JP5444323B2 - 高発現ザイモモナス(Zymomonas)プロモーター - Google Patents
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Description
本出願は、2008年3月27日に出願された米国仮特許出願第61/039871号明細書(本明細書において参照により援用される)の利益を主張する。
本発明は、エネルギー省から授与された契約番号04−03−CA−70224およびDE−FC36−03GO13146に基づく米国政府の助成により行われた。米国政府は、本発明において所定の権利を有する。さらに、米国政府は、米国エネルギー省と国立再生可能エネルギー研究所(ミッドウエスト研究所の一部局)との間の契約番号DE−AC36−99GO10337に基づいて、本発明の権利を有する。
配列番号1は、Z.モビリス(Z.mobilis)のCP4株由来のZmPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号2は、Z.モビリス(Z.mobilis)のZM4株由来のZmPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号3は、pZB4由来のZmPgapのヌクレオチド配列であり、これはまた、株ZW641および8XL4のPgapxylABオペロンにもある。
配列番号4は、株ZW658由来の改善されたPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号5は、株8b由来の改善されたPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号6は、PgapのpZB4変種において−190(ZW658)および−89(8b)変異の両方を伴う改善されたPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号7は、PgapのCP4変種においてZW658由来の−190変異を伴う改善されたPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号8は、PgapのCP4変種において8b由来の−89変異を伴う改善されたPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号9は、PgapのCP4変種において−190(ZW658)および−89(8b)変異の両方を伴う改善されたPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号10は、PgapのZM4変種においてZW658由来の−190変異を伴う改善されたPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号11は、PgapのZM4変種において8b由来の−89変異を伴う改善されたPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号12は、PgapのZM4変種において−190(ZW658)および−89(8b)変異の両方を伴う改善されたPgapのヌクレオチド配列である。
配列番号13および14は、pZB4由来のグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーター(Pgap)を含有するDNAフラグメントの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号15および16は、pZB4由来のtalコード領域を含有するDNAフラグメントの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号17および18は、Pgapおよびtalフラグメント由来のPgaptalを含有するDNAフラグメントの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号19および20は、pZB186由来のloxP::Cmを含有するDNAフラグメントの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号21は、pMODPgaptaltktCmプラスミドの完全なヌクレオチド配列である。
配列番号22および23は、pMODPgaptaltktCmを収容する形質転換体におけるtalおよびtktコード領域を含有する3kbのDNAフラグメントの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号24は、pMODPgapxylABCmプラスミドの完全なヌクレオチド配列である。
配列番号25および26は、pMODPgapxylABCmを伴うT2C、T3C、T4CおよびT5C組み込み体由来の1.6kbのPgapxylA DNAフラグメントの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号27および28は、ZW641およびZW658由来のPgapを含有するDNAフラグメントの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号29〜31は、ZW641およびZW658由来のPgapを配列決定するためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号32および33は、Specr−カセットを含有するDNAフラグメントの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号34は、キシロースイソメラーゼ発現カセットPgapXylAの完全ヌクレオチド配列である。
配列番号35および36は、pMOD2−<MCS>の異なるマルチクローニング部位を置換するために使用されるオリゴヌクレオチドのヌクレオチド配列である。
配列番号37および38は、それぞれ、プラスミドpMOD−リンカー−Spec−801GapXylAおよびpMOD−リンカー−Spec−641GapXylAを得るため、pMOD−リンカー−Specに挿入するための株ZW801−4およびZW641由来のPgapxylA領域の増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号39および40は、pZB188/aadA−641GapXylA由来のPgapの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列であり、Z.モビリス(Z.mobilis)RPIオープンリーディングフレームの最初の15bpを含む。
