JP5447039B2 - 植物の圧縮方法 - Google Patents
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Description
即ち、単に収穫した植物をそのままベールに梱包しても、嵩高く、また水分含有率も多く、運搬に多くのエネルギーを要し、さらにその後の焼却処理の際の炉の燃焼温度が十分に上昇しないため、バグフィルターで重金属の効率的な回収ができない等の問題点があることから、圃場におけるオンサイトでの効率的な乾燥・減容化技術の開発が望まれる。
このように、ベールを運搬する場合に限らず、ベールを保管する場合においても、ベールの嵩高さは、保管場所の在庫能力を低下させる要因となる。
また、ベールの焼却処理に際して、水分含有率の多いベールでは在庫中の発酵発熱により自然発火の恐れがあり、また、処理においては多大な加熱エネルギーと時間を要する。
(II) 工程(I)で収穫した植物を、ベール成型装置によりベールに成型する工程
(III) 工程(II)で得られたベールを保存し乾燥させる工程
(IV) 工程(III)にて乾燥させたベールを圧縮成型機にて下記式で算出される圧縮率が70%以下となるように圧縮する工程
圧縮率=(Vx/V0)×100
(ただし、V0は圧縮前のベールの容積であり、Vxは圧縮後、圧縮加重を解除してから10分経過したときのベールの容積である。)
本発明により水分含有率を低減すると共に減容化された、重量及び容積の低減されたベールであれば、トラックの輸送能力や保管場所の在庫能力を大幅に向上させることができる。
(II) 工程(I)で収穫した植物を、ベール成型装置によりベールに成型する工程
(III) 工程(II)で得られたベールを保存し乾燥させる工程
(IV) 工程(III)にて乾燥させたベールを圧縮成型機にて下記式で算出される圧縮率が70%以下となるように圧縮する工程
圧縮率=(Vx/V0)×100
(ただし、V0は圧縮前のベールの容積であり、Vxは圧縮後、圧縮加重を解除してから10分経過したときのベールの容積である。)
本発明で用いられる植物は、特に限定されないが、具体的にはファイトレメディエーション用植物、バイオマス原料用植物、畜産飼料用植物等の農作物用植物であり、好ましくは、土壌中の有害物質や過剰塩類を植物体内に取り込む性質を有するファイトレメディエーション用植物である。中でも、土壌中の重金属、とりわけカドミウムを吸収、蓄積する植物が挙げられる。
その他、必要に応じて除草剤などを用いて植物を枯れさせて、乾燥した後に収穫してもよい。
ただし、ベール成型前に収穫した植物を過度に乾燥させることは好ましくなく、本発明においては、ある程度の水分を含む植物をベール成型後、乾燥を行って、ベールに成型された状態で水分を蒸発させて水分含有率を低減することが重要である。
従って、ベール成型前の天日乾燥は、植物の水分含有率が15〜85重量%程度と、ベール成型後に乾燥を行って更に水分を除去し得る程度に行うことが好ましい。
分別収穫する方法は、通常の手段を用いればよく、具体的には、コンバインなどの機械で分別収穫する方法が挙げられる。分別収穫することにより、穂発芽の防止、鳥や鼠等による被害を防止することができる。特に、子実部は、セルロースと比べて、バイオ燃料や基礎化学品原料への転換が容易であるので、別回収系とすることにより、有効利用を図ることができる。
収穫された植物は、ベール成型装置により成型してベールとする。
本発明でいうベールとは、ロールベール、又は、直方体状のコンパクトベール又はヘイベールなどを含む。
工程(II)で得られたベールは、乾燥して水分含有率を低減する。この乾燥は、ベールを保存し、保存中に行われる。
保存、乾燥方法は、特に制限はないが、好ましくは以下に挙げる方法が挙げられる。
この場合、用いる透湿防水シートは、透湿度が、通常100g/m2・24hr以上、好ましくは300g/m2・24hr以上、より好ましくは500g/m2・24hr以上であるものが好ましい。透湿防水シートの透湿度が低過ぎると、ベールを水分の多い状態で長期間置くことにより、シート内部で結露した水滴により、植物が腐ったり、子実が含まれている場合には発芽する場合もあり、好ましくない。透湿防水シートの透湿度の上限は特に制限はないが、水が気体分子ではなく、液体分子の状態で大量にシートを通過する状態は好ましくない。
なお、本発明において、透湿防水シートの透湿度とは、JIS Z0208(カップ法)法に基づく、40℃、90%RH時の測定値である。
本発明に係る多孔質布には、特段の制限はないが、例えばスプリットヤーンから作製された割布、不織布、織布又は網状物などであって、目付が10〜500g/m2程度のものが好適である。中でも、不織布や網状物が好ましい。
網状物を製造する方法としては、上記オレフィン系樹脂を縦糸又は横糸の一方又は両方もしくは縦糸又は横糸の一部に用いて編織するか、縦糸と横糸とを重ね合せて置き、その交点を熱融着する等の方法を用いることができる。
