JP5448552B2 - 色素化合物、該色素化合物を含有する顔料分散剤、顔料組成物、及び顔料分散体 - Google Patents
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Description
本発明は、新規な色素化合物、該化合物を含有してなる顔料分散剤、該顔料分散剤を含有する顔料組成物並びにその分散体に関する。
アゾ顔料の着色剤としての用途は多岐にわたり、塗料、インクジェットインク、電子写真トナー、カラーフィルター等の分野で広く用いられている。このような分野で用いられる場合、着色力、透明性などの分光特性を向上させるために、各種媒体中に顔料を微分散しなければならない。ところが、一般的にアゾ顔料は微細化すると分散工程やその後の製造工程において熱履歴や溶媒との接触により結晶の成長や転移などが起きやすくなり、着色力や透明性の低下などの問題を引き起こしてしまう。このような問題を改善するために様々な顔料組成物及びそれを構成する顔料分散剤が提案されている。例えば、アゾ顔料に対して、異種のアゾ色素を顔料分散剤として添加した顔料組成物が提案されている(特許文献1及び2参照)。
また、顔料分散剤として、Solsperse(登録商標)(Lubrizol社製)を用いた例が開示されている(特許文献3参照)。しかし、これらの顔料組成物や顔料分散剤は、有機溶媒、特に非極性溶媒、例えばスチレンモノマー等への分散においては十分な分散効果を得ることはできなかった。
一方、ピラゾールアゾ化合物は古くから黄色乃至赤色着色剤として様々な化学構造のものが提案されている。例えば、捺染用黄色着色剤として分子内のエステル基末端にシクロアルキル基を有するピラゾールアゾ化合物が提案されている(特許文献4参照)。しかし、これらの開示化合物も非極性溶媒に対する溶解性が不十分であり、顔料分散剤としての効果を得ることはできなかった。
本発明は、上記した課題を解決することを目的とする。即ち、本発明は、有機溶媒に対する高い溶解性を持ち、アゾ顔料の有機溶媒に対する分散性を改善する色素化合物及び顔料分散剤を提供することを目的とする。
また、本発明は、有機溶媒に対する良好な分散性を有するアゾ顔料組成物を提供することを目的とする。
上記目的は以下の本発明によって解決される。即ち、本発明は、下記一般式(1)で表される色素化合物を提供する。
また、本発明は、少なくとも前記一般式(1)で示される構造を有する色素化合物を含有する顔料分散剤及びアゾ顔料組成物を提供する。
本発明により、水への溶解性が低く、有機溶媒、特に非極性溶媒に対しても溶解性が高い色素化合物が提供される。本発明にかかる前記一般式(1)で表される色素化合物は、アゾ顔料に対する親和性が高いことから、顔料分散剤として用いることで、アゾ顔料の分散性を改善し、良好な色調を有する顔料組成物を提供することができる。更に該顔料組成物を用いることで、有機溶媒、重合性単量体への分散性に優れる色調良好な顔料分散体、特にスチレンモノマーの顔料分散体が提供される。該顔料組成物は、例えば、電子写真用トナーの着色剤として有用である。
以下に、本発明の色素化合物を更に詳細に説明する。
本発明者らは、前記した従来技術の課題を解決すべく鋭意検討の結果、前記一般式(1)で表される色素化合物が、水への溶解性が低く、有機溶媒への溶解性が高く、アゾ顔料の有機溶媒への分散性を改善することを見出した。又、該色素化合物を用いることで色調が良好なアゾ顔料組成物が提供されることを見出して、本発明に至った。
先ず、本発明で提供される一般式(1)で表される構造を有する色素化合物について詳述する。
前記一般式(1)中のR1におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。
前記一般式(1)中のR1におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、チエニル基等が挙げられる。
前記一般式(1)中のR1におけるアラルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
前記一般式(1)中のR1で表される置換基は、更に置換基を有していても良い。この場合置換しても良い置換基としては以下のものが挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、トリアジニル基、ベンゾチアゾリル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基等のアミノ基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、カルボン酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
前記一般式(1)中のR1は、前記に列挙した置換基及び水素原子から任意に選択できるが、有機溶媒への溶解性向上及び合成容易性の点からフェニル基である場合がより好ましい。
前記一般式(1)中のR2におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。
