JP5446736B2 - 交通信号制御装置及びコンピュータプログラム - Google Patents
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Description
このうち、後者の交通感応制御は、端末の交通信号制御機ごとに行う端末感応制御と、路線系統制御或いは面制御される複数の交差点を対象に信号制御パラメータを変化させる中央感応制御に分類される。
この高速感応制御によれば、暴走車両が検出されると、その下流側の交差点で暴走車両を赤信号で停止する可能性が高まり、暴走車両の走行速度を抑制することができる。
また、警察が取り締まり又は逮捕のために走行を抑止させたい対象車両(以下、単に「対象車両」ということがある。)は、法定速度を超過して走行する暴走車両だけでなく、犯人が搭乗する手配車両や盗難車両もあるが、上記高速感応制御では、暴走車両の速度抑制のみを目的とするから、通常速度で走行する手配車両や盗難車両の走行を抑止することができない。
このため、例えば端末感応制御の1つである高速感応制御の場合に比べて、暴走車両に限定されない対象車両の走行を確実に抑止することができる。
この場合、全赤制御される交差点が上記経路に含まれる複数の交差点に及ぶので、1つの交差点のみが全赤制御される場合に比べて、対象車両の走行抑止がより確実となる。
この場合、全赤制御される交差点が上記制御エリアに含まれる複数の交差点に及ぶので、1つの交差点のみが全赤制御される場合や、前記経路に含まれる複数の交差点が全赤制御される場合に比べて、対象車両の走行抑止がより確実となる。
そこで、本発明の交通信号制御装置において、前記制御手段は、複数の交差点を対象として信号制御パラメータを変化させるプログラム形成制御を実行可能であり、前記全赤制御を実行する前に、前記対象車両が走行する可能性がある複数の前記交差点について、当該対象車両がそれらの前記交差点において赤信号に遭遇し易くなるように前記信号制御パラメータを変化させる抑止制御を実行することが好ましい。
このため、全赤制御のみを単独実施する場合に比べて、全赤制御の実行範囲を絞ることができ、全赤制御の実行に伴う一般車両への影響を最小限に抑えることができる。
(a) 前記対象車両の走行方向に対応する流入路のスプリットを低下させるスプリット制御
(b) 前記対象車両が前記交差点ごとに赤信号で停止し易いようにオフセットを変更するオフセット制御
(c) 複数の前記交差点を含むサブエリア単位のサイクル長を当該各単位で許容されるサイクル長の最大値に変更して、新たなサブエリアを構成するサイクル長制御
また、それらの制御(a)又は(b)に対して上記(c)のサイクル長制御を同時実行すれば、対象車両5Aが赤信号に遭遇する確率がより増大し、対象車両5Aに対する走行抑止効果を向上することができる。
その理由は、上記抑止制御は、スプリット制御等の実行周期が経過するまで実行できず即効性に乏しいので、かかる抑止制御の前に即効性の高い高速感応制御を実行すれば、抑止制御の制御遅れを解消できるからである。
〔システムの全体構成〕
図1は、本発明を採用した交通信号制御システムの全体構成を示している。また、図2は、同システムの交通信号機1の構成を示すための道路平面図である。
図1及び図2に示すように、本実施形態の交通信号制御システムは、交通信号機1、車両感知器等よりなる路側センサ3、中央装置4、車両5、VICS(Vehicle Information and Communication System:「VICS」は登録商標)センター9などを含む。
また、S2はVICSセンター9が生成するVICS情報である。このVICS情報S2には、渋滞情報、リンク旅行時間、事故・故障車・工事情報、速度規制・車線規制情報、駐車場の位置、駐車場・サービスエリア・パーキングエリアの満車・空車情報などが含まれている。
なお、以下において、道路を走行する車両5のうち、符号5Aは、法定速度を超過して走行する暴走車両や、犯人が搭乗する逃走車両及び盗難車両といった、警察が取り締まり又は逮捕のために走行を抑止させたい対象車両を表し、符号5Bは、警察車両を表すものとする(図5〜図7参照)。
