JP5442287B2 - タキサンアミン塩を生成する方法 - Google Patents

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Description

(関連出願の相互参照)
本出願は、2002年8月4日に提出された米国仮出願第60/401,191号からの優先権を請求する。本出願は、参照としてその全体が本明細書に組み入れられている。
本発明は、タキサンアミドをパクリタキセルまたは他のタキサンに変換する新規なプロセスに関する。
パクリタキセルなどのタキサン、およびバイオマスに由来するまたは半合成的な他の化合物は、著しい抗癌特性を有することが確認されている。さまざまな種類の癌に対する特定のタキサン(たとえば、パクリタキセル)の有望な臨床活性のために、パクリタキセル誘導体および類似体を含むパクリタキセルおよび他のタキサン分子を調製する各種の方法に持続的な要求がある。パクリタキセル誘導体および類似体の調製は、パクリタキセルに匹敵する、またはパクリタキセルより大きい有効性、優れた生物学的利用能、および/またはより少ない副作用を備えた化合物の合成を引き起こすことが考えられている。タキサン分子の1つまたはタキサン分子の混合物の、別のタキサン分子への相互変換は、その生物特性のさらなる研究のために、各種のパクリタキセル誘導体および類似体を提供する1つの経路を提供する。
加えて、パクリタキセルおよび他のタキサン分子を入手する補給および費用は常に懸念事項であった。パクリタキセルを製造するために、3つの方法が存在する。第一の方法は、イチイ種などのバイオマス源から、または各種の発酵培養液から天然パクリタキセルを分離することによる。第二の方法は、関連する天然タキサン化合物から開始する半合成により、第三の方法は、全合成による。最初の2つの方法のみが、経済的に実施可能である。第二の方法はさらに、開始タキサン化合物によって複数の手法に分割できる。どんな場合でも、パクリタキセルまたは他のタキサンを製造する改良方法は、非常に重要である。
Murrayらは、タキソールA、タキソールB、およびタキソールCを、タキソールAまたはドセタキセルを変換するプロセスについて述べている(米国特許第5,679,807号および第5,808,113号)。プロセスは一般に、イミンを生成する、Schwartz試薬を用いた、十分に保護されたタキサン分子のC−3’アミド基の還元性脱酸素化を含み、イミンの第1級アミンへの加水分解がそれに続く。続いての塩化ベンゾイルまたはtert−ブチルオキシカルボニル無水物を用いた第1級アミンのアシル化は、タキソールAまたはドセタキセルをそれぞれ生成することができる。
別の例において、Kingstonらは、タキソールBのC−13側鎖上の2−メチル−2−ブテノイル基をベンゾイル基によって置換することによる、タキソールBのパクリタキセルへの変換について述べている(米国特許第5,319,112号)。この方法は一般に、順番に:2−メチル−2−ブテノイル基の水素化、C−2’ヒドロキシル基のベンゾイル化、C−7ヒドロキシル基の、そのトリクロロエチルオキシカルボニル基としての保護、C−3’アミド官能基の塩化オキサリルとの反応と、それに続く水の添加、C−3’位置で遊離アミンを生成するジフェニルカルボジイミドとの反応と、それに続くC−2’ヒドロキシル基からのベンゾイル基のアシル移動、およびトリクロロエチルオキシカルボニル基の除去を含む。
なお、別の例において、2003年4月5日に提出された、「タキサン分子の変換(Conversion of Taxane molecules)」という題の国際出願番号第PCT/US03/10557号は、タキサン分子のC−3’位置でのアミド基の還元的に脱酸素化と、それに続くC−2’からC−3’位置へのアシル基の移動のための方法および組成物について述べている。そのような方法は一般に、2’ヒドロキシルをアシル化するステップと;イミン化合物を形成するために、タキサン分子を還元的に脱酸素化するステップと;第1級アミン化合物を形成するために、イミン化合物を加水分解するステップと;次に、アシル移動を実施するために、第1級アミン化合物に塩基を接触させるステップと;を含む。
それゆえ、タキサン分子を、さらに有効性の抗癌化合物である他のタキサン分子に変換する、他の合成方法に対する要求がなおある。パクリタキセルまたは他のタキサンの製造に有用であるタキサン分子、類似体およびその中間体を含む、化学化合物に対する要求もある。
したがって、本発明は、タキサンアミドを、これに限定されるわけではないが、図16および図17に挙げたタキサンを含む、パクリタキセルまたは他のタキサンに変換する改良方法に関する。本発明のプロセスは、これに限定されるわけではないが、タキサンの製造に有用であるタキサンアミン硫酸塩を含む、新しいタキサン中間化合物も生成する。
1つの実施形態において、本発明は、タキサン分子を、図1に示す式(式中、Rは水素であり;Rは水素、アシル基またはヒドロキシル保護基であり;Rはアセテート基であり;Rは水素、アルキル基、アリール基、エステル基、エーテル基、グリコシド基、オキソ基、またはヒドロキシル保護基であり;R10は水素、アルキル基、アリール基、エステル基、エーテル基、またはヒドロキシル保護基であり;R2’は水素、ヒドロキシル保護基、アルキル基、アリール基、エステル、エーテル基、またはビニル基であり;Rは水素またはアルキル基であり;RACはアルコキシ基、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、エーテル基、複素環基、アシル基、またはビニル基である)を有するタキサンアミドに;図2に示す式(式中、R、R、R、R、R10、R2’、RおよびRACは上で定義したとおりである)を有する別のタキサン分子に変換する方法を提供する。
好ましいRAC基は、既知のタキサン化合物およびその誘導体の基、たとえばフェニル、1−メチル−1−プロペニル、n−ペンチル、n−プロピル、1−メチルプロピル、ベンジル、2−フラニル、およびtert−ブトキシである。加えて、好ましいタキサン化合物は、上で説明した式(式中、Rは水素であり;Rはベンゾイル基であり;Rはアセテートであり;Rは水素であり;R10は水素またはアセテート基であり;Rは水素である)を有するタキサン化合物を含む。
この方法は、一般に、次のステップ:(i)イミン化合物を形成するために、タキサンアミド化合物またはタキサンアミド化合物の混合物を、ヒドロキシル基保護を用いて、または用いずに還元的に脱酸素化するステップ;(ii)タキサンアミン塩を形成するために、イミン化合物を加水分解するステップ;(iii)新しいまたは単一のタキサンアミド化合物を形成するために、アミンのアミノ基を反応させるステップ;の1つ以上を含む。好ましくは、タキサン分子の変換は、中間体、すなわちイミン化合物およびタキサンアミン塩の1つ以上の単離なしで起こり、それによってパクリタキセルまたは他のタキサンを製造するための効率的で、コスト効果のある合成方法が提供される。
1つの別の実施形態において、還元的脱酸素化は好ましくは、一般にSchwartz試薬として既知の、ジルコノセンクロライドヒドリド(ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロライドヒドリド)などのジルコニウムヒドリド化合物を使用して実施する。好ましくは、約3モル当量以上のジルコノセンクロライドヒドリドを使用する、および/または反応温度を約15℃以下に維持する。
