性骨粗鬆症とに分類される。原発性骨粗鬆症はさらに、退行期骨粗鬆症、すなわちI型骨粗鬆症とよばれる閉経後の骨粗鬆症、あるいはII型骨粗鬆症と分類される老人性の骨粗鬆症を含む。
一方、続発性骨粗鬆症はさらに、長期臥床や無重力刺激による不動性骨粗鬆症や、コルチコステロイドなどの長期服用による薬物性骨粗鬆症、内因性ステロイドの過剰分泌を主因とするクッシング症候群やその他の性腺機能不全症、また原発性副甲状腺機能亢進症や続発性副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症、腎性骨異栄養症、糖尿病などの内分泌疾患が原因である骨粗鬆症、多発性骨髄腫や悪性リンパ腫などの血液疾患が原因である骨粗鬆症、リウマチ様関節炎が原因である骨粗鬆症、また骨形成不全症、ホモシスチン尿症、マルファン症候群など遺伝的疾患が原因である骨粗鬆症などが含まれる。
急激な人口の高齢化に伴い、骨粗鬆症の患者数は増加の一途をたどり、2000年には日本で1009万人、全世界では7500万人の存在が推計されている(New Current CONTENTS,2001.1.10)が、他の疾患に比較して骨粗鬆症が特に深刻な社会問題として注目されているのは、骨粗鬆症に起因する骨折、特に大腿骨頸部骨折により患者が寝たきりとなり、患者個人のQuality of lifeの低下、医療費の増加、社会介護の不足など、幾多の問題が付随して発生することに拠る。
大腿骨頸部骨折を併発した骨粗鬆症患者は世界中で170万人(1990年)と推定され、2050年には630万人まで増加すると予測されている(NewCurrent CONTENTS,2001.1.10)。また、大腿骨頸部骨折が原因で寝たきりとなる患者数は、脳卒中に次いで第2位に位置し、全ての寝たきり患者数の11.5%に上る(New Current CONTENTS,2001.1.10)。
現在、このような骨疾患の治療剤として、カルシウム剤、エストロジェン製剤、蛋白同化ステロイド製剤、活性型ビタミンD3製剤、カルシトニン製剤、ビスフォスフォネート製剤、ビタミンK2製剤、イプリフラボン製剤などが臨床的に使用されている。しかしながらこれらの治療剤は、低下した体内のカルシウム量を改善する作用、または減少した体内のエストロジェン濃度を補充する作用、または骨吸収を抑制する作用などに基づく治療剤であって、減少、または失われた骨を積極的に増加させ、骨を罹患前までのレベルに再生させる効果は必ずしも充分ではない。
これに対して、副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone、以下PTHと略)またはPTH誘導体は骨芽細胞の機能を著明に亢進させて骨形成を促進する作用を持つことから、新しいタイプの骨粗鬆症治療薬として現在、注目を集めており(最新骨粗鬆症、折茂肇、1999年、ライフサイエンス出版)、骨粗鬆症治療における副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体の有用性は、例えば以下の参考文献で示唆、または開示されている:Horiら“Effect ofhuman parathyroid hormone(PTH(1−34)) on experimental osteopenia of ratsinduced by ovariectomy.”Bone Miner.3.193−199.1988.;Wronskiら“Parathyroidhormone is more effective than estrogen or bisphosphonates for restoration of lost bone mass in ovariectomized rats.”Endocrinology 132.823−831.1993.;Uzawaら“Comparison of the effects of intermittent and continuous administration of human parathyroid hormone (1−34) on rat bone.”Bone 16.477−484.1995.;Fujitaら“Effect of an intermittent weekly dose of human parathyroid hormone (1−34) on osteoporosis:a randomized double−masked prospective study using three dose levels.”Osteoporosis Int.9.296−306.1999.;Neerら“Effect of parathyroid hormone (1−34) on fractures and bone mineral density in postmenopausal women with osteoporosis.”N.Engl.J.Med.344.1434−1441.2001.;1996年3月19日付で公開された藤田らの特開平8−73376;1987年10月6日付で発行されたNeerらの米国特許第4,698,328号。