このルータ7は交通管制センター内の中央装置4に接続され、中央装置4は自装置の管轄エリアに含まれる、各交差点Jiの交通信号制御機1aとLAN(Local Area Network)を構成している。
また、図1では、図示を簡略化するために、各交差点Jiに信号灯器1bが1つだけ描写されているが、実際の交差点Jiには、例えば図2に示すように、互いに交差する道路の上り下り用として4つの信号灯器1bが設置されている。
この路側センサ3は、対応する交差点Jiの上流側に設置されており、通信回線8を介して交通信号制御機1aと繋がっている。路側センサ3が検出した路側計測情報S4は、交通信号制御機1aで中継され、通信回線6を介して中央装置4に送信される。
図3は、中央装置4の内部構成を示す機能ブロック図である。
図3に示すように、中央装置4は、制御部401、表示部402、通信部403、記憶部404及び操作部405を含んでいる。
中央装置4の制御部401は、ワークステーション(WS)やパーソナルコンピュータ(PC)等よりなり、交通信号制御機1aや路側センサ3等からの各種の計測情報の収集・処理(演算)・記録、信号制御及び情報提供を統括的に行う。制御部401は、内部バスを介して上記ハードウェア各部と繋がっており、これら各部の動作も制御する。
なお、本明細書において、「マクロ制御」とは、エリア全体の所定時間(例えば、1分、2.5分及び5分等)ごとの累積交通量等に基づいて、各交通信号機1についての最適な信号制御パラメータを決定する制御手法のことをいう。
また、「ミクロ制御」とは、車両感知情報によって交通状況の変化を検出し、これにほぼリアルタイムに即応して下流側の交通信号機1の信号灯色を切り替える制御手法のことをいう。このため、ミクロ制御の制御周期は1秒以下である。
また、本実施形態のマクロ制御部401Aは、路側計測情報S3に基づく交通状況に応じて、スプリット、サイクル長及びオフセット等の信号制御パラメータを自動的に更新するプログラム形成制御(MODERATO制御)を実行可能である。
例えば、スプリット制御の場合には、各交差点Jiについて、現示ごとの各流入路の負荷率の最大値を求め、現示負荷率の比で正規化されたスプリットを配分する負荷率比配分方式が採用される。上記負荷率ρは、車両の流入流量Q(台/時)、待ち行列台数E(台/時)及び飽和交通流率s(台/時)を用いて、ρ=(Q+E)/s で定義される。
このサブエリアの結合判定には、サブエリアごとの共通のサイクル長を求め、隣接するサブエリアのサイクル長の算出結果の差が予め設定された閾値よりも小さい場合に、これらのサブエリアを1つのサブエリア構成として結合し、サイクル長が大きい方のサイクル長で制御されるようになっている。
サイクル長C=(a1×L+a2)/(1−a3×ρ)
ただし、Lは当該交差点の損失時間であり、a1〜a3は所定の係数である。
また、本実施形態のマクロ制御部401Aは、交差点Jiの特定の流入路に対する交通量を強制的に変更してオフセットを自動生成することにより、その特定方向に対して高い系統効果を与える優先オフセットを実行可能である。
また、本実施形態では、マクロ制御部401Aも、対象車両5Aの走行を抑止させるための抑止制御を実行可能であり、この場合の抑止制御は、複数の交差点Jiについて、対象車両がそれらの交差点Jiにおいて赤信号に遭遇し易くなるように、信号制御パラメータを変化させるものである。
信号制御指令S1は、信号制御パラメータの演算周期(例えば、1.0〜2.5分)ごとに送信され、VICS情報S2は例えば5分ごとに送信される。
また、中央装置4の通信部403は、各交通信号制御機1aから、路側センサ3が検出した路側計測情報S3をほぼリアルタイム(例えば、0.1〜1.0秒周期)で受信している。
また、記憶部404は、制御部401が生成した信号制御指令S1と、VICSセンター9から取得したVICS情報S2と、LAN側から取得した路側計測情報S3とを一時的に記憶する。
また、道路地図データには、リンクIDと、リンクの始点・終点・補間点(道路が折れ曲がる地点に対応)それぞれの位置と、リンクの始点に接続するリンクのリンクIDと、リンクの終点に接続するリンクのリンクIDと、最適経路の特定に使用するリンクコストとを対応付けたリンクデータも含まれている。
