JP5451827B2 - 移動局装置 - Google Patents

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Description

本発明は、移動通信システムの基地局と無線通信が可能な移動局装置に関するものである。
3GPP(3rd Generation Partnership Project)において次世代の移動通信システムとして標準化されているLTE(Long Term Evolution、3GPP Rel.8/9)及びそれを発展させたLTE−Advanced(3GPP Rel.10)の仕様では、下りリンクの伝送方式として、OFDM(直交周波数分割多重)方式が採用されている。このOFDM方式は、互いに直交する複数の狭帯域サブキャリアを利用して伝送対象のデータを周波数軸上で直交多重して送信する伝送方式であり、マルチパス環境(フェージング環境)下においても移動局側で1タップの比較的簡易な構成の受信機でも高精度に復調することができる。
また、上記OFDMの下りリンクでは、システム全体の周波数利用効率を高めるために、互いに隣接する複数の基地局間で同一の周波数を用いる1セル周波数繰り返しによるエリア展開が可能なシステムとなっている。しかし、1セル周波数繰り返しを適用した場合、同一の周波数を複数セル間で使用しているため、移動局が基地局から希望信号を受信しているとき、周辺基地局からの干渉を受けるおそれがある。
ところで、スマートフォン等の普及により移動通信システムのトラフィックは爆発的に増大している。このトラフィックの増大は、都心の主要駅付近等、ユーザが密集しやすい場所・地域において特に顕著であり、ホットスポット呼ばれるエリアが形成される傾向にある。このような、ホットスポットにおけるトラフィックを効率的に収容するため、通常十ワット以上の比較的大きな送信電力、10dBiを超える比較的大きな利得の送受信アンテナを用いて半径数百メートルから数キロメートルのエリア(以下、適宜「マクロセル」という。)をカバーするマクロセル基地局(以下、「マクロ基地局」という。)のセルエリア内に存在するトラフィックが特に多いホットスポットエリアへ数ワット程度の比較的小さな送信電力、数dBi程度の比較的小さな利得の送受信アンテナを用いて比較的狭い範囲のセルエリアをカバーするピコセル基地局(以下、「ピコ基地局」という。)やフェムトセル基地局(以下、「フェムト基地局」という。)等の小型基地局が配置された異種混在ネットワーク(HetNet:Heterogeneous Network)において、マクロセルから小型基地局のセルに積極的にトラフィックをオフロードする方法が3GPPにおいて検討されている。このようなHetNetにおいて、マクロ基地局のトラフィックのオフロード効果を上げるために、マクロセルから小型基地局のセルに積極的に接続させることが提案されている。しかしながら、このようなHetNetにおいて、移動局が下りリンクの受信品質に基づいてセルを選択すると、低送信電力の小型基地局の送信電力はマクロ基地局に比べて小さいので、移動局がピコセルやフェムトセルを選択するエリアが小さくなってしまい、トラフィックオフロード効果が得られにくい。この問題を解決する方法として、移動局が下りリンクの参照信号受信電力:RSRP(Reference Signal Received Power)に基づいてセルを選択する際、小型基地局からの受信品質に対して正のバイアスを加える方法が提案されている。これにより、移動局は積極的に小型基地局のセルを選択できるようになり、大きなトラフィックオフロード効果を図ることができる。このバイアスを用いる手法は、低送信電力の小型基地局のエリアカバレッジを広げるため、CRE(Cell Range Expansion)と呼ばれ、LTE/LTE−Advancedにおいて適用できる。また、上記CREだけでなく、従来のハンドオーバパラメータ設定やセル再選択パラメータ設定により、マクロセルへのハンドオーバおよびセル選択を抑制し、小型基地局のセルへのトラフィックオフロードを図ることも可能である。しかしながら、マクロセルから小型基地局のセルへトラフィックオフロードを積極的に行うCRE、ハンドオーバパラメータ設定及びセル再選択パラメータ設定を適用する場合、マクロセルから小型基地局のセルへのトラフィックオフロードを積極的に行う設定になるほど、小型基地局のセル端に接続した移動局はマクロ基地局からより大きなセル間干渉を受けることとなる。
上記LTE/LTE−Advancedの場合、下りリンクのデータ信号領域であるトラフィックチャネルについては、互いに時間同期された基地局間でリソース割り当てのスケジューリングを実行することにより、周辺基地局からの上記セル間干渉を回避することができる。
また、特許文献1、2にはそれぞれ、OFDMにより基地局と移動局が通信を行う無線アクセスシステムであって、下りリンクのデータ信号領域が伝送されるトラフィックチャネルにおける他セル基地局からの干渉信号を除去して自セル基地局からの希望信号を分離することができる移動局を有する無線アクセスシステムが開示されている。
しかしながら、下りリンクの制御信号領域内で伝送されるLayer−1/Layer−2(L1/L2)制御チャネルについては、セルID等のコンフィギュレーションによって、使用される無線リソースが決定され、スケジューリングによる無線リソース割り当ての自由度が低い。しかも、下りリンクの制御信号は、各基地局からシステム帯域幅全体に拡散されて送信される。そのため、セル間干渉をスケジューリングにより回避することが容易でない。
また、上記特許文献1、2の無線アクセスシステムにおける干渉信号の除去は、下りリンクの制御信号の受信が理想的に行われることを前提としたものであり、下りリンクのL1/L2制御チャネル(以下、適宜「制御チャネル」という。)における干渉を防止する構成については開示されていない。
移動局が受信している下りリンクの制御チャネルに干渉が発生すると、その制御チャネルで伝送される制御信号領域の受信誤りが増大し、制御情報を適切に取得できないおそれがある。制御情報を適切に取得できないと、その制御情報を用いたデータ信号領域の受信誤りが増大してしまう。
本発明は以上の問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、OFDM方式の下りリンクにおける制御チャネルの干渉に起因したデータ信号領域の受信誤りの増大を防止することができる移動局装置を提供することである。
本発明の移動局装置は、互い時間同期された複数の基地局を含む移動通信システムにおいて、該基地局との間でOFDMによる下りリンクの無線通信が可能な移動局装置であって、前記基地局から受信するOFDMの信号は、前記移動局装置へのデータ信号を伝送するチャネルにおける送信方式の情報を含む制御情報を伝送する下りリンクの制御チャネルを有し、当該移動局装置が在圏している在圏セルの基地局との間のOFDMによる下りリンクの無線通信に干渉している干渉セルを検知する手段と、前記在圏セルの基地局及び前記干渉セルの基地局それぞれから報知チャネルを介して送信される報知情報を取得する手段と、前記在圏セルの基地局からの報知情報に基づいて該在圏セルの基地局から参照信号を受信し、該参照信号に基づいて該在圏セルの基地局との間の伝送路応答を推定する手段と、前記干渉セルの基地局からの報知情報に基づいて該干渉セルの基地局から参照信号を受信し、該参照信号に基づいて該干渉セルの基地局との間の伝送路応答を推定する手段と、前記在圏セルの基地局との間の伝送路応答の推定結果と、前記干渉セルの基地局との間の伝送路応答の推定結果と、前記下りリンクの制御チャネルに用いられている送信方式の情報とに基づいて、前記下りリンクの制御チャネルにおける前記干渉セルの基地局からの干渉信号を抑圧又は除去する手段と、を備える。
この移動局装置では、移動局装置が在圏している在圏セルの基地局との間のOFDMによる下りリンクの無線通信に干渉している干渉セルを検知する。そして、在圏セルの基地局及び干渉セルの基地局それぞれから報知チャネルを介して送信される報知情報を取得する。更に、前記在圏セルの基地局からの報知情報に基づいて在圏セルの基地局から参照信号を受信し、その在圏セルの基地局から受信した参照信号に基づいて在圏セルの基地局との間の伝送路応答を推定する。また、前記干渉セルの基地局からの報知情報に基づいて干渉セルの基地局から参照信号を受信し、その干渉セルの基地局から受信した参照信号に基づいて干渉セルの基地局との間の伝送路応答を推定する。この互いに時間同期された在圏セルの基地局及び干渉セルの基地局それぞれとの間の伝送路応答の推定結果と、OFDM方式の下りリンクの制御チャネルに用いられている送信方式の情報とに基づいて、制御チャネルにおける干渉セルの基地局からの干渉信号を抑圧又は除去する。この干渉信号の抑圧又は除去により、制御チャネルで伝送される制御信号領域の受信誤りを低減し、制御情報を適切に取得することができる。よって、OFDM方式の下りリンクにおける制御チャネルの干渉に起因したデータ信号領域の受信誤りの増大を防止することができる。
前記移動局装置において、複数の干渉セルが検知された場合、その複数の干渉セルのうち最も受信電力の高い干渉セルのみを、前記干渉信号の抑圧又は除去の対象としてもよい。検知された複数の干渉セルのうち、在圏セルの制御チャネルに干渉しやすいのは受信電力の高い干渉セルである。そこで、この移動局装置では、最も受信電力の高い干渉セルのみについて干渉信号の抑圧又は除去を行うことにより、移動局装置における制御の負荷の増加を抑えつつ、制御チャネルの干渉に起因したデータ信号領域の受信誤りの増大を効率的に防止することができる。
また、前記移動局装置において、複数のアンテナを備え、複数の干渉セルが検知された場合、前記複数の干渉セルの受信電力の高いほうから当該移動局装置のアンテナの自由度の数だけ選択した干渉セルのみを、前記干渉信号の抑圧又は除去の対象としてもよい。検知された複数の干渉セルのうち、在圏セルの制御チャネルに干渉しやすいのは受信電力の高い干渉セルであり、しかも、ZF(Zero Forcing)やMMSE(Minimum Mean Square Error)に代表される線形処理アルゴリズムで抑圧又は除去の対象とすることができる干渉信号の数は、移動局装置のアンテナの自由度の数まである。そこで、この移動局装置では、複数の干渉セルの受信電力の高いほうから移動局装置のアンテナの自由度の数だけ選択した干渉セルについてのみについて干渉信号の抑圧又は除去の対象とすることにより、ZF、MMSE等の線形処理アルゴリズムを用いて干渉信号の抑圧又は除去を確実に行うとともに、移動局装置における制御の負荷の増加を抑えつつ、制御チャネルの干渉に起因したデータ信号領域の受信誤りの増大を効率的に防止することができる
た、前記移動局装置において、前記基地局が適用する前記制御チャネルのプリコーディング方式が送信アンテナ数で決定される場合、前記報知情報に基づいて、前記在圏セルの基地局及び前記干渉セルの基地局それぞれの送信アンテナ数を識別する手段を、更に備えてもよい。この移動局装置では、前記報知情報から得られる在圏セルの基地局及び干渉セルの基地局それぞれの送信アンテナ数情報によって、前記在圏セルの基地局及び干渉セルの基地局がそれぞれ適用する制御チャネルのプリコーディング方式の情報を取得できるため、前記干渉信号の抑圧又は除去をより適切に行うことができる。