さらに副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体は、骨粗鬆症だけでなく骨折治療、軟骨組織の再生、歯科インプラント移植術、歯科矯正術においても有用であることが以下の参考文献で報告されている。:Jahngら“Effect of intermittent administration ofparathyroid hormone on fracture healing in ovariectomized rats.”Orthopedics 23.1089−1094.2000.;Skripitzら“Strong effect of hPTH(1−34) on regenerating bone: a time sequence study inrats.”Acta.Orthop.Scand.71.619−624.2000.;Takanoら“The effect of parathyroid hormone(1−34) on cyclic AMP level,ornithine decarboxylase,and glycosaminoglycan synthesis of chondrocytes from mandibular condylar cartilage,nasal septal cartilage,and spheno−occipital synchondrosis in culture.”J.Dent.Res.66.84−87.1987.;Inanottiら“Mechanism of action of parathyroid hormone−induced proteoglycan synthesisin the growth plate chondrocyte.”J.Ortho.Res.8.136−145.1990.;Skripitzら“Implant fixation enhanced by intermittent treatment with parathyroid hormone.”J.Bone Joint Surg.Br.83.437−440.2001.;Somaら“Effects of continuousinfusion of PTH on experimental tooth movement in rats.”J.Bone Miner.Res.14.546−554.1999.;Somaら“Local and chronic application of PTH acceleratestooth movement in rats.”J.Dent.Res.79.1717−1724.2000.
このように副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体は他剤に比較して優れた骨形成促進作用を持つ骨疾患治療剤であるが、一方で被投与患者のある一定の割合に、嘔吐、悪心、嘔気、胃もたれ、胃部不快感、胸焼けなどの消化器症状が一過的に観察されることがあり、投与の継続を中断または中止するケースが発生することがある。
例えばNeerらは、ヒト副甲状腺ホルモン(1−34)の臨床試験で、副甲状腺ホルモン40μg投与患者の18%で嘔気が認められ、擬似薬投与群の嘔気発現率8%に比較して有意に高かったことを報告している(Neerら“Effect of parathyroid hormone (1−34) onfractures and bone mineral densityin postmenopausal women with osteoporosis.”N.Engl.J.Med.344.1434−1441.2001.)。
またFujitaらは、ヒト副甲状腺ホルモン(1−34)の臨床試験で、副甲状腺ホルモン50単位(約15μg相当)投与患者73例のうち、軽度の嘔気;3件、中程度の嘔気;1件、軽度の嘔吐;0件、中程度の嘔吐;0件、副甲状腺ホルモン100単位(約30μg相当)投与患者75例のうち、軽度の嘔気;5件、中程度の嘔気;2件、軽度の嘔吐;1件、中程度の嘔吐;0件、副甲状腺ホルモン200単位(約61μg相当)投与患者72例のうち、軽度の嘔気;9件、中程度の嘔気;6件、軽度の嘔吐;2件、中程度の嘔吐;2件の発現をそれぞれ認め報告している(Fujitaら“Effect of an intermittent weekly dose of human parathyroid hormone (1−34) on osteoporosis:a randomized double−masked prospective study using three dose levels.”Osteoporosis Int.9.296−306.1999.)。