前記一般式(1)中のR2におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、チエニル基、フリル基等が挙げられる。
前記一般式(1)中のR2で表される置換基は、更に置換基を有していても良い。この場合置換しても良い置換基としては以下のものが挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、トリアジニル基、ベンゾチアゾリル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、N,N−ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、N,N−ジフェニルアミノ基等のアミノ基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、カルボン酸基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
前記一般式(1)中のR2は、前記に列挙した置換基及び水素原子から任意に選択できるが、合成容易性の点から炭素原子数1乃至4のアルキル基である場合が好ましい。特にR2の置換基がメチル基、tert−ブチル基である場合がより好ましい。
前記一般式(1)中のR3乃至R7におけるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
前記一般式(1)中のR3乃至R7におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。
前記一般式(1)中のR3乃至R7におけるアルコキシ基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基等の直鎖、分岐又は環状のアルコキシ基が挙げられる。
前記一般式(1)中のR3乃至R7における他の置換基として水素原子、トリフルオロメチル基、ニトロ基、アセチルアミノ基、ヒドロキシ基、スルファモイル基、COR8R9基が挙げられるが、R3乃至R7は少なくとも一つCOR8R9基を有する。
R8、R9におけるアルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基等の直鎖、分岐又は環状のアルキル基が挙げられる。
R8、R9におけるアリール基としては、特に限定されるものではないが、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、チエニル基等が挙げられる。
R8、R9におけるアラルキル基としては、特に限定されるものではないが、例えば、ベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
また、R8、R9は窒素原子とともに複素環を形成していても良い。R8及びR9が窒素原子とともに形成する複素環の具体例としては、ピペラジン環、ピペリジン環、ピロリジン環、モルホリン環等が挙げられる。
前記一般式(1)中のR3乃至R9はそれぞれ独立に、上記したような置換基を表すが、これらは更に置換されていてもよく、色素化合物の溶剤溶解性を著しく阻害するものでなければ特に制限されない。この場合置換しても良い置換基としては以下のものが挙げられる。メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基、フェニル基、ナフチル基、ピリジル基、トリアジニル基、ベンゾチアゾリル基等のアリール基、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基、フェノキシ基、ナフチルオキシ基等のアリールオキシ基、メチルアミノ基、エチルアミノ基、ジメチルアミノ基、N−エチル−N−フェニルアミノ基、ジフェニルアミノ基等のアミノ基、アセチル基、ベンゾイル基等のアシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、カルバモイル基、スルファモイル基、ニトロ基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子が挙げられる。
前記一般式(1)中のR3乃至R7は、それぞれ独立して前記に列挙した置換基から、任意に選択できるが、有機溶媒への溶解性が向上し、水への溶解性が低下するため、R3乃至R7におけるCOR8R9基のR8、R9がアルキル基、及びアラルキル基の場合が好ましく、R8、R9の合計炭素原子数が8以上である場合がより好ましい。
本発明の新規色素化合物の製造方法について以下に説明する。本発明の色素化合物の製造方法は、以下の工程を有する。即ち、下記一般式(3)で表されるヒドラジン誘導体と一般式(4)又は(5)で表されるニトリル類を反応させ、下記一般式(6)で表されるアミノピラゾール誘導体を得る環化工程と、下記一般式(7)で表されるアニリン誘導体をジアゾ化した後、環化工程で得られたアミノピラゾール誘導体(6)と反応させるカップリング工程を有する。
先ず、ヒドラジン誘導体(3)とニトリル類(4)又は(5)との環化工程を説明する。
