以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
(第1の実施の形態)
図1は、本発明に係る画像形成装置の一実施の形態を示す図であり、画像形成装置を電子写真方式のプリンタ(以下、単にプリンタという)に適用した例を示している。なお、本実施の形態においては、一般的な静電作像方法を用いて画像を形成するフルカラーのプリンタについて説明するが、これに限らず、例えばモノクロ画像を形成する画像形成装置に適用してもよい。
まず、構成を説明する。
図1に示すように、画像形成装置としてのプリンタ1は、プロセスユニット2Y、2M、2C、2K(以下、単にプロセスユニット2ともいう)と、光書込ユニット3と、転写ユニット4と、給紙カセット5と、定着装置6と、を含んで構成されている。
プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kは、それぞれイエロー、マゼンタ、シアン、ブラック(以下、単にY、M、C、Kと記す)のトナー像を形成するためのプロセスユニットである。これら各プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kは、画像形成物質として、互いに異なる色のY、M、C、Kトナーを用いるが、それ以外の構成は同一であり、寿命到達時に交換される。
次いで、図2を参照して、プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kの詳細な構成について、Kトナー像を形成するためのプロセスユニット2Kを例に説明する。
図2に示すように、プロセスユニット2Kは、潜像担持体としてのドラム状の感光体10Kと、帯電装置11Kと、現像装置12Kと、ドラムクリーニング装置13Kと、図示しない除電装置と、を含んで構成されている。
画像形成ユニットとしてのプロセスユニット2Kは、プリンタ1の装置本体1aに脱着可能であり、消耗部品として一度に交換可能になっている。
感光体10Kは、図示しない駆動手段によって図中時計回りに回転させられるようになっており、その表面が帯電装置11Kにより一様に帯電させられるようになっている。そして、一様に帯電させられた感光体10Kの表面には、レーザー光Lによって露光走査されることにより、K用の静電潜像が担持されるようになっている。
帯電装置11Kは、感光体10Kの表面を一様に帯電させるようになっている。
現像装置12Kは、図示しないKトナーを収容するホッパ部14Kと、現像部15Kとを有している。ホッパ部14K内には、図示しない駆動手段によって回転駆動されるアジテータ16Kと攪拌パドル17Kおよびトナー供給ローラ18Kなどが配設されている。ホッパ部14K内のKトナーは、アジテータ16Kや攪拌パドル17Kの回転駆動によって攪拌されながら、自重によってトナー供給ローラ18Kに向けて移動するようになっている。
トナー供給ローラ18Kは、金属製の芯金と、これの表面に被服された発砲樹脂等からなるローラ部とを有しており、ホッパ部14K内のトナーをローラ部の表面に付着させながら回転するようになっている。
現像部15K内には、感光体10Kやトナー供給ローラ18Kに当接しながら回転する現像ローラ19Kや現像ローラ19Kの表面に先端を当接させる薄層化ブレード20Kなどが配設されている。ホッパ部14K内のトナー供給ローラ18Kに付着したKトナーは、現像ローラ19Kとトナー供給ローラ18Kとの当接部で現像ローラ19Kの表面に供給されるようになっている。このように供給されたKトナーは、現像ローラ19Kの回転に伴ってローラと薄層化ブレード20Kとの当接位置を通過する際に、ローラ表面上での層厚が規制されるようになっている。そして、層厚規制後のKトナーは、現像ローラ19Kと感光体10Kとの当接部である現像領域において、感光体10K表面の静電潜像に付着するようになっている。このような付着により、K用の静電潜像がKトナー像に現像されるようになっている。
そして、このようにK用の静電潜像は、現像装置5KによってKトナー像に現像された後、後述する中間転写ベルト21上に転写される。
ドラムクリーニング装置13Kは、中間転写ベルト21上に転写された後の感光体10K表面に残留している転写残トナーを除去するようになっている。
また、除電装置は、クリーニング後の感光体10Kの残留電荷を除電するようになっている。このような除電装置による除電により、感光体10Kの表面が初期化されて次の画像形成に備えられる。
その他の色のプロセスユニット2Y、2M、2Cにおいても、同様にして感光体10Y、10M、10C上にそれぞれY、M、Cトナー像が形成されて、後述する中間転写ベルト21上に重畳転写されるようになっている。
なお、図2を参照して、K用のプロセスユニットについて説明したが、Y、M、C用のプロセスユニット2Y、2M、2Cにおいても、同様のプロセスにより、感光体10Y、10M、10Cの表面にY、M、Cトナー像が形成される。
図1に示すように、潜像書込装置としての光書込ユニット3は、プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kの鉛直方向上方に配設され、画像情報に基づいてレーザーダイオードから発したレーザー光Lにより、プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kにおける感光体10Y、10M、10C、10Kを光走査するようになっている。このような光走査により、感光体10Y、10M、10C、10K上には、Y、M、C、K用の静電潜像が形成される。
なお、光書込ユニット3は、ポリゴンモータ3aによって回転駆動したポリゴンミラー3bによって光源から発したレーザー光Lを主走査方向に偏向させながら、複数の光学レンズやミラーを介して感光体に照射するものである。
転写手段としての転写ユニット4は、プロセスユニット2Y、2M、2C、2Kの鉛直方向下方に配設され、中間転写ベルト21と、駆動ローラ22と、従動ローラ23と、4つの1次転写ローラ24Y、24M、24C、24Kと、2次転写ローラ25と、ベルトクリーニング装置26と、クリーニングバックアップローラ27と、残トナー回収装置28とを含んで構成されている。
中間転写ベルト21は、そのループ内側に配設された駆動ローラ22、従動ローラ23、クリーニングバックアップローラ27および4つの1次転写ローラ24Y、24M、24C、24Kによって張架されている。この中間転写ベルト21は、駆動ローラ22が図示しない駆動手段によって図中反時計回り方向に回転駆動されることにより、同方向に無端移動するようになっている。
4つの1次転写ローラ24Y、24M、24C、24Kは、感光体10Y、10M、10C、10Kとの間に、無端移動する中間転写ベルト21を挟み込んでいる。このような挟み込みにより、中間転写ベルト21の表面と感光体10Y、10M、10C、10Kとが当接するY、M、C、K用の1次転写ニップが形成される。