1つの別の実施形態において、本発明は、アミド官能基を含有するタキサンをパクリタキセルまたは他のタキサン分子に変換するプロセスに関する。1つの別の実施形態において、本発明は、少なくとも1つのOH保護または非保護タキサンまたアミド官能基を含むタキサンの混合物を、第一の溶媒、好ましくはテトラヒドロフラン中で遷移金属還元剤、好ましくはジルコノセンクロライドヒドリド(Schwartz試薬)の還元的脱酸素化量と第一に接触させることによって実施される。この反応は、OH保護または非保護イミンを生じる。溶液中に残っているジルコニウム塩の実質的な量は、キレート化剤、好ましくはビシンの適切な量を接触させることによって除去できる。他のキレート化剤、たとえばEDTA、ニトリロトリ酢酸、およびTiron(登録商標)も使用できる。
得られたイミンを、次に、タキサンアミン塩を生じさせるために、酸、好ましくは硫酸の加水分解量に接触させることによって加水分解する。この塩は、第二のより極性の低い溶媒または貧溶媒、好ましくはメチルtert−ブチルエーテルの適切な量を添加することによって、凝固させられる。本明細書で使用するように、「より極性の低い溶媒」または「貧溶媒」という用語は、タキサンアミドをタキサンイミンに変換させるのに使用される溶媒よりも極性が低い溶媒を意味する。他のより極性の低い溶媒、たとえばジクロロメタン、ヘプタン、ヘキサン、トルエンまたはトリフルオロトルエンも使用できる。
凝固ステップは、反応混合物中の実質的にすべての中性化合物および他の不純物が溶液中に残っているという点で、タキサンアミン塩を精製する役割を果たす。タキサンアミンは、ベンゾイル化剤、好ましくは塩化ベンゾイルとそれを接触させることによって、パクリタキセルまたは他のタキサンに変換できる。適切なベンゾイル化剤は、2003年2月4日に提出された米国特許出願第60/444,847号に述べられている。この出願は、その全体が参照として本明細書に組み入れられている。
1つの別の実施形態において、本発明のプロセスは、実質的に精製されたタキサンを提供する。別の実施形態において、得られたタキサンは少なくとも純度70%、純度70%〜90%、純度75%〜95%、または純度90%〜95%である。所望ならば、得られたタキサンは、当業界で既知の他の方法によってさらに精製できる。
本発明の上述および他の特徴および利点は、以下の説明、図および請求項から理解されるであろう。
本発明での使用のための、非制限的で例示的なタキサンを示す。 本発明によって製造された、非制限的で例示的なタキサンを示す。 塩基性バッカチンIII構造を有する非制限的で例示的な化合物を示す。 塩基性バッカチンIII構造を有する非制限的で例示的な化合物を示す。 塩基性バッカチンIII構造を有する非制限的で例示的な化合物を示す。 本発明での使用のための、非制限的で例示的なタキサンを示す。 本発明での使用のための、非制限的で例示的なタキサンを示す。 本発明での使用のための、非制限的で例示的なタキサンを示す。 本発明の、非制限的で例示的なタキサンイミンおよびイミナム化合物を示す。 本発明の、非制限的で例示的なタキサンイミンおよびイミナム化合物を示す。 本発明の、非制限的で例示的なタキサンアミン塩を示す。 タキサンアミド分子の少なくとも1つのヒドロキシル基を保護する、非制限的で例示的な別の実施形態を示す。 保護されたタキサンアミドをジルコノセンクロライドヒドリド(Schwartz試薬)によって還元する、別の実施形態を示す。 保護されたタキサンアミドを加水分解する、別の実施形態を示す。 タキサンアミンをベンゾイル化する、別の実施形態を示す。 本発明によって製造された、非制限的なタキサン分子を示す。 図16に続いて、本発明によって製造された、非制限的なタキサン分子を示す。 本発明の非制限的な別の実施形態を示す。 本発明での使用のための、Schwartz類似体の非制限的な例を示す 硫酸を用いた第1級アミン塩のエレクトロスプレーイオン化質量スペクトルを示す。 硫酸を用いた第1級アミン塩ES−MS/MS質量スペクトルを示す。
本発明は、部分的に、還元的脱酸素化、加水分解およびアシル化を使用して実現されるタキサン分子の相互変換のための、効率的な合成経路の発見に基づいている。特に本発明の方法は、タキサン分子の混合物の、1つの特定のタキサン分子への変換に有用性を有する。
本明細書で使用するように、「アルコキシ基」は酸素原子に結合した直鎖、分岐、または環状飽和炭化水素を意味する。好ましくは、アルコキシ基は、1〜6個の炭素原子を有する。アルコキシ基は、アルカノイルオキシ基、アルケニル基、アルキル基、アルキルシリル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルホキシ基、アルキルチオ基、アルキニル基、アミノ基、たとえばモノ−およびジ−アルキルアミノ基ならびにモノ−およびジ−アリールアミノ基、アミド基、アリール基、アリールアルキル基、カルボキシ基、カルボキシアルコキシ基、カルボキシアミド基、カルボキシラート基、ハロアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスフェート基、シロキシ基、サルフェート基、スルホンアミド基、スルホニルオキシ基、およびこれらの組合せなどの置換基を含む、置換アルコキシ基も指す。アルコキシ基の好ましい例は特に、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、シクロプロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、sec−ブトキシ、tert−ブトキシ、シクロブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ネオ−ペントキシ、シクロペントキシ、ヘキソキシ、およびシクロヘキソキシを含む。
本明細書で使用するように、「アルキル基」は直鎖、分岐、または環状飽和炭化水素を意味する。好ましくは、アルキル基は、1〜6個の炭素原子を有する。アルキル基は、アルカノイルオキシ基、アルケニル基、アルキル基、アルキルシリル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルホキシ基、アルキルチオ基、アルキニル基、アミノ基、たとえばモノ−およびジ−アルキルアミノ基ならびにモノ−およびジ−アリールアミノ基、アミド基、アリール基、アリールアルキル基、カルボキシ基、カルボキシアルコキシ基、カルボキシアミド基、カルボキシラート基、ハロアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスフェート基、シロキシ基、サルフェート基、スルホンアミド基、スルホニルオキシ基、およびこれらの組合せなどの置換基を含む、置換アルキル基も指す。好ましい置換基は、アルコキシ基、アミノ基、たとえばジアルキルアミノ基、ジアリールアミノ基、カルボン酸含有基、ハロアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、およびスルホン酸基である。好ましいアルキル基の例は、これに限定されるわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、シクロプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、シクロブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、1−エチルプロピル、シクロペンチル、ヘキシル、およびシクロヘキシルを含む。
