JP5446352B2 - ヨウ素の精製方法ならびにヨウ素の製造方法 - Google Patents

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本発明は、ヨウ化カリウムを酸化させる等の方法により得たヨウ素から、水およびカリウム等を除去してヨウ素の純度をより高くするヨウ素の精製方法、ならびにこの精製方法を含むヨウ素の製造方法に関する。
工業的にヨウ素を製造する方法としては、かん水を原料とする追い出し法またはイオン交換樹脂法が広く知られている。かん水を原料として製造されるヨウ素は、一般に99.7%以上の純度を有する。また、99.5%以上の純度を有するものとして販売されているものもある。かん水から得られるヨウ素は、フレーク状、粉末状、またはプリル状(球状)で販売されている。
工業的にヨウ素を製造する方法としては、一度使用されたヨウ素に由来するヨウ化物イオンを酸化してヨウ素を製造する方法も知られている。ヨウ化物イオンは、例えば、ヨウ化カリウムの水溶液として得られる。ヨウ化カリウムは、例えば、フルオロアルキルアイオダイドテロマーとアクリル酸カリウムとの反応により、フルオロアルキルアクリル酸エステルとともに生成される。ヨウ化カリウムは適切な処理に付して、ヨウ素(I)を製造する原料として用いられ、製造したヨウ素は別の化学反応に用いられる。
ヨウ素が用いられる化学反応のうち、幾つかの化学反応(例えば、テトラフルオロエチレンからフルオロエチルアイオダイドを生成する反応)は、ヨウ素中にカリウム、ナトリウムなどのアルカリ金属類および水が含まれることを極端に嫌う。即ち、アルカリ金属類および水は、これらの反応においては、不純物として、生成物の収率を著しく低下させる等の不都合を招く。そこで、ヨウ化カリウムからヨウ素を製造する過程においては、カリウムおよび水の含有量を低下させるための処理が特に必要とされることがある。これらの不純物の除去は、例えば、洗浄、ならびにヨウ素の溶融および固化によって行われる(特許文献1)。
あるいは、金属ヨウ化物を燃焼させた後、金属ヨウ化物を水で希釈し、希釈液中のヨウ化物イオンを酸化させてヨウ素を得、得られたヨウ素をブローアップにより、ヨウ化水素水溶液などのヨウ素吸収液に吸収させた後、再度酸化させる方法でヨウ素を製造する方法も提案されている。この方法によれば、燃焼により、有機物の含有量を少なくすることができる。あるいはまた、金属ヨウ化物を大量の水で希釈して、その希釈水溶液中のヨウ化物イオンを酸化させる方法で、ヨウ素を製造する方法も提案されている。
特開2004−35302号公報
上記特許文献1に記載の方法でヨウ素を製造する場合には、洗浄工程において大量の水を要し、使用した水は排水として廃棄されるだけである。よって、水の使用量が生産コストに与える影響が大きい。また、特許文献1の方法においては、ヨウ素が100質量%以上の大量の水を含有した状態(この状態は水とヨウ素から成るスラリーを形成しているともいえる)で、ヨウ素を溶融させるために130℃程度の高温にて加熱する。水を多く含む状態のヨウ素を高温で加熱すると、ヨウ化水素酸が生成する。ヨウ化水素酸は、腐食性を有し、例えば、加熱処理に用いる容器等を腐食することがある。そのため、ヨウ素の加熱に使用する容器を、ヨウ素水素酸で腐食されにくい、ニオブまたはタンタルのようなレアメタルで作製することもある。これらのレアメタルは高価であり、また、温度変化によって、レアメタル製の容器に割れが生じることもある。
燃焼工程を含む製造方法によれば、比較的高い純度でヨウ素を得ることが可能である。しかし、燃焼の際に、二酸化炭素が発生するため、環境への影響を考慮すると、必ずしも良い方法であるとはいえない。金属ヨウ化物を大量の水で希釈する製造方法で高純度(99.7%以上)のヨウ素を得るには、ヨウ化物を相当に希釈する必要がある(例えば、約1%)。そのため、この方法もまた、前記水洗と同様に、大量の水のロスを伴う。
本発明は、ヨウ化物イオンを酸化させることにより得られるヨウ素から、大量の水の使用および燃焼操作を要することなく、高純度のヨウ素を得る精製方法および当該精製方法を含むヨウ素の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、水および水溶性の物質を含有するヨウ素を、有機溶媒に接触させることにより、ヨウ素を有機溶媒に溶解させて抽出すること、および有機溶媒に溶解したヨウ素を有機溶媒から分離することを含む、ヨウ素の精製方法を提供する。