また、1次転写ローラ24Y、24M、24C、24Kには図示しない転写バイアス電源によってそれぞれ1次転写バイアスが印加されるようになっており、この1次転写バイアスの印加により、感光体10Y、10M、10C、10Kの静電潜像と1次転写ローラ24Y、24M、24C、24Kとの間に転写電界が形成される。
なお、1次転写ローラ24Y、24M、24C、24Kに代えて、転写チャージャや転写ブラシ等を採用してもよい。
ここで、感光体10Kの表面に形成されたKトナーは、感光体10Kの回転に伴い上述のK用の1次転写ニップに進入すると、転写電界やニップ圧の作用により、感光体10K上から転写ベルト21上に1次転写される。
また、このようなKトナー像が1次転写された中間転写ベルト21は、その無端移動に伴いC、M、Y用の1次転写ニップを通過する。このとき、感光体10Y、10M、10C上のY、M、Cトナー像が、Kトナー像上に順次重畳転写される。したがって、この重ね合わせの1次転写により、中間転写ベルト21上には、4色トナー像が形成される。
2次転写ローラ25は、中間転写ベルト21のループ外側に配設され、ループ内側の駆動ローラ22との間に中間転写ベルト21を挟み込むようになっている。このような挟み込みにより、中間転写ベルト21の表面と2次転写ローラ25とが当接する2次転写ニップが形成される。
また、2次転写ローラ25には、図示しない転写バイアス電源によって2次転写バイアスが印加されるようになっており、この2次転写バイアスの印加により、2次転写ローラ25と駆動ローラ22との間には、2次転写電界が形成される。
給紙カセット5は、転写ユニット4の鉛直方向下方に配設され、記録紙Pを複数枚重ねた紙束の状態で収容するようになっている。また、給紙カセット5は、プリンタ1の筐体に対してスライド着脱可能に構成されている。
この給紙カセット5に収容された紙束の最上位の記録紙Pには、給紙ローラ5aが当接しており、給紙ローラ5aは、所定のタイミングで図中反時計回りに回転することにより、記録紙Pを給紙路30に向けて送出するようになっている。
給紙路30の下流末端付近には、レジストローラ対31が配設されており、このレジストローラ対31は、給紙カセット5から送出された記録紙Pをローラ間に挟み込むとすぐにローラの回転を停止させるようになっている。そしてレジストローラ対31は、上述の2次転写ニップ内で中間転写ベルト21上の4色トナー像に同期させ得るタイミングで回転運動を再開することにより、挟み込んだ記録紙Pを2次転写ニップに向けて送出するようになっている。
ここで、2次転写ニップで記録紙Pに密着させられた中間転写ベルト21上の4色トナー像は、2次転写電界やニップ圧の影響を受けて記録紙P上に一括2次転写され、記録紙P上にフルカラートナー像として画像形成される。このようにフルカラートナー像が表面に形成された記録紙Pは、2次転写ニップを通過すると、2次転写ローラ25や中間転写ベルト21から曲率分離し、転写後搬送路32を経由して、定着装置6に搬送される。
ところで、2次転写ニップを通過した後の中間転写ベルト21には、記録紙Pに転写されなかった転写残トナーが付着している。このような転写残トナーは、中間転写ベルト21の表面に当接するベルトクリーニング装置26によって、ベルト表面からクリーニングされる。
クリーニングバックアップローラ27は、中間転写ベルト21のループ内側に配設され、ベルトクリーニング装置26によるベルトのクリーニングをループ内側からバックアップするようになっている。
また、残トナー回収装置28は、ベルトクリーニング装置26によって中間転写ベルト21の表面よりクリーニングされた残トナーを回収するようになっている。
定着装置6は、図示しないハロゲンランプ等の発熱源を内包する定着ローラ6aと、この定着ローラ6aに所定の圧力で当接しながら回転する加圧ローラ6bとを含んで構成されており、定着ローラ6aと加圧ローラ6bとにより定着ニップを形成するようになっている。
ここで、定着装置6内に搬送された記録紙Pは、その未定着トナー像担持面を定着ローラ6aに密着させるようにして、定着ニップに挟まれる。そして、加熱や加圧の影響によってトナー像中のトナーが軟化せしめられて、フルカラー画像が定着される。
また、定着装置6の上方には、排紙ローラ対34が配設されており、この排紙ローラ対34は、定着装置6から排出され、定着後搬送路33を経由して搬送される記録紙Pを、後述する上カバー40の上面であるスタック部に排出するようになっている。したがって、排紙ローラ対34により排出された記録紙Pは、上カバー40の上面であるスタック部にスタックされる。
また、本実施の形態に係るプリンタ1にあっては、装置本体1aに対して上カバー40が開閉可能に取り付けられている。すなわち、上カバー40は、回転軸41を支点に回動自在に支持されており、図中矢印で示すように、図中反時計回り方向に回動することにより、本体に対して開いた状態(以下、単に開状態という)とすることができる。さらに、この上カバー40には、上述の光書込ユニット3が保持されるようになっており、光書込ユニット3は、上カバー40とともに本体に対して回動するようになっている。
したがって、上カバー40が装置本体1aに対して開状態とされた際には、プリンタ1の上部開口を外部に向けて大きく露出するようになっている。これにより、4つのプロセスユニット2Y、2M、2C、2Kは、それぞれ、その上部開口より図中矢印方向へ容易に着脱することができる。なお、本実施の形態に係る上カバー40は、後述する前カバーフレーム60および後カバーフレーム61とともに、本発明に係る開閉部材を構成している。
次いで、プリンタ1の内部構成について、図3、図4を参照して説明する。
なお、以下の説明においては、プリンタ1において、図1中、右側を右側面、左側を左側面、図示面と直交する方向の手前側を前面、奥側を後面として定義して説明を行うが、これら前後左右の定義は、説明の便宜上、定義付けしたに過ぎず、これに拘束されるものではない。
図3に示すように、プリンタ1の装置本体1aの内部には、各種装置を支持するための本体フレームが立設されており、この本体フレームは、前側板50、後側板51、回転軸41、図示しない左側板および梁板などから構成されている。この本体フレームは、装置本体1aの一部を構成している。なお、図3においては、後述するブレーキユニット70について、図示を省略している。
前側板50は、プリンタ1の本体内部における前面側に配設されており、後側板51は、プリンタ1の本体内部における後面側に配設されている。これら前側板50と後側板51とは、所定の距離をおいて対向しながら直立するように、回転軸41および図示しない左側板、梁板などによって連結されている。
また、互いに対向する前側板50と後側板51との間には、図示しない転写ユニットと、4つのプロセスユニット2Y、2M、2C、2Kと、光書込ユニット3とが配設されている。
なお、図3においては、4つのプロセスユニット2Y、2M、2C、2Kのうち、最も右側にあるK用のプロセスユニット2Kだけが図示されており、その他の色のプロセスユニット2Y、2M、2Cは、光書込ユニット3の直下に位置しているため、図示が省略されている。また、図3においては、図示していないが、感光体10Y、10M、10C、10Kは、その一端が前側板50、他端が後側板51に回転自在に支持されている。