本発明は、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体治療時に発現することがある嘔気、悪心、嘔吐、胃部不快感、胃もたれ、胸焼けなどの消化器症状を軽減あるいは消失させ、副甲状腺ホルモンによる骨疾患の治療あるいは予防を安全に継続させることを目的とする。
本発明者らは鋭意研究を重ねた結果、制吐剤としての薬効が認められている医薬品が全て、副甲状腺ホルモン治療時の消化器症状に対して有効なのではなく、意外にも一部の限定された制吐剤または胃腸障害改善剤で特異的な改善効果が観察されることを発見した。そしてこの特定の制吐剤または胃腸障害改善剤により、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体投与に起因した消化器症状が軽減、または解消され、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体による骨疾患の治療を中断することなく、長期にわたって継続できることを発見した。
すなわち、本発明は、下記(イ)、(ロ)のうち、それぞれ少なくとも一種を含むことを特徴とする骨量を安全に増加させる及び/または骨疾患を安全に治療するための医薬複合剤、(イ)副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体。
(ロ)テプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジン。に関する。この特化された組み合わせによって、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体の単独投与時に発現することがある嘔気、嘔吐、胃部不快感などの消化器症状は軽減あるいは消失し、より安全に、より長期間、骨損失の防止効果または積極的な骨量増加効果が得られる。
さらに本発明は、少なくとも(a)および(b)を含むことを特徴とする骨量を安全に増加させる及び/または骨疾患を安全に治療するための医療用キット。
(a)副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体を含む第一の容器。
(b)テプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンからなる群より一つまたは複数個、選択される制吐剤または胃腸障害改善剤を含む第二の容器。に関する。
さらに本発明は、下記(イ)、(ロ)のうちそれぞれ少なくとも一種を併用することにより、骨量を安全に増加させる及び/または骨疾患を安全に治療することができることを記載した文書及び当該文書を含むパッケージ、(イ)副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体。
(ロ)テプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジン。
に関する。
さらに本発明は、上記(イ)の副甲状腺ホルモン(PTH)がヒトPTH(1−84)である場合の上記文書あるいは当該文書を含むパッケージに関する。さらに本発明は、上記(イ)のPTH誘導体がヒトPTH(1−34)である場合の上記文書あるいは当該文書を含むパッケージに関する。
本発明における副甲状腺ホルモン(parathyroid hormone、以下PTHと略)とは、生体内で血清カルシウム濃度上昇効果、リン濃度低下効果を示すホルモンの総称で、天然型のPTH、遺伝子工学的手法で製造されたPTH、化学的に合成されたPTHを包含し、好ましくは84アミノ酸から成るヒトPTH(ヒトPTH(1−84))を示す。また,、生理学上活性なPTHフラグメントとは、前記のPTHの部分ペプチドや、PTHそのものあるいはその部分ペプチドの構成アミノ酸を一部他のアミノ酸に置換したもの、PTHそのものあるいはその部分ペプチドの構成アミノ酸の一部を欠失したもの、およびPTHそのものあるいはその部分ペプチドに1種以上のアミノ酸を付加したペプチドなどで同様の活性を有するペプチドを意味する。
