JP5444748B2 - ステアリング装置、及びステアリング制御方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ステアリング装置、及びステアリング制御方法に関するものである。
自動操舵制御中に運転者が自発的にステアリング操作を行ったときに、自動操作制御を中止し、パワーステアリング制御に移行するものであって、パワーステアリング制御に移行する際に、ステアリングアクチュエータの制御量を徐々に変化させることで、操舵反力の急変を抑制し、違和感の軽減を図るものがあった(特許文献1参照)。
特開平11−78940号公報
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来技術のように、ステアリングアクチュエータの制御量を徐々に変化させるとしても、操舵反力の変化に方向性があるため、パワーステアリング制御への移行期間の間は誘導感が残り、運転者に違和感を与えてしまう。
本発明の課題は、操舵制御を停止する際の誘導感を軽減することである。
上記の課題を解決するために、本発明に係るステアリング装置は、自車両の前方に存在する前方物体との接触を操舵回避できるか否かを判断し、操舵回避できると判断したときには、この前方物体との接触を操舵回避するための目標回避軌道を算出し、算出した目標回避軌道を実現するのに必要な操舵角となるようにステアリング系にトルクを伝達し、一方、操舵回避できないと判断したときには、左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクが発生しないように目標操舵反力を算出すると共に、そのときからは操舵角に関わらず運転者の操舵速度に応じて目標操舵反力を算出し、算出した目標操舵反力を実現するのに必要な操舵反力となるようにステアリング系にトルクを伝達する。
本発明に係るステアリング装置によれば、操舵回避できると判断していた状態から、操舵回避できなくなったと判断したとき、つまり操舵制御を停止する際に、運転者の操舵角に関らず、運転者の操舵速度に応じた操舵反力となるので、左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクは発生しない。したがって、運転者に誘導感を与えることを防止することができる。
概略構成を示すブロック図である。 ステアリング機構の概略構成である。 ブレーキ系統の概略構成である。 第一実施形態の回避制御処理を示すフローチャートである。 目標操舵反力の算出に用いるマップである。 第一実施形態の効果のイメージである。 第二実施形態の回避制御処理を示すフローチャートである。 目標操舵反力の算出に用いるマップである。 第二実施形態の効果のイメージである。 第二実施形態のシミュレーション結果である。
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
《第一実施形態》
《構成》
図1は、概略構成を示すブロック図である。
レーザレーダ1は、車両前方に存在する前方物体の位置、及び距離を検出し、コントローラ10に入力する。カメラ2は、車両前方を撮像し、画像処理装置3は、カメラ2で撮像した画像データに基づいて走行環境を認識し、コントローラ10に入力する。
操舵角センサ11は、運転者のステアリング操作量(操舵角)を検出し、トルクセンサ12は、ステアリングシャフトに作用するトルクを検出する。アクセルセンサ13は、運転者のアクセル操作量を検出し、ブレーキセンサ14は、運転者のブレーキ操作量を検出し、圧力センサ15は、マスターシリンダ圧力を検出する。ヨーレートセンサ16は、車両のヨーレートを検出し、加速度センサ17は、車両の前後加速度と横加速度を検出し、車輪速センサ18は、各車輪の回転速度を検出する。
電動モータ20は、コントローラ10によって駆動制御され、所望のトルクをステアリング系に伝達する。
ブレーキアクチュエータ30は、コントローラ10によって駆動制御され、各車輪の制動力を任意に制御する。
図2は、ステアリング機構の概略構成である。
ステアリングホイール21は、ステアリングシャフト22、ラック&ピニオン23を介して前輪24FL・24FRに連結され、ステアリングシャフト22には、トルクセンサ12よりも下側に、電動モータ20が連結されている。
コントローラ10は、通常走行時には、操舵角及び操舵トルクに応じて電動モータ20にアシストトルクを発生させる。また、前方物体との接触を回避する回避制御を実行するときには、回避軌道を実現するためのトルクを電動モータ20に発生させ、回避制御を中止するときには、所望の操舵反力を実現するためのトルクを電動モータ20に発生させる。この回避制御については後述する。
図3は、ブレーキ系統の概略構成である。