すなわち、リンクコストには、リンクの始点から終点までを走行するのに要するコスト(時間)と、リンクの終点から次のリンクの始点までを走行するのに要するコスト(時間)、つまり、交差点を通過するのに要するコストが含まれている。
中央装置4の操作部405は、キーボードやマウス等の入力インタフェースよりなり、この操作部405によって中央装置4のオペレータが上記表示部402に対する表示切り替え操作等を行えるようになっている。
次に、図2及び図4を参照して、交通信号機1の構成を説明する。なお、図2では、交通量の多い主道路RM1,RM2と交通量の少ない従道路RS1,RS2とが合流した交差点Jiを例示している。
図2に示すように、交通信号機1は、主道路RM1,RM2及び従道路RS1,RS2のそれぞれに設置された4つの信号灯器1bと、この信号灯器1bと通信回線8を介して接続された交通信号制御機1aとを備えている。
図4は、上記交通信号制御機1aの内部構成を示す機能ブロック図である。
図4に示すように、交通信号制御機1aは、制御部101、灯器駆動部102、通信部103及び記憶部104を含んでいる。
制御部101は、中央装置4がMODERATO制御を行った結果の出力である信号制御指令S1に従って各信号灯器1bを駆動し、その指令S1に基づく所定のタイミングで各信号灯器1bの信号灯色を切り替える。
通信部103は、中央装置4から信号制御指令S1及びVICS情報S2を受信し、信号制御指令S1については自装置の制御部101に送り、VICS情報S2については光ビーコンに転送する。また、通信部103は、路側センサ3及び光ビーコンから路側計測情報S3を受信し、この路側計測情報S3については中央装置4に転送する。
図5〜図7は、中央装置4の制御部401が実行する、対象車両5Aの走行を抑止するための抑止制御の概要を示すイメージ図である。以下、この図5〜図7を参照しつつ、抑止制御の概要を説明する。
なお、図5〜図7において、ハッチング付きの○は当該制御を実行する交差点(制御交差点)Jiを示し、符号CAは、プログラム形成制御(マクロ制御)による抑止制御を実行する制御エリアCAを示している。
次に、中央装置4の制御部401(マクロ制御部401A)は、図6に示すように、抑止制御の第2段階として、所定の制御エリアCAに含まれる制御交差点に対して、対象車両5Aがそれらの制御交差点において赤信号に遭遇し易くなるように制御パラメータを変化させる抑止制御を行う。
この全赤制御では、対象車両5Aだけでなく一般車両5の走行も確実に抑止され、一般車両5の走行に与える影響が大きい。そこで、第1及び第2段階の抑止制御によって対象車両5Aの存在範囲がほぼ確実であり、警察車両5Bが到着して包囲網を形成できた時点で行われる。
なお、本実施形態では、抑止制御を実行する際のトリガー(入力情報)となる、対象車両5Aの走行位置(絶対位置でもリンク番号でもよい。)、走行速度及び走行方向については、現場からの通報情報やこれに対応する路側計測情報(車両速度)S3に基づいて、中央装置4のオペレータが操作部405を通じて制御部401に入力するものとする。もっとも、走行速度については、オペレータが入力するのではなく、中央装置4の記憶部404に記憶させた所定の設定値を用いても良い。
第1段階の抑止制御では、まず、ミクロ制御部401Bが、対象車両5Aがその下流側の制御交差点Jiに到着するタイミングで、当該交差点Jiを通行可能か否かを判定する第1判定を行う。
この第1判定は、対象車両5Aの走行位置と走行速度とから、対象車両5Aが対象交差点Jiに到達する予測時刻を算出し、算出した到達時刻における流入路の信号現示に基づいて、すなわち、その流入路の信号灯色が通行可能を示す信号灯色であるか否かに基づいて行われる。なお、この場合の通行可能を示す信号灯色とは、「青」及び「青矢」のことである。
一方、上記第1判定が肯定的である場合には、その制御交差点Jiでの青時間が短縮可能か否か、或いは、赤時間が延長可能か否かを判定する第2判定を行う。