本工程で用いるヒドラジン誘導体(3)は多種市販されており、容易に入手可能である。また、公知の方法(例えば、実験化学講座14.有機化合物の合成と反応[III]、1573−1584頁)により容易に合成することが出来る。ヒドラジン類(3)の具体的としては、特に限定されるものではないが、例えば、ヒドラジン、メチルヒドラジン、エチルヒドラジン、n−プロピルヒドラジン、イソプロピルヒドラジン、n−ブチルヒドラジン、イソブチルヒドラジン、sec−ブチルヒドラジン、tert−ブチルヒドラジン、シクロプロピルヒドラジン、シクロブチルヒドラジン、シクロペンチルヒドラジン、フェニルヒドラジン、フェネチルヒドラジン、ナフチルヒドラジン、ベンジルヒドラジン等が挙げられる。
本工程で用いるニトリル類(4)又は(5)に関しても同様に多種市販されており、容易に入手可能である。また、公知の方法[例えば、J.Am.Chem.Soc.,79巻,723−725頁(1957)参照]により容易に合成することが出来る。ニトリル類(4)、(5)の具体例としては特に限定されるものではないが、例えば、3−オキソブタンニトリル、3−オキソヘキサンニトリル、4−メチル−3−オキソペンタンニトリル、ピバロイルアセトニトリル、ベンゾイルアセトニトリル、4−クロロベンゾイルアセトニトリル、1−ナフトイルアセトニトリル、3−(2−フリル)−3−オキソプロパンニトリル、3−オキソ−3−(2−チエニル)プロピオニトリル、3−アミノクロトノニトリル等が挙げられる。
本工程により合成される、アミノピラゾール誘導体(6)は、公知の方法[例えば、J.Am.Chem.Soc.,81巻,2456−2464頁(1959)や、J.Heterocycl.Chem.,12巻,899−901頁(1975)参照]により容易に合成することが出来る。また、アミノピラゾール誘導体(6)は多種市販されており、容易に入手可能で、その使用は限定されない。
本工程は無溶媒で行うことも可能であるが、溶媒の存在下で行うことが好ましい。溶媒としては、反応を阻害しないものであれば特に制限されるものではないが、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール等のアルコール類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン等のアミド類、アセトニトリル、プロピオニトリル等のニトリル類、塩酸、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の酸類が挙げられる。また、前記溶媒は2種以上の溶媒を混合して用いることが出来、混合使用の際の混合比は任意に定めることが出来る。前記反応溶媒の使用量は、ニトリル類(4)又は(5)に対し、0.1乃至1000質量倍の範囲で用いられ、好ましくは0.5乃至100質量倍、より好ましくは1.0乃至20質量倍である。
本工程の反応温度は、−80℃乃至250℃の範囲で行われ、好ましくは−50℃乃至200℃、より好ましくは−20℃乃至150℃である。通常反応は24時間以内に完結する。
次に、ピラゾール誘導体(6)とアニリン誘導体(7)とのジアゾカップリングにより一般式(1)の色素化合物を得る工程を説明する。本工程は、公知のジアゾカップリング法によりおこなうことができる。例えば、下記に挙げるような方法でカップリングをおこなえばよい。先ず、塩酸中で、前記一般式(7)で表されるアニリン誘導体に亜硝酸ナトリウム水溶液を加えて、常法に従ってアニリン誘導体をジアゾ化する。そして、ジアゾ化した後、これを一般式(6)のピラゾール誘導体に加えて、カップリング反応をおこなう。更に、反応液を貧溶媒に排出する等して生成した化合物を濾別することで、前記一般式(1)で表される色素化合物を製造する。尚、カップリング反応はこの方法に限定されるものではない。
上記した反応によって得られる最終生成物は、通常の有機合成反応の後処理方法に従って処理した後、精製をおこなうことで目的の用途に用いる。得られた反応生成物は、核磁気共鳴分光分析[ECA−400、日本電子(株)製]、ESI−TOF MS(LC/MSD TOF、Agilent Technologies社製)、HPLC分析[LC−20A、(株)島津製作所製]により同定をおこなった。
上記の製造方法によって、一般式(1)で表される色素化合物を合成することが出来る。下記表1に、本発明の色素化合物の具体例を示すが、下記の例に限定されるものではない。尚、表1中の「Ph」は無置換のフェニル基、「Bn」は無置換のベンジル基、「Pr」はプロピル基、「Bu」はブチル基を表す。「*」は置換基の結合部位を表す。
次に本発明の顔料分散剤、及び顔料組成物について説明する。本発明の色素化合物は、顔料、特にアゾ顔料との親和性が高く、且つ分散媒への溶解性が高いことから、単独で又は2種以上を組み合わせて顔料分散剤として用いることが出来る。
本発明の顔料組成物は、塗料、インキ、トナー、樹脂成形品に用いられ、本発明にかかる色素化合物を顔料分散剤として少なくとも1種含有することを特徴とする。