ブレーキペダル31は、ブレーキブースタ32を介してマスターシリンダ33に連結される。マスターシリンダ33と各ホイールシリンダ34i(i=FL、FR、RL、RR)との間には、スタビリティ制御(VDC:Vehicle Dynamics Control)等に用いられるブレーキアクチュエータ30が介装されている。このブレーキアクチュエータ30は、ソレノイドバルブやポンプ等の油圧機器を備え、これらをコントローラ10によって駆動制御することにより、運転者のブレーキ操作に関らず各ホイールシリンダ34iの液圧を個別に制御することができる。
コントローラ10は、前方物体との接触をステアリング制御で回避する必要が発生したときに、回避制御処理を実行する。
図4は、回避制御処理を示すフローチャートである。
先ずステップS1では、自車両に対する前方物体の横位置、前後方向の距離、及び相対速度を算出する。
続くステップS2では、前方物体との接触を自車両のステアリング操作で回避できるか否かを判定する。
例えば、自車両が前方物体に対して車間距離D及び相対速度Vrで接近しているとすると、車間距離Dがゼロとなる前に、自車両の先端が、前方物体の幅W分だけ横方向に移動すれば、前方物体との接触をステアリング操作で回避することが可能である。このとき、自車両が横加速度Gxで横方向に移動すると、前方物体の幅W分の移動に要する時間Txは、下記(1)式で表される。
Tx=(2W/Gx)1/2 ………(1)
したがって、自車両のステアリング操作で接触を回避するには、車間距離Dと相対速度Vrとの関係が下記(2)式となればよい。
D>Tx・Vr ………(2)
すなわち、横加速度Gxを例えば5[m/s2]程度の値とし、上記(2)式を満足するか否かを判定することで、前方物体を操舵回避できるか否かを判定する。ここで、操舵回避できればステップS3に移行する。一方、操舵回避できなければステップS5に移行する。
ステップS3では、前記(2)式を満足する目標回避軌道を算出する。
続くステップS4では、目標回避軌道を実現する操舵角となるように、電動モータ20を駆動制御してから所定のメインプログラムに復帰する。
ステップS5では、操舵角θに応じて操舵速度θ′を算出すると共に、下記(3)式に示すように、操舵速度θ′を車速Vに応じた重み係数Smに応じて補正する。
θ′ ← θ′×Sm ………(3)
続くステップS6では、図5のマップを参照し、操舵速度θ′に応じて目標操舵反力を算出する。このマップは、操舵速度θ′が大きいほど、目標操舵反力が大きくなり、所定の上限値で制限されるように設定されている。
続くステップS7では、目標操舵反力を実現するトルクとなるように、電動モータ20を駆動制御してから所定のメインプログラムに復帰する。
《作用》
前方物体との接触を回避する必要が発生したときに、先ず前方物体との接触を操舵回避できれば(ステップS2の判定が“Yes”)、目標回避軌道を算出し(ステップS3)、その目標回避軌道を実現する操舵角となるように、電動モータ20を駆動制御する(ステップS4)。これにより、前方物体との接触を回避することができる。
一方、操舵回避できなければ(ステップS2の判定が“No”)、操舵速度θ′に応じて目標操舵反力を算出し(ステップS5、S6)、この目標操舵反力を実現するトルクとなるように、電動モータ20を駆動制御する(ステップS7)。
図6は、本実施形態の効果のイメージである。
左方向に大きく操舵した状態(操舵角が大きい状態)では、通常、大きな操舵反力となるが、本実施形態では、操舵角に関らず、操舵速度θ′に応じた操舵反力となるので、回避制御を停止したときに、左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクは発生しない。したがって、運転者に誘導感を与えることを防止することができる。
《応用例》
なお、本実施形態では、操舵速度に応じて目標操舵反力を算出しているが、これに限定されるものではなく、操舵速度、及び操舵加速度に応じて目標操舵反力を算出してもよい。この場合も、操舵角の影響を受けないため、回避制御を停止したときに、運転者に誘導感を与えることがない。
《効果》
以上より、電動モータ20が「アクチュエータ」に対応し、ステップS2の処理が「判断手段」に対応し、ステップS3の処理が「軌道算出手段」に対応し、ステップS4の処理が「回避制御手段」に対応する。また、ステップS5、S6の処理が「反力算出手段」に対応し、ステップS7の処理が「反力制御手段」に対応する。