さらに、光書込ユニット3と前側板50との間には、前カバーフレーム60が配設され、また光書込ユニット3と後側板51との間には、後カバーフレーム61が配設されている。これら前カバーフレーム60および後カバーフレーム61(以下、単にカバーフレーム60、61という)は、いずれも長手方向の一端(図中、奥側に位置する端)側で回転軸41に回転自在に支持されている。一方、カバーフレーム60、61は、長手方向の他端側でステーなどの連結部材63を介して互いに連結されている。
なお、このカバーフレーム60、61は、いずれも上カバー40(図1参照)の一部を構成しており、上カバー40に締結あるいは固定されている。また、本実施の形態においては、カバーフレーム60、61を上カバー40に締結あるいは固定するよう構成したが、これに限らず、上カバー40と一体成形されたものであってもよい。
また、前カバーフレーム60に対向する光書込ユニット3の前側面および後カバーフレーム61に対向する光書込ユニット3の後側面には、それぞれ前側位置決め軸3a、後側位置決め軸3bが突設されている。
一方、カバーフレーム60、61には、それぞれ前側開口部60a、後側開口部61aが形成されており、これら前側開口部60aおよび後側開口部61a(以下、単に開口部60a、61aという)には、前側位置決め軸3aおよび後側位置決め軸3b(以下、単に位置決め軸3a、3bという)がそれぞれ所定のがたつきを持って貫通されるようになっている。
他方、前側板50および後側板51には、それぞれ前側位置決め溝50a、後位置決め溝51aが形成されており、これら前側位置決め溝50aおよび後位置決め溝51a(以下、単に位置決め溝50a、51aという)は、開口部60a、61aを貫通した位置決め軸3a、3bを位置決めして支持するようになっている。
また、前カバーフレーム60と前側位置決め軸3aとの間、および後カバーフレーム61と後側位置決め軸3bとの間には、それぞれ前側付勢バネ65、後側付勢バネ66が配設されている。この前側付勢バネ65および後側付勢バネ66(以下、単に付勢バネ65、66という)は、それぞれ光書込ユニット3を所定の方向へ付勢するようになっている。
ここで、付勢バネ65、66による付勢方向における位置決め溝50a、51aと位置決め軸3a、3bとのがたつき量は、開口部60a、61aと位置決め軸3a、3bとのがたつき量よりも小さく設定されている。
これにより、光書込ユニット3の動作位置である図示の状態(本体に対して閉じた状態)では、位置決め軸3a、3bが、付勢バネ65、66によりそれぞれ位置決め溝50a、51aの所定位置に付勢されて位置決めされるようになっている。
一方で、光書込ユニット3が回転軸41を支点に回動し、プリンタ1の本体に対して開放した状態(光書込ユニット3の待避位置)では、位置決め軸3a、3bは、それぞれ付勢バネ65、66により開口部60a、61aに押付け付勢されるようになっている。
したがって、光書込ユニット3は、動作位置および待避位置のいずれの位置においても、がたつきが抑制された状態で支持される。
また、光書込ユニット3の左側面には、左側位置決め突起68が配設されており、この左側位置決め突起68は、回転軸41に係合するようになっている。これにより、光書込ユニット3は、位置決め軸3a、3bおよび左側位置決め突起68の3点支持でカバーフレーム60、61に対して位置決めされる。
具体的には、図4に示すように、左側位置決め突起68は、光書込ユニット3の動作位置において、光書込ユニット3の自重により回転軸41に対し鉛直方向下側への力を受け、回転軸41上で支持される。
また、光書込ユニット3には、保持バネ69が設置されており、この保持バネ69は、左側位置決め突起68との間に回転軸41を挟み込むようになっている。したがって、光書込ユニット3の開放時におけるがたつきが防止される。
なお、保持バネ69は、光書込ユニット3の開放時におけるがたつきを防止する目的で設けられたものであるため、回転軸41を比較的小さな付勢力で左側位置決め突起68側に付勢するものであり、光書込ユニット3の動作位置において回転軸41に接触していなくともよい。
ところで、このような構成のプリンタ1において、4つのプロセスユニット2Y、2M、2C、2Kを着脱する際には、ユーザの操作により、上カバー40および光書込ユニット3をプリンタ1の本体に対して開状態とし、着脱操作を行う必要がある。一方、各プロセスユニットの着脱操作を行った後には、上カバー40および光書込ユニット3を、プリンタ1の本体に対して閉状態とするユーザ操作が必要となる。
このとき、ユーザによる上カバー40および光書込ユニット3の開閉動作が勢い良く乱暴に行われた場合、その開閉動作によって、位置決め軸3a、3bが位置決め溝50a、51aに衝突する事態が生じることがある。また、この衝突により、上カバー40および光書込ユニット3に対して過大な動作衝撃が作用し、歪み変形による画像の乱れを引起し、さらには機器破損に至る場合がある。
そのため、上カバー40および光書込ユニット3の開閉動作部にブレーキやダンパを設置することによって動作衝撃を緩和する必要があるが、ブレーキやダンパそのものの動作負荷によってユーザの操作力そのものが増大し、操作利便性が低下することになる。
したがって、ユーザの操作力が小さく、上カバー40および光書込ユニット3の開閉が、ゆっくりと行われる場合には、ブレーキあるいはダンパによる作用は小さく、反対に、ユーザの操作力が大きく、上カバー40および光書込ユニット3の開閉が、勢い良く行われる場合には、ブレーキあるいはダンパによる作用が大きくなるような構成にすることが望ましい。
本実施の形態においては、上述のような衝撃緩和と操作利便性の向上という相反する課題に対処するため、以下のような構成のブレーキユニット70を設けた。
なお、本実施の形態において、プリンタ1の本体に対して開状態にあるときの上カバー40の動作位置が開位置であり、プリンタ1の本体に対して閉状態にあるときの上カバー40の動作位置が閉位置である。
以下、図5〜図8を参照して、本発明に係る画像形成装置としてのプリンタ1の特徴的な構成について説明する。
なお、図5においては、説明の便宜上、カバーフレーム60、61における開口部60a、61aや付勢バネ65、66等の図示を省略している。
図5に示すように、プリンタ1は、可変負荷発生手段としてのブレーキユニット70を備えている。このブレーキユニット70は、前カバーフレーム60の長手方向の一端側、すなわち前カバーフレーム60の回動支点とされる前カバーフレーム60と前側板50との連結位置に設けられている。
また、ブレーキユニット70は、ユーザによる上カバー40の開閉動作に応じて所望の負荷としてのブレーキ力を発生させるようになっている。このブレーキ力は、上カバー40の開閉動作に伴う上カバー40の回動に対する負荷である。また、所望のブレーキ力は、例えば、ユーザによる上カバー40の閉動作に対する操作力(図中、矢印F1で示す)が小さいとき、上カバー40の回動に対して小さなブレーキ力とされ、かつユーザによる上カバー40の閉動作に対する操作力F1が大きいとき、上カバー40の回動に対して大きなブレーキ力とされる。