本発明に使用し得る顔料としては、モノアゾ系顔料あるいはジスアゾ系顔料あるいはポリアゾ系顔料等が挙げられる。その中でも、好ましいものとしては、C.I.Pigment Yellow 74、C.I.Pigment Yellow 93、C.I.PigmentYellow 128、C.I.Pigment Yellow 155、C.I.Pigment Yellow 180が挙げられる。中でも下記式(2)で表されるC.I.Pigment Yellow 155は、本発明の一般式(1)で表される色素化合物による分散効果が高い事からより好ましい。上記顔料は単独で用いても良く、2種以上を混合しても良い。
これらは粗製顔料であっても良く、また、本発明の顔料分散剤の効果を著しく阻害するものでなければ調製された顔料組成物であっても良い。
本発明の顔料組成物における顔料と顔料分散剤との質量組成比は、100:0.5乃至100:10である場合が好ましい。更に好ましくは100:1乃至100:5である場合である。顔料分散剤の量が少な過ぎると目的とする分散効果が小さく、多過ぎると分散効果は得られるが顔料分散剤の色の寄与が大きくなり鮮明性が低下するなどの問題が生じてくる。
本発明の顔料組成物は湿式又は乾式にて製造が可能である。本発明の色素化合物が有機溶媒への高い溶解性を有していることを考えると簡便に均一な顔料組成物が製造出来る湿式による製造が好ましい。具体的には、例えば、以下のようにして得られる。分散媒中に顔料分散剤、及び必要に応じて樹脂を溶かし込み、撹拌しながら顔料粉末を除々に加え十分に分散媒になじませる。更にニーダー、ロールミル、ボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで顔料の粒子表面に顔料分散剤を吸着させ、顔料を安定に均一な微粒子状に微分散することが出来る。
本発明の顔料組成物に使用し得る樹脂としては顔料組成物の目的用途に応じて決められるものであり、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリレート共重合体、メタクリレート共重合体、ポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールが挙げられる。その他ポリウレタンやポリペプチドが挙げられる。また、これらの分散媒を2種以上混合して用いることが出来る。本発明の方法によって製造される顔料組成物は通例の方法を用いて、例えば、濾過、デカント若しくは遠心によって単離することが出来る。溶媒は洗浄によって除去することも出来る。
本発明の顔料組成物は製造時に更に助剤を添加しても良い。具体的には、例えば、表面活性剤、顔料および非顔料分散剤、充填剤、標準化剤(standardizers)、樹脂、ワックス、消泡剤、静電防止剤、防塵剤、増量剤、濃淡着色剤(shading colorants)、保存剤、乾燥抑制剤、レオロジー制御添加剤、湿潤剤、酸化防止剤、UV吸収剤、光安定化剤、若しくはこれらの組み合わせである。
また、本発明の顔料分散剤は粗製顔料製造の際に予め添加しておいても良い。
次に本発明の顔料分散体について説明する。
本発明の顔料分散体は、上記顔料組成物と有機溶媒からなる。上記顔料組成物を有機溶媒に分散させても良いし、上記顔料組成物の各構成成分を有機溶媒に分散させても良い。
本発明の顔料分散体は、例えば、以下のようにして得られる。分散媒中に、必要に応じて顔料分散剤及び樹脂を溶かし込み、撹拌しながら顔料又は顔料組成物粉末を除々に加え十分に分散媒になじませる。更にボールミル、ペイントシェーカー、ディゾルバー、アトライター、サンドミル、ハイスピードミル等の分散機により機械的剪断力を加えることで顔料の粒子表面に顔料分散剤を吸着させ、顔料を安定に均一な微粒子状に微分散することが出来る。
本発明の顔料分散体に使用し得る有機溶媒としては顔料分散体の目的用途に応じて決められるものであり、特に限定されない。具体的には、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール、シクロヘキサノール、メチルセロソルブ、セロソルブ、ジエチレングリコール等のアルコール類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル類、ヘキサン、オクタン、石油エーテル、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、スチレン等の炭化水素類、四塩化炭素、トリクロロエチレン、テトラブロムエタン等のハロゲン化炭化水素類、メチラール、ジエチルアセタール等のアセタール類、ギ酸、酢酸、プロピオン酸等の有機酸、又は、ニトロプロペン、ニトロベンゼン、ジメチルアミン、モノエタノールアミン、ピリジン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド等の硫黄・窒素含有有機化合物が挙げられる。