この精製方法において、ヨウ素は有機溶媒に溶解させられて有機層に含まれ、水溶性の物質は水層に含まれることとなる。有機溶媒に溶解したヨウ素は、有機層から加熱処理等によって取り出される。よって、この精製方法によれば、ヨウ素から、水と水溶性物質とを一度に分離することができる。
本発明の精製方法において、有機溶媒は、大気圧下における沸点が大気圧下におけるヨウ素の沸点よりも低い有機溶媒であることが好ましい。そのような有機溶媒を使用することによって、有機層から有機溶媒を蒸発させる方法で、ヨウ素を有機溶媒から分離することができる。また、沸点の低いものを選択すると、ヨウ素を取り出すための加熱処理を低温で行うことができ、溶融ヨウ素による腐食、ならびにヨウ化水素酸の生成およびこれによる腐食を防止することができる。したがって、低沸点の有機溶媒の使用は、ヨウ素精製に用いる容器の寿命を延長させること、および当該容器を構成する材料を多くの種類から選択することを可能にし、例えば、従来よりも低コストの材料を選択して、ヨウ素精製装置を構成することを可能にする。
本発明の精製方法において、有機溶媒は、大気圧下における沸点が80℃以下である有機溶媒であることが好ましい。そのような有機溶媒を使用して、ヨウ素の沸点との差をより大きくすることにより、より少ないエネルギー量で、純度の高いヨウ素を得ることができる。
本発明の精製方法において、有機溶媒は、有機溶媒を蒸発させる方法で、有機溶媒からヨウ素を分離するときに、水と共沸するようなものであることが好ましい。そのような有機溶媒を選択することにより、分離後のヨウ素中に含まれる水の量を0.1質量%以下とすることが可能となり、より高い純度のヨウ素を得ることができ、また、ヨウ化水素酸の生成量が多くなる等の不都合を無くす又は軽減することができる。
本発明はまた、ヨウ化水素またはアルカリ金属ヨウ化物を酸化させることによって、ヨウ素を生成すること、および本発明のヨウ素の精製方法に従ってヨウ素を精製することを含む、ヨウ素の製造方法を提供する。本発明のヨウ素の製造方法は、水およびアルカリ金属の含有量がそれぞれ0〜1000ppmおよび0〜1000ppm程度である、高純度のヨウ素(例えば、純度99.8質量%以上)を製造することを可能にする。
本発明のヨウ素精製方法は、ヨウ素の水分含有量をより小さくすることを可能にし、水を嫌う化学反応において使用するのに適したヨウ素を与える。また、本発明の精製方法においては、水の少ない状態(即ち、ヨウ素を有機溶媒に溶解した状態)にしてから、ヨウ素を加熱により固体または気体の形態で最終的に得るので、加熱と水の存在により生成されるヨウ素水素酸の量を少なくすることができる。さらに、本発明のヨウ素の製造方法によれば、不純物が水または水溶性の無機化合物であるかぎり、大量の水でヨウ素を洗浄する工程が不要となる。そのことは、コスト的に好都合である。さらにまた、本発明のヨウ素の製造方法において、燃焼工程は特に必要でない。よって、本発明の方法は、使用後の大量の水の廃棄または二酸化炭素の発生による環境への影響を無くすので、環境保護の点からも好都合である。
本発明のヨウ素の精製方法は、水溶性の物質および水を含有するヨウ素を、有機溶媒に接触させることにより、ヨウ素を有機溶媒に溶解させて抽出すること、およびこのヨウ素抽出液から有機溶媒を除去することを含む。以下、この方法の実施形態を説明する。
本発明の精製方法は、水溶性の物質および水を含有するヨウ素から、当該水溶性物質および水の含有量がより低減したヨウ素を得る方法である。水溶性の物質および水を含有するヨウ素は、例えば、アルカリ金属ヨウ化物、より具体的にはヨウ化カリウムを、塩素により酸化することによって得られる。アルカリ金属ヨウ化物の酸化によって得られるヨウ素は、通常、アルカリ金属塩化物、未反応のアルカリ金属ヨウ化物、および水とともにスラリーを形成している。アルカリ金属塩化物およびアルカリ金属ヨウ化物は、水溶性であるから、スラリーにおいて、水に溶解して、イオンを形成している。スラリーは、好ましくは、ヨウ素を0.1〜50.0質量%の割合で有している。スラリーは、必要に応じて、有機溶媒と接触させる前に、希釈または濃縮してよい。