本明細書で使用するように、「アリール基」は、場合により置換されるフェニル基またはナフチル基を意味する。アリール基の置換基の例は、これに限定されるわけではないが、アルカノイルオキシ基、アルケニル基、アルコキシ基、アルキルシリル基、アルキルスルホニル基、アルキルスルホキシ基、アルキルチオ基、アルキニル基、アミノ基、たとえばモノ−およびジ−アルキルアミノ基ならびにモノ−およびジ−アリールアミノ基、アミド基、アリール基、アリールアルキル基、カルボキシ基、カルボキシアルコキシ基、カルボキシアミド基、カルボキシラート基、ハロアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、ホスフェート基、シロキシ基、サルフェート基、スルホンアミド基、スルホニルオキシ基、およびこれらの組合せなどを含む。好ましい置換基は、アルコキシ基、アルキル基、アミノ基、たとえばジアルキルアミノ基およびジアリールアミノ基、カルボン酸含有基、ハロアルキル基、ハロゲン、ヒドロキシル基、ニトリル基、ニトロ基、およびスルホン酸基である。
本明細書で使用するように、「アリールアルキル基」は、アルキル基に結合したアリール基を意味する。アリールアルキル基の例は、ベンジル基である。
本明細書で使用するように、「塩基性バッカチンIII構造」は、図3に示す式(式中、R、R、R、R、R10およびR13は独立して水素、アルキル基、アシル基、アリール基、アリールアルキル基、ビニル基、エーテル基、エステル基、グリコシド基、オキソ基、またはヒドロキシル保護基である)を有する化合物である。塩基性バッカチンIII構造の定義に含まれるのは、図4に示す式を有するバッカチンIII、および図5に示す式(式中、Acはアセチルまたはアセテート基(CHC(O)−)であり、Bzはベンゾイル基(PhC(O)−またはCC(O)−))を有する10−デアセチルバッカチンIIIである。
本明細書で使用するように、「エステル基」は、エステル官能基、すなわち−C(O)O−を有する直鎖、分岐、または環状置換基を意味する。エステル基の例は、ヒドロキシル基に結合したアシル基、たとえばアセチルおよびベンゾイルを含む。
本明細書で使用するように、「エーテル基」は、エーテル官能基、すなわち−COC−を有する直鎖、分岐、または環状置換基を意味する。エーテル基の例は、これに限定されるわけではないが、HOCHCHOC(CHOH)H−を含む。
本明細書で使用するように、「グリコシド基」または「グリコシル」基は、酸素または窒素原子に結合した非糖基を含有し、加水分解時にグルコースなどの糖を生じる、多数の糖誘導体のいずれかを意味する。好ましいグリコシル基の例は、キシロシルである。
本明細書で使用するように、「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、および/またはヨウ素を意味する。
本明細書で使用するように、「複素環基」は、炭素以外の少なくとも1つの原子、たとえば酸素、窒素、または硫黄を環内に含有する飽和、不飽和、または芳香族環状化合物である。複素環基の例は、フリル、たとえば2−フラン、モルホリノ、ピペラヂノ、ピペラジノ、N−メチルピペラジノ、ピロリル、ピリジル、およびチオフェンを含む。本明細書で使用するように、「ヒドロキシル保護基」は、分子上の他の官能基と常にではないが、しばしば反応しながら、ヒドロキシル官能基を封鎖または保護するために利用される、ヒドロキシル基の置換基を意味する。ヒドロキシル保護基の例は、当業界で周知であり、J. W.Barton,”Protecting Groups in Organic Chemistry”,:J.G.W.McOmie,ed.,Plenum Press,New York,NY,1973,およびT.W.Green and P.G.M.Wuts,”Protective Groups in Organic Synthesis”,John Wiley & Sons,New York,NY,1999に述べられている。これらの参考文献はそれぞれ、その全体が参照として本明細書に組み入れられている。
本明細書で使用するように、「オキソ基」は、グリコシド基、たとえば米国特許第5,356,928号に述べられているキシロシドの酸化に由来する置換基を意味する。
本明細書で使用するように、「タキサンまたはタキサン分子」は、塩基性バッカチンIII構造を、塩基性バッカチンIII構造のC−13位置に位置するヒドロキシル基とエステルを形成する(2R,3S)−CCH(Rx)CH(OH)C(O)−基と共に含有する分子を意味する。Rxによって表される基は、アミノ基、アミノ基の塩(たとえばアンモニウム塩)、アミノ保護基によって保護されたアミノ基、またはアミノ基に変換できる置換基でもよい。塩基性バッカチンIII構造の、および(2R,3S)−CCH(Rx)CH(OH)C(O)−基の各種の異性体、同族体、および類似体も、タキサン分子の定義に含まれる。たとえば10−デアセチルバッカチンIII構造は、タキサン分子の範囲内であると考えられる。タキサンまたはタキサン分子の定義に含まれるのは、タキソールA(パクリタキセル)、タキソールB(セファロマニン)、タキソールC、タキソールD、タキソールE、タキソールF、タキソールG、ドセタキセル(TAXOTERE(登録商標))である(たとえば図16および図17を参照)。
本明細書で使用するように、「ビニル基」は、炭素間二重結合を有する直鎖または分岐置換基を意味する。ビニル基の例は、これに限定されるわけではないが、1−メチル−1−プロペニル(CHCH=C(CH)−)、および2−メチル−1−プロペニル((CHC=CH−)を含む。
説明を通して、組成物が特定の成分を有する、包含する(include)、または包含する(comprise)と述べられている場合、またはプロセスが特定のプロセスを有する、包含する(include)、または包含する(comprise)と述べられている場合、本発明の組成物も、引用した成分より本質的に成る、または引用した成分より成ることと、本発明のプロセスも、引用した処理ステップより本質的に成る、または引用した処理ステップより成ることが考慮される。さらに、ステップの順序またはある作業を実施する順序は、本発明が実施可能である限り、重要でないことが理解されるべきである。その上、2つ以上のステップまたは作業は同時に実施してもよい。
1.開始物質
本発明での使用のための適切な開始物質は、これに限定されるわけではないが、アミド基を含有するC13側鎖を備えたいずれかのタキサン分子を含む。N−アシル化フェニルイソセリン側鎖をC13位置に含有するタキサンは、本発明の開始物質として作用する。加えて、開始物質は、これらのタキサンの2つ以上の混合物でもよい。これらの化合物は、変化する置換パターンを有することがある;たとえばC10位置はアセテートまたはヒドロキシルを含有し、C7位置はヒドロキシルまたはキシロシル基を含有する。これらの化合物の例は図16および図17に見出され、さらなる例は、J.Natural Products,1999,62,1448−1472,およびPhytochemistry,1999,50,1267−1304に見出される。各刊行物は、その全体が参照として本明細書に組み入れられている。潜在的な開始物質は、これらの参考文献に見出される開始物質に限定されない。開始物質は、タキサン分子を還元的に脱酸素化する前に精製または単離しても、しなくてもよい。
特定の実施形態において、本発明は、図1に示す式(式中、Rは水素であり;Rは水素、アシル基またはヒドロキシル保護基であり;Rはアセテート基であり;Rは水素、アルキル基、アリール基、エステル基、エーテル基、グリコシド基、オキソ基、またはヒドロキシル保護基であり;R10は水素、アルキル基、アリール基、エステル基、エーテル基、またはヒドロキシル保護基であり;R2’は水素、ヒドロキシル保護基、アルキル基、およびアリール基、エステル、エーテル基、またはビニル基であり;Rは水素またはアルキル基であり;RACはアルコキシ基、アルキル基、アリール基、アリールアルキル基、エーテル基、複素環基、アシル基、またビニル基である)を有するタキサン分子を;図2に示す式(式中、R、R、R、R、R10、R2’、R、およびRACは上で定義した通りである)を有する別のタキサン分子に変換する方法を提供する。RAC基の他の例は特に、アセチル(CHC(O)−)、HOC(O)−、CHOC(O)−、CHCH(OH)C(OH)(CH)−、およびPhNHC(O)−を含む。