本発明の顔料分散体に使用し得る有機溶媒は重合性単量体であっても良い。具体的にはスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、p−フェニルスチレン、p−クロルスチレン、3,4ジクロルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、イソブチレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、ヨウ化ビニル、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニル、メタクリル酸ジメチルアミノエチル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸‐n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸‐n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸‐2‐エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニル、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル、ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトン、ビニルナフタリン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドを挙げることができる。
本発明の顔料分散体に使用し得る樹脂としては顔料組成物の目的用途に応じて決められるものであり、特に限定されない。具体的には、例えば、ポリスチレン、スチレン共重合体、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、アクリレート共重合体、メタクリレート共重合体、エポリエステル、ポリビニルエーテル、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラールが挙げられる。その他ポリウレタンやポリペプチドが挙げられる。また、これらの樹脂を2種以上混合して用いることが出来る。
本発明の顔料分散体は、例えば電子写真トナーの製造に用いることが出来る。トナー粒子の製造方法としては、従来使用されている方法は全て使用することが出来る。具体的には、粉砕法、懸濁重合法、乳化重合法などが挙げられる。
以上説明したようにして、本発明の色素化合物はアゾ顔料の分散剤としてとりわけ好適に用いられる。また、本発明の色素化合物は、顔料分散剤に使用されるだけでなく、インクジェットインクや感熱転写記録用シート用の着色剤、光記録用色素やカラーフィルター用色素といった電子材料にも適用することが出来る。
以下、実施例及び比較例を挙げて、本発明について更に詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。尚、文中「部」及び「%」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。
[実施例1]
下記のようにして、前記一般式(1)で表される色素化合物を得た。
下記のようにして、前記一般式(1)で表される色素化合物を得た。
<合成例1>
前記表1に記載の色素化合物(8)の製造。
前記表1に記載の色素化合物(8)の製造。
3−アミノクロトノニトリル(30)25gに1M塩酸250mLを加え、室温で撹拌した。これに、フェニルヒドラジン(29)33gを徐々に添加した後、還流下、4時間撹拌した。反応終了後、反応液を1M NaOH水溶液で中和し、析出した固体を濾別後、エタノールで再結晶することでアミノピラゾール誘導体(31)44.3gを得た(収率84%)。
アニリン誘導体(32)3gにメタノール30mL、濃塩酸2mLを加え氷冷下撹拌した。この溶液に、予め調製した亜硝酸ナトリウム0.6gを純水10mLに溶かした溶液を5℃以下を保持しながら滴下し、1時間撹拌した。この溶液にアミド硫酸0.1gを加え30分撹拌することでジアゾ化液とした。
一方、アミノピラゾール誘導体(31)1.4g、炭酸ナトリウム4.1gにメタノール50mLを加え氷冷下撹拌した。この溶液に液温5℃以下で先のジアゾ化液を滴下し、終夜撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、析出した沈殿をクロロホルムに溶解し、水洗した。有機層を乾燥後濃縮し、n−ヘプタンで再沈することで色素化合物(8)3.3gを得た(収率87%)。得られた色素化合物は、HPLCにより純度検定を実施した後、NMR分析、質量分析をおこなうことで構造決定をおこなった。以下に分析結果を示す。色素化合物(8)のNMR分析によるNMRスペクトルについては図1に示した。
[色素化合物(8)の分析結果]
[1]1H NMR(400MHz、CDCl3、室温)の結果:
δ[ppm]=7.80(d、1H)、7.54−7.48(m、4H)、7.44−7.35(m、2H)、7.32−7.25(m、2H)、6.35(s、2H)、3.99−3.96(m、1H)、3.21−3.05(m、1H)、2.99−2.87(m、2H)、2.55(s、3H)、1.81(brs、2H)、1.38−0.47(m、28H)
[2]ESI−TOF MSの結果:
m/z=545.412[M+H]+
[3]HPLCの結果:純度=96.8面積%、保持時間30.93分(0.1mM TFA溶液−MeOH)
[1]1H NMR(400MHz、CDCl3、室温)の結果:
δ[ppm]=7.80(d、1H)、7.54−7.48(m、4H)、7.44−7.35(m、2H)、7.32−7.25(m、2H)、6.35(s、2H)、3.99−3.96(m、1H)、3.21−3.05(m、1H)、2.99−2.87(m、2H)、2.55(s、3H)、1.81(brs、2H)、1.38−0.47(m、28H)
[2]ESI−TOF MSの結果:
m/z=545.412[M+H]+
[3]HPLCの結果:純度=96.8面積%、保持時間30.93分(0.1mM TFA溶液−MeOH)
<合成例2>
前記表1に記載の色素化合物(10)の製造。
前記表1に記載の色素化合物(10)の製造。
ピバロイルアセトニトリル(34)100gにエタノール300mLを加え室温で撹拌した。この懸濁液に、ヒドラジン一水和物(33)60gを徐々に滴下した。滴下終了後、溶液を昇温し、還流下6時間撹拌した。反応終了後、溶媒及び過剰のヒドラジンを減圧留去し、乾燥することでアミノピラゾール誘導体(35)110gを得た(収率99.8%)。
アニリン誘導体(36)6.8gにメタノール50mL、濃塩酸1.7mLを加え氷冷下撹拌した。この溶液に、予め調製した亜硝酸ナトリウム1.4gを純水10mLに溶かした溶液を5℃以下を保持しながら滴下し、1時間撹拌した。この溶液にアミド硫酸0.3gを加え30分撹拌することでジアゾ化液とした。
一方、アミノピラゾール誘導体(35)2.5g、炭酸ナトリウム9.5gにメタノール50mLを加え氷冷下撹拌した。この溶液に液温5℃以下で先のジアゾ化液を滴下し、終夜撹拌した。反応終了後、溶媒を減圧留去し、析出した沈殿をクロロホルムに溶解し、水洗した。有機層を乾燥後濃縮し、n−ヘプタンで再沈することで色素化合物(10)7.8gを得た(収率92%)。得られた色素化合物は、HPLCにより純度検定を実施した後、NMR分析、質量分析をおこなうことで構造決定をおこなった。以下に分析結果を示す。
[色素化合物(10)の分析結果]
[1]1H NMR(400MHz、CDCl3、室温)の結果:
δ[ppm]=7.71(d、2H)、7.43(d、2H)、5.75(s、2H)、3.55−3.37(m、2H)、3.23(d、2H)、1.88−1.73(m、1H)、1.52(s、9H)、1.51−1.05(m、17H)、0.97−0.88(m、6H)、0.84(t、3H)、0.71(t、3H)
[2]ESI−TOF MSの結果:
m/z=511.418[M+H]+
[3]HPLCの結果:純度=97.4面積%、保持時間30.87分(0.1mM TFA溶液−MeOH)
[1]1H NMR(400MHz、CDCl3、室温)の結果:
δ[ppm]=7.71(d、2H)、7.43(d、2H)、5.75(s、2H)、3.55−3.37(m、2H)、3.23(d、2H)、1.88−1.73(m、1H)、1.52(s、9H)、1.51−1.05(m、17H)、0.97−0.88(m、6H)、0.84(t、3H)、0.71(t、3H)
[2]ESI−TOF MSの結果:
m/z=511.418[M+H]+
[3]HPLCの結果:純度=97.4面積%、保持時間30.87分(0.1mM TFA溶液−MeOH)
<他の合成例>
上記した合成例1或いは2に準じた方法で、それぞれ表1に示したものとなるように合成して、新規色素化合物(9)、(11)乃至(28)を得た。これらの化合物の構造は、前記した色素化合物(8)及び(10)と同様にして、HPLCにより純度検定をおこない、質量分析、NMR分析により構造を確認した。
上記した合成例1或いは2に準じた方法で、それぞれ表1に示したものとなるように合成して、新規色素化合物(9)、(11)乃至(28)を得た。これらの化合物の構造は、前記した色素化合物(8)及び(10)と同様にして、HPLCにより純度検定をおこない、質量分析、NMR分析により構造を確認した。
[実施例2]
本発明で得た色素化合物を以下の方法で評価した。
本発明で得た色素化合物を以下の方法で評価した。
<色素化合物の溶解性評価>
温度25℃での色素化合物のスチレンモノマーへの溶解度を測定した。溶解性の評価を以下のように行った。
A:スチレンモノマーへの溶解度が1%以上
B:スチレンモノマーへの溶解度が0.1%以上、1%未満
C:スチレンモノマーへの溶解度が0.1%未満
温度25℃での色素化合物のスチレンモノマーへの溶解度を測定した。溶解性の評価を以下のように行った。
A:スチレンモノマーへの溶解度が1%以上
B:スチレンモノマーへの溶解度が0.1%以上、1%未満
C:スチレンモノマーへの溶解度が0.1%未満
スチレンモノマーへの溶解度が1%以上なら十分な溶解性であると判断した。
<色素化合物の水移行性評価>
温度25℃での色素化合物のスチレン溶液を水に接触させたときの水層の着色を目視にて評価した。水移行性の評価を以下のように行った。
A:水層が無色
B:水層が僅かに着色
C:水層が明らかに着色
温度25℃での色素化合物のスチレン溶液を水に接触させたときの水層の着色を目視にて評価した。水移行性の評価を以下のように行った。
A:水層が無色
B:水層が僅かに着色
C:水層が明らかに着色
水層の明らかな着色が見られなければ水移行性は実用上問題ないと判断した。