有機溶媒は、前述のように、ヨウ素を溶解する溶媒である。具体的には、有機溶媒は、例えば、常温(25℃)および大気圧下において、ヨウ素を0.1質量%以上溶解させる溶媒であることが好ましく、1質量%以上溶解させる溶媒であることがより好ましく、3質量%以上溶解させる溶媒であることがさらにより好ましい。有機溶媒におけるヨウ素の溶解度の上限はないが、ヨウ素を20質量%よりも多い量で溶解させる溶媒はほとんど無い。有機溶媒がヨウ素を0.1質量%未満(例えば、0.01質量%程度)溶解させるものであっても、有機溶媒の使用量を多くすることにより、本発明の精製方法を実施することは可能である。
有機溶媒はまた、水を溶解しない又は僅かな量の水を溶解させるものであることがより好ましい。水の溶解度の小さい有機溶媒を選択することにより、有機層とともに加熱処理に付される水の量を小さくすることができ、ヨウ化水素酸の生成による容器等の腐食を、より抑制できる。
本発明において、有機溶媒は、大気圧下における沸点が、大気圧下におけるヨウ素の沸点よりも低い有機溶媒であることが好ましい。ここで「大気圧下における」という限定は、有機溶媒とヨウ素とが同じ圧力下に置かれたときに、有機溶媒とヨウ素との間に沸点の差があり、有機溶媒の沸点<ヨウ素の沸点であることを意味するために用いられている。
本発明において、有機溶媒の沸点は、大気圧下において80℃以下であることが好ましく、50℃以下であることがより好ましい。有機溶媒の沸点が低いほど、有機溶媒からヨウ素を分離することがより容易となる。即ち、有機溶媒をヨウ素から分離することを、有機溶媒を気化させることにより実施する場合に、より少ないエネルギーで有機溶媒を気化させることができ、また、精製されるヨウ素の純度がより高くなる傾向にある。有機溶媒の沸点は、水が凍らないように、5℃以上であることが好ましく、20℃以上であることがより好ましい。
ヨウ素の沸点よりも低い沸点を有する有機溶媒を使用する場合、その有機溶媒は、有機溶媒を蒸発させる方法で、有機溶媒からヨウ素を分離するときに、水と共沸するものであることが好ましい。そのような有機溶媒を選択することにより、ヨウ素中に残存する水の含有量を0.1質量%以下、好ましくは0.05質量%以下とすることができ、より高い純度でヨウ素を得ることができる。
ヨウ素の沸点よりも低い沸点を有する有機溶媒として、例えば、炭素数1〜6の炭化水素(一又は複数の水素が置換されたものを含む)が好ましく用いられ、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素(一又は複数の水素が置換されたものを含む)がより好ましく用いられ、炭素数1〜2のハロゲン含有炭化水素(例えば、塩化メチレン、エチレンクロライド(二塩化エチレン)および臭化エチル等)および炭素数5〜6の置換されていない脂肪族炭化水素(例えば、ヘキサン(異性体を含む)、ペンタン(異性体を含む))がさらにより好ましく用いられる。これらの溶媒はいずれも、ヨウ素の沸点よりも低い沸点を有する。このような低沸点の有機溶媒、具体的には沸点が50℃未満の有機溶媒を用いると、有機溶媒を蒸発させる方法で有機溶媒からヨウ素を分離することが、容易に実施され得る。有機溶媒の沸点が低いと蒸発時の加熱温度を低くすることができるので、ヨウ化水素酸の生成が抑えられ、もってヨウ化水素酸に起因する容器等の腐食を防止または低減させることができる。さらに、沸点の低い有機溶媒は、ヨウ素よりも低い温度で気化するために、ヨウ素に残存しにくく、ヨウ素の純度を高くするのに、より好都合である。
あるいは、本発明の方法において、有機溶媒は、大気圧下における沸点が、大気圧下におけるヨウ素の沸点よりも高いものであってよい。そのような有機溶媒として、例えば、芳香環を有するドデシルベンゼンおよびフタル酸ジイソブチル等を使用することができる。そのような有機溶媒を使用すると、有機溶媒中に溶解したヨウ素を気化(または昇華)させる方法で、ヨウ素を有機溶媒から分離することが、容易に実施され得る。
水溶性の物質および水を含有するヨウ素と有機溶媒との接触は、任意の液−液分離の手法を用いて実施することができる。使用する有機溶媒の量は、好ましくは所定量のヨウ素(例えば、スラリー中に含まれるヨウ素全て)を溶解させることを可能にする量であり、そのような量は、有機溶媒のヨウ素の溶解度に応じて決まる。