また、前記移動局装置において、前記報知情報に基づいて、前記下りリンクの制御チャネルで使用するシンボル数が可変であるか否かを判断する手段と、前記下りリンクの制御チャネルで使用するシンボル数が可変である場合は、前記制御チャネルのサイズを通知する制御チャネルを受信して前記シンボル数の情報を取得する手段と、を更に備えてもよい。この移動局装置では、下りリンクの制御チャネルで使用するシンボル数に応じて、前記干渉信号の抑圧又は除去をより適切に行うことができる。
また、前記移動局装置において、前記報知情報に基づいて、前記下りリンクの制御チャネルの送信電力が制御されている否かを判断する手段を更に備え、前記制御チャネルの送信電力が制御されている場合、前記制御チャネルの送信電力の制御情報を用いることなく、下りリンクの受信信号と、前記複数の伝送路応答の推定結果とに基づいて、前記干渉信号を抑圧又は除去してもよい。この移動局装置では、制御信号の送信電力の制御情報を取得する必要がないため、移動局装置における制御の負荷の増加を抑えることができるとともに、ZF、MMSE等の線形処理アルゴリズムを用いて干渉信号の抑圧又は除去を行うことができる。
また、前記移動局装置において、前記報知情報に基づいて、前記下りリンクの制御チャネルの送信電力が制御されている否かを判断する手段と、前記制御チャネルの送信電力が制御されている場合、前記制御チャネルの送信電力の制御情報を取得する手段とを、更に備え、下りリンクの受信信号と、前記複数の伝送路応答の推定結果と、前記制御チャネルの送信電力の制御情報と、前記制御チャネルの変調方式及びプリコーディング方式の情報とに基づいて、前記干渉信号のレプリカを生成し、前記レプリカを用いて前記干渉信号を抑圧又は除去してもよい。この移動局装置では、制御チャネルの送信電力が制御されている場合に、制御チャネルの送信電力の制御情報などに基づいて生成した干渉信号のレプリカを用いることにより、干渉信号をより確実に抑圧又は除去することができる。
また、前記移動局装置において、前記OFDMによる下りリンクの無線フレームの制御信号領域が参照信号を含むOFDMシンボルと参照信号を含まないOFDMシンボルとで構成されている場合、参照信号が含まれる制御信号領域中のOFDMシンボルでは、前記在圏セルの制御信号が、前記干渉セルの制御信号のみならず、前記干渉セルの参照信号からの干渉を受ける。そのため、実効的な干渉信号数が増大し、移動局装置のアンテナのアレーの自由度が不足し、十分な干渉抑圧効果が得られにくくなる。そこで、このような場合には、前記制御信号領域の参照信号を含まないOFDMシンボルについてのみ前記干渉信号の抑圧又は除去を行い、前記制御信号領域の参照信号を含むOFDMシンボルについては前記干渉信号の抑圧又は除去は行わず希望信号の受信電力を向上させる信号合成を行うようにしてもよい。この移動局装置では、前記干渉基地局が送信する参照信号に起因して、アンテナのアレーの自由度が不足する制御信号領域のOFDMシンボルにおいても、希望信号電力を向上させることにより、受信品質の向上効果を安定的に得ることができる。
本発明によれば、制御チャネルにおける干渉セルの基地局からの干渉信号を抑圧又は除去することにより、制御チャネルで伝送される制御信号領域の受信誤りを低減し、制御情報を適切に取得することができる。よって、OFDM方式の下りリンクにおける制御チャネルの干渉に起因したデータ信号領域の受信誤りの増大を防止することができる。
本発明の一実施形態に係る移動局装置が通信可能な移動通信システムの概略構成を示す説明図。 (a)は移動局装置がマクロ基地局のセルから小型基地局のセルにハンドオーバするときの制御の一例を示すシーケンス図。(b)はハンドオーバ時の下りリンクの参照信号受信電力(RSRP)の時間変化を示すグラフ。 (a)及び(b)はそれぞれLTE及びLTE−Advancedにおける周波数帯域幅の説明図。 LTE/LTE−AdvancedのNormal Cyclic Prefix仕様における下りリンクフレーム構成、サブフレーム構成およびチャネル構成を示す説明図。 サブフレームの構成を示す説明図。 LTE及びLTE−AdvancedのNormal CP仕様における下りリンクの参照信号の一構成例を示す説明図。 LTE及びLTE−AdvancedのNormal CP仕様における下りリンクの参照信号の他の構成例を示す説明図。 (a)はColliding CRSの場合の制御信号領域におけるサービングセルと干渉セルとの間のCRSのRE(Resource Element)配置の関係を示す説明図。(b)はNon−colliding CRSの場合の制御信号領域におけるサービングセルと干渉セルとの間のCRSのRE配置の関係を示す説明図。(c)は図8(a)及び(b)における各CRSの記号などの説明図。 LTE/LTE−AdvancedにおけるPDCCHの送信側である基地局10,20の要部構成の一例を示す機能ブロック図。 LTE/LTE−AdvancedにおけるPDCCHの受信側である移動局装置30の要部構成の一例を示す機能ブロック図。 下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを適用した場合及び干渉キャンセラを適用しない場合のPDCCHの平均ブロック誤り率(BLER)のシミュレーション評価結果を示すグラフ。 H−ARQ適用時におけるDL−SCHの残留PERのシミュレーション評価結果を示すグラフ。 HOマージン値に対するHO成功率のシミュレーション評価結果を示すグラフ。 移動局装置で実行されるL1/L2制御チャネルにおけるセル間干渉キャンセルを含む受信信号処理の手順の一例を示すフローチャート。 移動局装置で実行されるL1/L2制御チャネルにおけるセル間干渉キャンセルを含む受信信号処理の手順の他の例を示すフローチャート。
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。
ここでは、LTE/LTE−Advancedへの適用を前提に本発明の実施形態を説明するが、類似のセル構成、物理チャネル構成を用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能である。また、伝搬路の推定に用いられる参照信号系列や誤り訂正のために用いられる符号化方式はLTE/LTE−Advancedで定義されているものに限定されず、これらの用途に適合するものであれば、どのような種類のものでも構わない。
まず、本発明に係る移動局装置を適用可能な移動通信システムの全体構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る移動局装置が通信可能な移動通信システムの概略構成を示す説明図である。図1において、本実施形態の移動通信システムは、前述のLTE/LTE−Advancedの仕様に準拠するとともに、複数のアンテナでデータの送受信を行うMIMO(Multi Input Multi Output)無線伝送方式を採用したものである。この移動通信システムは、マクロ基地局10と、そのマクロ基地局10の無線通信エリアであるセル10A内に位置する小型基地局20とを備え、異種混在ネットワーク(HetNet)を構成している。小型基地局20の無線通信エリアであるセル20Aは、マクロ基地局10のセル10Aよりもセルサイズが小さく、そのセル10Aの内側に含まれている。ユーザ装置としての移動局装置30は、小型基地局20のセル20Aに在圏し、小型基地局20から電話やデータ通信などの下りリンクの無線信号を希望信号(希望波)s(k)として受信可能な状態にある。また、移動局装置30は、小型基地局20のセル20Aの外縁部(マクロ基地局10のセル10Aとの境界部)に位置しているため、マクロ基地局10から送信された下りの無線信号を干渉信号(干渉波)u(k)として受信するおそれがある。
なお、図1では、マクロ基地局10、小型基地局20及び移動局装置30を一つずつ図示しているが、マクロ基地局10、小型基地局20及び移動局装置30はそれぞれ複数であってもよい。
マクロ基地局10は、移動体通信網において屋外に設置されている通常の半径数百m乃至数km程度の広域エリアであるマクロセルをカバーする広域の基地局であり、LTE/LTE−Advancedでは一般にeNB(Evolved Node-B)と呼ばれ、また、「マクロセル基地局」、「Macro e−Node B」、「MeNB」等と呼ばれる場合もある。マクロ基地局10は、他の基地局と例えば有線の通信回線で接続され、所定の通信インターフェースで通信可能になっている。また、マクロ基地局10は、回線終端装置及び専用回線を介して移動体通信網のコアネットワークに接続され、移動体通信網内の各種ノードとの間で所定の通信インターフェースにより通信可能になっている。
小型基地局20は、広域のマクロ基地局とは異なり、無線通信可能距離が数m乃至数百m程度であり、一般家庭、店舗、オフィス等の屋内にも設置することができる移動設置可能な基地局である。小型基地局20は、移動体通信網における広域のマクロ基地局がカバーするエリアよりも小さなエリア(例えばマイクロセルやピコセル)をカバーするように設けられるため、マイクロ基地局やピコ基地局と呼ばれる場合もある。また、本実施形態における小型基地局20は、「フェムト基地局」、「Home e−Node B」、「Home eNB」と呼ばれる基地局の場合もある。小型基地局20についても、回線終端装置及びADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線や光回線等のブロードバンド公衆通信回線を介して移動体通信網のコアネットワークに接続され、コアネットワーク上の各種ノードとの間で所定の通信インターフェースにより通信可能になっている。
ユーザが使用する移動局装置30は、LTE/LTE−Advancedでは一般にUE(User Equipment)と呼ばれる。移動局装置30は、マクロ基地局10のセル10Aや小型基地局20のセル20Aに在圏するときに、その在圏するセルに対応するマクロ基地局10や小型基地局20と間で所定の通信方式及びリソースを用いて無線通信することができる。
次に、上記構成の移動通信システムにおいて移動局装置30がマクロ基地局10のセル10Aからハンドオーバして小型基地局20のセル20A内に在圏するようになるときの処理について説明する。
図2(a)は、移動局装置30が小型基地局20のセル20Aからマクロ基地局10のセル10Aにハンドオーバするときの制御の一例を示すシーケンス図である。また、図2(b)はハンドオーバ時の下りリンクの参照信号受信電力(RSRP)の時間変化を示すグラフである。なお、図2(a)中の破線で囲んだ処理は、基地局10、20と移動局装置30との間の無線通信を伴う処理である。本例は、LTE/LTE−Advancedで採用されている、通信するために接続するセルが1つとなるハード・ハンドオーバ(Hard HO)の例である。また、本例の移動局装置30は、下りリンクの参照信号受信電力(RSRP)に基づいてセルを選択する際、小型基地局20からの受信品質(SINR:Signal-to-Interference and Noise power Ratio)に対して正のバイアスを加えるCREの機能を有している。これにより、移動局装置30は積極的に小型基地局20の拡張されたセル20Aを選択し、大きなトラフィックオフロード効果を図ることができる。なお、図2において破線で示したエリア20A'はCREで拡張される前の小型基地局20のセルである。