配列番号41および42は、Z.モビリス(Z.mobilis)RPIオープンリーディングフレームの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号43は、プラスミドpZB188aadA/Gap/ZymoRPI/EcoliSLに存在するRPI発現カセットの完全ヌクレオチド配列である。
配列番号44および45は、8XL4および8b由来のPgapを含有するDNAフラグメントの増幅のためのプライマーのヌクレオチド配列である。
配列番号46は、8XL4および8b由来のPgapを配列決定するためのプライマーの完全ヌクレオチド配列である。
配列番号47は、それぞれ配列番号1、2および3の配列である、CP4、ZM4およびpZB4のZmPgap部分の−190位を含むヌクレオチド配列である。
配列番号48は、それぞれ配列番号1、2および3の配列である、CP4、ZM4およびpZB4のZmPgap部分の−89位を含むヌクレオチド配列である。
Z.モビリス(Z.mobilis)グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子(ZmPgapまたはPgap)の天然のプロモーターは、ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)およびザイモバクター・パルメ(Zymobacter palmae)におけるキメラ遺伝子の発現に使用されている。キシロース代謝のための遺伝子を発現させるためにZmPgapを使用した場合、得られるキシロース資化は、典型的には所望されるほど効果的でなかった。さらに、限定的なキシロース資化能力を有する4つのキシロース代謝酵素(キシロースイソメラーゼ、キシルロキナーゼ、トランスケトラーゼ、およびトランスアルドラーゼ)を発現するように操作された組換えZ.モビリス(Z.mobilis)株が、改善されたキシロース資化のためキシロース培地に対して適応された(同一出願人が所有しかつ同時係属中の米国特許出願公開第20080286870号明細書に記載されている)。
(配列番号47)における位置である。この配列は、それぞれ配列番号1、2および3の配列である、CP4、ZM4およびpZB4のZmPgap部分の−190位を含むヌクレオチド配列である。
太字および下線を付したGは、変異によってTに変化する塩基である。この位置は、CP4株およびZM4株のZmPgap配列においては−190位であるが、pZB4中のプロモーター配列では−21位のTが欠失しているため、pZB4においては−189位である。
における位置である。この配列は、それぞれ配列番号1、2および3の配列である、CP4、ZM4およびpZB4のZmPgap部分の−89位を含むヌクレオチド配列である。
太字および下線を付したCは、変異によってTに変化する塩基である。この位置は、CP4株およびZM4株のZmPgap配列においては−89位であるが、pZB4中のプロモーター配列では−21位のTが欠失しているため、pZB4においては−88位である。本発明のプロモーターは、−190位、−89位、またはこれらの位置の両方においてZmPgapのヌクレオチド変化を有する。好ましくは、変化は、−190位におけるGからTへの変化であり、そして−89位におけるCからTへの変化である。これらの改変を含む本発明のプロモーターは、改善されたPgapsである。
−190位および/または−89位における記載の変異は、当業者に公知に任意の方法によってZmPgap核酸分子に導入してもよい。例えば、変異および周囲のDNA配列を有するオリゴヌクレオチドを合成し、そしてより大きなプロモーターDNAフラグメントにクローニングして、変異を伴わないセグメントと置換してもよい。変異およびいくつかの隣接するプロモーター配列を含有するプライマーを、合成し、そしてPCRに使用して、プロモーターフラグメントを調製してもよい。全プロモーターDNAフラグメントを、共にライゲートされる複数のオリゴヌクレオチドとして合成してもよい。部位特異的変異誘発を使用して、変異を導入してもよい。加えて、ZW658株または8b株由来のDNAをテンプレートして使用して、PCR増幅DNAフラグメントとして変異プロモーターを調製してもよい。
本発明のプロモーターを、細菌細胞中で発現させようとする異種核酸分子(heterologous nucleic molecule)に作動可能に連結し、本発明のキメラ核酸分子、またはキメラ遺伝子を形成する。キメラ遺伝子の設計および構築は、当業者に周知である。キメラ遺伝子は、典型的にはプロモーター、発現させようとする異種核酸分子、および3’末端制御領域を含む。末端制御領域は様々な遺伝子に由来してよく、そしてしばしば、標的宿主細胞に生来備わる遺伝子から採取される。作動可能に連結された異種核酸分子は、細菌細胞においてその発現が所望されるいずれの核酸分子であってもよく、例えば、タンパク質またはペプチドのためのコード領域、または機能的RNAの発現のための核酸を含む。機能的RNAとして、例えば、アンチセンスRNA、リボザイム、および干渉RNAが挙げられる。さらに、本明細書に記載のプロモーター、およびプロモーターから発現される複数のコード領域を含むオペロンを構築してもよい。
本明細書に記載の改善されたPgapを使用して、増加したレベルのキメラ遺伝子発現を得ることができる。改善されたPgapおよびキシロースイソメラーゼコード領域を含む、ゲノムに組み込まれた構築キメラ遺伝子が実施例8に示されており、これによりキシロース代謝のためのタンパク質をコードする遺伝子を発現するように操作されたZ.モビリス(Z.mobilis)細胞のキシロース培地における改善された増殖が可能となった。キシロース上での改善された増殖を実施例3および10に示した。これはキシロースイソメラーゼ活性およびキシルロキナーゼ活性のより高いレベルの発現に関連している。キシロース上でのより良好な増殖に適応され、そしてキシロースイソメラーゼおよびキシルロキナーゼの発現を指令する改善されたPgapを有するキシロース資化Z.モビリス(Z.mobilis)の株は、キシロース資化が改善された。キシロースイソメラーゼ活性およびキシルロキナーゼ活性は、キシロースイソメラーゼおよびキシルロキナーゼの発現を指令する改善されたPgapを持たない株より約4〜5倍高かった。
ここで使用した標準的な組換えDNAおよび分子クローニング技術は当該技術分野において周知であり、Sambrook,J.,Fritsch,E.F.and Maniatis,T. Molecular Cloning:A Laboratory Manua,第2版;Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY)(1989)(以後、「Maniatis」);ならびにSilhavy,T.J.,Bennan,M.L.,and Enquist,L.W. Experiments with Gene Fusions;Cold Spring Harbor Laboratory:Cold Spring Harbor,NY(1984);ならびにAusubel,F.M.et.al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Assoc.and Wiley−Interscienceにより出版、Hoboken,NJ(1987)に記載されている。
