以下、図面を参照して本発明の実施形態を詳細に説明する。本発明は、現像剤が補給される第2室に複数の搬送部材が平行に重ねて配置される限りにおいて実施形態の構成の一部または全部を、その代替的な構成で置き換えた別の実施形態でも実施できる。
従って、現像装置を共通とする種々の形態の画像形成装置、すなわち、中間転写型、記録材搬送体型、タンデム型、1ドラム型、フルカラー、モノクロの区別無く実施できる。二成分現像剤を用いる現像装置のみならず、循環する一成分現像剤に消費しただけの一成分現像剤が補給される現像装置でも実施できる。
本実施形態では、トナー像の形成/転写に係る主要部のみを説明するが、本発明は、必要な機器、装備、筐体構造を加えて、プリンタ、各種印刷機、複写機、FAX、複合機等、種々の用途で実施できる。
なお、特許文献1〜3に示される画像形成装置の一般的な事項については、図示を省略して重複する説明を省略する。
<画像形成装置>
図1は第1実施形態の画像形成装置の構成の説明図である。図1に示すように、画像形成装置100は、中間転写ベルト10に沿ってイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックの画像形成部PY、PM、PC、PBを配列したタンデム型中間転写方式のフルカラープリンタである。
画像形成部PYでは、感光ドラム1Yにイエロートナー像が形成されて中間転写ベルト10に一次転写される。画像形成部PMでは、感光ドラム1Mにマゼンタトナー像が形成されて中間転写ベルト10のイエロートナー像に重ねて一次転写される。画像形成部PC、PBでは、それぞれ感光ドラム1C、1Bにシアントナー像、ブラックトナー像が形成されて同様に中間転写ベルト10に順次重ねて一次転写される。
中間転写ベルト10に一次転写された四色のトナー像は、二次転写部T2へ搬送されて記録材Pへ一括二次転写される。四色のトナー像を二次転写された記録材Pは、定着装置15で加熱加圧を受けて表面にトナー像を定着された後に、排出ローラ16を通じて積載トレイ17へ排出される。
分離ローラ21は、記録材カセット20から引き出した記録材Pを1枚ずつに分離して、レジストローラ22へ送り出す。レジストローラ22は、停止状態で記録材Pを受け入れて待機させ、中間転写ベルト10のトナー像にタイミングを合わせて記録材Pを二次転写部T2へ送り込む。
定着装置15は、ヒータを設けた定着ローラ15aに加圧ローラ15bを圧接して加熱ニップを形成する。記録材Pは、加熱ニップで挟持搬送される過程で、加熱加圧を受けてトナー像を溶融させ、フルカラー画像を表面に定着される。
中間転写ベルト10は、テンションローラ12、駆動ローラ11、及び対向ローラ13に掛け渡して支持され、駆動ローラ11に駆動されて矢印R2方向に回転する。二次転写ローラ14は、接地電位に接続された対向ローラ13によって内側面を支持された中間転写ベルト10に当接して二次転写部T2を形成する。二次転写ローラ14に正極性の直流電圧が印加されることにより、中間転写ベルト10に担持されたトナー像が記録材Pに二次転写される。
画像形成部PY、PM、PC、PBは、現像装置4Y、4M、4C、4Bで用いるトナーの色がイエロー、マゼンタ、シアン、ブラックと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部PYについて説明し、他の画像形成部PM、PC、PBについては、説明中の符号末尾のYを、M、C、Bに読み替えて説明されるものとする。
画像形成部PYは、感光ドラム1Yを囲んでコロナ帯電器2Y、露光装置3、現像装置4Y、一次転写ローラ5Y、クリーニング装置7Yを配置している。感光ドラム1Yは、アルミニウムシリンダの外周面に帯電極性が負極性の感光層を形成しており、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転する。