図2において、移動局装置30は、現在通信中のハンドオーバ元セル(Source Cell)の小型基地局20に、ハンドオーバ先候補セルの情報を含む測定結果報告(MR:Measurement Report)を送出する。小型基地局20は、移動局装置30から受信した測定結果報告(MR)に基づき、周辺基地局であるマクロ基地局10から送信した参照信号の受信電力(RSRP)が自局(小型基地局)20から送信した参照信号の受信電力(RSRP)よりも所定のハンドオーバマージンだけ上回っているかどうか監視する。そして、マクロ基地局10のセル10Aの参照信号受信電力(RSRP)が小型基地局20のセル20Aの参照信号受信電力(RSRP)よりもハンドオーバマージンだけ上回る状態が所定の監視期間(TTT:Time-to-trigger)継続したとき、小型基地局20は、測定結果報告(MR)の受信をトリガーとして、ハンドオーバ処理を開始する。より具体的には、小型基地局20は、移動局装置30から受信した測定結果報告(MR)を元にハンドオーバ先となるターゲットセルであるマクロ基地局10のセルを選定し、そのセルのマクロ基地局(Target eNB)10へコアネットワークを介して、ハンドオーバ要求とともに、ハンドオーバする移動局装置30の情報を送信して設定する。小型基地局20は、マクロ基地局10からハンドオーバ要求応答を受信したら、移動局装置30が自局との通信を切断するようにセル移動のハンドオーバ指示(HO Command)を移動局装置30に送信する。ハンドオーバ指示を受けた移動局装置30は、ハンドオーバ先のマクロ基地局10にハンドオーバ完了を送信してマクロ基地局10との通信を開始することにより、ハンドオーバを完了する。
なお、上記ハンドオーバにおける「ハンドオーバマージン」の値を大きく設定すると、そのハンドオーバ元(本例では小型基地局20)のセルへの接続率が向上し、ピンポンハンドオーバ(Ping-pong HO)の発生を抑制できるが、逆にハンドオーバ先(本例ではマクロ基地局10)のセルへのハンドオーバ成功率は低下する。前述のCREでは、「ハンドオーバマージン」の値を大きく設定することにより、小型基地局20のセル20Aが積極的に選択されるようにすることで、移動局装置30がハンドオーバする小型基地局20のセル20Aから他のセルへハンドオーバが抑制されるため、セル20Aの半径があたかも拡張されたような効果が得られる。
次に、LTE/LTE−Advancedの移動通信システムにおける下りリンクの無線フレームについて説明する。LTE/LTE−Advancedでは、広帯域化に伴うマルチパス耐性向上の観点から、下りリンクアクセス方式としてOFDMA(Orthogonal Frequency Division Multiple Access)が採用されており、OFDM(Orthogonal Frequency Division Multiplexing)シンボル間干渉を除去するためのガードインターバル区間として、約4.76μs(Normal Cyclic Prefix仕様)および約16.67μs(Extended Cyclic Prefix仕様)をオプションとして選択できる。
図3(a)及び(b)はそれぞれLTE及びLTE−Advancedにおける周波数帯域幅の説明図である。図3(a)に示すように、LTEでは周波数帯域幅(システム帯域幅)として1.4MHz、3MHz、5MHz、10MHz、15MHz、20MHzの帯域幅がサポートされ、下りリンクについては、最大4送信アンテナまでの複数アンテナ送受信MIMOがサポートされる。一方、LTE−Advancedでは、図3(b)に示すようにLTEとの後方互換性を保ち、基本周波数ブロック(CC:Component Carrier)を複数組み合わせることで広帯域化を実現するCA(Carrier Aggregation)(非特許文献1参照)を用いて最大100MHzのシステム帯域幅までサポートされ、下りリンクについては最大8送信アンテナまでのMIMOがサポートされる。
図4は、LTE/LTE−AdvancedのNormal Cyclic Prefix(以下、「Normal CP」という。)仕様における下りリンクのフレーム構成、サブフレーム構成およびチャネル構成を示す説明図である。また、図5は、サブフレームの構成を示す説明図である。無線フレーム長は10msであり、1ms長の10個のサブフレームから構成される。図5に示すように、サブフレームは14OFDMシンボルから構成される。また、無線リソース割当て最小単位はRB(Resource Block)と呼ばれ、周波数方向に12サブキャリア、時間軸方向に7OFDMシンボルの計84個のRE(Resource Element)で構成される。スケジューリングの最小単位であるTTI(Transmission Time Interval)は、1サブフレーム(14OFDMシンボル)であり、1サブフレーム毎に各移動局装置がどの周波数/時間リソースマッピングされているのか、各移動局装置へのデータ信号がどのような変調フォーマット(変調方式、符号化率)を使用するか等のスケジューリングを行い、その結果が移動局装置30へ通知される。以下、下りリンク物理チャネルとその役割について説明する。
〔同期信号(SS)〕
移動局装置30が接続先の最適なセルを探索することを「セルサーチ」と呼び、セルサーチに用いられる信号を同期信号(SS:Synchronization Signal)と呼ぶ。同期信号SSは、システム帯域の中央72サブキャリア分を用い、最小周波数帯域幅内で送信される。この最小周波数帯域幅内で同期信号SSを送信することにより、移動局装置30がシステムで使用されているシステム帯域幅を意識せずにセルサーチが可能となる。同期信号SSは2種類の符号系列を持っており、シンボルタイミング同期およびローカルID検出を目的としたP−SS(Primary-SS)と、無線フレーム同期およびセルIDグループ検出を目的としたS−SS(Secondary-SS)とがある。これらの2系列の組合せを検出することにより、当該セルの識別情報である物理レイヤセルID(以下、「セルID」という。)を取得することが可能となる。また、複数アンテナ送信適用時の同期信号SSのプリコーディング方式として、移動局装置30がマクロ基地局10送信アンテナ数情報を用いずに送信ダイバーシティ効果を得るため、複数のプリコーディングベクトルを時間的に切り替えるPVS(Precoding Vector Switching)が適用可能である。
〔物理報知チャネル(PBCH)〕
物理報知チャネル(PBCH:Physical Broadcast Channel)には、移動局装置30がセルサーチ後に最初に読むべき最低限の情報のみが含まれる。これらの情報はMIB(Master information Block)と呼ばれ、システム帯域幅やシステムフレーム番号(SFN:System Frame Number)等の基本情報が含まれる(非特許文献2参照)。その他のシステム情報であるSIB(System Information Block)に関しては、後述する物理共有データチャネル(PDSCH:Physical Downlink Shared Channel)で送信される。PBCHは、送信アンテナ数に関わらず常に単一ストリーム送信であり、送信アンテナ数によってプリコーディング方式が異なるだけである。単一アンテナ送信時はPBCHのプリコーディングは適用されず、複数アンテナ送信時のPBCHのプリコーディング方式として、Alamouti符号に基づくSFBC(Space Frequency Block Coding)またはSFBC/FSTD(Space Frequency Block Coding/Fast Switching Transmit Diversity)が適用される(非特許文献3参照)。移動局装置30は、PBCHを復号することにより、当該セルの基地局の送信アンテナ数の情報を取得することができる。また、PBCHもSSと同様にシステム帯域幅の事前情報なしで復号できる必要があるため、帯域の中心において最小帯域幅内で送信される。
〔参照信号(RS)〕
図6及び図7はそれぞれ、LTE及びLTE−AdvancedのNormal CP仕様における下りリンクの参照信号の構成例を示す説明図である。
図6に示すように、LTEにおいてサブフレーム内の時間領域で14OFDMシンボルのうち、第1、5、8、12OFDMシンボル内、周波数領域で6サブキャリア間隔でセル固有参照信号(CRS:Cell-specific Reference Signal)はCC全体(周波数軸上および時間軸上)に分散して規則的に配置され常時送信される。また、CRSは、移動局装置30におけるチャネル品質情報(CSI:Channel State Information)の測定用の基準信号及びデータ復調用の基準信号という2つの役割を担っている。CRSはセルIDによって、異なるスクランブリングとマッピングされるサブキャリア位置の周波数シフトが適用される。
一方、LTE−Advancedでは、(i)下りリンク最大8アンテナ送信への拡張、(ii)Multi−User MIMO等における任意のプリコーディングに対応するため、CSI測定用基準信号とデータ復調用基準信号の2つの機能を分離し、それぞれCSI測定用参照信号(CSI−RS)と移動局装置それぞれに対応するUE固有参照信号(UE−RS)の2つの参照信号を新たに定義している。
図7に示すように、追加したCSI−RSがLTEの移動局装置に割り当てられたPDSCHへ与える干渉を最小限に抑えるため、CSI−RSはCRSに比較して複数サブフレーム毎に1回程度の長い周期で多重される。また、PDSCHにおける最大8レイヤのMIMO多重に対応するため、複数レイヤ間のUE−RSは直交符号により符号分割多重で送信される。これらのUE−RSは、典型的な伝搬環境における周波数軸上の補間精度を維持するため1RB当たり3サブキャリアの割合で挿入される。ただし、LTE−Advancedの移動局装置に割り当てられないRBではUE−RSは送信されない。なお、LTE−AdvancedにおいてもCRSが送信されている。これは、LTE−Advancedの基地局のエリア内で、LTEの移動局装置とLTE−Advancedの移動局装置を同一セル内で共存させる必要があることや、後述するL1/L2制御チャネルの復号を行う必要があるためである。
〔L1/L2制御チャネル(PCFICH、PHICH、PDCCH)〕