本発明の相互変換反応のさらに好ましい開始物質は、図6に示す式を有するタキサン分子である。本発明の相互変換反応の、別の好ましい開始物質は、図7に示す式を有するタキサン分子である。本発明の相互変換反応の、別の好ましい構造物質は、図8に示す式を有するタキサン分子である。
2.タキサンの保護
本発明で使用する開始タキサンは、OH保護されていてもよいし、されている必要もない。一部の場合ではOH保護が望ましく、これに限定されるわけではないがC7、C10、およびC2’におけるOH基を含む、活性基の1つ以上がヒドロキシル保護基によって保護されるように実施できる。C2’ヒドロキシル基での保護は、次の還元的脱酸素化ステップで観察される側鎖開裂の量を劇的に減少させるため、特に重要であることが示されている。
ヒドロキシル保護基が最終生成物に残っていることが理解されるべきである。好ましいヒドロキシル保護基の例は、アセテート(Ac)、ベンゾイル(Bz)、トリメチルシリル(TMS)、トリエチルシリル(TES)、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル(Troc)、およびエトキシルエチルエーテル(EE)を含む。保護タキサンを調製する手順は、保護基の選択によって異なる。1つの好ましい実施形態において、C2’およびC7ヒドロキシル基は、開始タキサンを無水THF中で阻害塩基、たとえばジイソプロピルエチルアミンによって、続いてN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)の触媒量、そしてさらにクロロトリメチルシランによって0〜25℃にて処置することにより保護される。別の実施形態において、無水THF中の開始タキサンは、エチルビニルエーテルおよびピリジニウムパラ−トルエンスルホネートの触媒量によって処置される。どちらの場合においても、通例、やや過剰の保護試薬が、保護されるヒドロキシル基によって使用される。保護タキサンアミドの調製の非制限的な例を、図12に示す。
3.タキサン分子の還元的脱酸素化
本発明において、ヒドロキシル保護または非保護タキサンアミドは、保護または非保護タキサンイミンあるいはイミニウム化合物を生成するために、還元的に脱酸素化される。I開始タキサンアミドにおいて、RNが水素である場合は、タキサンイミンが形成される。1つの別の実施形態において、イミン化合物は一般に、図9に示す式(式中、R、R、R、R、R10、R2’、およびRACは、上で定義された通りである)を有する。開始タキサンアミドにおいて、Rがアルキル基である場合は、タキサンイミニウム化合物が形成される。1つの別の実施形態において、イミニウム化合物は一般に、図10に示す式(R、R、R、R、R10、R2’、およびRACは、上で定義された通りである)を有する。
本発明中において、タキサンイミン化合物の使用は、これに限定されるわけではないが、上述のものを含めて、タキサンイミンおよびタキサンイミニウム化合物を含む。1つの別の実施形態において、この反応は、タキサンアミドに、これに限定されるわけではないが、遷移金属含有化合物を含む適切な還元剤を接触させることによって達成される。還元的脱酸素化は、当業界で既知の試薬を使用して行える。たとえば、還元的脱酸素化ステップは好ましくは、水素化ジルコニウム化合物、たとえばSchwartz試薬としても知られる、ジルコノセンクロライドヒドリド(ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロライドヒドリド)を使用して実施される。本反応の非制限的な例を図13に示す。タキサンアミド混合物に還元剤(たとえば遷移金属還元剤)を接触させることは、タキサンイミンを含む混合物を提供する。
化合物または遷移金属還元剤を含有する他の遷移金属は、これに限定されるわけではないが、チタン含有還元剤、ハフニウム含有還元剤、ニオビウム含有還元剤、およびモリブデン含有還元剤を含む。Schwartz試薬の類似体および誘導体も使用できる。これらの試薬の非制限的な例を図19に示す。
1つの別の実施形態において、使用するSchwartz試薬の量は、開始物質1モル当たり約0.1モル当量〜約10モル当量で変化することができる。好ましくはSchwartz試薬約3モル当量以上が使用される。さらに詳細には、還元的脱酸素化反応は、Schwartz試薬2モル当量を消費し、反応を完了させるのを補助するために、追加の当量を添加できる。また、ヒドロキシル基が保護されないままである場合は、遊離ヒドロキシル基がSchwartz試薬1当量と反応し、中和するため、Schwartz試薬の追加の当量が必要である。1つの別の実施形態において、Schwartz試薬は、適切な溶媒中の乾燥粉末またはスラリーのどちらかとしてタキサンアミド溶液に添加できる。好ましくは溶媒は、無水である。テトラヒドロフランは好ましい溶媒である。1つの好ましい実施形態において、無水THF中のタキサンアミド溶液は、また無水THF中のSchwartz試薬のスラリーに添加される。
還元的脱酸素化は好ましくは、不活性環境にて、たとえば窒素またはアルゴン雰囲気下で実施される。好ましい実施形態において、Schwartz試薬スラリーおよびタキサンアミド溶液は、混合前に周囲空気以下に冷却される。予備反応スラリー/溶液温度は好ましくは、約15℃以下、さらに好ましくは約10℃以下である。
タキサンアミド溶液のSchwartz試薬スラリーへの添加後、水素ガスが生成され、反応は弱い発熱性であるため、反応溶液はやや温まる。完全反応の後、反応が完了したと見なされるまで、反応溶液の攪拌を低下させた温度で継続する。反応時間は通常、約1〜4時間であるが、より長くてもよい。開始物質が実質的にタキサンイミンに変換されたときに、反応は完了したと見なされる。好ましくは反応は、開始タキサンアミドおよびタキサンイミンのHPLC面積に基づいて、10%未満の開始物質が残っている場合に停止させる。
4.遷移金属の除去
還元的脱酸素化反応の完了に続いて、遷移金属および/または遷移金属副生成物の大半は、次の反応を進める前に除去できる。たとえば1つの別の実施形態において、すべてのまたは実質的にすべての遷移金属または金属副生成物は、得られた混合物が10,000ppm未満、好ましくは5,000ppm未満、さらに好ましくは1,000ppm未満の遷移金属または遷移金属副生成物を含むように除去できる。本発明では、遷移金属またはいずれかの金属副生成物の除去は任意である。
遷移金属または遷移金属副生成物の除去は、独立して、または本明細書で述べる他のステップと併せて実施できることが理解される。またそのような除去ステップは、本発明のプロセス中のさまざまな時点で実施できる。
遷移金属化合物または遷移金属副生成物を除去する技法は、当業界で既知であり、これに限定されるわけではないが、錯化、沈殿、濾過、キレート化、遠心分離、電気化学的方法、クロマトグラフィー、またはその組合せを含む。1つの別の実施形態において、遷移金属をキレート化するのに有効なキレート化剤を含むキレート化剤を使用して、遷移金属化合物または遷移金属副生成物を除去することができる。そのようなキレート化剤は、これに限定されるわけではないが、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)、エチレングリコール(ビス)アミノエチルエーテルテトラ酢酸(EGTA)、1,2−ビス−(o−アミノフェノキシ)エタン、N,N,N’,N’−テトラ酢酸(BAPTA)、N,N,N’,N’−テトラキス−(2−ピリジルメチル)エチレンジアミン(TPEN)、ニトリロトリ酢酸、TIRON(登録商標)、およびその類似体および誘導体を含む。