コロナ帯電器2Yは、コロナ放電に伴う荷電粒子を感光ドラム1Yに照射して、感光ドラム1Yの表面を一様な負極性の電位に帯電させる。露光装置3は、イエローの分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザービームを回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1Yの表面に画像の静電像を書き込む。
現像装置4Yは、後述するように、二成分現像剤を用いて感光ドラム1Yの静電像を現像する。一次転写ローラ5Yは、中間転写ベルト10の内側面を押圧して、感光ドラム1Yと中間転写ベルト10との間に一次転写部T1を形成する。一次転写ローラ5Yに正極性の直流電圧を印加することにより、感光ドラム1Yに担持された負極性のトナー像が、一次転写部T1を通過する中間転写ベルト10へ一次転写される。
クリーニング装置7Yは、感光ドラム1Yにクリーニングブレードを摺擦させて、一次転写部T1を通過した感光ドラム1Yに付着した転写残トナーを掻き落として回収する。
<実施例1>
図2は現像装置の内部構造の平面図である。図3は実施例1の現像装置の構成の説明図である。図4は搬送スクリューの構成の説明図である。
図2に示すように、現像装置4Yは、現像容器41内で二成分現像剤を攪拌して帯電させ、帯電した二成分現像剤を穂立ち状態で現像スリーブ47に担持させて、感光ドラム1Yを摺擦する。直流電圧に交流電圧を重畳した振動電圧を電源D4が現像スリーブ47に印加することで、現像スリーブ47に対して相対的に正極性になった静電像(露光部)に負極性に帯電したトナーが移転して、静電像が反転現像される。
現像スリーブ47は、回転自在な非磁性体の金属円筒であり、現像スリーブ47の表面は、表面粗さRz(十点平均粗さ)が10〜20μmの範囲内に入るのが望ましい。現像スリーブ47は、モータ52により回転駆動され、現像領域S−Dgapで現像電界を形成するための現像電圧が電源D4により印加される。
現像容器41は、長手方向の両端部に開口部49a、49bを有する隔壁49で第1室(41a)と第2室(41b)とに仕切られて、現像剤の循環経路を構成する。供給部材の一例である現像スクリュー42は、第1室(41b)に配置されて現像剤を長手方向に搬送しつつ現像剤担持体(47)に供給する。第1搬送部材の一例である攪拌スクリュー43は、第2室(41a)に配置されて現像剤を供給部材(42)とは逆方向に搬送する。そして、現像容器41内で、現像剤は、開口部49a、49bを通じて第1室(41b)と第2室(41a)を循環しており、循環する現像剤に対して、第2室(41a)の上流側で現像剤が補給される。
図3に示すように、第2搬送部材の一例である攪拌スクリュー44は、第2室(41a)に、第1搬送部材(43)と高さ方向に少なくとも一部重ねて配置されて第1搬送部材(43)と同一方向に現像剤を搬送する。
現像スリーブ47は、複数の磁極を有する固定マグネット51を内蔵する。現像スリーブ47に内蔵された固定マグネット51は、同極性の磁極が隣り合う反発極を持つ。ここでは、反発極の極間は磁気力が働かないため現像剤を担持することができない。現像スリーブ47に担持されて現像によるトナー消費を終え、トナー濃度の低下した現像剤はここで現像スリーブ47を離れる。現像スリーブ47を離れた現像剤は、現像スクリュー42により搬送され、現像室41bの下流で攪拌室41aに流入し、攪拌室41aの上流側で補給現像剤を補給される。
現像容器41は、非磁性トナーと磁性キャリアとからなる二成分現像剤を収容しており、非磁性トナーと磁性キャリアの混合比は重量比で1:9程度である。現像容器41の感光ドラム1Y側の開口から一部露出するように、現像スリーブ47が配置される。現像容器41は、隔壁49によって、現像スリーブ47が設置される現像室41bと、補給現像剤を攪拌するための攪拌室41aとに仕切られている。