下りリンクL1/L2制御信号はLayer−1(L1)およびLayer−2(L2)に閉じた制御情報であり、PCFICH(Physical Control Format Indicator Channel)、PHICH(Physical HARQ Indicator Channel)、PDCCH(Physical Downlink Control Channel)という3つの異なる物理チャネルに対応する。
PCFICHは、PDCCHが使用するOFDMシンボル数を通知し、通常、間接的にサブフレーム内のデータ領域のスタートタイミングを示す。制御信号領域のサイズが1、2または3OFDMシンボルのどれに対応するかをPCFICHの中のCFI(Control Format Indicator)値により移動局装置30へ通知する。PCFICH情報の正確な復号は重要であり、仮に誤ると移動局装置30はサブフレーム内の制御チャネルとデータ領域のスタートタイミングを認識できなくなってしまう。また、PCFICHが、復号されるまで制御信号領域のサイズが分からないため、常に各サブフレームの先頭のOFDMシンボルにマッピングされる。
PHICHは、上りリンクの共有チャネルであるPUSCH(Physical Uplink Shared Channel)に対する再送要求信号を通知する。PHICHは、PCFICHの指示によらず通常、各サブフレームの第1OFDMで送信される。また、PHICHは、MIBに設定するPHICH関連のパラメータにより、準静的に第1、第2、第3の3つのOFDMシンボル区間を用いて送信することも可能である。この場合は、制御信号領域のOFDMシンボル数はPCFICHの指示によらず3となり、データ領域のスタートタイミングは固定される。
PDCCHは、上下リンクのスケジューリングの決定や上りリンクの電力制御コマンドなどの制御情報(DCI:Downlink Control Information)の伝送に用いられる。DCIには、PDSCHリソース指示、伝送フォーマット、HARQ情報、および空間多重に関する制御情報を含む下りリンクスケジューリング割当てが含まれる。また、DCIには、PUSCHリソース指示、伝送フォーマット、HARQ関連情報を上りリンクスケジューリンググラントも含まれる。なお、上りリンクスケジューリンググラントには、PUSCH上り物理チャネルの電力制御のためのコマンドも含まれる。さらに、スケジューリング割当て/グラントにおける補助的なコマンドとなるUEのセットに対する電力制御コマンドもDCIに含まれる。
前述のように、各サブフレームは、下りリンクL1/L2制御チャネル信号のREがマッピングされる制御信号領域と、各ユーザのデータ信号およびL1/L2より上位レイヤの制御信号が含まれる物理共有チャネル信号のREがマッピングされるデータ領域とに分けられ、CRSに割り当てられたRE以外のREに対し、制御信号またはデータ信号が配置される。また、制御信号領域はリソース量に応じて各サブフレームの先頭1〜3OFDMシンボルである。
ところで、LTE/LTE−Advancedの下りリンクL1/L2制御チャネルは、PBCHと同様、送信アンテナ数に関わらず単一ストリーム送信であり、送信アンテナ数によってプリコーディング方式が異なるだけである。例えば、単一送信アンテナではプリコーディングは適用されず、送信アンテナ数2および4の場合でSFBCおよびSFBC/FSTDがそれぞれ適用される(非特許文献3参照)。
〔物理共有チャネル(PDSCH)〕
PDSCHは、下りリンクデータを送信する物理チャネルであり、MIMO伝送方式としてMIMOダイバーシティに加え、LTEでは最大4レイヤのMIMO多重、LTE−Advancedでは最大8レイヤのMIMO多重に対応する。また、MIB以外の報知情報であるSIBや着信時の呼び出しであるページング情報、その他上位レイヤの制御メッセージ、例えばRRC(Radio Resource Control protocol)レイヤの制御情報もPDSCHで送信される。移動局装置30は、PDCCHから取得した無線リソース割当位置、変調方式、データサイズ(TB:Transport Block size)等の情報に基づいてPDSCHを復号する。
次に、上記LTE/LTE−Advancedの移動通信システムをモデル化し、小型基局20のセル20Aとマクロ基地局10のセル10Aとの境界付近に位置した移動局装置30が下りリンクのL1/L2制御チャネルを介して制御信号を受信するときに干渉信号を抑圧又は除去する干渉キャンセラの原理について説明する。なお、ここで説明する干渉キャンセラの原理は、下りリンクのL1/L2制御チャネルと同様の送信方式(変調方式やプリコーディング方式)が適用される他のチャネル、例えばPBCHにも適用可能である。
〔システムモデル〕
本実施形態の移動通信システムの全体については次のようにモデル化した。前述の図1に示すように、本実施形態の移動通信システムは、マクロ基地局10のセル10A内に小型基地局20のセル20Aがオーバーラップする構成であり、小型基地局20はマクロ基地局10にサブフレーム同期している。小型基地局20のセル20Aをサービングセル、マクロ基地局10のセル10Aを干渉セルとし、図1内のマクロ基地局10以外のマクロ基地局から受ける移動局装置30への干渉はガウス雑音とみなす。また、残りのOFDMシンボルがデータ領域となる。また、本実施形態のモデル化した移動通信システムでは、小型基地局20及びマクロ基地局10はともにユーザ数が十分多い場合を想定し、制御信号領域のOFDMシンボル数は3(すなわち、制御信号領域が第1、第2、第3の3つのOFDMシンボルで構成される場合)に固定して検討する。
図8は、制御信号領域におけるCRSのRE配置例を示している。ただし、同図では簡易化のため一部のREのみ示している。前述のようにCRSはセルIDによって、異なるスクランブリングとマッピングされるサブキャリア位置の周波数シフトが適用される。そのため、CRSのRE配置は、小型基地局20のセル(以下、適宜「サービングセル」という。)20Aとマクロ基地局10のセル(以下、適宜「干渉セル」という。)10AのセルIDの組合せによって、次の2つの場合に分類される。すなわち、図8(a)に示すようにサービングセル20AのCRSと干渉セル10Aの制御信号領域におけるCRSがセル間で重なるRE配置(Colliding CRS)となる場合と、図8(b)に示すように制御信号領域においてCRSがセル間で重ならないRE配置(Non−colliding CRS)となる場合に分類される。特に、後者のNon−colliding CRSの場合、CRSが含まれるOFDMシンボルでは、サービングセル20AのL1/L2制御信号は、干渉セル10AのL1/L2制御信号だけでなく、干渉セル10AのCRSからの干渉を同時に受けることとなる。また、Non−colliding CRSの場合においてCRSが含まれない制御信号領域のOFDMシンボル(すなわち、第1のOFDMシンボルを除き、第2および第3のOFDMシンボル)、または、Colliding CRSの場合における制御信号領域のOFDMシンボル(第1から第3のOFDMシンボル)では、サービングセル20AのL1/L2制御信号は干渉セル10AのL1/L2制御信号からの干渉を受けることとなるが、干渉セル10AのCRSからの干渉を受けない。ところで、Non−colliding CRSとなる場合、CRSに割り当てるREあたりの送信電力(EPRE:Energy Per Resource Element)をL1/L2制御信号やデータ領域の信号に対して多く配分する「CRS power boosting」を適用することにより、CRSの受信SIR(Signal-to-Interference power Ratio)が向上するため、チャネル推定精度を改善することができる。そこで、本実施形態では「CRS power boosting」を適用する(非特許文献4参照)。ただし、Colliding CRSの場合、CRS同士が干渉によりCRSの受信SIRは改善しないため、「CRS power boosting」によるチャネル推定改善効果はほとんど得られない。
前述のように、LTE/LTE−Advancedの下りリンクL1/L2制御チャネルは、送信アンテナ数に関わらず単一ストリーム送信であり、送信アンテナ数によってプリコーディング方式が異なるだけである。下りリンクL1/L2制御チャネルは各基地局から常に単一のストリームが送信されるので、サービングセル20Aに接続している移動局装置(UE)30において、受信アンテナのアレー自由度に相当する数の干渉基地局からのL1/L2制御信号による干渉を除去することができる。移動局装置(UE)30で干渉局であるマクロ基地局10の送信アンテナ数およびマクロ基地局10〜小型基地局20間のチャネル応答(伝送路応答)が得られれば、Zero−Forcing(ZF)等の線形処理に基づき、マクロ基地局10からの干渉を除去することができる。ただし、前述のようにNon−colliding CRSの場合においてCRSが含まれるOFDMシンボルでは、干渉セル10AのL1/L2制御信号だけでなく、干渉セル10AのCRSからの干渉を同時に受けることを考慮する必要がある。
〔受信信号モデル〕
移動局装置30がマクロ基地局10及び小型基地局20から受信する受信信号については、次のようにモデル化を行った。図1に示すように、小型基地局(サービングセル基地局)20と移動局装置30との間の下りリンクのチャネル応答行列、マクロ基地局(干渉セル基地局)と移動局装置30との間の下りリンクのチャネル応答行列および雑音ベクトルをそれぞれH(s)(k)、H(u)(k)、n(k)とおき、各基地局の送信アンテナ数をNtおよび移動局装置30のアンテナ数をNrとすると、移動局装置30における受信信号ベクトルx(k)は次式(1)で表される。
なお、式(1)中の各ベクトルおよび行列の各要素は以下の式(2)〜式(7)のように表される。
ただし、PsおよびPuはそれぞれ小型基地局20およびマクロ基地局10の送信電力をそれぞれ表す。また、xnr(k)は移動局装置30の第n受信アンテナの受信信号、h(s) nr,nt(k)は小型基地局20の第n送信アンテナと移動局装置30の第n受信アンテナとの間の周波数応答、h(u) nr,nt(k)はマクロ基地局10の第n送信アンテナと移動局装置30の第n受信アンテナとの間の周波数応答、snt(k)は小型基地局20の第n送信アンテナにおける送信信号、unt(k)はマクロ基地局10の第n送信アンテナにおける送信信号、nnr(k)は移動局装置30の第n受信アンテナの雑音成分を表す。
以下、各基地局10、20の送信アンテナ数Nおよび移動局装置30の受信アンテナ数Nがともに2の場合すなわちN=Nr=2の場合を例に説明する。なお、以下の説明は、アンテナ数NおよびNが2以外の場合でも同様に適用できる。
〔Colliding CRSの場合〕
LTE/LTE−Advancedでは、N=2のとき、制御領域の信号のPrecoding方式として、Alamoutiの符号に基づくSFBC(Space Frequency Block Coding)が適用される。Colliding CRSの場合、各サブフレームにおいて、小型基地局20の下りリンクL1/L2制御信号が受ける干渉はマクロ基地局10から送信される下りリンクL1/L2制御信号のみであり、マクロ基地局10が送信するCRSからの干渉を受けない。従って、SFBC符号化ブロックのインデックスをiとし、各SFBC符号化ブロックにおける受信信号ベクトルを周波数方向に拡張し、拡張受信信号ベクトルを次式(8)のように定義すると、式(9)が成り立つ。