1つの別の実施形態において、冷却された還元的脱酸素化反応溶液を、溶液を周囲温度に維持しながら、水溶液としての過剰のN,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)グリシン(ビシン)に添加する。存在する遷移金属の量に基づいて、好ましくは約2当量以上のビシンが使用できる。続いて、元の還元的脱酸素化反応溶液の、追加のビシン水溶液によるさらなる処置を含む反応をワークアップすることができる。好ましい実施形態において、ビシン水相を有機溶媒、好ましくはTHFまたはエチルアセテートによって逆抽出して、ビシン相中のタキサンイミンを回収できる。この反応の非制限的な例を図13に示す。
5.イミン加水分解
イミン化合物への変換後、イミン官能基の加水分解は、アミンまたはアミン塩をC−3’位置に生成する。イミン化合物の加水分解を実施するためには、どの一般的な酸でも使用できる。そのような酸は、これに限定されるわけではないが:(i)フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、またはヨウ化水素酸;(ii)硝酸および他の窒素含有酸;(iii)硫酸または他の硫黄含有酸;(iv)トリフルオロ酢酸を除くカルボン酸;(v)リン酸または他のホスフェート含有酸;(vi)酒石酸;(vii)過塩素酸;(viii) p−トルエン硫酸;(ix)ピクリン酸を含む。好ましくは、酸は硫酸である。酸は、水性および/またはプロトン性溶媒、たとえばエタノールおよび/またはメタノールによる溶液である。本発明の別の実施形態において、アミン塩は、図11に示す式(式中、R、R、R、R、R10、R2’、およびRは、上で定義した通りである)を有する。ここでXは、ハロゲンを含む脱プロトン化無機酸を含む。そのような酸は、これに限定されるわけではないが、フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、またはヨウ化水素産を含む。またXは:(i)脱プロトン化硝酸または他の窒素含有酸;(ii)脱プロトン化硫酸または他の硫黄含有酸;(iii)トリフルオロ酢酸を除く、脱プロトン化カルボン酸;(iv)脱プロトン化リン酸または他のホスフェート含有酸;(v)脱プロトン化酒石酸;(vi)脱プロトン化過塩素酸;(vii)脱プロトン化p−トルエン硫酸;(viii)脱プロトン化ピクリン酸を含む。別の実施形態において、イミン1モル当たり、約2モル当量以上の酸を使用すべきである。
イミン化合物の加水分解は、周囲温度にて、または周囲温度付近で実施できる。また加水分解は、単離または精製されたタキサンイミンに対して実施できる。好ましくは、ジルコニウム除去後に、酸の水溶液を還元的脱酸素化反応溶液に直接添加する。反応混合物からタキサンアミンを製造するために、貧溶媒(以下を参照)の添加の前後に、アミン加水分解ステップを利用できる。
1つの実施形態において、アミン塩の存在は、ES−MS/MS質量分析法(Micromass Quattro LC質量分析計)およびエレクトロスプレーイオン化質量スペクトルによって確認した。図20は、硫酸を用いた第1級アミン塩のエレクトロスプレーイオン化質量スペクトルを示す。このアミン塩は、アミン加水分解ステップによって生成され、次に、本明細書で述べる凝固ステップで単離された。スペクトルは、mw847を有するアミン塩の、正しい質量および予想された同位体ピーク分布プロフィールを示す。図21は、硫酸を用いた第1級アミン塩のES−MS/MS質量スペクトルを示す。アミン塩は、アミン加水分解ステップの間に生成され、次に、本明細書で述べる凝固ステップで単離された。スペクトルは、m/z846の偽分子イオン[M−H]−の娘イオンスペクトルを示す。ここで、スペクトルはm/z96.8にて、単一強度の娘イオン[HSO]−を示す。
タキサンイミンの加水分解に加えて、使用した保護基が酸に対して感受性である場合は、酸は、ヒドロキシル保護基を除去する役割を果たすこともできる。酸感受性保護基の例は、これに限定されるわけではないが、トリメチルシリル、トリエチルシリル、およびエトキシエチルエーテルを含む。したがって、タキサン分子に存在する保護基の望ましくない除去を回避するために、適切な加水分解試薬の選択に注意すべきである。しかしながら、「保護」タキサン分子の、既知のタキソール誘導体への変換、たとえばC7、C10、および/またはC2’ヒドロキシル基からのシリルまたはエーテル保護基の除去を促進するために、タキサン分子のある保護基を除去することが望ましい。したがって、酸は、反応において追加の機能を実施する場合、反応で使用される酸の量を適切に調節することができる。
6.タキサンアミン塩の凝固
タキサンアミン塩は、適切な量のより極性の低い溶媒、好ましくはメチルtert−ブチルエーテルを添加することによって凝固させることができる。他の溶媒、たとえばジクロロメタン、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、またはトリフルオロトルエンも使用できる。タキサンアミン塩はいったん凝固すると、容易に濾過できるため、精製を提供する。本質的にすべての非アミン副生成物または未反応開始物質は濾液に残るため、除去される。
7.タキサンアミン塩のパクリタキセルへの変換
タキサンアミン塩は、アミンを各種の方法で反応させることによって、パクリタキセルまたは他の有用なタキサンに変換できる。たとえば適切なアミン塩は、それに塩化ベンゾイルまたは他のベンゾイル化剤を反応させることによって、パクリタキセルに変換できる。これは、最初にアミン塩を溶媒、好ましくはTHFに溶解させ、次にアミン塩を過剰の塩基、好ましくは無機塩基、最も好ましくは炭酸ナトリウムによって中和し、続いてやや過剰のベンゾイル化剤、好ましくは塩化ベンゾイルを添加することによって実施できる。そのような反応の非制限的な例を図15に示す。他のタキサンアミドは、アシル化剤を変えることによって生成される。
しかしながら、ベンゾイル化ステップ手順が続く場合、特定の不純物の生成が見出されたことが示されている。この不純物の構造は、最終的に確立されていないが、1104ダルトンの分子量を有することが見出された。この不純物は、下流の精製ステップで除去するのが困難であることが見出されている。この不純物の形成は、ベンゾイル化ステップのpHに依存することが見出された;したがって、アミン塩の中和に使用した塩基の中庸性が重要であった。好ましい別の実施形態において、アミン塩をTHFに溶解させ、次に塩化ベンゾイルによって、続いて約pH約7のリン酸緩衝液によって、ベンゾイル化溶液最終pHが4〜6になるように処置する。過剰な塩基の代わりにリン酸緩衝液を使用することは、この不純物の形成を劇的に減少させた。
ベンゾイル化ステップが完了したと見なされたら(HPLC面積により残ったアミン<2%)、粗パクリタキセルは、ホスフェート水層を分離および除去し、有機層を飽和NaCl溶液によって洗浄し、有機層を乾燥剤、好ましくは硫酸マグネシウム(MgSO)によって乾燥させ、有機層を4〜6Xのヘキサンまたはヘプタン中で沈殿させることによって、ワークアップした。生成物沈殿は次に、容易に濾過および乾燥させることができ、さらなる精製に十分である。この手順に続いて、乾燥後に2つの不純物の形成が観察されたことが見出された。これらの不純物はどちらも871ダルトンの分子量を有し、オキセタン開環パクリタキセル誘導体であると判定された。これらの誘導体は、文献で周知であり、求電子試薬、たとえば酸クロライドの存在下で形成することが既知である。したがって、塩化ベンゾイルの残留量は、これらの不純物を生成すると判断された。