色素化合物の溶解性及び水移行性の評価結果を表2に示した。
[比較例1]
上記特許文献2に開示されている下記比較用色素化合物(29)について溶解性評価及び水移行性評価を実施例2と同じ方法で評価した。
上記特許文献2に開示されている下記比較用色素化合物(29)について溶解性評価及び水移行性評価を実施例2と同じ方法で評価した。
評価結果を表2に示した。
[比較例2]
市販されている分散剤、「Solsperse24000SC(登録商標)(Lubrizol社製)」を比較用顔料分散剤(30)として、溶解性評価及び水移行性評価を実施例2と同じ方法で評価した。評価結果を表2に示した。
市販されている分散剤、「Solsperse24000SC(登録商標)(Lubrizol社製)」を比較用顔料分散剤(30)として、溶解性評価及び水移行性評価を実施例2と同じ方法で評価した。評価結果を表2に示した。
[実施例3]
<顔料分散体の調製例1>
前記式(2)で表されるアゾ顔料18.0部、顔料分散剤として前記色素化合物(8)0.18部、スチレンモノマー180部、ガラスビーズ(φ1mm)130部を混合し、ペイントシェーカーで3時間分散させメッシュで濾し顔料分散体(A)を得た。
<顔料分散体の調製例1>
前記式(2)で表されるアゾ顔料18.0部、顔料分散剤として前記色素化合物(8)0.18部、スチレンモノマー180部、ガラスビーズ(φ1mm)130部を混合し、ペイントシェーカーで3時間分散させメッシュで濾し顔料分散体(A)を得た。
<顔料分散体の調製例2>
前記顔料分散体の調製例1において色素化合物(8)を、本発明の色素化合物(9)乃至(28)に変更した以外は同様の操作を行って、それぞれ顔料分散体(B)乃至(U)を得た。
前記顔料分散体の調製例1において色素化合物(8)を、本発明の色素化合物(9)乃至(28)に変更した以外は同様の操作を行って、それぞれ顔料分散体(B)乃至(U)を得た。
<顔料分散体の調製例3>
前記顔料分散体の調製例1において色素化合物(8)0.18部を、色素化合物(8)0.08部に変更した以外は同様の操作を行って、顔料分散体(V)を得た。
前記顔料分散体の調製例1において色素化合物(8)0.18部を、色素化合物(8)0.08部に変更した以外は同様の操作を行って、顔料分散体(V)を得た。
<顔料分散体の調製例4>
前記顔料分散体の調製例1において色素化合物(8)0.18部を、色素化合物(8)2部に変更した以外は同様の操作を行って、顔料分散体(W)を得た。
前記顔料分散体の調製例1において色素化合物(8)0.18部を、色素化合物(8)2部に変更した以外は同様の操作を行って、顔料分散体(W)を得た。
<比較用顔料分散体の調製例1>
前記実施例3の顔料分散体の調製例1において色素化合物(8)を加えない事以外は同様の操作を行って、比較用顔料分散体(X)を得た。
前記実施例3の顔料分散体の調製例1において色素化合物(8)を加えない事以外は同様の操作を行って、比較用顔料分散体(X)を得た。
<その他の比較用顔料分散体の調製例>
前記顔料分散体の調製例で使用した色素化合物(8)を、前記比較用色素化合物(29)及び比較用顔料分散剤(30)「Solsperse24000SC(登録商標)(Lubrizol社製)」に変更した以外は同様の操作を行って、それぞれ比較用顔料分散体(Y)及び(Z)を得た。
前記顔料分散体の調製例で使用した色素化合物(8)を、前記比較用色素化合物(29)及び比較用顔料分散剤(30)「Solsperse24000SC(登録商標)(Lubrizol社製)」に変更した以外は同様の操作を行って、それぞれ比較用顔料分散体(Y)及び(Z)を得た。
[実施例4]
<顔料分散体の色調評価>
顔料分散体をバーコート法(Bar No.10)によりアート紙に塗布し一昼夜風乾してSpectroLino(Gretag Machbeth社製)にて測色した。色調の評価を以下のように行った。
A:OD(Y)が1.6以上
B:OD(Y)が1.5以上、1.6未満
C:OD(Y)が1.5未満
<顔料分散体の色調評価>
顔料分散体をバーコート法(Bar No.10)によりアート紙に塗布し一昼夜風乾してSpectroLino(Gretag Machbeth社製)にて測色した。色調の評価を以下のように行った。
A:OD(Y)が1.6以上
B:OD(Y)が1.5以上、1.6未満
C:OD(Y)が1.5未満
OD(Y)の値が1.5以上であれば良好な色調であると判断した。
顔料分散体の色調の評価結果を表2に示した。
表2より、本発明の色素化合物は非極性有機溶媒への溶解性が高く、水移行性が低く、良好な色調のアゾ顔料分散体を与える事から、アゾ顔料分散剤用色素化合物として有用であることが確認された。
[実施例5]
<イエロートナー粒子の製造>
先ず、TK−ホモミキサー(PRIMIX社製)を具備した反応容器中にイオン交換水710部に0.1mol/l−Na3PO4水溶液450部を投入し60℃に加温した後、TK−ホモミキサーを12000回転/分にて撹拌した。これに1.0mol/l−CaCl2水溶液68部を添加し、Ca3(PO4)2を含むpH5.0のリン酸とカルシウムの化合物の水系媒体を得た。
<イエロートナー粒子の製造>