現像室41bには、現像スリーブ47に現像剤を供給するための現像スクリュー42が配置され、攪拌室41bには、循環する現像剤を攪拌して補給現像剤を混合するための攪拌スクリュー43、44が重ねて配置される。
ここで、攪拌スクリュー44の外径の下端は、下方に配置されている攪拌スクリュー43の外径の上端より上方に間隔を設けて対向する。その理由は、攪拌スクリュー44の外径の下端面が、攪拌スクリュー43の外径の上端面より下方に配置された場合には、攪拌スクリュー43、44に挟まれた部分で現像剤に大きな負荷がかかって好ましくないからである。現像剤に大きな負荷がかかると、現像剤の寿命が短くなるからである。
現像容器41中に収容された現像剤は、現像スクリュー42、攪拌スクリュー43、44に搬送されて現像室41bと攪拌室41aとの間を循環する。現像スクリュー42、攪拌スクリュー43、44は、磁性体の回転軸42a、43a、44aの周りに、搬送部材としての螺旋形状のフィン42b、43b、44bを設けて形成されている。フィン42b、43b、44bのピッチはそれぞれ18mm、24mm、24mmとした。
図4に示すように、攪拌スクリュー43、44には、螺旋形状のフィン43b、44bに加えて、軸43a、44aから半径方向に突出して現像剤の搬送方向に所定の幅を有する攪拌リブ43c、44cが配置されている。攪拌リブ43c、44cは、回転軸43a、44aの回転に伴って現像剤を攪拌して、循環する現像剤に補給された現像剤を混合する。
図2に示すように、現像剤補給装置60は、開口部49a、49bを通じて現像室41bと攪拌室41aとを循環する現像剤に対して第2室の上流側で補給現像剤を補給する。
図3に示すように、トナー100%の補給現像剤が充填された現像剤補給装置60が現像装置4Yの上部に接続されている。現像剤補給装置60は、画像形成に伴って消費されて現像装置4Yから取り出されるトナー量に見合った補給現像剤を現像装置4Yに供給して、現像装置4Y内の二成分現像剤に占めるトナーの重量比(トナー濃度)を所定範囲に維持する。
制御部62は、自動トナー補給制御(ATR:Auto Toner Replenisher)を実行して、攪拌室41aに補給される補給現像剤の量を制御する。すなわち、制御部62は、画像形成ごとのトナー消費量を計算して、画像形成でのトナー消費量に見合った補給現像剤が補給口64から落下するように、モータ63を制御して供給スクリュー65を回転させる。また、制御部62は、攪拌室41aに設置されたインダクタンスセンサ61によって検知された現像剤の透磁率から現像剤のトナー濃度を算出する。そして、所定のトナー濃度に収束するように、モータ63を制御して供給スクリュー65を回転させる。
これにより、攪拌室41aの上流部にある補給口64から攪拌室41aに補給現像剤が供給されて、攪拌スクリュー44により分散される。分散されて既存の循環する現像剤に取り込まれた補給現像剤は、攪拌スクリュー43によって深さ方向に混合される。これにより、循環する現像剤中のトナー濃度が均一化される。
攪拌室41aに設置された攪拌スクリュー44は、現像容器41内を循環する現像剤に補給現像剤を分散する機能を担う。攪拌スクリュー44の毎分回転数を攪拌スクリュー43よりも低く設定しているので、補給現像剤の分散・混合能力が高まり、現像容器41内を循環する現像剤に補給現像剤が取り込まれずに現像剤表面を未混合のまま滑るのを防ぐことができる。
攪拌スクリュー43、44が共働して十分な混合を行うことにより、補給現像剤とキャリアの接触回数が増大する。その結果、混合不良による未帯電トナーの数が減少してトナーの帯電量Q/Mの分布が安定する。