好ましい別の実施形態において、反応が完了したと見なされた後に、約0.5モル当量のアミン、好ましくは第1級アミン、最も好ましくは水酸化アンモニウムを、残留演歌ベンゾイルを反応させるために、ベンゾイル化反応溶液に添加した。次に水層を分離および除去して、有機層を適切なアミン、続いて飽和NaCl溶液を毎回用いて2回以上洗浄した。次に有機層を乾燥剤、好ましくは硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥させ、乾燥させた有機層を4〜6Xのヘキサンまたはヘプタン中に沈殿させた。このプロトコルの後、MW871不純物の形成が著しく減少した。
最終生成物および/または単離中間体は、当業界で既知の分析技法、たとえば赤外(IR)分光法、核磁気共鳴(NMR)分光法、たとえばH−NMRおよび13C−NMR、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、たとえば逆相HPLC、および/または質量分析法(MS)、たとえばエレクトロスプレーイオン化MS(ES MS)およびマトリックス支援レーザーイオン化MS(MALDI−MS)を使用して分析できる。これらの技法の組合せ、たとえばHPLC−MSも使用できる。
上述の方法の実施形態において、本発明は、バイオマスまたはバイオマス抽出物からのタキサン分子の混合物を、特定のタキサン分子、たとえばパクリタキセルに相互変換する方法に関する。タキサン分子の混合物の、特定のタキサン分子への相互変換の方法は一般に、単一のタキサン分子の、別の単一のタキサン分子への相互変換の場合と同じである。
(実施例1)
本発明では、以下の物質を以下に述べるように使用する:
・HPLC(XTerra Column;0.05%ギ酸を含む、水−アセトニトリル勾配);UV検出
・タキサンアミド(500g);
・無水THF 3リットル;
・4−(ジメチルアミノ)ピリジン(DMAP)[1122−58−3]7.2g;
・(Hunig塩基)[7175−49−7]N−エチルジイソプロピルアミン 338mL;
・クロロトリメチルシラン(TMSC1)[75−77−4]165mL;
・ビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロライドヒドリド(Schwartz試薬)469g;
・ビシン溶液(1M)[150−25−4];
・エチルアセテート 1リットル;
・10%硫酸溶液 350mL;
・メチルtert−ブチルエーテル(MTBE) 10リットル;
・4:1 MTBE:THF 4リットル;
・重炭酸ナトリウム 317g;
・塩化ベンゾイル[ベンゼン環置換不純物を含まない]68mL;
・ヘプタン15リットル;および
・塩水溶液 3リットル。
ステップ1:無水THF 1.5L中のタキサンアミド(500g、586mmol)溶液に窒素雰囲気下で、DMAP 7.2g(590mmol)を、続いてN−エチルジイソプロピルアミン 338mL(Hunig塩基;1.47mol)を添加して、TMSクロライド(1.47mol)を約1時間にわたってゆっくり添加する。反応物を室温にてさらに1時間攪拌する。HPLC(XTerra RPC−18カラム;0.05%ギ酸を含む、水−アセトニトリル勾配)は、この時点でタキサンを示さないはずである。反応物を0℃に冷却して、濾過する。塩を無水THF 500mLで洗浄する。
ステップ2:ステップ1からの溶液を窒素雰囲気下で0℃に冷却し、無水THF 1L中のビス(シクロペンタジエニル)ジルコニウムクロライドヒドリド(Schwartz試薬)469g(1.97mol)のスラリーに窒素雰囲気下でゆっくり添加する。この時点で水素発生がある。それゆえ反応容器は、多少の発泡を収容するために十分大きいことが望ましい。反応物を0℃にて約4時間攪拌しながらHPLCで監視し、次に約90%まで完了させ、大量の副生成物が生成する前に失活させる。
ステップ3:反応をビシン水溶液(1M;2.8L)で失活させる;層を分離し、有機相を第二のビシン溶液 2.8Lで洗浄する。合わせた水層をエチルアセテート500mLによって1回抽出し、合わせた有機相は10%硫酸溶液350mLを用いて1時間に渡ってよく攪拌しながら処理する。
ステップ4:ステップ3からの加水分解混合物をMTBE 10Lに添加し、30分間に渡ってよく攪拌し、濾過する。固体アミン塩を4:1 LMTBE:THF 2Lで2回洗浄する。未反応タキサンを回収するために、LMTBEおよびLMTBE:THF溶液を保存する。固体をTHF 2Lに溶解させ、次に水200mL、続いて固体NaHCO 317gを添加する。注意:この時点で多少の発泡がある。好ましくは重炭酸ナトリウムをゆっくり添加する。重炭酸ナトリウムの添加後に、混合物を15分間に渡ってよく攪拌する。そして、塩化ベンゾイル68mLを添加し、反応物を1時間に渡ってよく攪拌する。次に反応物を塩水 3Lによって処理して、層を分離する。塩水溶液は、エチルアセテート500mLを用いて1回洗浄する。合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濾過する。次に得られたパクリタキセル溶液をヘプタン 15Lに添加し、沈殿物を濾過して、一晩真空乾燥させると、収率75〜80%を与える(すなわち約375〜400g)。パクリタキセルは、純度70%〜90%、または純度75%〜95%、または純度80%〜90%、または純度90%〜95%である。望ましい場合は、パクリタキセルをさらに精製する。
(実施例2)
本実施例は、主にタキソールCおよびタキソールEより成るタキサンアミド混合物の、タキソールA(パクリタキセル)への変換を説明する。
タキソールA 2.6%、タキソールB 4.8%、タキソールC 54.1%、タキソールD 0.2%、タキソールE 32.0%、およびタキソールF 4.2%より成るタキサンアミド混合物(100g.,〜117mmol)を無水THF 500mLに溶解させた。次に固体Schwartz試薬(137g.,533mmol)を5℃にて添加し、反応物をその温度にて窒素雰囲気下で攪拌し、HPLCによって監視した。4時間後、反応は、1Mビシン溶液800mLと共に30分間攪拌することによって停止させた。
有機層をさらに1Mビシン800mLを用いて30分間に渡って攪拌した。合わせた水層をエチルアセテート150mLと共に20分間攪拌した。THFおよびエチルアセテート層を合わせて、10%HSO 70mLを用いて1時間に渡って処理して、次にメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)1800mLをゆっくり添加し、さらに30分間攪拌した。タキサンアミン塩を濾過して、MTBE:THF 3:1によって洗浄し、次にTHF 200mLに溶解させた。次に水100mL、NaHCO 36グラム(429mmol)、および塩化ベンゾイル14mL(234mmol)を添加した。1時間後に反応を完了させ、水100mLで、次に飽和NaCl溶液100mLで洗浄し、最後にMgSOによって乾燥させた。濾過した溶液は次に、ヘプタン1200mLに沈殿させた。濾過および真空乾燥の後、粗パクリタキセルを得た(51グラム、純度76.5%、収率44%)。
(実施例3)
本実施例は、エトキシエチルエーテル保護を用いた、主にタキソールAおよびタキソールBより成るタキサンアミド混合物の、タキソールA(パクリタキセル)への変換を説明する。