なお、上記「最大青短縮時間」とは、青時間短縮方式による高速感応制御を行う場合において、信号階梯における「PG」未満の範囲で青時間を最大限に短縮可能なものとして予め定められた時間のことである。
なお、上記余裕時間αとは、車両が余裕をもって停止線前で停止できるように、交差点Jiの手前で赤表示に遭遇するように予め設定された時間である。
なお、上記「最大赤延長時間」とは、赤時間延長方式による高速感応制御を行う場合において、信号階梯における上限秒数(信号制御指令が無い場合に、信号機自身で次の階梯に進む秒数。フェールセーフのために設定されている。)未満の範囲で赤時間を最大限に延長可能なものとして予め定められた時間のことである。
なお、第1及び第2判定を繰り返す制御交差点の個数は特に限定されないが、本実施形態では第2段階の抑止制御を行うので、制御交差点の個数を3つに限定している。
第2段階の抑止制御では、まず、エリア設定部401Cが当該抑止制御を実行すべき制御エリアCAを設定し、マクロ制御部401Aが、設定された制御エリアCAに含まれる制御交差点に対して、対象車両5Aがそれらの制御交差点において赤信号に遭遇し易くなるように信号制御パラメータを変化させる抑止制御を実行する。
以下、エリア設定部401Cにおける制御エリアCAの設定方法と、マクロ制御部401Aによる抑止制御の内容について説明する。
図8は、制御エリアCAの設定状態を示す道路地図である。
図8(a)〜図8(d)のうち、図8(a)は、対象車両5Aの現在の走行位置のみが特定された場合の制御エリアCAを示し、図8(b)は、走行位置に加えて走行方向と走行速度が特定された場合の制御エリアCAを示している。
一方、オペレータによる入力情報に、対象車両5Aの走行位置に加えて、走行方向と走行速度が含まれている場合には、エリア設定部401Cは、図8(b)及び図8(c)に示すように、エリア角度θを絞った扇形状の制御エリアCAを設定する。
このように、本実施形態のエリア設定部401Cは、対象車両5Aの走行位置、走行方向及び走行速度に基づいて、制御エリアCAの範囲を可変に設定可能になっている。
この外周縁Rの設定は、オペレータが手動で入力してもよいし、制御種別ごとにエリア設定部401Cが自動生成することにしてもよい。
その理由は、対象車両5Aの走行位置から上記内周縁rの位置より近い範囲の交差点については、マクロ制御部401Aによる信号制御パラメータの変更が間に合わないので、その範囲を制御エリアCAに含める意味がないからである。
図16に示す例では、スプリット制御の場合には、制御遅れに伴う平均逃走距離が833mとされ、オフセット制御及びサイクル長制御の場合には、その平均逃走距離が5197mとされているが、その平均逃走距離(内周縁r)の算出根拠は次の通りである。
また、制御周期内での受付時間をa、制御受付時点からの追従時間をb、サイクル長内での受付時間をcとする。
従って、スプリット制御の場合における、対象車両5Aが検出されてから制御発動までの総遅れ時間dの平均値σdは、30+0+70=100秒となるので、内周縁r=v×100秒=8.33×100=833mとなる。
従って、サイクル及びオフセット制御の場合における、対象車両5Aが検出されてから制御発動までの総遅れ時間dの平均値σdは、150+560+0=710秒となるので、内周縁r=v×710秒=8.33×710=5917mとなる。
このように、本実施形態のエリア設定部401Cは、スプリット制御、オフセット制御及びサイクル長制御の制御種別ごとに、制御エリアCAの内周縁rの大きさを設定することができる。
図9に示すように、制御エリアCA(図9では半円の場合を例示)が特定されると、マクロ制御部401Aは、記憶部404に格納されたリンクデータに基づいて、対象車両5Aの現在位置から制御エリアCAに到達し得る逃走ルートを探索する。
そして、マクロ制御部401Aは、上記の逃走ルートに含まれる制御交差点について、対象車両5Aが赤信号に遭遇し易くするためのスプリット制御、オフセット制御及びサイクル長制御を実行する。
その理由は、本実施形態のサイクル長制御は、後述の通りサイクル長を通常よりも大きく設定するものであるが、これを単独実行すると却って対象車両5Aが通行し易くなり、後述のスプリット制御やオフセット制御と共に行って初めて、対象車両5Aに対する走行抑止効果が向上するからである。