このようにして、所定の帯電量Q/Mまで帯電されたトナーを含む二成分現像剤の一部が現像スリーブ47に担持される。現像スリーブ47に担持された二成分現像剤は、磁性ブレード46で層厚が一定厚さに規制されて現像スリーブ47に担持される。現像スリーブ47に担持された一定厚さの二成分現像剤が感光ドラム1aと対向する現像領域へ搬送される。現像領域に搬送された二成分現像剤中のトナーは、現像スリーブ47と感光ドラム1との間に形成される現像電界によって感光ドラム1aに転移して、感光ドラム1a上の静電像を現像する。
<比較例>
図5は比較例の現像装置の構成の説明図である。図6は比較例の現像装置におけるトナーの帯電量分布の説明図である。図7は未帯電及び逆極性に帯電したトナーの個数の比較結果の説明図である。図8はカブリ濃度の測定結果の説明図である。
非磁性トナーと磁性キャリアとを混合した二成分現像剤を用いる二成分現像方式では、別体に設けられた現像剤補給装置から現像装置へトナーを補給する。このため、二成分現像剤のトナー濃度(キャリアとトナーの合計重量に対するトナー重量の割合)を安定させることは、出力画像の画像品質を安定化させる上で極めて重要な要素である。
図5に示すように、比較例の現像装置4Hでは、現像容器41は、隔壁41cによって、現像スリーブ47が設置される現像室41bと補給現像剤を攪拌するための攪拌室41aとに分けられる。現像室41bには現像スクリュー42が配置され、攪拌室41aには攪拌スクリュー43が配置される。そして、現像スクリュー42と攪拌スクリュー43は略水平かつ平行に設けられ、現像剤は現像室41bと攪拌室41aとを互いに逆方向に攪拌・搬送されながら循環する。そして、現像スクリュー42と攪拌スクリュー43とが現像剤を搬送して現像容器41内を循環させることにより、現像剤補給装置60から補給された補給現像剤は、循環する現像剤に混合してトナー濃度を均一にする。
図2に示すように、現像剤補給装置60から補給された補給現像剤は、攪拌スクリュー43による現像剤の循環ととともに搬送され、循環する現像剤中に分散する。このため、現像剤の循環は、補給現像剤を分散させ、現像容器41内のトナー濃度を一定にするために大変重要な役割を果たしている。
現像剤中のトナー濃度は、現像作用や補給動作により変化する。出力画像の画像品質を一定に保持するためには、現像室41bに補給現像剤が供給される時点でトナー濃度を十分に均一な状態にすることが望ましい。そのためには、トナー消費、補給現像剤補給に伴うトナー濃度の変動は、攪拌室41aにて十分攪拌し、トナー濃度を一定にした状態で現像室41bへ流れ込ませることが重要となる。
ところが、現像剤のトナー濃度の変動が著しい場合には、補給現像剤が循環する現像剤に対して十分に攪拌・混合されず、画像濃度ムラや、帯電量の低い未帯電のトナーが発生してしまう等の問題が発生する。
特に、近年のプロセススピードの高速化により、単位時間あたりに消費されるトナーの量は増大していく傾向にある。その際、プロセススピードの高速化に伴って攪拌スクリュー43の回転数を高くすると、補給現像剤が、循環する現像剤中に取り込まれることなく、現像剤表面に乗った状態で搬送されることがある。この場合、補給現像剤が循環する現像剤と攪拌・混合されないまま現像室41bへ流れ込むといった不具合が起こる。
そして、混合が不十分なためにトナー消費及び補給現像剤補給によるトナー濃度変動を攪拌室41a内で抑えられなくなると、トナーの単位質量当たり帯電量Q/Mの分布が不安定となり、未帯電トナーの数が増加する。
図5に示すように、比較例の現像装置4Hは、攪拌スクリュー43のみで攪拌室41aの現像剤を搬送する従来の現像装置である。攪拌スクリュー43の毎分回転数を高めて攪拌室41aを搬送される毎分現像剤量を実施例1と等しく設定してある。その他の部分については、図3に示す実施例1と等しく構成している。
そして、実施例1の現像装置4Yと比較例の現像装置4Hとについて、条件を揃えた連続画像形成の耐久実験を行って現像剤の帯電量を測定して比較し、同時に出力画像の品質を比較した。