タキソールA 51.4%、タキソールB 28.2%、タキソールC 7.6%、タキソールD 0.5%、タキソールE 1.7%、タキソールF 3.3%、およびタキソールG 0.6%より成るタキサンアミド混合物(481.6g.,〜578. 8mmol)を無水THF 2.5Lに溶解させ、続いてピリジニウムパラ−トルエンスルホネート3.63グラム(14.5mmol)およびエチルビニルエーテル138.4mL(1.45mol)を添加した。反応物を室温にて攪拌し、16時間後に完了させた。反応溶液を次に5℃に冷却し、トリエチルアミン2.03mL、続いて固体Schwartz試薬441.8グラム(1.72mol)を添加した。反応物を5℃にて攪拌し、HPLCによって監視した。4時間後、反応は、1Mビシン溶液2.58Lと共に30分間攪拌することによって停止させた。有機層は、さらなる1Mビシン2.58Lと共に30分間攪拌した。合わせた水層は、エチルアセテート500mLと共に20分間攪拌した。THFおよびエチルアセテート層を合わせ、10%HSO 336.7mLによって1時間処理して、続いてメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)7.5Lをゆっくり添加し、さらに1時間攪拌した。タキサンアミン塩を濾過して、THF 1Lに溶解させた。さらに10%HSO 85mLを添加し、30分間攪拌して、続いてMTBE 3Lをゆっくり添加し、次に30分間攪拌した。アミン塩を濾過して、MTBE:THF 3:1 1Lで3回洗浄した。次にアミン塩をTHF 1Lに溶解させた。そして水200mL、続いてNaHCO 212.7グラム(2.53mol)を注意して添加した。次に塩化ベンゾイル80mL(687mmol)を添加して、反応物を室温にて1時間攪拌した。反応溶液を次に水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、濾過して、ヘプタン6L中で沈殿させた。濾過および真空乾燥は、粗パクリタキセル(507グラム、純度78.2%、収率80%)を生じた。
(実施例4)
本実施例は、エトキシエチルエーテル保護を用いた、主にタキソールCおよびタキソールEより成るタキサンアミド混合物の、タキソールA(パクリタキセル)への変換を説明する。
タキソールA 2.6%、タキソールB 4.8%、タキソールC 54.1%、タキソールD 0.2%、タキソールE 32.0%およびタキソールF 4.2%より成るタキサンアミド混合物(10g.,〜11.7mmol)を無水THF 50mLに溶解させ、続いてピリジニウムパラ−トルエンスルホネート75mg(0.3mmol)およびエチルビニルエーテル2.8mL(29.7mmol)を添加した。反応物を室温にて攪拌し、16時間後に完了させた。反応溶液を次に−5℃に冷却し、固体Schwartz試薬13.7グラム(53.4 mmol)を添加した。反応物を5℃にて攪拌し、HPLCによって監視した。6時間後、反応は、1Mビシン80mLと共に30分間攪拌することによって停止させた。有機層は、さらなる1Mビシン80mLと共に30分間攪拌した。合わせた水層は、エチルアセテート5mLと共に20分間攪拌した。THFおよびエチルアセテート層を合わせ、10%HSO 7mLによって1時間処理して、続いてメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)150mLをゆっくり添加し、さらに1時間攪拌した。タキサンアミン塩を濾過して、THF 20mLに溶解させた。さらに10%HSO 5mLを添加し、30分間攪拌して、続いてMTBE 60mLをゆっくり添加し、次に30分間攪拌した。アミン塩を濾過して、MTBE:THF 3:1 5mLで3回洗浄した。次にアミン塩をTHF 20mLに溶解させた。そしてNaHCO 5.2グラム(61.9mmol)を注意して添加した。次に塩化ベンゾイル1.4mL(12mmol)を添加して、反応物を室温にて1時間攪拌した。反応溶液を次に水で洗浄し、MgSOで乾燥させて、濾過して、ヘプタン120mL中で沈殿させた。濾過および真空乾燥は、粗パクリタキセル(5.81グラム、純度76%、収率43.6%)を生じた。
(実施例5)
本実施例は、トリメチルシリルエーテル保護を用いた、主にタキソールBより成るタキサンアミド混合物の、タキソールA(パクリタキセル)への変換を説明する。
タキソールA 2.5%、タキソールB 83.1%、タキソールC 1.9%、タキソールD 0.7%、タキソールE 5.8%、タキソールF 0.3%、タキソールG 0.9%より成るタキサンアミド混合物(10g.,〜12mmol)を無水THF 30mLに溶解させ、続いてN,N−ジメチルアミノピリジン72mg(DMAP)(0.59 mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)5.13mL(29.43mmol)、およびクロロトリメチルシラン(TMS−C1)3.72mL(29.31mmol)を添加した。反応物を室温にて攪拌し、1時間後に完了させた。反応混合物を次に0℃に冷却し、濾過した(アミン塩酸塩を除去するため)。濾液を、無水THF 20mL中のSchwartz試薬8.44グラム(32.83mmol)のスラリーに0℃にて、窒素雰囲気下で添加した。4時間後、反応は、1Mビシン50mLと共に30分間攪拌することによって停止させた。有機層は、さらなる1Mビシン50mLと共に30分間攪拌した。合わせた水層は、エチルアセテート10mLと共に20分間攪拌した。THFおよびエチルアセテート層を合わせ、10%HSO 7mLによって1時間処理して、続いてメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)210mLをゆっくり添加し、さらに30分間攪拌した。アミン塩を濾過して、THF 30mLおよび水2mLに溶解させ、続いてNaHCO 7.4グラム(88.1mmol)を注意して添加した。次に塩化ベンゾイル1.36mL(12mmol)を添加して、反応物を室温にて15分間攪拌した。反応溶液を次に飽和NaCl溶液20mLで洗浄し、MgSOで乾燥させて、濾過して、ヘプタン120mL中で沈殿させた。濾過および真空乾燥は、粗パクリタキセル(9.28グラム、純度87.8%、収率86.6%)を生じた。
(実施例6)
本実施例は、トリメチルシリルエーテル保護を用いた、主にタキソールAより成るタキサンアミド混合物の、タキソールA(パクリタキセル)への変換を説明する。
タキソールA 79.2%、タキソールB 17.4%、タキソールC 1.6%、およびタキソールE 0.3%より成るタキサンアミド混合物(2.5g.,〜2.9mmol)を無水THF 7.5mLに溶解させ、続いたN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)18mg(0.13mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)1.54mL(8.8mmol)、およびクロロトリメチルシラン(TMS−C1)1.1mL(8.7mmol)を添加した。反応物を0℃にて攪拌し、1時間後に完了させた。反応混合物を次に濾過した(アミン塩酸塩を除去するため)。濾液を、無水THF 3.3mL中のSchwartz試薬2.26グラム(8.8mmol)のスラリーに5℃にて、窒素雰囲気下で添加した。4時間後、反応は、1Mビシン13mLと共に30分間攪拌することによって停止させた。有機層は、さらなる1Mビシン13mLと共に30分間攪拌した。合わせた水層は、エチルアセテート2.5mLと共に20分間攪拌した。THFおよびエチルアセテート層を合わせ、10%HSO 1.75mLによって1時間処理して、続いてメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)65mLをゆっくり添加し、さらに30分間攪拌した。アミン塩を濾過して、THF 10mLおよび塩化ベンゾイル0.41mL(3.5mmol)に溶解させ、飽和NaCl溶液2.5mL、およびpH7リン酸緩衝液12.5mLを添加し、反応物を室温にて15分間攪拌した。反応溶液を次に濃水酸化アンモニウム0.17mLによって処理し、15分間攪拌した。次に溶液を飽和NaCl溶液5mLによって洗浄した。分離した有機層をMgSO 12.5グラム上で乾燥させ、濾過し、ヘプタン73mL中で沈殿させた。濾過および真空乾燥は、粗パクリタキセル(2.3グラム、純度80.9%、収率76.5%)を生じた。