細胞を、50mlのRM+2%グルコース中、30℃で1晩、1.0〜1.2のOD600まで増殖させた。細胞を4500rpmで10分間、4℃にて遠心分離により回収した。上清を廃棄し、細胞ペレットを25ml氷冷音波処理用緩衝液(10mMのTris、pH7.6、10mMのMgCl2)で洗浄し、続いて、4500rpmで10分間、遠心分離を行った。ペレットを2.0〜2.5ml音波処理用緩衝液+1mMジチオスレイトールに再懸濁した。500μLアリコートを、1分間、エッペンドルフ遠心管中、4℃で遠心分離した。上清のほとんどを廃棄し、約10〜20μLを残してペレットの乾燥を防止した。細胞を凍結し、アッセイを行うまで約80℃で貯蔵した。アッセイの前に細胞を融解し、そして500μLの音波処理用緩衝液+1mMジチオスレイトールで再懸濁した。混合物を、Branson sonifier 450を使用して、45秒間、62%デューティサイクルおよび2の出力制御関数で、2回音波処理し、各音波処理の間に、約3〜5分間、サンプルを冷却した。サンプルを14,000rpmで60分間、Beckman微量遠心機中、4℃で遠心分離した。上清を新しい試験管に移し、4℃で保持した。タンパク質濃度を決定するためにピアス(Pierce)BCAアッセイを使用した。
1単位は、30℃における1μmolのD−フルクトース6−リン酸/分の形成に対応する。
U(μモル/分)=勾配(dA340/分)*反応物の体積(μL)/6220/0.55cm
(NADP→NADPHのモルは1cmキュベットにおける1Lあたり1モルあたり6220 A340である)
(マイクロプレートにおける1ウェルあたり200μLの路長=0.55cm)
比活性(μモル/分−mg)=μモル/分/タンパク質濃度(mg)
1単位は、30℃における1分間あたりの1μmolのD−グリセルアルデヒドの形成に対応する。
U(μモル/分)=勾配(dA340/分)*反応物の体積(μL)/6220/0.55cm
(NADH→NADのモルは1cmキュベットにおける1Lあたり1モルあたり6220 A340である)
(マイクロプレートにおける1ウェルあたり200μLの路長=0.55cm)
比活性(μモル/分−mg)=μモル/分/タンパク
1単位のXIは、30℃における1分間あたりの1μモルのD−キシルロースの形成に対応する。
U(μモル/分)=勾配(dA340/分)*反応物の体積(μL)/6220/0.55cm
(NADHP→NADのモルは1cmキュベットにおける1Lあたり1モルあたり6220 A340である)
(マイクロプレートにおける1ウェルあたり200μLの路長=0.55cm)
比活性(μモル/分−mg)=μモル/分/タンパク質濃度(mg)
マイクロプレートアッセイでは、20μLの無細胞抽出物を次の最終濃度の成分を含んだ反応混合物の各ウェルに30℃で添加した:0.2mMのNADH、50mMのTrisHCl pH7.5、2.0mmのMgCl2−6H2O、2.0MのATP、0.2MのPEP(ホスホエノールピルビン酸)、8.5mMのD−キシルロース、5U/mlのPK(ピルビン酸キナーゼ)、および5U/mlのLDH(乳酸デヒドロゲナーゼ)。A340を、3〜5分間、プレートリーダー上で読み取った。XI活性を以下のとおりに算出した:
1単位は、30℃における1分間あたりの1μモルのD−キシルロースからD−キシルロース−5−リン酸への形成に対応する。
U(μモル/分)=勾配(dA340/分)*反応物の体積(μL)/6220/0.55cm
(NADH→NADのモルは1cmキュベットにおける1Lあたり1モルあたり6220 A340である)
(マイクロプレートにおける1ウェルあたり200μLの路長=0.55cm)
比活性(μモル/分−mg)=μモル/分/タンパク質濃度(mg)
分析は、LC 3DのAgilent 1100シリーズHPLCおよびAgilent ChemStationソフトウェアで行った。カラムは、BioRad Micro−Guard Cartridge Cation−H(125−0129)を伴うBioRad Aminex HPX−87H(HPLC Organic Analysis Column 125−0140)であった。操作条件は以下のとおりであった:
キシロース発酵性ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)株の構築
同一出願人が所有しかつ同時係属中の米国特許出願公開第20080286870号明細書に記載のように、キシロース発酵性ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)の株を、連続的な転位事象を介して、キシロースイソメラーゼ、キシルロキナーゼ、トランスアルドラーゼおよびトランスケトラーゼをコードする4つのキシロース資化遺伝子を含有する2つのオペロン、PgapxylABおよびPgaptaltktをZW1(ATCC番号31821)のゲノムに組み込むことによって構築し、続いて、キシロースを含有する選択培地に適応した。以前に、米国特許出願公開第20030162271号明細書に記載の8bと呼ばれるキシロースを発酵させるザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)株を、相同組換えおよびトランスポゾンアプローチの組み合わせを介して、選択抗生物質マーカーと共に2つのオペロンPgapxylAxylBおよびPenotaltktをザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)5Cのゲノムに組み込むことによって構築し、続いて、適応およびNTG変異誘導を行った。新たな株の調製では、部位特異的相同組換えとは対照的に、転位(EpicentreのEZ::Tnインビトロ転位システム)を(このアプローチが利点として組み込み部位の複数の選択肢および比較的高い挿入頻度を付与するので)使用した。組み込みのため、キシロース資化酵素をコードする4つの遺伝子を2つの個別のオペロン:PgapxylABおよびPgaptaltktとして配置してクローニングした。2つのP1ファージCreリコンビナーゼ認識配列(loxP)によってフランキングされる抗生物質耐性マーカー、クロラムフェニコール耐性(Cmr)遺伝子を組み込み体の選択のために各オペロンに付加した。2つのオペロンの組み込みは2段階の連続様式により達成した:Pgaptaltkt、続いて、PgapxylAB。Cm耐性選択を両方の組み込みにおいて使用した。プラスミド上のCreリコンビナーゼを発現させ、各組み込み後にプラスミドのキュアリングを行うことによって除去されるからである。このプロセスにより、選択のために同じ抗生物質マーカーを複数回使用することが可能であった。さらに重要なことに、これによりオペロンの組み込みの選択のために導入される抗生物質マーカーの除去が可能であった。このプロセスにより商業的用途のための発酵株に対する抗生物質耐性遺伝子のネガティブな影響が排除された。