なお、本実施の形態においては、ブレーキユニット70を前カバーフレーム60側にのみ設ける構成としたが、これに限らず、後カバーフレーム61側に設けてもよいし、前カバーフレーム60および後カバーフレーム61の双方に設けるようにしてもよい。
次に、ブレーキユニット70の詳細について、説明する。
図6〜図8に示すように、ブレーキユニット70は、動力変換ユニット71と、摩擦負荷部材72と、付勢バネ73と、カラー74と、ボールベアリング75とを含んで構成されている。ここで、図7は、図6中、矢印Vで示す方向から見た図であり、図8は、図6中、矢印Qで示す方向から見たブレーキユニット70の一部断面図である。なお、本実施の形態においては、動力変換ユニット71が本発明における動力変換手段を構成し、摩擦負荷部材72が摩擦負荷手段を構成している。また、付勢バネ73が付勢部材を構成し、カラー74が中継部材を構成するとともに、ボールベアリング75が軸受を構成している。
動力変換ユニット71は、回転体としてのブレーキギヤ80と、回転動力発生部材としてのラック部81とを含んで構成されている。
図7に示すように、ブレーキギヤ80は、はすば歯車で構成されており、このはすば歯車のねじれ角度は、θ1に設定されている。このねじれ角度θ1は、回転軸80aの軸方向に対するはすば歯車の径方向へのねじれ角度、すなわちブレーキギヤ80の回転動力F2が作用する方向から見て前カバーフレーム60の方向へのねじれ角度である。
したがって、ブレーキギヤ80には、ねじれ角度θ1を有するはすば歯車で構成されているため、後述するラック部81の噛合部81aとの噛み合いによりスラスト力F4が発生するようになっている。
また、ブレーキギヤ80は、前カバーフレーム60の長手方向の一端側に、回転軸80aを介して取り付けられており、前カバーフレーム60の開閉動作に応じて前カバーフレーム60とともに回動するようになっている。また、ブレーキギヤ80は、回転軸80aに対して回転自在、かつ軸方向移動可能に支持されている。また、ブレーキギヤ80は、回転軸80aの先端に取り付けられたストッパ77により抜け止めされている。
さらに、摩擦負荷部材72に対向するブレーキギヤ80の一方側面には、円環状に形成されたギヤ側ブレーキ部80bが設けられている。なお、このギヤ側ブレーキ部80bが設けられたブレーキギヤ80の一方側面は、摩擦負荷部材72側に向けて突出して形成された凸部の側面に相当する。また、この凸部は、略円筒状に形成されている。
ラック部81は、前側板50に設けられ、はすば歯車で構成されたブレーキギヤ80に噛み合うはすば形状の噛合部81aを有している。
したがって、ブレーキギヤ80は、前カバーフレーム60とともに回動する際に、ラック部81の噛合部81aとの噛み合いにより回転するようになっている。また、このときブレーキギヤ80は、ラック部81の噛合部81aとの噛み合いにより発生する軸方向のスラスト力F4(図7、図8参照)によって回転軸80aの軸方向の一方に移動するようになっている。
一方で、ラック部81は、前カバーフレーム60の開閉動作に応じて、ブレーキギヤ80に回転動力を発生させる。
このように構成された動力変換ユニット71は、前カバーフレーム60の開閉動作に応じてブレーキギヤ80を回転させるとともに、その回転動力に応じてブレーキギヤ80を軸方向に移動させるものである。
摩擦負荷部材72は、略円筒状に形成されるとともに、ブレーキギヤ80と対向する位置で、ブレーキギヤ80側に向けて突出するよう前カバーフレーム60と一体に形成され、あるいは固定されている。そして、この摩擦負荷部材72のブレーキギヤ80に対向する対向面には、ギヤ側ブレーキ部80bに摩擦接触可能な円環状のフレーム側ブレーキ部72aが形成されている。
ここで、ギヤ側ブレーキ部80bおよびフレーム側ブレーキ部72aは、それぞれブレーキギヤ80、前カバーフレーム60そのもので代用させてもよいが、ブレーキギヤ80は駆動力を受け回転動作するものであるため、摺動性の高いポリアセタールやポリカーボネイト等の合成樹脂材料が一般的に使用される。一方、前カバーフレーム60は、光書込ユニット3を保持するために、そのものの剛性を保ちつつ、かつ自身を軽量化するために、ポリスチレン系などの合成樹脂材料が一般的に使用される。このため、ブレーキギヤ80と前カバーフレーム60との接触による摩擦係数は、材料物性において大きくなり難い。それぞれの接触面の表面を粗面化する等により、摩擦係数を上げることも有効ではあるが、表面状態の耐久性や、所望の摩擦力を安定して得るために、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72a、ブレーキギヤ80あるいは前カバーフレーム60自体が有する摩擦係数よりも大きな摩擦係数を有する高摩擦材料によって形成し、この高摩擦材料をブレーキギヤ80、前カバーフレーム60のそれぞれに固定するようにした。
なお、摩擦係数の大きい高摩擦材料として、一般的にブレーキシューで用いられる焼結合金金属や、金属あるいは黒鉛を混合した合成樹脂材料を用いてもよいが、EPDM等の合成ゴム材料や、フェルト材料を貼り付けたりする構成のものであってもよい。また、上述のような高摩擦材料をブレーキギヤ80や前カバーフレーム60へコーティングすれば、より安価にギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとを形成することができる。これにより、安定して高い摩擦負荷を発生させることができる。
また、ブレーキギヤ80および摩擦負荷部材72とは別部材の摩擦部材により摩擦抵抗力を発生させるようにしたので、所望の摩擦係数を有する部材を摩擦部材として選択することによって所望の摩擦抵抗力を発生させることができる。
なお、本実施の形態においては、高摩擦材料によって形成された上述のギヤ側ブレーキ部80bおよびフレーム側ブレーキ部72aが、摩擦部材を構成している。
本実施の形態においては、スペースを有効に活用し、プリンタ1本体の小型化を図る一例として、ブレーキギヤ80および摩擦負荷部材72を前カバーフレーム60側に設け、ラック部81を前側板50側に設けたが、本発明における作用としては、上カバー40および光書込ユニット3の開閉動作によりブレーキギヤ80が駆動力を受け回転すればよいので、ブレーキギヤ80および摩擦負荷部材72を前側板50側に設け、ラック部81を前カバーフレーム60側に設けるように構成してもよい。また、これらブレーキギヤ80、ラック部81および摩擦負荷部材72を、光書込ユニット3を有する前カバーフレーム60側と前側板50を有するプリンタ1本体側へそれぞれ設置し、上カバー40および光書込ユニット3の開閉動作に応じてそれぞれが噛合うように設置してあればよい。
ところで、図8に示すように、本実施の形態においては、ブレーキギヤ80および摩擦負荷部材72には、それぞれ互いに対向する対向面(ギヤ側ブレーキ部80b、フレーム側ブレーキ部72aが形成された面)側が開口された凹部80c、72cが形成されている。この凹部80cと凹部72cとにより、収容室70aが画成されている。収容室70aには、付勢バネ73、カラー74およびボールベアリング75が収容されるようになっている。さらに、この収容室70aは、ブレーキギヤ80の凸部および摩擦負荷部材72の形状に合わせて、円筒状に形成されている。なお、収容室70aは、円筒状に限らず、他の形状であってもよい。