(実施例7)
本実施例は、N−メチルタキソールAをN−メチルタキソールCへの変換を説明する。 N−メチルタキソールA(3.5グラム、4.0mmol)のサンプルを無水THF 10mLに溶解させ、続いてN,N−ジメチルアミノピリジン(DMAP)30mg(0.24mmol)、ジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)2.0mL(11.5mmol)、およびクロロトリメチルシラン(TMS−C1)1.4mL(11.4mmol)を添加した。反応物を0℃にて攪拌し、1時間後に完了させた。反応混合物を次に濾過した(アミン塩酸塩を除去するため)。濾液を、無水THF 5mL中のSchwartz試薬3.0グラム(11.8mmol)のスラリーに0℃にて、窒素雰囲気下で添加した。4時間後、反応は、1Mビシン18mLと共に30分間攪拌することによって停止させた。有機層は、さらなる1Mビシン18mLと共に30分間攪拌した。合わせた水層は、エチルアセテート7mLと共に20分間攪拌した。THFおよびエチルアセテート層を合わせ、10%HSO 2.2mLによって1時間処理して、続いてメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)83mLをゆっくり添加し、さらに30分間攪拌した。アミン塩を濾過して、THF 12mLおよびヘキサノイルクロライド0.6mL(4.0mmol)に溶解させ、飽和NaCl溶液3.1mL、およびpH7リン酸緩衝液17mLを添加し、反応物を室温にて15分間攪拌した。反応溶液を次に濃水酸化アンモニウム0.22mLによって処理し、15分間攪拌した。次に溶液を飽和NaCl溶液6mLによって洗浄した。分離した有機層をMgSO 1.7グラム上で乾燥させ、濾過し、ヘプタン95mL中で沈殿させた。濾過および真空乾燥は、粗パクリタキセル(2.83グラム、収率75%)を生じた。
説明を通して、組成物が特定の成分を有する、包含する(include)、または包含する(comprise)と述べられている場合、またはプロセスが特定のプロセスを有する、包含する(include)、または包含する(comprise)と述べられている場合、本発明の組成物も、引用した成分より本質的に成る、または引用した成分より成ることと、本発明のプロセスも、引用した処理ステップより本質的に成る、または引用した処理ステップより成ることが考慮される。さらに、ステップの順序またはある作業を実施する順序は、本発明が実施可能である限り、重要でないことが理解されるべきである。その上、2つ以上のステップまたは作業は同時に実施してもよい。
本明細書で引用した特許および非特許文書それぞれの内容は、その全体が参照として本明細書に明示的に組み入れられている。
本発明は、その精神または本質的な特徴から逸脱することなく他の特定の形式で具現できる。したがって上述の実施形態は、本明細書で述べた本発明を限定するのではなく、むしろあらゆる点で例示的であると見なされるものとする。それゆえ本発明の範囲は、上述の説明によってよりもむしろ、添付請求項によって示され、請求項の意味および同等の範囲に当たるすべての変更は、それに含まれるものとする。
また、本発明は、本明細書で述べた要素またはプロセスステップを適切に含む、それより成る、またはそれより本質的に成る。さらに、本明細書で述べた本発明は、本明細書で開示されているまたは開示されていないいずれかの要素またはプロセスステップの非存在時に、適切に実施できる。

Claims (5)

  1. タキサンアミン塩を生成する方法であって:
    (i)タキサンイミンに第一の溶媒を接触させるステップと;
    (ii)前記タキサンイミンに、イミン官能基の加水分解のためにサルフェート含有酸に接触させるステップと;
    (iii)前記第一の溶媒よりも極性の低い第二の溶媒を添加することによって、凝固したタキサンアミン塩を分離するステップと;
    を含み、
    前記タキサンイミンが次式:
    Figure 0005442287

    (式中、R=アルキル、アリール、カルボニルまたはエーテル基;
    =H、アルキル、アリール、エステル、エーテル、アセテート、ベンゾイル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルまたはエトキシルエチルエーテル基
    =H、アルキル、アリール、エーテル、エステル、キシロシル、アセテート、ベンゾイル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルまたはエトキシルエチルエーテル基;および
    =H、アセテート、ベンゾイル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルまたはエトキシルエチルエーテル基
    を有する、
    タキサンアミン塩を生成する方法。
  2. タキサンアミン塩を生成する方法であって:
    (i)タキサンイミンにプロトン性溶媒を接触させるステップと;
    (ii)前記タキサンイミンに、イミン官能基の加水分解のために、脱プロトン化窒素含有酸、脱プロトン化リン含有酸、酒石酸、過塩素酸、脱プロトン化リン含有酸、脱プロトン化ピクリン酸、p−脱プロトン化p−トルエンスルホン酸、または塩酸を除く脱プロトン化ハロゲン含有酸を接触させるステップと;
    (iii)前記プロトン性溶媒よりも極性の低い溶媒を添加することによって、凝固したタキサンアミン塩を分離するステップと;
    を含み、
    前記タキサンイミンが次式を有するタキサンアミン塩を生成する方法。
    Figure 0005442287

    (式中、R=アルキル、アリール、カルボニルまたはエーテル基;
    =H、アルキル、アリール、エステル、エーテル、アセテート、ベンゾイル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルまたはエトキシルエチルエーテル基
    =H、アルキル、アリール、エーテル、エステル、キシロシル、アセテート、ベンゾイル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルまたはエトキシルエチルエーテル基;および
    =H、アセテート、ベンゾイル、トリメチルシリル、トリエチルシリル、2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルまたはエトキシルエチルエーテル基
  3. 請求項1に記載のタキサンアミン塩を生成する方法であって、
    前記ステップ(ii)で用いるサルフェート含有酸が、硫酸であることを特徴とするタキサンアミン塩を生成する方法。
  4. 請求項2に記載のタキサンアミン塩を生成する方法であって、
    前記ステップ(ii)で用いる酸が、硝酸、リン酸、酒石酸、p−トルエン硫酸、ピクリン酸、または、これらの組み合わせから選択されるタキサンアミン塩を生成する方法。
  5. 請求項1〜4のいずれか1つに記載のタキサンアミン塩を生成する方法であって、
    前記ステップ(iii)で用いる溶媒が、メチルtert−ブチルエーテル、ジクロロメタン、ヘプタン、ヘキサン、トルエン、トリフルオロトルエン、または、これらの組み合わせから選択されるタキサンアミン塩を生成する方法。
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