米国特許出願公開第20030162271号明細書(その明細書の実施例9)に記載のように、大腸菌(E.coli)由来のトランスケトラーゼ(tkt)コード領域を含有する2.2kbのDNAフラグメントを、BglII/XbaI消化によってpUCtaltkt(米国特許出願公開第20030162271号明細書)から単離し、そしてBamHI/XbaIで消化したpMOD(Epicentre Biotechnologies,Madison,WI)ベクターにクローニングし、pMODtktを得た。ザイモモナス・モビリス(Zymomonas mobilis)gap(Pgap;グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ)遺伝子のプロモーター領域を大腸菌(E.coli)トランスアルドラーゼのコード領域(tal)に次のとおりに融合することによって、Pgaptalと命名されるPCRフラグメントを作製した。配列番号13および14のプライマーを使用して、Pgapフラグメント(その構築については米国特許第5514583号明細書(実施例3)に記載されている)をpZB4から増幅した。pZB4は、Pgap−xylA/xylBオペロンおよびPeno−tal/tktオペロンを含有する。配列番号15および16のプライマーを使用して、talコード領域フラグメントを、pZB4から増幅した。テンプレートとしてPgapおよびtalフラグメントを使用し、配列番号17および18のプライマーを使用して、Pgaptalフラグメントを増幅した。このフラグメントをXbaIで消化し、そしてtktコード領域の上流のプラスミドpMODtktにクローニングした。Cmlox(F,sfi)およびCmlox(R,sfi)プライマー(配列番号19および20)ならびにテンプレートとしてpZB186を使用するPCRによって、loxP::Cmフラグメントを作製した。pZB186は、生来のZ.モビリス(Z.mobilis)プラスミド、ならびに米国特許第514583号明細書(実施例3)およびZhang et al.((1995)Science267:240−243)に記載のpACYC184の組み合わせである。最後に、loxP::CmPCRフラグメントを、Pgaptaltktを含有するプラスミドのSfiI部位に挿入し、組み込みプラスミドpMODPgaptaltktCmを形成させた。このプラスミドでは、Pgaptaltkt loxP::Cmフラグメントを、pMODベクターの2つのモザイク末端(mosaic end)(トランスポザーゼ結合部位)の間に挿入した。pMODPgaptaltktCmプラスミドの完全なヌクレオチド配列を、配列番号21として示す。
プラスミドpMODはpUCに基づくベクターであり、従って、ザイモモナス(Zymomonas)における非複製ベクターである。プラスミドpMODPgaptaltktCmを、Mg2+の存在下、室温で1時間、トランスポザーゼで処置し、そして(200オーム、25μFおよび16kV/cmに設定したBioRad Gene Pulserを使用する)エレクトロポレーションによって、ZW1細胞を形質転換するために使用した。エレクトロポレートした細胞を、50g/Lグルコースおよび1mMのMgSO4を補充した10g/L酵母抽出物、5g/Lトリプトン、2.5g/Lの(NH4)2SO4、0.2g/LのK2HPO4)からなる接合培地(mating medium)(MM)中、6時間、30℃でインキュベートした。形質転換混合物を、50g/Lグルコースおよび120μg/mLクロラムフェニコールを補充したMM中に15g/LのBacto寒天を含有する寒天プレート上にプレーティングし、そして30℃で嫌気的にインキュベートした。約2日間後、形質転換体が目視で認められた。形質転換/転位頻度は、約3×101/μgのDNAであった。
染色体からCmrマーカーを除去するため、T2、T3、T4およびT5をpZB188/Spec−Creで形質転換した。このプラスミドは、Creリコンビナーゼの発現カセットを含有するザイモモナス(Zymomonas)−大腸菌(E.coli)シャトルベクターpZB188[Zhang et al.(1995)Science267:240−243;米国特許第5514583号明細書]の誘導体である。pZB188/Spec−Creは、それがカナマイシン−耐性遺伝子の代わりにスペクチノマイシン−耐性遺伝子を有することを除いて、実施例10に記載されているCre発現ベクター(pZB188/Kan−Cre)と同一である。2%グルコースおよび200μg/mlスペクチノマイシン)を補充したMM寒天プレート上で、形質転換体を選択した。Spr耐性コロニーを拾い出して、2%グルコースおよび200μg/mlスペクチノマイシンを補充したRM寒天プレートおよび2%グルコースおよび120μg/mLのCmを補充したRM寒天プレート上に移した。採取したコロニーの100%がCmsであったことから、CreによるCmrの高い効率の切り出しが示された。SprCms形質転換体を、RM+2%グルコースにおいて、37℃、2〜5回の連日継代で培養し、pZB188aadACreFをキュアリングした。各継代時に、細胞を希釈し、そして拾い出して、200μg/mLのSpを伴うまたは伴わない同じ培地のさらなるプレートに移すために、RM+2%グルコース寒天プレート上にプレーティングした。PCRによってSpsコロニーを分析して、pZB188aadACreFの消失を確認した。組み込み体のプラスミドがキュアリングされた子孫を、T2C、T3C、T4CおよびT5Cと命名した。これらの転位組み込み体が安定であるかどうかを調べるために、これらの4つの株を、RM+2%グルコースにおいて増殖させ、次いで、10mlの同じ培地に移し、そして37℃で、2回反復測定の試験管において増殖させた。細胞を、10日間連日、または約100代まで継代した。1代および10代継代後、コロニーを希釈し、そしてコロニー単離のためにRMGプレート上にプレーティングした。試験した各株の各継代由来の12個のコロニーが、5’Pgapおよび3’tktプライマー(配列番号13および23)を使用するコロニーPCRによるPgaptaltktの存在についてポジティブであった。トランスアルドラーゼ活性およびトランスケトラーゼ活性もまた、(一般的方法に記載のとおりに)1代および10代の継代後の単離体について測定した。4つのすべての組み込み体は、非選択的倍地上の100代目後もTAL活性およびTKT活性の両方について同様のレベルを有したことから、これらの組み込み体が遺伝的に安定であることが示唆された。