付勢バネ73は、例えば円筒形状の圧縮コイルバネで構成され、収容室70aに収容されるようになっている。このように、円筒形状の圧縮コイルバネを用いることで、円筒形状の収容室70a内に、付勢バネ73を設置することが容易となり、ブレーキユニット70を小型に構成することができる。
この付勢バネ73は、ブレーキギヤ80と噛合部81aとの噛み合いにより発生するスラスト力F4に対向する方向に付勢力F5を発生させるものである。なお、付勢力F5は、ブレーキ力を発生させ始める操作力F1により発生するスラスト力F4よりも、小さくなるように設定している。
ここで、ユーザによる上カバー40および光書込ユニット3の閉動作に対する操作力F1が大きくなると、これに従いブレーキ力が増し、ユーザへの必要操作力が大きくなるとともに緩衝能力が増していくことになる。ユーザの利便性を増すためには、ユーザ操作力が大きく、ブレーキ力が大きい状態から、ユーザが操作力F1を弱めた際に、速やかにブレーキ力が減少し、光書込ユニット3の閉止動作を軽くすることが望ましい。
そこで、本実施の形態においては、上述のような構成の付勢バネ73を設けてユーザの利便性を向上させるようにした。
なお、付勢バネ73は、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aを引き離す方向に付勢力を作用するよう構成すればよく、圧縮コイルバネに限らず、例えば板バネを用いたり、ストッパ77側へ引張りバネなどの張力付与手段を用いても同様な効果を得ることができる。
上述のように、付勢バネ73は、ブレーキギヤ80と前カバーフレーム60との間、すなわち収容室70a内に収容されて、付勢力を発生させている。このとき、ブレーキギヤ80は回転軸80aを中心に回転し、前カバーフレーム60は静止している。付勢バネ73を直接ブレーキギヤ80と当接させた場合は、付勢バネ73とブレーキギヤ80との間で摩擦力が発生するため、付勢バネ73には回転軸80aを中心としてねじれ力が発生するとともに、ブレーキギヤ80そのものの回転負荷が発生しやすくなり、ブレーキユニット70による効果を損失させる要因となりやすい。このため、本実施の形態においては、上述のねじれ力による付勢バネ73のバネ特性変動や、付勢バネ73とブレーキギヤ80と間の摩擦力を軽減するため、中継部材としてのカラー74を設置する構成とした。
カラー74は、略円筒形状に形成されているとともに回転軸80aに軸方向移動可能に取り付けられ、かつブレーキギヤ80を相対回転可能に支持するようになっている。
また、カラー74は、その外周面に径方向外方に突出するフランジ部が形成され、このフランジ部に付勢バネ73の一端が当接するようになっている。これにより、付勢バネ73は、カラー74を介してブレーキギヤ80をスラスト力F4に対向する方向に付勢する構成となっている。
したがって、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとが離隔した状態におけるブレーキギヤ80への回転負荷は、ブレーキギヤ80とカラー74との間の摺動負荷のみとなり、カラー74と付勢バネ73との間で発生する力は、略回転軸80a方向のみとすることができる。これにより、ギヤ回転力F3(図7参照)は、略ブレーキギヤ80の回転力のみ、スラスト力F4は、回転軸80a方向のスラスト力のみに作用させることができ、効率的にギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとの接触面に作用を集中することができる。
また、ブレーキユニット70による効果を高く保つためには、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72との摩擦力を効果的に発生させることが重要であり、ブレーキギヤ80とカラー74との回転負荷を小さくし、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとの摩擦負荷を大きくすることが望ましい。
そこで、本実施の形態においては、ブレーキギヤ80とカラー74との間には玉軸受としてのボールベアリング75を設置する構成とした。
ボールベアリング75としては、内輪部材と外輪部材とボールとを含んで構成され、これら内輪部材および外輪部材との間に転動体として複数のボールを図示しない保持器により保持する構成の一般的なボールベアリングを用いるのが好ましい。
ボールベアリング75は、内輪部材がカラー74に連結され、外輪部材がブレーキギヤ80の内方に形成された凹部80cの内壁に連結されている。したがって、ボールベアリング75は、カラー74に対してブレーキギヤ80を回転自在に支持するようになっている。これにより、ブレーキギヤ80とカラー74との摩擦による回転負荷損失がさらに抑制される。
なお、本実施の形態においては、ブレーキユニット70が、付勢バネ73とカラー74とボールベアリング75とを含む構成としたが、これに限らず、これらブレーキユニット70、カラー74およびボールベアリング75を省略した構成としてもよい。
次いで、図5〜図8を参照して、プリンタ1における上カバー40の開閉動作に伴うブレーキユニット70の作用について説明する。
なお、図5においては、上カバー40の図示が省略されている。このため、以下の説明においては、上カバー40の開閉動作について上カバー40の一部を構成するカバーフレーム60、61の開閉動作として説明を行う。
まず、図5、図6に示すように、光書込ユニット3を保持したカバーフレーム60、61に、ユーザによりこれらを閉じようとする操作力F1が作用したとき、その閉動作により、ブレーキギヤ80は、ラック部81より駆動力F2を受け、R方向へ回転する。操作力F1が大きくなると、それを受けた駆動力F2が大きくなり、ブレーキギヤ80の回転速度が増加するとともに、カバーフレーム60、61の閉止速度が加速する。
次いで、図7に示すように、ブレーキギヤ80がはすば歯車で構成されているため、ラック部81から受ける駆動力F2は、はすば歯車の噛合いを通じて、自らが回転するギヤ回転力F3と、回転軸80a方向で前カバーフレーム60側に作用するスラストF4とに分配される。これにより、ブレーキギヤ80は、回転しながら付勢バネ73の付勢力F5(図8参照)に抗して前カバーフレーム60側へ移動する。
次いで、ブレーキギヤ80の前カバーフレーム60側へ移動に伴い、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとが互いに当接、さらにはスラスト力F4の分だけの押圧されて摩擦接触する。
なお、本実施の形態においては、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとが予め離隔した位置から互いに近接する位置まで移動して摩擦接触する構成としているが、これに限らず、例えば予め互いに当接していてもよい。