水溶性の物質および水を含有するヨウ素と有機溶媒とを接触させ、水溶性の物質を溶解した水が水層を構成し、ヨウ素を溶解した有機溶媒が有機層となるように、液−液分離させる。このとき、ヨウ素を溶解した有機溶媒の比重が1よりも大きいと、有機層が下層となり、その比重が1よりも小さいと、有機層が下層となる。いずれのように分離しても、2つの層は、通常の分液操作により分液する。
続いて、有機層から、溶解しているヨウ素を分離して、ヨウ素を取り出す。ヨウ素よりも沸点の低い有機溶媒を使用する場合、ヨウ素の分離は、有機溶媒を気化させることにより行うことが好ましい。有機溶媒を蒸発させた後には、固体のヨウ素が得られる。蒸発させた有機溶媒は、冷却して液化した後、ヨウ素を抽出するために再利用してよい。そのような再利用は本発明の精製方法を「閉じた」系で実施することを可能にし、コストおよび環境保護の点から有利である。
有機溶媒の沸点がヨウ素の沸点よりも高い場合には、ヨウ素を気化させて、ヨウ素を取り出す。気化させたヨウ素は、気体のまま、次の反応工程に供給してよく、あるいは冷却して液体または固体にしてよい。ヨウ素が気化した後の溶媒は、ヨウ素を抽出するために再利用してよい。
使用した有機溶媒の量が少ない等の理由により、ヨウ素が完全に有機溶媒に溶解せず、ヨウ素が、有機溶媒中に油滴のように存在するか、有機溶媒と水面との界面に存在するか、あるいは最下部に沈澱することがある。その場合、有機溶媒量をヨウ素が溶解する量になるまで増やすか、或いは有機溶媒と水面との界面ヨウ素と最下部に沈澱ヨウ素の有機溶媒層をヨウ素固体が入ってこないように横抜き、又は差し込みで上抜きすることでヨウ素が溶解した有機溶媒を抜出す。このように有機溶媒がヨウ素の一部のみを溶解する場合でも、ヨウ素を溶解した有機層を取り出し、これからヨウ素を取り出せば、純度の高いヨウ素が得られることに変わりはない。即ち、本発明の精製方法は、所定量のヨウ素が有機溶媒に完全に溶解しない場合でも、適用することが可能である。
本発明の精製方法は、水溶性の物質と水とを含むヨウ素から、純度の高いヨウ素を得る方法である。したがって、水溶性の物質は、上述のアルカリ金属ヨウ化物に限定されず、他の無機物質、例えば、ヨウ化マグネシウム、ヨウ化カルシウムであってもよい。あるいは、水溶性の物質は、水に溶解し、かつ有機溶媒に溶解しない又は溶解度が小さい限りにおいて、有機物質であってよい。
本発明のヨウ素の精製方法は、ヨウ素を製造する方法の一工程として実施してよい。即ち、アルカリ金属ヨウ化物またはヨウ化水素の酸化により生成して得られる、ヨウ素含有スラリーを、本発明の精製方法に従って精製すれば、純度の高いヨウ素を得ることができる。
以下、本発明の精製方法を、塩化カリウムと水を含有したヨウ素スラリーに有機溶媒を接触させ、ヨウ素が溶解した有機溶媒層から精製ヨウ素を得る実施例を用いて説明する。実施例は、本発明を説明する例示的なものであり、本発明はこれらの実施例によって限定されない。
(実施例1)
13.6質量%の塩化カリウムと22.5質量%のヨウ素と残部の水とから成るヨウ素スラリー10gに、塩化メチレン10gを加えた。その結果、スラリーは、水層と、有機層と、溶解されなかったヨウ素に分離した。塩化メチレン層の一部を取り出し、チオ硫酸ナトリウム滴定により、塩化メチレンのヨウ素溶解濃度を確認したところ、4.5質量%であった。また、塩化メチレンの水分溶解量は、H-NMRの分析により、1200ppmであった。さらに、塩化メチレン層を50℃で加熱して、塩化メチレンを気化させて、塩化メチレンからヨウ素を分離させた後、固化させた。固化したヨウ素を、原子吸光分析により分析したところ、K濃度は0.3ppm以下、水分45ppm、塩化メチレン量82ppmであった。
(実施例2)
13.6質量%の塩化カリウムと22.5質量%のヨウ素と残部の水とから成るヨウ素スラリー10gに、臭化エチル10gを加えた。その結果、スラリーは、水層と、有機層と、溶解されなかったヨウ素に分離した。臭化エチル層の一部を取り出し、チオ硫酸ナトリウム滴定により、臭化エチルのヨウ素溶解濃度を確認したところ、14.6質量%であった。また、臭化エチルの水分溶解量は、H-NMRの分析により、820ppmであった。さらに、臭化エチル層を50℃で加熱して、臭化エチルを気化させて、臭化エチルからヨウ素分離させた後、固化させた。固化したヨウ素を、原子吸光分析により分析したところ、K濃度は0.3ppm以下、水分64ppm、臭化エチル量122ppmであった。