次の工程は、ZW1::Pgaptaltkt組み込み体(T2C、T3C、T4CおよびT5C)にPgapxylAB loxP::Cmオペロンをさらに組み込むことであった。プラスミドpMODPgaptaltktCm(上記)に基づいて、組み込みプラスミドpMODPgapxylABCmを構築した。SacI/SfiI消化によってPgaptaltktDNAフラグメントを取り出した。SacI、NotI、およびSfiI制限部位を含有するアダプターフラグメントを、ライゲーションによって導入した。次いで、pZB4(米国特許第5514583号明細書)から単離したPgapxylABのNotIフラグメントを、アダプターのNotI部位にクローニングした。キシロースイソメラーゼ(XI)はxylAによってコードされ、そしてキシルロキナーゼ(XK)はxylBによってコードされる。pMODPgapxylABCmプラスミドの完全なヌクレオチド配列を、配列番号24として示す。
PgaptaltktCmの組み込みと同様のアプローチを使用して、T2C、T3C、T4CおよびT5Cを、トランスポザーゼで処置したpMODPgapxylABCm(上記)で形質転換/転位した。Cm選択後の2回の形質転換/転位実験で、6つの組み込み体(T3CCmX1、T3CCmX2、T3CCmX3、T4CCmX1、T5CCmX1、T5CCmX2)を得た。すべてについて、2つの組のプライマー:配列番号25、および26、ならびに配列番号15および16を使用するPCRによって、xylABの存在か確認されたが、但し、T2CcmX1およびT2CcmX6については、プライマー配列番号25および26を使用すると、PCRフラグメントが検出されなかった。
キシロース資化のための4つのすべての酵素活性が存在しているにもかかわらず、先の観察(米国特許出願公開第20030162271号明細書)では、組み込み体は、キシロース上で直ぐには増殖しないことが示された。キシロース上での増殖は、(試験管中またはプレート上のいずれかにおける)キシロース培地上での長期のインキュベーション、適応と呼ばれるプロセス後、生じ得る。
株ZW658の適応および選択
先に記載のように、RMX上、30℃での初期のZW1::PgaptaltktPgapxylABCm株の適応により、これらの条件における株の増殖が顕著に改善された。しかし、適応された株は、RMX(6%)における37℃での増殖および発酵の間、長い停滞を蒙る。より高い糖濃度および温度を含む好適なプロセス条件でのキシロース発酵のために組込み体をさらに改善するために、進化または適応プロセスを、RMX(5%)中37℃で継続させた。連続継代を行い、そして最も良好な資化増殖体を選択した。このプロセスで使用した組込み体は、X13aC、X13bC、X13cC、X26CおよびX13FLCを含んだ。これらの5つの株を、RMX中30℃で6継代増殖させた後、さらに5〜16代の継代のために、37℃でRMX(5%)に移した。すべての継代中および後、培養物をRMXプレート上に画線し、そして37℃でインキュベートして、単一のコロニーを単離した。大きなコロニーについてさらに、RMXプレート上での画線および37℃でのインキュベートを3〜4回行い、コロニーを精製した。最終的な大きなコロニーを、RMX(5%)における37℃での増殖試験のために選択した。
連続継代による適応後に単離した18個のコロニーを、はじめに、RMX(5%)試験管中、37℃で試験した。12の株を、第2の試験管評価のために選択した。比較のために、株8bをすべての評価に含めた。18個のコロニーを、RMGにおいて37℃で1晩増殖させ、遠心分離し、そして細胞を第1の評価のために試験管中4mlのRMX(5%)に37℃で静置状態で播種した。増殖(OD600、非線形的)およびエンドポイントのHPLC結果(低い残留キシロースおよび高エタノール)に基づいて、12の株を第2の評価のために選択した。
ペントースリン酸経路酵素活性のアッセイ
組み込まれた遺伝子によってコードされる4つのキシロース資化酵素(実施例1に記載)の活性を、(実施例1の)高度の糖および37℃における適応について選択された株のうち3つについて、一般的方法に記載のとおりに測定し、そして(実施例2の)さらに適応された株ZW658における同じ酵素の活性と比較した。結果を、μモルの産物/mgタンパク質/分で表し、表1に示す。
部分的に適応された株およびZW658におけるXYLABオペロンのプロモーター領域の配列比較
xylABを駆動するGAPプロモーター(Pgap)の制御下での両方の遺伝子の産物の酵素活性レベルの明確な変化がZW658をもたらす適応の結果として認められたため、部分的に適応された株(実施例1;その後株番号ZW641が与えられた)およびZW658由来のそのオペロンのプロモーター領域をPCRによって増幅し、そして配列決定した。PCRフラグメントを、recGコード領域由来の順方向PCRプライマー(PC11;配列番号27)(ここにPgapxylABオペロンを組み込んだ)およびxylAコード領域由来の逆方向プライマー(PC12;配列番号28)を使用して、調製した。得られた961bpのPCR産物を、プライマーLM121、LM122、およびLM123(配列番号29、30、および31)を使用して配列決定した。ZW641由来のプロモーター配列を配列番号3に示し、そしてZW658由来のプロモーター配列を配列番号4に示す。これらのプロモーター配列は、両方とも、Z.モビリス(Z.mobilis)株CP4におけるPgapの公開された配列(配列番号1)とは1箇所の位置において異なることを見出した:GAPコード領域のATG開始コドンから数えて上流の5’末端の方向へ−21位の次の(Tの)1塩基欠失である。この配列の変化は両方の株に存在するため、それは、ZW641のPgapとZW658のPgapとの間の発現の差異に寄与しない。この共通の変化に加えて、ZW641およびZW658のPgap配列の間に1塩基対の差異も認められた。ZW641株由来の配列におけるXylAのコード領域開始ATGに対する−189位のGが、ZW658由来の配列ではTに置き換えられた。2つの配列の間ではそれ以外の違いは認められず、そしてGAPプロモーター領域におけるこの1つの塩基変化による発現レベルの違いが、そのプロモーターの制御下の遺伝子によってコードされる両方のタンパク質に見出された酵素活性の増加を担うようであった。
Z.モビリス(Z.mobilis)ZW641においてXYLA/Bオペロンを駆動する同じPGAPを有するZ.モビリス(Z.mobilis)のためのキシロースイソメラーゼ発現ベクターの構築