(1)アクチュエータは、ステアリング系にトルクを伝達可能に構成される。判断手段は、自車両の前方に存在する前方物体を検出し、当該前方物体との接触を操舵回避できるか否かを判断する。軌道算出手段は、判断手段が前記前方物体との接触を操舵回避できると判断したときに、当該前方物体との接触を操舵回避するための自車両の目標回避軌道を算出する。回避制御手段は、軌道算出手段が算出した目標回避軌道を実現するのに必要な操舵角となるように前記アクチュエータを駆動制御する。反力算出手段は、前記判断手段が前記前方物体との接触を操舵回避できないと判断したときに、運転者の操舵速度に応じて目標操舵反力を算出する。反力制御手段は、反力算出手段が算出した目標操舵反力を実現するのに必要な操舵反力となるように前記アクチュエータを駆動制御する。
これにより、操舵回避できると判断していた状態から、操舵回避できなくなったと判断したとき、つまり操舵制御を停止する際に、運転者の操舵角に関らず、運転者の操舵速度に応じた操舵反力となるので、左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクは発生しない。したがって、運転者に誘導感を与えることを防止することができる。
また、操舵反力が全く無い状態であると、運転者が意図したとおりの操舵角分だけステアリングホイール21を回転・停止することは困難となるが、本実施例では運転者の操舵速度に応じた操舵反力を発生させるため、運転者が意図したとおりの操舵角に正確に操舵操作することが容易となり、運転者はより安全な状態で回避操作が可能となる。
(2)前記反力算出手段は、運転者の操舵加速度に応じて目標操舵反力を算出する。
この場合も、操舵角の影響を受けないため、運転者に誘導感を与えることがない。
また、運転者の操舵加速度に応じた操舵反力が発生するため、運転者はステアリングホイール21を回転させようとしたときに操舵反力を感じることとなり、回転の開始時にクリック感のような感覚を得ることができる。したがって、例えば、ステアリングホイール21を一定の角度で維持したい場合において、車両の振動等によりステアリングホイール21を意図せずに回転させてしまうような場合においても、回転と同時に適度な操舵反力が発生するため、ステアリングホイール21の回転を最小限に抑制することができる。よって、運転者が意図したとおりの操舵角に正確に操舵操作することが容易となり、運転者はより安全な状態で回避操作が可能となる。
(3)自車両の前方に存在する前方物体との接触を操舵回避できるか否かを判断し、操舵回避できると判断したときには、当該前方物体との接触を操舵回避するための目標回避軌道を算出し、算出した目標回避軌道を実現するのに必要な操舵角となるようにステアリング系にトルクを伝達し、一方、操舵回避できないと判断したときには、運転者の操舵速度に応じて目標操舵反力を算出し、算出した目標操舵反力を実現するのに必要な操舵反力となるようにステアリング系にトルクを伝達する。
これにより、操舵回避できると判断していた状態から、操舵回避できなくなったと判断したとき、つまり操舵制御を停止する際に、運転者の操舵角に関らず、運転者の操舵速度に応じた操舵反力となるので、左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクは発生しない。したがって、運転者に誘導感を与えることを防止することができる。
《第二実施形態》
《構成》
この実施形態は、回避制御を停止した時点の操舵角を中立角として設定し、この中立角に対する操舵角偏差に応じて目標操舵反力を算出するものである。
図7は、回避制御処理を示すフローチャートである。
ここでは、前述したステップS5、S6を新たなステップS25、S26の処理に変更したことを除いては、図4の回避制御処理と同様の処理を実行する。
ステップS25では、回避制御を停止した時点の操舵角を中立角として設定し、この中立角に対する操舵角偏差を算出する。
続くステップS26では、図8のマップを参照し、操舵角偏差に応じて操舵反力を算出する。このマップは、操舵角偏差が大きいほど、目標操舵反力が大きくなるように設定されている。
《作用》
本実施形態では、操舵回避できなければ(ステップS2の判定が“No”)、回避制御を停止した時点の操舵角(中立角)からの操舵角偏差に応じて目標操舵反力を算出し(ステップS25、S26)、この目標操舵反力を実現するトルクとなるように、電動モータ20を駆動制御する(ステップS7)。
図9は、本実施形態の効果のイメージである。
左方向に大きく操舵した状態(操舵角が大きい状態)では、通常、大きな操舵反力となるが、本実施形態では、操舵角に関らず、回避制御を停止した時点の操舵角(中立角)からの操舵角偏差に応じた操舵反力となるので、回避制御を停止したときに、左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクは発生しない。したがって、運転者に誘導感を与えることを防止することができる。
図10は、本実施形態のシミュレーション結果である。