副甲状腺ホルモンフラグメントとしては、例えばヒトPTH(1−34)、ヒトPTH(1−64)、ヒトPTH(35−84)、ヒトPTH(1−14)、ウシPTH(1−34)などが挙げられる。PTH(1−34)とは副甲状腺ホルモンのN末端から34アミノ酸までの34個のアミノ酸から成る副甲状腺ホルモンフラグメントを示し、天然型PTHの生物活性は、このPTH(1−34)によって再現されることが知られている(生化学辞典、東京化学同人、1984)。本発明においてはこれらのPTH誘導体もその目的に包含される。
さらにアミノ酸置換の好ましい例としては、8位における構成アミノ酸のロイシンやノルロイシンへの置換、18位における構成アミノ酸のロイシンやノルロイシンへの置換、34位における構成アミノ酸のチロシンへの置換などが挙げられる。さらに副甲状腺ホルモン関連ペプチド(PTH related Peptide(PTHrP))のような副甲状腺ホルモンの特徴を保持しながらも、アミノ酸配列がわずかに変化した類似体も挙げられる。
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体は化学合成や遺伝子組み替えの方法によって当業者らにより容易に製造できる。製造方法については例えば、1978年に発行されたColescottらの米国特許第4,105,602号;1987年に発行されたNeerらの米国特許第4,698,328号、さらに米国特許第4,833,125号;1984年に公開されたHeschのDE第3243,358号、1991年に公開されたForssmannらのDE第3935,738号明細書などが挙げられる。
本発明で骨疾患の治療剤として用いられる副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体としては、前記のとおり、生体内で血清カルシウム濃度上昇効果、リン濃度低下効果を示すペプチドホルモンであれば全て本発明の副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体として包含される。また、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体であって、本発明の目的に使用されるものはこれらの例示以外にも本発明に包含される。
例えば好ましい例としては、ヒトPTH(1−84)、ヒトPTH(1−34)、ヒトPTH(1−37)、ヒトPTH(1−38)、ヒトPTH(1−34)−NH2などが挙げられ、さらに好ましくはヒトPTH(1−84)またはヒトPTH(1−34)が挙げられる。
本発明におけるテプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンなる制吐剤または胃腸障害改善剤は、以下の論文や特許に詳述されている確立された方法によって製造することができる:テプレノン(Ruzickaら.Helv.Chim.Acta 28.590.1945、Satoら.J.Org.Chem.35.565.1982)、塩酸ピレンゼピン(Eberleinら.Arzneimittel−Forsch.27.356.1977)、塩酸セトラキサート(1972年に発行されたYamamuraらの米国特許第3,699,149号、Atsujiら.J.Med.Chem.15.247.1972)、ドンペリドン(1978年に発行されたVandenberkらの米国特許第4,066,772号)、ファモチジン(1981年に発行されたYasufumiらの米国特許第4,283,408号)。
本明細書中における「患者」という語は、骨疾患に罹患し、副甲状腺ホルモンまたは生理学上活性なフラグメントによる治療あるいは予防の対象となる、生きた脊椎動物、例えばヒトを含む哺乳類や鳥類などを意味している。また、本明細書で使用する「骨疾患」という語は、骨再構築(リモデリング)において骨吸収と骨形成のアンカップリングが様々な原因で生じた病態を意味し、このような疾患名として、原発性骨粗鬆症、続発性骨粗鬆症、骨軟化症、無形成骨、副甲状腺機能亢進症による線維性骨炎、透析性骨症、多発性骨髄腫などの癌、ステロイドなどの薬剤投与による骨量減少などのような全身性の骨疾患、または炎症に起因する関節炎、歯周病、外科的損傷による骨折、再骨折、変形性関節症、外科的手術に起因する骨欠損などが含まれる。
原発性骨粗鬆症はさらに、閉経後骨粗鬆症、老人性骨粗鬆症を含む。続発性骨粗鬆症はさらに、長期臥床や無重力刺激による不動性骨粗鬆症;コルチコステロイドなどの長期服用による薬物性骨粗鬆症;内因性ステロイドの過剰分泌を主因とするクッシング症候群やその他の性腺機能不全症、原発性副甲状腺機能亢進症、続発性副甲状腺機能亢進症、甲状腺機能亢進症、副甲状腺機能低下症、腎性骨異栄養症、糖尿病などの内分泌疾患が原因である骨粗鬆症;多発性骨髄腫や悪性リンパ腫などの血液疾患が原因である骨粗鬆症;リウマチ様関節炎が原因である骨粗鬆症;骨形成不全症、ホモシスチン尿症、マルファン症候群など遺伝的疾患が原因である骨粗鬆症などが含まれる。また、関節置換術や脊椎固定術など、外科手術後に骨形成を促進させたい場合も本語の定義に包含される。