ただし、式(9)中の行列及びベクトルは、次の式(10)〜式(16)のように表される。






上記式(10)、式(11)および式(14)により、式(9)の行列H(i)は、4×4のフルランク行列である。すなわち、移動局装置30の受信アンテナのアレー自由度の範囲内で干渉信号を除去することができ、ZF(Zero-Forcing)、MMSE(Minimum Mean Square Error)、SIC(Successive Interference Canceller)等のアルゴリズムを用いて、希望信号d(s)(k)を推定することができることを示している。ただし、MMSEを適用する場合、干渉除去対象となる干渉セル(マクロ基地局10のセル10A)から送信された信号の受信信号電力分を除いた干渉雑音電力の情報が必要であることに注意を要する。また、SICを適用する場合、マクロ基地局10(干渉セル基地局)による干渉成分のレプリカを生成するために、マクロ基地局10内で制御される下りリンクL1/L2制御チャネルにおける送信電力Puの情報を予め取得する必要がある。従って、上記の干渉雑音電力の情報や送信電力Puの情報を取得しない場合、あるいは取得できない場合、干渉除去アルゴリズムとして、これらの情報を必要としないZFを適用することとなる。
〔Non−colliding CRSの場合〕
(1)第1OFDMシンボル
(s)及びl(u)をそれぞれサービングセル基地局(小型基地局20)及び干渉セル基地局(マクロ基地局10)のセルIDとし、次式(17)のΔ(q)を定義する。
Non−colliding CRSの場合、各サブフレームにおいて、小型基地局20のセル(サービングセル)20Aの第1OFDMシンボルで送信される下りリンクL1/L2制御信号は、マクロ基地局10のセル(干渉セル)10Aの下りリンクL1/L2制御信号からの干渉に加えて、マクロ基地局10が送信するCRSからの干渉を受ける。従って、unt (RS)(i)を第iSFBC符号化ブロック内に含まれるマクロ基地局10の第n送信アンテナのCRSとすると、拡張受信信号ベクトルx(i)について次式(18)が成り立つ。
ただし、式(18)中の行列及びベクトルは、次の式(19)〜式(23)のように表される。




(2)第2OFDMシンボルおよび第3OFDMシンボル
各サブフレームにおいて、第2OFDMシンボルおよび第3OFDMシンボルで送信される、小型基地局20のセルの下りリンクL1/L2制御信号は、マクロ基地局10が送信する下りリンクL1/L2制御信号からの干渉とのみとなるため、拡張受信信号ベクトルx(i)は、前述のColliding CRSの場合と同じように、次式(24)で表される。
上記式(19)、式(20)および式(21)により、式(18)の行列H(i)は、4×6行列となり、フルランク行列とならない。すなわち、Non−colliding CRSの場合、移動局装置30が受信する第1OFDMシンボルにおけるL1/L2制御チャネルは、マクロ基地局10のL1/L2制御信号だけでなく、マクロ基地局10のCRSからの干渉も受ける。そのため、移動局装置30が受信信号から希望信号d(s)(k)を推定する場合、移動局装置30の受信アンテナにおけるアレーの自由度が不足する。一方、式(24)の行列H(i)は、式(9)と同様、4×4のフルランク行列となっていることから、移動局装置30はその受信アンテナのアレー自由度の範囲内で干渉信号を除去することができ、希望信号d(s)(k)を推定することができる。
表1は、Colliding CRSの場合及びNon−colliding CRSの場合のそれぞれにおいて受信信号処理に適用可能なアルゴリズムの一例を示している。表1に示すように、干渉キャンセラ適用かつColliding CRSの場合、全制御OFDMシンボルに対してZFを適用し、干渉キャンセラ適用かつNon−colliding CRSの場合、第2および第3OFDMシンボルにのみZFを適用し、CRSがセル間で干渉する第1OFDMシンボルについては、希望信号の受信電力が最大となる最大比合成(MRC:Maximum Ratio Combining)を適用する。さらに、干渉キャンセラ非適用に関しては、全制御OFDMシンボルに対して希望信号の受信電力が最大となるMRCを適用する。
次に、本実施形態の移動局装置30に適用可能な受信信号処理のアルゴリズムとして、SFBC復号の基本となる最大比合成(MRC)及び干渉除去適用効果が見込まれるZero−Forcing(ZF)について説明する。
〔最大比合成(MRC)〕
SFBC等の開ループ送信ダイバーシティでは、信号検出アルゴリズムとしてMRCが一般的に用いられる。ここで、隣接するサブキャリアの周波数応答はほぼ等しく、次式(25)を満たすとすると、近似式(26)が成立する。

ここで、MRC適用後の拡張受信信号ベクトルy(s) MRC(i)を式(27)で表すと、y(s) MRC(i)として式(28)が得られる。

ただし、式(28)中の計数α(i)は次式(29)で表される。
ここで、下りリンクL1/L2制御チャネルのうち、PDCCHを復号するために必要な各ビットの通信路対数尤度比(LLR:Log-likelihood Ratio)の計算法の一例について述べる。PDCCHでは変調方式としてQPSKが適用されるので、軟判定シンボルy(s) MRC(m)(m=2i、2i+1)を実部と虚部に分け、これらをP/S処理することにより、各ビットの通信路対数尤度比を生成する。各ビットの通信路対数尤度比Lch(i)は次式で表される。
上記式(28)に示すように、MRCは希望信号受信電力を最大化する受信アルゴリズムであり、干渉信号電力を低減することを目的としたアルゴリズムではない。そのため、小型基地局20からの信号の受信電力に対し、マクロ基地局10からの干渉信号受信電力が無視できない場合、信号検出精度が大きく劣化することがわかる。このような場合、次のZero−Forcing (ZF)のような干渉除去効果の高いアルゴリズムを適用することが望ましい。
〔Zero−Forcing(ZF)〕
Non−colliding CRSの場合においてCRSが含まれない制御信号領域のOFDMシンボル(すなわち、第1のOFDMシンボルを除き、第2および第3のOFDMシンボル)やColliding CRSの場合における制御信号領域の全OFDMシンボル(すなわち、第1から第3のOFDMシンボル)では、ZF等の線形空間フィルタリングの原理に基づき、マクロ基地局10からの干渉を除去することができる。
ZFのウェイト行列W(s)(i)を次式(31)で表すと、式(32)が得られる。

従って、ZF適用後の拡張受信信号ベクトルz(s)(i)は、次式で表される。
ただし、式(33)中のベクトルn’(i)は、次式(34)で表される。
上記式(32)より、式(33)の拡張受信信号ベクトルz(s)(i)には、マクロ基地局10からの信号成分が含まれていないので、移動局装置30において、マクロ基地局10からのチャネル応答(伝送路応答)を取得することにより干渉を除去できることがわかる。
ここで、下りリンクL1/L2制御チャネルのうち、PDCCHを復号するために必要な各ビットの通信路対数尤度比(LLR:Log-likelihood Ratio)の計算法の一例について述べる。ZFを適用した場合、式(31)の各合成ウェイトベクトルw(s)p(i)(行列W(s)(i)の各列のベクトルに対応)のノルムが大きいシンボルほどそのシンボルに含まれるビットの信頼度は低くなる。そこで、式(33)の軟判定シンボルz(2i+p)に対し、次式(35)のように合成ウェイトベクトルの2乗ノルムの逆数を乗算する。
PDCCHでは変調方式としてQPSKが適用されるので、重み付けされた軟判定シンボルy(s) ZF(2i+p)を実部と虚部とに分け、これらをP/S処理することにより、各ビットの通信路対数尤度比を生成する。各ビットの通信路対数尤度比Lch(i)は次式(36)で表される。
次に、LTE/LTE−Advancedにおける下りリンクL1/L2制御チャネルとしてのPDCCHの送信側装置及び受信側装置の構成例について説明する。
図9は、LTE/LTE−AdvancedにおけるPDCCHの送信側である基地局10,20の要部構成の一例を示す機能ブロック図である。
図9において、PDCCHの送信信号は次にように生成・送信される。下りリンクの専用制御情報である各DCI(下りリンク制御情報)のビット列は、CRC付与(CRC bits attachment)部101で16ビットのCRC(巡回冗長検査符号)が付与され、通信路符号化器(Channel encoder)102で拘束長7及び原符号化率1/3のTail−Biting畳み込み符号により誤り訂正符号化される。CRCビットに対するマスクパターンを移動局識別情報であるUE−ID毎に変えることにより、受信側の移動局装置は自局宛のDCIを識別することができる。
誤り訂正符号化されたDCIは、予め定められた送信ビット数となるように、レートマッチング(Rate matching)部103でレートマッチング(リピテーションまたはパンクチャリング)される。送信ビット数は、移動局装置からフィードバックされるCQI(Channel Quality Indicator)等の受信品質情報に基づき、72bits、144bits、288bits、576bits(これらのビット数はそれぞれPDCCH format 0、1、2、3にそれぞれ対応し、ビット数が多いほど符号化率が低くなる)の中から最適なビット数(受信誤りがなくかつ最も符号化率が高いと推定される)ものが選択される。ただし、本実施形態では最も受信品質が劣悪なユーザの特性を評価するので、PDCCH format3(送信ビット数:576bits)を固定的に用いる。
レートマッチングされた後のあるUE−IDのPDCCHブロックは、専用制御情報マルチプレクサ(Dedicated control channel MUX)104により、その他のUE−IDのPDCCHブロックと多重される。多重されたPDCCHブロックは、スクランブリング(Scrambling)部105でセル固有およびサブフレーム番号固有のスクランブリングがかけられた後、IQマッピング(I/Q mapping)部106で複素シンボルに変換される。そして、複素シンボルの系列はレイヤマッピング(Layer mapping)部107では複数アンテナ送信を適用するためのマッピング処理が行われた後、プリコーティング(Precoding)部108で送信アンテナ数に応じたプリコーディング行列が乗積され、送信アンテナに対応して設けられた物理チャネルマルチプレクサ(Physical channel MUX)109−1〜109−2に入力される。