比較例の現像装置4Hと実施例1の現像装置4Yとをそれぞれ図1に示す画像形成装置100に搭載し、1度に作製した二成分現像剤及び補給現像剤をそれぞれの現像装置4H、4Yに分けて充填した。補給現像剤が分散・混合しにくい常温低湿(LL:23℃/5%)環境下で10時間放置して、耐久実験を開始した。
耐久実験は、トナー消費量(補給現像剤の補給量)が一番多い全面最大濃度画像を6000枚連続プリントした。途中1000枚ごとにカブリ濃度測定を行い、6000枚プリントした後にトナーの帯電量分布の測定を行った。
カブリ濃度測定には、東京電色社製のREFLECTMETER MODEL TC−6DSを使用し、プリントした定着画像の白地部の白色度と記録材の白色度との差からカブリ濃度(%)を算出した。
トナーの帯電量分布の測定には、ホソカワミクロン社製のEスパートアナライザを使用し、トナー3000個についてトナー帯電量の刻みごとの個数(頻度)を測定した。
図6は、6000枚の連続画像形成を行った後に現像剤のトナー帯電量分布を測定した結果である。
図6に示すように、比較例の現像装置4Hを用いた場合、補給現像剤が循環する現像剤中のキャリアと十分に混合して攪拌されないため、図6中、帯電量0近傍のピークで示されるように殆ど帯電されていないトナーが多く存在する。これに対して、実施例1の現像装置4Yでは、比較例の現像装置4Hよりも全体的に帯電量分布の帯電量が高められるとともに、帯電量0近傍のピークが解消されている。
図7は、カブリ画像の原因と考えられる逆極性に帯電したトナー(正極性に帯電したトナー)の個数をトナー3000個についてカウントした結果である。この数値は、図6のトナー帯電量分布の測定データから帯電量が0μC/g及び正帯電したトナーの個数をデータ処理することで求めたものである。
図7に示すように、比較例の現像装置4Hを用いた場合、反転帯電トナー個数は約307個である。これに対して、実施例1の現像装置4Yを用いた場合、反転帯電トナー個数は230個と大幅に低減している。
図6、図7の結果より、実施例1の現像装置4Yを使用することで、比較例の現像装置4Hよりも補給現像剤と循環する現像剤の混合攪拌性能が向上したことがわかる。
図8は、1000枚の画像形成ごとに全面白地画像をプリントして、そのカブリ濃度を測定した測定結果である。カブリ濃度は、数値が小さいほど画像の白地部におけるトナー付着量が少ないことを示している。
図8に示すように、常温低湿(NN:23℃/5%)環境で10時間放置して耐久実験を開始した直後は、比較例の現像装置4Hと実施例1の現像装置4eとでカブリ濃度は0.75%と同等であった。
次に、全面最大濃度画像をプリントし続け、1000枚のところで再びカブリ濃度を測定したところ、比較例の現像装置4Hでは、カブリ濃度が3.0%で、画像上カブリ画像が目立つようになった。これに対して、実施例1の現像装置4eでは、カブリ濃度が0.75%→1.7%に上昇しているものの、比較例の現像装置4Hのようにカブリ画像が目立つことはなく、良い結果となった。続けて合計6000枚の画像形成を行い、1000枚ごとにカブリ測定を行ったが、全体として実施例1の現像装置は、比較例の現像装置4Yよりも良好な結果が得られた。
以上説明したように、実施例1の現像装置4Yは、補給現像剤と循環する現像剤との十分な攪拌混合能力を有することで、トナー帯電量不足を原因として発生する画像問題を防止できる。これにより、長期に渡って初期の出力画像品質を維持する二成分現像方式を用いた現像装置を実現できる。
また、実施例1の現像装置4Yは、攪拌スクリュー43、44を高さ方向に重ねて配置することにより、水平に並べる場合よりも攪拌室41aの厚みを小さくして現像装置4Yを小型化できる。攪拌スクリュー43の直径を大きくしなくても、現像容器41内の現像剤量を増すことができ、トナー濃度の変動幅を低くすることができる。