そして、上述の摩擦接触により、ブレーキギヤ80に対して摩擦負荷、すなわち摩擦抵抗力が作用し、ブレーキギヤ80への回転負荷(負荷トルク)が生ずる。
この負荷トルクは、垂直抗力であるスラスト力F4と、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aの材料や表面状態に起因する摩擦係数と、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとの接触面である環形状の平均半径を乗じたものと、略等しくなる。したがって、スラスト力F4が大きくなればなる程、発生するブレーキギヤ80への負荷トルクは大きくなることを意味している。すなわち、カバーフレーム60、61を閉じようとする操作力F1が大きくなればなる程、ラック部81から受ける駆動力F2が大きくなり、さらにはブレーキギヤ80に作用するスラスト力F4が大きくなる。これによって、摩擦力によるブレーキギヤ80への負荷トルクすなわちカバーフレーム60、61の閉止に対するブレーキ力が大きくなる。
したがって、操作力F1が小さい場合は閉止動作に対するブレーキ力が小さく、軽い操作力で閉止操作を行うことができる。これに対して、乱暴操作等、操作力F1が大きい場合には、操作によるブレーキ力が発生し、動作衝撃を抑えることが可能となる上、操作力が大きくなればなる程、ブレーキ力が大きくなり、緩衝能力が増すこととなる。
一方、操作力F1が大きくなり、ブレーキ力が大きくなった後に操作力F1を弱めた場合、ブレーキギヤ80とラック部81との噛み合い部で残留噛み合い力が発生しやすいため、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとが接触したままとなり、ブレーキ力は速やかに低下し難い場合も想定される。
しかし、図8に示すように、本実施の形態においては、付勢バネ73の作用により、スラスト力F4が小さくなった際には、付勢バネ73の付勢力F5がスラスト力F4と残留噛み合い力に打ち勝って、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとが速やかに離隔される。これにより、速やかに摩擦負荷によるブレーキ力が解除され、ユーザによる必要操作力が低減される。
以上のように、本実施の形態では、ブレーキユニット70が、ユーザによるカバーフレーム60、61の開閉動作に対する操作力に応じて、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとの摩擦接触により負荷を発生させるようにしたので、簡単かつ低コストな構成で、例えばユーザによるカバーフレーム60、61の開閉動作に対する操作力が小さい場合には、カバーフレーム60、61の開閉動作にかかる操作負荷を低減することができる。一方、ユーザによるカバーフレーム60、61の開閉動作に対する操作力が大きい場合には、カバーフレーム60、61の開閉動作に伴う衝撃を緩和することができる。
また、本実施の形態では、ブレーキギヤ80がはすば歯車で構成されるとともに、ラック部81がはすば歯車に噛み合うはすば形状の噛合部81aを有するので、ラック部81により回転させられるはすば歯車に対して軸方向へのスラスト力F4が作用する。また、はすば歯車および噛合部81aのねじれ方向が、はすば歯車に対して摩擦負荷部材72側にスラスト力F4を作用させる方向に設定されているので、カバーフレーム60、61の開閉動作に応じて回転するはすば歯車を、はすば歯車と噛合部81aとの噛み合いにより発生するスラスト力F4によって摩擦負荷部材72側に移動させることができる。
このため、簡単かつ低コストな構成で、カバーフレーム60、61の開閉動作に応じて、はすば歯車のギヤ側ブレーキ部80bと摩擦負荷部材72のフレーム側ブレーキ部72aとを摩擦接触させることができる。
また、本実施の形態では、ブレーキユニット70が、ブレーキギヤ80が移動する軸方向の一方と反対側の軸方向の他方にブレーキギヤ80を付勢する付勢バネ73を備えているので、ユーザによるカバーフレーム60、61の開閉動作に対する操作力が大きいときには、ブレーキギヤ80が付勢バネ73の付勢力に抗して摩擦負荷部材72側である軸方向の一方に移動し、摩擦接触することにより、ブレーキギヤ80と摩擦負荷部材72との間に大きな摩擦抵抗力を生じさせることができる。これにより、カバーフレーム60、61の開閉動作に伴う衝撃を緩和することができる。
一方、ユーザによる大きな操作力が加えられた後、この操作力が弱められた場合には、ブレーキギヤ80を軸方向の一方に移動させる力や、例えばはすば歯車と噛合部81aとの噛み合いにより生ずる残留噛み合い力などに抗して、付勢バネ73がブレーキギヤ80を軸方向の他方に付勢する。このため、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとの摩擦接触により生ずる摩擦抵抗力を速やかに低減、あるいは解除することができる。これにより、ユーザによるカバーフレーム60、61の開閉動作にかかる操作負荷を低減することができる。
また、本実施の形態では、付勢バネ73が圧縮コイルバネで構成され、この圧縮コイルバネが摩擦負荷部材72の内方に形成された収容室70aに収容されているので、ブレーキユニット70の小型化を図ることができる。
また、本実施の形態では、カラー74が回転軸80aに軸方向移動可能に取り付けられるとともにブレーキギヤ80を相対回転可能に支持するようになっている。また、付勢バネ73がカラー74を介して軸方向の他方にブレーキギヤ80を付勢するようになっている。
このため、直接、付勢バネ73とブレーキギヤ80とが接触することを避けることができる。したがって、付勢バネ73がブレーキギヤ80に対して摩擦負荷となることを防止することができる。
さらに、本実施の形態では、ブレーキギヤ80がボールベアリング75を介してカラー74に相対回転可能に支持されているので、ブレーキギヤ80とカラー74との相対回転により生ずる回転負荷を低減することができる。また、ブレーキギヤ80とカラー74との間に生ずる回転負荷が低減されることにより、ブレーキギヤ80の回転に伴うカラー74の連れ回りを抑制でき、ブレーキギヤ80の回転がカラー74を介して付勢バネ73に伝達されることを防止することができる。この結果、付勢バネ73のねじれが防止される。
(第2の実施の形態)
次に、図9を参照して、本発明の第2の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置においては、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置とは増幅ギヤを設けた点、ラック部の噛合部の形状が変更されている点で異なるが、他の構成は同様に構成されている。したがって、図1から図8に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