出発物質として大腸菌(E.coli)/Z.モビリス(Z.mobilis)シャトルベクター(pZB188)を使用して、以下に記載のように、スペクチノマイシンに対する耐性およびZ.モビリス(Z.mobilis)における大腸菌(E.coli)キシロースイソメラーゼの発現を付与するプラスミド構築物(pZB188/aada−GapXylA;ここで、Gapはプロモーターを表す)を作製した(図6A)。pZB188の構築に関与する工程については、米国特許第5,514,583号明細書に開示されている。簡単に説明すると、この7008bpのプラスミドは、2つの異なる複製開始点を、大腸菌(E.coli)およびZ.モビリス(Z.mobilis)に対して1つずつ有するため、それぞれの細菌種において複製することが可能である。pZB188はまた、テトラサイクリン(すなわちTCr−カセット)に対する耐性を付与するDNAフラグメントも含む。pZB188/aada−GapXylAの構築における第1の工程は、pZB188からTcr−カセットを取り出し、そしてそれを、スペクチノマイシンに対する耐性を付与するDNAフラグメント(即ち、Specr−カセット)で置き換えることであった。以下に詳細に説明するように、pZB188からTcr−カセットを切り出すために、プラスミドをClaIおよびBssHIIで切断し、そして得られた大きなベクターフラグメントを、アガロースゲル電気泳動によって精製した。テンプレートしてプラスミドpHP15578(Cahoon et al,(2003)Nature Biotechnology 21:1082−1087)ならびにプライマー1(配列番号32)および2(配列番号33)を使用して、PCRによってSpecr−カセットを作製した。プラスミドpHP15578は、Specr−カセットおよびそのプロモーターの完全なヌクレオチド配列を含有し、3’(9)−O−ヌクレオチジルトランスフェラーゼをコードするトランスポゾンTn7 aadA遺伝子(GenBank受託番号X03043)の公開された配列に基づく。
プライマー1(配列番号32)
CTACTCATTTatcgatGGAGCACAGGATGACGCCT
プライマー2(配列番号33)
CATCTTACTacgcgtTGGCAGGTCAGCAAGTGCC
Z.モビリス(Z.mobilis)ZW658およびZW801−4においてXYLA/Bオペロンを駆動する同じPGAPを有する大腸菌(E.coli)キシロースイソメラーゼ発現ベクターの作製
プラスミドpZB188/aadA−801GapXylAは、pZB188−aadA−641GapXylA(図6C)と同一であるが、ZW658において大腸菌(E.coli)XylA/Bオペロンの発現を駆動するPgapの−189位に存在するG→T変異に対応するPgapにおける1つのbp置換を有する。同じ点変異が、以下に記載のようにZW658から連続的に誘導された株ZW800およびZW801−4にも存在する。ZW800およびZW801−4の構築および特徴付けについては、同一出願人が所有しかつ同時係属中の米国特許出願公開第20080286870号明細書に詳述されている。ZW800は、この活性を不活化するグルコース−フルクトースオキシドレダクターゼ(GFOR)酵素をコードする配列へのスペクチノマイシン耐性カセットの二重交差挿入を有するZW658の誘導体である。ZW801−4は、部位特異的組換えによってスペクチノマイシン耐性カセットが欠失され、タンパク質を未成熟にトランケートするインフレームの終止コドンが後に残ったZW800の誘導体である。これらの操作のいずれも、ZW658においてXylA/Bオペロンを駆動する変異Pgapプロモーターのヌクレオチド配列を変異しなかった。それ故、「801GAPプロモーター」とは、次の株:ZW658、ZW800、およびZW801−4に存在するプロモーター配列を指す。
プラスミドpMOD−リンカーの前駆体は、EPICENTRE(登録商標)から市販されているpMODTM−2<MCS>Transposon Construction Vector(カタログ番号MOD0602)であった。図7Aに示すように、pMODTM−2<MCS>は、アンピシリン耐性遺伝子(ampR)、大腸菌(E.coli)複製開始点(ori)、およびTn5トランスポザーゼが相互作用する2つのモザイク末端(ME)の間に位置するマルチクローニング部位を有する。pMOD−リンカーの構築における第1の工程は、pMOD2−<MCS>における本来のマルチクローニング部位を取り出すことであったが、これは、それを、AsiSi、FseIおよびSbfIに独特の制限部位を有する新たなマルチクローニング部位で置き換えることであった。これは、プラスミドをEcoRIおよびHindIIIで切断し、そしてアガロースゲル電気泳動により大きな(約2.5Kbpの)ベクターフラグメントを精製することによって行った。次いで、新たなマルチクローニング部位を、両方ともそれらの5’末端でリン酸化された2つの合成オリゴヌクレオチド、リンカーB(配列番号35)およびリンカーT(配列番号36)を共にアニーリングすることによって、作製した。
スペクチノマイシンに対する耐性(Specr)を付与し、そして両方の末端において野生型loxP部位を有するDNAフラグメントを、上記のpMOD−リンカー構築物のAsiSI部位とFseI部位との間に挿入した。loxPフランキングSpecrカセットの供給源は、米国特許出願第11/862566号明細書に詳述されているプラスミドpLDHSp−9WW(図8)であった。第1の工程では、MOD−リンカープラスミドDNAを、FseIおよびAsiSIで連続的に消化し、そしてZymo Research Corporation(カタログ番号DO4003)から購入したDNA Clean&ConcentratorTM−5スピンカラムキットを使用して、大きなベクターフラグメントを精製した。次に、プラスミドpLDHSp−9WWもまた、同じ2つの酵素で二重消化し、そしてloxPフランキングSpecrカセットを含有する小さな(約1.1Kbpの)DNAフラグメントを、アガロースゲル電気泳動によって精製した。次いで、2つのDNAフラグメントを共に連結し、そしてエレクトロポレーションを使用して、形質転換反応混合物を、大腸菌(E.coli)DH10Bに導入した。形質転換体を、アンピシリン(100μg/ml)およびスペクチノマイシン(100μg/ml)を含有するLB培地上に置き、そして増殖は37℃であった。次いで、プラスミドDNAを、正確なサイズのDNAフラグメントを含有するアンピシリン耐性コロニーのうちの1つから単離し、そしてこれを以後の操作に使用した。構築物(以下、「pMOD−リンカー−Spec」と称する)の環状図を図7Cに示す。
Pgap全体、XylAコード領域、ならびにXylAおよびXylBオープンリーディングフレームの間に存在するステムループ領域を含有するDNAフラグメントを、プライマー3および4(それぞれ、配列番号37および38)ならびに再懸濁した細胞をテンプレートとして使用して、ZW801−4からPCR増幅した。既に記載のように、DNA配列解析により、ZW801−4は、組み込まれた大腸菌(E.coli)XylA/Bオペロンの発現を駆動するPgapプロモーターにおいて−189位でZW658と同じG→T点変異を有し、そして両方の株のPgapが同一であることが示された。