多孔質ポリオレフィンフィルムには、特段の制限はないが、(A)ポリオレフィン樹脂と(B)充填剤とを含む樹脂組成物を原料とするものが挙げられる。この樹脂組成物には光安定剤、紫外線吸収剤、可塑剤やラジカル発生剤を配合してもよい。
これらのポリオレフィン樹脂(A)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
有機充填剤としては、木粉、パルプ粉などのセルロース系粉末が挙げられる。
これらの充填剤(B)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
多孔質ポリオレフィンフィルムと多孔質布とを積層させるには、(i)接着剤を用いる方法、(ii)熱接着による方法、などによることができる。いずれの方法による場合であっても、多孔質ポリオレフィンフィルムと多孔質布とは、それぞれの接着面積が対向する面の5〜60%の範囲になるように接着するのが好ましい。この接着面積が5%未満であると、得られる積層体は接着部分が少ないため、使用の際に接着した部分が剥離し、接着面積が60%を超えると、接着面積が広すぎて積層体の通気性、透湿性、柔軟性が低下するので、いずれも好ましくない。
また、この乾燥工程における乾燥の程度は、乾燥前のベールの水分含有率と乾燥後のベールの水分含有率の差が20重量%以上、特に30重量%以上となるように行うことが、乾燥による後の圧縮工程(IV)でのベールの圧縮効率の向上と崩壊防止を図る上で好ましい。
工程(III)で乾燥させたベールは、圧縮成型機にて、下記式で算出される圧縮率(以下、「10分後圧縮率」と称す。)が通常70%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは35%以下に圧縮する。ベールの圧縮率の下限は特に制限はないが元のベールの20%以下の容量にまで圧縮するのは、通常、困難である場合が多い。
(ただし、V0は圧縮前のベールの容積であり、Vxは圧縮後、圧縮加重を解除してから10分経過したときのベールの容積である。)
この中でも、圃場でのロールベールの圧縮方法を一例に挙げると、ロールベーラに装備された成型室内のベール成型装置によりロールに圧縮成型されてトワイン又はネットにより外周側が巻き締め緊縛されて、成型室から放出されたロールベールを、図1(a)に示す如く、中心軸線方向が上下方向となるように立てた状態として支承台2上に載置し、そのロールベール1の軸線方向における上端面1Aに、昇降装置(図示せず)により昇降する加圧板3を当接し、昇降装置の作動により加圧板3を下降させて、ロールベール1を軸線方向に加圧圧縮し、それによりロールベール1が軸線方向に押し潰れて減容したところで、ワイヤー、ロープ又は金具などにより軸線方向に緊縛固定し、次いで、加圧板3の加圧を解放することによりロールベール1を減容する方法が好ましい。
圧縮加重度は、ロールの数や重量にも依存するが、圧縮するロール重量の合計が、100〜200kgのものであれば、通常15t以下、好ましくは、10t以下、より好ましくは7t以下である。この下限は特に定めないが、通常2t以上である。
また、加圧圧縮は複数回に分けて行うこともできる。
ロールの容積が圧縮前の容積の70%以下、好ましくは50%以下、より好ましくは35%以下になった際の圧縮加重度は、通常15トン以下、好ましくは10トン以下、より好ましくは7トン以下である。
このためには通常、加圧圧縮し、圧縮加重を解除した直後の状態で、圧縮前のベールの容積の通常65%以下、好ましくは45%以下、より好ましくは35%以下の容積となるように圧縮を行うことが好ましい。ベールの圧縮の下限は特に制限はないが元のベールの20%以下の容量にまで圧縮するのは、通常、困難である場合が多い。
圧縮、減容化されたベールは、軽トラックや中型、大型トラック等の運搬機等で運搬される。
運搬方法は、ユニックが付いたトラックを使用し、在庫ベールをユニックで吊り上げ、荷台に積載して運搬する方法、又は、フォークリフトを用いてトラックに積載して運搬する方法、又は、ベールグリッパを付けたトラクターにてベールを挟み、トラックに積載して運搬する方法などが挙げられる。
ファイトレメディエーション用植物の場合、カドミウム等の重金属を吸収した植物を上述の工程(I)〜(IV)により収穫、乾燥、減容化して、処分場に運搬し、焼却して、重金属の単体又は化合物を気化させた後、冷却して析出させ、析出したカドミウムを飛灰と共に集塵機(バグフィルター)で捕集して回収する。この場合の回収方法は、公知の技術を適用すればよい。
福岡県にて2007年6月〜10月までに栽培した稲を、コンバインにてモミとワラを分離して収穫後、ワラを圃場にて2日間天日乾燥後、ロールベーラで複数個のベールとして回収した。ベールの大きさは、直径1m、高さ1mの円柱形で、1個当たりの平均重量は204kg、水分含有率は45重量%であった。このベールを圃場に2週間置いた後、ビニールハウスの中に搬入し、木製パレット上で2008年9月11日まで304日間保存した。保存後のロールベールの水分含有率は12重量%、平均乾物梱包密度は120kg/m3であった。