各物理チャネルマルチプレクサ109−1〜109−2では、PDCCHブロックがその他の物理チャネル(SS、CRS、PBCH、PDSCH等)と時間多重または周波数多重され、OFDM方式で変調された送信信号が生成される。各送信信号は、逆高速フーリエ変換(IFFT)部110−1,110−2で逆フーリエ変換され、並直列変換器(P/S)111−1,111−2で直列信号に変換される。各並直列変換器111−1,111−2の出力信号は、CP(サイクリックプレフィックス)付加(CP add.)部112−1,112−2でガードインターバルに相当するCPが付加された後、図示しない混合器で搬送周波数に周波数変換され、電力増幅器(TX RF)113−1,113−2で電力増幅されてアンテナ114−1,114−2から送信される。
図10は、LTE/LTE−AdvancedにおけるPDCCHの受信側である移動局装置30の要部構成の一例を示す機能ブロック図である。
図10に示すように、通信中の移動局装置30は、同期信号(SS)の受信信号を用いて、サービングセル(本実施形態では小型基地局20のセル20A)のみならず、干渉となる周辺セル(本実施形態ではマクロ基地局10のセル10A)についても受信電力を測定している。
図10において、移動局装置30はまず、各アンテナ301−1,301−2及び高周波増幅器(RX−RF)302−1,302−2を介して受信した同期信号(SS)の受信信号から、セル探索・タイミング検出(Cell search & Timing detection)部303でフレームタイミングを検出し、CP削除(CP del.)部304−1,304−2によりCyclic Prefix区間の受信信号を除去した後、直並列変換器(S/P)305−1,305−2で並列信号に変換される。各直並列変換器の出力信号は、高速フーリエ変換(FFT)部306−1,306−2によりサブキャリア毎の信号に変換された後、多重分離部(DEMUX)307−1,307−2により、送信側で時間多重または周波数多重されたPDCCHのブロックとその他の物理チャネル(SS、CRS、PBCH、PDSCH等)のブロックとが分離される。
なお、セル探索・タイミング検出部303は、周辺セルの受信レベルを常にモニターし、そのモニター結果に基づいて、下りリンクL1/L2制御チャネルにおけるセル間干渉キャンセル対象の主要な干渉セルのセルIDを選択して出力する処理も行う。
サービングセル用のチャネル推定・物理報知チャネル復調(Channel estimation & PBCH decoding for serving-cell)部308は、サービングセルの基地局(小型基地局20)の各送信アンテナから移動局装置30の各受信アンテナまでのチャネル応答(伝送路応答)を推定する。このチャネル応答の推定は、多重分離部(DEMUX)307−1,307−2から出力されるセル固有参照信号(CRS)と、セル探索・タイミング検出部303から出力されるサービングセルのセルIDとに基づいて行われる。
また、干渉セル用のチャネル推定・物理報知チャネル復調(Channel estimation & PBCH decoding for interfering-cell)部309は、主要な干渉セルの基地局(マクロ基地局10)の各送信アンテナから移動局装置30の各受信アンテナまでのチャネル応答(伝送路応答)を推定する。このチャネル応答の推定は、多重分離部(DEMUX)307−1,307−2から出力されるセル固有参照信号(CRS)と、セル探索・タイミング検出部303から出力されるセル間干渉キャンセル対象の主要な干渉セルのセルIDとに基づいて行われる。
干渉キャンセル・希望信号合成(Interference canceling & desired signal combining)部310は、チャネル評価・物理報知チャネル復調部308,309から各チャネル応答の推定結果として出力されたサービングセル及び主要干渉セルそれぞれのチャネル品質情報(CSI)を用い、前述の最大比合成(MRC)やZero−Forcing(ZF)の受信信号処理アルゴリズムの処理手順に基づいて、PDCCH部分の受信信号から干渉成分を除去した軟判定シンボルを得る。通信路対数尤度比生成(Channel LLR per coded bit generation)部311は、干渉キャンセル・希望信号合成部310から出力された軟判定シンボルに基づいて、PDCCHのビット毎の対数尤度比(LLR)を生成する。復号・多重分離(De-scrambling dedicated control channel DEMUX)部312は、受信したPDCCHの復号化を行った後、PDCCHのビット列から、複数のDCIの符号化ビット列を分離する。そして、分離したビット列毎に、デレートマッチング(De-rate matching)部313によるデレートマッチング処理と通信路符号復号器部(Channel decoder)314による誤り訂正復号処理とを行った後、巡回冗長検査(CRC)及びCRCビット除去(CRC & CRC bits deletion)部315により、自局あての専用DCIを復元して検出する。
なお、実際のLTE/LTE−Advancedでは、自局あてのDCIを取得するためには、そのDCIがマッピングされるPDCCHの位置およびPDCCH formatに関する情報を移動局装置30において複数の候補の中からブラインドで推定する必要がある。しかし、後述のシミュレーション評価では、簡単のため、これらの情報を移動局装置30側で既知として評価している。
次に、上記移動通信システムのモデルに基づいて行った3種類のシミュレーション評価について説明する。ただし、これらのシミュレーションでは、本発明のセル間干渉キャンセラの適用効果が最も得られると考えられる、サービングセルおよび干渉セル共に制御信号領域のOFDMシンボル数を3とした場合について評価する。
〔第1のシミュレーション評価〕
第1のシミュレーションでは、LTE/LTE−Advancedにおける下りリンクL1/L2制御チャネルのうち、必要とするリソースが最も多く、セルのカバレッジに最も大きな影響を与えると考えられるPDCCHについて、前述のセル間干渉キャンセラの適用効果を評価した。
本シミュレーションでは、PDCCHのセル間干渉が最大となる場合を想定し、各サブフレーム内のRE使用率を100%として評価した。また、干渉キャンセラの適用効果の減少が想定されるNon−colliding CRSにおいて、チャネル推定精度の向上による改善効果を得るため、「CRS power boosting」を適用した(非特許文献4参照)。なお、本シミュレーションでは「CRS power boosting」において、CRSにおけるEPRE(CRS EPRE)をL1/L2制御シンボルのEPREに対して3dB大きい値を用いた。
図11は、下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを適用した場合及び干渉キャンセラを適用しない場合のPDCCHの平均ブロック誤り率(BLER)のシミュレーション評価結果を示すグラフである。本シミュレーションでは、PDCCHの所要品質であるBLER=10?2以下を達成する平均受信SIRで評価した。表2は、本シミュレーションで用いた主なシミュレーション諸元の一覧表である。干渉キャンセラを動作させるために必要なサービングセル基地局(小型基地局20)と移動局装置30間のチャネル推定および干渉セル基地局(マクロ基地局10)と移動局装置30間のチャネル推定は、非特許文献5に記載の方法に基づいて行った。また、PDCCHの通信路符号化において用いられるTail−Biting畳み込み符号の復号法として、非特許文献6に記載のCircular Viterbiアルゴリズムに基づく方法を適用した。
図11より、干渉キャンセラを適用することにより、干渉キャンセラを適用しない場合に比べて、所要受信SIRを約6dB低減できることがわかる。すなわち、干渉キャンセラを適用することにより、CREにおいて小型基地局20からの受信電力に対し、より大きなオフセット量を設定できる。
また、図11では干渉キャンセラ適用時におけるColliding CRSの場合とNon−colliding CRSの場合との間でBLERはほぼ同等の特性であることがわかる。これは以下の理由と考えられる。Colliding CRSの場合、全L1/L2制御OFDMシンボルに対して、干渉キャンセラ適用効果が得られるが、「CRS power boosting」の適用効果は得られない。一方、Non−colliding CRSの場合、「CRS power boosting」によるチャネル推定精度の改善効果が得られる上、干渉キャンセラの適用効果が得られない第1OFDMシンボルにおけるPDCCHのビット値は、誤り訂正復号の過程で干渉キャンセラの適用効果が得られる第2及び第3OFDMシンボルにおけるPDCCHのビット値により補正される。そのため、Colliding CRSの場合とNon−colliding CRSの場合でほぼ同等のBLER特性になると考えられる。
以上、本シミュレーションでは、LTE/LTE−Advanced下りリンクL1/L2制御チャネルにおけるセル間干渉キャンセラの効果を評価した。その結果、下りリンクL1/L2制御チャネルにおけるセル間干渉キャンセラを適用することにより、干渉キャンセラを適用しない場合に比べてPDCCHのBLER特性を大幅に低減できることが明らかになった。
〔第2のシミュレーション評価〕
第2のシミュレーションでは、LTEへ本発明の下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを適用した場合の下りリンク共有チャネルにおけるH−ARQ再送特性の改善効果を評価した。
図1に示すような小型基地局20が混在したHetNet構成において、マクロセル10Aから小型基地局20のセル(以下、「ピコセル」という。)20Aへ積極的なオフロードを図るため、セル選択・セル再選択パラメータにおいてピコセル20Aの受信電力を高い値へオフセットさせる設定に加え、マクロセル10Aからピコセル20Aへのハンドオーバマージン(以下、「HOマージン」という。)値は小さく設定し、ピコセル20Aからマクロセル10AへのHOマージン値を大きく設定する必要がある。しかし、このようなパラメータ設定はピコセル端領域における受信SIRの劣化を発生させ、ピコセル20Aからマクロセル10AへのHO成功率を大きく低下させる問題が指摘されている。LTEの場合,受信SIRがH−ARQ制御情報を有する下りリンクL1/L2制御チャネル(PDCCH)の所要品質を下回ると、H−ARQ再送が適用される下りリンク共有チャネル(DL−SCH)で伝送されるHO制御メッセージを含む上位レイヤ(RRCレイヤ)の制御情報がH−ARQ等のパケット再送技術を適用してもUE側で正常に受信できない確率が増えるためと考えられる。この問題を解決するためには,特に低い受信SIR環境となるピコセル端領域におけるPDCCHのセル間干渉を抑圧することが効果的と考えられる。そこで、本シミュレーションでは下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを適用した場合の下りリンク共有チャネル(DL−SCH)におけるH−ARQ再送の適用効果をPDCCHの受信誤りの影響を考慮して評価した。