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体と、テプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンからなる群より一つまたは複数個、選択される制吐剤または胃腸障害改善剤は同時に、あるいは一つの組成物として同時に、あるいは逐次的に患者に投与することができる。副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体と、テプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンからなる群より一つまたは複数個、選択される制吐剤または胃腸障害改善剤を逐次投与する場合には、両者の投与間隔は各薬剤の投与剤型や患者の訴える症状によって適宜選択されて良く、例えば副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体を投与と同時あるいは、投与直後〜1時間後などにテプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンからなる群より一つまたは複数個、選択される制吐剤または胃腸障害改善剤を投与しても良い。
また、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体を投与するに先だって、予防的にテプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンからなる群より一つまたは複数個、選択される制吐剤または胃腸障害改善剤を投与することも考えられる。
本明細書中における「医薬複合剤」という語は、典型的な組成物のように、複数成分の完全な混合物のみならず、各成分を配した容器から別々に投与する非混合的組み合わせの意味も含んでいる。
副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体、およびテプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンからなる群より一つまたは複数個、選択される制吐剤または胃腸障害改善剤は、製薬上許容される補助成分を添加した製剤として投与しても良い。ただし、通常の使用状況下で副甲状腺ホルモンまたは生理学上活性なフラグメント、またはテプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンからなる群よりひとつまたは複数個、選択される制吐剤または胃腸障害改善剤の薬学的効力を実質上、低下させるような相互作用がないように、補助成分の選択と、活性成分との混合を適合化させる必要がある。また、製薬上許容される補助成分を添加する場合、充分に高い純度と充分に低い毒性とを兼ね備えていなければならない。
補助成分の一部の例としては、ラクトース、グルコース、スクロースなどの糖類;コーンスターチ、ポテトスターチなどのデンプン;セルロースとナトリウムカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、酢酸セルロースなどのセルロース誘導体;粉末トラガカント;ゼラチン;タルク;ステアリン酸;ステアリン酸マグネシウム;ピーナッツ油、綿実油、ゴマ油、オリーブオイル、コーン油、テオブロマ油などの植物油;プロピレングリコール、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールなどのポリオール類;寒天;アルギン酸;等張液;リン酸緩衝液などの緩衝剤;ラウリル硫酸ナトリウムなどの湿潤剤および滑沢剤;着色剤;香味剤;保存剤;安定剤;酸化防止剤;防腐剤;抗微生物剤などが挙げられる。
活性成分と併用される補助成分の選択は、その活性成分が投与される方法により決定される。活性成分が注射されるならば、好ましい補助成分は無菌水、生理食塩水、緩衝液またはそれらの混合液が挙げられる。このような非経口組成物のpHは約7.4に調整されることが好ましい。局所投与として製薬上許容される補助成分には、クリーム、ゲル、テープ、パッチおよびこれに相当する局所デリバリー用の補助成分を適宜、選択して用いればよい。