(実施例3)
13.6質量%の塩化カリウムと22.5質量%のヨウ素と残部の水とから成るヨウ素スラリー10gに、ドデシルベンゼン 10gを加えた。その結果、スラリーは、水層と、有機層と、溶解されなかったヨウ素に分離した。ドデシルベンゼン層の一部を取り出し、チオ硫酸ナトリウム滴定により、ドデシルベンゼンのヨウ素溶解濃度を確認したところ、1.2質量%であった。また、ドデシルベンゼンの水分溶解量は、H−NMRの分析により、50ppm以下であった。さらに、ドデシルベンゼン層を115℃で加熱して、ヨウ素を気化させて、ドデシルベンゼンから分離させた後、冷却し、固化させた。固化したヨウ素を、原子吸光分析により分析したところ、K濃度は0.1ppm以下、水分50ppm、ドデシルベンゼン量40%であった。
(実施例4)
13.6質量%の塩化カリウムと22.5質量%のヨウ素と残部の水とから成るヨウ素スラリー10gに、フタル酸ジイソブチル10gを加えた。その結果、スラリーは、水層と、有機層と、溶解されたなったヨウ素に分離した。フタル酸ジイソブチル層の一部を取り出し、チオ硫酸ナトリウム滴定により、フタル酸ジイソブチルのヨウ素溶解濃度を確認したところ、7.7質量%であった。また、フタル酸ジイソブチルの水分溶解量は、H−NMRの分析により、50ppmであった。さらに、フタル酸ジイソブチルを115℃で加熱して、ヨウ素を気化させて、フタル酸イソブチルから分離させた後、固化させた。固化したヨウ素を、原子吸光分析により分析したところ、K濃度は0.1ppm以下、水分160ppm、フタル酸ジイソブチル量3.5%であった。
実施例1および2では、K濃度、水分、および使用した有機溶媒の残存量が小さいヨウ素を得ることができた。一方、ヨウ素の沸点よりも高い沸点を有し、有機溶媒からヨウ素を分離することを、ヨウ素を気化させる方法で実施した実施例3およびでは、使用した有機溶媒がヨウ素に同伴して、比較的多い量で含まれていたものの、K濃度および水分は少なかった。
本発明は、水溶性の物質および水を含むヨウ素から、水溶性の物質および水を取り除くことを可能にし、高純度のヨウ素を得ることを可能にする。よって、本発明のヨウ素精製方法は、アルカリ金属ヨウ化物から高純度のヨウ素を製造するプロセス、またはヨウ素を含む水性廃液からヨウ素を高純度で回収するプロセスに有用である。

Claims (6)

  1. 水および水溶性の物質を含有するヨウ素を、有機溶媒に接触させることにより、ヨウ素を有機溶媒に溶解させて抽出すること、および
    有機溶媒に溶解したヨウ素を有機溶媒から分離すること
    を含む、ヨウ素の精製方法であって、
    有機溶媒が、大気圧下における沸点が、大気圧下におけるヨウ素の沸点よりも低い有機溶媒であり、
    有機溶媒を気化させることにより、有機溶媒に溶解したヨウ素を有機溶媒から分離する、
    ヨウ素の精製方法
  2. 有機溶媒は、有機溶媒を蒸発させる方法で、有機溶媒からヨウ素を分離するときに、水と共沸するものである、請求項に記載のヨウ素の精製方法。
  3. 有機溶媒が、50℃以下の沸点を有する、請求項に記載のヨウ素の精製方法。
  4. 水および水溶性の物質を含有するヨウ素を、有機溶媒に接触させることにより、ヨウ素を有機溶媒に溶解させて抽出すること、および
    有機溶媒に溶解したヨウ素を有機溶媒から分離すること
    を含む、ヨウ素の精製方法であって、
    有機溶媒がドデシルベンゼンまたはフタル酸イソブチルであり、
    ヨウ素を気化させることにより、有機溶媒に溶解したヨウ素を有機溶媒から分離する、
    ヨウ素の精製方法
  5. 有機溶媒が、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素(一又は複数の水素が置換されたものを含む)である、請求項1〜のいずれか1項に記載のヨウ素の精製方法。
  6. ヨウ化水素またはアルカリ金属ヨウ化物を酸化させることによって、ヨウ素を生成すること、および
    請求項1〜のいずれかに記載のヨウ素の精製方法に従ってヨウ素を精製すること
    を含む、ヨウ素の製造方法。
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