本シミュレーションでは、移動局装置30と通信する小型基地局20が、1つのマクロ基地局10に時間同期し、それ以外の基地局以外からの干渉成分はガウス雑音として、H−ARQ適用時におけるDL−SCHの残留パケット誤り率(残留PER)を評価した。なお、本シミュレーションでは、MACレイヤにおけるH−ARQ再送の再送上限回数をパラメータとし、RLC(Radio Link Control)レイヤにおけるARQ再送は行わないものとして評価した。表3は、本シミュレーションで用いた主なシミュレーション諸元の一覧表である。
図12は、H−ARQ適用時におけるDL−SCHの残留PERのシミュレーション評価結果を示すグラフである。ただし、図12の実線および破線は、下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを適用した場合("with ICI canceller")および干渉キャンセラを適用しない場合("w/o ICI canceller")をそれぞれ表す。また、図12には、H−ARQ再送制御情報を伝送するPDCCHのブロック誤り率(BLER)特性を参考のため併せて示している。
図12より、H−ARQ再送上限回数を増やすのに従い、平均受信SIRに対するDL−SCHの残留PERが減少することがわかる。また,下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを適用することにより、干渉キャンセラを適用しない場合に比べて、H−ARQ適用時の低受信SIRにおける残留PERを大きく低減できる。例えば,干渉キャンセラ適用時および非適用時のDL−SCH残留PER=10−2以下を満たす所要受信SIRは、再送上限回数3の場合、それぞれ約−4.3dBおよび−3.7dBで約0.6dBの改善効果に対し、再送上限回数16の場合,約−8.1dBおよび−5.9dBで約2.2dBの改善効果が得られ、再送上限回数が大きくなる程、低い受信SIR領域における干渉キャンセラの適用効果は大きくなる。これは下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを適用した場合、干渉キャンセラを適用しない場合に比べ、H−ARQ制御情報が伝送されるPDCCHの所要受信SIRを大きく低減できるためである。
以上、本シミュレーションでは、3GPPのLTE下りリンクにおいてL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを用いた共有チャネル(DL−SCH)のH−ARQ特性の改善効果を評価した。その結果、受信SIRが低くなるほどL1/L2制御チャネル干渉キャンセラ適用による、DL−SCHの残留パケット誤り率の低減効果が大きくできることが明らかになった。
〔第3のシミュレーション評価〕
第3のシミュレーションでは、3GPPのLTE/LTE−Advancedにおいて、本発明である下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを用いたHO品質の改善効果について評価した。
前述の図2を用いて説明したように、LTE/LTE−Advancedにおけるハンドオーバ(HO)は、移動局装置30における通信中セルと周辺セルとの参照信号受信電力(RSRP)の差に基づき行われる。
前述の第2のシミュレーションでも説明したように、図1に示すような小型基地局20が混在したHetNet構成において、マクロセル10Aからピコセル20Aへ積極的なオフロードを図るためには、一般にマクロセル10Aからピコセル20AへのHOマージン値は小さく設定し、ピコセル20Aからマクロセル10AへのHOマージン値を大きく設定する必要がある。しかし。ピコセル20Aからマクロセル10AへのHOマージン値を大きくする設定はピコセル20Aからマクロセル10Aへのハンドオーバ領域における受信SINR劣化により、ピコセル20Aからマクロセル10AへのHO成功率を大きく低下させる問題が指摘されている。LTE/LTE−Advancedの場合,HO領域での受信SINRがH−ARQ制御情報を有する下りリンクL1/L2制御チャネル(PDCCH)の所要品質を下回ると、H−ARQ再送が適用される下り共有チャネル(DL−SCH)で伝送されるハンドオーバ指示"HO command"が含まれる上位(RRC)レイヤの制御情報が再送時でも移動局装置30側で正常に受信できない確率が増大し、その結果、HO成功率が低下すると考えられる。この問題を解決するためには、HO領域で発生するPDCCHのセル間干渉を抑圧することが効果的と考えられる。そこで、本シミュレーションでは下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを適用した場合のHO品質の改善効果をPDCCHの受信誤りの影響を考慮して評価した。
本シミュレーションでは、ソース基地局(HO元基地局)である小型基地局20がターゲット基地局(HO先基地局)であるマクロ基地局10に時間同期し、マクロ基地局10以外からの干渉成分はガウス雑音とみなしてHO品質を評価した。なお、本シミュレーションでは、MACレイヤにおけるH−ARQ再送の再送上限回数をパラメータとし、RLCレイヤにおけるARQ再送を適用しないものとして評価した。表4は、本シミュレーションで用いた主なシミュレーション諸元の一覧表である。
図13は、HOマージン値に対するHO成功率のシミュレーション評価結果を示すグラフである。ただし、図13では"HO command"の受信成功をHO成功とみなして評価している。図13より、HOマージン値の増大に伴いHO成功率が低下することから、大きなHOマージン値において所望のHO成功率を確保するためには、再送上限回数を増やす必要があることが確認できる。一方、下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラを適用することにより、干渉キャンセラを適用しない場合に比べて、大きなHOマージン値を設定した場合のHO成功率を大幅に改善できることがわかる。例えば、図13より、HOマージン値を10dBとすると、干渉キャンセラを適用しない場合、HO成功率は再送上限回数15においても約20%と大きく劣化するのに対し、干渉キャンセラを適用した場合、約80%まで改善できる。これは、干渉キャンセラの適用により、H−ARQ制御情報が含まれるPDCCHのブロック誤り率が低減するのに伴い、"HO command"が含まれるRRCレイヤ制御情報を伝送するDL−SCHにおけるH−ARQ再送の適用効果が大きく改善されるためである。
以上、本シミュレーションでは、3GPPのLTE/LTE−Advancedにおいて下りリンクL1/L2制御チャネルセル間干渉キャンセラによるHO品質改善効果を評価した。その結果、HetNet構成で重要となる大きなHOマージン値設定において、セル間干渉キャンセラ適用によるHO品質の改善効果を明らかになった。
次に、本実施形態の移動通信システムの移動局装置30で実行されるL1/L2制御チャネルにおけるセル間干渉キャンセルを含む受信信号処理の手順について説明する。
図14は、移動局装置30で実行されるL1/L2制御チャネルにおけるセル間干渉キャンセルを含む受信信号処理の手順の一例を示すフローチャートである。本例は、下りリンク制御信号領域のOFDMシンボルの数が固定の場合の例である。なお、図14において、サービングセルの小型基地局20からの希望信号の受信に不可欠な処理について省略している。
図14において、移動局装置30は、セルサーチにより周辺セルの受信レベル(RSRP)を常にモニタリングし、干渉セルのセルIDを検出している(S101)。移動局装置30は、例えば複数の干渉セルのセルIDを検出すると、その検出した干渉セルのセルIDから、受信レベルが最も高い少なくとも一つの干渉セル(図1の例ではマクロセル10A)のセルIDを、干渉除去対象セルのセルIDとして選択する(S102)。次に、移動局装置30は、干渉除去対象セルの基地局(図1の例ではマクロ基地局10)から受信したセル固有参照信号(CRS)に基づいて、干渉除去対象セルの基地局から移動局装置30までのチャネル応答を推定する(S103)。このチャネル応答の推定結果は相対量であり、干渉除去対象セルの基地局から物理報知チャネル(PBCH)で送信される報知情報(MIB,SIB)の復号に用いられる。
次に、移動局装置30は、上記チャネル応答の推定結果に基づいて、干渉除去対象セルの基地局から受信した報知情報(MIB,SIB)を復号し(S104)、その報知情報に含まれる各種情報を取得する(S105)。より具体的には、干渉除去対象セルの送信アンテナ数の情報と、制御信号領域のOFDMシンボル数が固定されていることを示すフラグ情報と、干渉除去対象セルのセル固有参照信号(CRS)を含む送信電力情報とを取得する。
次に、移動局装置30は、上記報知情報(MIB,SIB)から取得した各種情報に基づいて、干渉除去対象セルの基地局(図1の例ではマクロ基地局10)からセル固有参照信号(CRS)を受信し、その受信結果に基づいて、干渉除去対象セルの基地局から移動局装置30までのチャネル応答(絶対量)を推定する(S106)。更に、移動局装置30は、在圏セルの基地局(図1の例では小型基地局20)からセル固有参照信号(CRS)を受信し、その受信結果に基づいて、在圏セルの基地局から移動局装置30までのチャネル応答(絶対量)を推定する(S106)。
次に、移動局装置30は、下りリンクの受信信号と、干渉除去対象セル及び在圏セルのチャネル応答(絶対量)の推定結果と、制御チャネルの変調方式及びプリコーディング方式の情報とに基づき、前述のZF、MMSE等の線形処理アルゴリズムを用いて干渉信号の抑圧又は除去を行う干渉キャンセル処理を行い、下りリンクL1/L2制御チャネル(例えば、PDCCH)の復号処理を行い、上下リンクのスケジューリングの決定や上りリンクの電力制御コマンドなどの制御情報(DCI)を取得する(S107)。更に、移動局装置30は、この干渉キャンセル処理後の制御情報に基づいて、在圏セルの基地局から受信した希望信号について干渉キャンセル処理を行うとともに希望信号を合成する(S107)。
次に、移動局装置30は、次の干渉除去対象セルの選択タイミングか否かを判断し(S108)、予め設定した所定の干渉除去対象セルの選択タイミングである場合(S108でYES)は、上記S102〜S105までの処理を繰り返す。一方、予め設定した所定の干渉除去対象セルの選択タイミングでない場合(S108でNO)は、上記S107で推定した干渉除去対象セル及び在圏セルのチャネル応答(絶対量)に基づいて干渉キャンセルされた希望信号の合成を繰り返し行う(S106、S107)。なお、上記所定の干渉除去対象セルの選択タイミングである場合としては、例えば、周辺セルの受信レベルの変動やハンドオーバのイベント発生などにより干渉除去対象セルが変更になる場合、干渉除去対象セルが検出範囲外になった場合、干渉セルの基地局の設定変更を検知した場合である。