本発明において、テプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンからなる群より一つまたは複数個、選択される制吐剤または胃腸障害改善剤を患者に投与する方法は、例えば単位剤形による経口剤または坐剤もしくは注射剤があり、好ましくは経口剤である。経口剤の単位剤形としては、例えば安全有効量の活性成分を含んだ錠剤、カプセル剤、懸濁液及び溶液がある。投与期間は臨床的に嘔気、悪心、嘔吐、胃部不快感、胃もたれ、胸焼けなどの消化器症状が発現していると判断される期間に適宜投与する。また、臨床医の判断で予防的に投与する方法も考えられる。
投与頻度は、月1回から連日投与が例示され、症状の重さ、経過により適宜選択可能である。本発明における制吐剤または胃腸障害改善剤の経口単位剤形は、好ましくは1〜1000mg/ヒト/日の有効成分を含むが、患者の症状の程度や身体的健康度などにより、1日の投与量を複数回に分割あるいは増減するなど、安全投与量の範囲内で適宜変更してよい。
本発明における副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体の投与方法は、全身投与でも局所投与でも行い得るが、好ましい例として、皮下投与、静脈内投与、鼻腔内投与、経肺投与、経皮投与、経直腸投与、舌下投与、経口投与などがある。また、皮膚に電位差をかけて電気化学的にPTHを体内に投与する方法も用いることも可能である。投与期間としては臨床的に骨疾患に罹患していると判断される期間が例示され、病態に応じて臨床医の判断により回復後も投与を続ける場合も考えられる。投与頻度は、月1回から連日投与が可能であり、好ましくは1回/2週から5回/週もしくは連日投与である。
また、局部的に骨形成を促進させるために、ポリ乳酸やコラーゲンマトリックス、ヒドロキシアパタイトなどの適当な担体と副甲状腺ホルモンまたは生理学上活性なフラグメントを組み合わせて、目標局部に注射や外科的に埋め込むことも可能である。また、歯科治療用として用いる場合には、例えば歯科インプラントに副甲状腺ホルモンまたは生理学上活性なフラグメントをコーティングして骨部に挿入することもできる。
副甲状腺ホルモンまたは副甲状腺ホルモンの生理学上活性なフラグメントの投与量は、年齢、体格、性別、患者の健康度、治療すべき疾患の性格や重症度などによって異なるが、全身的治療のために皮下投与で用いられるPTHの有効投与量は、0.06μg/kg/日〜600mg/ヒト/日であり、さらに好ましくは15〜100mg/ヒト/日である。これは投与剤形や患者の状態によって適宜変更されうる。
また本発明は、本発明の方法を便利且つ有効に実施するためのキットやパッケージ、文書も提供する。すなわち、少なくとも(a)および(b)を含むことを特徴とする骨量を安全に増加させる及び/または骨損失を安全に治療するための医療用キット。
(a)副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体を含む第一の容器。
(b)テプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジンからなる群より一つまたは複数個、選択される制吐剤または胃腸障害改善剤を含む第二の容器、である。このようなキットにより、本発明の方法の理解と実施が容易となり、また治療者が正確な投与量で、適切な活性成分を正確に患者に投与することを容易とする。
また、本発明の方法を理解し実施することを容易にする別の手段として、説明文書や説明文書を含むパッケージがある。すなわち、下記(イ)、(ロ)のうちそれぞれ少なくとも一種を併用することにより、骨量を安全に増加させる及び/または骨疾患を安全に治療することができることを記載した文書及び当該文書を含むパッケージ。
(イ)副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体。
(ロ)テプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジン。
である。これらの記載文書、当該文書を含むパッケージ、例えば添付文書が同封された、PTH製剤は、本発明の方法の理解と実施を容易とし、また治療者が正確な投与量で、適切な活性成分を正確に患者に投与することを容易とする。
以下に本発明の実施例を挙げて詳しく説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
[投与例1]
骨粗鬆症患者
ヒトPTH(1−34)(旭化成株式会社製造)100単位を週1回、48週間皮下投与した。投与期間中4回にわたり、PTH投与後被投与患者が胃部不快感を訴えたため、それぞれ胃部不快感を訴えたときから1週間、テプレノン 150mg/日を経口投与した。その結果、テプレノン投与後、胃部不快感は軽減していき、ヒトPTH(1−34)投与を48週間、中断することなく継続することができ、第2〜第4腰椎BMD(骨塩密度。二重エネルギーX線吸収測定装置で測定。)では7%の増加が見られた。