先ず、TK−ホモミキサー(PRIMIX社製)を具備した反応容器中にイオン交換水710部に0.1mol/l−Na3PO4水溶液450部を投入し60℃に加温した後、TK−ホモミキサーを12000回転/分にて撹拌した。これに1.0mol/l−CaCl2水溶液68部を添加し、Ca3(PO4)2を含むpH5.0のリン酸とカルシウムの化合物の水系媒体を得た。
一方、実施例3で得た顔料分散体(6)132部を、60℃に加温し30分間撹拌した。これに、重合開始剤である2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)8部を溶解し、重合性単量体組成物を調製した。
−処方−
(重合性単量体)
スチレン単量体 46部
n−ブチルアクリレート単量体 34部
(顔料分散体)
実施例3の顔料分散体(A) 132部
(荷電制御剤)
サリチル酸アルミニウム化合物(オリエント化学工業社製ボントロンE−88) 2部
(極性樹脂)
プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物[ガラス転移温度(Tg)=65℃、重量平均分子量(Mw)=10000、数平均分子量(Mn)=6000] 10部
(ワックス成分)
エステルワックス[DSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度=70℃、数平均分子量(Mn)=704] 25部
ジビニルベンゼン(純度55%) 0.5部
上記重合性単量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変え、内温を60℃で重合を5時間継続させた後、内温を80℃に昇温させ8時間重合を継続させた。重合反応終了後、80℃/減圧下で残存単量体を留去した後、30℃まで冷却し、重合体微粒子分散液を得た。
(重合性単量体)
スチレン単量体 46部
n−ブチルアクリレート単量体 34部
(顔料分散体)
実施例3の顔料分散体(A) 132部
(荷電制御剤)
サリチル酸アルミニウム化合物(オリエント化学工業社製ボントロンE−88) 2部
(極性樹脂)
プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAとイソフタル酸との重縮合物[ガラス転移温度(Tg)=65℃、重量平均分子量(Mw)=10000、数平均分子量(Mn)=6000] 10部
(ワックス成分)
エステルワックス[DSC測定における最大吸熱ピークのピーク温度=70℃、数平均分子量(Mn)=704] 25部
ジビニルベンゼン(純度55%) 0.5部
上記重合性単量体組成物を前記水系分散媒中に投入し、回転数を維持しつつ15分間造粒した。その後、高速撹拌機からプロペラ撹拌羽根に撹拌機を変え、内温を60℃で重合を5時間継続させた後、内温を80℃に昇温させ8時間重合を継続させた。重合反応終了後、80℃/減圧下で残存単量体を留去した後、30℃まで冷却し、重合体微粒子分散液を得た。
次に、重合体微粒子分散液を洗浄容器に移し、撹拌しながら、希塩酸を添加し、pH1.5で2時間撹拌し、Ca3(PO4)2を含むリン酸とカルシウムの化合物を溶解させた後に、濾過器で固液分離し、重合体微粒子を得た。これを水中に投入して撹拌し、再び分散液とした後に、濾過器で固液分離した。重合体微粒子の水への再分散と固液分離とを、Ca3(PO4)2を含むリン酸とカルシウムの化合物が十分に除去されるまで繰り返し行った。その後に、最終的に固液分離した重合体微粒子を、乾燥機で十分に乾燥してイエロートナーを得る事が出来た。このとき洗浄溶液に着色は見られなかった。
上記結果より、本発明の顔料分散体は、トナー用顔料分散体として好適であることが示唆された。
本発明の活用例としては、本発明の色素化合物は種々の用途に適用可能である。即ち、顔料分散剤としての用途にとどまらず、インクジェットインクや感熱転写記録用シート用の着色剤、光記録用色素やカラーフィルター用色素といった電子材料にも適用することが出来る。
Claims (10)
- 前記一般式(1)中のR1が、フェニル基であることを特徴とする請求項1に記載の色素化合物。
- 前記一般式(1)中のR2が、炭素原子数1乃至4のアルキル基であることを特徴とする請求項1又は2に記載の色素化合物。
- 前記一般式(1)中のR8とR9の合計炭素原子数が8以上であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の色素化合物。
- 請求項1乃至4のいずれか1項に記載の一般式(1)で表される色素化合物を少なくとも1種含有することを特徴とする顔料分散剤。
- 請求項5に記載の顔料分散剤と、該顔料分散剤により分散されたアゾ顔料を含有することを特徴とする顔料組成物。
- 該アゾ顔料と該顔料分散剤との質量組成比が100:0.5乃至100:10であることを特徴とする請求項6に記載の顔料組成物。
- 請求項6乃至8のいずれか1項に記載の顔料組成物と、有機溶媒とを含むことを特徴とする顔料分散体。
- 該有機溶媒がスチレンモノマーであることを特徴とする請求項9に記載の顔料分散体。
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