図15は、移動局装置30で実行される下りリンクL1/L2制御チャネルにおけるセル間干渉キャンセルを含む受信信号処理の手順の他の例を示すフローチャートである。本例は、下りリンク制御信号領域のOFDMシンボルの数が変動する場合(シンボル数が可変の場合)の例である。なお、図15においても、サービングセルの小型基地局20からの希望信号の受信に不可欠な処理について省略している。また、図15におけるS201〜S204及びS209は、図14のS101〜S104及びS108と同様であるので、説明を省略する。
図15において、移動局装置30は、干渉除去対象セルの基地局から受信して復号した報知情報(MIB,SIB)から、干渉除去対象セルの送信アンテナ数の情報と、制御信号領域のOFDMシンボル数が変動であることを示すフラグ情報と、干渉除去対象セルのセル固有参照信号(CRS)を含む送信電力情報とを取得する(S205)。更に、移動局装置30は、干渉除去対象セルの制御信号領域のOFDMシンボル数情報(CFI:Control Format Indicator)を取得する(S206)。
次に、移動局装置30は、上記報知情報(MIB,SIB)から取得した各種情報と制御信号領域のOFDMシンボル数情報(CFI)とに基づいて、干渉除去対象セルの基地局(図1の例ではマクロ基地局10)からセル固有参照信号(CRS)を受信し、その受信結果に基づいて、干渉除去対象セルの基地局から移動局装置30までのチャネル応答(絶対量)を推定する(S207)。更に、移動局装置30は、在圏セルの基地局(図1の例では小型基地局20)からセル固有参照信号(CRS)を受信し、その受信結果に基づいて、在圏セルの基地局から移動局装置30までのチャネル応答(絶対量)を推定する(S207)。
次に、移動局装置30は、下りリンクの受信信号と、干渉除去対象セル及び在圏セルのチャネル応答(絶対量)の推定結果と、制御チャネルの変調方式及びプリコーディング方式の情報とに基づき、シンボル数情報(CFI)に応じて、前述のZF、MMSE等の線形処理アルゴリズムを用いて干渉信号の抑圧又は除去を行う干渉キャンセル処理を行い、下りリンクL1/L2制御チャネル(例えば、PDCCH)の復号処理を行い、上下リンクのスケジューリングの決定や上りリンクの電力制御コマンドなどの制御情報(DCI)を取得する(S208)。更に、移動局装置30は、この干渉キャンセル処理後の制御情報に基づいて、在圏セルの基地局から受信した希望信号について干渉キャンセル処理を行うとともに希望信号を合成する(S208)。
なお、上記図14のS105及び図15のS205において、上記報知情報に基づいて、下りリンクの制御チャネルの送信電力が制御されている否かを判断し、制御チャネルの送信電力が制御されている場合は、その制御チャネルの送信電力の制御情報を取得してもよい。この場合は、下りリンクの受信信号と、干渉除去対象セル及び在圏セルのチャネル応答(絶対量)の推定結果と、制御チャネルの送信電力の制御情報と、制御チャネルの変調方式及びプリコーディング方式の情報とに基づいて、干渉信号のレプリカを生成し、その生成したレプリカを用いて干渉信号をより確実に抑圧又は除去することができる。
また、上記実施形態において、複数の基地局それぞれのセルIDによってOFDM無線フレームの制御信号領域中のセル固有参照信号(CRS)の配置の周波数シフト量を変える場合、制御信号領域が複数のOFDMシンボルで構成されている場合、又は、CRSが挿入されている制御信号領域のOFDMシンボル及びCRSが配置される周波数が在圏セル20Aと干渉セル10Aとで異なる場合、CRSが含まれる制御信号領域中のOFDMシンボルでは、小型基地局20の在圏セル20Aの制御信号が、マクロ基地局10の干渉セル10Aの制御信号のみならず、干渉セル10AのCRSからの干渉を受ける。そのため、実効的な干渉信号数が増大し、移動局装置30のアンテナのアレーの自由度が不足し、十分な干渉抑圧効果が得られにくくなる。そこで、このような場合には、CRSが含まれない制御信号領域のOFDMシンボルについてのみ前記干渉信号の抑圧又は除去を行い、CRSが含まれる制御信号領域のOFDMシンボルについては、前記干渉信号の抑圧又は除去は行わず、希望信号の受信電力を向上させる信号合成を行うようにしてもよい。この移動局装置30では、干渉基地局であるマクロ基地局10が送信するCRSに起因して、アンテナのアレーの自由度が不足する制御信号領域のOFDMシンボルにおいても、希望信号電力を向上させることにより、受信品質の向上効果を安定的に得ることができる。
以上、本実施形態によれば、OFDM方式の下りリンクにおけるL1/L2制御チャネルの干渉に起因したデータ領域の受信誤りの増大を防止することができる。
また、本実施形態によれば、L1/L2制御チャネルの受信品質を向上させることにより、異種混在ネットワーク(HetNet)構成における小型基地局20のセル20Aへのトラフィックオフロード効果を更に積極的に行うことができ、オフロード先の小型基地局20のセル20A内で通信品質向上に寄与することができる。
また、従来の移動通信システムでは低受信SINR領域におけるデータチャネルのHARQ再送適用効果はL1/L2制御チャネルの受信品質によって制限されていたが、本実施形態によれば、L1/L2制御チャネルの受信品質向上の副次的な効果として、低受信SINR環境におけるデータチャネルのHARQ再送の適用効果を向上させることができる。
また、本実施形態によれば、LTE/LTE−Advancedでは、データチャネル上でハンドオーバの制御メッセージを伝送しているため、本発明の干渉除去技術の適用によるHARQ再送適用効果改善に伴い、小型基地局20のセル20Aからマクロ基地局10のセル10Aへのハンドオーバ品質の向上も図ることができる。
なお、本実施形態では、LTE/LTE−Advancedへの適用を前提に説明したが、LTE/LTE−Advancedと類似のチャネル構成を用いるシステムであれば、本発明の概念はどのようなシステムにも適用可能であり、さらに本実施形態に示した送信機および受信機の構成に限定されない。また、セルサーチ用の信号系列、伝搬路応答の推定等に用いられるや参照信号の系列や誤り訂正のために用いられる通信路符号化方式はこれらの用途に適合するものであれば、どのような種類のものでも構わず、LTE/LTE−Advancedで定義されているものに限定されない。
10 マクロ基地局
10A マクロ基地局のセル
20 小型基地局
20A 小型基地局のセル
30 移動局装置
特開2009−100116号公報 特開2010−206457号公報
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Claims (8)

  1. 互い時間同期された複数の基地局を含む移動通信システムにおいて、該基地局との間でOFDMによる下りリンクの無線通信が可能な移動局装置であって、
    前記基地局から受信するOFDMの信号は、前記移動局装置へのデータ信号を伝送するチャネルにおける送信方式の情報を含む制御情報を伝送する下りリンクの制御チャネルを有し、
    当該移動局装置が在圏している在圏セルの基地局との間のOFDMによる下りリンクの無線通信に干渉している干渉セルを検知する手段と、
    前記在圏セルの基地局及び前記干渉セルの基地局それぞれから報知チャネルを介して送信される報知情報を取得する手段と、
    前記在圏セルの基地局からの報知情報に基づいて該在圏セルの基地局から参照信号を受信し、該参照信号に基づいて該在圏セルの基地局との間の伝送路応答を推定する手段と、
    前記干渉セルの基地局からの報知情報に基づいて該干渉セルの基地局から参照信号を受信し、該参照信号に基づいて該干渉セルの基地局との間の伝送路応答を推定する手段と、
    前記在圏セルの基地局との間の伝送路応答の推定結果と、前記干渉セルの基地局との間の伝送路応答の推定結果と、前記下りリンクの制御チャネルに用いられている送信方式の情報とに基づいて、前記下りリンクの制御チャネルにおける前記干渉セルの基地局からの干渉信号を抑圧又は除去する手段と、
    を備えたことを特徴とする移動局装置。
  2. 請求項1の移動局装置において、
    複数の干渉セルが検知された場合、その複数の干渉セルのうち最も受信電力の高い干渉セルのみを、前記干渉信号の抑圧又は除去の対象とすることを特徴とする移動局装置。
  3. 請求項1の移動局装置において、
    複数のアンテナを備え、
    複数の干渉セルが検知された場合、前記複数の干渉セルの受信電力の高いほうから当該移動局装置のアンテナの自由度の数だけ選択した干渉セルのみを、前記干渉信号の抑圧又は除去の対象とすることを特徴とする移動局装置
  4. 求項1乃至3のいずれかの移動局装置において、
    前記基地局が適用する前記制御チャネルのプリコーディング方式が送信アンテナ数で決定される場合、前記報知情報に基づいて、前記在圏セルの基地局及び前記干渉セルの基地局それぞれの送信アンテナ数を識別する手段を、更に備えたことを特徴とする移動局装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかの移動局装置において、
    前記報知情報に基づいて、前記下りリンクの制御チャネルで使用するシンボル数が可変であるか否かを判断する手段と、
    前記下りリンクの制御チャネルで使用するシンボル数が可変である場合は、前記制御チャネルのサイズを通知する制御チャネルを受信して前記シンボル数の情報を取得する手段と、を更に備えたことを特徴とする移動局装置。
  6. 請求項乃至のいずれかの移動局装置において、
    前記報知情報に基づいて、前記下りリンクの制御チャネルの送信電力が制御されている否かを判断する手段を更に備え、
    前記制御チャネルの送信電力が制御されている場合、前記制御チャネルの送信電力の制御情報を用いることなく、下りリンクの受信信号と、前記複数の伝送路応答の推定結果とに基づいて、前記干渉信号を抑圧又は除去することを特徴とする移動局装置。
  7. 請求項乃至のいずれかの移動局装置において、
    前記報知情報に基づいて、前記下りリンクの制御チャネルの送信電力が制御されている否かを判断する手段と、
    前記制御チャネルの送信電力が制御されている場合、前記制御チャネルの送信電力の制御情報を取得する手段とを、更に備え、
    下りリンクの受信信号と、前記複数の伝送路応答の推定結果と、前記制御チャネルの送信電力の制御情報と、前記制御チャネルの変調方式及びプリコーディング方式の情報とに基づいて、前記干渉信号のレプリカを生成し、前記レプリカを用いて前記干渉信号を抑圧又は除去することを特徴とする移動局装置。
  8. 請求項1乃至のいずれかの移動局装置において、
    前記OFDMによる下りリンクの無線フレームの制御信号領域が参照信号を含むOFDMシンボルと参照信号を含まないOFDMシンボルとで構成されている場合には、前記制御信号領域の参照信号を含まないOFDMシンボルについてのみ前記干渉信号の抑圧又は除去を行い、前記制御信号領域の参照信号を含むOFDMシンボルについては前干渉信号の抑圧又は除去は行わず希望信号の受信電力を向上させる信号合成を行うことを特徴とする移動局装置。
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