画像形成装置全体の小型化が進む今日、現像装置においても小型化が要求されている。図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(Bk)の画像形成部PY、PM、PC、PBを水平方向に並べて配置する場合、現像装置の横断面の幅を狭めることが画像形成装置の小型化に貢献する。そのため、特許文献3に示されるように、攪拌室中に水平に並べて2本の攪拌スクリューを配置することは実際には不可能な場合が多い。
<実施例2>
図9は実施例2の現像装置の構成の説明図である。
図9に示すように、実施例2の現像装置では、攪拌スクリュー44の更に上方に、攪拌スクリュー48を配置しており、攪拌スクリュー43、44、48が攪拌室41aの現像剤を並行に搬送する。攪拌室41aに補給された補給現像剤は、攪拌スクリュー48により、攪拌室41aで十分に混合・攪拌される。
実施例2では、攪拌室41a内における補給現像剤の分散・混合能力を向上させるために、攪拌室41a内に搬送部材を並列に複数備える。攪拌室41a中で、上側の搬送部材は、循環する現像剤に対する補給現像剤の取り込みや混合を担い、底側の搬送部材は循環する現像剤の軸方向の搬送を担う。このような搬送部材の機能分離を行うことで、現像剤の攪拌能力と搬送能力を同時に向上させる。実施例2の構成により、トナー消費と補給現像剤の補給に伴うトナー濃度の変動を相対的に低く抑えることができ、出力画像の濃度ムラを低減できる。また、トナー濃度の変動を攪拌室41aにて抑えることができるので、未帯電トナーを減らし、飛散やカブリ画像等の画像不良の発生を抑えることができる。
<実施例3>
図10は実施例3の現像装置の構成の説明図である。図11は比較例の現像装置における補給現像剤の攪拌・混合の説明図である。
実施例3の現像装置は、図3に示す実施例1の現像装置4Yにおいて、攪拌室41aの上側に配置された搬送スクリュー44の回転方向を実施例1とは逆方向としたが、それ以外の構成は実施例1と同一である。このため、図10、図11中、実施例1と共通する構成部材には図3と共通する符号を付して、構成部材に関する重複した説明を省略する。
図10に示すように、実施例3では、攪拌スクリュー43と攪拌スクリュー44とが同一回転方向に回転して、対向面でカウンタ方向に回転する。これにより、実施例1よりも短時間で補給現像剤の分散・混合を行って高い攪拌効果が得られるようになった。
まず、図5に示す比較例の現像装置4Hを用いて攪拌室41aに補給現像剤を補給しつつ循環する現像剤の状態を観察した。シアンの現像剤を循環させた状態でイエローの補給現像剤を補給してトナーの分散・攪拌性能を高速ビデオ撮影で確認した。すると、図11に示すように、攪拌室41aを循環する現像剤は図中の矢印のように、攪拌スクリュー43のフィン43bの回転方向に連れ回って、スクリュー軸43aの断面方向に循環した。補給現像剤もその循環に伴って循環する現像剤中へ取り込まれ、攪拌されていく様子が観察された。
図10に示すように、攪拌スクリュー43、44を同じ回転方向にした場合、攪拌スクリュー44の回転によって循環する現像剤に取り込まれた補給現像剤は、矢印Dに示すようにフィン44bに連れ回って攪拌室41aの下方へ運ばれる。攪拌スクリュー44下端付近では、矢印Eに示す方向に運ばれるが、続いて、攪拌スクリュー43のフィン43bの上端の矢印Fに示す方向に連れ回るようになる。結果として、補給現像剤は、攪拌室41aの容器の内壁を深さ方向に大きく周回して循環する。逆に、実施例1のように、攪拌スクリュー43と攪拌スクリュー44とが互いに逆の回転方向に回転して対向面でウイズ方向に相対移動する場合、補給現像剤は、攪拌スクリュー44の矢印E方向に連れ回ってしまう。このため、実施例3のような深さ方向の高い攪拌能力を得ることはできなかった。