ロールベールA:重量=122kg
容積=0.63m3
ロールベールB:重量=134kg
容積=0.62m3
実施例1と同様にして栽培した稲をコンバインにてモミとワラを分離して収穫後、天日乾燥後のものを、別の小型ロールベーラで複数個のベールとして回収した。ベールの大きさは、直径50cm、高さ65cmの円柱形で、1個当たりの平均重量は11kg、水分含有率は45重量%であった。このベールを圃場に2週間置いた後、ビニールハウスの中に搬入し、木製パレット上で2008年9月11日まで304日間保管した。保管後の、ロールベール中の水分含有率は12重量%、平均乾物梱包密度は47kg/m3であった。
福岡県にて2008年6月〜10月まで栽培した稲をコンバインにてモミとワラを分離して収穫後、ワラを圃場にて10日間天日乾燥後、ロールベーラで複数のベールとして回収した。ベールの大きさは、直径1m、高さ1mの円柱形で、1個当たりの重量は111kg、水分含有率は20重量%、平均乾物梱包密度は98.1kg/m3であった。
ロールベールa:重量=103kg
容積=0.74m3
ロールベールb:重量=118kg
容積=0.70m3
福岡県にて、2008年5月19日〜8月19日の期間に栽培したソルガムを、ビコン社製モアコンディショナ「TR−165SP」を用いて刈り倒しながら収穫し(収穫直後の水分含有率は77.6%)、圃場に5〜30cmに切断しながら放出し、6日間天日乾燥した後、タカキタ社製カッティングロールベーラにて回収し、ネット式にてロールベール化した。ロールベールの大きさは、平均ロール高が87cm、直径が98cmであった。この時点での水分含有率は52.2重量%、重量は203kg、平均乾物梱包密度は140.4kg/m3であった。
即ち、ロールベールは10分後圧縮率58%で圧縮され、容積0.38m3、重量98kgで取り扱い性に優れるものであった。
福岡県にて、2009年5月19日〜8月25日の期間に栽培したソルガムを、ビコン社製モアコンディショナ「CM190HT」を用いて刈り倒しながら収穫し(収穫直後の水分含有率は75.5%)、天日乾燥処理しないで直ちにタカキタ社製カッティングロールベーラにて回収し、ネット5周巻きにてロールベール化した。ロールベールの大きさは、平均ロール高が88cm、直径が86cmであった。この時点での水分含有率は75.5重量%、重量は176.3kg、平均乾物梱包密度は97.9kg/m3であった。
また、プレス機を解除して1分後のロールベールCの容積は圧縮前のロールベールの容積の48%であり、ロールベールDの容積は圧縮前のロールベール容積の43%、10分後においては、ロールベールCは圧縮前のロールベール容積の53%(10分後圧縮率53%)、ロールベールDは46%(10分後圧縮率46%)、2時間後においては、ロールベールCの容積は圧縮前のロールベール容積の57%、ロールベールDの容積は圧縮前のロールベール容積の52%、10日後においては、ロールベールCの容積は圧縮前のロールベール容積の57%、ロールベールDの容積は圧縮前のロールベール容積の55%であった。
2 支承台
3 加圧板
10 ロールベール
11 パレット
12 カゴ
13 透湿防水シート
14 ビニール紐
Claims (4)
- 植栽地で栽培された植物を収穫して乾燥及び圧縮する方法であって、以下の(I)〜(IV)の工程を少なくとも含むことを特徴とする植物の圧縮方法。
(I) 植栽地で栽培された植物を収穫する工程
(II) 工程(I)で収穫した植物を、ベール成型装置によりベールに成型する工程
(III) 工程(II)で得られたベールを保存し乾燥させる工程
(IV) 工程(III)にて乾燥させたベールを圧縮成型機にて下記式で算出される圧縮率が70%以下となるように圧縮する工程
圧縮率=(Vx/V0)×100
(ただし、V0は圧縮前のベールの容積であり、Vxは圧縮後、圧縮加重を解除してから10分経過したときのベールの容積である。) - 前記工程(III)において、前記ベールを、該ベールの上部を透湿度が100g/m2・24hr以上の透湿防水シートで覆った状態で保存して乾燥させることを特徴とする請求項1に記載の植物の圧縮方法。
- 前記工程(III)後のベール中の水分含有率が、ベール全重量に対して40重量%以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載の植物の圧縮方法。
- 植物が、土壌浄化(ファイトレメディエーション)用植物であることを特徴とする請求項1ないし3いずれか1項に記載の植物の圧縮方法。
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