プライマー3(配列番号37)
TCACTCATggccggccGTTCGATCAACAACCCGAATCC
プライマー4(配列番号38)
CTACTCATcctgcaggCCGATATACTTATCGATCGTTCC
実施例6の最初の段落に記載のように、pZB188−aadA−801GapXylAは、pZB188−aadA−641GapXylAに同一なZ.モビリス(Z.mobilis)の大腸菌(E.coli)キシロースイソメラーゼ発現ベクターであるが、それは、ZW658(およびZW801−4)において組み込まれたPgap−XylA/Bオペロンの発現を駆動するPgapにおける同じG→T置換を有する。このプラスミドを構築するため、pMOD−リンカー−Spec−801GapXylA(図10A)をMluIおよびSalIで二重消化し、そしてより小さなDNAフラグメント(約1100bp)を、アガロースゲル電気泳動およびZymoclean Gel DNA Recovery Kit(カタログ番号D4001、Zymo Research)を使用して、精製した。このフラグメントは、PgapのG→T置換およびXylA ORFの一部を含有するが、後者の構築物を同じ2つの酵素で切断し、そして大きなベクターフラグメントをアガロースゲル電気泳動によって精製した後、pZB188−aadA−641GapXylA(図10B)において対応するフラグメントを置き換えるために使用した。次いで、2つのフラグメントを共にライゲートし、そしてエレクトロポレーションを使用して、ライゲーション反応混合物を、大腸菌(E.coli)DH10Bに導入した。形質転換体を、スペクチノマイシン(100μg/ml)を含有するLB培地上でプレーティングし、そして増殖は37℃であった。プラスミドDNAをスペクチノマイシン耐性コロニーから単離し、そしてPgapプロモーターG→T置換の存在を、DNA配列解析によって確認した。以後の操作に使用したプラスミド(「pZB188−aadA−801GapXylA」)を図10Cに示す。
ZW641における大腸菌(E.coli)キシロースイソメラーゼの過剰発現
表1における酵素活性測定値は、ZW641からZW658へのトランジション中にキシロースイソメラーゼ活性およびキシルロキナーゼ活性が劇的に増加することを示す。キシロースイソメラーゼが、ZW641におけるキシロース上での増殖の律速酵素であるという仮説を試験するため、マルチコピープラスミド、pZB188/aadA−641GapXylA(図6C)を使用して、酵素をこの株において過剰発現させた。この実験のコントロールは、Pgap−大腸菌(E.coli)キシロースイソメラーゼ発現カセットを欠くマルチコピープラスミドpZB188/aadAで形質転換されたZW641であった(図6B)。これらの両方のプラスミドの構築については、実施例5に記載されており、そして形質転換プロトコルは、本質的に、同一出願人が所有しかつ同時係属中の米国特許出願公開第20080187973号明細書の実施例5に記載のとおりであった。簡単に説明すると、エレクトロポレーションを使用して、非メチル化プラスミドDNA(dcm-およびdam-株である大腸菌(E.coli)SSC110から単離された)をZW641に導入し、そして形質転換細胞を、200μg/mlスペクチノマイシンを含有するLB培地上にプレーティングした。嫌気条件下30℃で48時間の培養期間後、各プラスミドについて、3つの初代形質転換体を無作為に選択し、そしてこれらを、さらなる特徴付けのために同じ増殖培地を含有する寒天プレート上にパッチした(移した)。
ZW641における大腸菌(E.coli)キシロースイソメラーゼのトランスポゾン仲介組み込み
ZW641および2つのプラスミド構築物(pMOD−リンカー−Spec−801GapXylAおよびpMOD−リンカー−Spec−641GapXylA)を使用して、ZW658において組み込まれたXylA/Bオペロンの発現を駆動するG→T置換を伴うPgapプロモーター(以後、「801GAPプロモーター」と称する)が、ZW641における対応するプロモーター(以後、「641GAPプロモーター」と称する)より強力であるという仮説を試験した。ZW641は、キシロース上ではほとんど増殖することができず、そしてこの株においてキシロースイソメラーゼが過剰発現すると、キシロース上での増殖がより速くなる(実施例7、図11および12)ため、ZW641をこれらの実験に選択した。基本理念は、(641GAPプロモーターまたは801GAPプロモーターによって駆動される)大腸菌(E.coli)キシロースイソメラーゼ遺伝子の追加のコピーをZW641の染色体へ導入すること、およびどちらの構築物がキシロース上で最も速く増殖するかを調べることであった。Epicentreのトランスポソーム技術を使用して、2つのキメラ遺伝子の染色体組み込みを達成した。
Z.モビリス(Z.mobilis)におけるリボース5−リン酸イソメラーゼの641GAPプロモーターより高い発現レベルを指令する801GAPプロモーター
801GAPプロモーターが、実際に、641GAPプロモーターより強力である場合、発現に対するその刺激効果は、大腸菌(E.coli)キシロースイソメラーゼ遺伝子に限定されるべきではなく、そしてこのプロモーターを伴う他のタンパク質の発現もまた増強されることが予想される。この重要な問題に取り組むために、リボース5−リン酸イソメラーゼ(RPI)をコードするZ.モビリス(Z.mobilis)遺伝子を、両方のプロモーターに融合し、そしてキメラ遺伝子を、Z.モビリス(Z.mobilis)において複製するマルチコピープラスミドに挿入した。得られたPgap−RPI発現プラスミド(pZB188/aadA−641GapRPIおよびpZB188/aadA−801GapRPI)をZ.モビリス(Z.mobilis)に導入し、そしてRPI発現レベルを、下記のようにSDS−PAGEによって分析した。
プラスミドpZB188aadA/Gap/Zymo RPI/EcoliSLは、本発明において使用した2つのPgap−RPI発現プラスミドの構築において重要な中間体であった。図14に示すように、このプラスミドは、独特なNcoI部位とXhoI部位との間に局在するZ.モビリス(Z.mobilis)リボース5−リン酸イソメラーゼ(RPI)遺伝子の発現カセットを含有する。下記のオーバーラップPCR技術を使用して、全長641GAPプロモーター配列(配列番号34のnt316〜619)およびZ.モビリス(Z.mobilis)RPI遺伝子の全オープンリーディングフレームを含有するキメラ遺伝子であるRPI発現カセットを作製した。RPI ORFは、Z.モビリス(Z.mobilis)ゲノム(GenBank受託番号AE008692)のnt1224730〜1225203に対応し、そしてRPIの開始コドンは、641GAPプロモーターの3’−末端に直接融合される。