実施例3の現像装置4Yについて、シアンの現像剤200gに対してイエローの補給現像剤2gを補給して、補給現像剤の分散・攪拌性能を高速ビデオ撮影で確認した。その結果、実施例1のように、攪拌スクリュー43と攪拌スクリュー44とを逆の回転方向とした場合には、混合ムラが完全に消えるのに90秒ほどかかった。これに対して、実施例3のように攪拌スクリュー43と攪拌スクリュー44とを互いに同じ回転方向とした場合には、約半分の45秒間で混合ムラが消えた。
また、実施例3の効果の確認のために、実施例1の評価で行った6000枚の画像形成を同様に行った。実施例1と並べて、図7に未帯電及び逆極性に帯電したトナーの個数の比較結果を示し、図8にカブリ濃度の測定結果を示す。図7、図8に示すように、実施例3では、比較例の現像装置4Hと比較して大幅に改善が見られることは勿論、実施例1の現像装置4Yを用いた場合と比較しても若干の改善が見られる。
以上説明したように、実施例3の現像装置によって、補給現像剤を循環する現像剤に対して効率良く攪拌混合することができる。これにより、トナーの帯電量不足を原因として発生する画像問題を防止し、長期に渡って出力画像の画像品質を初期の状態に維持できる二成分現像方式の現像装置を実現できる。
<実施例4>
図12は実施例4の現像装置における攪拌室内の現像剤の搬送状態の説明図である。図13は実施例3の現像装置における現像容器内を循環する現像剤の搬送状態の説明図である。図12、図13中、(a)は(b)と対照して現像剤の循環を理解するために左右を逆にして示した。(a)は現像室内の現像剤の搬送状態、(b)は攪拌室内の現像剤の搬送状態である。
実施例4の現像装置は、図2、図3、図10に示す実施例3の現像装置4Yにおいて、攪拌室41aの下側に配置された搬送スクリュー43のフィン43bのピッチを実施例1とは異ならせたが、それ以外の構成は実施例3と同一である。このため、図12中、実施例3と共通する構成部材には図3と共通する符号を付して、構成部材に関する重複した説明を省略する。
図12に示すように、実施例4では、第1搬送部材(43)は、搬送方向の上流側よりも下流側で単位時間当たり搬送量が低下するように構成されている。そして、第1搬送部材(43)の上流側部分による現像剤の単位時間当たり搬送量は、第2搬送部材(44)による現像剤の単位時間当たり搬送量よりも多い。そして、第1搬送部材(43)の下流側部分による現像剤の単位時間当たり搬送量は、第2搬送部材(44)による現像剤の単位時間当たり搬送量よりも少ない。
具体的には、攪拌室41aの底側に配置された攪拌スクリュー43の搬送方向下流側のピッチを上流側よりも狭くしてある。攪拌室41aの上側に配置された攪拌スクリュー44のピッチを全体的に24mmとする一方、底側に配置された攪拌スクリュー43のピッチは、長手方向の中央から上流側の半分を24mm、下流側の半分を18mmとした。
これにより、攪拌スクリュー43の下流側で攪拌スクリュー44に向かって湧き上がるような現像剤の流れが形成されて、実施例3よりも短時間で補給現像剤の分散・混合を行って高い攪拌効果が得られるようになった。
ただし、攪拌スクリュー43のピッチを変更する位置は、長手方向の中央には限定されず、下流側の端部から全長の4分の1までの位置や、同じく3分の1までの位置であってもよい。
ここで、図13に示す実施例3の現像装置に比較して、実施例4における攪拌室41a内の現像剤の攪拌・混合状態を説明する。
図13の(a)は、実施例3の現像装置において、現像スリーブ47側から見た現像室41b内を循環する現像剤の状態である。図13の(b)は、(a)とは反対側から見た攪拌室41a内を循環する現像剤の状態である。