本発明の第1の実施の形態によれば、ブレーキギヤ80が回転軸80aを中心に回転しながら、スラスト力F4を得ることで、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとの間に生ずる摩擦力を利用したブレーキ力を発生させる構成となっている。
ここで、一連の動作において、よりブレーキギヤ80が多く回転する構成であれば、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aの摺動距離が長くなるため、より安定したブレーキ力を発生することが可能となる。本発明の第1の実施の形態においては、これまでの実施例記載の形態によれば、カバーフレーム60、61が開状態から閉状態へ移動する、略90°程度の動作を受けてブレーキギヤ80が回転するため、一連の動作中にブレーキギヤ80が回転する動作量に限度がある。
そこで、本実施の形態においては、ブレーキユニット90を図9に示すような構成とした。
図9に示すように、ブレーキユニット90は、第1の実施の形態に係るブレーキユニット70の構成に加えて、連結歯車としての増幅ギヤ100を有している。
増幅ギヤ100は、ブレーキギヤ80とラック部81との間の動力伝達経路上に設けられ、前カバーフレーム60に固定あるいは一体形成された回転軸100aに回転自在に取り付けられている。
また、増幅ギヤ100は、ラック部81の噛合部81dと噛み合う平歯車で構成された第1歯車部としての第1ギヤ部101と、第1ギヤ部101と一体に形成されブレーキギヤ80と噛み合うはすば歯車で構成された第2歯車部としての第2ギヤ部102とを含んで構成された2段ギヤ形状のギヤで構成されている。
また、ラック部81の噛合部81dは、第1の実施の形態の噛合部81aと異なり、第1ギヤ部101の平歯車と噛み合うよう平歯状に形成されている。
さらに、増幅ギヤ100は、第2ギヤ部102のピッチ円直径D2が第1ギヤ部101のピッチ円直径D1よりも大きく設定されている(D2>D1)。したがって、ラック部81から増幅ギヤ100を介して伝達されるブレーキギヤ80の回転量は、増幅ギヤ100により増幅されるようになっている。
このため、カバーフレーム60、61の回動動作における動作量が第1の実施の形態と同一の動作量であっても、D2/D1を乗じた分だけブレーキギヤ80の回転量を増やすことができ、ギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aの摺動距離が長くなるため、より安定したブレーキ力を発生することが可能となる。
また、ブレーキギヤ80とラック部81との間に増幅ギヤ100を介在させることにより、ラック部81の噛合部81dをはすば形状でなく平歯形状とすることができ、ラック部81の歯形を形成しやすくなり、ラック部81を安価な部品で構成することが期待できる。
以上のように、本実施の形態では、はすば歯車とラック部81との間の動力伝達経路上に、ピッチ円直径D1が小さな第1ギヤ部101とピッチ円直径D2が大きな第2ギヤ部102とからなる増幅ギヤ100を設けたので、増幅ギヤ100を設けない構成のものに比べて、カバーフレーム60、61の開閉動作に応じて回転するはすば歯車の回転量を増幅させることができる。これにより、はすば歯車と第2ギヤ部102との噛み合いにより発生するスラスト力によって摩擦負荷部材72側に移動するはすば歯車の摩擦負荷部材72側への移動距離を大きくすることができる。
また、はすば歯車とラック部81との間の動力伝達経路上に増幅ギヤ100を設けたことにより、ラック部81の噛合部81dの形状を簡素な平歯状にすることができ、ラック部81を安価な構成部品とすることができる。
(第3の実施の形態)
次に、図10を参照して、本発明の第3の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置においては、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置とはギヤ側ブレーキ部とフレーム側ブレーキ部との接触面の形状が変更されている点で異なるが、他の構成は同様に構成されている。したがって、図1から図8に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
なお、図10においては、ブレーキギヤ111とラック部81とを噛み合わせた構成のものについて説明するが、これに限らず、第2の実施の形態と同様、ラック部81に代えて増幅ギヤ100をブレーキギヤ111に噛み合うよう構成したものであってもよい。
図10に示すように、ブレーキユニット110は、ギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとの接触面が、ブレーキギヤ111の軸方向の中心を通り、かつブレーキギヤ111の回転軸111aの軸線と垂直な垂直面Wに対して、傾斜した傾斜面で構成されている。なお、ブレーキギヤ111の軸方向の中心は、図9中、中心Oで示されるが、この中心Oは、回転軸111aの中心と一致している。なお、前述の中心Oは、後述する交点Oと同一の点で示される。
また、ギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとの接触面は、ブレーキギヤ111の径方向内方から径方向外方に向うに従い垂直面Wから離隔する方向に傾斜するものである。
ここで、ブレーキギヤ111とラック部81との噛合いにより発生するブレーキギヤ111のスラスト力F4は、図10に示す通りブレーキギヤ111とラック部81との噛合い位置に発生する。したがって、スラスト力F4によって作用するブレーキギヤ111全体への力は、ブレーキギヤ111の歯幅方向中央、すなわち軸方向中央を通り、回転軸111aの軸方向と垂直な垂直面Wと、回転軸111aの軸線との交点Oを中心とする図中反時計周りの回転モーメントTとして作用する。ギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとが接触した後に、スラスト力F4を効率良くギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとの垂直抗力として伝達するためには、この回転モーメントTが作用する方向に接触面を傾けることで、発生荷重の損失を低減することが可能となる。
そこで、本実施の形態においては、上述の通り、ギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとの接触面を傾斜した傾斜面として構成した。
さらに、ギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとの接触面は、上述の垂直面Wと回転軸111aの軸線との交点Oと、ギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとが接触する接触点と、を結ぶ仮想円錐曲面Nに対して略平行となるよう傾斜されている。これにより、ギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとが接触した後のギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとの垂直抗力は、回転モーメントTを受け、その接触面と略垂直なF4´として発生させることができる。したがって、最も効率良くブレーキ力を発生させることができる。