図10及び図11は、マクロ制御部401Aが実行可能な走行抑止のためのスプリット制御を示す図である。このうち、図10は重要交差点に対するスプリット制御を示し、図11は一般交差点に対するスプリット制御を示している。
ここで、重要交差点とは、普段から負荷率が大きくボトルネックになることが多い交差点のことをいい、一般に、幹線・準幹線道路相互の交差点がこれに該当する。従って、重要交差点の場合には、通常、すべての流入路に車両感知器等の路側センサ3が設けられており、すべての流入路について交通需要が計測可能となっている。
従って、一般交差点の場合には、通常、主道路側の流入路だけに車両感知器等の路側センサ3が設けられ、従道路側には路側センサ3がなく、一部の流入路の交通需要が計測可能となっている。
図10に示すように、スプリット制御の対象交差点が重要交差点である場合、マクロ制御部401Aは、まず、逃走ルートから制御対象とすべき重要交差点に流入するリンクを検索し、対象流入路を決定する。
その後、マクロ制御部401Aは、対象流入路の渋滞長を制御発動の条件とする。すなわち、マクロ制御部401Aは、その渋滞長が所定の閾値以下の場合に、後述のようにスプリットを変更し、その渋滞長が同閾値を超える場合には、通常制御(本実施形態ではMODERATO制御)を継続し、スプリット変更を行わない。
そして、走行抑止のために重要交差点のスプリットを変更する場合、マクロ制御部401Aは、対象車両5Aの走行方向に対応する流入路の交通需要を、当該流入路の交通容量で除した値よりも小さい値に、当該スプリットを設定する。
この場合、マクロ制御部401Aは、主道路1φと右折2φのスプリットを、その時点の交通量(台/H)を交通容量で割った値に、1未満の係数(図例では、0.8)を掛けた値に変更する。
a) 流入路のスプリットを、上記1未満の係数を掛けた小さい値に設定すれば、交通量の多寡に拘わらず当該流入路に渋滞を発生させることができる。
b) 対象車両5Aの流入路以外の方向の流入路の交通便益を最大化できる。
また、本実施形態では、マクロ制御部401Aが、対象流入路の渋滞長に基づいて重要交差点への流入路のスプリットを変更するか否かを決定するので、その変更によって想定外の渋滞長が当該流入路に発生したような場合には、元のスプリットに復元できるという利点もある。
なお、上記1未満の係数は、走行抑止用の係数として重要交差点ごとに予め設定しておいてもよいし、オペレータの入力によって人為的に変更できるようにしてもよい。
図11に示すように、スプリット制御の対象交差点が一般交差点である場合、マクロ制御部401Aは、まず、リンクデータに含まれるリンクの中から、逃走ルートに対応する制御用のリンクを検索し、そのリンクを通過する場合の一般交差点の現示を求める。
その後、上記リンクに所属するオフセット情報から、当該一般交差点に最低限必要なスプリットを算出する。
この場合、マクロ制御部401Aは、主道路1φと従道路2φのスプリットを、その時点の交通量(台/H)を交通容量で割った値に変更する。すなわち、係数=1.0となっている。
この点、上記交通量(台/H)を交通容量で除した値は、一般交差点を渋滞させないぎりぎりのスプリットであるから、一般交差点のスプリットをその程度の値に絞っても、一般車両5にとってもそれほど迷惑にはならないと考えられる。
前記した通り、本実施形態のマクロ制御部401Aは、交差点Jiへの流入交通量に基づいてオフセットを自動生成する機能(例えば、TRANSYT)を有している。
そこで、本実施形態のマクロ制御部401Aは、制御エリアCAに含まれる制御交差点について、対象車両5Aの走行方向の車両台数を実際の車両台数よりも少なく見積もってオフセットを自動生成することにより、対象車両5Aの走行方向と逆方向の流入路の通行を優先する、いわゆる「逆優先オフセット制御」を実行する。
すなわち、オフセット制御において、上り下りの両方向の交通に対してほぼ同等の系統効果を与えるようにオフセットを設定する方式を「平等オフセット」というが、上り下りの方向別の交通需要に差がある場合等に、いずれか一方向に対して優先的に高い系統効果を与えるようにオフセットを設定する方式を「優先オフセット方式」という。