図13の(a)に示すように、実施例3では、現像室41bの現像剤は、現像スクリュー42によって図中の右から左へと搬送され、隔壁49が途切れる開口部49aで攪拌室41aに流入する。現像スクリュー42は、毎分回転数が比較的に高いため、循環する現像剤の搬送速度は速く勢い付けられている。現像スクリュー42の搬送速度が低い場合、現像剤担持体の軸方向において、現像剤担持体に供給される現像剤のトナー濃度が不均一となる。特に、画像比率が高くてトナー消費量の多い画像を連続して出力する場合、軸方向の画像濃度ムラが生じ易くなり、高画質の出力画像を形成することが困難となる。
このため、現像室41bの下流側では、徐々に現像剤の界面が高くなっていき、開口部49aから攪拌室41bへ流入する。一方、攪拌室41aでは、上流側で補給された補給現像剤が十分な摩擦機会を得て必要な帯電量に高められるように、長手方向の現像剤の搬送速度をあまり高くしないことが望ましい。攪拌室41aにおける現像剤の滞在時間を長くして十分な攪拌・混合を経て現像室41bへ現像剤が供給されることが望ましい。
図13の(b)に示すように、実施例3では、攪拌室41aの長手方向断面では、開口部49aの紙面奥側の現像室41bから手前側の攪拌室41aへ現像剤が流入してくる。攪拌室41aへ流入した現像剤は、並列に配置された攪拌スクリュー43、44によって図中左側から右側へ攪拌・搬送されていく。ここで、攪拌スクリュー43による現像剤の単位時間当たり搬送量は、攪拌スクリュー44による現像剤の単位時間当たり搬送量よりも多い。このため、攪拌室41aの下流に向かって徐々に現像剤の界面が低くなっていき、隔壁49が途切れる開口部49bで現像室41bへ流入する。
図12に示すように、開口部41bを通じて現像室41bから流入し、攪拌室41aの底面付近を搬送される現像剤は、そのまま底側の攪拌スクリュー43によって下流側へ搬送されていく。しかし、実施例4では、攪拌スクリュー43は、下流側部分の単位時間当たり搬送量が上流側部分の単位時間当たり搬送量よりも低い。現像室41bの下流側の領域Aでは、底側の攪拌スクリュー43のピッチが24mm→18mmに狭くなるため、軸方向の現像剤の搬送速度が低下する。このため、底側の攪拌スクリュー43によって後から搬送されてきた現像剤は、上方へ押し出されるようにして、上側の攪拌スクリュー44に取り込まれる。その際に、底側の攪拌スクリュー43と上側の攪拌スクリュー44との間で搬送する現像剤が混じり合い、交換され、深さ方向の現像剤の対流が起こる。深さ方向の現像剤の対流が起こることによって、補給現像剤と循環する現像剤の攪拌性能は向上する。
また、実施例4の効果の確認のために、実施例3の評価で行った6000枚の画像形成を同様に行った。実施例3と並べて、図7に未帯電及び逆極性に帯電したトナーの個数の比較結果を示し、図8にカブリ濃度の測定結果を示す。図7、図8に示すように、実施例4では、比較例の現像装置4Hと比較して大幅に改善が見られることは勿論、実施例3の現像装置4Yを用いた場合と比較しても若干の改善が見られる。
以上説明したように、実施例4の現像装置によって、補給現像剤を循環する現像剤に対して効率良く攪拌混合することができる。これにより、トナーの帯電量不足を原因として発生する画像問題を防止し、長期に渡って出力画像の画像品質を初期の状態に維持できる二成分現像方式の現像装置を実現できる。
以上説明したように、実施例1〜4の現像装置によれば、攪拌室41aに搬送部材が1本配置された比較例の現像装置4Hに比較して、循環する現像剤に対して補給現像剤を効率よく攪拌することができる。これにより、トナーの消費と補給現像剤の補給による現像剤のトナー濃度の局所的なばらつきを解消させて現像に関与するトナーの帯電量を高く安定させることができる。その結果、カブリ画像の発生を抑制して、出力画像の画像品質を初期から最後まで一定に保持することができる。画像形成中のトナー飛散を抑制して、記録材のトナー汚れや機体内の汚れなどの発生を防止できる。