以上のように、本実施の形態では、ギヤ側ブレーキ部101bとフレーム側ブレーキ部102aとの接触面を上述の回転モーメントTが作用する方向に傾斜した傾斜面としたので、発生荷重の損失を低減することができる。このため、ブレーキギヤ111を軸方向の一方に移動させるために作用する力を、効率的に接触面における摩擦抵抗力を発生させるための垂直抗力として伝達し、発生する摩擦抵抗力の損失を抑えることができる。
(第4の実施の形態)
次に、図11を参照して、本発明の第4の実施の形態に係る画像形成装置について説明する。
本実施の形態に係る画像形成装置においては、本発明の第1の実施の形態に係る画像形成装置とは閉動作に加えて開動作に対しても適用可能な構成とした点で異なるが、他の構成は同様に構成されている。したがって、図1から図8に示した第1の実施の形態と同一の符号を用いて説明し、特に相違点についてのみ詳述する。
上述の各実施の形態においては、カバーフレーム60、61が、ユーザにより開状態から閉状態に操作されたとき、少ない衝撃発生となる操作力が小さい場合には操作負荷を減らし、操作力が大きい場合には、操作負荷を増大させ、操作による衝撃発生を低減させる構成について説明を行った。このような構成においては、スラスト力F4の発生方向をはすば歯車のねじれ角を逆にし、相反する方向へ作用させることで、閉状態から開状態へ操作した場合のブレーキ機構として応用することも可能であるが、本実施の形態に係るブレーキユニット200は、開状態から閉状態、閉状態から開状態の双方で同様なブレーキ効果を発生させることが可能な構成である。
すなわち、図11に示すように、本実施の形態に係るブレーキユニット200は、ケース部材としてのケーシング201をさらに含んで構成されており、このケーシング201は、ブレーキギヤ210を囲むよう前カバーフレーム60の側面に対して固定されている。
なお、図11においては、ブレーキギヤ210とラック部81とを噛み合わせた構成のものについて説明するが、これに限らず、第2の実施の形態と同様、ラック部81に代えて増幅ギヤ100をブレーキギヤ210に噛み合うよう構成したものであってもよい。
また、ケーシング201には、開口部201aが形成され、この開口部201aにおいてブレーキギヤ210とラック部81とが噛み合うようになっている。さらに、ケーシング201は、その一端においてブレーキギヤ210の回転軸210aを支持している。
さらに、ケーシング201は、その内側面であってブレーキギヤ210に対向する位置に摩擦負荷部材72と同様の構成のケース側摩擦負荷部材202と、凹部72cと同様の構成の凹部201cとが形成されている。なお、本実施の形態においては、上述のケース側摩擦負荷部材202が本発明におけるケース側摩擦負荷手段を構成している。
ここで、ケース側摩擦負荷部材202には、フレーム側ブレーキ部72aと同様の構成のケーシング側ブレーキ部201bが設けられている。
また、凹部201c内には、前カバーフレーム60側と同様に、圧縮コイルバネで構成された付勢バネ213およびカラー214が配設されている。なお、付勢バネ213は、付勢バネ73の付勢方向と反対の方向にカラー214を介してブレーキギヤ210を付勢するようになっている。
ここで、前カバーフレーム60側の構成については、第1の実施の形態と同様に構成されているため、その説明を省略する。
また、ブレーキギヤ210は、第1の実施の形態において一方の側面に形成されていたギヤ側ブレーキ部80b(本実施の形態においては、第1のギヤ側ブレーキ部80bという)と同様の構成の第2のギヤ側ブレーキ部80dが他方の側面に形成されている。すなわち、第2のギヤ側ブレーキ部80dは、上述のケーシング側ブレーキ部201bに対向するようブレーキギヤ210の他方の側面に形成されている。
なお、ブレーキギヤ210のはすば歯車のねじれ方向は、第1の実施の形態と同様のねじれ方向(図7参照)に設定されている。
このように構成されたブレーキユニット200において、カバーフレーム60、61がユーザによりが開状態から閉状態に操作されたとき、その操作力に応じたスラスト力F4が、図中右側、すなわち前カバーフレーム60側に作用する。これにより、第1のギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとが摩擦接触し、ブレーキギヤ210に対してスラスト力F4の大きさに応じた摩擦負荷が作用し、ブレーキギヤ210への回転負荷(負荷トルク)が生ずる。すなわち、ブレーキギヤ210に対してブレーキ力が発生する。
一方で、カバーフレーム60、61がユーザにより閉状態から開状態に操作されたときは、ブレーキギヤ210が開状態から閉状態の際に回転する方向と逆に回転する。このとき、ブレーキギヤ210には、ラック部81から受ける駆動力によりスラスト力F4と反対の方向に図示の通りスラスト力F6が作用する。
これにより、ブレーキギヤ210は、スラスト力F6によりケーシング側ブレーキ部201b側(図中左方向)に付勢バネ213の付勢力に抗して移動する。そして、第2のギヤ側ブレーキ部80dとケーシング側ブレーキ部201bとが摩擦接触し、ブレーキギヤ210に対してスラスト力F6の大きさに応じた摩擦負荷が作用し、ブレーキギヤ210への回転負荷(負荷トルク)が生ずる。すなわち、ブレーキギヤ210に対してブレーキ力が発生する。
このように、本実施の形態に係るブレーキユニット200は、カバーフレーム60、61の開状態から閉状態、および閉状態から開状態の双方の開閉動作に対応することができる。
以上のように、本実施の形態では、カバーフレーム60、61の開位置から閉位置への閉動作、および閉位置から開位置への開動作のいずれの操作に対しても、摩擦抵抗力を発生させることができ、簡単かつ低コストな構成で、カバーフレーム60、61の開動作および閉動作に伴う衝撃を緩和することができる。
なお、本実施の形態において、ブレーキギヤ210のはすば歯車のねじれ方向を第1の実施の形態と同様のねじれ方向としたが、これに限らず、ねじれ方向を第1の実施の形態と逆のねじれ方向に設定してもよい。この場合、カバーフレーム60、61の開状態から閉状態、および閉状態から開状態の双方に対応するフレーム側ブレーキ部72aとケーシング側ブレーキ部201bとが逆となる。
また、本実施の形態においても、少なくとも第1のギヤ側ブレーキ部80bとフレーム側ブレーキ部72aとの接触面、および第2のギヤ側ブレーキ部80dとケーシング側ブレーキ部201bとの接触面のいずれかについて、第3の実施の形態と同様、傾斜した傾斜面で構成してもよい。
なお、上述の各実施の形態においては、ブレーキユニット70、90、110、200を、上カバー40、カバーフレーム60、61の開閉操作力の緩和、および操作による衝撃の緩和させる構成として説明を行ったが、これに限らず、例えばプリンタなどの画像形成装置に設置してある開閉可能なカバー類全てにおいて、適用可能である。