プライマー5(配列番号39)
CATGccatggGAGCTCGTTCGATCAACAACCCGAATCCTA
プライマー6(配列番号40)
CACAGCAGAGGTCACGTTTATTCTCCTAACTTATTAAGTAGC
プライマー7(配列番号41)
GTTAGGAGAATAAACGTGACCTCTGCTGTGCCATCAAA
プライマー8(配列番号42)
CCGctcgagCTAGATATTGAACTGAGGATTCGAAA
pZB188/aadA−641GapRPIおよびpZB188/aadA−801GapRPIは、Z.モビリス(Z.mobilis)のPgap−RPI発現プラスミドであり、それらは、後者の構築物が、801GAPプロモーターと641GAPプロモーターとを区別するG→T置換を有することを除いて同一である。pZB188aadA/Gap/Zymo RPI/EcoliSL由来の1240bpのDNAフラグメントを使用して、pZB188/aadA−641GapXylA(図6C)をpZB188/aadA−641GapRPI(図15B)に、そしてpZB188/aadA−801GapXylA(図10C)をpZB188/aadA−801GapRPI(図15C)に変換した。DNAのこの部分は、pZB188aadA/Gap/Zymo RPI/EcoliSLをAsiSIおよびNheIで切断し、そしてアガロースゲル電気泳動によって、より小さなフラグメントを精製することによって、作製した。図15Aに示すように、pZB188aadA/Gap/Zymo RPI/EcoliSLは、独特なAsiSIおよびNheI制限部位を有し、そして同じ部位が、pZB188/aadA−641GapXylAおよびpZB188/aadA−801GapXylAにも存在する。AsiSIは、801GAPプロモーターと641GAPプロモーターとを区別するG→T置換より下流のPgapにおいて、3つのすべてのこれらのプラスミドを切断すること、およびNheIは、XylAまたはRPI終止コドンより約700bp下流のプラスミド骨格を切断することに留意すること。従って、pZB188aadA/Gap/Zymo RPI/EcoliSLから得られた1240bpのDNAフラグメントは、641Gapプロモーターおよび801Gapプロモーターが共有するDNAの小さなストレッチ、全RPIオープンリーディングフレームおよび安定化XylAステムループ領域を含有する。
エレクトロポレーションおよび非メチル化プラスミドDNAを使用して、上記の2つのPgap−RPI発現ベクター(pZB188/aadA−641GapRPIおよびpZB188/aadA−801GapRPI)を、野生型Z.モビリス(Z.mobilis)株ZW1に導入した。形質転換細胞を、MMG培地(50g/Lグルコース、10g/L酵母抽出物、5g/Lのトリプトン、2.5g/Lの(NH4)2SO4、0.2g/LのK2HPO4、および1mMのMgSO4)ならびに200μg/mlのスペクチノマイシンを含有する1.5%寒天プレート上、30℃で嫌気的に増殖させた。641GAP−RPIプラスミド(641gapRpi#1および641gapRpi#2)を含有する無作為に選択された2つのコロニー、ならびに801GAP−RPIプラスミド(801gapRpi#1および801gapRpi#2)を所有する2つのコロニーを、同じ増殖培地を含有する1.5%寒天プレート上にパッチし、そしてプレートを、嫌気条件下で約24時間、30℃でインキュベートした。このプレートを使用して、RPI発現実験のための種培養を開始した。
キシロース資化Z.モビリス(Z.mobilis)の独立して適応させた株の導入遺伝子GAPプロモーター領域の酵素活性および配列比較
また、ZW658に類似の遺伝子導入および株適応の経過を使用して、株8b(実施例1および米国特許出願公開第20030162271号明細書)を得たため、ペントースリン酸経路の導入遺伝子活性およびPgapxylABオペロンの配列を、この独立した株の産生について部分的およびより完全に適応された株で比較した。部分的適応株8XL4および最終適応株8bにおけるPgapxylABオペロンの産物の酵素活性を、一般的方法に記載の技術を使用して測定し、そしてμモルの産物/mgタンパク質/分で表した結果を表2に示す。
更に本発明の具体的実施態様を以下に列挙する。
(1)116位、217位、並びに、116位および217位の両方、からなる群から選択される位置において塩基置換を含むZ.モビリス(Z.mobilis)グリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼ遺伝子プロモーターを含む単離された核酸分子であって、前記位置番号は配列番号1における番号であり、前記プロモーターが改善されたプロモーターである、前記核酸分子。
(2)塩基置換が、
a)116位におけるGからTへの置き換え;および
b)217位におけるCからTへの置き換え
である、(1)に記載の単離された核酸分子。
(3)配列番号4、5、6、7、8、9、10、11、および12からなる群から選択される配列を含む、(2)に記載の単離された核酸分子。
(4)異種核酸分子に作動可能に連結された(1)に記載の単離された核酸分子を含む、キメラ遺伝子。
(5)異種核酸分子がタンパク質またはペプチドをコードする、(4)に記載のキメラ遺伝子。
(6)異種核酸分子が、アンチセンスRNA、リボザイム、および干渉RNAからなる群から選択される調節RNA分子をコードする、(4)に記載のキメラ遺伝子。
(7)(1)に記載の単離された核酸分子を含むベクター。
(8)(2)に記載の単離された核酸分子を含むベクター。
(9)(3)に記載の単離された核酸分子を含むベクター。
(10)(1)に記載の単離された核酸分子を細胞に導入する工程を含む、ザイモモナス(Zymomonas)細胞およびザイモバクター(Zymobacter)細胞からなる群から選択される細菌細胞を形質転換する方法。
(11)(2)に記載の単離された核酸分子を細胞に導入する工程を含む、ザイモモナス(Zymomonas)細胞およびザイモバクター(Zymobacter)細胞からなる群から選択される細菌細胞を形質転換する方法。
(12)(3)に記載の単離された核酸分子を細胞に導入する工程を含む、ザイモモナス(Zymomonas)細胞およびザイモバクター(Zymobacter)細胞からなる群から選択される細菌細胞を形質転換する方法。
(13)導入する工程が、(1)に記載の単離された核酸分子を細胞のゲノムに組み込むか、または細胞内の安定に複製するプラスミド上で維持する工程を含む、(10)に記載の方法。
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