操舵制御(回避制御)時に大きな操舵反力が作用している状態から、操舵制御を停止したときに、その時点の操舵角を中立角とし、この中立角からの操舵角偏差に応じて操舵反力が作用するので、操舵制御停止時に左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクは発生しない。
《応用例》
なお、本実施形態では、操舵角偏差の追従制御が実施されるが、この追従制御における遅れ時間を変化させることで操舵反力を変化させる、つまり時定数分の速度差によって操舵反力を算出してもよい。
また、本実施形態では、操舵角偏差に応じて操舵反力を算出しているが、操舵速度を加味して算出してもよい。例えば操舵速度に応じた操舵反力を算出するとともに、操舵角偏差に応じた操舵反力を算出し、これらの平均値を最終的な操舵反力としたり、又は双方に重み付けをした上で加算した値を最終的な操舵反力としたりすればよい。
《効果》
(1)前記反力算出手段は、前記判断手段が前記前方物体との接触を操舵回避できないと判断したときの操舵角を中立角として設定し、設定した中立角に対する操舵角偏差に応じて目標操舵反力を算出する。
これにより、操舵回避できると判断していた状態から、操舵回避できなくなったと判断したとき、つまり操舵制御を停止する際に、運転者の操舵角に関らず、回避制御を停止した時点の操舵角(中立角)からの操舵角偏差に応じた操舵反力となるので、左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクは発生しない。したがって、運転者に誘導感を与えることを防止することができる。
(2)前記反力算出手段は、時定数分の遅れ時間に応じて操舵反力を算出する。
これにより、回避制御を停止した時点の操舵角(中立角)からの操舵角偏差に応じて操舵反力を算出するのと同等の操舵反力を算出することができる。
1 レーザレーダ
10 コントローラ
11 操舵角センサ
12 トルクセンサ
13 アクセルセンサ
14 ブレーキセンサ
17 加速度センサ
18 車輪速センサ
20 電動モータ
21 ステアリングホイール
22 ステアリングシャフト
30 ブレーキアクチュエータ
31 ブレーキペダル
34FL〜34RR ホイールシリンダ

Claims (5)

  1. ステアリング系にトルクを伝達可能なアクチュエータと、
    自車両の前方に存在する前方物体を検出し、当該前方物体との接触を操舵回避できるか否かを判断する判断手段と、
    該判断手段が前記前方物体との接触を操舵回避できると判断したときに、当該前方物体との接触を操舵回避するための自車両の目標回避軌道を算出する軌道算出手段と、該軌道算出手段が算出した目標回避軌道を実現するのに必要な操舵角となるように前記アクチュエータを駆動制御する回避制御手段と、
    前記判断手段が前記前方物体との接触を操舵回避できないと判断したときには、左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクが発生しないように目標操舵反力を算出すると共に、そのときからは操舵角に関わらず運転者の操舵速度に応じて目標操舵反力を算出する反力算出手段と、該反力算出手段が算出した目標操舵反力を実現するのに必要な操舵反力となるように前記アクチュエータを駆動制御する反力制御手段と、を備えることを特徴とするステアリング装置。
  2. 前記反力算出手段は、運転者の操舵加速度に応じて目標操舵反力を算出することを特徴とする請求項1に記載のステアリング装置。
  3. 前記反力算出手段は、前記判断手段が前記前方物体との接触を操舵回避できないと判断したときの操舵角を中立角として設定し、設定した中立角に対する操舵角偏差に応じて目標操舵反力を算出することを特徴とする請求項1又は2に記載のステアリング装置。
  4. 前記反力算出手段は、時定数分の遅れ時間に応じて操舵反力を算出することを特徴とする請求項3に記載のステアリング装置。
  5. 自車両の前方に存在する前方物体との接触を操舵回避できるか否かを判断し、操舵回避できると判断したときには、当該前方物体との接触を操舵回避するための目標回避軌道を算出し、算出した目標回避軌道を実現するのに必要な操舵角となるようにステアリング系にトルクを伝達し、一方、操舵回避できないと判断したときには、左右の何れかにステアリング操作させようとするトルクが発生しないように目標操舵反力を算出すると共に、そのときからは操舵角に関わらず運転者の操舵速度に応じて目標操舵反力を算出し、算出した目標操舵反力を実現するのに必要な操舵反力となるようにステアリング系にトルクを伝達することを特徴とするステアリング制御方法。
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