優先オフセット方式では、優先的に高い系統効果が与えられる方向の対向方向については、逆に系統効果が悪化し、その対向方向を走行する車両が交差点ごとに赤信号で停止する可能性が高くなる。
従って、対象車両5Aの走行方向と逆方向の流入路を優先する優先オフセット(逆優先オフセット)を適用すれば、結果的に、対象車両5Aが交差点ごとに赤信号で停止する可能性が高いオフセットが設定されることになる。
この場合、逆方向の系統効果が最大になり、対象車両5Aの走行方向の系統効果を完全に無視する完全逆優先オフセット(一方通行)となるので、オフセットの自動生成による対象車両5Aの走行抑止効果を最大限に向上できる。
これらの時間距離グラフは、ある道路区間の複数の交差点について、所定のオフセット自動生成ロジックに基づいて交通シミュレーションを行った結果であり、図13は、主道路の上り方向の交通量をゼロに設定する完全逆優先オフセットを行った結果である。
また、逆優先オフセットの場合には、対象車両5Aの走行方向と逆方向の流入路の交通便益(円滑化)が高まるので、対象車両5Aの走行抑止に役立つということに加えて、警察車両5Bが逆方向から対象車両5Aに早く辿り着きやすくなるとともに、制御エリアCA全体の交通便益は損なわれないという付加的効果もある。
図14は、サイクル長制御の内容を示す道路線形図である。
図14において、符号SA1〜SA6は、サイクル長制御の最小単位となるサブエリア(サブエリア単位)を示しており、図14の例では、4つのサブエリアSA2,SA3,SA4、SA6が制御エリアCAと重複しており、サブエリアSA1,SA5が制御エリアCAの範囲外であるとする。
ここで、本実施形態では、制御エリアCA内の制御交差点について対象車両5Aの流入路のスプリットを絞ったり、対象車両5Aの走行方向に対する逆方向優先オフセットを設定したりして、その走行抑止を行っているが、これと同時にサイクル長Cを長く設定すると、対象車両5Aが当該流入路において赤信号に遭遇する確率がより増大し、対象車両5Aに対する走行抑止効果が向上すると考えられる。
具体的には、マクロ制御部401Aは、制御エリアCAに含まれる複数の制御交差点を含むサブエリアSA2,SA3,SA4,SA6単位のサイクル長Cを、当該各単位で許容されるサイクル長Cの最大値に変更し、新たなサブエリア構成とする。
SA2:現状 90秒→最大値120秒
SA3:現状100秒→最大値110秒
SA4:現状110秒→最大値110秒
SA6:現状120秒→最大値130秒
また、サブエリアSA5については、制御エリアCA外であるため、サイクル長Cの引き上げが行われないが、現状のサイクル長が130秒(閾値内)であるため、隣接するサブエリアSA6と結合する。
以上から、図14に示す例では、サブエリアSA1以外の5つのサブエリアSA2〜SA6が1つのサブエリア構成となる。
第3段階の抑止制御は、第1及び第2段階の抑止制御によって対象車両5Aの存在範囲がほぼ確実となり、警察車両5Bが到着して包囲網を形成できた時点で行われる。
すなわち、例えば図7に示すように、対象車両5Aが存在するリンクに警察車両5Bが到着すると、中央装置4のオペレータはリンクを挟む上下流側の各交差点を、全赤制御の制御対象に設定する。
これにより、対象車両5Aが一般車両5とともにリンク内で停止し、対象車両5Aを確実に捕捉できるようになる。
もっとも、交通信号機1が全赤になった場合には、警察官による誘導で一般車両5と対象車両5Aを分離することになるので、警察車両5Bの現地到着が確実になった時点で全赤制御を発動することが好ましい。
上記実施形態は例示であって本発明の権利範囲を制限するものではない。本発明の権利範囲は特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の構成と均等の範囲内のすべての変更が本発明に含まれる。
例えば、上記実施形態では、第2段階の抑止制御(マクロ制御)において、スプリット制御、オフセット制御及びサイクル長制御のすべてを実行しているが、スプリット制御又はオフセット制御のいずれか一方のみを実行することにしてもよい。