[投与例2]
骨粗鬆症患者
ヒトPTH(1−34)(旭化成株式会社製造)100単位を週1回、48週間皮下投与した。投与期間中6回にわたり被投与患者が嘔気を訴えたため、それぞれ、PTH投与とほぼ同時に、塩酸ピレンゼピン 50mg/日を経口投与した。その結果、ヒトPTH(1−34)投与を48週間、中断することなく継続することができ、第2〜第4腰椎BMDでは5%の増加が見られた。
[投与例3]
骨粗鬆症患者
ヒトPTH(1−34)(旭化成株式会社製造)100単位を週1回、48週間皮下投与した。投与期間中3回にわたり、PTH投与後、被投与患者が胃部不快感を訴えたため、それぞれ胃部不快感を訴えてから2週間、塩酸セトラキサート 200mg×3回/日を経口投与した。その結果、ヒトPTH(1−34)投与を48週間、中断することなく継続することができ、第2中手骨ΣGS/Dにおいては16%の増加が見られた。
[投与例4]
骨粗鬆症患者
ヒトPTH(1−34)(旭化成株式会社製造)100単位を週1回、48週間皮下投与した。投与期間中18回にわたり被投与患者が嘔気を訴えたため、1回目、エカベトナトリウム 1.5g/日をPTH投与とほぼ同時に処方した。しかし改善しなかったため、以降はドンペリドン 20mg/日をPTH投与日のみ、PTH投与とほぼ同時に処方した。その結果、ヒトPTH(1−34)投与を48週間、中断することなく継続することができ、第2〜第4腰椎BMDでは12%の増加が見られた。
[投与例5]
骨粗鬆症患者
ヒトPTH(1−34)(旭化成株式会社製造)200単位を週1回、24週間皮下投与した。投与期間中21回にわたり被投与患者が胃部不快感を訴えたため、ファモチジン 10mg/日をPTH投与日にPTH投与とほぼ同時に経口投与した。その結果、ヒトPTH(1−34)投与を24週間、中断することなく継続することができ、第2〜第4腰椎BMDでは4%の増加が見られた。
[投与例6]
骨粗鬆症患者
ヒトPTH(1−34)(旭化成株式会社製造)100単位を週1回、48週間皮下投与した。投与期間中被投与患者が嘔気を訴えたため、メトクロプラミド5mg/日を1日、PTHとほぼ同時に経口投与したが、その後も嘔気が持続したため、それ以降のPTH投与を中止せざるを得なかった。
[投与例7]
骨粗鬆症患者
ヒトPTH(1−34)(旭化成株式会社製造)200単位を週1回、48週間皮下投与した。投与期間中1回、被投与患者が嘔気を訴えたため、PTH投与終了後、維持液(ソリタT3)の200ml点滴を処方したが、嘔気が軽減しないため、それ以降のPTH投与を中止せざるを得なかった。
[発明の効果]
本発明の、医薬複合剤、すなわち下記(イ)、(ロ)のうち、それぞれ少なくとも一種を含むことを特徴とする骨量を安全に増加させるかまたは骨損失を安全に治療するための医薬複合剤。
(イ)副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体。
(ロ)テプレノン、塩酸ピレンゼピン、塩酸セトラキサート、ドンペリドン、ファモチジン。
は、副甲状腺ホルモン(PTH)またはPTH誘導体の単独投与時に発現し得る嘔気、嘔吐、胃部不快感などの消化器症状を軽減または解消し、より安全に、より長期間にわたって、骨量を増加または骨損失を治療することに有用である。

Claims (6)

  1. 下記(イ)および(ロ)を含むことを特徴とする医薬複合剤であって:
    (イ)PTH(1−34)またはPTH(1−84)
    (ロ)ファモチジン;
    但し、上記(イ)におけるPTH(1−34)またはPTH(1−84)はいずれも、100〜200単位で週1回、皮下投与される、前記医薬複合剤。
  2. 上記(イ)がヒトPTH(1−84)であることを特徴とする請求項1記載の医薬複合剤。
  3. 上記(イ)がヒトPTH(1−34)であることを特徴とする請求項1記載の医薬複合剤。
  4. 少なくとも(a)および(b)を含むことを特徴とする医療用キットであって:
    (a)PTH(1−34)またはPTH(1−84)を含む第一の容器;
    (b)ファモチジンを含む第二の容器;
    但し、上記(a)におけるPTH(1−34)またはPTH(1−84)はいずれも、100〜200単位で週1回、皮下投与される、前記医療用キット。
  5. 上記(a)がヒトPTH(1−84)であることを特徴とする請求項4記載の投与用医療キット。
  6. 上記(a)がヒトPTH(1−34)であることを特徴とする請求項4記載の投与用医療キット。
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