この場合、対象車両5Aが走行する可能性のある記制御エリアCA(図6参照)に含まれる複数の交差点Jiに対して全赤制御を行うことにしてもよく、対象車両5Aが走行する可能性のある逃走ルート(経路)に含まれる複数の交差点Jiに対して全赤制御を行うことにしてもよい。
1a 交通信号制御機
1b 信号灯器
3 路側センサ
4 中央装置(交通信号制御装置)
401 制御部(制御手段)
401A マクロ制御部
401B ミクロ制御部
401C エリア設定部
402 表示部
403 通信部
404 記憶部
405 操作部
5 車両
Ji 交差点
S1 信号制御指令
S2 VICS情報
S3 路側計測情報
Claims (5)
- 特定地点の交差点を対象としてその交通信号機の信号灯色を個別に切り替えるミクロ制御を実行する制御手段を備えた交通信号制御装置であって、
前記制御手段は、走行を抑止させたい対象車両が走行する可能性がある前記交差点について、その対象車両の走行方向に対応する流入路の全赤時間を継続する全赤制御を実行可能であり、
前記制御手段は、複数の交差点を対象として信号制御パラメータを変化させるプログラム形成制御を実行可能であり、
前記制御手段は、前記全赤制御を実行する前に、前記対象車両が走行する可能性がある複数の前記交差点について、当該対象車両がそれらの前記交差点において赤信号に遭遇し易くなるように前記信号制御パラメータを変化させる抑止制御を実行し、
前記抑止制御の実行は、次の(a)の単独実行、(b)の単独実行、(a)と(c)の同時実行、或いは、(b)と(c)の同時実行のうちのいずれかであることを特徴とする交通信号制御装置。
(a) 前記対象車両の走行方向に対応する流入路のスプリットを低下させるスプリット制御
(b) 前記対象車両が前記交差点ごとに赤信号で停止し易いようにオフセットを変更するオフセット制御
(c) 複数の前記交差点を含むサブエリア単位のサイクル長を当該各単位で許容されるサイクル長の最大値に変更して、新たなサブエリアを構成するサイクル長制御 - 前記制御手段は、前記対象車両が走行する可能性のある経路に含まれる複数の前記交差点について、前記全赤制御を実行可能である請求項1に記載の交通信号制御装置。
- 前記制御手段は、前記対象車両が走行する可能性のある制御エリアに含まれる複数の前記交差点について、前記全赤制御を実行可能である請求項1又は2に記載の交通信号制御装置。
- 前記制御手段は、前記抑止制御を実行する前に、前記対象車両の走行位置の直ぐ下流側にある前記交差点の、前記対象車両が流入する道路における青時間の短縮又は赤時間の延長を行う高速感応制御を実行する請求項1〜3のいずれか1項に記載の交通信号制御装置。
- 特定地点の交差点を対象としてその交通信号機の信号灯色を個別に切り替えるミクロ制御を交通信号制御装置に実行させるためのコンピュータプログラムであって、
走行を抑止させたい対象車両が走行する可能性のある前記交差点について、その対象車両の走行方向に対応する流入路の全赤時間を継続する全赤制御を実行するステップと、
複数の交差点を対象として信号制御パラメータを変化させるプログラム形成制御を実行するステップと、
前記全赤制御を実行する前に、前記対象車両が走行する可能性がある複数の前記交差点について、当該対象車両がそれらの前記交差点において赤信号に遭遇し易くなるように前記信号制御パラメータを変化させる抑止制御を実行するステップと、を含み、
前記抑止制御の実行は、次の(a)の単独実行、(b)の単独実行、(a)と(c)の同時実行、或いは、(b)と(c)の同時実行のうちのいずれかであることを特徴とするコンピュータプログラム。
(a) 前記対象車両の走行方向に対応する流入路のスプリットを低下させるスプリット制御
(b) 前記対象車両が前記交差点ごとに赤信号で停止し易いようにオフセットを変更するオフセット制御
(c) 複数の前記交差点を含むサブエリア単位のサイクル長を当該各単位で許容されるサイクル長の最大値に変更して、新たなサブエリアを構成するサイクル長制御
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